(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047776
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
B65D1/34 BRL
B65D1/34 BSE
B65D1/34 BSF
B65D1/34 BSG
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153739
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA08
3E033DD01
3E033FA01
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、三次元形状を有する紙容器であって、能率良く生産することができ、しかも使用後には紙とプラスチック層を容易に分離することが可能な紙容器を提案するものである。
【解決手段】紙基材3とライナー材4とからなる積層体2を三次元成形してなるトレー型紙容器であって、水平な底部5と、底部から立ち上がる側壁部6と、側壁部上端から延設された水平なフランジ部7とを有し、紙基材は、坪量が30g/m
2以上700g/m
2以下であり、紙基材とライナー材の剥離強度が、1N/15mm以上10N/15mm以下であることを特徴とする紙容器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材とライナー材とからなる積層体を三次元成形してなるトレー型紙容器であって、水平な底部と、底部から立ち上がる側壁部と、側壁部上端から延設された水平なフランジ部とを有し、紙基材は、坪量が30g/m2以上700g/m2以下であり、紙基材とライナー材の剥離強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
紙基材の引張破断伸びが、MD方向(流れ方向)2%以上12%以下、TD方向(垂直方向)0.5%以上15%以下であり、引張強さが、MD方向50N/15mm以上500N/15mm以下、TD方向30N/15mm以上400N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
紙基材の坪量が、100g/m2以上400g/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器。
【請求項4】
紙基材の引張破断伸びが、MD方向3%以上11%以下、TD方向1%以上14%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項5】
紙基材の引張強さが、MD方向で100N/15mm以上400N/15mm以下、TD方向で80N/15mm以上300N/15mm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項6】
紙基材とライナー材の剥離強度が、3N/15mm以上7N/15mm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項7】
フランジ部に、蓋材が装着されて密封されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の紙容器。
【請求項8】
フランジ部に、紙基材からライナー材を剥がすきっかけとなる剥離開始部を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器に関し、特に紙基材とライナー材とからなる積層体を三次元成形してなるトレー型紙容器であり、廃棄時には紙基材とライナー材とを容易に分離することのできる紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化石資源を原料とするプラスチック製の容器が広く用いられているが、廃プラスチックによる海洋汚染問題等、地球環境保護の観点から、再生産可能な資源であり、生分解性を有する木材を原料とする紙を用いた容器が注目されている。特許文献1に記載された紙容器は、予め所定の形状に打ち抜いた紙ベースを真空圧空成型型内に装着し、上からライナーとなるプラスチックシートを被せて真空圧空成型によって一体化した紙容器である。この方法によれば、三次元形状の紙容器が得られるが、生産性が悪いため安価に製造することはできない。また三次元形状とは言っても平面の集合である多面体形状であり、曲面を伴う三次元形状ではない。
【0003】
紙に能率良く三次元形状を付与する方法としては、プレス機による型押しがある。あまり深い形状は無理であるが、この方法によれば三次元形状の紙容器を能率良く生産することができる。
【0004】
一方、牛乳パックのような紙容器は、紙以外のプラスチック層がわずかであるため、紙とプラスチック層を分離しなくても紙としてリサイクルが可能であるが、三次元成形によって曲面を含むトレー形状の容器を成形する場合、ある程度のプラスチック層厚が必要であり、使用後に紙としてリサイクルする為には、紙とプラスチック層を容易に分離できることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/177652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、三次元形状を有する紙容器であって、能率良く生産することができ、しかも使用後には紙とプラスチック層を容易に分離することが可能な紙容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、紙基材とライナー材とからなる積層体を三次元成形してなるトレー型紙容器であって、水平な底部と、底部から立ち上がる側壁部と、側壁部上端から延設された水平なフランジ部とを有し、紙基材は、坪量が30g/m2以上700g/m2以下であり、紙基材とライナー材の剥離強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であることを特徴とする紙容器である。
【0008】
本発明に係る紙容器は、適切な紙基材を用いることで三次元成形性を確保すると共に、紙基材とライナー材の剥離強度を適切に設定することで使用後の分別廃棄を容易としたものである。
【0009】
紙基材は、引張破断伸びが、MD方向(流れ方向、抄紙方向)2%以上12%以下、T
D方向(垂直方向、幅方向)0.5%以上15%以下であり、引張強さが、MD方向50N/15mm以上500N/15mm以下、TD方向30N/15mm以上400N/15mm以下であっても良い。
【0010】
紙基材の坪量は、100g/m2以上400g/m2以下とすることがより望ましい。また、紙基材の引張破断伸びについては、MD方向3%以上11%以下、TD方向1%以上14%以下であることがより望ましい。また、紙基材の引張強さについては、MD方向で100N/15mm以上400N/15mm以下、TD方向で80N/15mm以上300N/15mm以下であることがより望ましい。さらに紙基材とライナー材の剥離強度については、3N/15mm以上7N/15mm以下であることがより望ましい。
【0011】
本発明に係る紙容器は、フランジ部に、蓋材が密着されて封止されていても良い。また、フランジ部に、紙基材からライナー材を剥がすきっかけとなる剥離開始部を有することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る紙容器は、成形性の良好な紙基材とライナー材とからなる積層体を三次元成形してなるトレー型紙容器であって、水平な底部と、底部から立ち上がる側壁部と、側壁部上端から延設された水平なフランジ部とを有するトレー形状であるため、プレス機を用いた絞り成形による生産が可能である。このため、生産の能率が良く、従って安価に生産できる。
【0013】
紙基材とライナー材との剥離強度を適切に設定することにより、製造時における剥離を防ぎつつ、使用後の廃棄に当たっては、紙基材とライナー材との分別を容易にすることができる。
【0014】
フランジ部に、紙基材からライナー材を剥がすきっかけとなる剥離開始部を設けた場合には、紙基材とライナー材との分別がさらに容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した平面模式図である。
【
図2】
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る紙容器の他の実施態様を示した断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した断面模式図であり、剥離開始部の一例を示したものである。
【
図5】
図5は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した断面模式図であり、剥離開始部の他の例を示したものである。
【
図6】
図6は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した断面模式図であり、剥離開始部の他の例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照しながら、本発明に係る紙容器について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る紙容器の一実施態様を示した平面模式図である。
図2は、
図1のA-A´断面を示した断面模式図である。本発明に係る紙容器1は、紙基材3とライナー材4とからなる
積層体2を三次元成形してなるトレー型紙容器である。水平な底部5と、底部5から立ち上がる側壁部6と、側壁部6の上端から延設された水平なフランジ部7とを有する。
【0017】
本発明に係る紙容器の特徴として、紙基材は、坪量が30g/m2以上700g/m2以下であり、紙基材の引張破断伸びは、MD方向(流れ方向)2%以上12%以下、TD方向(垂直方向)0.5%以上15%以下であり、引張強さは、MD方向50N/15mm以上500N/15mm以下、TD方向30N/15mm以上400N/15mm以下であり、紙基材3とライナー材4の剥離強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であることを特徴とする。
【0018】
このように、紙基材3の坪量、引張破断伸び、引張強さをそれぞれMD方向(Machine Direction=流れ方向、抄紙方向)とTD方向(Transverse Direction=垂直方向、幅方向)それぞれの値の範囲を規定することにより、三次元成形性が確保される。
【0019】
また、紙基材3とライナー材4の剥離強度を、1N/15mm以上10N/15mm以下とすることにより、成形時の剥離を防止しつつ使用後の分別を容易ならしめることが可能となる。
【0020】
紙基材3の坪量は、前述の通り30g/m2以上700g/m2以下であることが必要であるが、さらに好ましくは、100g/m2以上400g/m2以下である。30g/m2未満であるとライナー材との貼り合わせ加工が困難となり、700g/m2を超える場合には、紙が頑丈になり過ぎてトレイ形状に成形するのが困難となる。
【0021】
紙基材3の引張破断伸びは、MD方向(流れ方向)2%以上12%以下、TD方向(垂直方向)0.5%以上15%以下であることが必要であるが、さらに好ましくは、MD方向3%以上11%以下、TD方向1%以上14%以下である。MD方向が2%未満、TD方向が0.5%未満であると成形時に伸びが足りずに破けてしまうことがある。MD方向12%、TD方向15%を超えるような紙は製造するのが困難であり、現実的でない。
【0022】
紙基材3の引張強さについては、MD方向50N/15mm以上500N/15mm以下、TD方向30N/15mm以上400N/15mm以下であることが必要であるが、さらに好ましくは、MD方向で100N/15mm以上400N/15mm以下、TD方向で80N/15mm以上300N/15mm以下である。MD方向50N/15mm未満、TD方向30N/15mm未満であると、強度が足りず成形時に破れてしまうことがある。また、MD方向500N/15mm、TD方向400N/15mmを超えるような紙は固すぎて成形加工が困難であり、現実的でない。
【0023】
紙基材3とライナー材4の剥離強度は、1N/15mm以上10N/15mm以下であることが必要であるが、さらに好ましくは、3N/15mm以上7N/15mm以下である。1N/15mm未満であると、成形加工時に剥がれ易くなり、10N/15mmを超えるようであると、剥離が円滑でなくなる。
【0024】
紙容器の形状については、
図1の例に限定されることはなく、円形、楕円形、正方形、長方形、星型など成形できるものであれば任意である。フランジ部、底部、側壁部等にしわが入らない形状であることが必要である。
【0025】
積層体2を構成する紙基材3の材質については、特に制約は無く、目的とする形状に対する成形性があれば良い。例を挙げれば、マニラボール、白ボール等の白板紙や、黄・チップボール、色板紙、段ボール原紙、アート紙、コート紙、カード原紙、クラフト紙等である。
【0026】
ライナー材4の材質としては、成形可能な合成樹脂フィルムを単体または複合して用いることができる。一例を挙げれば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、ヒートシーラブルポリエチレンテレフタレート樹脂(HS-PET)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル樹脂(PAN)、各種生分解性樹脂が使用できる。生分解性樹脂の例としては、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸樹脂(PHA)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)樹脂(PBAT)、ポリカプロラクトン樹脂(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)樹脂(PHBH(登録商標))等が挙げられる。
【0027】
ライナー材4として、紙基材/接着樹脂/バリアシーラントのように、最内層にバリア性のあるシーラントを用いても良い。バリアシーラントとしては、ダイヤミロンMF(三菱ケミカル社製)、マルチトロンZEX(タマポリ社製)等が挙げられる。
【0028】
またライナー材4としては、例えばPE/EVOH/PEのように2層以上を共押出して製膜された多層フィルムを用いることもできる。
【0029】
紙基材3とライナー材4の剥離機構として、紙基材表面に熱接着を阻害する剥離ワニスを塗布する方法もある。剥離ワニスとしては、ポリエチレンワックス系、ポリアミド系、シリコーン系など任意の市販品から選択することができる。
【0030】
紙基材3とライナー材4の剥離機構として、紙基材表面にアクリル樹脂系粘着剤やゴム系粘着剤を塗布する方法もある。
【0031】
図3は、本発明に係る紙容器1の他の実施態様を示した断面模式図である。この例では、フランジ部7に、蓋材8が装着されて密封されている。蓋材8とライナー材4とは、少なくとも1層以上の互いに易接着する素材であることが必要である。
【0032】
蓋材8の構成としては、凝集剥離、界面剥離あるいは層間剥離できるイージーピールフィルムが好ましい。またトレイ側にイージーピール層があっても良い。
【0033】
図4は、本発明に係る紙容器1の一実施態様を示した断面模式図であり、ライナー材4の剥離開始部10の一例を示したものである。この例では、剥離開始部10がフランジ部7において未接着部11を形成しており、ライナー材4を剥がす際の手掛かりとなる。
【0034】
図5は、本発明に係る紙容器1の一実施態様を示した断面模式図であり、剥離開始部10の他の例を示したものである。この例では、フランジ部7においてライナー材4が紙基材3よりも突出してタブ12を形成している。ライナー材4を剥がす際には、このタブが手掛かりとなる。
【0035】
図6は、本発明に係る紙容器1の一実施態様を示した断面模式図であり、剥離開始部10の他の例を示したものである。この例ではフランジ部7において紙基材3とライナー材4との界面に剥離ワニス層13が形成されているため、
図5の例よりもさらに容易にライナー材4を剥がすきっかけを得ることができる。以下実施例および比較例に基づいて本発明に係る紙容器について具体的に説明する。
【実施例0036】
<実施例1>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、この表面に剥離ワニス(東洋インキ社
製PE64剥離ワニスC)を塗布した後、厚さ30μmのポリエチレン樹脂フィルムを、厚さ15μmとなるポリエチレン樹脂による押出ラミネート法によって貼り合わせた。この積層体を用いて、成形加工を施し、底部形状が円形の紙容器(トレイ)を作製した。フランジ部は平坦であり、側壁部や底部にもシワや折り目は認められなかった。
【0037】
得られた紙容器について、剥離強度、分離性、液漏れ、耐衝撃性の評価を行った。なお液漏れ、耐衝撃性は、容器としての基本的な要求品質項目である。
<剥離強度>:ライナー材と紙基材の剥離強度を測定(N/15mm)
<分離性>:パネラー30人にライナー材と紙基材の剥離性を評価して貰い、27人以上が分離し易いと判断した場合を◎、24人以上が分離し易いと判断した場合を〇とした。24人未満の場合を△、分離できない場合を×とした。
<液漏れ>:浸透液を入れて1ヶ月経時保存(温度40℃、湿度75%)し、液漏れが生じなかったものを〇とした。
<耐衝撃性>:JIS Z0200に準拠し、200gの内容物を封入した後、落下、振動試験を実施し、ライナー材と紙基材が分離しなければ〇とした。
【0038】
<実施例2>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、この表面に剥離ワニスを塗布した後、ライナー材として厚さ50μmのポリエチレン系多層バリアフィルムを用いて、ポリエチレン樹脂による押出ラミネートの厚さを18μmとした。紙容器の底部形状を楕円形とした。それ以外は、実施例1と同様にし、同様に評価した。
【0039】
<実施例3>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、ライナー材と紙基材の貼り合わせ方法として粘着剤(トーヨーケム社製BPS5296)を用いた。剥離ワニスは使用しなかった。紙容器の底部形状を四角形とした。それ以外は、実施例1と同様にして、同様に評価した。
【0040】
<実施例4>
坪量221g/m2の紙を紙基材として使用し、ライナー材として厚さ25μmのヒートシーラブルPETを熱ラミネートして積層体を作製した。剥離ワニスは使用しなかった。紙容器の底部形状を四角形とした。それ以外は実施例1と同様である。
【0041】
<実施例5>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、ライナー材として厚さ50μmのPP系多層バリアフィルムを用い、ポリエチレン樹脂による押出ラミネートの厚さを18μmとした。紙容器の底部形状を長方形とした。それ以外は、実施例1と同様である。
【0042】
<実施例6>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、この表面にヒートシールニスを塗布した後、厚さ50μmのポリエチレン系多層バリアフィルムを、熱接着したものを積層体とした。剥離ニスは使用しなかった。それ以外は、実施例1と同様である。
【0043】
<実施例7>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、この表面に剥離ワニスを塗布せずに、ライナー材として厚さ50μmのポリエチレン系多層バリアフィルムを用いて、ポリエチレン樹脂による押出ラミネートの厚さを18μmとした。それ以外は、実施例1と同様にし、同様に評価した。
【0044】
<実施例8>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、この表面に厚さ25ミクロンのポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)フィルムを熱ラミネートして積層体を得た。紙容器の底部形状を四角形とした。それ以外は、実施例1と同様である。
【0045】
<実施例9>
坪量310g/m2のバリア紙を紙基材として使用し、この表面に厚さ25ミクロンのポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)フィルムを熱ラミネートして積層体を得た。紙容器の底部形状を四角形とした。それ以外は、実施例1と同様である。
【0046】
<実施例10>
剥離ワニスの塗布量を調整することにより、剥離強度を大きくした以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様に評価した。
【0047】
<実施例11>
【0048】
剥離ワニスの塗布量を調整することにより、剥離強度を大きくした以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様に評価した。
【0049】
<比較例1>
剥離ワニスの塗布量を調整することにより、剥離強度を小さくした以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様に評価した。
【0050】
<比較例2>
剥離ワニスの塗布量を調整することにより、剥離強度を小さくした以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様に評価した。
【0051】
<比較例3>
剥離ワニスの塗布量を調整することにより、剥離強度を大きくした以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、同様に評価した。
【0052】
<比較例4>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、特許文献1に記載されたような方法によって紙容器を作製した。フランジ形状は切れ目のないフラットな形状とした。この表面に厚さ25ミクロンのヒートシーラブルPETフィルムを貼り合わせた。紙容器の底部形状は四角形である。実施例1と同様に評価した。
【0053】
<比較例5>
坪量310g/m2の紙を紙基材として使用し、特許文献1に記載されたような方法によって紙容器を作製した。フランジ形状は切れ目がある形状とした。この表面に厚さ25ミクロンのヒートシーラブルPETフィルムを貼り合わせた。紙容器の底部形状は四角形である。実施例1と同様に評価した。
【0054】
<比較例6>
市販の紙絞りトレーについて同様に評価した。積層体の構成は、紙基材の表面にポリエチレン樹脂が貼り合わせてあり、詳細な構成は不明である。
【0055】
以上実施例1~11、比較例1~6について評価した結果を表1にまとめた。
【0056】
【0057】
比較例4、5のサンプルは、フランジ部あるいはトレイ部に切れ目、折り目があるため、耐衝撃性に弱い。市販の紙トレイである比較例6は、衝撃には強いものの、フランジ部にシワがあるため、液漏れし易く、またライナー材を綺麗に剥がすことができなかった。実施例の紙容器は、フランジ部およびトレイ部に切れ目や折れ目がないため、耐衝撃性や液漏れに対して優れた容器である。また剥離強度を1~10N/15mmとすることによりライナー材を綺麗に剥がすことができ、耐衝撃性にも強い紙容器となる。