IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特開2022-47761テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047761
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220317BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20220317BHJP
   B29C 33/38 20060101ALI20220317BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C33/42
B29C33/38
B29C59/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153713
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 貴大
(72)【発明者】
【氏名】三好 宏和
(72)【発明者】
【氏名】麻生 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】幡野 正之
【テーマコード(参考)】
4F202
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F202AC05
4F202AF01
4F202AG05
4F202AH33
4F202AJ06
4F202AM32
4F202AR13
4F202CA19
4F202CB01
4F202CK12
4F202CP10
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AJ08
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4F209PQ11
5F146AA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】NILプロセスにおける泡噛み等による不良の発生を抑制することを可能にしたテンプレートを提供する。
【解決手段】テンプレート1は、第1の面3と、第1の面3から突出するように設けられ、凹凸パターンを有する第2の面5を備えるメサ部4とを備える基材2を具備する。テンプレート1において、メサ部4は少なくとも第2の面5の外周領域に設けられ、無加圧状態で高さが外周に向けて低くなる傾斜領域9を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面から突出するように設けられ、凹凸パターンを有する第2の面を備えるメサ部とを備える基材を具備するテンプレートであって、
前記メサ部は、少なくとも前記第2の面の外周領域に設けられ、無加圧状態で高さが外周に向けて低くなる傾斜領域を有する、テンプレート。
【請求項2】
前記メサ部は、前記第2の面の前記外周領域に設けられた傾斜領域と、前記第2の面の前記傾斜領域の内側に設けられた平坦領域とを有する、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記平坦領域の面積をS1、前記傾斜領域の前記平坦領域と平行な平面に投影した面積をS2、前記面積S1と前記面積S2との合計を100としたとき、前記面積S2は0<S2≦20を満足する、請求項2に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記メサ部は、前記第2の面の中心から前記外周に向けて高さが低くなる前記傾斜領域を有する、請求項1に記載のテンプレート。
【請求項5】
前記メサ部の前記傾斜領域は、前記第1の面と交わる方向に延びる立上げ面と、前記立上げ面の端部から前記第2の面の中心方向に向けて傾斜する傾斜面とを有し、
前記立上げ面と前記傾斜面とが交わる部位から前記メサ部の最も高い部位までの高さをha、前記立上げ面の高さをhbとしたとき、前記高さhaは高さhbの0%を超えて20%以下の範囲を満足する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項6】
前記メサ部は単一の成分から構成される、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項7】
さらに、前記基材の前記第1の面と対向する第3の面に設けられた凹部を有する、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項8】
前記凹部は平面形状が円形又は四角形の形状を有する、請求項7記載のテンプレート。
【請求項9】
前記凹部は断面形状における角部及び平面形状における角部の少なくとも一方が湾曲された形状を有する、請求項8記載のテンプレート。
【請求項10】
基材の第1の表面を加工し、第1の面と、前記第1の面から突出するように設けられ、第2の面を備えるメサ部を形成する工程と、
前記メサ部の前記第2の面の少なくとも外周領域に、無加圧状態で高さが外周に向けて低くなる傾斜領域を形成する工程と、
前記メサ部の前記第2の面に凹凸パターンを形成する工程と
を具備するテンプレートの製造方法。
【請求項11】
さらに、前記基材の第2の表面に凹部を形成する工程を具備する、請求項1に記載のテンプレートの製造方法。
【請求項12】
被加工物の加工面にインプリント材料を塗布することによりインプリント材料層を形成する工程と、
前記インプリント材料層に、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のテンプレートの前記メサ部を押し付ける工程と、
前記テンプレートの前記メサ部が押しつけられた前記インプリント材料層を硬化させることにより、前記インプリント材料層に前記メサ部の前記凹凸パターンを転写する工程と
を具備する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程等において、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)を用いて微細なパターンを形成する技術が知られている。NILを用いたパターンの形成工程においては、例えば被加工物の上に紫外線硬化樹脂等のインプリント材料層をインクジェット法やスピンコート法で形成し、インプリント材料層の上にテンプレートを押しつける(押印する)と共に、光を照射してインプリント材料層を硬化させて、パターンをインプリント材料層に転写する。このようなNILプロセスでは、テンプレートとインプリント材料層との間の泡噛み等による不良を低減することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/099907号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、NILプロセスにおける泡噛み等による不良を抑制することを可能にしたテンプレート及びその製造方法、さらにそのようなテンプレートを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のテンプレートは、第1の面と、前記第1の面から突出するように設けられ、凹凸パターンを有する第2の面を備えるメサ部とを備える基材を具備するテンプレートにおいて、前記メサ部は、少なくとも前記第2の面の外周領域に設けられ、無加圧状態で高さが外周に向けて低くなる傾斜領域を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態のテンプレートを示す断面図である。
図2図1に示すテンプレートの平面図である。
図3図1に示すテンプレートが凹凸パターンを有している状態を示す図である。
図4図1に示すテンプレートの第1の変形例を示す図である。
図5図1に示すテンプレートの第2の変形例を示す図である。
図6図1に示すテンプレートの一部を拡大して示す図である。
図7図3に示すテンプレートの一部を拡大して示す図である。
図8図1に示すテンプレートの第3の変形例を示す図である。
図9図1に示すテンプレートの下面図である。
図10図9に示すテンプレートの凹部を示す断面図である。
図11図9に示すテンプレートの凹部の第1の変形例を示す図である。
図12図9に示すテンプレートの第1の変形例を示す下面図である。
図13図9に示すテンプレートの第2の変形例を示す下面図である。
図14】実施形態のテンプレートの製造工程を示す断面図である。
図15】実施形態のテンプレートの製造工程に用いる硝材の変形例を示す断面図である。
図16図14に示す実施形態のテンプレートの製造工程における凹部の第1の形成例を示す断面図である。
図17図14に示す実施形態のテンプレートの製造工程における凹部の第2の形成例を示す断面図である。
図18】NILプロセスを用いた半導体装置の製造方法の例を説明するためのフローチャートである。
図19】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
図20】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
図21】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
図22】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
図23】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
図24】NILプロセスを用いた半導体装置の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のテンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法について、図面を参照して説明する。各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下等の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述するテンプレートのメサ部が設けられた面を上とした場合の相対的な方向を示し、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある
【0008】
(第1の実施形態)
実施形態のテンプレート及びその製造方法について、図面を参照して説明する。図1は実施形態のテンプレートを示す断面図、図2は実施形態のテンプレートを示す平面図、図3図1に示すテンプレートが凹凸パターンを有している状態を示す図である。ここで、NILを用いたパターン形成方法(NILプロセス)では、例えば被加工物の上に熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等からなるインプリント材料層をインクジェット法やスピンコート法で形成し、インプリント材料層の上に型(テンプレート)を押しつける(押印する)と共に、熱を加えたり、あるいは光を照射してインプリント材料層を硬化させて、パターンをインプリント材料層に転写する。実施形態のテンプレートは、NILプロセスにおいてパターンを転写する型として用いられる。
【0009】
図1及び図2に示すテンプレート1は、石英ガラス等からなる基材2を備える。基材2は、石英ガラス等の単一の成分により構成されている。基材2の一方の表面は、オフメサ部となる第1の面3を構成している。第1の面3の中央付近には、第1の面3から突出するようにメサ部4が設けられている。メサ部4の上面は第2の面5を構成している。図1及び図2では図示していないが、メサ部4の第2の面5は図3に示すように、凹凸パターン6を有している。第2の面5に設けられた凹凸パターン6は、上記したNILプロセスにおいてインプリント材料層に転写するパターンである。基材2の他方の表面である第3の面7には、ざぐり部位として凹部8が設けられている。
【0010】
ここで、インプリント材料層の形成にスピンコート法を適用したNILプロセス(以下、スピンコート塗布型NILプロセスと記す場合がある。)では、予め被加工物の被加工面全面にインプリント材料層が形成されているため、インクジェット法を適用したNILプロセス(以下、インクジェット型NILプロセスと記す場合がある。)のように、被加工面に塗布された液滴にテンプレートを押し付けた後に、液滴がパターン全体に広がるまでに時間が掛かるプロセスに比べて、インプリント材料のパターンへの充填時間を短縮できるという利点を有する。ただし、スピンコート塗布型NILプロセスでは、充填時間の短縮につれて、テンプレートのパターン外周部分で泡噛みが生じやすいという課題がある。これは、テンプレートの押印速度を高速化した際に、メサ部の中心から接触した後、メサ部の外周が先にインプリント材料層に接触するため、メサ部の凹凸パターン内に空気を閉じ込めてしまうためと考えられる。凹凸パターン内に閉じ込められた空気は、押印不良や未充填不良の発生原因となる。
【0011】
そこで、実施形態のテンプレート1においては、メサ部4に傾斜領域9を設けている。傾斜領域9は、少なくとも第2の面5の外周領域に設けられるものであり、無加圧状態でメサ部4の高さ、すなわち第1の面3を基準とした第2の面5の各部位の高さが外周に向けて低くなっている領域である。無加圧状態とは、外部からテンプレート1に大気圧を超える圧力が加えられていない状態を示す。図1は第2の面5の外周領域のみに傾斜領域9が設けられており、傾斜領域9の内側には平坦領域10が設けられたメサ部4を示している。図1に示す平坦領域10は、第1の面3と平行な平面を有している。図3に示すメサ部4の凹凸パターン6は、平坦領域10及び傾斜領域9の両方に形成されている。傾斜領域9に設けられた凹凸パターン6は、平坦領域10に対して略垂直ではなく、傾斜領域9の面(後述する傾斜面9b)に対して略垂直に設けられている。
【0012】
上記した第2の面5の外周領域に傾斜領域9を設けたメサ部4によれば、インプリント材料層にメサ部4の凹凸パターン6を押し付けた際に、メサ部4の中心領域が接触した後の外周領域のインプリント材料層への接触を傾斜領域9により抑制することができる。すなわち、メサ部4の中心がインプリント材料層に接触した後、メサ部4の外周領域は傾斜領域9によりインプリント材料層から遠ざかる方向に位置しているため、メサ部4の中心の周囲から徐々にインプリント材料層に接触していき、最後にメサ部4への押圧力により変形した傾斜領域9がインプリント材料層に接触することになる。これによって、メサ部4の中心から外周に向けて順にインプリント材料層に接触するようになるため、メサ部4の凹凸パターン6とインプリント材料層との間の空気の閉じ込めを抑制することができる。従って、凹凸パターン内に閉じ込められた空気、特にメサ部4の外周領域に閉じ込められた空気による押印不良や未充填不良等の発生を抑制することが可能になる。
【0013】
傾斜領域9を設けたメサ部4において、メサ部4の第2の面5に設けられた凹凸パターン6は、メサ部4への押圧力により変形した傾斜領域9上のパターンがインプリント材料層に転写されるパターン形状となるように、傾斜領域9に沿って形成されている。従って、メサ部4への押圧力により傾斜領域9を変形させた場合においても、被加工物に求められる正確な凹凸パターン6を、インプリント材料層に転写することができる。
【0014】
図1に示すメサ部4の傾斜領域9は、平坦領域10からメサ部4の外周に向けて直線的に高さが低くなっている。傾斜領域9の形状は、これに限られるものではない。例えば、図4に示すように、傾斜領域9は外側に向けて凸の湾曲形状を有し、この湾曲形状にしたがってメサ部4の外周に向けて高さが低くなっていてもよい。図4に示すメサ部4は、図1に示すメサ部4と同様に、湾曲した傾斜領域9の内側に設けられた平坦領域10を有している。さらに、図5に示すように、傾斜領域9はメサ部4の第2の面5の全体が湾曲し、第2の面5全体の湾曲形状にしたがってメサ部4の中心から外周に向けて高さが低くなっていてもよい。図5に示すメサ部4は、平坦領域を有していない。メサ部4の第2の面5はこのような形状であってもよい。ただし、メサ部4は外周領域に設けられた傾斜領域9とその内側に設けられた平坦領域10とを有することが好ましい。
【0015】
メサ部4の第2の面5が傾斜領域9に加えて平坦領域10を有することによって、NILプロセスにおける凹凸パターン6のインプリント材料層への転写性を高めることができる。この際、平坦領域10の面積をS1、傾斜領域9の平坦領域10と平行な平面に投影した面積をS2、面積S1と面積S2との合計を100としたとき、面積S2は0<S2≦20を満足することが好ましい。面積S2が0を超えることによって、傾斜領域9を存在させることができる。これによって、NILプロセスにおいて第2の面5の外周領域が早期にインプリント材料層に接触することをより効果的に抑制することができる。ただし、面積S2が20を超えると、凹凸パターン6のインプリント材料層への転写性を十分に高めることができないおそれがある。
【0016】
図1に示すメサ部4は、図6及び図7にその一部を拡大して示すように、傾斜領域9が第1の面3と交差する方向、例えば第1の面3から垂直方向に延びる立上げ面9aと、立上げ面9aの端部から第2の面5の中心方向、図1では平坦領域10に向けて傾斜する傾斜面9bとを有していることが好ましい。図4に示すメサ部4の傾斜領域9も、その表面が平面であるか湾曲面であるかの違いを除いて、図1図6及び図7に示す傾斜領域9と同様に、立上げ面9aと傾斜面9bとを有している。図5に示すメサ部4の傾斜領域9も、傾斜領域9の形成範囲が異なる、すなわち平坦領域を有しておらず、第2の面5全面に傾斜領域9が設けられていることを除いて、図1図6及び図7に示す傾斜領域9と同様に、立上げ面9aと傾斜面9bとを有している。
【0017】
メサ部4の傾斜領域9が第1の面3と交差する方向に設けられた立上げ面9aを有し、立上げ面9aの端部から第2の面5の中心に向けて、例えば図1図6及び図7では平坦領域10に向けて傾斜面9bが設けられた形状を有することによって、メサ部4の全体的な高さを確保しつつ、傾斜面9bの傾斜角を適度な範囲に調整することができる。すなわち、傾斜面9bの傾斜角が大きすぎると、メサ部4の押圧力により傾斜領域9を変形させた場合においても、凹凸パターン6をインプリント材料層に正確に転写できないおそれがある。このため、傾斜領域9は以下に示すような形状を有することが好ましい。
【0018】
図6及び図7に示すように、立上げ面9aと傾斜面9bとが交わる部位からメサ部4の最も高い部位までの高さをha、立上げ面9aの高さをhbとしたとき、高さhaは高さhbの0%を超えて20%以下の範囲を満足することが好ましい。高さhaが高さhbに対して0%を超えることによって、メサ部4の第2の面5の外周領域を傾斜させることができる。さらに、高さhaは高さhbに対して0.01%以上であることがより好ましい。これによって、NILプロセスにおいて第2の面5の外周領域が早期にインプリント材料層に接触することをより効果的に抑制することができる。ただし、高さhaが高さhbの20%を超えると、NILプロセスにおいてメサ部4の凹凸パターン6をインプリント材料層に正確に転写できないおそれがあると共に、メサ部4の全体的な高さを確保かることが困難になる。
【0019】
テンプレート1の形状は、上述した形状に限られるものではない。メサ部4の基部に相当するオフメサ部となる第1の面3は、図1に示すように平坦面に限られるものではない。テンプレート1は、図8に示すように、曲面形状の第1の面3を有していてもよい。オフメサ部となる第1の面3の形状は、テンプレート1をインプリント材料層に押し付ける装置等に応じて適宜に選択することができる。図4に示すテンプレート1や図5に示すテンプレート1も同様であり、図8に示したような曲面形状の第1の面3を有していてもよい。テンプレート1の形状は、上記した図1図3図4、及び図5に示す各部の形状を種々に組み合わせることができる。
【0020】
上述したテンプレート1の下面に相当する第3の面7に設けられる凹部8には、種々の形状を適用することができる。ここで、第3の面7に設けられる凹部8は、以下に示すような機能を有する。NILプロセスにおいて、テンプレート1の押印時に第3の面7に設けられた凹部8を加圧してテンプレート1を膨らませ、テンプレート1を凸にした状態でインプリント材料層に接触させる。その後、凹部8に加えられた圧力を保ったまま、テンプレート1全体に力を加えてインプリント材料層にテンプレート1のメサ部4全体が触れるように押し付けていく。このようにして使用されるテンプレート1は、例えば図9及び図10に示すような形状の凹部8を有していてもよい。図9はテンプレート1の下面図である。図9及び図10に示す凹部8は、一般的な平面形状が円形で、断面形状が四角形の形状を有している。図10に示す凹部8は、上面側の角部が直角な状態を示しているが、これに限らず、図11に示すように、湾曲していてもよい。
【0021】
さらに、凹部8は図12及び図13に示すように、平面形状が四角形の形状を有していてもよい。凹部8の平面形状は、図12及び図13に示す正方形に限らず、長方形であってもよい。平面の概略形状が正方形や長方形等の四角形の凹部8は、テンプレート1の押印不良の抑制に効果を示す。従って、実施形態のテンプレート1に有効である。凹部8の平面形状における角部は、図12に示すように直角である場合に限らず、図13に示すように湾曲していてもよい。さらに、凹部8の上面側の角部も、図11に凹部8と同様に、湾曲していてもよい。凹部8の平面形状における角部や断面形状における角部を湾曲させることによって、テンプレート1の押印不良の抑制効果をより高めることができる。ただし、凹部8の形状は、図9ないし図13に示す形状に限られるものではなく、押印不良の抑制に効果を示すと考えられる種々の形状を適用することができる。
【0022】
次に、テンプレート1の製造方法について、図14ないし図16を参照して説明する。まず、図14(A)に示すように、テンプレート1の基材2となる硝材21を用意する。硝材21は、図14(A)に示すように、平坦な第1の表面22と凸状の第2の表面23とを有している。硝材21の形状はこれに限られるものではなく、図15に示すように、凸状の第1の表面22と凸状の第2の表面23とを有していてもよい。硝材21の第1の表面22に保護用の樹脂膜24を形成する。図14(B)に示すように、第2の表面23にざぐり部位として凹部8を形成する。
【0023】
図9及び図10に示すように、平面形状が円形の凹部8の場合、例えば図16に示すように、円柱型の砥石25Aを用いて硝材21を研削することによって、円形の凹部8を形成することができる。この際、図17に示すように、先端の外周を湾曲させた円柱型の砥石25Bを用いて硝材21を研削することによって、角部を湾曲させた円形の凹部8を形成することができる。また、図12及び図13に示すように、平面の概略形状が正方形や長方形等の四角形の凹部8は、例えば硝材21の第2の表面23にハードマスクを形成し、ハードマスクを四角形にパターニングした後、硝材21をエッチングすることにより形成することができる。四角形の凹部8の湾曲した角部は、やすり等による硝材21の研削を組み合わせることにより得ることができる。
【0024】
次に、図14(C)に示すように、保護用の樹脂膜24を剥離した後、硝材21の第1の表面22にハードマスク26を形成し、その上にレジスト27を形成する。ハードマスク26は、硝材21を加工するためのマスクとして機能する。ハードマスク26は、例えばクロム(Cr)を含有する。レジスト27は、ハードマスク26を加工するためのマスクとして機能する。図14(D)に示すように、レジスト27を図示しないステンシルマスクを介して露光及び現像し、レジスト27をメサ部4に応じた形状に加工する。図14(E)に示すように、加工されたレジスト27をマスクとして、ハードマスク26を所望の形状に加工する。ハードマスク26の加工には、例えば塩素(Cl)ガスと酸素(O)ガスの混合ガスを用いた誘導結合プラズマ(ICP)-反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングが用いられる。
【0025】
次いで、図14(F)に示すように、加工されたハードマスク26をマスクとして、硝材21を所望の形状に加工することによって、メサ部4の元となる凸状の基部28を得る。硝材21の加工には、例えばトリフルオロメタン(CHF)ガスを用いたICPRIE等のドライエッチングが用いられる。図14(F)に示す基部28は、メサ部4の第2の面5となる平坦面を有している。この時点では、基部28は傾斜領域9を有していない。図14(G)に示すように、このような基部28に研磨を施して、傾斜領域9及び必要に応じて平坦領域10を有するメサ部4を形成する。
【0026】
上記した傾斜領域9及び必要に応じて平坦領域10を有するメサ部4に対しては、図14(C)から図14(F)に示した工程と同様にして凹凸パターン6を形成する。すなわち、傾斜領域9及び必要に応じて平坦領域10を有する第2の面5に、図示を省略したマスクの形成工程及び硝材21(基材2)のエッチング工程を実施して、凹凸パターン6を形成する。このようにして、傾斜領域9及び必要に応じて平坦領域10を有する第2の面5に凹凸パターン6が形成されたテンプレート1が得られる。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、上記した第1の実施形態のテンプレート1を用いた半導体装置の製造方法について、図18ないし図24を参照して説明する。図18は、NILプロセスを用いた半導体装置の製造方法の例を説明するためのフローチャートである。図18に示す半導体装置の製造方法の例は、アライメント工程S-1と、パターン転写工程S-2と、被加工物の加工工程S-3と、成膜工程S-4とを具備する。
【0028】
アライメント工程S-1は、図19に示すように、被加工物100の加工面100aの位置と、加工面100aに対向して配置されたテンプレート1のメサ部4に設けられたパターン6の位置とを合わせる工程である。被加工物100は、例えば半導体基板上に複数の膜を積層することにより形成された積層体である。被加工物100の構成は、特に限定されない。テンプレート1としては、第1の実施形態におけるいずれかのテンプレートが用いられる。被加工物100上には、図20に示すように、アライメントの前又は後に、加工面100aにインプリント材料を塗布することによりインプリント材料層101が形成される。インプリント材料は、例えば光硬化性樹脂を含む。インプリント材料は、例えば滴下又はスピンコートにより塗布される。
【0029】
パターン転写工程S-2は、図21に示すように、テンプレート1をインプリント材料層101に押し付けて凹凸パターンを成形し、成形されたインプリント材料層101を硬化させることにより、インプリントパターンをインプリント材料層101に転写する。インプリント材料層101が光硬化性樹脂を含む場合は、当該層101はテンプレート1を介して光を照射することにより硬化される。テンプレート1は、図22に示すように、インプリント材料層101の硬化後に当該層から分離される。
【0030】
被加工物の加工工程S-3は、図23に示すように、凹凸パターンが成形されたインプリント材料層101を用いて被加工物100の一部を加工する工程であり、例えば開口部100bが形成される。被加工物100は、例えばドライエッチングにより被加工物100を構成する積層体を部分的に除去することにより加工される。加工後の被加工物100の形状は、インプリントパターンの形状に応じて決まる。成膜工程S-4は、図24に示すように、被加工物100上に膜を成膜し、膜を加工することにより開口部100bに層102を形成する。成膜工程S-4で形成される層102は、例えば金属材料を含有する導電層であり、例えば埋め込み配線としての機能を有する。
【0031】
以上のように、実施形態の半導体装置の製造方法の例においては、第1の実施形態に示したように、メサ部の第2の面5の少なくとも外周領域に傾斜領域が設けられているため、インプリント材料層にメサ部の凹凸パターンを押し付けた際に、メサ部の中心の周囲から徐々にインプリント材料層に接触していき、最後にメサ部への押圧力により変形した傾斜領域がインプリント材料層に接触することになる。これによって、メサ部の中心から外周に向けて順にインプリント材料層に接触するようになるため、メサ部の凹凸パターンとインプリント材料層との間の空気の閉じ込めを抑制することができる。従って、凹凸パターン内に閉じ込められた空気、特にメサ部の外周領域に閉じ込められた空気による押印不良や未充填不良等の発生を抑制することが可能になる。従って、被加工物上のインプリント材料層に精度よくパターンを転写することができ、このようなパターンを用いて被加工物の加工工程を実施することによって、半導体装置を精度よく得ることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態や及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…テンプレート、2…基材、3…第1の面、4メサ部、5…第2の面、6…凹凸パターン、8…凹部、9…傾斜領域、10…平坦領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24