(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047736
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】生ごみ処理システム
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20220317BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20220317BHJP
B65F 3/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B02C18/00 104A
B09B3/00 301A
B65F3/00 K ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153675
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】513325111
【氏名又は名称】有限会社川▲崎▼エンジ
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 皆夫
【テーマコード(参考)】
3E024
4D004
4D065
【Fターム(参考)】
3E024AA09
3E024CB03
3E024DA02
3E024DB02
3E024DC01
3E024GA04
3E024HA01
3E024HC01
3E024HE01
4D004AA03
4D004AC10
4D004CA04
4D004CA13
4D004CB12
4D065CA06
4D065CB01
4D065CC01
4D065DD05
4D065EB17
4D065ED11
4D065ED22
4D065EE04
4D065EE07
(57)【要約】
【課題】低コストで効率よく生ごみを処理することが可能な生ごみ処理システムを提供する。
【解決手段】荷台と、生ごみを収容する容器と、生ごみ細断機と、を備えた車両と、車両を配置可能であり生ごみ細断機を駆動させる電源部を有する処理施設と、を備え、生ごみ細断機は、内側空間を生ごみの細断領域とした筒状の胴部と、細断領域に配置された回転体と、細断領域の上方において細断領域に生ごみを投入するための投入口と、細断領域の下方において細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する回転軸と、回転軸の軸線に沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃と、を有し、投入口と排出口とは、軸線に沿った方向にずれて配置され、車両が処理施設に配置された際に、生ごみ細断機と電源部とが接続される、生ごみ処理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台を備える車両と、
前記荷台に積載されて生ごみを収容するための容器と、
前記荷台に取り付けられ、前記容器内の生ごみが投入されて細断する生ごみ細断機と、
前記車両を配置可能であり、前記生ごみ細断機を駆動させる電源部を有する処理施設と、を備え、
前記生ごみ細断機は、
水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした筒状の胴部と、
前記細断領域に配置され、生ごみを細断するための回転体と、
前記細断領域の上方において前記胴部に設けられ、前記細断領域に生ごみを投入するための投入口と、
前記細断領域の下方において前記胴部に設けられ、前記細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、
前記回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する回転軸と、前記回転軸の前記軸線に沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃と、を有し、
前記投入口と前記排出口とは、前記軸線に沿った方向にずれて配置され、
前記車両が前記処理施設に配置された際に、前記生ごみ細断機と前記電源部とが接続される、生ごみ処理システム。
【請求項2】
前記荷台に載置され、前記排出口より排出される細断後の生ごみを収容する網状体を保持する受け部を備える、請求項1に記載の生ごみ処理システム。
【請求項3】
前記荷台は、前記受け部を移動させるためのローラコンベアを備える、請求項2に記載の生ごみ処理システム。
【請求項4】
前記受け部は、前記処理施設において排水パイプが接続可能である、請求項2又は請求項3に記載の生ごみ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生ごみは、各家庭から集められて各市町村のごみ処理施設においてごみ焼却炉により焼却されている。ごみ焼却炉は、生ごみが燃焼室に投入されるが、生ごみには多くの水分を含んでいるため、生ごみ中から水分除去した後に燃焼室に投入することが提案されている。ただし、生ごみは、水分を含んだまま各家庭から集められてごみ処理施設まで輸送されるので、嵩が大きくかつ重量物であり、これを遠くのごみ処理施設まで搬送するには輸送コストの増加を招いている。
【0003】
また、生ごみを大量に焼却することは、ダイオキシン等の有毒ガスを発生させるだけでなく、二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスを大量に大気中に放出する要因となる。従って、焼却する生ごみ量を削減することが地球温暖化を抑制するためにも望ましい。また、ごみ処理施設の処理能力を超えて生ごみが大量に集められると、生ごみが放置されたままとなり、悪臭や害虫(蛆虫等)が発生する等の問題を有している。さらに、生ごみの焼却には燃料のコストがかかるため、自治体や家庭への負担が大きくなる。
【0004】
ところで、生ごみは、野菜屑や果物の皮など(以下、「野菜屑等」という場合がある。)、全体の70%~80%ほどの水分を含んだ生ごみと、食物残渣や肉、魚のあらなど、全体の20%~30%ほどの水分を含んだ生ごみと、の二種類に大別される。このうち、野菜屑等の生ごみは、1週間程度の天日干し等により乾燥させることで嵩や重量をかなり減らすことができるため、例えば、各家庭等で生ごみを乾燥させた後に回収することによりごみ処理施設までの輸送コスト等を削減することが可能である。一方、魚のあら等の生ごみは、乾燥させても嵩や重量がそれほど減少しないので、依然として輸送コストの問題は残っている。野菜屑等の生ごみと魚のあら等の生ごみとを完全に分別して回収することができれば、それぞれに適した処理を行うことができるが、生ごみの完全な分別回収を実現することは難しい。
【0005】
また、生ごみを焼却せずに、堆肥化工場により生ごみを発酵させて堆肥化することも多く提案されている。しかし、生ごみを発酵させるために、生ごみから水分を除去することが必要となる。そのため、大規模な脱水設備や広大な天日干しスペースが必要となるため、都市圏では実現が難しく、都市圏から離れた地域で実施せざるを得ない。その結果、生ごみを都市圏から離れた地域まで輸送するためのコストがかかることとなり、輸送コストの問題は解消していない。
【0006】
上述したように、生ごみの処理にはコストがかかることから、車両の荷台に生ごみ細断機等を搭載させ、生ごみの発生場所又は生ごみの収集場所(以下、生ごみ発生場所等という)に出向いて荷台の生ごみ細断機により生ごみの処理を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、車両に搭載可能な生ごみ細断機としては、投入口から投入された生ごみをスパイラル形状のスクリューにより圧さく、脱水、粉砕する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-66142号公報
【特許文献2】実開昭53-114877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の生ごみの処理方法では、車両が生ごみの発生場所等に出向き、車両において生ごみを細断するため、細断後の生ごみを処理施設等まで搬送する必要がある。また、生ごみの発生場所等で生ごみを細断するには、生ごみ細断機を駆動するための電源を車両に搭載しておく必要がある。この場合、電源は荷台などに搭載されるが、その分、細断後の生ごみを搭載するスペースが小さくなり、搬送効率が悪くなる。また、生ごみの発生場所等にそれぞれごみ細断機を駆動するための電源を準備するのは処理コストを増大させることになる。
【0009】
特許文献2の生ごみ細断機は、スクリューを採用しているため、構造が複雑となって高価となる。また、駆動電力が大きいので、車両に電源を搭載する場合には大型の電源が必要となる。また、固形物がスクリューとケーシングとの間に噛みこむと、生ごみの処理効率が下がり、さらに、噛みこんだ固形物によりスクリューが破損する恐れがある。
【0010】
本発明は、低コストで効率よく生ごみを処理することが可能な生ごみ処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様に係る生ごみ処理システムは、荷台を備える車両と、荷台に積載されて生ごみを収容するための容器と、荷台に取り付けられ、容器内の生ごみが投入されて細断する生ごみ細断機と、車両を配置可能であり、生ごみ細断機を駆動させる電源部を有する処理施設と、を備え、生ごみ細断機は、水平方向に両端が配置され、内側空間を生ごみの細断領域とした筒状の胴部と、細断領域に配置され、生ごみを細断するための回転体と、細断領域の上方において胴部に設けられ、細断領域に生ごみを投入するための投入口と、細断領域の下方において胴部に設けられ、細断領域で細断された生ごみを排出するための排出口と、を備え、回転体は、水平方向に沿う軸線まわりに回転する回転軸と、回転軸の前記軸線に沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びる複数の刃と、を有し、投入口と排出口とは、軸線に沿った方向にずれて配置され、車両が処理施設に配置された際に、生ごみ細断機と電源部とが接続される。
【0012】
また、本発明の態様に係る生ごみ処理システムは、荷台に載置され、排出口より排出される細断後の生ごみを収容する網状体を保持する受け部を備えてもよい。また、荷台は、受け部を移動させるためのローラコンベアを備えてもよい。また、受け部は、処理施設において排水パイプが接続可能であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記態様に係る生ごみ処理システムによれば、生ごみ細断機を駆動するための電源を生ごみ発生場所等に設置する必要がなく、さらに、車両に搭載する必要がないので、設備コストを低減できる。また、生ごみ発生場所等では生ごみを受け取るだけで、生ごみ発生場所等で生ごみの細断を行わないので、生ごみ発生場所等における異臭の発生等を低減できる。また、生ごみ細断機を駆動するための電源を車両に搭載しないので、生ごみ発生場所等で受け取る生ごみの量が減るのを回避できる。その結果、運行させる車両の台数を今までより増やす必要がなく、車両から排出される排出ガスの量も増えないので、排気ガスによる大気汚染を防ぐことができる。また、生ごみ細断機を車両に搭載するため、処理施設に生ごみ細断機を設置する必要がなく、生ごみ細断機を駆動するための電源部を設置するだけでよいので、処理施設を簡易に形成することができる。
【0014】
また、生ごみ細断機は、回転軸から一放射方向に延びる刃が用いられるので、生ごみに固形物が混入していても、固形物を噛みこむことが低減される。その結果、固形物を含む生ごみが投入されても、継続して生ごみを細断することができるので、生ごみの細断効率が上がる。また、生ごみを細断するための回転体が簡易的な構成なので、処理施設での電源部の消費電力を少なく抑えることができる。
【0015】
また、荷台に載置され、排出口より排出される細断後の生ごみを収容する網状体を保持する受け部を備える構成では、受部により網状体を保持するので、網状体が不用意に変形するのを防止できる。また、荷台が、受け部を移動させるためのローラコンベアを備える構成では、生ごみを収容する網状体を荷台において容易に移動させることができる。また、受け部は、処理施設において排水パイプが接続可能である構成では、生ごみを収容する網状体から出た液体を、排水パイプを介して容易に受け部から排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る生ごみ処理システムの一例を示す概念図である。
【
図2】実施形態に係る生ごみ処理システムの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部又は全部を模式的に記載している。また、図面においては、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでおり、実際の製品とは大きさ、形状等が異なっている。以下の説明では、図に示すXYZ直交座標系を参照することとする。このXYZ直交座標系は、X方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向である。また、各方向において、矢印の指す側を+側(例、+Z側)と称し、その反対側を-側(例、-Z側)と称す。例えば、鉛直方向(Z方向)において、上方側が+Z側であり、下方側が-Z側である。
【0018】
図1は、実施形態に係る生ごみ処理システムの一例を示す概念図である。
図2は、実施形態に係る生ごみ処理システムの一例を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、生ごみ処理システム1は、車両2と、容器3と、生ごみ細断機4と、処理施設5と、受け部6と、を備えている。
【0019】
車両2は、収集した生ごみを処理施設5まで運搬する。車両2は、荷台20と、ローラコンベア21と、を備える。車両2は、例えば、軽トラックが用いられるが、小型トラック(例えば積載量2t)、中型トラック(例えば積載量4t)、大型トラック(例えば積載量10t)等であってもよい。荷台20の大きさは、例えば、長さ(X方向)1200mm、幅(Y方向)900mmである。荷台20にはローラコンベア21を備える。ローラコンベア21は、円柱形状のローラが複数本X方向に並べられて形成される。各ローラは、例えば直径25mmである。ローラの材質は、例えば、金属、プラスチック等の樹脂である。また、ローラの寸法、本数については、荷台20の大きさ、及び受け部6の大きさによって適宜設定可能である。なお、ローラコンベア21は、荷台20から取り外し可能であってもよい。
【0020】
ローラコンベア21の各ローラは、荷台20の中央部から車両後方(-X方向)に向かって荷台20の端部付近まで並べられている。ローラコンベア21は、受け部6を荷台20上においてX方向に移動させる(
図3参照)。なお、ローラコンベア21を備えるか否かは任意であり、備えなくてもよい。ローラコンベア21を備えない場合は、クレーン又はフォークリフト等で受け部6を荷台20上に対して移載してもよい。
【0021】
容器3は、野菜屑等の生ごみを収容する。容器3は、例えば、鉄、アルミ等の金属、プラスチック等の樹脂で形成され、上部が開口し、断面が例えば四角形状である。容器3の大きさは、例えば、縦500mm(X方向)、横400mm(Y方向)、高さ850mm(Z方向)である。なお、容器3の大きさ、形状は任意であり、生ごみの収集量、荷台20の大きさ等により、適宜変更可能である。
【0022】
図3は、生ごみ細断機4の一例を示す断面図である。
図4は、
図3のA-A線に沿った断面図である。なお、生ごみ細断機4との位置関係をわかり易くするため、荷台20、ローラコンベア21、及び受け部6を概略的に記載している。生ごみ細断機4は、野菜屑等の生ごみGを細断する。生ごみ細断機4は、
図3及び
図4に示すように、胴部40と、投入口41と、排出口42と、回転体Rと、を備えている。
【0023】
胴部40は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属、プラスチック等の樹脂などで形成され、円筒状である。胴部40の内径は、例えば、直径250mmに設定される。胴部40の長さ(X方向)は、例えば、400mmに設定される。胴部40の内側空間には、回転体Rによって生ごみGを細断する細断領域Sが形成される。ただし、胴部40は、円筒状であることに限定されず、例えば断面が三角形、四角形、六角形等の多角形状や、楕円形状、長円形状であってもよい。胴部40の大きさは任意であり、荷台20の大きさに応じて適宜設定することができる。
【0024】
胴部40は、支持体47に支持されて水平方向に両端が配置される。支持体47は、例えば、下端のフランジ部において荷台20上に設置された基台Bに、不図示の締結具(例えば、ボルト等)により固定されている。基台Bは、例えば、荷台20に不図示の締結具(例えば、ボルト等)で固定されている。なお、胴部40を水平に設置することに限定されない。例えば、排出口42側が下方となるように胴部40を傾斜させてもよい。胴部40を傾斜させて配置することにより、胴部40内の水分が傾斜に沿って流れ、排出口42から水分を排出させることができる。また、細断された生ごみGaを排出口42の方向に導きや易くすることができる。
【0025】
胴部40の両端部にはフランジ部が形成されており、このフランジ部において不図示の締結具(例えば、ボルト等)により、蓋部401、402が胴部40に取り付けられている。蓋部401、402の中心部には、後述する回転軸43を回転可能に支持する軸受け45、46がそれぞれ設けられる。軸受け45、46としては、例えば、フッ素樹脂(テトラフロオロエチレン重合体)製のスリーブ(筒状の管)が用いられる。
【0026】
投入口41は、細断領域Sの上方において胴部40に設けられ、細断領域Sに生ごみGを投入するために用いられる。投入口41は、例えば、Z方向から見て円形状であり、内径が180mmに設定される。投入口41は、細断領域Sと連通している。投入口41は、その上部に生ごみGを投入口41に導入する生ごみ導入部410が連結される。生ごみ導入部410は、上方に向けて拡径しており、下端にフランジ部が形成されている。拡径した部分の直径は、例えば、375mmに設定される。生ごみ導入部410のフランジ部は、投入口41に設けられたフランジ部において、不図示の連結部材(例えば、ボルト等)により連結されている。
【0027】
なお、生ごみ導入部410を用いるか否かは任意であり、生ごみ導入部410がない状態であってもよい。また、胴部40内の投入口41の下方には、生ごみ導入部410から投入された生ごみGを細断領域Sに向けて送り込むガイド411が設けられてもよい。このガイド411により、生ごみGを細断領域Sに送り込み易くなる。
【0028】
排出口42は、細断領域Sの下方において胴部40に設けられ、細断領域Sで細断された生ごみGaを排出するために用いられる。排出口42は、例えば、Z方向から見て円形状であり、内径が180mmに設定される。排出口42は、細断領域Sと連通している。投入口41と排出口42とは、水平方向(X方向)に沿う軸線AXに沿った方向にずれて配置されている。投入口41と排出口42とは、異なる内径であってもよい。また、投入口41と排出口42とは、水平方向(X方向)に沿う軸線AXに沿った方向において、一部が重複して配置されていてもよい。
【0029】
回転体Rは、細断領域Sに配置され、投入口41から投入された生ごみGを細断領域Sにおいて細断する。回転体Rは、回転軸43と、複数の刃44と、を有している。回転軸43は、軸受け45、46により回転可能に支持され、水平方向(X方向)に沿う軸線AXまわりに回転可能である。回転軸43の+X側は、軸受け45を貫通し、回転駆動源Mに接続されている。回転軸43は、回転駆動源Mを駆動することにより軸線AXまわりに回転する。回転駆動源Mは、基台Bに支持された電動モータであり、後述する電源部50から電力が供給されて回転軸43を回転させる。すなわち、車両2は、回転駆動源Mを駆動させるための電源を搭載していない。その分、車両2の荷台20にスペースができ、大きな容器3を用いて、多くの生ごみを収集することができる。
【0030】
また、回転体Rは、後述のように、刃44が一放射方向に延びているため、生ごみGを細断する際の負荷が少ない。その結果、例えばスパイラル形状のスクリューを用いる場合と比較して回転駆動源M(電動モータ)の消費電力を少なくする(例えば1/2程度とする)ことができる。
【0031】
複数の刃44は、回転軸43の軸線AXに沿った異なる位置からそれぞれ一放射方向に延びるように設けられる。本実施形態において、複数の刃44は、回転軸43の軸線AXに沿って一定間隔で交互に逆方向に延びるように取り付けられている。複数の刃44は、例えば、軸線AXに沿って45mmの間隔で配置される。複数の刃44が45mmの間隔で配置される場合、同一方向に延びる刃44の間隔は90mmとなる。なお、本実施形態では6本の刃44が用いられているが、刃44の本数は任意である。刃44の先端と胴部40の内壁との間には、所定の隙間dが設けられている。
【0032】
本実施形態では、回転軸43の軸線AXに沿った異なる位置に刃44が取り付けられるので、一つの刃44では生ごみGを雑に切断することになる。その結果、例えば生ごみGに金属片が混入していても、刃44が金属片を噛みこむ可能性が低くなり、生ごみGの細断を継続して行うことができる。また、上記した所定の隙間dは、刃44の先端と胴部40の内壁との間に金属片が噛みこまないように、例えば、10~15mmに設定される。上述したように、6本の刃44は、回転軸43の軸線AXに沿って一定間隔で交互に逆方向に延びるため、回転軸43を回転させる際のバランスをよくすることができる。なお、軸線AXから見て隣り合う刃44同士のなす角度が180°となる構成には限定されず、回転軸43を回転させる際のバランスや刃44の取り付け本数を考慮して適宜設定できる。例えば、軸線AXから見て隣り合う刃44同士のなす角度が120°となる構成であってもよい。なお、刃44を回転させる方向(回転軸43の回転方向)は、軸線AXの-X側から見て時計回りであってもよいし、反時計回りであってもよい。
【0033】
刃44は、生ごみGを細断する切刃を有している。刃44の形状は、片刃形状であっても両刃形状であってもよい。刃44の材質は特に限定されず、例えば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられる。刃44を回転軸43に設ける方法としては、例えば、溶接が挙げられるが、嵌合又は螺合が用いられてもよい。なお、回転軸43と刃44とが別に形成される形態に限定されず、回転軸43と刃44とが一体に形成される形態であってもよい。
【0034】
処理施設5は、
図1及び
図2に示すように、電源部50と、車両2の駐車スペース51と、排水溝52と、を備える。処理施設5の大きさは、収集するゴミの量、車両2の大きさ、駐車する車両2の台数等によって決定される。また、処理施設5の構造は、鉄筋コンクリート製、木造製のいずれであってもよく、プレハブ等であってもよい。電源部50は、処理施設5に設けられる。電源部50は、生ごみ細断機4の回転駆動源Mに電力を供給する。電源部50は、例えば、例えば、駐車した車両2の近くに設けられてもよい。また、電源部50は、一ヶ所に限らず、複数ヶ所に設けられてもよい。
【0035】
駐車スペース51は、車両2を処理施設5内に配置するための床面上のスペースである。一台又は複数台の車両2を駐車可能である。駐車スペース51は、処理施設5の大きさ等により適宜設定される。排水溝52は、処理施設5の駐車スペース51の後方(-X側)に、Y方向に沿って処理施設5の床面に設けられる。排水溝52は、受け部6から排出される水分(液体)を、例えば排水処理施設へ送る。
【0036】
受け部6は、
図1、
図3、及び
図4に示すように、排出口42の下方(-Z方向)に配置され、細断機4で細断された生ごみGaを受ける。受け部6は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属、プラスチック等の樹脂により形成され、例えば有底の円筒状である。受け部6の内径は、例えば、直径400mmである。受け部6の高さは、排出口42付近まであればよく、例えば、375mmである。なお、受け部6は、円筒状であることに限定されず、例えば断面が四角形等の多角形状や、楕円形状、長円形状であってもよい。受け部6の大きさは任意であり、荷台20の大きさ、細断機4の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0037】
受け部6は、側面の下部に接続部60を備える。接続部60の内径は、例えば、20mmである。接続部60は、排水パイプPの一端と接続される。排水パイプPの他端は、排水溝52に入れられる。排水パイプPは、金属、樹脂などから形成された任意のパイプが用いられる。排水パイプPは、変形可能な軟質であってもよいし、変形しない硬質であってもよい。
【0038】
受け部6は、内部に生ごみGaを収容する網状体61を備える。網状体61は、例えば、受け部6の内部に取り外し可能に取り付けられる。また、網状体61の網目は、細断された生ごみGaが網目から落ちないような大きさに設定される。細断された生ごみGaが網状体61に収容されるので、受け部6から網状体61を取り出せば、細断後の生ごみGaを容易に回収することができる。網状体61で生ごみGaを受けることにより、生ごみGaから出た水分(液体)を受け部6内に流すことができる。この受け部6内の水分は、接続部60から排水パイプPを介して排水溝52に排出される。生ごみGaから生じた水分を排水溝52に排出することで、処理施設5の駐車スペース51(床面)が汚損するのを防止できる。生ごみGaを収容した網状体61は、例えばクレーン等により次工程である乾燥処理施設又は乾燥場所等に搬送される。
【0039】
網状体61を用いるか否かは任意であり、網状体61を用いなくてもよい。網状体61がない場合、細断された生ごみGaは、排出口42から直接受け部6に収容される。この場合、例えば、受け部6と接続部60との境界を網目構造として、生ごみGaから出た水分のみを排水パイプPへ流す構成が適用されてもよい。水分が排水された後、生ごみGaを収容した受け部6は、例えばクレーン等により次工程である乾燥処理施設又は乾燥場所等に搬送される。
【0040】
なお、受け部6を用いるか否かは任意であり、受け部6を用いなくてもよい。受け部6を用いない場合は、排出口42から荷台20上に細断された生ごみGaが落下するが、例えば、落下して集積した生ごみGaをかき集めて生ごみGaを回収してもよい。また、生ごみGaから生じた水分は荷台20から処理施設5の床面(駐車スペース51)に落ち、排水溝52へ流すようにしてもよい。なお、受け部6を用いない場合、ローラコンベア21は、荷台20に備えなくてもよい。
【0041】
続いて、以上のように構成された生ごみ処理システム1の使用状態について説明する。まず、処理施設5から、各地域の生ごみ発生場所等へ車両2を運行させて、生ごみGを容器3内に収容する。その後、生ごみを収容して処理施設5に戻ってきた車両2を、駐車スペース51に駐車させる。次に、網状体61を取り付けた受け部6を、車両2の荷台20に置き、ローラコンベア21上を+X方向に移動させて排出口42の下に配置させる。L字形状の排水パイプPの一端を、他端が排水溝52の方向に向くようにして受け部6の接続部60と接続する。
【0042】
続いて、電源部50より電力を供給し回転駆動源Mを駆動して、回転体Rを回転させる。この状態で、
図3に示すように、容器3から生ごみ導入部410に生ごみGを投入する。例えば、容器3をクレーン等で吊り下げ、作業者が容器3を傾けることで生ごみ導入部410に生ごみGが投入される。投入された生ごみGは、投入口41を通過し、ガイド411によって細断領域Sに送られる。生ごみGは、細断領域Sにおいて回転する刃44により細断されて細かな生ごみGaとなる。生ごみGaは、排出口42から網状体61に落下して収容される。なお、細断領域Sの生ごみGaは、投入口41から投入される生ごみGに押されて細断領域Sを排出口42に向けて移動し、この間に複数の刃44により細断される。
【0043】
また、生ごみGに金属片などの固形物が混入していても、一つの刃44で粗く生ごみGを細断するため、固形物を噛みこんで回転体Rの回転を止めることがなく、生ごみGの細断を継続して行うことができる。そのため、生ごみGの細断を効率よく行うことができる。
【0044】
細断された生ごみGaが網状体61に収納された後、回転駆動源Mを停止して回転体Rの回転を止める。細断によって排出口42から排出された水分、及び網状体61の生ごみGaから生じる水分は、網状体61から受け部6内に流れ、排水パイプPを介して排水溝52に排出される。このため、荷台20及び駐車スペース51を汚水等で汚すことがない。次に、受け部6を-X方向に移動させて生ごみ細断機4(胴部40)の下方から-X側に外れた状態とする。なお、排水パイプPが軟質である場合、受け部6を移動させるときでも、受け部6から排水パイプPを取り外す必要はない。
【0045】
次に、クレーン等により網状体61を受け部6から取り出す。このとき、受け部6は、荷台20に載せたままでもよいし、荷台20から駐車スペース51に降ろしてもよい。網状体61を受け部6から取り出すことにより、細断後の生ごみGaを容易に取り出すことができる。生ごみGaは、細断されることにより水分が抜け易くなっており、細断前の生ごみGの重量の30%~50%程度となって網状体61内に収容される。従って、網状体61を受け部6から簡単に取り出すことができる。このように、生ごみ収集後に処理施設5で生ごみGを細断することで、生ごみ自体の嵩が少なくなる。また、生ごみ発生場所等における異臭の発生等を低減できる。
【0046】
網状体61に収容された生ごみGaは、例えば、脱水場にてさらに脱水された後、乾燥機で乾燥することにより、又は天日等によりさらすことによりさらに乾燥され、重量が細断前の生ごみGの重量の20%程度になり、運びやすくなる。生ごみGaは、細断により水分が抜け易くなっているので、乾燥時間も短くて済み、さらに軽くなって運びやすくなる。従って、生ごみGaの回収業者等は、乾燥後の生ごみGaを畑に運び、完熟させることが容易となり、又は、ミミズ等による処理を行うことにより良質な堆肥を作ることができる。なお、乾燥の期間については、乾燥前の生ごみGaの水分量を考慮して適切な期間を設定すればよい。
【0047】
このように、本実施形態の生ごみ処理システム1によれば、処理施設5に電源部50を備えているので、生ごみ細断機4を駆動するための電源を生ごみ発生場所等に設置する必要がない。また、電源を車両2に搭載する必要がないので、生ごみ処理に要する設備コストを低減できる。さらに、電源を車両2に搭載しないので、生ごみ発生場所等で多くの生ごみを回収することができる。さらに、処理施設5で生ごみGを細断するので、生ごみGの細断に伴う異臭の発生を処理施設5内に限定することができる。また、生ごみGを細断するので、生ごみ自体の嵩が少なくなり、その後の乾燥工程等を効率よく行うことができる。
【0048】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・生ごみ処理システム 2・・・車両 3・・・容器 4・・・細断機 5・・・処理施設 6・・・受け部 20・・・荷台 21・・・ローラコンベア 40・・・胴部 41・・・投入口 42・・・排出口 43・・・回転軸 44・・・刃 50・・・電源部 51・・・駐車スペース 52・・・排水溝 60・・・接続部 61・・・網状体 AX・・・軸線 G、Ga・・・生ごみ R・・・回転体 S・・・細断領域
P・・・排水パイプ