(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047873
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】デンタルミラー
(51)【国際特許分類】
A61B 1/247 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
A61B1/247
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153892
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】509121488
【氏名又は名称】亀田 剛
(71)【出願人】
【識別番号】517241732
【氏名又は名称】株式会社考える学校
(71)【出願人】
【識別番号】520355736
【氏名又は名称】合同会社オフィス・カハラ
(71)【出願人】
【識別番号】300078280
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀田 剛
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161CC06
4C161FF40
4C161JJ06
(57)【要約】
【課題】上顎あるいは下顎の歯の裏側等を、デンタルミラーを使用する本人自身が容易に視認できるようにする。
【解決手段】カメラ部とカメラ部で撮像された画像が表示される表示面を備えた携帯機器を保持する保持部と、保持部に、一方の端部が設けられたアーム部と、アーム部の他方の端部に設けられ、カメラ部の撮像範囲内に位置するミラー面を有し、口腔内に入ることができる程度の大きさを有するミラー部と、を備えたデンタルミラーである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部と前記カメラ部で撮像された画像が表示される表示面を備えた携帯機器を保持する保持部と、
前記保持部に、一方の端部が設けられたアーム部と、
前記アーム部の他方の端部に設けられ、前記カメラ部の撮像範囲内に位置するミラー面を有し、口腔内に入ることができる程度の大きさを有するミラー部と、
を備えたデンタルミラー。
【請求項2】
前記保持部は、前記携帯機器の筐体の厚さに応じて当該携帯機器の筐体を、厚さ方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項3】
前記保持部は、前記携帯機器の筐体の横幅に応じて当該携帯機器の筐体を、横幅方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項4】
前記保持部は、前記携帯機器の筐体の縦幅に応じて当該携帯機器の筐体を、縦幅方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項5】
前記保持部は、締結部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、
請求項2から4のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項6】
前記保持部は、弾性部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、
請求項2から4のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項7】
前記保持部は、吸着部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項8】
前記保持部は、前記携帯機器に設けられたコネクタ差込口又はプラグ穴に対応して当該コネクタ差込口又はプラグ穴に差込み可能で前記携帯機器に固定される形状に形成されている、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項9】
前記保持部は、磁石と当該磁石に吸引される磁性体を含んで構成され、前記磁石及び前記前記磁性体のうち一方が前記携帯機器の筐体に固着され、前記磁石及び前記前記磁性体のうち他方が前記アーム部の前記一方の端部に設けられている、
請求項1に記載のデンタルミラー。
【請求項10】
前記アーム部は、フレキシブルに構成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項11】
前記アーム部は、伸縮可能に構成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項12】
前記アーム部は、関節によって折り畳み可能に構成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項13】
前記アーム部の一方の端部は、前記保持部に取付け可能及び当該保持部から取外し可能に構成されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項14】
前記ミラー部は、前記アーム部の他方の端部に取付け可能及び当該他方の端部から取外し可能に構成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【請求項15】
前記ミラー部は、ミラー面が凹面である広角ミラーで構成されている、
請求項1から14のいずれか一項に記載のデンタルミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンタルミラーに関し、特に口腔内を視認するに好適なデンタルミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
デンタルミラーは、口腔内の直接視認することが困難な部位、例えば上顎あるいは下顎の歯の裏側等を観察、点検等をするために用いられる。
【0003】
特許文献1には、デンタルミラーの把持部にカメラを装着して、このカメラでデンタルミラーの鏡面反射像を撮像して、撮像した画像を口腔外の受信装置に送信するという発明が記載されている。
【0004】
特許文献2には、歯のオモテ面と鏡の間に、紫光を出射する複数のLEDとバンドパスフィルタとロングパスフィルタと有する歯垢観察器を介在させ、歯のオモテ面に照射されたLED光の反射光を、バンドパスフィルタとロングパスフィルタを介して鏡に照射して、鏡に映された歯のオモテ面の垢を観察するという発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-66284号公報
【特許文献2】特開2017-86247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のデンタルミラーを使用する場合、使用者の上顎あるいは下顎の歯の裏側等を使用者本人が視認しようとすると、極めて困難な作業を伴うか、殆ど不可能である。
【0007】
本発明は、上顎あるいは下顎の歯の裏側等を使用者本人が容易に視認できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、カメラ部と前記カメラ部で撮像された画像が表示される表示面を備えた携帯機器を保持する保持部と、前記保持部に、一方の端部が設けられたアーム部と、前記アーム部の他方の端部に設けられ、前記カメラ部の撮像範囲内に位置するミラー面を有し、口腔内に入ることができる程度の大きさを有するミラー部と、を備えたデンタルミラーである。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記保持部は、前記携帯機器の筐体の厚さに応じて当該携帯機器の筐体を、厚さ方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、デンタルミラーである。
【0010】
第3の態様は、第1の態様において、前記保持部は、前記携帯機器の筐体の横幅に応じて当該携帯機器の筐体を、横幅方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、デンタルミラーである。
【0011】
第4の態様は、第1の態様において、前記保持部は、前記携帯機器の筐体の縦幅に応じて当該携帯機器の筐体を、縦幅方向に挟み込んで前記携帯機器を保持する、デンタルミラーである。
【0012】
第5の態様は、第2の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記保持部は、締結部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、デンタルミラーである。
【0013】
第6の態様は、第2の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記保持部は、弾性部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、デンタルミラーである。
【0014】
第7の態様は、第1の態様において、前記保持部は、吸着部材を用いて前記携帯機器の筐体に固定される、デンタルミラーである。
【0015】
第8の態様は、第1の態様において、前記保持部は、前記携帯機器に設けられたコネクタ差込口又はプラグ穴に対応して当該コネクタ差込口又はプラグ穴に差込み可能で前記携帯機器に固定される形状に形成されている、デンタルミラーである。
【0016】
第9の態様は、第1の態様において、前記保持部は、磁石と当該磁石に吸引される磁性体を含んで構成され、前記磁石及び前記前記磁性体のうち一方が前記携帯機器の筐体に固着され、前記磁石及び前記前記磁性体のうち他方が前記アーム部の前記一方の端部に設けられている、デンタルミラーである。
【0017】
第10の態様は、第1の態様から第9の態様のいずれかにおいて、前記アーム部は、フレキシブルに構成されている、デンタルミラーである。
【0018】
第11の態様は、第1の態様から第9の態様のいずれかにおいて、前記アーム部は、伸縮可能に構成されている、デンタルミラーである。
【0019】
第12の態様は、第1の態様から第9の態様のいずれかにおいて、前記アーム部は、関節によって折り畳み可能に構成されている、デンタルミラーである。
【0020】
第13の態様は、第1の態様から第12の態様のいずれかにおいて、前記アーム部の一方の端部は、前記保持部に取付け可能及び当該保持部から取外し可能に構成されている、デンタルミラーである。
【0021】
第14の態様は、第1の態様から第13の態様のいずれかにおいて、前記ミラー部は、前記アーム部の他方の端部に取付け可能及び当該他方の端部から取外し可能に構成されている、デンタルミラーである。
【0022】
第15の態様は、第1の態様から第14の態様のいずれかにおいて、前記ミラー部は、ミラー面が凹面である広角ミラーで構成されている、デンタルミラーである。
【発明の効果】
【0023】
第1の態様から第15の態様によれば、携帯機器の表示面に上顎あるいは下顎の歯の裏側等が表示される。このため、従来のデンタルミラーを用いた場合と比較して、使用者の上顎あるいは下顎の歯の裏側等を使用者本人自身が容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態のデンタルミラーの構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)、(B)は、デンタルミラーが携帯機器に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3(A)、(B)はそれぞれ、携帯機器のオモテ面及び裏面を示す図である。
【
図4】
図4(A)、(B)は、デンタルミラーの携帯機器への取付けを説明する図で、
図4(A)は斜視図で、
図4(B)は携帯機器の断面でみた図である。
【
図5】
図5は、実施形態のデンタルミラーの使用例を説明する図である。
【
図6】、
図6(A)、(B)はそれぞれ、携帯機器のカメラ部によって撮像された画像を例示した図である。
【
図7】
図7(A)は、U字クリップで構成された保持部を例示する図で、
図7(B)は、吸着部材で構成された保持部を例示する図である。
【
図8】
図8(A)は、コネクタ部材で構成された保持部を例示する図で、
図8(B)は、プラグ部材で構成された保持部を例示する図である。
【
図9】
図9は、磁石を含んで構成された保持部を例示する図である。
【
図10】
図10(A)は、フレキシブルチューブで構成されたアーム部を例示する図で、
図10(B)は、伸縮可能なロッド部材で構成されたアーム部を例示する図である。
【
図11】
図11(A)は、関節部材によって折り畳み可能に構成されたアーム部を例示する図で、
図11(B)は、アーム部と保持部の接続構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明に係るデンタルミラーの実施の形態について説明する。
【0026】
(デンタルミラーの構成)
【0027】
図1は、実施形態のデンタルミラー100の構成例を示す斜視図である。
【0028】
図2(A)、(B)は、デンタルミラー100が携帯機器200に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0029】
図3(A)、(B)はそれぞれ、携帯機器200のオモテ面及び裏面を示す図である。
【0030】
図3(A)、(B)に示すように、携帯機器200は、例えばスマートフォンを想定している。携帯機器200は、撮像装置としてのカメラ部250を内蔵している。携帯機器200の裏面200Bには、カメラ部250のレンズ部210と発光部220が備えられている。発光部220は、例えばLED光源であり、出射された白色光が外部に照射される。携帯機器200のオモテ面200Aには、カメラ部250で撮像した画像が表示される表示面230が備えられている。表示面230は、例えば液晶表示面である。なお、携帯機器200としては、同様の機能を有していればよく、タブレット、デジタルカメラ、PDA、携帯電話機等であってもよい。
【0031】
図1、
図2(A)、(B)に示すように、デンタルミラー100は、大きくは保持部110と、アーム部120と、ミラー部130とを含んで構成されている。
【0032】
保持部110は、携帯機器200を保持する部材である。保持部110は、携帯機器200の筐体の厚さDに応じて携帯機器200の筐体を、厚さ方向に挟み込んで携帯機器200を保持する。保持部110は、締結部材114を用いて携帯機器200の筐体に固定される。締結部材114は、例えばボルト115とナット116で構成されている。
【0033】
保持部110は、側面当接部材111と、オモテ面側挟持部材112、裏面側挟持部材113とを含んで構成される。オモテ面側挟持部材112、裏面側挟持部材113はそれぞれ、側面当接部材111を挟んで携帯機器200のオモテ面200A側、裏面200B側に配置される。オモテ面挟持部材112、裏面側挟持部材113にはそれぞれ、携帯機器200に当接する面に、パッド部材112P、113Pが設けられている。パッド部材112P、113Pは携帯機器200との密着性を高め、携帯機器200の当接面を保護するために設けられる。
【0034】
側面当接部材111の携帯機器200の側面200Cに当接される当接面111Aの幅DWは、携帯機器200の厚さDと同じかほぼ同じ大きさになるように構成されている。
【0035】
裏面側挟持部材113、側面当接部材111、オモテ面挟持部材112にはそれぞれ、ネジ115のネジ部115Aに螺合され、これら裏面側挟持部材113、側面当接部材111、オモテ面挟持部材112を貫通するネジ孔113H、111H、112Hが形成されている。ナット116は、ネジ孔113H、111H、112Hを貫通したボルト115のネジ部115Aに螺合される。
【0036】
アーム部120は、例えば軸状の部材であり、アーム部120の一方の端部120Aに保持部110が設けられている。
【0037】
アーム部120の一方の端部120Aは、保持部110に取付け可能及び保持部110から取外し可能に構成されている。アーム部120の一方の端部120Aには、例えばネジ部120Cが形成されている。保持部110には、ネジ部120Cに螺合されるネジ孔110Hが形成されている。
【0038】
アーム部120の他方の端部120Bには、ミラー部130が設けられている。アーム部120の他方の端部120Bは、ミラー部130と一体に形成されている。
【0039】
ミラー部130は、口腔内に入ることができる程度の大きさを有している。携帯機器200のレンズ部210の光軸210Lがミラー面131を通るように、ミラー部130が位置決めされている。なお、ミラー部130は、少なくともカメラ部250の撮像範囲内にミラー面131が位置するように位置決めされていればよい。
【0040】
ミラー面131は、例えばミラー部130の基材(例えば樹脂製)にアルミ、銀を蒸着することによって形成することができる。ミラー部131は、例えばミラー面131が凹面である広角ミラーで構成されている。
【0041】
(デンタルミラーの携帯機器への取付け)
【0042】
図4(A)、(B)は、デンタルミラー100の携帯機器200への取付けを説明する図で、
図4(A)は斜視図で、
図4(B)は携帯機器200の断面でみた図である。
【0043】
使用者は、ミラー部130のミラー面131に、携帯機器200のレンズ部210の光軸210Lが通るように、携帯機器200に対してデンタルミラー100を位置決めする。携帯機器200のオモテ面200A側にオモテ面側挟持部材112を位置させ、携帯機器200の裏面200B側に裏面側挟持部材113を位置させ、携帯機器200の側面200Cに側面当接部材111の当接面111Aを当接させるよう位置決めする。
【0044】
携帯機器200に対するデンタルミラー100の位置決めがなされると、裏面側挟持部材113、側面当接部材111、オモテ面挟持部材112のネジ孔113H、111H、112Hを貫通したボルト115に対してナット116が締め込まれる(
図1参照)。これによりオモテ面側挟持部材112、裏面側挟持部材113によって携帯機器200が挟み込まれ、保持部110は、携帯機器200の筐体に固定される。
【0045】
(デンタルミラーの第1の使用例)
【0046】
図5は、実施形態のデンタルミラー100の使用例を説明する図である。
【0047】
使用者は、口腔内を照射するために携帯機器200の発光部220を起動する。これにより発光部220から出射された白色光220Lによって口腔内が照射される。
【0048】
使用者は、口腔内を撮像するために携帯機器200のカメラ部250を起動する。上顎の歯の裏側等を観察、点検等をする場合には、
図2(A)に示すように、ミラー面131を上向きの状態にして、ミラー部130を口腔内に挿入する。また、下顎の歯の裏側等を観察、点検等をする場合には、
図2(B)に示すように、ミラー面131を下向きの状態にして、ミラー部130を口腔内に挿入する。この際に、ミラー面131内に上顎あるいは下顎の歯の裏側等が映るようにミラー部130を位置決めする。
【0049】
カメラ部250によってミラー面131を含む画像が撮像される。なお、静止画あるいは動画を記録したい場合には、使用者は、携帯機器200のシャッターボタンあるいは動画開始ボタンを押動操作等すると、カメラ部250によってミラー面131を含む静止画像あるいは動画像が携帯機器200の内部の図示しない記憶装置に記憶、格納される。
【0050】
カメラ部250によって撮像された画像は、携帯機器200のオモテ面200Aの表示面230に表示される。なお、カメラ部250は、ミラー面131に焦点面が一致若しくは被写界深度範囲内で焦点面がほぼ一致するように焦点を自動的に調整する。カメラ部250の焦点を手動で調整してもよい。またカメラ部250が固定焦点の場合には、ミラー面131に焦点面が一致若しくは被写界深度範囲内で焦点面がほぼ一致するように、デンタルミラー100のアーム部120の長さ等を予め設定しておくことが望ましい。
【0051】
携帯機器200のオモテ面200A側には、壁、台等に固定された固定ミラー300が設けられている。携帯機器200のオモテ面200Aの表示面230と固定ミラー300のミラー面301は対向し、ミラー面301内に、携帯機器200の表示面230の像が位置するように携帯機器200が位置決めされる。
【0052】
図6(A)、(B)はそれぞれ、携帯機器200のカメラ部250によって撮像された画像を例示した図である。
図6(A)は上顎の歯の裏側を映したミラー面131を撮像した画像を例示し、
図6(B)は下顎の歯の裏側を映したミラー面131を撮像した画像を例示する。
【0053】
携帯機器200のカメラ部250によって撮像された画像は、携帯機器200のオモテ面200Aの表示面230を介して固定ミラー300のミラー面301に映される。使用者は、固定ミラー300のミラー面301を見ることで、使用者本人の上顎あるいは下顎の歯の裏側を視認することできる。
【0054】
ミラー部130は広角ミラーで構成されているため、使用者は、口腔内の広い範囲、例えば多数の歯の裏側を観察、点検することができる。カメラ部250に、画角あるいは撮影倍率を光学的にあるいは電子的に調整する機能が備えられている場合には、画角あるいは撮影倍率を調整して、表示面230に表示される画像に対してミラー面131の像が占める割合を調整してもよい。表示画像内のミラー面131の像が大きくなるように調整することで、歯を拡大して観察、点検することができる。したがって使用者は、上顎あるいは下顎の歯の裏側等を、広い範囲で全体的に観察、点検できるだけでなく、歯を任意の拡大率で拡大して歯を個々に観察、点検することができる。
【0055】
以上のように実施形態のデンタルミラー100によれば、上顎あるいは下顎の歯の裏側等を困難な作業を伴うことなく、デンタルミラー100の使用者本人が容易に視認することができるようになる。
【0056】
なお固定ミラー300の代わりに、手鏡等の携帯可能な非固定のミラーを使用してもよい。また発光部220を備えている携帯機器200を例示して説明したが、発光部220を備えていない携帯機器に、実施形態のデンタルミラー100を取り付ける実施も可能である。この場合に、携帯機器に、LEDライト等の発光部220を取り付けて口腔内を照射してもよく、携帯機器から離れた場所に設けられたLEDライト等の発光部220から口腔内を照射してもよい。
【0057】
(デンタルミラーの第2の使用例)
【0058】
デンタルミラー100を、その使用者本人の口腔内を視認する用途ではなく、デンタルミラー100を取り扱う使用者が他者の口腔内を視認する用途に使用してもよい。
【0059】
この場合、使用者は、第1の使用例と同様に、他者の口腔内にデンタルミラー100のミラー部130を挿入して、携帯機器200のオモテ面200Aの表示面230に、他者の上顎あるいは下顎の歯の裏側を映したミラー面131を撮像した画像を表示させる。
【0060】
これにより使用者は、携帯機器200の表示面230を見ることにより、他者の上顎の歯の裏側あるいは下顎の歯の裏側の状態を観察、点検することができる。
【0061】
また第1の使用例と同様に、表示面230に表示される画像に対してミラー面131の像が占める割合を調整してもよい。これにより、使用者は、他者の上顎あるいは下顎の歯の裏側等を、広い範囲で全体的に観察、点検できるだけでなく、歯を任意の拡大率で拡大して歯を個々に観察、点検することができる。
【0062】
(デンタルミラーの第3の使用例)
【0063】
第1の使用例では、携帯機器200のカメラ部250で撮像された画像を、固定ミラー300のミラー面301に映すようにしている。しかし、携帯機器200のカメラ部250で撮像された画像を、有線または無線にて外部のパーソナルコンピュータ、テレビモニタ等に送信して、外部のパーソナルコンピュータ、テレビモニタ等の表示画面に表示してもよい。
【0064】
使用者は、携帯機器200の外部のパーソナルコンピュータ、テレビモニタ等の表示画面を見ることにより、上顎の歯の裏側あるいは下顎の歯の裏側等を観察、点検することができる。
【0065】
(デンタルミラーの第4の使用例)
【0066】
患者側の携帯機器200のカメラ部250で撮像された画像を含むデータを、インターネット等のネットワークを介して歯科医師側に設置された端末装置からアクセス可能に送信してもよい。
【0067】
これにより患者は遠隔にて歯科医師から歯の裏側を含む口腔内の健康状態に関して検診を受けることができる。
【0068】
(デンタルミラーの他の構成例)
【0069】
(保持部の他の構成例)
【0070】
図3(A)、(B)に示すように、携帯機器200の筐体は、横幅W、縦幅(高さ)Hを有している。
【0071】
保持部110としては、携帯機器200の筐体の横幅Wに応じて携帯機器200の筐体を、横幅W方向に挟み込んで携帯機器200を保持するものであってもよい。
【0072】
保持部110としては、携帯機器200の筐体の縦幅(高さ)Hに応じて携帯機器200の筐体を、縦幅(高さ)H方向に挟み込んで携帯機器200を保持するものであってもよい。
【0073】
保持部110は、弾性部材を用いて構成することができる。保持部110は、例えばプラスチック製のU字クリップ、金属製の板バネクリップ等で構成することができる。弾性力によって携帯機器200の筐体を挟み込んで携帯機器200の筐体に固定される。
【0074】
図7(A)は、U字クリップ117で構成された保持部110を例示する。
【0075】
U字クリップ117は、弾性力によって携帯機器200の筐体を厚さD方向に挟み込んで携帯機器200の筐体に固定される。
【0076】
保持部110は、吸着部材を用いて構成することができる。
【0077】
図7(B)は、吸着部材118で構成された保持部110を例示する。吸着部材118は、携帯機器200の裏面200Bに吸着されて携帯機器200の筐体に固定される。
【0078】
携帯機器200に設けられたコネクタ差込口又はプラグ穴を利用して保持部110を構成してもよい。
【0079】
図8(A)は、コネクタ部材119Aで構成された保持部110を例示する。
【0080】
携帯機器200には、USBコネクタ等のコネクタが差し込まれるコネクタ差込口201が携帯機器200の側面等に形成されたものがある。コネクタ部材119Aは、コネクタ差込口201に対応してコネクタ差込口201に差込み可能で携帯機器200に固定される形状に形成されている。コネクタ部材119Aは、コネクタ差込口201に差込まれて携帯機器200の筐体に固定される。
【0081】
図8(B)は、プラグ部材119Bで構成された保持部110を例示する。
【0082】
携帯機器200には、イヤフォンジャック等のプラグが差し込まれるプラグ穴202が携帯機器200の側面等に形成されたものがある。プラグ部材119Bは、プラグ穴202に対応してプラグ穴202に差込み可能で携帯機器200に固定される形状に形成されている。プラグ部材119Bは、プラグ穴202に差込まれて携帯機器200の筐体に固定される。
【0083】
また保持部110を、樹脂製あるいはゴム製あるいは金属製の結束バンド等の締め付け部材で構成し、携帯機器200に結束バンド等の締め付け部材を用いて締め付けることで保持部100を固定してもよい。固定方法としては、例えばインシュロック、タイラップ、コンベックス、パンタイ(いずれも登録商標)等の爪部材とバンド部材でロックする結束部材を用いることができる。また一方の面にフック、他方の面にループが設けられた面ファスナーで構成された結束部材を用いることができる。
【0084】
図9は、磁石119Cとこの磁石119Cに吸引される磁性体119Dを含んで構成された保持部110を例示する。
【0085】
磁性体119Dは、携帯機器200の裏面200Bに固着される。磁石119Cは、アーム部120の一方の端部120Aに設けられる。
【0086】
磁性体119Dは、例えば鉄等の強磁性体のプレート部材であり、両面テープ等を用いて携帯機器200の裏面200Bに固着される。このため磁石119Cによる磁力によって磁性体119Dが吸引され、保持部110が携帯機器200の裏面200Bに固定される。
【0087】
なお、磁石119Cを携帯機器200の裏面200Bに固着し、磁性体119Dをアーム部120の一方の端部120Aに設けてもよい。磁性体119Dは磁石であってもよい。
【0088】
本実施例によれば、携帯機器200にカバーやケースが装着されている場合であってもカバーやケースを介して磁力による吸引力によって携帯機器200にデンタルミラー100を装着することができる。
【0089】
(アーム部の他の構成例)
【0090】
上述した実施形態では、アーム部120を、軸状の部材で構成しているが、これに限定されるわけでなく、L字状等任意の形状で構成することができる。
【0091】
また、アーム部120は、形状変化が不可若しくは殆ど不可なリジッドに構成されているものに限定されるわけでなく、形状変化が自在で形状保持安定性を有するフレキシブルに構成してもよい。
【0092】
図10(A)は、フレキシブルチューブ121で構成されたアーム部120を例示する。
【0093】
アーム部120をフレキシブルチューブ121で構成した場合には、ミラー部130の位置、姿勢等を任意に調整することができる。これによりレンズ部210の光軸210Lをミラー面131に合わせる光軸合わせを容易に行うことができる。また
図10(A)の構成例を、上述した
図8(A)、(B)、
図9に示した構成例と組み合わせることができる。
【0094】
図10(B)は、伸縮可能なロッド部材122で構成されたアーム部120を例示する。
【0095】
アーム部120をロッド部材122で構成した場合には、ロッド部材122を伸縮させることによりレンズ部110とミラー面131の距離を変化させて、カメラ部250の焦点位置合わせを容易に行うことができる。
【0096】
図11(A)は、関節部材123によって折り畳み可能に構成されたアーム部120を例示する。
【0097】
アーム部120を、関節部材123を含んで構成した場合には、デンタルミラー100を使用しないときにアーム部120を折り畳むことができる。これにより収容性を高めることができる。たとえば常時、デンタルミラー100を携帯機器200に装着しておき、使用時にデンタルミラー100のミラー部130を使用状態の位置に引き出す用途に好適である。
【0098】
(保持部とアーム部の接続構成及びアーム部とミラー部の接続構成)
【0099】
保持部110とアーム部120は一体的に形成してもよく、
図1に例示するように、保持部110とアーム部120は互いに脱着自在に構成してもよい。同様に
図1に例示するように、保持部110とミラー部130は一体的に形成してもよく、保持部110とミラー部130は互いに脱着自在に構成してもよい。
【0100】
保持部110とアーム部120の接続構成及びアーム部とミラー部の接続構成は
図1に例示するネジ止めに限定されるわけでなく、嵌入等の任意の接続手段で構成することができる。
【0101】
図11(B)は、アーム部120の一方の端部120Aに凸部120Dを形成し、保持部110に、凸部120Dが嵌入される凹部110Dを形成した構成例を示す。
【0102】
ミラー部130を、アーム部120から取外し及び取付けが可能に構成した場合には、消耗品としてのミラー部130だけを交換することができるという利点が得られる。
【0103】
なお、実施形態では、樹脂製のミラー部130に例えばアルミ、銀を蒸着することによってミラー面131を形成する例を示した。しかし、これは一例であり、ミラー部130をガラスミラー、ステンレスミラーで構成してもよい。すなわち、ガラス面に金属等を塗布することでミラー面131を形成してもよい。またステンレスの表面を研磨することでミラー面131を形成してもよい。
【0104】
ミラー部130、ミラー面131の形状は任意であり、円形状に限定されることなく、楕円形状、四角形状等任意の形状とすることができる。またミラー部130は、ミラー面131が凹面である広角ミラーで構成される例を示したが、平面鏡、凸面鏡で構成してもよい。またミラー面131を凹面及び凸面に可変することができるように構成してもよい。例えば特開2018-33910号に示されている技術を適用し、空気圧によって鏡面コーティングされた樹脂製のミラー面131を凹ませたり膨らませたりすることで、広角から拡大までの任意の倍率の鏡面像を得るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 デンタルミラー
110 保持部
120 アーム部
130 ミラー部
131 ミラー面
200 携帯機器
210 レンズ部
230 表示面
250 カメラ部