(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047641
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220317BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20220317BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20220317BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B41J29/38 601
B41J11/42
B41J11/02
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153543
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井田 裕久
(72)【発明者】
【氏名】尾高 祥司
(72)【発明者】
【氏名】中西 佑太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB13
2C056EC07
2C056EC12
2C056EC37
2C056HA29
2C056KD06
2C058AB15
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF27
2C058AF51
2C058DA11
2C058DA13
2C058DA38
2C058GB04
2C058GB15
2C058GB36
2C058GB47
2C058GB53
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS06
2C061HJ06
2C061HK06
2C061HK11
2C061HN10
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】先端余白の量の精度を向上させる。
【解決手段】複数のマークが付されたロールシートMを搬送可能な搬送部と、ロールシートMに対して画像形成可能な画像形成部と、ロールシートMの有無を検知可能で、画像形成手段よりも上流に配置された透過型センサと、マークの後端を検知可能で、画像形成部よりも上流に配置された反射型センサと、搬送部及び画像形成部を制御可能な制御部と、を備え、制御部は、搬送方向に関して、1つ目の画像形成開始位置を、反射型センサの検知結果にかかわらず、透過型センサにより検知されたロールシートMの先端の位置から先端余白L1あけた位置に決定し、2つ目以降の画像を形成する場合、画像形成開始位置を、反射型センサの検知結果に基づき決定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に複数のマークが規則的に付された記録材を、前記所定方向に搬送可能な搬送手段と、
記録材に対して画像形成可能な画像形成手段と、
前記所定方向において、記録材に付された前記マークの後端を検知可能で、前記画像形成手段よりも上流に配置された第一の検知手段と、
搬送される記録材の有無を検知可能で、前記画像形成手段よりも上流に配置された第二の検知手段と、
前記搬送手段及び前記画像形成手段を制御可能な制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記所定方向に関して、
記録材の先端から1つ目の画像形成開始位置を、前記第一の検知手段の検知結果にかかわらず、前記第二の検知手段により検知された記録材の先端の位置から所定の距離あけた位置に決定し、
2つ目以降の画像を形成する場合、画像形成開始位置を、前記第一の検知手段の検知結果に基づき決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定の距離から、記録材の先端の位置と前記複数のマークのうち所定方向に関して前記1つ目の画像よりも下流側にあるマークの後端との距離を引いた値を差分値とした場合に、前記2つ目以降の画像形成開始位置を、前記1つ目の画像の上流側に隣接するマークの後端から、前記差分値分上流側にずらした位置に決定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の検知手段は、搬送される記録材の片側に配置された発光部及び受光部を有し、前記発光部から発光されて反射した光を前記受光部により受光する反射型センサであり、
前記第二の検知手段は、搬送される記録材を挟んで両側に配置された発光部及び受光部を有し、前記発光部により発光された光を前記受光部により受光する透過型センサである、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段は記録材を載置して搬送可能なベルトを有し、
前記ベルトに載置されて搬送される記録材を前記ベルトへ吸着可能なファンを備えている、
ことを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段はインクを吐出可能な吐出部を有し、記録材に対して前記吐出部にインクを吐出させることで画像形成可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記所定方向の上流側へ記録材を搬送可能であり、
前記制御手段は、指令により指定された枚数の画像形成を行う画像形成ジョブの最後の画像形成終了後に、前記搬送手段に、記録材を、前記所定方向に関して前記第二の検知手段よりも上流側へ、搬送させる、
ことを特徴とする、請求項1ないし5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、指令により指定された枚数の画像形成を行う画像形成ジョブの開始時に、記録材の先端が前記第二の検知手段よりも前記所定方向の上流側にある場合には、前記1つ目の画像の画像形成開始位置を前記第二の検知手段の検知結果に基づき決定する第一のモードと、記録材の先端が前記第二の検知手段に検知される位置及び該位置よりも前記所定方向の下流側にある場合には、前記1つ目の画像形成開始位置を、第一の検知手段の検知結果に基づき決定する第二のモードと、を実行可能である、
ことを特徴とする、請求項1ないし6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に連続して画像を形成可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に画像形成する場合、記録媒体に付してあるマーク位置を基準に画像形成開始位置を決める場合がある。この場合、マークを検出するためのTOFセンサが備えられており、エンコーダ信号と、TOFセンサによるマークの検知信号に基づき、各ページの書き出し位置を決定することで、画像の書き出し位置のズレ等を低減させている(特許文献1)。特許文献1に記載の構成の場合、TOFセンサは、記録媒体の片側に発光部及び受光部を備えた反射型センサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、記録媒体(記録材)の先端から1つ目の画像を形成する際に、記録材の先端から所定の距離をあける、即ち、先端余白を設ける場合がある。しかし、記録材の先端にマークがあり、このマークを反射型センサであるTOFセンサ(第2の検知手段)により検知して、先端余白を設けようとした場合、TOFセンサの対向面(例えば搬送パス天井)がマークと同系色であると、TOFセンサによりマークの後端しか検知できないため、記録材の先端を正確に検知できない虞がある。この場合、先端余白の量にずれが生じる虞がある。
【0005】
本発明は、先端余白の量の精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定方向に複数のマークが規則的に付された記録材を、前記所定方向に搬送可能な搬送手段と、記録材に対して画像形成可能な画像形成手段と、前記所定方向において、記録材に付された前記マークの後端を検知可能で、前記画像形成手段よりも上流に配置された第一の検知手段と、搬送される記録材の有無を検知可能で、前記画像形成手段よりも上流に配置された第二の検知手段と、前記搬送手段及び前記画像形成手段を制御可能な制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記所定方向に関して、記録材の先端から1つ目の画像形成開始位置を、前記第一の検知手段の検知結果にかかわらず、前記第二の検知手段により検知された記録材の先端の位置から所定の距離あけた位置に決定し、2つ目以降の画像を形成する場合、画像形成開始位置を、前記第一の検知手段の検知結果に基づき決定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端余白の量の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。
【
図2】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御ブロック図。
【
図3】比較例に係る、シート先端マークが中心でカットされている場合の画像形成後のシートと対応するセンサ信号を示す模式図。
【
図4】比較例に係る、シート先端マークが中心でカットされていない場合の画像形成後のシートと対応するセンサ信号を示す模式図。
【
図5】第1の実施形態に係る、シート先端マークが中心でカットされている場合の画像形成後のシートと対応するセンサ信号を示す模式図。
【
図6】第1の実施形態に係る、シート先端マークが中心でカットされていない場合の画像形成後のシートとセンサ信号を示す模式図。
【
図7】第1の実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作のフローチャート。
【
図8】第2の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図。
【
図9】第2の実施形態に係る、シート先端マークが中心でカットされていない場合の画像形成後のシートと対応するセンサ信号を示す模式図。
【
図10】(a)第2の実施形態に係る画像形成後のシートを示す図。(b)(a)のシートのカット後を示す模式図。
【
図11】第2の実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
<第1の実施形態>
[画像形成装置]
第1の実施形態について、
図1ないし
図7を用いて説明する。まずは、第1の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の概略構成を示した断面図である。画像形成装置1は、
図2に示すようなホストコンピュータ(パーソナルコンピュータ)60などの外部端末に接続され、外部端末から送信された画像データなどの記録情報に基づき、記録材に情報を記録する(画像を形成する)。
【0010】
「記録材」には、紙、布、プラスチック・フィルムなどのシート、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革など、インクを受容可能なものを含む。また、台紙にラベルを貼付したラベルシートやミシン目でカットし、穴をあけるなどして洋服のタグなどに使用するタグマークシート等の長尺のロールシートがある。本実施形態では、所定方向として記録材の搬送方向に複数のマークが規則的に付されたタグマークシートとしてのロールシートMを記録材として使用する。以下、本実施形態に係る画像形成装置について、ロールシートMを用いて説明を行う。
【0011】
このような画像形成装置1は、
図1に示すように、画像形成装置本体1Aと給送部10を備える。給送部10は、ロールシートホルダ10Aと、一対のロールシート搬送ローラ10Bとを有する。ロールシートホルダ10A内に内蔵しているロールシートMは、一対のロールシート搬送ローラ10B上に載置され、一対のロールシート搬送ローラ10Bの回転駆動により、画像形成装置本体1Aに供給される。また、画像形成装置本体1Aは、ロールシートMを搬送可能な搬送部20と、ロールシートMに対して画像形成可能な画像形成手段としての画像形成部30と、排出部40と、制御手段としての制御部50(
図2参照)とを有する。
【0012】
搬送部20は、給送部10から搬送されたロールシートMを画像形成部30、排出部40に、順に搬送する。画像形成部30は、搬送されてきたロールシートMに画像形成を行う。排出部40は、画像形成部30から搬送部20により搬送されてきたロールシートMをカットして、機外に排出する。制御部50は、給送部10、搬送部20、画像形成部30、排出部40等の画像形成装置1が有する各構成の動作を制御する。以下、具体的に説明する。
【0013】
搬送部20は、搬送ローラ20Aと、この搬送ローラ20Aに張設された、搬送手段としての無端状の搬送ベルト20Bとを有する。搬送ベルト20Bは、搬送モータ20B1(
図2参照)により回転駆動される。搬送ベルト20Bには複数の穴が形成されており、吸引ファン20Cにより、搬送ベルト20BのロールシートMを搬送する面と反対側から複数の穴を介してロールシートMを搬送ベルト20Bに吸着可能である。吸引ファン20Cは、ファンモータ20C1(
図2参照)により駆動される。このように搬送部20は、ロールシートMを吸引ファン20Cにより搬送ベルト20Bに吸着させつつ、搬送モータ20B1を駆動することで搬送ベルト20Bにより搬送するように構成されている。
【0014】
搬送ベルト20BのロールシートMを搬送する搬送面と対向する位置には、画像形成部30が設けられている。また、画像形成部30よりもロールシートMの搬送方向上流側には、第一の検知手段としての、反射型のTOFセンサである反射型センサ70A1と、第二の検知手段としての、透過型のTOFセンサである透過型センサ70A2とが配置されている。また、画像形成部30は、インクを吐出可能な吐出部としての記録ヘッドユニット30Aとインクカートリッジ30Bと、を有する。
【0015】
記録ヘッドユニット30Aは、複数個(本実施形態では6000個)のノズルで構成された記録ヘッド30A1を内部に保持している。記録ヘッド30A1は、内部に不図示の発熱体を内蔵しており、発熱体によりインクが加熱されることでノズルからインクを吐出する。また、インクカートリッジ30Bは、画像形成装置本体1Aにおいて搬送ベルト20Bの下方に配置されており、不図示のフレキシブルチューブ等でそれぞれ対応する色の記録ヘッド30A1に接続され、各色のインクを供給するように構成されている。
【0016】
また、反射型センサ70A1は、ロールシートMに付されたマークの有無を検出することが可能であり、透過型センサ70A2は、ロールシートMの有無を検出することが可能である。これらのセンサは、記録ヘッド30A1による画像形成前にロールシートMの搬送方向における先端と、ロールシートMに貼付されたマークの有無を検知すべく、記録ヘッド30A1よりも搬送方向上流の位置に配置されている。
【0017】
本実施形態の場合、反射型センサ70A1は、搬送ベルト20Bにより搬送されるロールシートMの片側に配置された発光部及び受光部を有し、発光部から発光されて反射した光を受光部により受光する反射型センサである。また、透過型センサ70A2は、搬送ベルト20Bにより搬送されるロールシートMを挟んで両側に配置された発光部及び受光部を有し、発光部により発光された光を受光部により受光する透過型センサである。
【0018】
なお、本実施形態では、透過型センサ70A2をロールシートMの画像形成時(印刷時)に使用する場合に対してのみ説明を行うが、透過型センサ70A2は様々な透過率の台紙とラベルを区別するために発光量や感度を調整できるタイプのフォトインタラプタを用いており、台紙にラベルを貼付したラベル紙に対して印刷を行う場合にも使用する。この場合、透過型センサ70A2はラベル紙の台紙とラベルを区別して検知可能であり、各ラベルの先頭を検知し、各ラベルの画像形成開始位置を決定する。
【0019】
また、排出部40は、切断手段としての自動カッターユニット40Aと、自動カッターユニット40Aを駆動させる切断モータ40A2(
図2参照)と、を有する。自動カッターユニット40Aは、ロールシートMを切断可能なカッター40A1と、カッター40A1を上下方向に昇降可能な不図示の昇降機構とを有し、記録ヘッドユニット30Aよりも搬送方向下流側に配置されている。また、切断モータ40A2は、上述の昇降機構を駆動させてカッター40A1を上下方向に昇降可能である。
【0020】
自動カッターユニット40Aは、後述する制御部50により、切断モータ40A2が駆動されることで、昇降機構がカッター40A1を昇降させ、ロールシートMをカットすることができる。また、搬送部20に備わる不図示のエンコーダにより測定された搬送量に基づき、ロールシートMの搬送位置を算出し、後述するように制御部50で設定された位置、或いは、ユーザが指定する任意のページ間でロールシートMをカットすることができる。なお、本実施形態では、エンコーダによって測定した搬送量に基づいてロールシートMのカット位置を算出しているが、例えば、搬送ベルト20Bの下流側でカッター40A1の上流側に、上述の透過型のセンサ或いは反射型のセンサを設け、このセンサによりロールシートMの先端やマークを検知してカット位置を決める構成であっても良い。
【0021】
次に、制御部50について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態における画像形成装置本体1Aの制御ブロック図である。制御部50は、メインコントローラ(CPU)50Aと、ドライバコントローラ50Bと、ROM50Cと、RAM50Dと、イメージバッファメモリ50Eと、ヘッド駆動回路50Fと、駆動回路50Gと、センサ回路50Hと、を備える。
【0022】
メインコントローラ50Aは、画像形成装置1の全体を制御し、データをROM50Cなどに格納する機能、データを制御する機能、及び設定データに基づいて本体の動作を変更する設定部としての機能などを有する。また、メインコントローラ50Aは、ホストコンピュータ60に接続され、互いに信号の授受を行ない得るようになっている。ROM50Cは、メインコントローラ50Aに接続され、制御プログラムなどが格納されているメモリであり、それらのプログラムに従いメインコントローラ50AはRAM50Dを作業用メモリとして使い、動作する。
【0023】
記録データ格納手段としてのイメージバッファメモリ50Eは、ホストコンピュータ60から送信されてきたビットマップ形式の画像データを格納することが可能である。また、ヘッド駆動回路50Fは、各色の記録ヘッド30A1に内蔵される発熱体(不図示)を駆動させる駆動回路である。制御部50は、これらの構成を用いて、記録ヘッドユニット30Aに画像形成動作を行わせる。
【0024】
具体的には、メインコントローラ50Aに接続されたドライバコントローラ50Bが、イメージバッファメモリ50Eに格納された画像データに従ってヘッド駆動回路50Fを介して記録ヘッドユニット30Aの駆動を制御することで画像を記録する。駆動回路50Gは、搬送モータ20B1や切断モータ40A2、ファンモータ20C1を駆動可能であり、メインコントローラ50Aによって制御される。また、センサ回路50Hは、反射型センサ70A1や透過型センサ70A2等の検出が可能であり、メインコントローラ50Aは、センサ回路50Hの検知した波形を元に画像形成動作や切断動作等を制御可能である。
【0025】
次に、上述した第1の実施形態に係る画像形成装置1において実行可能な印刷動作について、
図3ないし7を用いて説明する。画像形成装置1は、上述のように、反射型センサ70A1だけでなく、透過型センサ70A2による検知結果に基づいて、画像形成開始位置(書き出し位置)を決定可能である。
【0026】
[反射型センサのみを用いた場合]
まず、比較例として、反射型センサ70A1のみを用いて、マークを検知して、画像形成開始位置を決定する場合について、
図3、4を用いて説明する。
図3は、比較例において、ロールシートMの先端に中央でカットされたマーク400がある場合で、このマーク400を反射型センサ70A1により検知することで画像形成開始位置を決定する場合の模式図である。
【0027】
反射型センサ70A1の信号は、
図3に示すように、ロールシートMの先端に付されたマーク400の搬送方向後端エッジに反応してタイミング401で立ち下がる。その立ち下がりのタイミング401をトリガーに1ページ目(1つ目)の画像402の画像形成開始位置を決定する。なお、ロールシートMが無い状態の反射型センサ70A1の信号403はマーク400を検出している時と同じ信号となるので立ち上がりエッジで1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定することは難しい。
【0028】
よって、比較例では、1ページ目の画像402の画像形成開始位置はホストコンピュータ60から送信されてきた画像データに付加される該ページの先端余白長データとロールシートMに付されたマークのマーク長データから算出するようにしている。つまり、立ち下がりタイミング401から搬送方向下流にマーク長データの半分、搬送方向上流に先端余白長データ分移動した位置が1ページ目の画像402の画像形成開始位置と決定する。
【0029】
比較例では、先端余白長データが3mm、マーク長データが4mm、その半分が2mmであるので、立ち下がりタイミング401から1mm搬送方向上流の位置(マーク長データの半分2mm-先端余白長データ3mm)となる。位置の管理は、例えば、特許文献1と同様に、メインコントローラ50A内で発生させるHsync信号をもとに管理する。
【0030】
なお、Hsync信号は、エンコーダから常時発生する、ロールシートMの搬送量を測定するためのエンコーダ信号と同期した信号で、搬送方向の印刷解像度に合わせて調整している。例えば、印刷解像度600dpiであれば、1inch(25.4mm)用紙を搬送する間に600個の波が発生するように調整している。このため、Hysnc信号は、搬送している用紙の移動量を測定するために使用可能である。
【0031】
具体的には、TOF信号と合わせて参照することで用紙の先端を検知してからどのくらいシートが搬送されたかや、シートの長さ、マークの長さを測定することに利用可能である。本実施形態では、後述するように、決定した画像形成開始位置が記録ヘッド30A1の直下に到達したか、つまり印刷開始位置に到達したかの判断時に使用する。
【0032】
また、2ページ目以降は当該ページ先頭のマーク404の後端エッジに反応する立ち下がりタイミング405から1ページ目と同様の所定の計算を経て当該ページの画像406の画像形成開始位置を決定する。このように、シート先端に付されたマーク400が中心でカットされている場合は、狙い通り、先端余白長データ3mmと同じ長さの1ページ目の先端余白L1を設けることができる。なお、画像の印字面とマークが付された面を同じ面に図示しているが、画像の印字面とは逆の面にマークが付された形態でも良い。ただし反射型センサ70A1はマークが付される面に実装される必要がある。
【0033】
次に、上述の比較例において、ロールシートMの先端に中央でカットされていないマークがある場合について、
図4を用いて説明する。
図4は、このマーク500を反射型センサ70A1により検知することで画像形成開始位置を決定する場合の模式図である。前回の印刷の最後に自動カッターユニット40Aによってカット、またはユーザによって手動でカットされた時、マークの中心でカットされない場合がある。
【0034】
具体的には、自動カッターユニット40Aに関するカット位置の調整不良や設定ミスによって、自動カッターユニット40Aによるカット位置がずれたり、ジャム発生時などに、印字不良になった用紙を取り除く際にユーザがハサミ等を用いてカットする際にカット位置がずれる虞がある。マークの中心から搬送方向上流にずれた状態でカットされた場合、次回印刷時の先端に付されたマーク500の長さは中心でカットされた場合のマーク400(
図3)よりも短いマークとなる。
図4に示す例では、先端に付されたマーク500がマークの中心からカット位置が1.5mmずれてしまい、マーク長が0.5mmになってしまっている。
【0035】
しかし、比較例では、マーク長に関係なく反射型センサ70A1の立ち下がりタイミング401から所定の計算を経て1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定する構成となっている。その結果、
図4に示すように、1ページ目の先端余白L2は、マークの中心からカット位置がずれた分、つまり前記先端余白長データ3mmの長さよりも短い1.5mmになってしまう。
【0036】
また、先端余白が短い状態で画像形成を行う場合、画像形成位置に近い搬送ベルト20B(
図1参照)の部分で搬送ベルト20Bの吸引用の不図示の穴が露出することとなる。この場合、搬送ベルト20Bに設けられた穴から空気が吸引ファン20Cにより吸引されているため、画像形成に影響を与える虞がある。例えば、インクジェットプリンターの場合は、吐出するインク滴の大きさが小さいため、インク滴が、露出した搬送ベルト20Bの穴から吸引ファン20Cによって吸引される空気の影響を受け易くなる。
【0037】
つまり、1ページ目の先端余白L2が所定以上短くなると搬送ベルト20Bの吸着用の穴と1ページ目の先端画像の距離も短くなってしまい、1ページ目の先端画像形成中に吸着のための空気の流れの影響を受け、印字不良が発生する可能性がある。したがって、先端余白L2は、吐出するインク滴が吸引ファン20Cによる空気の流れの影響を受けない長さに設定されていることが好ましい。
【0038】
[透過型センサを併用した場合]
次に、本実施形態の構成である、透過型センサ70A2と反射型センサ70A1とを併用して、画像形成開始位置を決定する場合について、
図5ないし6を用いて説明する。
図5は、シート先端のマーク400が中心でカットされている場合の、ロールシートMと、反射型センサ70A1及び透過型センサ70A2のセンサ信号との関係を示す模式図である。
【0039】
透過型センサ70A2の信号は、ロールシートMの先端に反応して立ち下がる。制御部50は、その立ち下がりタイミング600をトリガーに1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定する。1ページ目の画像402の画像形成開始位置は、ホストコンピュータ60から送信されてきた画像データに付加されるページの先端余白長データから算出される。つまり、透過型センサ70A2の立ち下がりタイミング600から搬送方向上流に所定の距離としての先端余白長データ分3mm移動した位置が、1ページ目の画像402の画像形成開始位置となる。
【0040】
2ページ目以降(2つ目以降)の画像については、上述の比較例と同様、当該ページ先頭のマーク404の後端エッジに反応する反射型センサ70A1の立ち下がりタイミング405から所定の計算を経て当該ページの画像406の画像形成開始位置を決定する。
図5に示す例のようにシート先端に付されたマーク400が中心でカットされている場合、狙い通り、つまり前記先端余白長データ3mmの長さの1ページ目の先端余白L1を設けることができる。
【0041】
図6は、シート先端のマーク500が中心でカットされていない場合の、ロールシートMと、反射型センサ70A1及び透過型センサ70A2のセンサ信号との関係を示す模式図である。マークが中心から搬送方向上流にずれてカットされた場合、次回印刷時の先端に付されたマーク500の長さは、中心でカットされた場合のマーク400(
図5)よりも短いマークとなる。本実施形態では、先端に付されたマーク500がマークの中心からカット位置が1.5mmずれてしまい、マーク長が0.5mmになってしまっている。
【0042】
このような
図6に示す構成の場合も、
図5で説明した場合と同様に、透過型センサ70A2の立ち下がりタイミング600から所定の計算を経て1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定する。即ち、制御部50は、その立ち下がりタイミング600をトリガーに1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定する。つまり、透過型センサ70A2の立ち下がりタイミング600から搬送方向上流に所定の距離としての先端余白長データ分3mm移動した位置が、1ページ目の画像402の画像形成開始位置となる。この結果、1ページ目の先端余白L1は、先端のマークの長さに拘わらず、先端余白長データ3mmの長さとなり、狙い通りの先端余白を確保でき、1ページ目の先端余白の量の精度が向上できる。また、本実施形態の場合、所定以上の先端余白を確保できるので、1ページ目の先端画像形成中に吸引ファン20Cによる空気の流れの影響を抑制でき、印字不良の発生を防ぐことができる。
【0043】
なお、これまでシートの先端にマークが残っている場合を説明したが、ユーザがジャム処理の際等に、ハサミで先端にマークが残らないようにカットしてしまうことも考えられる。しかし、本実施形態に係る制御では、先端にマークがなくても1枚目の画像形成開始位置を決定する透過型センサ70A2の信号の立ち下り(図中の600)は発生するため、1枚目から印刷可能である。ただし、1ページ目が搬送方向に関して短く、画像が用紙に収まらない場合は、エラーが発生し印刷が中断されるようにしている。
【0044】
また、上記ではこれから印刷するページがシートの先端である場合の説明を行ったが、ユーザがジャム処理の際などに、透過型センサ70A2よりも下流側にロールシートMの先端がある状態で処理を終わらせて、画像形成を再開する場合があり、これから印刷するページにシートの先端がない場合がある。この場合、本実施形態では、比較例と同様に、1ページ目も反射型センサ70A1でマークのエッジを検出して画像形成開始位置を決定するようにしている。また、本実施形態では、指令により指定された枚数の画像形成を行う画像形成ジョブとしての印刷ジョブ実行開始後に、透過型センサ70A2によるロールシートMの検知結果を用いて、これから印刷するページにシートの先端があるか否かの判断を行っている。ロールシートMが検知された場合は、シートの先端がないと判断し、ロールシートMが検知されない場合は、シートの先端があると判断する。
【0045】
即ち、制御部50は、第一のモードと第二のモードを実行可能である。第一のモードは、印刷ジョブの開始時に、ロールシートMの先端が透過型センサ70A2よりも搬送方向上流側にある場合には、1つ目の画像の画像形成開始位置を透過型センサ70A2の検知結果に基づき決定するモードである。第二のモードは、印刷ジョブの開始時に、ロールシートMの先端が透過型センサ70A2に検知される位置及び該位置よりも搬送方向下流側にある場合には、1つ目の画像形成開始位置を、反射型センサ70A1の検知結果に基づき決定するモードである。なお、印刷ジョブの開始時とは、印刷ジョブを受信後に印刷ジョブを開始する場合の他に、ジャム処理などにより中断した印刷ジョブを再開する場合も含む。
【0046】
しかし、シートセット後の印刷であれば、次の印刷がシート先端からであると判断できるため、透過型センサ70A2の検知結果を用いなくても良い。また、前回の印刷時にカットを実行したかの情報をRAM50Dの作業用メモリに記憶しておき、カットしたという情報となっていたら、先端からの印刷であると判断してもよい。また、別途、印刷開始前に次回印刷ページの搬送方向下流にシートがあるか否か検知可能なセンサを設け、判断しても良い。
【0047】
[第1の実施形態に係るフローチャート]
次に、第一の実施形態における印刷の制御フローについて、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作のフローチャートである。本制御フローは、これから印刷するページがシートの先端である場合の制御フローである。本実施形態では、
図6と同様の状態のロールシートM、つまり本来のマーク長は4mmだが、前回の印刷後のカット時にマークの中心からカット位置が1.5mmずれてしまい先端に付されたマーク500が0.5mmになってしまったロールシートMに対する印刷に関しての説明を行う。また、ホストコンピュータ60から送信されてきた画像データに付加される先端余白長データは3mm、マーク長データは4mmとする。
【0048】
まず、画像形成する画像データ(印刷データ)をホストコンピュータ60から受信すると(S100)、記録ヘッド30A1を画像形成を行うための画像形成位置(印字位置)へ移動する(S101)。次に、搬送を開始し、ロールシートMを印刷時の方向に搬送する(S102)。そして、透過型センサ70A2によりロールシートMの先端が検知されるまで待機する(S103)。ロールシートMの先端を検知したら(S103:YES)、S103で検知したタイミング600から1ページ目の画像402の画像形成開始位置を決定する(S104)。
【0049】
ここで、画像形成開始位置は、ロールシートMの先端を表すタイミング600から搬送方向上流に先端余白長データ分3mm移動した位置と決定する。また、ロールシートMにおける、画像形成開始位置が記録ヘッド30A1の直下に到達したら1ページ目の画像402の印字が開始される。搬送されるロールシートMの位置の管理は、上述のようにメインコントローラ50A内で発生させるHsync信号をもとに管理する。
【0050】
次に、搬送されるロールシートMについて、反射型センサ70A1で1ページ目の先端マークの後端エッジの検知を行う(S105)。ここで、1ページ目の先端マークの後端エッジは、1回目の反射型センサ70A1の信号の立ち下がり401である。このタイミング401は、画像形成開始位置には関与しない。即ち、制御部50は、搬送方向に関して、1つ目の画像形成開始位置を、反射型センサ70A1の検知結果にかかわらず、透過型センサ70A2により検知された記録材の先端の位置から所定の距離空けた位置に決定する。
【0051】
1ページ目の先端マークの後端エッジを検知したら(S105:YES)、反射型センサ70A1で2ページ目以降の先端マークの後端エッジの検知を行う(S106)。即ち、2ページ目以降の先端マークの後端エッジは、2回目以降の反射型センサ70A1の信号が立ち下がる、タイミング405である。
【0052】
2ページ目以降の先端マークの後端エッジを検知したら(S106:YES)、画像形成開始位置が未定の画像データが、イメージバッファメモリ50Eから枯渇していないか否かを確認する(S107)。画像データは印刷中にも受信しており、連続して搬送されるロールシートMに形成される。そして、画像形成が終了した画像データは、イメージバッファメモリ50Eから削除される。画像形成開始位置が未定の画像データが枯渇していない場合(S107:NO)は、2ページ目以降の画像形成開始位置を決定する(S108)。
【0053】
2ページ目以降の画像形成開始位置は、タイミング405から1mm搬送方向上流の位置(マーク長データの半分2mm-先端余白長データ3mm)となる。一方、S107において、画像形成開始位置が未定の画像データが枯渇した場合(S107:Yes)は、直近にS106で検出したページも含め、以降のページの印字を開始せず、画像形成開始位置を決定したページの印字が終了し、画像形成装置本体1A外に排出されたか確認する(S109)。
【0054】
ロールシートMの最終ページ部分の排出が確認されたら(S109:YES)、ロールシートMの搬送を停止し(S110)、記録ヘッド30A1を退避位置へ移動する(S111)。以上で印刷が終了する。
【0055】
ロールシートMの各ページは、印字から排出までの間に、自動カッターユニット40Aを経由するが、そのときに、ユーザが指定する任意のページ間で、自動カッターユニット40Aによりカットされる。また、最終ページ後端部へのカット実施の有無に関係なく、次回印刷開始前には、ロールシートMを、印刷時とは逆の方向に搬送し、次回印刷ページの先頭を少なくとも反射型センサ207および透過型センサ208よりも印刷方向上流まで搬送するようにしている。言い換えると、搬送部20は、搬送方向上流側へロールシートMを搬送可能であり、制御部50は、画像形成ジョブの最後の画像形成終了後に、搬送部20に、ロールシートMを、透過型センサよりも上流側へ、搬送させる。
【0056】
以上より、本実施形態に係る画像形成装置1では、透過型センサ70A2によりロールシートMの先端を検知し、その検知結果に基づいて、1つ目の画像の画像形成開始位置を決定している。このため、反射型センサ70A1の対向面となる搬送パス天井などがマークと同系色であっても、検知された先端位置にずれがなく、1ページ目の先端余白の量の精度を向上させることができる。また、先端マークが中心でカットされていない場合であっても、先端余白L1を狙い通りの量確保できる。
【0057】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、
図8ないし
図11を用いて、説明する。
図8は、第2の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図9は、第2の実施形態に係るシート先端マークが中心でカットされていない場合の画像形成後のシートと対応するセンサ信号を示す模式図である。
図10(a)は、第2の実施形態に係る画像形成後のシートを示す図である。
図10(b)は、(a)の状態のロールシートMをカットした後のロールシートMを示す図である。
図11は、第2の実施形態に係る画像形成動作のフローチャートである。
【0058】
上述の第1の実施形態の画像形成装置1では、シート先端から印刷する場合の2ページ目の画像形成開始位置を比較例と同様、当該ページ先頭のマーク404の後端エッジに反応する反射型センサ70A1の立ち下がりタイミング405から比較例と同様の所定の計算を経て2ページ目の画像406の画像形成開始位置(立ち下がりタイミング405から1mm搬送方向上流の位置:マーク長データの半分2mm-先端余白長データ3mm)を決定していた。つまり、タイミング401に示される1ページ目の先端マークの後端エッジと1ページ目の画像402の画像形成開始位置の距離と、タイミング405に示される2ページ目以降の先端マークの後端エッジと2ページ目の画像406の画像形成開始位置の距離は異なる場合があった。しかし、本実施形態では、1ページ目の画像形成開始距離と2ページ目の画像形成開始距離とが等しくなるように制御するようにしている。
【0059】
また、第2の実施形態では、
図8に示すように、第1の実施形態に対して、更に、排出部40に、反射型のTOFセンサである反射型センサ80A1と、透過型のTOFセンサである透過型センサ80A2とが設けられている。このように、カッター40A1の上流側に反射型センサ80A1及び透過型センサ80A2を設けることで、後述するフローチャートにおける画像形成開始位置算出と同様に、カット位置を決定できる構成となっている。カット位置決定後は、カット位置がカッター40A1の直下に到達する毎に、自動カッターユニット40AはロールシートMをカットするようにしている。これにより、第1の実施形態よりもよりカット位置の精度が向上し、先端余白の量と後端余白の量の精度が向上できる。なお、その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成について同じ符号を付し、説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0060】
図9に示すように、マークの中心から搬送方向上流にずれてカットされた場合、次回印刷時の先端に付されたマーク500の長さは中心でカットされた場合のマーク400よりも短いマークとなる。本実施形態ではマークの中心からカット位置が1.5mmずれてしまい先端に付されたマーク500が0.5mmになってしまっている(第1の実施形態の
図6と同じ状態)。
【0061】
1ページ目の画像402の画像形成開始位置と算出方法は、第1の実施形態と同じである。ただし、透過型センサ70A2の信号の立ち下がりタイミング600と1ページ目先端マークの後端エッジを検出した反射型センサ70A1の信号の立ち下がりタイミング401の差異(つまり先端に付されたマーク500の長さ)、および先端余白長データからタイミング401に示される1ページ目の先端マーク後端エッジと1ページ目の画像402の画像形成開始位置の距離Δを算出する。
図9に示す例の場合、タイミング600とタイミング401の差異は0.5mm(タイミング600-タイミング401)であり、先端余白長データは3mmであるので、距離Δは2.5mm(先端余白長データは3mm―差異0.5mm)となる。
【0062】
2ページ目以降は、当該ページ先頭のマーク404の後端エッジに反応する立ち下がりタイミング405と距離Δから、2ページ目以降の画像形成開始位置を決定する。つまり、2ページ目以降の画像形成開始位置は、タイミング405から距離Δ2.5mm分搬送方向上流側の位置と決定される。即ち、制御部50は、先端余白L1から、ロールシートMの先端の位置とマーク500の後端との距離を引いた値を差分値とした場合に、2つ目の画像形成開始位置を、1ページ目の画像402の上流側に隣接するマーク404の後端から差分値分上流側にずらした位置に決定する。
【0063】
この結果、
図10(a)に示すように、タイミング401に示される1ページ目の先端マーク後端エッジと1ページ目の画像402の画像形成開始位置の距離と、タイミング405に示される2ページ目以降の先端マーク後端エッジと2ページ目の画像406の画像形成開始位置の距離は、共に距離Δとなり、等しくなる。等しくなると
図10(b)に図示するようにカット位置が毎ページマークの中心から搬送方向上流に1.5mmずれてしまう場合、カット後の各ページのシート先端からそれぞれの画像形成開始位置の距離が、1ページの先端余白L1と等しくなり、各ページの先端余白が統一されるメリットがある。
【0064】
本実施形態では、反射型センサ70A1と透過型センサ70A2のシートおよびマークを検出できる搬送方向に関する位置が同じであるとして説明しているが、異なっていても良い。この場合、反射型センサ70A1と透過型センサ70A2とは、搬送方向に関して離れた位置に配置され、その距離分検知タイミングがずれるため、タイミング600とタイミング401の差異(つまり先端に付されたマーク500の長さ)の計算の際に上述の検知タイミングのずれを考慮する。
【0065】
[第2の実施形態に係るフローチャート]
次に、第2の実施形態における印刷の制御フローについて、
図11を用いて説明する。
図11は第2の実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作のフローチャートである。S100~S105は、第1の実施形態の
図7と同じである。第2の実施形態では、反射型センサ70A1で1ページ目の先端マークの後端エッジを検出した後(S105:YES)、S103で検知したシートの先端検知タイミング600と、S105で検知した1ページ目の先端マーク後端エッジ位置検知のタイミング401から先端に付されたマーク500の長さ0.5mm(タイミング600-タイミング401)を算出する(S200)。
【0066】
引き続いて、先端に付されたマーク500の長さ0.5mmと先端余白長データ3mmから、タイミング401に示される1ページ目の先端マーク後端エッジと1ページ目の画像402の画像形成開始位置の距離Δ2.5mm(先端余白長データは3mm―差異0.5mm)を算出する(S201)。その後、反射型センサ70A1で、2ページ目以降の先端マークの後端エッジを検出し(S202、印刷データが枯渇していない場合(S203:NO)、2ページ目以降の画像形成開始位置を決定する(S204)。2ページ目以降の画像形成開始位置は、タイミング405から、S201で算出した距離Δ2.5mm分搬送方向上流側の位置となる。
【0067】
印刷データが枯渇している場合(S203:YES)、直近にS202で検出したページも含め、以降のページの印字を開始せず、画像形成開始位置を決定したページの印字が終了し、画像形成装置本体1A外に排出されたか確認する(S205)。ロールシートMの最終ページ部分の排出が確認されたら(S205:YES)、ロールシートMの搬送を停止し(S206)、記録ヘッド30A1を退避位置へ移動する(S207)。以上で印刷が終了する。
【0068】
このため、タイミング401に示される1ページ目の先端マーク後端エッジと1ページ目の画像402の画像形成開始位置との距離と、タイミング405に示される2ページ目以降の先端マーク後端エッジと2ページ目の画像406の画像形成開始位置との距離と、を等しくすることができる。よって、本実施形態では、1ページ目の先端余白の量の精度向上に加えて、2ページ目以降の先端余白の量と後端余白の量とを、1ページ目の先端余白の量と後端余白の量に揃えることができ、画像形成の品質を高めることができる。
【0069】
なお、第1の実施形態の画像形成装置1では、シート先端を検知するセンサを透過型センサ70A2とした。しかし、シートの先端が接触することにより動く部材を設け、部材の動きをフォトインタラプタ等のセンサで検出する構成であっても良い。この場合、部材の動きをフォトインタラプタ等のセンサで検知することで、シート先端の到達を検知できる。
【符号の説明】
【0070】
M・・・ロールシート/1・・・画像形成装置/20・・・搬送部(搬送手段)/20B・・・搬送ベルト(ベルト)/20C・・・吸引ファン(ファン)/30・・・画像形成部(画像形成手段)/30A・・・記録ヘッドユニット(吐出部)/70A1・・・反射型センサ(第一の検知手段)/70A2・・・透過型センサ(第二の検知手段)/50・・・制御部(制御手段)/400・・・マーク/L1・・・先端余白(所定の距離)