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▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047813
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】携帯用情報機器及びカバー装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20220317BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20220317BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G06F1/16 312Q
G06F1/16 312G
H05K5/03 A
H04M1/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153805
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細貝 達哉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【テーマコード(参考)】
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
4E360AB03
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB16
4E360AB42
4E360BA01
4E360BA11
4E360BA12
4E360BB02
4E360BB04
4E360BB14
4E360BB20
4E360BB23
4E360GB46
5K023AA07
5K023BB25
5K023DD08
5K023KK10
5K023MM03
5K023MM25
5K023PP02
5K023PP05
5K023PP12
5K023QQ05
(57)【要約】
【課題】筐体内への異物等の侵入を抑制することができる携帯用情報機器及びカバー装置を提供する。
【解決手段】携帯用情報機器は、第1筐体と、第1筐体と相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体の背面を覆う第1カバー部と、前記第2筐体の背面を覆う第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間を相対的に回動可能に接続する折曲カバー部と、を有するカバー装置と、を備える。カバー装置は、さらに、前記折曲カバー部の内面側で該折曲カバー部の側縁部を臨むように設けられ、該折曲カバー部の内面に対して相対移動可能に設けられたシート状部材を有する。積層形態において、カバー装置は、前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの隣接端部を前記折曲カバー部が覆うように設けられ、さらに前記第1筐体と前記第2筐体の回動軸方向から見て前記折曲カバー部の内側で前記隣接端部を前記シート状部材が覆うように設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用情報機器であって、
第1筐体と、
前記第1筐体と隣接して設けられ、前記第1筐体に対して、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ平板形態と、互いに面方向で重なるように積層される積層形態との間で相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
前記第1筐体の背面を覆う第1カバー部と、前記第2筐体の背面を覆う第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間を相対的に回動可能に接続する折曲カバー部と、を有するカバー装置と、
を備え、
前記カバー装置は、さらに、前記折曲カバー部の内面側で該折曲カバー部の側縁部を臨むように設けられ、該折曲カバー部の内面に対して相対移動可能に設けられたシート状部材を有し、
前記積層形態において、前記カバー装置は、前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの隣接端部を前記折曲カバー部が覆うように設けられ、さらに前記第1筐体と前記第2筐体の回動軸方向から見て前記折曲カバー部の内側で前記隣接端部を前記シート状部材が覆うように設けられる、
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用情報機器であって、
前記シート状部材は、第1端部が前記第1カバー部に固定され、第2端部が前記第2カバー部に固定され、前記第1端部と前記第2端部との間の中央部が前記折曲カバー部の内面に対して移動自由な状態にある
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯用情報機器であって、
前記シート状部材は、弾性を有し、
前記シート状部材は、前記平板形態では復元力を保持した引張状態で前記折曲カバー部の内面に沿って配置される
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯用情報機器であって、
前記シート状部材は、
前記折曲カバー部の一方の側縁部に臨む第1シート状部材と、
前記折曲カバー部の他方の側縁部に臨む第2シート状部材と、
を含み、
前記第1シート状部材は、前記一方の側縁部から前記他方の側縁部に向かう幅方向で、前記一方の側縁部側の一部のみが前記第1カバー部及び前記第2カバー部に固定され、
前記第2シート状部材は、前記幅方向で、前記他方の側縁部側の一部のみが前記第1カバー部及び前記第2カバー部に固定されている
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯用情報機器であって、
前記第1シート状部材の前記第1端部及び前記第2端部は、前記幅方向で前記一方の側縁部側とは逆側の角部に面取り形状を有し、
前記第2シート状部材の前記第1端部及び前記第2端部は、前記幅方向で前記他方の側縁部側とは逆側の角部に面取り形状を有する
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の携帯用情報機器であって、
さらに、前記隣接端部の延在方向で一端側に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体との間を連結する第1ヒンジと、
前記隣接端部の延在方向で他端側に設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体との間を連結する第2ヒンジと、
前記第1筐体及び前記第2筐体に支持されて前記隣接端部を跨ぐように設けられ、前記第1ヒンジと前記第2ヒンジとの間で前記隣接端部に沿って延在した背表紙部材と、
を備え、
前記背表紙部材の延在方向で一端部と前記第1ヒンジとの間、及び前記背表紙部材の延在方向で他端部と前記第2ヒンジとの間には、それぞれ隙間が形成され、
前記積層形態において、前記シート状部材は、少なくとも前記隙間を覆うように配置される
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯用情報機器であって、
前記積層形態において、前記シート状部材は、さらに前記第1ヒンジ及び前記第2ヒンジを覆うように配置される
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の携帯用情報機器であって、
前記積層形態において、前記シート状部材は、さらに前記背表紙部材の一部を覆うように配置される
ことを特徴とする携帯用情報機器。
【請求項9】
携帯用情報機器の筐体の背面を覆うカバー装置であって、
第1カバー部と、
第2カバー部と、
前記第1カバー部と前記第2カバー部との間を相対的に回動可能に接続する折曲カバー部と、
前記折曲カバー部の内面側で該折曲カバー部の側縁部を臨むように設けられ、該折曲カバー部の内面に対して相対移動可能に設けられたシート状部材と、
を備えることを特徴とするカバー装置。
【請求項10】
請求項9に記載のカバー装置であって、
前記シート状部材は、第1端部が前記第1カバー部に固定され、第2端部が前記第2カバー部に固定され、前記第1端部と前記第2端部との間の中央部が前記折曲カバー部の内面に対して移動自由な状態にある
ことを特徴とするカバー装置。
【請求項11】
請求項10に記載のカバー装置であって、
前記シート状部材は、弾性を有し、
前記シート状部材は、前記第1カバー部と前記第2カバー部とが互いに面方向と垂直な方向に並んだ平板形態では、復元力を保持した引張状態で前記折曲カバー部の内面に沿って配置される
ことを特徴とするカバー装置。
【請求項12】
請求項11に記載のカバー装置であって、
前記シート状部材は、
前記折曲カバー部の一方の側縁部に臨む第1シート状部材と、
前記折曲カバー部の他方の側縁部に臨む第2シート状部材と、
を含み、
前記第1シート状部材は、前記一方の側縁部から前記他方の側縁部に向かう幅方向で、前記一方の側縁部側の一部のみが前記第1カバー部及び前記第2カバー部に固定され、
前記第2シート状部材は、前記幅方向で、前記他方の側縁部側の一部のみが前記第1カバー部及び前記第2カバー部に固定されている
ことを特徴とするカバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー装置を備える携帯用情報機器及びカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCやタブレット型PC等の携帯用情報機器は、持ち運び時の損傷や破損を避ける必要がある。また、携帯用情報機器は、外観意匠や触感が高品質であることが望まれる。そこで、携帯用情報機器の保護用或いは装飾用として、筐体の背面にカバー装置が装着されることがある。本出願人は特許文献1において、折り畳み型のタブレット型PCに対応したカバー装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-105961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような折り畳み型の携帯用情報機器に装着されるカバー装置は、本のように折り畳まれる筐体に追従して折り畳まれる。このように折り畳んだ際、カバー装置の折曲カバー部(本の背表紙に相当する部分)と筐体の端部との間には、側面に臨む開口が形成される。この開口からカバー装置と筐体との間に異物等が侵入すると、異物等が筐体の回動動作に干渉し、或いは筐体内に搭載されたディスプレイ等の電子部品に悪影響を及す懸念がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、筐体内への異物等の侵入を抑制することができる携帯用情報機器及びカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る携帯用情報機器は、第1筐体と、前記第1筐体と隣接して設けられ、前記第1筐体に対して、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ平板形態と、互いに面方向で重なるように積層される積層形態との間で相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体の背面を覆う第1カバー部と、前記第2筐体の背面を覆う第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間を相対的に回動可能に接続する折曲カバー部と、を有するカバー装置と、を備え、前記カバー装置は、さらに、前記折曲カバー部の内面側で該折曲カバー部の側縁部を臨むように設けられ、該折曲カバー部の内面に対して相対移動可能に設けられたシート状部材を有し、前記積層形態において、前記カバー装置は、前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの隣接端部を前記折曲カバー部が覆うように設けられ、さらに前記第1筐体と前記第2筐体の回動軸方向から見て前記折曲カバー部の内側で前記隣接端部を前記シート状部材が覆うように設けられる。
【0007】
本発明の第2態様に係るカバー装置は、携帯用情報機器の筐体の背面を覆うカバー装置であって、第1カバー部と、第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間を相対的に回動可能に接続する折曲カバー部と、前記折曲カバー部の内面側で該折曲カバー部の側縁部を臨むように設けられ、該折曲カバー部の内面に対して相対移動可能に設けられたシート状部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、筐体内への異物等の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る携帯用情報機器を開いて平板形態とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示す携帯用情報機器をノート形態とした状態での側面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す携帯用情報機器を閉じて積層形態とした状態での側面図である。
図3図3は、携帯用情報機器をカバー装置側から見た底面図である。
図4図4は、カバー装置を筐体に対する装着面側から見た平面図である。
図5A図5Aは、図4に示す一方のシート状部材及びその周辺部を拡大した模式的な平面図である。
図5B図5Bは、図5Aに示すシート状部材の取付前の状態を示す平面図である。
図6A図6Aは、平板形態時のカバー装置の模式的な側面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すカバー装置を積層形態とした状態での模式的な側面図である。
図7A図7Aは、積層形態時の筐体の一方のヒンジ及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す部分にシート状部材が設けられた状態での模式的な斜視図である。
図8A図8Aは、図7Aに示す部分の模式的な平面図である。
図8B図8Bは、図7Bに示す部分の模式的な平面図である。
図9図9は、図5Aに示すシート状部材が引き伸ばされた状態を模式的に示す平面図である。
図10図10は、矩形状のシート状部材が引き伸ばされた状態を模式的に示す平面図である。
図11図11は、第1変形例に係るシート状部材を用いた携帯用情報機器の積層形態時の要部を拡大した模式的な平面図である。
図12図12は、第2変形例に係るシート状部材を用いた携帯用情報機器の積層形態時の要部を拡大した模式的な測面図である。
図13A図13Aは、変形例に係るヒンジを用いた携帯用情報機器10の積層形態時の要部を拡大した模式的な平面図である。
図13B図13Bは、図13Aに示す携帯用情報機器にシート状部材が設けられた状態での模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る携帯用情報機器及びカバー装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る携帯用情報機器10を開いて平板形態とした状態を模式的に示す斜視図である。図2Aは、図1に示す携帯用情報機器10をノート形態とした状態での側面図である。図2Bは、図2Aに示す携帯用情報機器10を閉じて積層形態とした状態での側面図である。
【0012】
図1図2Bに示すように、携帯用情報機器10は、第1筐体12Aと、第2筐体12Bと、カバー装置14と、を備える。本実施形態の携帯用情報機器10は、折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCである。カバー装置14は、筐体12A,12Bの外面を覆うことでこれを保護する保護機能と、外面を装飾して外観意匠を高める装飾機能とを有する。カバー装置14が装着される携帯用情報機器は、一般的なクラムシェル型のノート型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
先ず、携帯用情報機器10の構成例を説明する。携帯用情報機器10は、筐体12A,12Bと、ディスプレイ16と、を備える。
【0014】
筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12Baは、背表紙部材18で内側から覆われている。筐体12A,12Bは、それぞれ隣接端部12Aa,12Ba以外の3辺に側壁が起立した矩形の板状部材で形成されている。筐体12A,12Bは、例えばステンレス、マグネシウム、若しくはアルミニウム等の金属板、又は、炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0015】
以下、図1及び図2に示すように、携帯用情報機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する隣接端部12Aa,12Baに沿った方向をY方向、と呼んで説明する。
【0016】
筐体12A,12Bは、互いの隣接端部12Aa,12Baが一対のヒンジ19,19を介して連結されている。筐体12A,12B間は、ヒンジ19により、図1に示す平板形態と図2Bに示す積層形態との間で相対的に回動可能に連結されている。平板形態において、筐体12A,12Bは、互いに面方向に垂直な方向(X方向)に並んで配置され、隣接端部12Aa,12Ba同士が対向してX方向に並んだ一枚板状になる。積層形態において、筐体12A,12Bは、互いに重ねて積層されて本のように閉じられる。積層形態時、隣接端部12Aa,12Ba同士は、所定の隙間を介して積層方向に並び、それぞれ略同一方向を向いて配置される。
【0017】
ヒンジ19は、所定の回転トルクを発生可能である。ヒンジ19は、例えば筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12BaのY方向の両端部にそれぞれ配置され、ディスプレイ16の外周縁部の外側に位置している。本実施形態の携帯用情報機器10は、ヒンジ19による筐体12A,12B間の回動中心がディスプレイ16の表面と一致するように設定されている。
【0018】
各筐体12A,12Bの内部には、マザーボード及びこれに実装されたCPU等の各種半導体チップ、通信モジュール、バッテリ装置、冷却装置等の各種電子部品等が搭載されている。図1図2B中の参照符号17は、第1筐体12Aの表面でディスプレイ16を囲むベゼルに形成された開口から臨む撮像用等のカメラである。
【0019】
ディスプレイ16は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ16は、隣接端部12Aa,12Baを跨いでY方向に延在する帯状の範囲が折曲領域となる。これによりディスプレイ16は、筐体12A,12Bを折り畳んだ際に一緒に折り畳み可能であり、筐体12A,12Bの開閉動作に伴って開閉する。ディスプレイ16は、例えば柔軟性の高いペーパー構造を持った有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイである。
【0020】
背表紙部材18は、可撓性を持った薄い板状部材である。背表紙部材18は、筐体12A,12Bの内面間に亘って設けられ、隣接端部12Aa,12Baを跨いでいる。背表紙部材18は、ヒンジ19,19間でY方向に延在している。背表紙部材18は、例えばX方向で一端部が第1筐体12Aに固定され、他端部が第2筐体12Bに対してX方向にスライド可能に支持されている。背表紙部材18は、携帯用情報機器10を折り畳んだ際にカバー装置14の内側で隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を隠すものである(図7A参照)。背表紙部材18は省略されてもよい。
【0021】
次に、カバー装置14の構成例を説明する。図3は、携帯用情報機器10をカバー装置14側から見た底面図である。図4は、カバー装置14を筐体12A,12Bに対する装着面(内面)側から見た平面図である。
【0022】
図1図3に示すように、カバー装置14は、筐体12A,12Bの背面12Ab,12Bbを覆うように延在している。カバー装置14は、使用形態(図2A参照)では背面12Ab,12Bbの全面を覆う。カバー装置14は、ノート形態及び収納形態(図2B及び図2B参照)では背面12Abの大部分と背面12Bbの全面とを覆う。
【0023】
カバー装置14は、ベースカバー部20と、スタンドカバー部22と、スタンドヒンジ24と、を備える。カバー部20,22は、スタンドヒンジ24を挟んでX方向に延在している。
【0024】
カバー部20,22は、使用形態時には、全体として背面12Ab,12Bbの全面を覆う。つまり使用形態時、カバー装置14は、X方向で第1筐体12Aの開放端部12Acから第2筐体12Bの開放端部12Bcまでを覆い、Y方向で第1筐体12Aの側面12Ad,12Aeと第2筐体12Bの側面12Bd,12Beとを覆う。開放端部12Ac,12Bcは、それぞれX方向で隣接端部12Aa,12Baとは逆側に位置し、Y方向に延びた側面である。側面12Ad,12Ae,12Bd,12Beは、それぞれX方向に延びた側面であり、隣接端部12Aa,12Baと直交している。
【0025】
ベースカバー部20は、第1筐体12A側から第2筐体12B側に向かって順に、第1カバー部26と、折曲カバー部27と、第2カバー部28と、を有する。
【0026】
第1カバー部26は、第1筐体12Aの背面12Abに対してX方向に相対的にスライド可能に設けられた薄いプレート状部材である。図1及び図3に示す平板形態時、第1カバー部26は、先端部26aが第1筐体12Aの開放端部12Acと一致する。先端部26aは、X方向で折曲カバー部27との境界線B1とは逆側に位置し、Y方向に延びた端部である。図2A及び図2Bに示すノート形態時及び積層形態時、第1カバー部26は、先端部26aが開放端部12Acから隣接端部12Aa側に後退した位置までスライドする。
【0027】
折曲カバー部27は、筐体12A,12B間の隣接端部12Aa,12Baを跨ぐ位置に設けられ、X方向に幅狭でY方向に延びた帯状領域である。折曲カバー部27は、第1筐体12A側でY方向に沿った境界線B1で第1カバー部26と折曲可能に接続されている。折曲カバー部27は、第2筐体12B側でY方向に沿った境界線B2で第2カバー部28と折曲可能に接続されている。折曲カバー部27は、全体として可撓性を有し、第1カバー部26と第2カバー部28との間を相対的に回動可能に接続している。折曲カバー部27は、筐体12A,12B間の回動動作にカバー装置14を追従して回動させるためのフレキシブルヒンジである。折曲カバー部27は、少なくとも図2Bに示す積層形態時に筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12Baを覆うことができるX方向の幅寸法を有する。
【0028】
第2カバー部28は、折曲カバー部27の一部とスタンドカバー部22と共に第2筐体12Bの背面12Abを覆う薄いプレート状部材である。第2カバー部28は、スタンドカバー部22と略線対称形状を成しており、本実施形態では平面視略台形状である。第2カバー部28は、第2筐体12Bの背面12Abと相対的に固定されている。本実施形態の第2カバー部28は、背面12Abに直接固定されている。第2カバー部28は、X方向で境界線B2側とは逆側の縁部28aが、スタンドヒンジ24を介してスタンドカバー部22と隣接している。縁部28aは、Y方向に向かって次第にX方向に傾斜している。
【0029】
ベースカバー部20は、例えば第1カバー部26から第2カバー部28まで亘るカバー材32と、カバー材32の内面32aに接着等で固定された芯材34,35とを備える。
【0030】
カバー材32は、ベースカバー部20の外面を形成する部材である。カバー材32は、例えば複数層のシートの積層体であり、全体として柔軟性を有する。カバー材32は、例えば最外面を形成する表面材が人工皮革、天然皮革、或いは樹脂等で形成される。これによりカバー材32は、ベースカバー部20の外観意匠や触感を高めている。
【0031】
芯材34は、第1カバー部26のベースとなる硬質の樹脂プレートである。芯材34は、第1カバー部26の略全面に亘る矩形状を成しており、各所に部品配置や軽量化等のための凹部や切抜き部が形成されている。芯材35は、第2カバー部28のベースとなる硬質の樹脂プレートである。芯材35は、第2カバー部28の略全面に亘る台形形状を成しており、各所に部品配置や軽量化等のための凹部や切抜き部が形成されている。ベースカバー部20は、これら左右の芯材34,35間の谷間Vに位置するカバー材32が折曲カバー部27を構成している。つまり折曲カバー部27は、硬質の芯材34,35を持たず、柔軟なカバー材32で形成されることで所望の柔軟性を有する。
【0032】
第1カバー部26は、Y方向に間隔を介して並んだ一対のスライド機構36により、第1筐体12Aに対してX方向に相対移動可能に連結されている。各スライド機構36は、例えば第1筐体12Aの背面12Abに固定されたレール36aと、芯材34に固定され、レール36aに対してX方向に相対移動可能に連結されたスライダ36bとで構成されている。スライド機構36は、レール36aに対してスライダ36bが相対移動することで、第1筐体12Aに対して第1カバー部26を相対移動させることができる。レール36aとスライダ36bとの間には、第1カバー部26を先端部26aが第1筐体12Aの開放端部12Acに向かうスライド方向に常時付勢するばね36cが掛け渡されている。
【0033】
第2カバー部28は、例えば芯材35が第2筐体12Bの背面12Abに対して複数枚(図4では4枚)の両面粘着テープ38を用いて固定される。
【0034】
スタンドカバー部22は、ベースカバー部20の第2カバー部28及び第2筐体12の背面12Bbに対して相対的に回動可能に設けられている。本実施形態のスタンドカバー部22は、スタンドヒンジ24を介して第2筐体12Bの背面12Abに連結されている。スタンドカバー部22は、第2カバー部28と略線対称形状を成しており、本実施形態では平面視略台形状である。スタンドカバー部22は、第2カバー部28の縁部28aとスタンドヒンジ24を挟んで隣接する縁部22aがスタンドヒンジ24と連結される。スタンドカバー部22は、縁部22a側と逆側の先端部22bが第2筐体12Bの開放端部12Bcと一致する。
【0035】
スタンドカバー部22は、スタンドヒンジ24の回転動作により、先端部22bが背面12Bbに当接した収納位置(0度)から、背面12Bbから次第に離間する方向に移動可能である。先端部22bは、例えばベースカバー部20の表面20aに当接してそれ以上の移動が規制される位置(180度)まで移動可能である。スタンドカバー部22は、背面12Abから突出した適度な角度に設定することで、台形の下底となる底縁部22cが机面上等に当接し、携帯用情報機器10を起立姿勢に維持するスタンドとして機能する。スタンドカバー部22の構造は、第1カバー部26や第2カバー部28と略同様でよいが、外面だけでなく内面にもカバー材32と同様なカバー材32を設けておくことが好ましい。
【0036】
スタンドヒンジ24は、スタンドカバー部22をベースカバー部20及び第2筐体12Bに対して相対的に回動可能に連結する。図3及び図4に示すように、スタンドヒンジ24は、第2筐体12Bに固定された一対のブラケット24a,24aと、スタンドカバー部22に固定された一対のブラケット24b,24bとが、ヒンジ軸24cの軸周りに相対的に回動可能に連結された構成である。これによりスタンドヒンジ24は、第2筐体12B及び第2カバー部28に対してスタンドカバー部22を相対的に回動可能に支持している。
【0037】
スタンドカバー部22及びスタンドヒンジ24は省略されてもよい。この場合、カバー装置14は、例えば第2カバー部28を第2筐体12Bの背面12Bbの全面を覆うことができる形状とするとよい。
【0038】
図4に示すように、カバー装置14は、折曲カバー部27の延在方向(Y方向)で両端部にそれぞれシート状部材40を備える。図5Aは、図4に示す一方のシート状部材40及びその周辺部を拡大した模式的な平面図である。図5Bは、図5Aに示すシート状部材40の取付前の状態を示す平面図である。図5A及び図5Bは、一方のシート状部材0及びその周辺部の構成を代表的に図示しているが、他方のシート状部材40及びその周辺部の構成は図5A等に示す構成と対称構造である以外は同一又は同様な構成であるため詳細な説明を省略し、図7A等についても同様とする。
【0039】
図4及び図5Aに示すように、各シート状部材40は、折曲カバー部27をX方向に跨ぐように設けられ、折曲カバー部27に対して相対移動可能である。各シート状部材40は、X方向に対して伸縮可能な材質或いは構造で形成されているる。本実施形態のシート状部材40は、黒色の薄いゴムシートである。シート状部材40は、伸縮性を持ったファブリックや樹脂シート等でもよい。各シート状部材40は、平面視略台形形状に形成され、X方向に沿う鉛直平面に対して互いに対称形状となっている。
【0040】
一方のシート状部材40は、筐体12A,12Bの一方の側面12Ad,12Bdに面した折曲カバー部27の側縁部27aに臨んで配置されている。他方のシート状部材40は、筐体12A,12Bの他方の側面12Ae,12Beに面した折曲カバー部27の側縁部27bに臨んで配置されている。
【0041】
各シート状部材40は、X方向で一端側の第1端部40aが接着剤42aで第1カバー部26の芯材34に固定され、他端側の第2端部40bが接着剤42bで第2カバー部28の芯材35に固定され、これにより折曲カバー部27をX方向に跨いでいる。接着剤42a,42bは、粘着剤でもよい。接着剤42a,42bは、端部40a,40bのY方向に沿う幅方向で側縁部27a(27b)側の一部のみに設けられている。つまり側縁部27aに臨むシート状部材40は、端部40a,40bの側縁部27a側の角部及びその近傍のみが芯材34,35に固定され、端部40a,40bの他の部分は固定されない。側縁部27bに臨むシート状部材40は、端部40a,40bの側縁部27b側の角部及びその近傍のみが芯材34,35に固定され、端部40a,40bの他の部分は固定されない。
【0042】
各シート状部材40は、端部40a,40b間の中央部40cは接着剤で固定されず、折曲カバー部27の内面32aに対して移動自由な状態にある。
【0043】
各シート状部材40は、端部40a,40bのY方向に沿う幅方向で側縁部27a(27b)とは逆側の角部に面取り形状40d,40eを有する。このため、各シート状部材40は、側縁部27a(27b)に臨む外縁部40fよりも逆側の内縁部40gのY方向長さが短い。面取り形状40d,40eは省略されてもよい。
【0044】
図5Aに示すように、シート状部材40は、平板形態時にX方向に沿って伸長される方向の復元力Fを保持した引張状態で折曲カバー部27の内面32aに沿って配置される。つまりシート状部材40は、平板形態時には常時X方向の引張力(復元力F)を受けている。このため、シート状部材40は、ベースカバー部20に固定される前の無負荷状態では、図5Aの状態よりもX方向幅が圧縮される(図5B参照)。このようなシート状部材40の取付方法としては、図5Bに示すようにX方向に引っ張りながら接着剤42a,42bで芯材34,35に固定する方法を例示できる。
【0045】
次に、シート状部材40の作用を説明する。
【0046】
図6Aは、平板形態時のカバー装置14の模式的な側面図である。図6Bは、図6Aに示すカバー装置14を積層形態とした状態での模式的な側面図である。図6A及び図6Bは、スタンドカバー部22やスタンドヒンジ24の図示を省略し、ベースカバー部20のみを模式的に図示したものである。
【0047】
図6Aに示す平板形態時、シート状部材40は、折曲カバー部27をX方向に跨いた状態で折曲カバー部27の内面32aに沿って配置される。図6Aは芯材34,35の板厚を誇張して厚く図示しているため、シート状部材40が折曲カバー部27の内面32aから大きく浮いたように図示されている。しかしながら、実際の製品では芯材34,35の板厚は0.5~2mm程度の範囲となる。このため、シート状部材40は、折曲カバー部27の内面32aに近接又は接触した状態となる。
【0048】
筐体12A,12B間が平板形態から積層形態に変化すると、シート状部材40は、カバー部26,27の折り畳み動作に伴って端部40a,40b間が次第に接近する。このため、図6Bに示すように、シート状部材40は、積層形態時には端部40a,40b間の距離が近くなり、同時に復元力Fを受けて圧縮される。その結果、中央部40cが折曲カバー部27の内面32aから離間して浮き上がり、隣接端部12Aa,12Ba側に移動する。
【0049】
図7Aは、積層形態時の筐体12A,12Bの一方のヒンジ19及びその周辺部を拡大した模式的な斜視図である。図8Aは、図7Aに示す部分の模式的な平面図である。図7A及び図8Aはカバー装置14の図示を省略しており、図13Aについても同様である。図7Bは、図7Aに示す部分にシート状部材40が設けられた状態での模式的な斜視図である。図8Bは、図7Bに示す部分の模式的な平面図である。図7B及び図8Bはカバー装置14の各構成要素のうち、シート状部材40のみを図示し、他の構成要素の図示を省略しており、図11及び図13Bについても同様である。
【0050】
図7A及び図8Aに示すように、本実施形態の携帯用情報機器10では、背表紙部材18がヒンジ19を覆っていない。具体的には、背表紙部材18のY方向両側の各端部18aと各ヒンジ19との間には、Y方向に所定幅を持った隙間Gが形成されている。隙間Gは、主として回動動作時に背表紙部材18がヒンジ19に干渉することを防止するために設けられている。ディスプレイ16の側部は、隙間Gの奥部に位置している。他方、図2Bに示すように、本実施形態の携帯用情報機器10では、積層形態時に折曲カバー部27が円弧状に膨らみ、その内面32aと隣接端部12Aa,12Baとの間に間隙が形成される。この間隙は、側面12Ad,12Ae,12Bd,12Be側に開口した側面開口44を形成する(図2A参照)。
【0051】
このため、仮にカバー装置14がシート状部材40を持たない構成であると、積層形態時に側面開口44からヒンジ19が露呈し、携帯用情報機器10の外観品質を低下させる。また、側面開口44から隙間Gを通してディスプレイ16までが外部に連通した状態となる。その結果、側面開口44から異物等が侵入すると、この異物等が隙間Gを通ってディスプレイ16の裏面に到達する可能性ある。そうすると、携帯用情報機器10が積層形態から平板形態に開かれる際、異物がディスプレイ16と筐体12A,12Bとの間に挟まる懸念がある。
【0052】
そこで、本実施形態のカバー装置14は、折曲カバー部27の内面32aに対して相対移動可能に設けられたシート状部材40を備える。このため、図7B及び図8Bに示す積層形態時、図6Bに示すように折曲カバー部27から浮き上がったシート状部材40がヒンジ19及び隙間Gを覆い隠すように筐体12A,12Bに密着してX方向に引き伸ばされる。つまりシート状部材40が、筐体12A,12B間の回動軸方向(Y方向)から見て、折曲カバー部27の内側で隣接端部12Aa,12Baを覆うように設けられる(図2B参照)。これによりシート状部材40は、積層形態時に側面開口44からヒンジ19が露呈して外観品質を損なうことを抑制する(図2Bも参照)。さらにシート状部材40は、側面開口44から隙間Gを通して筐体12A,12B内に異物が侵入することを抑制する。このため、シート状部材40は、図7B及び図8Bに示すようにヒンジ19から背表紙部材18の端部18aまでを覆い隠すことができるY方向の幅寸法を有することが好ましい。
【0053】
本実施形態のシート状部材40は、端部40a,40bのY方向の幅方向で側面12Ad,12Ae,12Bd,12Beに面する外縁部40f側のみに接着剤42a,42bが設けられている。このため、シート状部材40は、図7B及び図9に示すようにX方向に伸長された際、外縁部40fが略直線状に伸長し、内縁部40gだけが湾曲するようにくびれて伸長する。これによりシート状部材40は、側面開口44に臨む外縁部40fがくびれないため、ヒンジ19をより確実に覆い隠すことができる(図7B及び図8B参照)。
【0054】
一方、内縁部40gは側面開口44の奥にあって外部から視認されない。このため、内縁部40gは、くびれ変形しても問題はない。なお、図7Bでは、シート状部材40がヒンジ19から背表紙部材18までを覆う状態を明示するため、内縁部40gを直線状に図示している。
【0055】
すなわち、図10に示すように、シート状部材40は、仮に端部40a,40bのY方向の幅方向全体が接着剤42a,42bで固定された構成を考えてみる。この構成のシート状部材40は、X方向に伸長された際、内縁部40gだけでなく、外縁部40fもくびれ変形する。その結果、変形した外縁部40fによってヒンジ19の一部が露呈し、この部分が側面開口44から視認される懸念がある。但し、図10に示すようなシート状部材40は、例えばヒンジ19が黒色等の目立たない色彩で形成され、或いはヒンジ19が隣接端部12Aa,12BaのY方向で中央側に配置された構成(例えば図13A及び図14B参照)等では有効に利用できる。
【0056】
他方、シート状部材40は、端部40a,40bの一部が接着剤42a,42bで固定されないため、積層形態時にこの部分が捲れ上がる懸念がある。シート状部材40の一部が捲れ上がると、他の電子部品等に干渉し、予期せぬ不具合を生じる懸念がある。この点、当該シート状部材40は、端部40a,40bの接着剤42a,42側とは逆側の角部に面取り形状40d,40eを有する。このため、図7Bに示すように、シート状部材40は、端部40a,40bの接着剤42a,42bで固定されない部分が積層形態時に捲れ上がることが抑制される(図8も参照)。
【0057】
なお、図10に示すシート状部材40のように、面取り形状40d,40eをなくした矩形状に形成し、端部40a,40bの略全体に接着剤42a,42bを設ければ、上記した捲れ上がりによる不具合の発生は抑制できる。
【0058】
図11は、第1変形例に係るシート状部材50を用いた携帯用情報機器10の積層形態時の要部を拡大した模式的な平面図である。シート状部材50において、上記したシート状部材40と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付して詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0059】
上記したシート状部材40は、ヒンジ19から背表紙部材18の端部18aまでを覆い隠すことができるY方向の幅寸法を有している(図8B参照)。一方、図11に示すシート状部材50は、ヒンジ19から隙間Gの一部までを覆うY方向の幅寸法を有する。つまりシート状部材50は、背表紙部材18を覆わない構造である。このようなシート状部材50は、積層形態時にヒンジ19を覆いつつ、隙間Gの一部を覆う。このため、シート状部材50によってもヒンジ19が露呈することが抑制される。またシート状部材50は、隙間Gの一部は閉じるため、隙間Gからの異物の侵入をある程度は抑制できる。このようなシート状部材50は、例えば背表紙部材18を持たない構成の携帯用情報機器についても有効である。
【0060】
図12は、第2変形例に係るシート状部材52を用いた携帯用情報機器10の積層形態時の要部を拡大した模式的な測面図である。
【0061】
図12に示すシート状部材52は、Y方向の幅寸法は図11に示すシート状部材50と同様であり、背表紙部材18を覆っていない。このシート状部材52は、上記したシート状部材40,50よりも復元力Fが小さいか或いは復元力Fがない状態でベースカバー部20に固定されている。このため、シート状部材52は、積層形態時に距離が縮まった端部40a,40b間で圧縮され、隣接端部12Aa,12Ba側に移動するが、ヒンジ19や筐体12A,12Bには密着しない。すなわち、シート状部材52は、積層形態時にヒンジ19や隣接端部12Aa,12Baから多少離間した位置で折曲カバー部27と略同心円状に配置される。従って、シート状部材52は、側面開口44の一部を横切るように配置されることで、側面開口44からの異物等の侵入を抑制する。つまりシート状部材52についても、筐体12A,12B間の回動軸方向(Y方向)から見て、折曲カバー部27の内側で隣接端部12Aa,12Baを覆うように配置される。シート状部材52は、ゴムのような弾性を有する素材ではなく、柔軟性を持った樹脂シートで形成されてもよい。
【0062】
図13Aは、変形例に係るヒンジ54を用いた携帯用情報機器10の積層形態時の要部を拡大した模式的な平面図である。図13Bは、図13Aに示す携帯用情報機器10にシート状部材40が設けられた状態での模式的な平面図である。
【0063】
図13Aに示すように、ヒンジ54は、隣接端部12Aa,12BaのY方向端部よりも中央側に寄った位置に配置されている。このため、この携帯用情報機器10の背表紙部材18は、側面12Ad,12Ae,12Bd,12Beに臨む位置に端部18aが配置されている。但し、筐体12A,12Bの回動動作に背表紙部材18の端部18aが干渉することを防ぐため、端部18aと側面12Ad等の内面との間には隙間Gが形成される。従って、このようなヒンジ54を用いた構成であっても、シート状部材40は、隙間Gの一部又は全部を覆うように配置されることで、側面開口44から隙間Gを通しての異物の侵入を抑制できる。図13Bに示す構成でも、シート状部材40に代えてシート状部材50,52を用いてもよい。
【0064】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0065】
上記では、シート状部材40等は、ピース部品で折曲カバー部27のY方向両端に一対設けた構成を例示した。しかしながら、シート状部材40等は、折曲カバー部27のY方向に亘って延在する1本の長尺な帯状部材で形成されてもよい。
【0066】
上記では、スタンドカバー部22を備えたカバー装置14を例示した。しかしながら、カバー装置14は、スタンド機能が不要である場合は、スタンドカバー部22を省略すればよい。
【0067】
上記では、カバー装置14は、筐体12A,12Bに一体的に固定される構成を例示した。しかしながら、カバー装置14は、携帯用情報機器10とは完全に別体の単独部品でもよく、この場合、カバー装置14は、例えば磁石やフックを用いて筐体12A,12Bに着脱可能に装着される構成でもよい。このような単独部品のカバー装置14では、スタンドカバー部22,60は、第1ブラケット31A,31Bがベースカバー部20に固定されればよい。
【0068】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な携帯用情報機器10を例示したが、折り畳み型の携帯用情報機器としては、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成を例示でき、筐体の連結数は4以上としてもよい。この場合、カバー装置14は、各筐体の全部又は一部の背面を覆う構成とすればよく、2以上が同時に利用されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 携帯用情報機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 カバー装置
16 ディスプレイ
18 背表紙部材
19,54 ヒンジ
26 第1カバー部
27 折曲カバー部
27a,27b 側縁部
28 第2カバー部
40,50,52 シート状部材
40a 第1端部
40b 第2端部
40c 中央部
42a,42b 接着剤
44 側面開口
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B