(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047735
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】生ごみ細断機
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20220317BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20220317BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20220317BHJP
【FI】
B02C18/00 104A
B02C18/18 Z ZAB
B09B3/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153674
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】513325111
【氏名又は名称】有限会社川▲崎▼エンジ
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 皆夫
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AA04
4D004AB01
4D004AC07
4D004BA04
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA42
4D004CB13
4D004CB43
4D004DA03
4D065CA06
4D065CA12
4D065CB01
4D065CB03
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD05
4D065DD11
4D065DD26
4D065DD30
4D065EB17
4D065EB20
4D065EC02
4D065EC04
4D065EC05
4D065ED06
4D065ED16
4D065ED25
4D065ED29
4D065EE02
4D065EE07
4D065EE12
4D065EE15
4D065EE20
(57)【要約】
【課題】生ごみに金属片などの固形物が混入していても、生ごみの細断を継続することが可能であり、かつ、簡易な構成とすることで安価な生ごみ細断機を提供すること。
【解決手段】水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみGの細断領域Sとした筒状の胴部10と、細断領域Sに配置され、生ごみGを細断するための回転体Rと、細断領域Sの上方において胴部10に設けられ、細断領域Sに生ごみGを投入するための投入口11と、細断領域Sの下方において胴部10に設けられ、細断領域Sで細断された生ごみGaを排出するための排出口12と、を備え、回転体Rは、水平方向に沿う軸線AXまわりに回転する回転軸3と、回転軸3の軸線AXに沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃4と、を有し、投入口11と排出口12とは、軸線AXに沿った方向にずれて配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした筒状の胴部と、
前記細断領域に配置され、生ごみを細断するための回転体と、
前記細断領域の上方において前記胴部に設けられ、前記細断領域に生ごみを投入するための投入口と、
前記細断領域の下方において前記胴部に設けられ、前記細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、
前記回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する回転軸と、前記回転軸の前記軸線に沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃と、を有し、
前記投入口と前記排出口とは、前記軸線に沿った方向にずれて配置される、生ごみ細断機。
【請求項2】
前記複数の刃は、前記軸線に沿って交互に逆方向に延びるように設けられる、請求項1に記載の生ごみ細断機。
【請求項3】
前記排出口から排出された生ごみを受ける網状体を備える、請求項1又は請求項2に記載の生ごみ細断機。
【請求項4】
水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした胴部と、
前記細断領域に配置され、生ごみを細断するための複数の回転体と、
前記細断領域の上方において前記胴部に設けられ、前記細断領域に生ごみを投入するための投入口と、
前記細断領域の下方において前記胴部に設けられ、前記細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、
前記複数の回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する第1回転軸、及び前記第1回転軸から放射方向に延びる複数の第1刃を有する第1回転体と、水平方向に沿う軸線まわりに回転する第2回転軸、及び前記第2回転軸から放射方向に延びる複数の第2刃を有する第2回転体と、を含み、
前記第2回転体は、前記第1回転体より下方に配置され、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とは、平面視でずれて配置され、
前記第2刃は、前記第1刃より長さが短い、生ごみ細断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ細断機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生ごみは、各家庭から集められて各市町村のごみ処理場においてごみ焼却炉により焼却されている。ごみ焼却炉は、生ごみが燃焼室に投入されるが、生ごみには多くの水分を含んでいるため、生ごみ中から水分除去した後に燃焼室に投入することが提案されている。ただし、生ごみは、水分を含んだまま各家庭から集められてごみ処理場まで輸送されるので、嵩が大きくかつ重量物であり、これを遠くのごみ処理場まで搬送するには輸送コストの増加を招いている。
【0003】
また、生ごみを大量に焼却することは、ダイオキシン等の有毒ガスを発生させるだけでなく、二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスを大量に大気中に放出する要因となる。従って、焼却する生ごみ量を削減することが地球温暖化を抑制するためにも望ましい。また、ごみ処理場の処理能力を超えて生ごみが大量に集められると、生ごみが放置されたままとなり、悪臭や害虫(蛆虫等)が発生する等の問題を有している。さらに、生ごみの焼却には燃料のコストがかかるため、自治体や家庭への負担が大きくなる。
【0004】
ところで、生ごみは、野菜屑や果物の皮など(以下、「野菜屑等」という場合がある。)、全体の70%~80%ほどの水分を含んだ生ごみと、食物残渣や肉、魚のあらなど、全体の20%~30%ほどの水分を含んだ生ごみと、の二種類に大別される。このうち、野菜屑等の生ごみは、1週間程度の天日干し等により乾燥させることで嵩や重量をかなり減らすことができるため、例えば、各家庭等で生ごみを乾燥させた後に回収することによりごみ処理場までの輸送コスト等を削減することが可能である。一方、魚のあら等の生ごみは、乾燥させても嵩や重量がそれほど減少しないので、依然として輸送コストの問題は残っている。野菜屑等の生ごみと魚のあら等の生ごみとを完全に分別して回収することができれば、それぞれに適した処理を行うことができるが、生ごみの完全な分別回収を実現することは難しい。
【0005】
また、生ごみを焼却せずに、堆肥化工場により生ごみを発酵させて堆肥化することも多く提案されている。しかし、生ごみを発酵させるために、生ごみから水分を除去することが必要となる。そのため、大規模な脱水設備や広大な天日干しスペースが必要となるため、都市圏では実現が難しく、都市圏から離れた地域で実施せざるを得ない。その結果、生ごみを都市圏から離れた地域まで輸送するためのコストがかかることとなり、輸送コストの問題は解消していない。
【0006】
以上のように、生ごみを焼却する場合、乾燥する場合、又は堆肥化する場合であっても、事前処理として生ごみが有している水分を減少させ重量を軽くしておくことが重要となる。そして、生ごみの水分を減少させる方法の一つとして、予め生ごみを細断しておく方法がある。特に、野菜屑の場合は、細断することにより水分が減少し野菜屑の重量が50%~70%程度に減少するので、上述の事前処理として野菜屑を細断しておくことは好ましい。そのため、生ごみの細断には、種々の細断機が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の細断機では、投入口から投入された生ごみを、スパイラル形状のスクリューにより圧さく、脱水、粉砕することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の細断機は、スクリューを採用しているため、構造が複雑となって高価となる。また、細断機に投入される生ごみには、金属片などの固形物が混入している場合がある。特許文献1の細断機において、固形物を含む生ごみが投入されると、固形物がスクリューとケーシングとの間に噛みこみ、生ごみの粉砕の妨げになるといった問題がある。さらに、噛みこんだ固形物によりスクリューが破損する恐れもある。
【0009】
本発明は、生ごみに金属片などの固形物が混入していても、生ごみの細断を継続することが可能であり、かつ、簡易な構成とすることで安価な生ごみ細断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係る生ごみ細断機は、水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした筒状の胴部と、細断領域に配置され、生ごみを細断するための回転体と、細断領域の上方において胴部に設けられ、細断領域に生ごみを投入するための投入口と、細断領域の下方において胴部に設けられ、細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する回転軸と、回転軸の軸線に沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃と、を有し、投入口と排出口とは、軸線に沿った方向にずれて配置される。
【0011】
また、複数の刃は、軸線に沿って交互に逆方向に延びるように設けられてもよい。また、排出口から排出された生ごみを受ける網状体を備えてもよい。
【0012】
本発明の態様に係る生ごみ細断機は、水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした胴部と、細断領域に配置され、生ごみを細断するための複数の回転体と、細断領域の上方において胴部に設けられ、細断領域に生ごみを投入するための投入口と、細断領域の下方において胴部に設けられ、細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、複数の回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する第1回転軸、及び第1回転軸から放射方向に延びる複数の第1刃を有する第1回転体と、水平方向に沿う軸線まわりに回転する第2回転軸、及び第2回転軸から放射方向に延びる複数の第2刃を有する第2回転体と、を含み、第2回転体は、第1回転体より下方に配置され、第1回転軸と前記第2回転軸とは、平面視でずれて配置され、第2刃は、第1刃より長さが短い。
【発明の効果】
【0013】
上記態様に係る生ごみ細断機によれば、回転軸から一放射方向に延びる刃が用いられるので、生ごみに固形物が混入していても、固形物を噛みこむことが低減される。その結果、固形物を含む生ごみが投入されても、継続して生ごみを細断することができる。また、構成が簡単であるので、安価な生ごみ細断機を提供することができる。また、複数の刃が、軸線に沿って交互に逆方向に延びる形態では、回転軸を回転させる際のバランスをよくすることができる。また、排出口から排出された生ごみを受ける網状体を備える形態では、細断された生ごみが網状体に収容されるので、細断後の生ごみを容易に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る生ごみ細断機の一例を示す断面図である。
【
図3】(A)は、刃の一例を示す図であり、(B)は、刃を回転軸に取り付けた状態を示す図である。
【
図4】回転軸に取り付けられる刃の他の例を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る生ごみ細断機の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部又は全部を模式的に記載している。また、図面においては、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでおり、実際の製品とは大きさ、形状等が異なっている。以下の説明では、図に示すXYZ直交座標系を参照することとする。このXYZ直交座標系は、X方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向である。また、各方向において、矢印の指す側を+側(例、+Z側)と称し、その反対側を-側(例、-Z側)と称す。例えば、鉛直方向(Z方向)において、上方側が+Z側であり、下方側が-Z側である。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る生ごみ細断機1を示す断面図である。
図2は、
図1のA-A線に沿った断面図である。なお、
図2では、生ごみ細断機1の一部を省略して示している。生ごみ細断機1は、野菜屑等の生ごみGを細断する。
図1及び
図2に示すように、生ごみ細断機1は、胴部10と、投入口11と、排出口12と、回転体Rとを備えている。
【0017】
胴部10は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属や、プラスチック等の樹脂により形成され、円筒状の部材が用いられる。胴部10の内径は、例えば、直径150mm、200mm、350mm、400mmに設定される。胴部10の内側空間には、回転体Rによって生ごみGを細断する細断領域Sが形成される。ただし、胴部10は、円筒状であることに限定されず、例えば断面が三角形、四角形、六角形等の多角形状や、楕円形状、長円形状であってもよい。胴部10の大きさは任意である。例えば、住宅の庭先、集合住宅のベランダ、ごみ集積所、台所など、設置する場所に応じて適宜大きさを設定することができる。
【0018】
胴部10は、支持体13に支持されて水平方向に両端が配置される。支持体13は、例えば、下端のフランジ部において容器C上に設置された基台Bに、不図示の締結具(例えば、ボルト等)により固定されている。容器Cは、例えば、ドラム缶等が用いられる。基台Bは、例えば、ドラム缶の天板に載置されている。なお、胴部10を水平に設置することに限定されない。例えば、排出口12側が下方となるように胴部10を傾斜させてもよい。胴部10を傾斜させて配置することにより、胴部10内の水分が傾斜に沿って流れ、排出口12から水分を排出させることができる。また、細断された生ごみGaを排出口12の方向に導きや易くすることができる。
【0019】
胴部10の両端部にはフランジ部が形成されており、このフランジ部において不図示の締結具(例えば、ボルト等)により、蓋部101、102が胴部10に取り付けられている。蓋部101、102の中心部には、後述する回転軸3を回転可能に支持する軸受け31、32がそれぞれ設けられる。軸受け31、32としては、例えば、フッ素樹脂(テトラフロオロエチレン重合体)製のスリーブ(筒状の管)が用いられる。
【0020】
投入口11は、細断領域Sの上方において胴部10に設けられ、細断領域Sに生ごみGを投入するために用いられる。投入口11は、例えば、Z方向から見て円形状であり、内径が130mm、160mm、240mm、300mmに設定される。投入口11は、細断領域Sと連通している。投入口11は、その上部に生ごみGを投入口11に導入する生ごみ導入部110が連結される。生ごみ導入部110は、上方に向けて拡径しており、下端にフランジ部が形成されている。生ごみ導入部110のフランジ部は、投入口11に設けられたフランジ部において、不図示の連結部材(例えば、ボルト等)により連結されている。
【0021】
なお、生ごみ導入部110を用いるか否かは任意であり、生ごみ導入部110がない状態であってもよい。また、胴部10内の投入口11の下方には、生ごみ導入部110から投入された生ごみGを細断領域Sに向けて送り込むガイド111が設けられてもよい。このガイド111により、生ごみGを細断領域Sに送り込み易くなる。
【0022】
排出口12は、細断領域Sの下方において胴部10に設けられ、細断領域Sで細断された生ごみGaを排出するために用いられる。排出口12は、例えば、Z方向から見て円形状であり、内径が130mm、160mm、240mm、300mmに設定される。排出口12は、細断領域Sと連通している。投入口11と排出口12とは、水平方向(X方向)に沿う軸線AXに沿った方向にずれて配置されている。投入口11と排出口12とは、同一の内径であってもよいし、異なる内径であってもよい。
【0023】
排出口12には、排出される生ごみGaを受ける網状体2を取り付けられる。網状体2は、例えば、排出口12に設けられたフランジ部に取り外し可能に取り付けられる。網状体2は、排出口12の下方において容器C内に配置される。また、網状体2の網目は、細断された生ごみGaが網目から落ちないような大きさに設定される。細断された生ごみGaが網状体2に収容されるので、細断後の生ごみGaを容易に回収することができる。網状体2が容器C内に配置されることにより、生ごみGaから出た水分を容器C内に貯めることができ、周囲の汚損を防止できる。なお、網状体2を用いるか否かは任意であり、網状体2を用いなくてもよい。網状体2がない場合、細断された生ごみGaは、排出口12から直接容器Cに収容される。この場合、例えば、容器Cから生ごみ細断機1、基台Bを取り外して、容器Cを例えば生ごみ集積所等に搬送することで対応可能である。
【0024】
回転体Rは、細断領域Sに配置され、投入口11から投入された生ごみGを細断領域Sにおいて細断する。回転体Rは、回転軸3と、複数の刃4と、を有している。回転軸3は、軸受け31、32により回転可能に支持され、水平方向(X方向)に沿う軸線AXまわりに回転可能である。回転軸3の+X側は、軸受け31を貫通し、回転駆動源Mに接続されている。回転軸3は、回転駆動源Mを駆動することにより軸線AXまわりに回転する。回転駆動源Mは、基台Bに支持され、不図示の電源から電力が供給されて回転軸3を回転させる。回転駆動源Mとしては、例えば電動モーターが挙げられるが、油圧モーター等が使用されてもよい。また、回転駆動源Mを用いずに、人力で回転軸3を回転させる構成としてもよい。また回転体Rは、後述のように、刃4が一放射方向に延びているため、生ごみGを細断する際の負荷が少ない。その結果、例えばスパイラル状のスクリューを用いる場合と比較して回転駆動源M(電動モータ)の消費電力を少なくする(例えば1/2程度とする)ことができる。
【0025】
複数の刃4は、回転軸3の軸線AXに沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びるように設けられる。本実施形態において、複数の刃4は、回転軸3の軸線AXに沿って一定間隔で交互に逆方向に延びるように取り付けられている。複数の刃4は、例えば、軸線AXに沿って40mm、80mmの間隔で配置される。複数の刃4が40mmの間隔で配置される場合、同一方向に延びる刃4の間隔は80mmとなる。複数の刃4が80mmの間隔で配置される場合、同一方向に延びる刃4の間隔は160mmとなる。なお、本実施形態では6本の刃4が用いられているが、刃4の本数は任意である。刃4の先端と胴部10の内壁との間には、所定の隙間Pが設けられている。
【0026】
本実施形態では、回転軸3の軸線AXに沿った異なる位置に刃4が取り付けられるので、一つの刃4では生ごみGを雑に切断することになる。その結果、例えば生ごみGに金属片が混入していても、刃4が金属片を噛みこむ可能性が低くなり、生ごみGの細断を継続して行うことができる。また、上記した所定の隙間Pは、刃4の先端と胴部10の内壁との間に金属片が噛みこまないように、例えば、10~15mmに設定される。上述したように、6本の刃4は、回転軸3の軸線AXに沿って一定間隔で交互に逆方向に延びるため、回転軸3を回転させる際のバランスをよくすることができる。なお、軸線AXから見て隣り合う刃4同士のなす角度が180°となる構成には限定されず、回転軸3を回転させる際のバランスや刃4の取り付け本数を考慮して適宜設定できる。例えば、軸線AXから見て隣り合う刃4同士のなす角度が120°となる構成であってもよい。なお、刃4を回転させる方向(回転軸3の回転方向)は、軸線AXの+X側から見て時計回りであってもよいし、反時計回りであってもよい。
【0027】
図3(A)は、刃4の一例を示す図であり、
図3(B)は、刃4を回転軸3に取り付けた状態を示す図である。
図3(A)に示すように、刃4は、刃部41と取り付け部42とを有している。刃部41は、生ごみGを細断するための切刃411が形成されている。取り付け部42は、回転軸3に刃4を取り付ける際に、回転軸3の表面から軸線AXに向かって設けられた取り付け孔30に挿入される。
【0028】
刃部41は、X方向から見て幅W1、長さL1で板状に形成され、回転方向の前方側には、切刃411が形成された片刃形状である。なお、刃部41の形状は、図示の形態に限定されず、例えば、三角形状等の他の形状であってもよい。また、刃部41の材質は特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。取り付け部42は、X方向から見て刃部41の下端中央部付近から、幅W2、長さL2の棒状に形成されている。また、取り付け部42の形状は任意であり、回転軸3に取り付け可能な任意の形状が適用される。刃部41と取り付け部42とは、例えば一体として形成される。また、刃部41の幅W1は、取り付け部42の直径W2よりも大きく、刃部41の長さL1は、取り付け部42の長さL2よりも大きい。
【0029】
図3(B)に示すように、刃4は、回転軸3の取り付け孔30に、取り付け部42を挿入した後、溶接部40により回転軸3に固定される。このとき、刃部41の切刃411が回転方向(Y方向)に向くように、すなわち、切刃411が軸線AX(X方向)と直交するように刃4が回転軸3に取り付けられる。なお、溶接の方法としては、アーク溶接、ガス溶接等の従来公知の溶接技術を使用することができる。また、刃4を回転軸3に取り付ける方法としては、溶接に限定されず、嵌合又は螺合が用いられてもよい。なお、回転軸3と刃4とが別に形成される形態に限定されず、回転軸3と刃4とが一体に形成される形態であってもよい。
【0030】
図4は、回転軸3に取り付けられる刃4の他の例を示す図である。なお、
図4では、回転軸3と刃4との間の溶接部40の記載を省略している。
図4で示すように、刃4は、Z方向から見て、切刃411の方向(
図4の一点鎖線参照)が、軸線AXに対して角度αだけ傾けて回転軸3に取り付けられている。その結果、回転体Rが回転することにより、切刃411で生ごみGを細断しつつ、刃部41により生ごみGを下流側(排出口12側)に送ることができる。なお、角度αは、任意に設定可能であり、例えば、15度、30度、45度等に設定されてもよい。
【0031】
続いて、以上のように構成された生ごみ細断機1の使用状態について説明する。まず、排出口12の下方に網状体2を取り付ける。この際、網状体2は容器C内に収容されるようにしておく。続いて、回転駆動源Mを駆動して、回転体Rを回転させる。この状態で、
図1に示すように、生ごみ導入部110から生ごみGを投入する。投入された生ごみGは、投入口11を通過し、ガイド111によって細断領域Sに送られる。生ごみGは、細断領域Sにおいて回転する刃4により細断されて生ごみGaとなり、排出口12から網状体2に落下して収容される。なお、細断領域Sの生ごみGaは、投入口11から投入される生ごみGに押されて細断領域Sを排出口12に向けて移動し、この間に複数の刃4により細断される。
【0032】
また、生ごみGに金属片などの固形物が混入していても、一つの刃4で粗く生ごみGを細断するため、固形物を噛みこんで回転体Rの回転を止めることがなく、生ごみGの細断を継続して行うことができるそのため、生ごみGの細断を効率よく行うことができる。
【0033】
細断された生ごみGaが網状体2に収納された後、回転駆動源Mを停止して回転体Rの回転を止める。その後、網状体2を排出口12から取り外し、容器Cから取り出すことにより、細断後の生ごみGaを容易に取り出すことができる。生ごみGaは、細断されることにより水分が抜け易くなっており、細断前の生ごみGの重量の30%~50%程度となって網状体2内に収容される。従って、網状体2を容器Cから簡単に取り出すことができる。また、胴部10の排出口12から排出された水分、及び網状体2の生ごみGaから落ちる水分は、容器C内に貯められるので、周囲を汚損することがない。この水分は適宜容器Cに貯められたのちに排出される。
【0034】
網状体2に収容された生ごみGaは、乾燥機で乾燥することにより、又は天日等にさらすことにより、さらに乾燥され重量が細断前の生ごみGの重量の20%程度になり、運びやすくなる。生ごみGaは、細断により水分が抜け易くなっているので、乾燥時間も短くて済み、さらに軽くなって運びやすくなる。従って、回収業者等は、乾燥後の生ごみGaを畑に運び、完熟させることが容易となり、又は、ミミズ等による処理を行うことにより良質な堆肥を作ることができる。なお、乾燥の期間については、乾燥前の生ごみGaの水分量を考慮して適切な期間を設定すればよい。
【0035】
このように、本実施形態の生ごみ細断機1によれば、生ごみGに金属片などの固形物が混入していても、固形物を噛みこむことが低減され、固形物を含む生ごみGが投入されても、継続して生ごみGを細断することができる。また、回転軸3に刃4を取り付けるという簡単な構成の回転体Rが用いられるので、安価な生ごみ細断機1を提供することができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る生ごみ細断機5について説明する。
図5は、第2実施形態に係る生ごみ細断機5の断面図である。
図6は、
図5のD-D線に沿った断面図である。
図7は、
図5のE-E線に沿った断面図である。生ごみ細断機5は、野菜屑等の生ごみGを細断する。
図5から
図7に示すように、生ごみ細断機5は、胴部50と、投入口51と、排出口52と、第1回転体R1と、第2回転体R2と、を備えている。
【0037】
胴部50は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属や、プラスチック等の樹脂により形成され、直方体形状の部材が用いられる。胴部50の内部寸法は、例えば、幅(X方向)500mm、奥行(Y方向)1500mm、高さ(Z方向)500mmに設定される。胴部50の内側空間には、第1回転体R1及び第2回転体R2によって生ごみGを細断する細断領域S1が形成される。ただし、胴部50の形状、大きさは任意である。胴部50は、脚部54に支持されて配置される。脚部54は、生ごみ細断機5を設置する基台Fにボルト等により固定されている。設置面は、例えば、ごみ集積所などの床面等である。基台Fは、設置面に載置されている。
【0038】
胴部50の両端部にはフランジ部が形成されており、このフランジ部にはボルト等により蓋部501、502が取り付けられている。蓋部501、502は、後述する第1回転軸6及び第2回転軸8を回転可能に支持する軸受け61、62、81、82を備える。軸受け61、62、81、82としては、例えば、フッ素樹脂(テトラフロオロエチレン重合体)製のスリーブ(筒状の管)が用いられる。
【0039】
投入口51は、細断領域S1の上方において胴部50に設けられ、細断領域S1に生ごみGを投入するために用いられる。投入口51は、例えば、Z方向から見て四角形状であり、内部寸法は、幅(X方向)300mm、奥行(Y方向)600mm、高さ(Z方向)100mmに設定される。投入口51は、Z方向から見て多角形状、円形状、楕円形状であってもよい。投入口51は、その上部に生ごみGを投入口51に導入する生ごみ導入部510が連結される。生ごみ導入部510は、上面が開口された箱型形状を有している。また、生ごみ導入部510は、底面の一部に導入口511を有している。導入口511は、投入口51の内側に嵌合し、投入口51に接続される。なお、生ごみ導入部510を用いるか否かは任意であり、生ごみ導入部510がない状態であってもよい。
【0040】
排出口52は、細断領域S1の下方において胴部50に複数設けられ、細断領域S1で細断された生ごみGaを排出するために用いられる。本実施形態において排出口52は、後述する第1回転体R1の下方に3つ設けられている。排出口52は、例えば、Z方向から見て円形状であり、内径が、例えば200mmに設定される。排出口52は、細断領域S1と連通している。排出口52の形状は、多角形状、楕円形状であってもよい。各排出口52の下端は、管状の生ごみ送出路53に接続されている。生ごみ送出路53は、生ごみGaを送出口53Aから次の工程、例えば、脱水場に送出する。また、生ごみ送出路53は、生ごみGaの送出方向に向かって下方に傾斜を有していてもよい。傾斜を有することにより生ごみGaは排出し易くなる。
【0041】
第1回転体R1及び第2回転体R2は、細断領域S1に配置され、投入口51から投入された生ごみGを細断領域S1において細断する。第2回転体R2は、第1回転体R1より下方に配置されている。さらに、第1回転体R1の第1回転軸6と第2回転体R2の第2回転軸8とは、平面視でずれて配置されている。
【0042】
第1回転体R1は、第1回転軸6と、複数の第1刃7と、を有している。第1回転軸6は、軸受け61、62により回転可能に支持され、水平方向(X方向)に沿う軸線AX1まわりに回転可能である。第1回転軸6の-X側は、軸受け61を貫通し、回転駆動源M1に接続されている。第1回転軸6は、回転駆動源M1を駆動することにより軸線AX1まわりに回転する。回転駆動源M1は、基台Fに支持され、不図示の電源から電力が供給されて第1回転軸6を回転させる。回転駆動源M1としては、例えば電動モーターが挙げられるが、油圧モーター等が使用されてもよい。また、回転駆動源M1を用いずに、人力で第1回転軸6を回転させる構成であってもよい。第1回転体R1は、第1刃7が一放射方向に延びているため、生ごみGを細断する際の負荷が少ない。その結果、例えばスパイラル状のスクリューを用いる場合と比較して回転駆動源M1(電動モータ)の消費電力を少なくする(例えば1/2程度とする)ことができる。
【0043】
複数の第1刃7は、第1回転軸6の軸線AX1に沿った位置からそれぞれ放射方向に延びるように設けられる。第1刃7は、軸線AX1に沿って一定の間隔でそれぞれ1本ずつ交互に逆方向に延びるように設けられる。なお、第1回転軸6の中央部付近には、第1刃7と反対の向きに延びる第1刃7Aが設けられている。ただし、第1刃7Aは、設けられなくてもよい。第1刃7は、例えば、軸線AX1に沿って100mmの間隔で配置される。また、第1刃7の長さは、例えば、150mmに設定される。なお、第1刃7の本数は任意である。本実施形態では、軸線AX1に沿った異なる位置に第1刃7が取り付けられるので、一つの第1刃7では生ごみGを雑に切断することになる。その結果、例えば生ごみGに金属片が混入していても、第1刃7が金属片を噛みこむ可能性が低くなり、生ごみGの細断を継続して行うことができる。
【0044】
また、複数の第1刃7は、第1回転軸6において逆向きに設けられているので、第1回転軸6を回転させる際のバランスをよくすることができる。なお、第1刃7は、軸線AX1から見て隣り合う第1刃7同士のなす角度が180°となる構成には限定されず、例えば、軸線AX1から見て隣り合う第1刃7同士のなす角度が120°となる構成であってもよい。なお、第1刃7を回転させる方向(第1回転軸6の回転方向)は、軸線AX1の+X側から見て時計回りであってもよいし、反時計回りであってもよい。第1刃7(7A)の形状等については第1実施形態と同様である(
図3、
図4参照)。
【0045】
第1回転体R1は、細断領域S1内に3台配置されている。各第1回転体R1は、それぞれ取り付けられた第1刃7同士が接触しないように一定の間隔を空けてY方向に配置されている。また、第1回転体R1が設けられた下方(-Z側)には、第2回転体R2が配置されている。第1回転体R1と第2回転体R2とは、平面視においてY方向に交互に配置されている。
【0046】
第2回転体R2は、第2回転軸8と、複数の第2刃9と、を有している。第2回転軸8は、軸受け81、82により回転可能に支持され、水平方向(X方向)に沿う軸線AX2まわりに回転可能である。第2回転軸8の+X側は、軸受け81を貫通し、回転駆動源M2に接続されている。第2回転軸8は、回転駆動源M2を駆動することにより軸線AX2まわりに回転する。回転駆動源M2は、基台Fに支持され、不図示の電源から電力が供給されて第2回転軸8を回転させる。回転駆動源M2としては、上述した回転駆動源M1と同様の駆動源を用いることができる。第2回転体R2は、細断領域S1内に2台配置されている。各第2回転体R2は、それぞれ取り付けられた第2刃9同士が接触しないように一定の間隔を空けてY方向に配置されている。さらに、各第2回転体R2は、第1回転体R1の第1刃7と接触しないように配置されている。
【0047】
第2回転体R2は、複数の第2刃9を備える。第2刃9の長さは、第1回転体R1の第1刃7の長さよりも短い。第2刃9は、第2回転軸8の軸線AX2に沿った位置からそれぞれ放射方向に延びるように設けられる。第2刃9は、軸線AX2に沿って一定の間隔でそれぞれ1本ずつ交互に逆方向に延びるように設けられる。なお、第2回転軸8の中央部付近には、第2刃9と反対の向きに延びる第2刃9Aが設けられている。ただし、第2刃9Aは、設けられなくてもよい。第2刃9は、例えば、軸線AX1に沿って100mmの間隔で配置される。また、第2刃9の先端と胴部50の内壁との間には、所定の隙間P1が設けられている。所定の隙間P1は、第2刃9の先端と胴部50の内壁との間に金属片が噛みこまないように、例えば、10mmから15mmに設定される。
【0048】
以上のように構成された生ごみ細断機5の使用状態について説明する。回転駆動源M1、M2を駆動して、第1回転体R1及び第2回転体R2を回転させる。この状態で、
図5又は
図6に示すように、生ごみ導入部510から生ごみGを投入する。投入された生ごみGは、投入口51を通過し、細断領域S1に送られる。生ごみGは、細断領域S1において回転する第1刃7及び第2刃9により細断されて生ごみGaとなり、排出口52を介して生ごみ送出路53に落下し、送出口53Aから次の工程に送られる。なお、生ごみ送出路53の生ごみGaは、排出口52から排出される生ごみGaに押されて送出口53Aに向けて移動する。
【0049】
また、第1回転体R1で雑に細断された生ごみGaを、下方に配置された第2回転体R2でさらに細断して細かくすることもできる。また、生ごみGに金属片などの固形物が混入していても、一つの第1刃7及び第2刃9で生ごみGを細断するため、固形物を噛みこんで第1回転体R1及び第2回転体R2の回転を止めることがなく、生ごみGの細断を継続して行うことができる。第2回転体R2における細断では、第2刃9の先端と胴部50の内壁との間には、所定の隙間P1が設けられているので、第2刃9の先端と胴部50の内壁との間に固形物が噛みこまない。以上の構成により、生ごみGの細断を効率よく行うことができる。
【0050】
所定の生ごみGの処理が終了した場合、回転駆動源M1、M2を停止して第1回転体R1及び第2回転体R2の回転を止める。送出口53Aから送出された生ごみGaは、例えば、次の工程の脱水場に送られる。脱水場に送られた生ごみGaは、水分が抜け易くなっており、脱水後に乾燥機で乾燥することにより、又は天日等にさらすことにより、簡単に水分を減少させることができる。その後の工程については、第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。上述したように、第2実施形態の生ごみ細断機5は、第1実施形態の生ごみ細断機1と同様の効果を有している。
【0051】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1、5・・・生ごみ細断機 2・・・網状体 3・・・回転軸 4・・・刃 6・・・第1回転軸 7・・・第1刃 8・・・第2回転軸 9・・・第2刃 11、51・・・投入口 12、52・・・排出口 G、Ga・・・生ごみ R・・・回転体 R1・・・第1回転体 R2・・・第2回転体 S、S1・・・細断領域