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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047866
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】測定装置及び結線設定表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/06 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
G01R21/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153883
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】滝口 真也
(72)【発明者】
【氏名】依田 元
(57)【要約】
【課題】 結線モードの選択肢をコンパクトに表示することができる測定装置及び結線設定表示方法を提供すること。
【解決手段】 電圧信号入力部と電流信号入力部を有する複数のチャンネルを備えた入力部2と、複数のチャンネルの組み合わせと複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとの関連付けを記憶する記憶部4と、複数のチャンネルおよび複数の結線モードのうち一方を行、他方を列としたマトリックスを表示する表示部6と、マトリックスのセルに対して関連付けにかかる結線モードを設定する操作部5と、表示部6に、設定されたマトリックスのセルに関連付けが設定されている旨を表示させる表示制御部34とを有する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧信号入力部と電流信号入力部を有する複数のチャンネルを備えた入力部と、
前記複数のチャンネルの組み合わせと前記複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとの関連付けを記憶する記憶部と、
前記複数のチャンネルおよび複数の結線モードのうち一方を行、他方を列としたマトリックスを表示する表示部と、
前記マトリックスのセルに対して前記関連付けにかかる結線モードを設定する操作部と、
前記表示部に、前記設定された前記マトリックスのセルに前記関連付けが設定されている旨を表示させる表示制御部とを有する、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記表示制御部は前記関連付けが設定されている旨として結線モードを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記結線モードの関連付けには、少なくとも1チャンネル1結線モード、2チャンネル1結線モード、3チャンネル1結線モードがあり、
前記各セルには、前記1チャンネル1結線モードが設定された場合には1セルの領域内に前記関連付けが設定されている旨が表示され、前記2チャンネル1結線モードが設定された場合には2セルを合わせた領域内に前記関連付けが設定されている旨が表示され、前記3チャンネル1結線モードが設定された場合には3セルを合わせた領域内に前記関連付けが設定されている旨が表示される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記表示制御部は前記マトリックスの複数のチャンネルの表示方向と平行に結線モードに必要なチャンネル数を表示させる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
電圧信号入力部と電流信号入力部を有する複数のチャンネルを備えた入力部を有する測定装置における結線設定表示方法であって、
前記複数のチャンネルの組み合わせと前記複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとの関連付けを記憶する記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記複数のチャンネルおよび複数の結線モードのうち一方を行、他方を列としたマトリックスを表示する表示部に表示する表示ステップと、
前記マトリックスのセルに対して前記関連付けにかかる結線モードを、操作入力部を介して設定する設定ステップと、
前記表示部に、前記設定された前記マトリックスのセルに前記関連付けが設定されている旨を表示させる表示制御ステップとを有する、
ことを特徴とする結線設定表示方法。
【請求項6】
前記表示制御ステップは、前記関連付けが設定されている旨として結線モードを表示させる処理を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の結線設定表示方法。
【請求項7】
前記結線モードの関連付けには、少なくとも1チャンネル1結線モード、2チャンネル1結線モード、3チャンネル1結線モードがあり、
前記表示制御ステップは、前記各セルに対して、前記1チャンネル1結線モードが設定された場合には1セルの領域内に前記関連付けが設定されている旨を表示させ、前記2チャンネル1結線モードが設定された場合には2セルを合わせた領域内に前記関連付けが設定されている旨を表示させ、前記3チャンネル1結線モードが設定された場合には3セルを合わせた領域内に前記関連付けが設定されている旨を表示させる処理を有する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の結線設定表示方法。
【請求項8】
前記表示制御ステップは、前記マトリックスの複数のチャンネルの表示方向と平行に結線モードに必要なチャンネル数を表示させる処理を有する、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の結線設定表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置及び結線設定表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
線電流および線間電圧を1チャンネル分ずつ入力可能に構成された1組の電流検出端子および電圧検出端子を複数チャンネル分備え、この電流検出端子および電圧検出端子に接続された被測定回路の電力を算出して表示する測定装置として、下記特許文献1に開示されている測定装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された測定装置は、図9(a)に示すように電流入力プローブ、V/Aのレート、結線モード、結線図、確認用測定値などが表示された設定画面を表示する表示部を有している。チャンネルパターンと結線モードの設定は、測定対象である被測定回路に合わせて行われる。ここで、チャンネルパターンとは複数のチャンネルの内、使用するチャンネルの組み合わせであり、結線モードとは、電力測定方法であり、被測定回路と測定装置の接続方法(結線)および電力計算方法を示す。なお、結線モードの種類には、単相2線(1P2W)、単相3線(1P3W)、三相3線(3P3W、3P3W2M、3V3A、3P3W3M)、三相4線(3P4W)などがあり、カッコ内の表記は製造者によって異なる場合もあるが、以下では上記のような表記で説明することとする。
【0004】
なお、図9(a)の例は、チャンネルパターンに対応する結線モードとその結線モードに対応する結線を示す接続図とが表示されている例である。図9(b)の例は、チャンネルパターンのドロップダウンリストが表示された例である。
【0005】
チャンネルパターンおよび結線モードの設定は2段階で行われる。まず、第1段階として、あらかじめ決められたチャンネルの組み合わせを示すチャンネルパターンの選択が行われ、第2段階として、それらチャンネルパターンにおける各チャンネルの組み合わせに対応する結線モードの選択が行われる。第1段階においては、設定画面には、複数のチャンネルパターンが設定画面にドロップダウンリストとして表示され、そのリストの中から選択して設定が完了する。具体的には、設定画面のドロップダウンボタン(図9(a)の[+]ボタン)をクリック(タッチ)して結線モードのドロップダウンリスト(図9(b))を開き、そのドロップダウンリストの中から所望の結線モードを選択する。設定終了後に、設定画面には、複数の結線モードが設定画面に表示され、その結線モードの下方に対応する結線を示す接続図(図10)が表示される。
【0006】
例えば、第1段階において、「1P2W 1P2W 1P2W 1P2W 1P2W 1P2W」のチャンネルパターンを選択した場合は、1チャンネルごと使用することになり、「1P3W/3P3W2M 1P2W 1P2W 1P2W 1P2W」のチャンネルパターンを選択した場合は、CH1とCH2を組み合わせて(第2段階で1P3Wまたは3P3W2Mの結線モードが選択できる)使用し他のチャンネルは1チャンネルごと使用することになる。
【0007】
このようにして、被測定回路の結線モード(単相2線、単相3線、三相3線または三相4線など)を設定画面上で選択すると、測定に使用される各チャンネルの電流検出端子および電圧検出端子が作業者によって電流検出プローブおよび電圧検出プローブを介して被測定回路に接続されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開第2010-175424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した従来技術では、チャンネル数が増加し結線モードの数も増加すると、ドロップダウンリストに載せるチャンネルパターンと結線モードの組み合わせ数が増加し、ドロップダウンリストのウインドウにすべてを表示することは現実的ではなく、一部のみ表示するようにした場合には表示切替が必要となり検索するのに時間がかかってしまう。
【0010】
したがって、本発明の課題は、結線モードの選択肢をコンパクトに表示する測定装置及び結線設定表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定装置の一側面は、電圧信号入力部と電流信号入力部を有する複数のチャンネルを備えた入力部と、複数のチャンネルの組み合わせと複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとの関連付けを記憶する記憶部と、複数のチャンネルおよび複数の結線モードのうち一方を行、他方を列としたマトリックスを表示する表示部と、マトリックスのセルに対して関連付けにかかる結線モードを設定する操作部と、表示部に、設定されたマトリックスのセルに関連付けが設定されている旨を表示させる表示制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、チャンネルと結線モードのマトリックスのセルに関連付けが設定されている旨を表示(セル内に色を付けたり、セルに太枠をつけたり)することで、設定をコンパクトに表示できる。また、マトリックスの各セルに対し設定操作(タッチパネルならタッチ、通常のディスプレイならマウスでのクリックなど)すれば設定できるので、簡単に設定できる。
【0013】
また、本発明の測定装置の他の側面は、表示制御部が、関連付けが設定されている旨として結線モードを表示させることを特徴とする。したがって、マトリックスのセルに結線モードを表示させることで、セル内を見ればチャンネルにどのような結線モードが表示されているか分かるため、設定されている内容がわかりやすくなる。
【0014】
また、本発明の測定装置の他の側面は、結線モードの関連付けには、少なくとも1チャンネル1結線モード、2チャンネル1結線モード、3チャンネル1結線モードがあり、各セルには、1チャンネル1結線モードが設定された場合には1セルの領域内に関連付けが設定されている旨が表示され、2チャンネル1結線モードが設定された場合には2セルを合わせた領域内に関連付けが設定されている旨が表示され、3チャンネル1結線モードが設定された場合には3セルを合わせた領域内に関連付けが設定されている旨が表示されることを特徴とする。したがって、組み合わせた2チャンネルまたは3チャンネルを一度に設定および表示することができるため、早く設定できる。
【0015】
また、本発明の測定装置の他の側面は、表示制御部が、マトリックスの複数のチャンネルの表示方向と平行に結線モードに必要なチャンネル数を表示させることを特徴とする。したがって、結線モードに必要なチャンネル数を表示させることで、結線モードを選択したときに費やされるチャンネルの数が分かるため、結線モードのチャンネルに対する振り分けがしやすくなる。
【0016】
また、本発明の結線設定表示方法の一側面は、電圧信号入力部と電流信号入力部を有する複数のチャンネルを備えた入力部を有する測定装置における結線設定表示方法であって、複数のチャンネルの組み合わせと複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとの関連付けを記憶する記憶部に記憶する記憶ステップと、複数のチャンネルおよび複数の結線モードのうち一方を行、他方を列としたマトリックスを表示する表示部に表示する表示ステップと、マトリックスのセルに対して関連付けにかかる結線モードを、操作入力部を介して設定する設定ステップと、表示部に、設定されたマトリックスのセルに関連付けが設定されている旨を表示させる表示制御ステップとを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の結線設定表示方法の他の側面は、表示制御ステップが、関連付けが設定されている旨として結線モードを表示させる処理を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の結線設定表示方法の他の側面は、結線モードの関連付けには、少なくとも1チャンネル1結線モード、2チャンネル1結線モード、3チャンネル1結線モードがあり、表示制御ステップが、各セルに対して、1チャンネル1結線モードが設定された場合には1セルの領域内に関連付けが設定されている旨を表示させ、2チャンネル1結線モードが設定された場合には2セルを合わせた領域内に関連付けが設定されている旨を表示させ、3チャンネル1結線モードが設定された場合には3セルを合わせた領域内に関連付けが設定されている旨を表示させる処理を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の結線設定表示方法の他の側面は、表示制御ステップが、マトリックスの複数のチャンネルの表示方向と平行に結線モードに必要なチャンネル数を表示させる処理を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の測定装置及び結線設定表示方法によれば、結線モードの選択肢をコンパクトに表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る測定装置の構成を示した図である。
図2】制御部の内部構成を示した図である。
図3】設定前における表示部の表示画面を示す図である。
図4】設定中における表示部の表示画面を示す図である。
図5】設定終了後における表示部の表示画面を示す図である。
図6】表示部の画面の構造を示した図である。
図7】画面を構成するセルの構造を示した図である。
図8】画面を構成するセルの状態遷移の処理について説明するためのフローチャートである。
図9】(a)は従来の設定時における表示部の表示画面の一例を示す図であり、(b)は従来の設定時における表示部の表示画面の他の例を示す図である。
図10】従来の設定時における表示部の表示画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図1を参照して本発明に係る測定装置の一実施の形態について説明する。
【0023】
[測定装置の構成]
測定装置1は、図1に示すように、入力部2、制御部3、記憶部4、入力操作部5および表示部6を備え、被測定回路の電力を計測可能に構成されている。入力部2は、被測定回路の線電流Iおよび線間電圧Uを1チャンネル分ずつ入力可能に構成された後述する1組の電流検出端子および電圧検出端子を複数チャンネル分備えると共に、各チャンネルの電流検出端子および電圧検出端子を介して入力された信号を所定のサンプリング周期でサンプリングしてディジタルデータに変換して出力するA/D変換器(図示せず)を備えて構成されている。また、一例として、入力部2は、各チャンネルの電流検出端子に電流検出プローブ27が接続可能に構成されると共に、電圧検出端子に電圧検出プローブ31が接続可能に構成されている。この場合、電流検出プローブは、検出した線電流をその電流値に応じて振幅が変化する電圧に変換して出力する。このため、電流検出プローブ27を介して各電流検出端子に入力される信号は電圧となるが、この電圧は上記したように電流検出プローブ27によって検出された線電流を示すものであるため、以下では、発明の理解を容易にするため、各電流検出端子に入力される信号は線電流Iであるとして説明する。なお、電流検出プローブ27および電圧検出プローブ31を使用する構成に代えて、後述する各チャンネルの電流検出端子11,13,15,17,19,21,23,25および電圧検出端子12,14,16,18,20,22,24,26を被測定回路に直接接続する構成を採用することもできる。
【0024】
(入力部)
入力部2は、図1に示すように、電流検出プローブ27が接続される電流検出端子と電圧検出プローブ31が接続される電圧検出端子の組を8チャンネル分備えている。入力部2には、第1チャンネルCH1における電流検出端子11および電圧検出端子12の組から線電流I1および線間電圧U1が入力され、第2チャンネルCH2における電流検出端子13および電圧検出端子14の組から線電流I2および線間電圧U2が入力され、第3チャンネルCH3における電流検出端子15および電圧検出端子16の組から線電流I3および線間電圧U3が入力され、第4チャンネルCH4における電流検出端子17および電圧検出端子18の組から線電流I4および線間電圧U4が入力され、第5チャンネルCH5における電流検出端子19および電圧検出端子20の組から線電流I5および線間電圧U5が入力され、第6チャンネルCH6における電流検出端子21および電圧検出端子22の組から線電流I6および線間電圧U6が入力され、第7チャンネルCH7における電流検出端子23および電圧検出端子24の組から線電流I7および線間電圧U7が入力され、第8チャンネルCH8における電流検出端子25および電圧検出端子26の組から線電流I8および線間電圧U8が入力される。また、線電流I1~I8については、特に区別しないときには「線電流I」ともいい、線間電圧U1~U8については、特に区別しないときには「線間電圧U」ともいう。
【0025】
入力部2は、チャンネルCH1~CH8のそれぞれの電流検出端子に電流検出プローブ27を介して入力された線電流Iと、各チャンネルの電圧検出端子に電圧検出プローブ31を介して入力された線間電圧Uとを、A/D変換器でディジタルデータ(線電流Iについては電流データDi、線間電圧Uについては電圧データDu)にそれぞれ変換して、どのチャンネルのどのディジタルデータであるかを識別可能な状態で出力する。
【0026】
(表示部)
表示部6は、LCD(LiquidCrystalDisplay)などのディスプレイ装置であり、画面6aと後述する画像メモリ(図示せず)を有して構成されている。画面6aには、第1の遷移画面としてチャンネルの列と結線モードの行からなる設定のためのマトリックス画像が表示され、第2の遷移画面として被測定回路の配線状態を示す接続図画像、各チャンネルに接続された各電流検出プローブ27と各電圧検出プローブ31の被測定回路への接続状態を示す接続図画像および電力値が表示される。したがって、表示される被測定回路の接続図に基づいて、作業者は各チャンネルの電流検出端子および電圧検出端子のこの被測定電路への具体的な接続状態を瞬時に正確に把握することができる。なお、マトリックス画像が表示される画面6aは、ドットマトリックス型の液晶ディスプレイで、複数の信号線及び複数の走査線の各交差部に画素がマトリックス状に配置されてなる。画像メモリ(図示せず)には、このマトリックス画像を構成する各セル(画素)に対応付けられているアドレスが記憶されている。
【0027】
このマトリックス画像は、図3の例では、チャンネルの列として左からCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7、CH8の8チャンネル分が列ごとに表示され、結線モードの列として、上から1P2W、1P3W、3P3W2M、3P3W3M、3V3A、3P4Wが行ごとに表示されている。
【0028】
また、図3に、“1Unit”、“2Units”,“3Units”なる文字が表示されているが、この“Unit”は、電流検出端子25および電圧検出端子26の組から線電流Iおよび線間電圧Uなる信号を測定装置1の本体側にある制御部3に取り込むための電流/電圧入力回路(部品)であり、電流入力回路および電圧入力回路が1セットになったもので、その種類は複数ある。同じ種類の単体ユニットを2つ用いて“2Units”としてもよいし、互いに異なるユニットを1つずつ用いて“2Units”としてもよい。“1Unit”は、1チャンネル1結線モード(図3の例では、CH1-1P2W)に対応する表記であり、“2Units”は、2チャンネル1結線モード(図3の例では、CH6、CH7-3P3W2M)に対応する表記であり、“3Units”は、3チャンネル1結線モード(図3の例では、CH2、CH3、CH4-3P4W)に対応する表記である。動作としては、ユニットで信号を取得し、測定装置1の本体側にある処理部33による演算処理や表示部6による表示が行われる。なお、チャンネルは測定装置1の本体側での信号処理の単位であり、1つのチャンネルに対して1つのユニットを装着可能である。
【0029】
(制御部)
制御部3は、図2に示すように、処理部33および表示制御部34を含んで構成されている。表示制御部は、記憶部4に格納された動作プログラムに従って各チャンネルCH1~CH8のチャンネルの組み合わせパターンに対応した電力測定方法を示す結線モードの文字を、組み合わせパターンの中の各チャンネルの列と結線モードの行にあたるマス目(セル)に表示させる。処理部33は、入力部2から出力される電流データDiおよび電圧データDuに基づく電力算出処理を実行する。さらに、処理部33は、後述する複数のチャンネルの組み合わせとその複数のチャンネルに対応した結線モードを関連付けてなるチャンネル-結線モード関連付け情報(以下、「関連付け情報」と呼ぶ。)を生成し、記憶部4に記憶させる。
【0030】
(記憶部)
記憶部4は、ROMおよびRAMなどの半導体メモリで構成され、本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションが格納されているプログラムメモリの他に、複数のチャンネルの組み合わせと複数のチャンネルの組み合わせに対応する電力測定方法を示す結線モードとを関連付けてなる関連付け情報として記憶する関連付け情報メモリ、画面6a内のマトリックス画像を構成するセルを囲む枠の色、太さの情報やセル内に表示される文字フォント、色の情報、セル内の色を含む背景情報等、セルに関係する情報を記憶する画像メモリ等が設けられている。また、設定時には存在しなかった結線を新たに設定した場合にはその新規の関連付け情報を既存の関連付け情報に含める処理が実行され、その関連付け情報は記憶部4に更新登録される。
【0031】
(入力操作部)
入力操作部5は、操作パネルとして機能するマトリックス画面における各チャンネルCH1~CH8の列と結線モードの行のマス目であって結線モードを設定したいチャンネルの列とその設定したい結線モードの行にあたるマス目に対してタッチ操作を行うことによって入力操作が行われる。ここで、上記したタッチ操作としては「タップ」、「長押し」が挙げられる。ただし、上記した例はディスプレイ6aがタッチパネルディスプレイの場合であるが、これに限らず、例えばディスプレイ6aがタッチパネルディスプレイ以外のディスプレイであれば入力操作部としてキーボードやポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ等を使用してもよい。
【0032】
[チャンネル-結線モード関連付け情報の設定]
以下、図1図5を用いて、関連付け情報の設定手順について説明する。なお、入力部2の各チャンネルCH1~CH8を構成する各電流検出端子11、13、15、17、19、21、23、25には電流検出プローブ27が予め接続され、各電圧検出端子12、14、16、18、20、22、24、26には電圧検出プローブ31が予め接続されているものとする。
【0033】
まず、結線モードを設定したいチャンネルの列と設定したい結線モードの行が交差する位置にあたるマス目(セル)に対してタッチ操作を行うことによって入力操作が行われる。なお、画面6aおよび画面6aを構成するセルの構造については後述する。
【0034】
例えば、図3のように、結線モードを設定したいチャンネルがCH3、CH4(すなわち、チャンネル組み合わせがCH3、CH4)であり、チャンネルCH3、CH4に設定したい結線モードを「3P3W2M」とする。この場合、まず、チャンネルCH3の表示列と結線モード「3P3W2M」の表示行が交差するマス目に対してタッチ操作を行う。このとき入力操作部5からはチャンネル情報D1としての「CH3」の情報と、結線情報D2としての「3P3W2M」の情報とが処理部33および表示制御部34に送信される。
【0035】
このとき入力操作部5からはチャンネル情報D1として「CH4」の情報が、結線情報D2として「3P3W2M」の情報が処理部3に送信される。処理部33は、先の情報D1、D2と今回の情報D1、D2に基づいてチャンネルCH3、CH4のチャンネルパターンと結線モード「3P3W2M」とを関連付けてなる関連付け情報を生成し、その関連付け情報を記憶部4に出力する。この関連付け情報は記憶部4に記憶される。上記した関連付け情報の記憶部4への出力と同時に、表示制御部34は、タッチ操作されたセルとそのセルの結線モードに係るセルの背景色を元の背景色以外の色に変更させ、その変更された背景色の背景画像を表示部6の画面6aに表示させる(図4の例では両セル共に同一の単色となっている)。なお、上記した背景色の変更については、元のセルの背景と区別できる背景、例えば単色以外の複数色からなる画像等であってもよい。その後、パネルから指を離すと、表示制御部34は、チャンネルCH3、CH4の表示列と結線モード「3P3W2M」の表示行が交差する2つのマス目(セル)に「3P3W2M」なる文字を表示させると同時に、この「3P3W2M」が表示された2マス分の外枠を着色するように表示させる(図5参照)。
【0036】
なお、上記した説明は、チャンネルCH3、CH4と結線モード「3P3W2M」の関連付け情報を設定する処理についてであるが、チャンネルCH1と結線モード「1P2W」の関連付け情報、チャンネルCH5と結線モード「1P2W」の関連付け情報、チャンネルCH8と結線モード「1P2W」の関連付け情報、チャンネルCH6、CH7のチャンネルパターンと結線モード「3P3W2M」の関連付け情報、チャンネルCH2、CH3、CH4のチャンネルパターンと結線モード「3P4W」の関連付け情報についてはすでに上記した設定方法により設定されセル内に結線モードが表示済(枠が強調表示済)である。
【0037】
上記した設定の変更によって、以前に設定した関連付け情報と異なる場合には、その関連付け情報において余ったチャンネルは自動的に単独チャンネル用の測定方式に設定される(図5のCH2参照)。なお、余ったチャンネルが2以上ある場合には複数チャンネル用の測定方式に充てることもできる。設定変更後に設定していない(空いている)マスがあるのであれば続けて上記と同様の手順で可能な関連付け情報を設定することができる。
【0038】
以下に、設定画面の構成、画面を構成するセルの構造、設定変更機能、画面表示状態の遷移について説明する。
[設定画面の構成]
図6に画面6aの構成を示す。画面6aは、状態遷移機能を有するセル(Wiring Select Window Cell)が結線モード(Y軸方向に沿って表示されている)ごとに等間隔で並べられた列(カラム:Wiring Select Window Column(図6の点線で囲まれたブロック))をチャンネル(X軸方向に沿って表示されている)ごとに等間隔でX軸方向に沿って並べて構成されている。各列(Wiring Select Window Column:第1の列~第n(nは2以上の整数)の列)の上にはそれぞれ対応するチャンネル名(左から右方向に順にチャンネルCH1~CHn(nは2以上の整数))が表示され、第1の列の左側には結線モードの種類名が上から下に向かって順に表示されている。セル内には結線モードの文字が所定の条件で表示されるようになっている。
【0039】
[セルの構造(構成)]
画面6aを構成するセルは、図7に示すようにタッチパネル操作を受け付けるワイアリングセル(wiring Cell)、4辺の枠線(border)、セル内部着色のための着色セル(cell)および結線モードを表示するセルテキスト(cell Text)から構成されている。
【0040】
[設定変更機能]
各セルの領域内でタッチ操作されたされたとき、そのチャンネルが該当の結線モードに変更する関数(記憶部4に格納されている関数)が呼び出されその関数にしたがってシステム変数の変更処理が行われる。
【0041】
[画面の状態遷移機能]
システム変数の更新に成功すると、表示制御部34から画面6a内の各セルに更新通知が送信され、全てのセルが更新通知を受け取ると、画面6aの状態変化の処理が開始される。具体的には、各セルが自分の担当チャンネルのシステム変数がどの結線モードになったか(current Wire)、2以上のチャンネルに同一結線モードがまたがっている場合のインデックス(左側から何番目か(current Wire Idx))をシステム変数から読み取り、その値に応じて状態遷移する。
【0042】
以下に、表示制御部34により行われる画面6aの状態遷移の処理について図8のフローチャートを参照して説明する。図8の「my Wire」とは自分でタッチしたセル(指定したセル)に対応する結線モードをいい、「current Wire」とはあるチャンネルに対応する結線モードをいい、「current Wire Idx」とは、あるチャンネルに対応した結線内インデックスをいう。
【0043】
図8において、まずcurrent WireがmyWireと異なっていれば(ステップS101でNo)、結線モード非表示[NO_WIRE]に遷移(ステップS101,S102)し、current WireとmyWireと同じであれば(ステップS101でYes)、ステップS103へ進む。
【0044】
ステップS103において、myWireが“1P2W”である場合には(ステップS103でYes)、1チャンネル分のセルに設定したい結線モード(この場合は“1P2W”)を表示して(ステップS104)、処理が終了する。myWireが“1P2W”でない場合には(ステップS103でNo)、ステップS105に進む。
【0045】
ステップS105において、myWireが“1P3W”または“3P3W2M”である場合には(ステップS105でYes)、同一結線モードが2チャンネル分に渡って設定されるステップS106に進み、設定したい結線モードが“1P3W”または“3P3W2M”のいずれでもない場合には(ステップS105でNo)ステップS109に進む。ステップS106において、インデックス(current Wire Idx)が“0”か否か(2チャンネル分を構成する各セルが左側にあるか否か)を判定する。インデックス(current Wire Idx)が“0”である場合には(ステップS106でYes)、2チャンネルを合わせた領域の中央に設定したい結線モードを表示し(ステップS107)、インデックス(current Wire Idx)が“0”でない(すなわち1である)場合には(ステップS106でNo)、セルテキストを非表示にして(ステップS108)処理が終了する。
【0046】
ステップS109において、myWireが“3P3W3M”、“3V3A”、“3P4W”のいずれかである場合には(ステップS109でYes)、同一結線モードが3チャンネル分に渡って設定されるステップS110に進み、myWireが“3P3W3M”、“3V3A”、“3P4W”のいずれでもない場合には(ステップS109でNo)、処理をせず(ステップS115)に終了する。ステップS110において、インデックス(current Wire Idx)が“0”か否か(3チャンネル分を構成する各セルが左側にあるか否か)を判定する。インデックス(current Wire Idx)が“0”である場合には(ステップS110でYes)、セルテキストを非表示にし(ステップS111)、インデックス(current Wire Idx)が0でない場合には(ステップS110でNo)、インデックス(current Wire Idx)が“1”か否か(3チャンネル分を構成する各セルが中央にあるか否か)を判定する(ステップS112)。ステップS112において、インデックス(current Wire Idx)が“1”である場合には(ステップS112でYes)、3チャンネル分のセルの中央に設定したい結線モードを表示し(ステップS113)、インデックス(current Wire Idx)が“1”でない場合には(ステップS112でNo)、セルテキストを非表示にして(ステップS114)処理が終了する。
【0047】
[第2の遷移画面]
上記した設定を行うときに表示される画面は設定画面(第1の遷移画面)であるが、設定が終了すると、その設定に基づく被測定回路の配線状態を示す配線状態接続図と、各チャンネルの電流検出端子および電圧検出端子についての被測定回路への接続状態を示す端子接続図とが第2の遷移画面として表示される。この第2の遷移画面は上記した背景で説明したものと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0048】
[色の変更機能]
表示制御部34によるセルの枠線の色、背景色の変更とその変更の範囲に関する表示制御は上記した状態遷移に用いられる関数とは別の関数で実行される。各セルに対してタッチ操作されたことが検知されると、表示制御部34はセルの枠線の色を変化させるとともに、設定したいチャンネル、結線モードに対応してセルの枠線幅を変化させる。指が離れたことを検知すると、表示制御部34は、セルの枠線の色と枠線幅を元の値に戻す。
【0049】
[効果]
上記した実施の形態によれば、装置の使用者はチャンネル組み合わせと結線モード(測定方式)を同時に設定することができるため、従来方式では起こり得た「測定方式の設定漏れ」が起こらない。また、チャンネル-結線モードの組み合わせパターンが数十パターンもあるような場合には、従来方式のように画面をスクロールしながら任意のチャンネル-結線モードの組み合わせを選択するような手間を発生させずに結線設定が可能となる。また、装置の使用者は任意の隣り合うチャンネルを自由に組み合わせて、直観的に結線設定を行うことができる。
【0050】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施の形態では入力部を8チャンネルの構成としているが、チャンネル数はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0051】
1 測定装置
2 入力部
3 制御部
4 記憶部
5 入力操作部
6 表示部
6a 画面
11,13,15,17,19,21,23,25 電流検出端子
12,14,16,18,20,22,24,26 電圧検出端子
27 電流検出プローブ
31 電圧検出プローブ
33 処理部
34 表示制御部
図1
図2
図3
図4
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図10