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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047646
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220317BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/16 171
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153549
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】池上 悠介
(72)【発明者】
【氏名】坂口 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】三村 千栄子
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA09
2H171GA21
2H171HA02
2H171JA02
2H171JA15
2H171JA23
2H171JA50
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC05
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H270KA58
2H270LA75
2H270LA94
2H270LA95
2H270MC13
2H270MC28
2H270MC70
2H270RA01
2H270RA02
2H270RA11
2H270RB01
2H270RC03
2H270RC04
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】感光体ドラムの消耗量を精度よく算出する。
【解決手段】画像形成装置は、軸方向に延びる第1軸について回転する感光体ドラムと、軸方向に延びる第2軸について回転する現像ローラと、離間機構と、本体メモリと、制御部と、を備える。離間機構は、感光体ドラムの外周面に現像ローラの外周面が接触した接触状態と、感光体ドラムの外周面から現像ローラの外周面が離間した離間状態と、に感光体ドラムまたは現像ローラの少なくとも一方を移動させることが可能である。制御部は、本体メモリに記憶された、感光体ドラムが接触状態で回転した回転回数である第1の回転回数xと、感光体ドラムが離間状態で回転した回転回数であるの第2の回転回数yと、に基づいて、感光体ドラムの消耗量を算出する(S11~S12)。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
軸方向に延びる第1軸について回転する感光体ドラムと、
軸方向に延びる第2軸について回転する現像ローラと、
前記感光体ドラムの外周面に前記現像ローラの外周面が接触した接触状態と、前記感光体ドラムの外周面から前記現像ローラの外周面が離間した離間状態と、に前記感光体ドラムまたは前記現像ローラの少なくとも一方を移動させることが可能な離間機構と、
本体メモリと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記本体メモリに記憶された、前記感光体ドラムが前記接触状態で回転した回転回数である第1の回転回数と、前記感光体ドラムが前記離間状態で回転した回転回数である第2の回転回数と、に基づいて、前記感光体ドラムの消耗量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記感光体ドラムが新品である状態からの前記第1の回転回数の累積に、第1の係数を乗じた数と、
前記感光体ドラムが新品である状態からの前記第2の回転回数の累積に、前記第1の係数よりも小さい第2の係数を乗じた数と、
を足した数を前記感光体ドラムの消耗量として算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、
前記制御部は、
前記第1の回転回数と、前記第2の回転回数とを前記ドラムメモリに記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、
前記制御部は、
前記感光体ドラムの消耗量を前記ドラムメモリに記憶させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、
前記制御部は、
前記第1の回転回数と、前記第1の回転回数に対応する第1の係数と、を前記ドラムメモリに記憶させ、
前記第2の回転回数と、前記第2の回転回数に対応する第2の係数であって前記第1の係数よりも小さい第2の係数と、を前記ドラムメモリに記憶させ、
前記第1の回転回数、前記第1の係数、前記第2の回転回数および前記第2の係数を前記本体メモリにすべて読み出し、
前記第1の回転回数と前記第1の係数とを乗じた数の累積と、前記第2の回転回数と前記第2の係数とを乗じた数の累積と、を足すことにより、前記感光体ドラムの消耗量を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、
前記制御部は、
前記感光体ドラムの前記消耗量を前記ドラムメモリに記憶させており、
前記感光体ドラムを前記接触状態で回転させた場合、前記第1の回転回数と、前記第1の回転回数に対応する第1の係数と、を乗じた数を前記消耗量に加算して新たな消耗量として前記ドラムメモリに記憶させ、
前記感光体ドラムを前記離間状態で回転させた場合、前記第2の回転回数と、前記第2の回転回数に対応する第2の係数であって前記第1の係数よりも小さい第2の係数と、を乗じた数を前記消耗量に加算して新たな消耗量として前記ドラムメモリに記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体ドラムの温度を検出可能な温度センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記温度センサから取得した感光体ドラムの温度に基づいて、前記第1の係数および前記第2の係数を決定することを特徴とする請求項2、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記感光体ドラムが新品である状態から前記感光体ドラムが回転した総回転回数が大きいほど大きい値となるように前記第1の係数および前記第2の係数を決定することを特徴とする請求項2および請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記感光体ドラムの消耗量が閾値に達した場合に前記感光体ドラムが寿命に達したと判定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記感光体ドラムの寿命から前記感光体ドラムの消耗量を引くことで前記感光体ドラムの残りの寿命を算出することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像ローラを感光体ドラムから離間させることが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像ローラを感光体ドラムから離間させることが可能な画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、画像形成時において、現像ローラが感光体ドラムに接触する時間をカウントしている。そして、現像ローラが感光体ドラムに接触する時間が閾値に達した場合に、感光体ドラムが寿命になったと判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-323090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、現像ローラが感光体ドラムから離間している状態における消耗量が考慮されていないので、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出できていない可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示に係る画像形成装置は、軸方向に延びる第1軸について回転する感光体ドラムと、軸方向に延びる第2軸について回転する現像ローラと、離間機構と、本体メモリと、制御部と、を備える。離間機構は、感光体ドラムの外周面に現像ローラの外周面が接触した接触状態と、感光体ドラムの外周面から現像ローラの外周面が離間した離間状態と、に感光体ドラムまたは現像ローラの少なくとも一方を移動させることが可能である。
制御部は、本体メモリに記憶された、感光体ドラムが接触状態で回転した回転回数である第1の回転回数と、感光体ドラムが離間状態で回転した回転回数であるの回転回数と、に基づいて、感光体ドラムの消耗量を算出する。
【0007】
このような構成によれば、接触状態で感光体ドラムが回転した回数である第1の回転回数と、離間状態で感光体ドラムが回転した回数である第2の回転回数とに基づいて、感光体ドラムの消耗量を算出するので、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出できる。
【0008】
また、前記した画像形成装置において、制御部は、感光体ドラムが新品である状態からの第1の回転回数の累積に第1の係数を乗じた数と、感光体ドラムが新品である状態からの第2の回転回数の累積に第1の係数よりも小さい第2の係数を乗じた数と、を足した数を感光体ドラムの消耗量として算出する構成としてもよい。
【0009】
また、画像形成装置は、感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、制御部は、第1の回転回数と、第2の回転回数とをドラムメモリに記憶させる構成としてもよい。
【0010】
また、画像形成装置は、感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、制御部は、感光体ドラムの消耗量をドラムメモリに記憶させる構成としてもよい。
【0011】
また、画像形成装置は、感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、制御部は、第1の回転回数と、第1の回転回数に対応する第1の係数と、をドラムメモリに記憶させ、第2の回転回数と、第2の回転回数に対応する第2の係数であって第1の係数よりも小さい第2の係数と、をドラムメモリに記憶させ、第1の回転回数、第1の係数、第2の回転回数および第2の係数を本体メモリにすべて読み出し、第1の回転回数と第1の係数とを乗じた数の累積と、第2の回転回数と第2の係数とを乗じた数の累積と、を足すことにより、感光体ドラムの消耗量を算出する構成としてもよい。
【0012】
このような構成によれば、接触または離間の状態に基づくとともに、第1の回転回数に対応する第1の係数と、第2の回転数に対応する第2の係数とに基づいて感光体ドラムの消耗量を算出するので、感光体ドラムが回転しているときの状態に応じた消耗量を算出できる。
【0013】
また、画像形成装置は、感光体ドラムと、ドラムメモリを含むドラムカートリッジを装着または取り外し可能であり、制御部は、感光体ドラムの消耗量をドラムメモリに記憶させており、感光体ドラムを接触状態で回転させた場合、第1の回転回数と、第1の回転回数に対応する第1の係数と、を乗じた数を消耗量に加算して新たな消耗量としてドラムメモリに記憶させ、感光体ドラムを離間状態で回転させた場合、第2の回転回数と、第2の回転回数に対応する第2の係数であって第1の係数よりも小さい第2の係数と、を乗じた数を消耗量に加算して新たな消耗量としてドラムメモリに記憶させる構成としてもよい。
【0014】
このような構成によれば、接触または離間の状態に基づくとともに、第1の回転回数に対応する第1の係数と、第2の回転数に対応する第2の係数とに基づいて感光体ドラムの消耗量を算出するので、感光体ドラムが回転しているときに状態に応じた消耗量を算出できる。
【0015】
また、画像形成装置は、感光体ドラムの温度を検出可能な温度センサと、をさらに備え、制御部は、温度センサから取得した感光体ドラムの温度に基づいて、第1の係数および第2の係数を決定する構成としてもよい。
【0016】
これによれば、接触または離間の状態に基づくとともに、感光体ドラムが回転したときの感光体ドラムの温度に基づいて消耗量を算出するので、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出できる。
【0017】
また、前記した画像形成装置において、制御部は、感光体ドラムが新品である状態から感光体ドラムが回転した総回転回数が大きいほど大きい値となるように第1の係数および第2の係数を決定する構成としてもよい。
【0018】
これによれば、接触または離間の状態に基づくとともに、感光体ドラムの総回転回数に基づいて消耗量を算出するので、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出できる。
【0019】
また、前記した画像形成装置において、制御部は、感光体ドラムの消耗量が閾値に達した場合に感光体ドラムが寿命に達したと判定する構成としてもよい。
【0020】
これによれば、感光体ドラムが寿命に達したことを精度よく算出できる。
【0021】
また、前記した画像形成装置において、制御部は、感光体ドラムの寿命から感光体ドラムの消耗量を引くことで感光体ドラムの残りの寿命を算出する構成としてもよい。
【0022】
これによれば、感光体ドラムの残りの寿命を精度よく算出できる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、感光体ドラムの消耗量を精度よく算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】ドロワと、ドロワの離間機構を分解して示す斜視図である。
図3】現像カートリッジの斜視図(a)と、側面図(b)である。
図4】現像カートリッジの周辺を上から見た模式図であり、現像ローラが接触状態にあるとき(a)と、離間状態にあるとき(b)を示す図である。
図5】ドロワのサイドフレームの内面(現像カートリッジ側)を示す図である。
図6】制御部、本体メモリ、ドラムメモリ、温度センサおよび各モータの電気的接続を示す図である。
図7】第1実施形態におけるドラムメモリの第1記憶領域と第2記憶領域に記憶する情報を示す表である。
図8】第1実施形態における制御部がドラムメモリに情報を記憶する処理を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態における寿命判定処理を示すフローチャートである。
図10】感光体ドラムの総回転数と消耗量の関係を示すグラフであり、実施形態(実線)と従来技術(破線)の計算上の消耗量の推移を示すグラフである。
図11】第2実施形態における感光体ドラムの状態に応じた係数のマップである。
図12】第2、第3実施形態における第1記憶領域と第2記憶領域に記憶する情報を示す表である。
図13】第2実施形態における制御部がドラムメモリに情報を記憶する処理を示すフローチャートである。
図14】第2、第3実施形態における寿命判定処理を示すフローチャートである。
図15】第3実施形態における感光体ドラムの状態に応じた係数のマップである。
図16】第3実施形態における制御部がドラムメモリに情報を記憶する処理を示すフローチャートである。
図17】第4実施形態における制御部がドラムメモリに情報を記憶する処理を示すフローチャートである。
図18】第4実施形態における寿命判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、画像形成装置1は、カラープリンタである。画像形成装置1は、本体筐体10と、カバー11と、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部100と、本体メモリ110と、温度センサTSと、メインモータM1と、現像モータM2と、離間モータM3と、を備えている。
【0026】
本体筐体10は、第1開口10Aを有する。カバー11は、実線で示した第1開口10Aを閉鎖する閉鎖位置と、二点鎖線で示した第1開口10Aを開放する開放位置との間で移動可能である。
【0027】
シート供給部20は、本体筐体10内の下部に位置する。シート供給部20は、シートトレイ21と、供給機構22とを備えている。シートトレイ21は、シートSを収容する。供給機構22は、シートトレイ21からシートSを画像形成部30に供給する。シートトレイ21は、本体筐体10内から本体筐体10外に取り外し可能に構成されている。供給機構22は、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、レジストレーションローラ27とを備えている。本明細書のシートSは、画像形成装置1が画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
【0028】
シート供給部20では、給紙ローラ23がシートSをシートトレイ21内から送り出す。そして、分離ローラ24と分離パッド25がシートSを1枚ずつに分離する。次いで、レジストレーションローラ27が、回転が停止した状態で、シートSの先端位置を規制する。その後、レジストレーションローラ27は、回転することで、シートSを画像形成部30に供給する。
【0029】
画像形成部30は、露光装置40と、ドラムカートリッジの一例であるドロワ90と、複数の現像カートリッジ60と、搬送装置70と、定着器80とを備えている。
【0030】
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズおよびミラーを有している。露光装置40は、複数の感光体ドラム50を露光する複数のレーザ光を発して、感光体ドラム50の表面を走査するように構成されている。
【0031】
ドロワ90は、複数の感光体ドラム50と、現像カートリッジ60と、ドラムメモリ98と、を有している。すなわち、ドロワ90は、現像カートリッジ60とともに使用されるものである。ドロワ90は、現像カートリッジ60が装着または取り外し可能である。
【0032】
感光体ドラム50は、感光体ドラム50の軸方向に延びる第1軸50Xについて回転する(以下の説明では、感光体ドラム50の軸方向を単に「軸方向」という。)。感光体ドラム50は、メインモータM1から回転駆動力が入力される。
【0033】
感光体ドラム50は、イエローに対応した感光体ドラム50Yと、マゼンタに対応した感光体ドラム50Mと、シアンに対応した感光体ドラム50Cと、ブラックに対応した感光ドラム50Kとを含む。なお、本明細書および図面において、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応して設けられている部材には、色を区別して示す場合に、それぞれ、Y,M,C,Kを付して示す。
【0034】
現像カートリッジ60は、現像ローラ61を有している。現像ローラ61は、各感光体ドラム50にトナーを供給する。具体的には、各現像カートリッジ60Y,60M,60C,60Kは、Y,M,C,Kの各色の感光体ドラム50Y,50M,50C,50Kに対応して、現像ローラ61Y,61M,61C,61Kを有している。
【0035】
温度センサTSは、感光体ドラム50の近くに設けられた機内温度のセンサである。本実施形態では、温度センサTSで検知した温度を感光体ドラム50の温度として使用する。
【0036】
現像ローラ61Y、現像ローラ61M、現像ローラ61Cおよび現像ローラ61Kは、シートSの移動方向の上流側から下流側に向かって、現像ローラ61Y、現像ローラ61M、現像ローラ61C、現像ローラ61Kの順に配置されている。現像ローラ61は、軸方向に延びる第2軸61Xについて回転する。
【0037】
各現像カートリッジ60は、図1に実線で示した、現像ローラ61が対応する感光体ドラム50に接触する接触状態となる接触位置と、図1に二点鎖線で示した、現像ローラ61が対応する感光体ドラム50から離間する離間状態となる離間位置の間で移動可能である。
【0038】
図2に示すように、感光体ドラム50は、ドロワ90に回転可能に支持されている。また、ドロワ90は、各現像カートリッジ60を着脱可能に支持する。ドロワ90は、本体筐体10のカバー11(図1参照)を開くことで形成される第1開口10Aを通って、本体筐体10に対して装着または取り外し可能である。本実施形態では、ドロワ90は、本体筐体10から本体筐体10外に引き出すことが可能である。
【0039】
ドロワ90は、サイドフレーム91Rと、サイドフレーム91Lと、連結フレーム92と、連結フレーム93とを備える。サイドフレーム91Rは、サイドフレーム91Lと軸方向に離れて位置する。連結フレーム92は、サイドフレーム91Rとサイドフレーム91Lの一端部同士を連結する。連結フレーム93は、サイドフレーム91Rとサイドフレーム91Lの他端部同士を連結する。
ドロワ90は、帯電器52と、クリーニングローラ53(図1参照)とを有する。帯電器52は、各感光体ドラム50に向かい合う。帯電器52は、感光体ドラム50を帯電させる。クリーニングローラ53は、感光体ドラム50に接触している。クリーニングローラ53は、感光体ドラム50をクリーニングする。
【0040】
詳細な構造の図示は省略するが、サイドフレーム91Rおよびサイドフレーム91Lは、感光体ドラム50の端部を支持する。また、サイドフレーム91Lは、第2開口91Aを有する。第2開口91Aは、サイドフレーム91Lの上縁に、下方に凹む切欠として形成されている。これにより、第2開口91Aは、サイドフレーム91Lを軸方向に貫通しており、後述するカムフォロワ170が入ることが可能になっている。
【0041】
画像形成装置1は、感光体ドラム50の外周面に現像ローラ61の外周面が接触した接触状態と、感光体ドラム50の外周面から現像ローラ61の外周面が離間した離間状態を切り替える離間機構RKを有している。
【0042】
離間機構RKは、感光体ドラム50または現像ローラ61の少なくとも一方を移動させることで、感光体ドラム50および現像ローラ61を接触状態と離間状態とに切り替える機構である。
【0043】
本実施形態では、離間機構RKは、各現像ローラ61を対応する感光体ドラム50に接触する接触位置と、当該感光体ドラム50から離間した離間位置との間で移動させる。離間機構RKは、Y,M,C,Kの各色に対応して設けられている。
【0044】
具体的に、各離間機構RKは、支持軸179と、カムギヤ150(150Y,150M,150C,150K)と、カムフォロワ170と、スライド部材64と、バネ176と、をそれぞれ有する。
【0045】
支持軸179は、軸方向に延びるシャフトである。支持軸179は、本体筐体10の図示しないサイドフレームに設けられている。
【0046】
カムギヤ150は、現像ローラ61の回転軸61X(図1参照)と平行な回転軸線150X回りに回転する。カムギヤ150は、ギヤ部150Gと、円板部151と、端面カム152と、を有する。
【0047】
ギヤ部150Gは、円板部151の外周に設けられている。ギヤ部150Gは、離間モータM3からの駆動力を受ける。円板部151は、略円板形状を有している。ギヤ部150Gは、離間モータM3から回転駆動力が入力される。これにより、離間機構RKは、離間モータM3から駆動力によって動作する。
【0048】
カムフォロワ170は、支持軸179にスライド可能に支持され、端面カム152と接触することで軸方向にスライドする部材である。具体的に、カムフォロワ170は、カムギヤ150が回転するにつれて端面カム152に案内されて、図4(b)に示す第1位置と、図4(a)に示す第2位置との間でスライド移動可能である。カムフォロワ170が第1位置に位置する場合、現像ローラ61は、離間状態となる。カムフォロワ170が第2位置に位置する場合、現像ローラ61は、接触状態となる。カムフォロワ170は、スライド軸部171と、接触部172と、バネ掛け部174と、を有する。
【0049】
図2に示すように、バネ176は、引張バネである。バネ176の一端は、バネ掛け部174に引っ掛けられている。バネ176の他端は、ドロワ90における、バネ掛け部174よりも下の位置に引っ掛けられている。これにより、バネ176は、カムフォロワ170を第1位置から第2位置へ向けて付勢する。このようにして、バネ176は、カムフォロワ170を端面カム152に常に押し付けている。
【0050】
スライド軸部171は、支持軸179と係合する部分である。接触部172は、スライド軸部171から延出して設けられている。接触部172の、軸方向の端面は、端面カム152に対向し、端面カム152に接触可能である。
【0051】
図3に示すように、スライド部材64は、現像カートリッジ60のケース63に対して軸方向にスライド移動可能な部材である。スライド部材64は、カムフォロワ170に押圧されることで軸方向にスライド移動可能である。
【0052】
図4(a),(b)に示すように、スライド部材64は、シャフト191と、第1当接部材192と、第2当接部材193とを備える。第1当接部材192は、シャフト191の一端に固定され、第2当接部材193は、シャフト191の他端に固定されている。
【0053】
シャフト191は、ケース63に形成された、軸方向に延びる孔に貫通して配置され、ケース63にスライド移動可能に支持されている。
【0054】
第1当接部材192は、軸方向における端面である押圧面192Aと、軸方向に対して傾斜した斜面192Bとを有する。
押圧面192Aは、カムフォロワ170により押圧される面である。
斜面192Bは、スライド部材64がカムフォロワ170により軸方向に押圧された場合に、ドロワ90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる。斜面192Bは、シャフト191の一端から他端に向かうにつれて、第2方向における感光体ドラム50から対応する現像ローラ61に向かう方向に位置するように傾斜している。
【0055】
第2当接部材193は、第1当接部材192の斜面192Bと同様に傾斜した斜面193Bを有している。斜面193Bもスライド部材64がカムフォロワ170により軸方向に押圧された場合に、ドロワ90の被当接部94に当接して、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)をシートSの移動方向に平行な方向へ向けて付勢し、現像カートリッジ60を移動させる。
【0056】
第1当接部材192とケース63の間には、スライド部材64を軸方向の一方に向けて付勢するバネ194が配置されている。バネ194は、圧縮コイルバネであり、コイル内にシャフト191が通るようにシャフト191の外側に配置されている。バネ194も、現像ローラ61が離間状態にある場合において、カムフォロワ170を端面カム152に押し付けるバネとして機能する。
【0057】
ドロワ90は、サイドフレーム91R,91Lの上部に、後述するスライド部材64に当接する被当接部94が設けられている。被当接部94は、例えば、感光体ドラム50の軸方向と平行な第1方向と、感光体ドラム50が並ぶ第2方向との両方に直交する第3方向(上下方向)に沿った軸回りに回転可能なローラからなる。
【0058】
また、ドロワ90は、押圧部材95を備えている。押圧部材95は、各現像カートリッジ60に対応してドロワ90に設けられる。押圧部材95は、感光体ドラム50の軸方向の両端部にそれぞれ設けられている。押圧部材95は、バネ95A(図4(a),(b)参照)により付勢されており、ドロワ90に現像カートリッジ60が装着されると、現像カートリッジ60の突起63Dを押圧して、現像ローラ61を対応する感光体ドラム50に接触させるようになっている。
【0059】
図3(a),(b)に示すように、現像カートリッジ60(60Y,60M,60C,60K)は、トナーを収容するケース63と、スライド部材64と、カップリング65を有する。
【0060】
ケース63は、一方の側面に、軸方向に突出する突出部として、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bを有する。
第1突出部63Aは、現像ローラ61の回転軸61Xと同軸に配置され、軸方向に突出している。
第2突出部63Bは、第1突出部63Aから所定距離離れて配置されている。本実施形態では、第2突出部63Bは、第1突出部63Aの上方に配置されている。
第1突出部63Aおよび第2突出部63Bは、ともに、軸方向に平行な軸線周りに回転可能なローラである。
図示は省略するが、ケース63は、他方の側面にも、一方の側面と対称な位置に第1突出部63Aと第2突出部63Bが設けられている。
【0061】
また、ケース63は、前側の面の上部に、押圧部材95により押圧される突起63Dを有している。突起63Dは、ケース63の、軸方向における両端部に設けられている。
【0062】
カップリング65は、現像モータM2から回転駆動力が入力される。現像ローラ91は、カップリング65の回転に従って回転する。
【0063】
図5に示すように、ドロワ90は、一方のサイドフレーム91Lの内側の面に、支持面としての第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、第1現像ローラ61Y、第2現像ローラ61M、第3現像ローラ61Cおよび第4現像ローラ61Kが接触位置から離間位置に移動するときに、第1突出部63Aおよび第2突出部63Bをそれぞれ下から支持する。第1支持面96Aおよび第2支持面96Bは、シートSの移動方向に延びている。
第1支持面96Aは、第1突出部63Aを支持するように配置されている。第1支持面96Aは、現像カートリッジ60をドロワ90に装着するときの現像ローラ61の案内と上下方向の位置決めの機能を兼ねている。
第2支持面96Bは、第2突出部63Bを支持するように第1支持面96Aの上方に配置されている。
図示は省略するが、ドロワ90は、他方のサイドフレーム91Rの内側の面にも、一方のサイドフレーム91Lと左右対称な第1支持面96Aおよび第2支持面96Bを有している。
【0064】
現像ローラ61が感光体ドラム50を接触する接触位置にあるとき、図5の第1現像カートリッジ60Y、第2現像カートリッジ60Mおよび第3現像カートリッジ60Cのように、第1支持面96Aにおいて、第1突出部63Aがシート移動方向の下流側に寄って位置する。
一方、現像ローラ61が感光体ドラム50から離間する離間位置にあるとき、図5の第4現像カートリッジ60Kのように、第1支持面96Aにおいて、第1突出部63Aがシート移動方向の上流側に寄って位置する。
このようにして、離間機構RKは、各現像ローラ61を、接触位置から離間位置に移動させるときに、シートSの移動方向の下流側から上流側へ向けて移動させる。
【0065】
図1に戻り、搬送装置70は、シートトレイ21と感光体ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトからなる搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光体ドラム50に対向配置されている。各転写ローラ74は、各感光体ドラム50との間で搬送ベルト73を挟持するように搬送ベルト73の内側に配置されている。搬送装置70は、上側の外周面にシートSを載せた状態で搬送ベルト73を移動させることでシートSを搬送し、このときに、複数の感光体ドラム50のトナー像をシートSに転写する。
【0066】
定着器80は、シートに移動方向における感光体ドラム50および搬送装置70の下流側に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。定着器80の上方には搬送ローラ15が設けられ、搬送ローラ15の上方には排出ローラ16が設けられている。
【0067】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光体ドラム50の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40から照射される光により露光される。これにより、各感光体ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0068】
また、ケース63内のトナーは現像ローラ61の表面に担持され、現像ローラ61が感光体ドラム50に接触するときに、感光体ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光体ドラム50上でトナー像が形成される。
【0069】
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが各感光体ドラム50と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光体ドラム50上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像がシートSに熱定着される。
【0070】
定着器80から排出されたシートSは、搬送ローラ15および排出ローラ16によって本体筐体10の上面の排紙トレイ13に蓄積される。
【0071】
図6に示すように、制御部100は、CPU101、RAM102、ROM103、EEPROM104および入出力回路を有している。制御部100は、装着されたカートリッジの情報やRAM102、ROM103などに記憶されたプログラムやデータなどに基づいて演算処理を行うことによって、印刷制御を実行している。なお、RAM102およびEEPROM104は、本体メモリ110の一例である。また、RAM102は、揮発性メモリの一例である。EEPROM104は不揮発性メモリの一例である。CPU101は、RAM102と、ROM103と、EEPROM104と電気的に接続されている。
【0072】
制御部100は、温度センサTSと、ドラムメモリ98と、メインモータM1と、現像モータM2と、電気的に接続されている。メインモータM1は、図示せぬギヤ列を介して感光体ドラム50を駆動する。現像モータM2は、図示せぬギヤ列およびクラッチを介して現像ローラ61および離間機構RKを駆動させる。なお、図6では、電気信号の伝達を実線で示し、駆動力の伝達を破線で示している。
【0073】
制御部100は、温度センサTSが検知した温度を取得可能である。制御部100は、ドラムメモリ98のデータを読み込み可能であり、データを書き込み可能である。
制御部100は、メインモータM1の回転回数をカウント可能である。これにより、制御部100は、カウントしたメインモータM1の回転回数とギヤ比に基づいて、感光体ドラム50の回転回数を算出可能である。なお、ギヤ比とは、メインモータM1の出力ギヤと、感光体ドラム50の入力ギヤとのギヤ比であり、例えば、EEPROM104に記憶されている。
制御部100は、現像モータM2の回転回数をカウント可能である。これにより、制御部100は、カウントした現像モータM2の回転回数とギヤ比に基づいて、現像ローラ61の回転回数を算出可能である。なお、ギヤ比とは、現像モータM2の出力ギヤと、現像ローラ61の入力ギヤとのギヤ比であり、例えば、EEPROM104に記憶されている。
【0074】
制御部100は、接触状態で感光体ドラム50が回転した回数である第1の回転回数をカウントする。制御部100は、離間状態で感光体ドラム50が回転した回数である第2の回転回数をカウントする。制御部100は、第1の回転回数と第2の回転回数とに基づいて、感光体ドラム50の回転による消耗量Wを決定する。そして、制御部100は、感光体ドラム50の消耗量Wから感光体ドラム50の寿命を算出する。以下、第1実施形態について、感光体ドラム50の消耗量W、および、感光体ドラム50の寿命と残りの寿命の算出方法を具体的に説明する。
【0075】
制御部100は、メインモータM1がONされてからOFFされるまでの回転回数をカウントする。制御部100がカウントしたメインモータM1の回転回数は、逐次、RAM102に書き込まれる。
制御部100は、メインモータM1の回転回数から感光体ドラム50の回転回数を算出する。制御部100が算出した感光体ドラム50の回転回数は、逐次、RAM102に書き込まれる。
制御部100は、メインモータM1がONとなったときに接触状態であるか離間状態であるかを判定することで、所定期間における第1の回転回数xと、第2の回転回数yとを別々にカウントする。第1の回転回数xおよび第2の回転回数yは、逐次、RAM102に書き込まれる。
【0076】
制御部100は、カウントした第1の回転回数と、第2の回転回数とをドラムメモリ98に記憶させる。図7に示すように、ドラムメモリ98は、第1記憶領域98Aと、第2記憶領域98Bとを有する。
【0077】
第1記憶領域98Aは、第1の回転回数を記憶する。本実施形態では、第1記憶領域98Aは、第1の総回転回数Xを第1の回転回数として記憶する。第1の総回転回数Xは、感光体ドラム50が新品である状態から接触状態で感光体ドラム50が回転した回数の累積(x+x+x+・・・+x)である。すなわち、第1記憶領域98Aには、接触状態に感光体ドラム50が回転するたびに、第1の総回転回数Xが上書きされて記憶される。
【0078】
第2記憶領域98Bは、第2の回転回数を記憶する。本実施形態では、第2記憶領域98Bは、第2の総回転回数Yを第2の回転回数として記憶する。第2の総回転回数Yは、感光体ドラム50が新品である状態から離間状態で感光体ドラム50が回転した回数の累積(y+y+y+・・・+y)である。すなわち、第2記憶領域98Bには、離間状態に感光体ドラム50が回転するたびに、第2の総回転回数Yが上書きされて記憶される。
【0079】
制御部100は、感光体ドラム50の消耗量を算出する場合、ドラムメモリ98から本体メモリ110のうちRAM102から第1の総回転回数Xと第2の総回転回数Yを読み出す。そして、制御部100は、RAM102に記憶された、第1の総回転回数Xと、第2の総回転回数Yとに基づいて、感光体ドラム50の消耗量Wを算出する。具体的に、制御部100は、第1の総回転回数Xに第1の係数aを乗じた数と、第2の総回転回数Yに第2の係数bを乗じた数と、を足した数を感光体ドラム50の消耗量Wとして算出する(W=aX+bY)。第2の係数bは、第1の係数aより小さい数である。なお、第1の係数aおよび第2の係数bは、正の数であり、画像形成装置1の出荷前に実験データから求められた値である。第1の係数aおよび第2の係数bは、ドラムメモリ98または本体メモリ110(例えば、EEPROM104)に予め記憶されている。
【0080】
制御部100は、感光体ドラム50の消耗量Wが閾値に達した場合に、感光体ドラム50が寿命に達したと判定する。なお、寿命を判定するための閾値は、ドラムメモリ98または本体メモリ110(例えば、EEPROM104)に予め記憶されている。
【0081】
制御部100は、感光体ドラム50の寿命から感光体ドラム50の消耗量Wを引くことで感光体ドラム50の残りの寿命を算出する。例えば、算出した残りの寿命は、画像形成装置1の表示部(図示省略)に表示する。
【0082】
次に、制御部100が実行する第1実施形態の処理の一例について、図8のフローチャートを参照して説明する。制御部100は、画像形成装置1の電源がONになっている間、4つの感光体ドラム50のそれぞれに対して、この処理を繰り返し実行している。
【0083】
図8に示すように、制御部100は、メインモータM1がONされたかを判定する(S1)。制御部100は、メインモータM1がONされたと判定しない場合(S1,No)、メインモータM1がONされるまで待つ。
【0084】
ステップS1において、制御部100は、メインモータM1がONされたと判定した場合(S1,Yes)、感光体ドラム50が接触状態であるかを判定する(S2)。
【0085】
ステップS2において、制御部100は、感光体ドラム50が接触状態であると判定した場合(S2,Yes)、所定期間、感光体ドラム50の第1の回転回数xをカウントする(S3)。第1の回転回数xは、逐次、RAM102に書き込まれる。なお、所定期間は、一定時間であってもよいし、印刷ジョブ1回分であってもよいし、感光体ドラム50が所定回数回転する期間であってもよい。
【0086】
ステップS3の後、所定期間分の第1の回転回数xをドラムメモリ98の第1記憶領域98Aに記憶されている第1の総回転回数Xに加算して、第1の総回転回数Xを更新する(S4)。
【0087】
ステップS4の後、制御部100は、所定期間経過前と所定期間経過後において、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化であったかを判定する(S5)。
【0088】
ステップS5において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化があったと判定した場合(S5,Yes)、ステップS2に移行する。
一方、ステップS5において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化があったと判定しなかった場合(S5,No)、メインモータM1をOFFするかを判定する(S6)。
【0089】
ステップS6において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定しなかった場合(S6,No)、ステップS3に移行する。一方、ステップS6において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定した場合(S6,Yes)、処理を終了する。
【0090】
ステップS2において、制御部100は、感光体ドラム50が接触状態であると判定しなかった場合(S2,No)、つまり離間状態である場合、所定期間、感光体ドラム50の第2の回転回数yをカウントする(S7)。
【0091】
ステップS7の後、所定期間分の第2の回転回数yをドラムメモリ98の第2記憶領域98Bに記憶されている第2の総回転回数Yに加算して、第2の総回転回数Yを更新する(S8)。
【0092】
ステップS8の後、制御部100は、所定期間経過前と所定期間経過後において、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化ありであったかを判定する(S9)。
【0093】
ステップS9において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化あったと判定した場合(S9,Yes)、ステップS2に移行する。
一方、ステップS9において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に変化あったと判定しなかった場合(S9,No)、メインモータM1をOFFするかを判定する(S10)。
【0094】
ステップS10において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定しなかった場合(S10,No)、ステップS7に移行する。一方、ステップS10において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定した場合(S10,Yes)、処理を終了する。
【0095】
次に、制御部100が実行する第1実施形態における寿命判定処理の一例について、図9のフローチャートを参照して説明する。制御部100は、画像形成装置1の電源がONになっている間、4つの感光体ドラム50のそれぞれに対して、寿命判定処理を繰り返し実行している。
【0096】
図9に示すように、寿命判定処理を実行する場合、制御部100は、ドラムメモリ98からRAM102に、第1の総回転回数Xと、第2の総回転回数Yを読み出す(S11)。
【0097】
ステップS11の後、制御部100は、RAM102に読み出された第1の総回転回数Xに第1の係数aを乗じた数と、RAM102に読み出された第2の総回転回数Yに第2の係数bを乗じた数と、を足した数を感光体ドラム50の消耗量Wとして算出する(W=aX+bY)(S12)。
【0098】
ステップS12の後、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であるかを判定する(S13)。
【0099】
ステップS13において、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であると判定した場合(S13,Yes)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定し(S14)、処理を終了する。
一方、ステップS13において、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であると判定しなかった場合(S13,No)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定せずに処理を終了する。
【0100】
上述した本実施形態によれば、ドラムメモリ98は、第1の回転回数を第1記憶領域98Aに記憶し、第2の回転回数を第2記憶領域98Bに記憶するので、接触状態における回転回数と、離間状態における回転回数とを別々にドラムメモリ98に記憶できる。この第1の回転回数と第2の回転回数とに基づいて消耗量を算出すれば、ドラムカートリッジは、感光体ドラム50の消耗量を精度よく算出することが可能となる。
このようなドラムカートリッジを備えることで、画像形成装置1の制御部100は、第1の総回転回数Xと、第2の総回転回数Yとに基づいて、感光体ドラム50の消耗量Wを算出することが可能となる。
【0101】
図10は、制御部100が算出する感光体ドラム50の総回転回数と、感光体ドラム50の消耗量Wの関係性を示すグラフである。図10では、本実施形態によって算出したものを実線で示し、従来技術によって算出したものを破線で示している。
従来技術では、現像ローラ61が感光体ドラム50から離間している状態における消耗量が考慮されておらず、現像ローラ61が感光体ドラム50と接触している状態における消耗量のみをカウントしている。
これに対し、本実施形態では、接触状態である第1の回転回数xと離間状態である第2の回転回数yとを区別して消耗量Wを算出している。具体的には、離間状態である第2の回転回数yには、第1の係数aより小さい第2の係数bを乗じている。このため、感光体ドラム50の消耗量Wを精度よく算出できる。
【0102】
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、感光体ドラム50が接触状態であるか離間状態であるかの2つの状態において別々に感光体ドラム50の消耗量Wを算出していたのに対し、第2実施形態では、感光体ドラム50の接触または離間の状態に加えて、回転しているときの感光体ドラム50の温度に応じた係数を使って感光体ドラム50の消耗量Wを算出しているところが第1実施形態と異なる。すなわち、第2実施形態では、回転しているときの感光体ドラム50の温度に応じて、第1の係数aおよび第2の係数bを変えて消耗量Wを算出する。
【0103】
制御部100は、温度センサTSから取得した感光体ドラム50の温度に基づいて第1の係数aおよび第2の係数bを決定する。第1の係数aおよび第2の係数bは、感光体50の温度に基づいて変化する値である。第1の係数aおよび第2の係数bは、感光体ドラム50およびクリーニングローラ53の材料次第で、温度センサTSから取得した感光体ドラム50の温度が高いほど小さい値となる場合と、大きくなる場合がある。ここでは、一例として、第1の係数aおよび第2の係数bは、温度センサTSから取得した感光体ドラム50の温度が高いほど小さい値となる場合を説明する。すなわち、制御部100は、温度センサTSから取得した温度が高いほど小さい値となるように、第1の係数aおよび第2の係数bを決定する。言い換えると、第1の係数aおよび第2の係数bは、感光体ドラム50を回転させたときの感光体ドラム50の温度が高いほど小さい値として決定される値である。
【0104】
第1の係数aおよび第2の係数bを決定するには、例えば、図11に示す感光体ドラム50の温度と、接触または離間の状態に応じた係数のマップを使うとよい。係数のマップは、例えば、ドラムメモリ98またはEEPROM104に記憶されている。
図11に示すように、取得した温度が高温のときには第1の係数aをaとし、中温のときにはaとし、低温のときにはaとする。同様に、取得した温度が高温のときには第2の係数bをbとし、中温のときにはbとし、低温のときにはbとする。
なお、一例として、高温は30℃以上、中温は10℃以上30℃未満、低温は10℃未満である。また、各係数は、a<a<a、b<b<b、a>b、a>b、a>bの関係性を満たす。
【0105】
図12に示すように、制御部100は、所定期間における第1の回転回数xと、第1の回転回数xに対応する第1の係数aと、をドラムメモリ98の第1記憶領域98Aに記憶させる。言い換えると、第1記憶領域98Aは、第1の回転回数xに加えて、第1の回転回数xに対応する第1の係数aを記憶する。
同様に、第2の回転回数yと、第2の回転回数yに対応する第2の係数bをドラムメモリ98の第2記憶領域98Bに記憶させる。言い換えると、第2記憶領域98Bは、第2の回転回数yに加えて、第2の回転回数yに対応する第2の係数bを記憶する。
【0106】
制御部100は、第1の回転回数x、第1の係数a、第2の回転回数yおよび第2の係数bを本体メモリ110(例えば、RAM102)にすべて読み出し、第1の回転回数xと第1の係数aとを乗じた数の累積と、第1の回転回数xと第2の係数bとを乗じた数の累積と、を足すことにより、感光体ドラム50の消耗量Wを算出する(W=Σa+Σb)。言い換えると、感光体ドラム50の回転により消耗した感光体ドラム50の消耗量Wは、第1の回転回数xに第1の係数aを乗じた数の累積と、第2の回転回数yに第1の係数aよりも小さい第2の係数bを乗じた数の累積と、を足すことにより、決定される。
【0107】
次に、第2実施形態において制御部100が実行する処理の一例について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0108】
図13に示すように、制御部100は、メインモータM1がONされたかを判定する(S21)。制御部100は、メインモータM1がONされたと判定しない場合(S21,No)、メインモータM1がONされるまで待つ。
【0109】
ステップS21において、制御部100は、メインモータM1がONされたと判定した場合(S21,Yes)、感光体ドラム50の接触または離間の状態、取得温度に応じて第1の係数a、または第2の係数bを決定する(S22)。
【0110】
ステップS22の後、制御部100は、所定期間、感光体ドラム50の回転回数をカウントする(S23)。このときの回転回数は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に応じて、第1の回転回数x、または、第2の回転回数yである。
【0111】
ステップS23の後、制御部100は、第1の回転回数xと第1の係数a、または、第2の回転回数yと第2の係数b、をドラムメモリ98に記憶させる(S24)。
【0112】
ステップS24の後、制御部100は、所定期間経過前と所定期間経過後において、
感光体ドラム50の接触または離間の状態、および、取得温度の少なくとも一方に変化があるかを判定する(S25)。なお、取得温度に変化がある場合とは、高温、中温、低温のいずれかの状態から、他の状態に変化した場合をいう(図11参照)。すなわち、ステップS25では、制御部100は、係数を変えるか否かの判定をしている。
【0113】
ステップS25において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態、および、取得温度の少なくとも一方に変化があると判定した場合(S25,Yes)、ステップS22に移行する。一方、ステップS25において、制御部100は、接触または離間の状態、および、取得温度の少なくとも一方に変化があると判定しなかった場合(S25,No)、メインモータM1をOFFするかを判定する(S26)。
【0114】
ステップS26において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定しなかった場合(S26,No)、ステップS23に移行する。一方、ステップS26において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定した場合(S26,Yes)、処理を終了する。
【0115】
次に、第2実施形態において制御部100が実行する寿命判定処理の一例について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0116】
図14に示すように、寿命判定処理を実行する場合には、制御部100は、ドラムメモリ98から第1の回転回数x、第1の係数a、第2の回転回数y、第2の係数bを読み出す(S31)。
【0117】
ステップS31の後、制御部100は、第1の回転回数xと第1の係数aとを乗じた数の累積と、第1の回転回数xと第2の係数bとを乗じた数の累積と、を足すことにより、感光体ドラム50の消耗量Wを算出する(W=Σa+Σb)(S32)。
【0118】
ステップS32の後、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であるかを判定する(S33)。
【0119】
ステップS33において、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であると判定した場合(S33,Yes)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定し(S34)、処理を終了する。
一方、ステップS33において、制御部100は、算出した消耗量Wが閾値以上であると判定しなかった場合(S33,No)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定せずに処理を終了する。
【0120】
上述した第2実施形態によれば、接触または離間の状態に基づくとともに、第1の回転回数xに対応する第1の係数aと、第2の回転回数yに対応する第2の係数bとに基づいて感光体ドラム50の消耗量Wを算出するので、感光体ドラム50が回転しているときの状態に応じた消耗量Wを算出できる。
【0121】
例えば、感光体ドラム50の回転による消耗量Wは感光体ドラム50の温度によって異なる。例えば、感光体ドラム50の温度が低いほど感光体ドラム50が削れやすい場合には、感光体ドラム50の温度が高いほど回転による消耗量Wが小さくなる。一方、感光体ドラム50の温度が高いほど感光体ドラム50が削れやすい場合には、感光体ドラム50の温度が高いほど回転による消耗量Wが大きくなる。なお、感光体ドラム50の削れやすさと温度との関係は、感光体ドラム50とクリーニングローラ53の構成材料などによって異なる。
これに対応するために、第2実施形態では、接触または離間の状態に基づくとともに、感光体ドラム50が回転したときの感光体ドラム50の温度に基づいて消耗量Wを算出しているので、感光体ドラム50の消耗量Wを精度よく算出できる。
【0122】
次に、第3実施形態を説明する。
第2実施形態では、感光体ドラム50の接触または離間の状態に加えて、感光体ドラム50の温度に応じた係数を使って感光体ドラム50の消耗量Wを算出していたが、第3実施形態では、感光体ドラム50の接触または離間の状態および温度に加えて、さらに、感光体ドラム50が回転した総回転回数Zに依存した係数を使って感光体ドラム50の消耗量Wを算出する。
【0123】
感光体ドラム50が回転した総回転回数Zは、第1の総回転回数Xと第2の総回転回数Yとを足すことにより求められる(Z=X+Y)。総回転回数Z=0の場合、感光体ドラム50は新品であり、総回転回数Zが大きくなるほど、感光体ドラム50の寿命に近づく。
【0124】
具体的に、制御部100は、感光体ドラム50が新品である状態から感光体ドラム50が回転した総回転回数Zが大きいほど大きい値となるように第1の係数aおよび第2の係数bを決定する。言い換えると、第1の係数aおよび第2の係数bは、感光体ドラム50が新品である状態から感光体ドラム50が回転した総回転回数Zが大きいほど大きい値として決定される値である。
【0125】
第1の係数aおよび第2の係数bを決定するには、例えば、図15に示すマップを使うとよい。
図15に示すように、接触状態、かつ、総回転回数Zが少ない場合であって、取得した温度が高温のときには第1の係数aをaHSとし、中温のときにはaMSとし、低温のときにはaLSとする。
接触状態、かつ、総回転回数Zが普通の場合であって、取得した温度が高温のときには第1の係数aをaHFとし、中温のときにはaMFとし、低温のときにはaLFとする。
接触状態、かつ、総回転回数Zが多い場合であって、取得した温度が高温のときには第1の係数aをaHOとし、中温のときにはaMOとし、低温のときにはaLOとする。
【0126】
同様に、離間状態、かつ、総回転回数Zが少ない場合であって、取得した温度が高温のときには第2の係数bをbHSとし、中温のときにはaMSとし、低温のときにはbLSとする。
接触状態、かつ、総回転回数Zが普通の場合であって、取得した温度が高温のときには第2の係数bをbHFとし、中温のときにはbMFとし、低温のときにはbLFとする。
接触状態、かつ、総回転回数Zが多い場合であって、取得した温度が高温のときには第2の係数bをbHOとし、中温のときにはbMOとし、低温のときにはbLOとする。
【0127】
なお、一例として、総回転回数Zが少ない場合とは、新品の状態から10000回転未満、総回転回数Zが普通の場合とは、10000回転以上20000回転未満、総回転回数Zが多い場合とは、20000回転以上の状態である。
また、各係数は、一例として、
HS<aMS<aLS、aHF<aMF<aLF、aHO<aMO<aLO
HS<aHF<aHO、aMS<aMF<aMO、aLS<aLF<aLO
HS<bMS<bLS、bHF<bMF<bLF、bHO<bMO<bLO
HS<bHF<bHO、bMS<bMF<bMO、bLS<bLF<bLO、の関係性を満たす。
【0128】
次に、第3実施形態において制御部100が実行する処理の一例について、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0129】
図16に示すように、制御部100は、メインモータM1がONされたかを判定する(S41)。制御部100は、メインモータM1がONされたと判定しない場合(S41,No)、メインモータM1がONされるまで待つ。
【0130】
ステップS41において、制御部100は、メインモータM1がONされたと判定した場合(S41,Yes)、感光体ドラム50の接触または離間の状態、取得温度、感光体ドラム50の総回転回数Zに応じて第1の係数a、または第2の係数bを決定する(S42)。
【0131】
ステップS42の後、制御部100は、所定期間、感光体ドラム50の回転回数をカウントする(S43)。このときの回転回数は、感光体ドラム50の接触または離間の状態に応じて、第1の回転回数x、または、第2の回転回数yである。
【0132】
ステップS43の後、制御部100は、第1の回転回数xと第1の係数a、または、第2の回転回数yと第2の係数b、をドラムメモリ98に記憶させる(S44)。
【0133】
ステップS44の後、制御部100は、所定期間経過前と所定期間経過後において、
感光体ドラム50の接触または離間の状態、取得温度の少なくとも一方に変化があるかを判定する(S45)。なお、取得温度に変化がある場合とは、高温、中温、低温のいずれかの状態から、他の状態に変化した場合をいう(図15参照)。すなわち、ステップS45では、制御部100は、係数を変えるか否かの判定をしている。
【0134】
ステップS45において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態、および、取得温度の少なくとも一方に変化があると判定した場合(S45,Yes)、ステップS42に移行する。
【0135】
一方、ステップS45において、制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態、および、取得温度の少なくとも一方に変化があると判定しなかった場合(S45,No)、総回転回数Zが所定値を超えたかを判定する(S46)。総回転回数Zが所定値を超えた場合とは、総回転回数Zが「少ない」から「普通」になった場合と、総回転回数Zが「普通」から「多い」になった場合である(図15参照)。すなわち、ステップS46では、制御部100は、係数を変えるか否かの判定をしている。
【0136】
ステップS46において、制御部100は、総回転回数Zが所定値を超えたと判定した場合(S46,Yes)、ステップS42に移行する。一方、ステップS46において、制御部100は、総回転回数Zが所定値を超えたと判定しなかった場合(S46,No)、メインモータM1をOFFするかを判定する(S47)。
【0137】
ステップS47において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定しなかった場合(S26,No)、ステップS43に移行する。一方、ステップS47において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定した場合(S46,Yes)、処理を終了する。
【0138】
第3実施形態において制御部100が実行する寿命判定処理は、第2実施形態と同じである(図14参照)。
【0139】
上述した第3実施形態によれば、感光体ドラム50の接触または離間の状態および感光体ドラム50の温度に基づくとともに、感光体ドラム50の総回転回数Zに基づいて消耗量Wを算出するので、感光体ドラム50の消耗量Wを精度よく算出できる。
【0140】
次に、第4実施形態を説明する。
第1実施形態では、制御部100は、感光体ドラム50の第1の総回転回数X、および第2の総回転回数Yをドラムメモリ98に記憶させていたのに対し、第4実施形態では、制御部100は、感光体ドラム50の消耗量Wをドラムメモリ98に記憶させるところが第1実施形態と異なる。
【0141】
具体的に、制御部100は、感光体ドラム50の消耗量Wをドラムメモリ98に記憶させている。感光体ドラム50が新品の場合には、消耗量W=0である。
【0142】
制御部100は、感光体ドラム50を所定期間、回転させた場合、所定期間における回転回数zをカウントする。また、制御部100は、回転回数zをカウントしたときの、感光体ドラム50の接触または離間の状態、取得温度、感光体ドラム50の総回転回数Zに応じて係数αを決定する。係数αは、感光体ドラム50が感光体ドラム50の接触または離間の状態に応じて、第1の係数a、または、第2の係数bである。係数αを決定するには、第3実施形態と同様に、図15に示すマップを使うとよい。
【0143】
制御部100は、感光体ドラム50を回転させた場合、回転回数zと、係数αと、を乗じた数を消耗量Wに加算して新たな消耗量Wとしてドラムメモリ98に記憶させる。
【0144】
次に、制御部100が実行する第4実施形態の処理の一例について、図17のフローチャートを参照して説明する。
【0145】
図17に示すように、制御部100は、メインモータM1がONされたかを判定する(S51)。制御部100は、メインモータM1がONされたと判定しない場合(S51,No)、メインモータM1がONされるまで待つ。
【0146】
ステップS51において、制御部100は、メインモータM1がONされたと判定した場合(S51,Yes)、感光体ドラム50の接触または離間の状態、取得温度、感光体ドラム50の総回転回数Zに応じて係数αを決定する(S52)。
【0147】
ステップS52の後、制御部100は、所定期間、感光体ドラム50の回転回数zをカウントする(S53)。
【0148】
ステップS53の後、制御部100は、ドラムメモリ98に記憶されている感光体ドラム50の消耗量Wに、係数αに回転回数zを乗じた値を足して消耗量Wを更新し、ドラムメモリ98に記憶させる(W←W+α)(S54)。
【0149】
ステップS54の後、メインモータM1をOFFするかを判定する(S55)。
【0150】
ステップS55において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定しなかった場合(S55,No)、ステップS53に移行する。一方、ステップS55において、制御部100は、メインモータM1をOFFすると判定した場合(S55,Yes)、処理を終了する。
【0151】
次に、第4実施形態における制御部100が実行する寿命判定処理の一例について、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0152】
図18に示すように、寿命判定処理を実行する場合には、制御部100は、ドラムメモリ98から消耗量Wを読み出す(S61)。
【0153】
ステップS61の後、制御部100は、消耗量Wが閾値以上であるかを判定する(S62)。
【0154】
ステップS62において、制御部100は、消耗量Wが閾値以上であると判定した場合(S62,Yes)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定し(S63)、処理を終了する。
一方、ステップS62において、制御部100は、消耗量Wが閾値以上であると判定しなかった場合(S62,No)、感光体ドラム50が寿命に達したと判定せずに処理を終了する。
【0155】
上述した第4実施形態によっても、ドラムカートリッジは、接触状態における回転回数(第1の回転回数x)と、離間状態における回転回数(第2の回転回数y)とに基づいて決定された感光体ドラム50の消耗量Wをドラムメモリ98に記憶するため、感光体ドラム50の消耗量Wを精度よく算出することが可能となる。
このため、画像形成装置1の制御部100は、感光体ドラム50の接触または離間の状態および感光体ドラムの温度に基づくとともに、感光体ドラム50の総回転回数Zに基づいて消耗量Wを算出するので、感光体ドラム50の消耗量Wを精度よく算出できる。
【0156】
以上に本開示の実施形態について説明したが、本開示は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
【0157】
上述した第2、第3、第4実施形態では、第1の係数aおよび第2の係数bを決定するために、感光体ドラム50状態と状態に対応する係数のマップを使用していたが、これに限られず、計算式により係数を決定してもよい。
【0158】
例えば、感光体ドラム50が接触状態の場合、係数αは、第1定数aに、第1補正係数cと総回転回数Zを乗じたものを足した値としてもよい(α=a+cZ)。同様に、感光体ドラム50が離間状態の場合、係数αは、第2定数bに、第2補正係数cと総回転回数Zを乗じたものを足した値としてもよい(α=b+cZ)。第1補正係数c、第2補正係数cは、正の値である。
【0159】
制御部100は、所定期間における感光体ドラム50の回転回数zと係数αとを乗じた数の累積により、感光体ドラム50の消耗量Wを算出することができる(W=Σα・z)。
もしくは、制御部100は、消耗量Wをドラムメモリ98に記憶させ、感光体ドラム50を回転させた場合、回転回数zと、回転回数zに対応する係数αと、を乗じた数を消耗量Wに加算して新たな消耗量Wとしてドラムメモリ98に記憶させることができる。
【0160】
上述の実施形態では、各係数を決定するために、高温、中温、低温の3つの温度区分のマップを使用していたが、温度区分は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0161】
上述の実施形態では、各係数を決定するために、総回転回数Zを「少ない」、「普通」、「多い」の3つの区分のマップを使用していたが、区分は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0162】
上述の実施形態では、各係数を決定するために、感光体ドラム50の接触または離間の状態、感光体ドラム50の温度、総回転回数Zを使用していたが、本開示はこれに限られない。
例えば、画像形成装置が、感光体ドラム50と接触する接触位置と、感光体ドラム50から離間する離間位置とに移動可能なクリーニングローラ53を備える場合には、クリーニングローラ53の接触または離間の状態に基づいて、係数を決定してもよい。
さらに、画像形成装置が、帯電器52の代わりに帯電ローラを備え、帯電ローラが感光体ドラム50と接触する接触位置と、感光体ドラム50から離間する離間位置とに移動可能な場合には、帯電ローラの接触または離間の状態に基づいて、係数を決定してもよい。
【0163】
上述の実施形態では、離間機構RKは、現像ローラ61を移動させることで接触状態と離間状態を切り替えていたが、離間機構RKは、感光体ドラム50を移動させることで接触状態と離間状態を切り替えてもよいし、現像ローラ61と感光体ドラム50の両方を移動させることで接触状態と離間状態を切り替えてもよい。
【0164】
上述の第3実施形態では、感光体ドラム50の温度と、感光体ドラム50が回転した総回転回数Zに応じた係数を使って感光体ドラム50の消耗量Wを算出していたが、感光体ドラム50の温度に依存せず、総回転回数Zに依存した係数を使用して消耗量Wを算出してもよい。
【0165】
また、前記実施形態においては、感光体ドラム50を駆動するモータと現像ローラ91を駆動するモータが同じものであったが、感光体ドラム50を駆動するモータと現像ローラ91を駆動するモータが別々であってもよい。
【0166】
また、上述した実施形態では、ドラムカートリッジは、本体筐体から引き出すことが可能なドロワであり、4つの感光体ドラムと、4つの装着または取り外し可能な現像カートリッジを有していたが、この形態に限られない。
例えば、ドラムカートリッジは、現像カートリッジおよび感光体ドラムをそれぞれ複数有する構成に限られず、現像カートリッジおよび感光体ドラムをそれぞれ1つ有する構成であってもよい。
また、例えば、ドラムカートリッジは、本体筐体から引き出すことが可能な構成であったが、本体筐体に対して、上方、または、斜め方向から装着または取り外し可能な構成であってもよい。
また、例えば、ドラムカートリッジは、現像ローラを有する現像カートリッジが装着または取り外し可能な構成であったが、現像ローラを有していないトナーカートリッジが装着または取り外し可能な構成であってもよい。この場合において、ドラムカートリッジは、現像ローラと感光体ドラムとを有している。また、トナーカートリッジは、現像ローラを有しておらず、トナーを収容するトナー収容部を有している。
また、例えば、現像カートリッジがドラムカートリッジに装着または取り外し可能であり、現像カートリッジが装着された状態のドラムカートリッジが本体筐体に装着または取り外し可能な構成であったが、現像カートリッジおよびドラムカートリッジがそれぞれ別々に本体筐体に装着または取り外し可能な構成であってもよい。また、ドラムカートリッジから現像カートリッジが別体として取り外しできない一体型のドラムカートリッジとして、本体筐体に装着または取り外し可能な構成であってもよい。この場合、ドラムカートリッジは、トナーを収容するトナー収容部と、現像ローラと、感光体ドラムとを有している。
【0167】
また、前記実施形態においては、4色のトナーを用いてカラー画像を印刷する画像形成装置1を例示したが、画像形成装置は、モノクロ印刷しかできないものであってもよいし、3色や5色以上のトナーを用いてカラー画像を印刷する装置であってもよい。
【0168】
また、画像形成装置は、複合機やコピー機であってもよい。
【0169】
上述のした各実施形態および各変形例の各要素は、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0170】
1 画像形成装置
10 本体筐体
50 感光体ドラム
50X 第1軸
60 現像カートリッジ
61 現像ローラ
61X 第2軸
90 ドロワ
98 ドラムメモリ
98A 第1記憶領域
98B 第2記憶領域
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18