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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047847
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ウェーハの温度調節装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220317BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153856
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦
(72)【発明者】
【氏名】小室 亘
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004CA04
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA03
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB87
(57)【要約】
【課題】複数の分割領域毎に温度を良好に調節する。
【解決手段】ウェーハの温度調節装置1Aは、温度調節シート2Aと、トッププレート3とを備える。温度調節シート2Aは、複数の温度調節部21を有する。複数の温度調節部21は、同一面内で分割領域22を介して互いに分割されている。複数の温度調節部21は、それぞれ独立して温度調節可能とされている。トッププレート3は、温度調節シート2Aに積層されたプレート本体31を有する。プレート本体31は、温度調節シート2Aと反対側の面が半導体ウェーハの載置面31fとされている。トッププレート3は、断熱部32を有する。断熱部32は、温度調節シート2Aとトッププレート3との積層方向Dsから見て、プレート本体31において分割領域22に対応する位置に配置されている。断熱部32は、プレート本体31より熱伝導率が小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面内で分割領域を介して互いに分割されているとともに、それぞれ独立して温度調節可能な複数の温度調節部を有する温度調節シートと、
前記温度調節シートに積層された、前記温度調節シートと反対側の面が半導体ウェーハの載置面とされたプレート本体を有するトッププレートと、
を備え、
前記トッププレートは、
前記温度調節シートと前記トッププレートとの積層方向から見て、前記プレート本体において前記分割領域に対応する位置に配置され、前記プレート本体より熱伝導率が小さい断熱部を有する、
半導体ウェーハの温度調節装置。
【請求項2】
前記断熱部は、前記プレート本体内に形成された空間を有する請求項1に記載のウェーハの温度調節装置。
【請求項3】
前記断熱部は、前記空間内に供給又は充填され、前記プレート本体よりも熱伝導率が小さい断熱体をさらに有する請求項2に記載のウェーハの温度調節装置。
【請求項4】
前記断熱体は、流体であり、
外部から前記空間内に前記流体が供給される流体供給部と、
前記空間内から外部に前記流体を排出する流体排出部と、
をさらに備える請求項3に記載のウェーハの温度調節装置。
【請求項5】
前記流体供給部、及び前記流体排出部は、前記プレート本体から前記積層方向に延びて前記温度調節シートを貫通するよう配置されている請求項4に記載のウェーハの温度調節装置。
【請求項6】
前記載置面は、前記積層方向に交差する平滑面とされている請求項1から5の何れか一項に記載のウェーハの温度調節装置。
【請求項7】
前記温度調節シートは、前記温度調節部のそれぞれを形成する複数のシート片を有する請求項2から6の何れか一項に記載のウェーハの温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェーハを冷却する円形冷却プレートが記載されている。この円形冷却プレートは、一対の伝熱板間に複数のペルチェ素子を配設してなるサーモモジュールを備えている。そして、この特許文献1では、一対の伝熱板の形状や、複数のペルチェ素子の配置を様々に工夫することで、サーモモジュールをできるだけ密に配置し、冷却能力の向上を図ると共に、温度分布を低減できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-185051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなウェーハの温度調節を行うウェーハの温度調節装置においては、ウェーハの裏面への影響を抑えるために、ウェーハの裏面を凹凸の無い平滑面により下方から支持することが望まれている。
さらに、上記のようなウェーハの温度調節装置においては、ウェーハの温度分布低減では無く、ウェーハ面内に複数のゾーンを設定し、ゾーン毎に独立して温度調節することが要望されている。しかしながら、互いに隣り合うゾーンで温度を異ならせようとしても、隣り合うゾーンの境界付近において、ウェーハを支持する平滑面内での熱伝導により所望の温度を得られない場合がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数のゾーン毎に温度を良好に調節することができるウェーハの温度調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るウェーハの温度調節装置は、温度調節シートと、トッププレートとを備える。前記温度調節シートは、複数の温度調節部を有する。前記複数の温度調節部は、同一面内で分割領域を介して互いに分割されている。前記複数の温度調節部は、それぞれ独立して温度調節可能とされている。前記トッププレートは、前記温度調節シートに積層されたプレート本体を有する。前記プレート本体は、前記温度調節シートと反対側の面が半導体ウェーハの載置面とされている。前記トッププレートは、断熱部を有する。前記断熱部は、前記温度調節シートと前記トッププレートとの積層方向から見て、前記プレート本体において前記分割領域に対応する位置に配置されている。前記断熱部は、前記プレート本体より熱伝導率が小さい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の分割領域毎に温度を良好に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るウェーハの温度調節装置の概略構成を示す立断面図である。
図2図1のI-I線に沿う断面図である。
図3図1のII-II線に沿う断面図である。
図4】上記温度調節装置のトッププレートの平面図である。
図5】本発明の実施形態の変形例に係るウェーハの温度調節装置の概略構成を示す立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図1から図4を参照して詳細に説明する。
<ウェーハの温度調節装置>
本実施形態に係るウェーハの温度調節装置(以下、単に温度調節装置と称する)は、例えば、半導体製造装置に設置されている。この温度調節装置は、半導体製造装置においてプラズマ処理、エッチング処理等の所定の処理が施される半導体ウェーハを下方から支持する。温度調節装置は、半導体ウェーハを、所定の処理に適した温度に調節する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るウェーハの温度調節装置の概略構成を示す立断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る温度調節装置1Aは、半導体製造装置のチャンバー5に支持されている。温度調節装置1Aは、チャンバー5の内部である上部空間6Aとチャンバー5の外部である下部空間6Bとを区画している。上部空間6Aは、温度調節装置1Aに対して上下方向Dvの上方に配置されている。下部空間6Bは、温度調節装置1Aに対して上下方向Dvの下方に配置されている。本実施形態において、例えば、上部空間6Aは、所定の処理に適した真空度に真空引きされている。
【0010】
温度調節装置1Aは、温度調節シート2Aと、トッププレート3と、クーリングプレート8と、を備えている。これら温度調節シート2Aと、トッププレート3と、クーリングプレート8とは、上下方向Dvに積層して配置されている。
【0011】
図2は、図1のI-I線に沿う断面図である。
図2に示すように、本実施形態において、上下方向Dv(図2の紙面に直交する方向)から見た温度調節シート2Aの輪郭は、例えば円形をなしている。温度調節シート2Aは、複数の温度調節部21を有している。本実施形態における複数の温度調節部21は、温度調節シート2Aとトッププレート3との積層方向Ds(上下方向Dv)に直交する同一面(水平面)内で、分割領域22を間に挟むようにして互いに離間している。本実施形態において、複数の温度調節部21は、例えば、内周温度調節部21Aと、中間温度調節部21B,21Cと、外周温度調節部21D~21Gと、を有している。
【0012】
内周温度調節部21Aは、上下方向Dvから見て、温度調節シート2Aの円形の中央部に配置されている。本実施形態で例示する内周温度調節部21Aは、上下方向Dvから見て、円形をなしている。
【0013】
中間温度調節部21B,21Cは、内周温度調節部21Aに対し、温度調節シート2Aの径方向Drの外側に配置されて、温度調節シート2Aを囲むように配置されている。具体的には、本実施形態における中間温度調節部21B,21Cは、それぞれ半円弧状に形成されている。そして、これら半円弧状の中間温度調節部21B,21Cが、周方向Dcに並んで概略円環状をなしている。
【0014】
内周温度調節部21Aと、中間温度調節部21B,21Cとは、温度調節シート2Aの周方向Dcに連続する円環状の第一分割領域22Pを介して、径方向Drで互いに離間している。また、周方向Dcにおいて、中間温度調節部21Bと、中間温度調節部21Cとは、それぞれ第二分割領域22Qを介して、互いに間隔を空けて配置されている。各第二分割領域22Qは、径方向Drに延び、第一分割領域22Pと、後述する第三分割領域22Rとを接続している。
【0015】
外周温度調節部21D~21Gは、中間温度調節部21B、21Cに対し、中間温度調節部21B,21Cの径方向Drの外側に配置されて、中間温度調節部21B、21Cを囲むように配置されている。具体的には、本実施形態における外周温度調節部21D~21Gは、それぞれ円弧状に形成されている。そして、これら円弧状の外周温度調節部21D~21Gが周方向Dcに並んで概略円環状をなしている。これら外周温度調節部21D~21Gは、温度調節シート2Aの最外周部に配置されている。
【0016】
中間温度調節部21B、21Cと、外周温度調節部21D~21Gとは、周方向Dcに連続する円環状の第三分割領域22Rを介して、径方向Drで互いに離間している。また、周方向Dcで隣り合う外周温度調節部21D~21Gは、周方向Dcに間隔を空けて配置された四つの第四分割領域22Sを介して、互いに離間している。各第四分割領域22Sは、第三分割領域22Rから径方向Drの外側に延びている。
【0017】
複数の温度調節部21(内周温度調節部21A、中間温度調節部21B、21C、外周温度調節部21D~21G)のそれぞれは、例えば、ペルチェ素子から成るか、又はペルチェ素子を内蔵したシート片23によって形成されている。すなわち、温度調節シート2Aは、所定形状を有した複数のシート片23を備えている。温度調節シート2Aは、複数のシート片23を、互いに間隔を空けて配置することで、上記第一分割領域22P、第二分割領域22Q、第三分割領域22R、第四分割領域22Sを形成している。
【0018】
複数の温度調節部21のそれぞれ(シート片23)は、外部のコントローラ(図示無し)によって、その温度が調節可能となっている。コントローラ(図示無し)は、例えば、各温度調節部21(シート片23)のペルチェ素子への通電を制御して、複数の温度調節部21を、それぞれ独立して温度調節(温度調節)可能としている。
【0019】
クーリングプレート8は、図1に示すように、温度調節シート2Aに対し、上下方向Dvの下側に積層されている。つまり、本実施形態におけるクーリングプレート8は、積層方向Dsにおいてトッププレート3とは反対側に配置されている。クーリングプレート8は、例えば、銅、アルミ等の金属、樹脂、またはセラミックから形成されている。クーリングプレート8は、温度調節シート2Aの下面に密着して配置されている。クーリングプレート8は、温度調節シート2Aから上下方向Dvの下側に放出される熱を吸収する。
【0020】
トッププレート3は、温度調節シート2Aに対し、上下方向Dvの上側に積層されている。つまり、本実施形態におけるトッププレート3は、積層方向Dsにおいてクーリングプレート8とは反対側に配置されている。言い換えれば、トッププレート3の下面は、温度調節シート2Aの上面に接している。このトッププレート3は、プレート本体31と、断熱部32と、を有している。
【0021】
図3は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図3に示すように、本実施形態において、上下方向Dv(図3の紙面に直交する方向)から見たプレート本体31の輪郭は、例えば円形をなしている。このプレート本体31は、温度調節シート2Aの全体を上方から覆うように形成されている(図2参照)。プレート本体31は、例えば、アルミニウム合金、セラミックス等の材料から形成されている。温度調節シート2Aと反対側のプレート本体31の面は、半導体ウェーハの載置面31fとされている。載置面31fは、積層方向Dsに交差(直交)し、溝や凹部等が形成されていない平滑面とされている。
【0022】
図1図3に示すように、断熱部32は、プレート本体31の内部に形成されている。断熱部32は、温度調節シート2Aとトッププレート3との積層方向Ds(上下方向Dv)から見て、分割領域22に対応する位置(言い換えれば、上下方向Dvで重なる位置)に配置されている。本実施形態における断熱部32は、空間33と、断熱体34と、流体供給部36と、流体排出部37と、を有している。
【0023】
空間33は、プレート本体31の内部に形成されている。すなわち、空間33は、プレート本体31の載置面31f、及びその反対側で温度調節シート2Aに対向する対向面31gに露出(開口)していない。空間33は、プレート本体31の載置面31f、対向面31gのそれぞれに対し、積層方向Dsに所定の間隔を空けて形成されている。この空間33は、プレート本体31内で、積層方向Dsに直交する水平面に沿う方向に連続して形成されている。本実施形態における空間33は、積層方向Ds(上下方向Dv)から見て、プレート本体31の内部のうち、分割領域22に重なる位置に形成されている。空間33は、第一空間33Pと、第二空間33Qと、第三空間33Rと、第四空間33Sと、を有している。
【0024】
第一空間33Pは、積層方向Dsから見て円環状で、第一分割領域22Pに重なる位置に形成されている。
【0025】
第二空間33Qは、径方向Drに延びている。第二空間33Qは、周方向Dcに間隔を空けた二箇所に配置されている。本実施形態における第二空間33Qは、径方向Drに延びる互いの延長線上に配置されている。第二空間33Qは、積層方向Dsから見て第二分割領域22Qに重なる位置に形成されている。第二空間33Qは、第一空間33Pと、後述する第三空間33Rとを連通している。
【0026】
第三空間33Rは、積層方向Dsから見て円環状をなし、第三分割領域22Rに重なる位置に形成されている。
【0027】
第四空間33Sは、第三空間33Rから径方向Drの外側に延びている。第四空間33Sは、周方向Dcに間隔を空けた四箇所に配置されている。第四空間33Sは、積層方向Dsから見て、第四分割領域22Sに重なる位置に形成されている。
【0028】
断熱体34は、空間33に配される。本実施形態において、断熱体34として、例えば、液状やガス状の流体を用いることができる。流体から成る断熱体34は、温度調節装置1Aの外部から供給され、空間33を満たすように流れた後に温度調節装置1Aの外部に排出される。断熱体34としては、プレート本体31より熱伝導率が小さい材料、例えば、空気、窒素ガス、不活性ガス、水、フッ素系冷媒等の液体を用いることができる。
【0029】
図4は、上記温度調節装置のトッププレートの平面図である。
トッププレート3は、積層方向Ds(図4の紙面に直交する方向)から見て、上記断熱部32により、図1図4に示す複数のゾーンSに区分されている。これら複数のゾーンSは、積層方向Dsから見て、図2に示した複数の温度調節部21(内周温度調節部21A、中間温度調節部21B、21C、外周温度調節部21D~21G)のそれぞれに対応して(言い換えれば、上下方向Dvに重なって)いる。すなわち、複数のゾーンSとして、内周温度調節部21Aに対応する内周ゾーンS1と、中間温度調節部21B,21Cに対応する中間ゾーンS2,S3と、外周温度調節部21D~21Gに対応する外周ゾーンS4~S7と、が設けられている。
【0030】
流体供給部36は、温度調節装置1Aの外部から空間33内に、断熱体34である流体を供給する。流体排出部37は、空間33内から温度調節装置1Aの外部に、断熱体34である流体を排出する。流体供給部36の一端と流体排出部37の一端とは、それぞれ空間33に連通している。流体供給部36の他端と流体排出部37の他端とは、それぞれ温度調節装置1Aの外部に向かって開口している。
【0031】
本実施形態における流体供給部36及び流体排出部37は、それぞれ、プレート本体31に形成された空間33から、積層方向Ds(上下方向Dv)の下方に延びている。本実施形態における流体供給部36及び流体排出部37は、それぞれ第四空間33Sに連通するよう配置されている。流体供給部36及び流体排出部37は、温度調節シート2Aとクーリングプレート8とを、積層方向Dsに貫通し、クーリングプレート8の下面に開口している。
【0032】
流体供給部36には、外部からポンプ(図示無し)等によって断熱体34を送り込む送給管(図示無し)が接続されている。また、流体排出部37には、断熱体34を外部に排出する排出管(図示無し)が接続されている。
なお、流体供給部36から空間33内に送り込む断熱体34は、その温度、圧力、流量等を適宜調節可能とする構成としてもよい。その場合、外部に、断熱体34の温度を調節する熱交換器、ポンプ等を備えるようにしてもよい。
【0033】
<作用効果>
上記の温度調節装置1Aでは、それぞれ独立して温度調節可能な複数の温度調節部21を有している。そのため、トッププレート3のプレート本体31の載置面31f上に載置された半導体ウェーハを、複数のゾーンSごとに、互いに異なる所望の温度で温度調節することができる。また、トッププレート3は、温度調節シート2Aの分割領域22に対応する位置に配置された断熱部32を有している。そのため、トッププレート3において、温度調節シート2Aの一の温度調節部21から一のゾーンSに伝わった熱が、他の温度調節部21からの熱が伝わる他のゾーンSに移動することを抑えられる。よって、複数のゾーンS毎に温度を良好に調節することができる。
【0034】
また、上記の温度調節装置1Aでは、断熱部32が空間33を有している。これにより、トッププレート3の内部において、複数の温度調節部21に対してそれぞれ積層方向Dsで対応する複数のゾーンSのうち、隣り合うゾーンS間における熱伝導を抑えることができる。
【0035】
また、上記の温度調節装置1Aでは、プレート本体31よりも熱伝導率が小さい断熱体34が空間33内に存在している。これにより、トッププレート3の隣り合うゾーンS間における熱伝導を、より一層抑えることができる。
【0036】
また、上記の温度調節装置1Aでは、外部から流体供給部36を介して、空間33に断熱体34としての流体を送り込み、空間33を流れた断熱体34としての流体を流体排出部37から排出させている。これにより、複数の温度調節部21の熱による断熱体34の温度変化を抑えることができる。したがって、トッププレート3の複数のゾーンS間における熱伝達を、より効率的に抑えることができる。
【0037】
また、上記の温度調節装置1Aでは、流体供給部36及び流体排出部37を積層方向Dsに延ばして温度調節シート2Aを貫通させている。そのため、断熱体34としての流体を、半導体ウェーハの載置面31fとは反対側から空間33に出し入れすることができる。また、流体により、空間33に臨むゾーンSとの間で交換した熱を、積層方向Dsに移動させることができる。
【0038】
また、上記の温度調節装置1Aでは、載置面31fを平滑面としている。そのため、ウェーハの裏面への影響を少なくできるとともに、載置面31fに溝等を形成した場合にように、溝等に異物などが入り込むことがないため、載置面31fの清掃やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0039】
さらに、上記の温度調節装置1Aでは、温度調節シート2Aが、温度調節部21のそれぞれを形成する複数のシート片23を有している。そのため、互いに隣り合うシート片23同士を、間隔を空けて配置すれば、分割領域22を容易に形成することもできる。
【0040】
(上記実施形態の変形例)
図5は、本発明の実施形態の変形例に係るウェーハの温度調節装置の概略構成を示す立断面図である。
上記実施形態では、温度調節シート2Aとして、ペルチェ素子を用いる構成としたが、これに限られない。
例えば、図5に示すように、温度調節装置1Bの温度調節シート2Bとして、電熱ヒーター28を用いるようにしても良い。電熱ヒーター28は、複数のシート片29を有している。各シート片29は、図2に示した上記実施形態の温度調節シート2Aと同様、それぞれ独立して温度調節可能とされた複数の温度調節部21を形成している。各シート片29は、互いに間隔を空けて配置されることで、複数の温度調節部21は、同一面内で分割領域22を介して互いに離間している。
【0041】
電熱ヒーター28を備える場合、電熱ヒーター28に対し、上下方向Dvの下方に間隔を空けて、パージプレート50を配置するようにしてもよい。これにより、電熱ヒーター28と、パージプレート50との間に、パージ空間51が形成されている。電熱ヒーター28の降温時に、このパージ空間51に外部から空気をパージすることで、電熱ヒーター28の降温を効率良く行うことができる。
【0042】
また、パージプレート50を設ける場合、流体供給部36、流体排出部37は、管状とし、温度調節シート2Bからパージ空間51、及びパージプレート50を貫通して設けるようにしてもよい。
【0043】
(その他の変形例)
上記実施形態、及びその変形例では、温度調節シート2A、2Bを構成する複数の温度調節部21を、内周温度調節部21Aと、中間温度調節部21B、21Cと、外周温度調節部21D~21Gと、に分割するようにしたが、これに限られない。温度調節シート2Aを構成する複数の温度調節部21の数、分割パターンは、適宜変更可能である。
さらに、温度調節シート2Aにおいて、第一分割領域22P、第二分割領域22Q、第三分割領域22R、第四分割領域22Sを設ける場合について説明したが、これら第一分割領域22P、第二分割領域22Q、第三分割領域22R、第四分割領域22Sを省略し、周方向Dc及び径方向Drで隣り合う第一分割領域22P、第二分割領域22Q、第三分割領域22R、第四分割領域22Sをそれぞれ隣接させてもよい。
【0044】
また、空間33を、プレート本体31の載置面31f、及び対向面31gに露出(開口)しないようにしたが、これに限られない。例えば、空間33を、対向面31gに開口させて、温度調節シート2Aの分割領域22に連通させるようにしてもよい。この場合、断熱体34を、空間33だけでなく、分割領域22にも供給又は充填するようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では空間33が一つだけ設けられている場合を例示したが、これに限られない。例えば、空間33は、複数に分割されていてもよい。
また、上記実施形態では、一つの空間33に対して流体供給部36と流体排出部37とを一つずつ設ける場合を例示したが、これに限られない。例えば、一つの空間33に対して、複数の流体供給部36と、複数の流体排出部37とを、それぞれ設けるようにしてもよい。
【0046】
また、プレート本体31に単一の空間33を設ける場合について説明したが、プレート本体31に互いに連通されていない複数の空間33を設け、それぞれの空間33に対して断熱体34を供給及び排出するようにしてもよい。
【0047】
また、断熱部32として、流体から成る断熱体34を、温度調節装置1Aの外部から供給するようにしたが、これに限られない。例えば、流体からなる断熱体34を、単に空間33に充填(言い換えれば、封入)するようにしてもよい。また、断熱部32として、断熱性を有した、例えば炭素繊維等の固体状の断熱材料により、空間33内を満たしてもよい。また、空間33内を真空ポンプ等により真空引きした大気圧よりも低い圧力の気体を断熱部32として用いてもよい。また例えば、空間33を上部空間6Aに連通させてもよい。これにより、空間33内を上部空間6Aと同様に真空状態にして断熱部32を構成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1A、1B…ウェーハの温度調節装置 2A、2B…温度調節シート 3…トッププレート 5…チャンバー 6A…上部空間 6B…下部空間 8…クーリングプレート 21…温度調節部 21A…内周温度調節部 21B、21C…中間温度調節部 21D、21E、21F、21G…外周温度調節部 22…分割領域 22P…第一分割領域 22Q…第二分割領域 22R…第三分割領域 22S…第四分割領域 23…シート片 28…電熱ヒーター 29…シート片 31…プレート本体 31f…載置面 31g…対向面 32…断熱部 33…空間 33P…第一空間 33Q…第二空間 33R…第三空間 33S…第四空間 34…断熱体 36…流体供給部 37…流体排出部 50…パージプレート 51…パージ空間 Dc…周方向 Dr…径方向 Ds…積層方向 Dv…上下方向 S…ゾーン S1…内周ゾーン S2、S3…中間ゾーン S4、S5、S6、S7…外周ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5