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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047964
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220317BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220317BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20220317BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220317BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220317BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/088 E
H01L27/00 301B
H01L29/78 371
H01L27/11556
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154035
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】山阪 司祐人
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB02
5F048BB03
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD07
5F048BD10
5F048BF07
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048DA24
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER11
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA11
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR25
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH11
(57)【要約】
【課題】半導体層の性能を向上させることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、基板と、前記基板の上方に交互に設けられた複数の電極層および複数の絶縁層を含む積層膜とを備える。前記装置はさらに、前記積層膜内に設けられた第1半導体層と、前記積層膜内にて前記第1半導体層上に設けられ、単結晶半導体層を含む第2半導体層とを備える。前記装置はさらに、前記積層膜および前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に電気的に接続された配線層を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に交互に設けられた複数の電極層および複数の絶縁層を含む積層膜と、
前記積層膜内に設けられた第1半導体層と、
前記積層膜内にて前記第1半導体層上に設けられ、単結晶半導体層を含む第2半導体層と、
前記積層膜および前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に電気的に接続された配線層と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層は、第1方向に延びる管状の形状を有し、
前記第2半導体層は、前記第1方向に延びる非管状の形状を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体層は、前記第1方向に延びる管状の形状を有する第1部分と、前記管の上端に設けられた底面の形状を有する第2部分とを含み、
前記第2半導体層は、前記第1方向に延びる非管状の形状を有し、前記第1半導体層の前記第2部分上に設けられている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体層の前記第1部分内に設けられた絶縁膜をさらに備える、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体層と前記第2半導体層とを囲む管状の形状を有する電荷蓄積層をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体層は、多結晶半導体層を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体層は、n型不純物原子またはp型不純物原子を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2半導体層内の前記n型不純物原子または前記p型不純物原子の濃度は、1.0×1019cm-3以上である、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記配線層は、
前記積層膜および前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に接する第3半導体層と、
前記第3半導体層上に設けられた金属層と、
を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2半導体層は、前記第3半導体層内に突出した部分を含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の電極層は、1つ以上の第1選択線と、前記第1選択線の上方に設けられた複数のワード線と、前記ワード線の上方に設けられた1つ以上の第2選択線とを含み、
前記第2半導体層の下面は、最下位の前記第2選択線の下面と最上位の前記第2選択線の上面との間の高さに設けられている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1基板の上方に、複数の第1膜および複数の第2膜を交互に含む積層膜を形成し、
前記積層膜内に凹部を形成して、前記凹部内に前記第1基板を露出させ、
前記凹部内の前記第1基板上に、単結晶半導体層を含む第2半導体層を形成し、
前記凹部内の前記第2半導体層上に第1半導体層を形成し、
前記第1基板と第2基板とを、前記積層膜、前記第1半導体層、および前記第2半導体層を挟むように貼り合わせ、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせた後に、前記第1基板を除去して前記第2半導体層を露出させ、
露出した前記第2半導体層上に配線層を形成して、前記第2半導体層に前記配線層を電気的に接続する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2半導体層は、前記第1基板からのエピタキシャル成長により形成される、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2半導体層は、第1方向に延びる非管状の形状を有するように形成され、
前記第1半導体層は、前記第1方向に延びる管状の形状を有するように形成される、
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元メモリなどの半導体メモリでは、チャネル半導体層などの半導体層の性能を向上させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開公報US2019/0296041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体層の性能を向上させることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、基板と、前記基板の上方に交互に設けられた複数の電極層および複数の絶縁層を含む積層膜とを備える。前記装置はさらに、前記積層膜内に設けられた第1半導体層と、前記積層膜内にて前記第1半導体層上に設けられ、単結晶半導体層を含む第2半導体層とを備える。前記装置はさらに、前記積層膜および前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層に電気的に接続された配線層を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図2】第1実施形態の柱状部の構造を示す拡大断面図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
図4】第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/6)である。
図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/6)である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/6)である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/6)である。
図9】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(5/6)である。
図10】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(6/6)である。
図11】第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1から図11において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0009】
本実施形態の半導体装置は例えば、3次元メモリであり、回路領域1と、回路領域1上に設けられたアレイ領域2とを備えている。本実施形態の半導体装置は例えば、後述するように、回路領域1を含む回路ウェハと、アレイ領域2を含むアレイウェハとを貼り合わせることで製造される。図1は、回路領域1(回路ウェハ)とアレイ領域2(アレイウェハ)との貼合面Sを示している。
【0010】
本実施形態の半導体装置は、回路領域1内に基板11と、トランジスタ12と、層間絶縁層13とを備え、アレイ領域2内に層間絶縁膜21と、積層膜22と、層間絶縁膜23と、複数の柱状部24とを備えている。トランジスタ12は、ゲート絶縁膜12aと、ゲート電極12bと、絶縁膜12cとを含んでいる。積層膜22は、複数の電極層22aと、複数の絶縁層22bとを含んでいる。各柱状部24は、メモリ絶縁膜24aと、半導体層24bと、チャネル半導体層24cと、コア絶縁膜24dとを含んでいる。チャネル半導体層24cは第1半導体層の例であり、半導体層24bは第2半導体層の例である。
【0011】
本実施形態の半導体装置はさらに、回路領域1内にコンタクトプラグ31と、1つ以上の配線を含む配線層32と、ビアプラグ33と、1つ以上の配線を含む配線層34と、ビアプラグ35と、1つ以上の配線を含む配線層36と、ビアプラグ37と、金属パッド38とを備え、アレイ領域2内に金属パッド41と、ビアプラグ42と、1つ以上の配線を含む配線層43と、配線層51と、パッシベーション膜52とを備えている。配線層51は、半導体層51aと、金属層51bとを含んでいる。半導体層51aは、第3半導体層の例である。
【0012】
図1は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。この明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。Z方向は、第1方向の例である。
【0013】
基板11は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。トランジスタ12は、基板11上に形成されたゲート絶縁膜12aと、ゲート絶縁膜12a上に形成されたゲート電極12bと、ゲート電極12bの側面に形成された絶縁膜12cとを含んでいる。本実施形態の半導体装置は、基板11上に複数のトランジスタ12を備えており、図1は、これらのトランジスタ12のうちの1つを示している。これらのトランジスタ12は例えば、本実施形態の半導体装置の動作を制御する制御回路(論理回路)を構成している。層間絶縁層13は、基板11上にこれらのトランジスタ12を覆うように形成されている。
【0014】
層間絶縁膜21は、層間絶縁層13上に形成されている。積層膜22は、層間絶縁膜21上に交互に積層された複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを含んでいる。本実施形態のこれらの電極層22aは、後述するように、複数のワード線と、1つ以上のソース側選択線と、1つ以上のドレイン側選択線とを含んでいる。各電極層22aは例えば、W(タングステン)層などの金属層を含んでいる。各絶縁層22bは例えば、シリコン酸化膜である。層間絶縁膜23は、積層膜22上に形成されている。
【0015】
各柱状部24は、Z方向に延びる柱状の形状を有しており、層間絶縁膜21、積層膜22、および層間絶縁膜23内に形成されている。各柱状部24は、層間絶縁膜21、積層膜22、および層間絶縁膜23の側面に形成されたメモリ絶縁膜24aと、メモリ絶縁膜24aの側面に形成された半導体層24bおよびチャネル半導体層24cと、チャネル半導体層24cの側面に形成されたコア絶縁膜24dとを含んでいる。
【0016】
メモリ絶縁膜24aは、Z方向に延びる管状の形状を有しており、半導体層24bおよびチャネル半導体層24cを囲んでいる。メモリ絶縁膜24aは、後述するように、ブロック絶縁膜と、電荷蓄積層と、トンネル絶縁膜とを含んでいる。
【0017】
チャネル半導体層24cは、Z方向に延びる管状の形状を有しており、コア絶縁膜24dを囲んでいる。具体的には、チャネル半導体層24cは、Z方向に延びる管状の形状を有する側面部分P1と、この管の上端に設けられた底面の形状を有する底面部分P2とを含んでいる。チャネル半導体層24cは例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン)層などの多結晶半導体層である。側面部分P1は第1部分の例であり、底面部分P2は第2部分の例である。なお、チャネル半導体層24cは、n型不純物原子またはp型不純物原子を含んでいてもよいし、n型不純物原子およびp型不純物原子のいずれも含んでいなくてもよい。
【0018】
半導体層24bは、Z方向に延びる非管状の形状を有しており、チャネル半導体層24cの底面部分P2上に形成されている。チャネル半導体層24cの側面部分P1が、管状の形状、すなわち中空の柱状の形状を有しているのに対し、半導体層24bは、非管状の形状、すなわち中実の柱状の形状を有している。半導体層24bは例えば、単結晶シリコン(モノシリコン)層などの単結晶半導体層である。本実施形態の半導体層24bは、層間絶縁膜23の上面と同じ高さに上面を有し、層間絶縁膜23の下面よりも低い高さに下面を有している。なお、本実施形態の半導体層24bの下面の高さの詳細については、後述する。
【0019】
半導体層24bは、例えばn型不純物原子またはp型不純物原子を含んでいる。半導体層24b内のn型不純物原子またはp型不純物原子の濃度は、例えば1.0×1019cm-3以上である。本実施形態の半導体層24bは、1.0×1019cm-3から5.0×1019cm-3の濃度のP(リン)原子を含んでいる。
【0020】
コア絶縁膜24dは、Z方向に延びる非管状の形状を有しており、チャネル半導体層24cの側面部分P1内に形成されている。コア絶縁膜24dは、例えばシリコン酸化膜である。
【0021】
各柱状部24では、メモリ絶縁膜24a、半導体層24b、チャネル半導体層24c、およびコア絶縁膜24dにより複数のメモリセルトランジスタや複数の選択トランジスタが構成されている。これらのメモリセルトランジスタや選択トランジスタは、3次元メモリのメモリセルアレイを構成している。
【0022】
コンタクトプラグ31、配線層32、ビアプラグ33、配線層34、ビアプラグ35、配線層36、ビアプラグ37、金属パッド38、金属パッド41、ビアプラグ42、および配線層43は、基板11上で層間絶縁膜13、21内に順に設けられている。本実施形態の半導体装置は、複数のコンタクトプラグ31、複数のビアプラグ33、複数のビアプラグ35、複数のビアプラグ37、複数の金属パッド38、複数の金属パッド41、および複数のビアプラグ42を備えており、図1は、これらのプラグやパッドのうちの一部を示している。上記制御回路は、これらのプラグ、パッド、および配線層を介して上記メモリセルアレイと電気的に接続されており、これらのプラグ、パッド、および配線層を介して上記メモリセルアレイの動作を制御する。
【0023】
金属パッド38、41の各々は例えば、Cu(銅)層などの金属層を含んでいる。本実施形態の半導体装置では、金属パッド38と金属パッド41が互いに接合されており、層間絶縁膜13と層間絶縁膜21が互いに接着されている。本実施形態では、各柱状部24が配線層43上に形成されており、これにより、各柱状部24のチャネル半導体層24cが配線層43に電気的に接続されている。
【0024】
配線層51は、層間絶縁膜23および各柱状部24上に形成された半導体層51aと、半導体層51a上に形成された金属層51bとを含んでいる。本実施形態では、半導体層51aが各柱状部24の半導体層24bに接しており、これにより、配線層51が各柱状部24の半導体層24bに電気的に接続されている。半導体層51aは例えば、P原子がドープされたポリシリコン層である。
【0025】
パッシベーション膜52は、配線層51上に形成されている。パッシベーション膜52は例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜である。パッシベーション膜52は、シリコン酸化膜と、その他の絶縁膜とを含んでいてもよい。
【0026】
図2は、第1実施形態の柱状部24の構造を示す拡大断面図である。
【0027】
図2に示すように、柱状部24は、積層膜22内に順に形成されたメモリ絶縁膜24aと、チャネル半導体層24c(側面部分P1)と、コア絶縁膜24dとを含んでいる。メモリ絶縁膜24aは、積層膜22内に順に形成されたブロック絶縁膜61と、電荷蓄積層62と、トンネル絶縁膜63とを含んでいる。
【0028】
ブロック絶縁膜61は例えば、シリコン酸化膜である。電荷蓄積層62は例えば、シリコン窒化膜などの絶縁膜であり、信号電荷を蓄積する機能を有している。電荷蓄積層62は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。トンネル絶縁膜63は例えば、シリコン酸化膜である。ブロック絶縁膜61、電荷蓄積層62、およびトンネル絶縁膜63はいずれも、Z方向に延びる管状の形状を有しており、チャネル半導体層24cおよび半導体層24b(図1を参照)を囲んでいる。
【0029】
図3は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【0030】
図3は、複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22と、積層膜22内に設けられた柱状部24とを示している。これらの電極層22aは、1つ以上のドレイン側選択線SGDと、ドレイン側選択線SGDの上方に配置された複数のワード線WLと、ワード線WLの上方に設けられた1つ以上のソース側選択線SGSとを含んでいる。図3に示すこれらの電極層22aは、一例として1つドレイン側選択線SGDと、5つのソース側選択線SGSとを含んでいるが、ドレイン側選択線SGDの個数や、ソース側選択線SGSの個数は、これに限るものではない。ドレイン側選択線SGDは第1選択線の例であり、ソース側選択線SGSは第2選択線の例である。
【0031】
本実施形態の半導体層24bは、層間絶縁膜23の上面と同じ高さに上面を有し、層間絶縁膜23の下面よりも低い高さに下面を有している。例えば、図3に示す半導体層24bの下面は、最下位のドレイン側選択線SGDの下面と、最上位のドレイン側選択線SGDの上面との間の高さに位置しており、ここでは、下から3番目(=上から3番目)のドレイン側選択線SGDの下面と上面との間の高さに位置している。
【0032】
本実施形態の半導体装置は、ある柱状部24(NANDストリング)の各メモリセルの記憶データを消去する際に、この柱状部24用の所定のソース側選択線SGSに消去電圧を印加する。これにより、この柱状部24の所定の選択トランジスタでGIDL(Gate Induced Drain Leakage)電流が発生し、各メモリセルへと流れる。各メモリセルの記憶データは、このGIDL電流により消去される。
【0033】
本実施形態の上記所定のソース側選択線SGSは、半導体層24bに対向するソース側選択線SGSであり、具体的には、上から1番目(最上位)のドレイン側選択線SGDと、上から2番目のドレイン側選択線SGDと、上から3番目のドレイン側選択線SGDである。これらのソース側選択線SGSに消去電圧が印加されると、これらのソース側選択線SGSに対応する選択トランジスタでGIDL電流が発生し、より詳細には、半導体層24bでGIDL電流が発生する。これらのソース側選択線SGSは、GIDLジェネレータと呼ばれる。
【0034】
本実施形態の半導体層24bは、このGIDL電流の発生を促進するために設けられている。そのため、上述のように、高濃度のP原子が半導体層24b内に含まれている。本実施形態によれば、所定のソース側選択線SGS(GIDLジェネレータ)に対応する選択トランジスタのチャネル領域を半導体層24bとすることで、GIDL電流を効果的に発生させることが可能となる。
【0035】
図4は、第1実施形態の比較例の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【0036】
図4は、複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22と、積層膜22内に設けられた柱状部24とを示している。これらの電極層22aは、1つ以上のドレイン側選択線SGDと、ドレイン側選択線SGDの上方に配置された複数のワード線WLと、ワード線WLの上方に設けられた1つ以上のソース側選択線SGSとを含んでいる。図4に示すこれらの電極層22aは、一例として1つドレイン側選択線SGDと、4つのソース側選択線SGSとを含んでいる。
【0037】
本比較例の柱状部24は、半導体層24bを含んでいない。そのため、本比較例のチャネル半導体層24cでは、側面部分P1が配線層51の下面まで延びており、底面部分P2が配線層51の下面に接している。
【0038】
本比較例の柱状部24は、半導体層24bの代わりに、チャネル半導体層24c内に設けられた不純物拡散層25を備えている。不純物拡散層25は例えば、P原子がドープされたポリシリコン層である。本比較例では、不純物拡散層25に対向するソース側選択線SGS、すなわち、最上位のソース側選択線SGSが、GIDLジェネレータとして機能する。本比較例のGIDL電流は、不純物拡散層25で発生する。
【0039】
ここで、図3に示す第1実施形態の半導体装置と、図4に示す比較例の半導体装置とを比較する。
【0040】
図4に示す比較例では、例えばチャネル半導体層24c内にP原子を注入することで、不純物拡散層25を形成する。この場合、不純物拡散層25が形成される位置は、P原子が注入される位置に応じて変化する。一般に、異なる柱状部24で発生するGIDL電流の値は同じ値に近づけることが望ましいため、異なる柱状部24の不純物拡散層25の位置は同じ位置に近づけることが望ましい。しかしながら、P原子が注入される位置は、一般に異なる不純物拡散層25間でばらつくことから、異なる柱状部24の不純物拡散層25の位置を同じ位置に近づけることは難しい。さらには、チャネル半導体層24c内に注入されたP原子をアニールにより拡散させると、P原子の位置はさらにばらつく可能性がある。
【0041】
一方、図3に示す第1実施形態では、チャネル半導体層24c内に形成される不純物拡散層25ではなく、チャネル半導体層24cとは別に形成される半導体層24bを利用して、GIDL電流を発生させる。よって、本実施形態によれば、異なる柱状部24の半導体層24bの位置を容易に同じ位置に近づけることが可能となり、異なる柱状部24で発生するGIDL電流の値を容易に同じ値に近づけることが可能となる。後述するように、本実施形態の半導体層24bはエピタキシャル成長により形成されるため、異なる柱状部24の半導体層24bの位置を同じ位置に近づけやすい。
【0042】
図5から図10は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0043】
まず、アレイウェハ4用の基板26を用意し、基板26上に層間絶縁膜23と、積層膜22’と、層間絶縁膜21の一部である絶縁膜21aとを順に形成する(図5(a))。基板26は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。積層膜22’は、複数の犠牲層22a’と複数の絶縁層22bとを交互に含むように形成される。各犠牲層22a’は例えば、シリコン窒化膜である。基板26は、第1基板の例である。これらの犠牲層22a’は第1膜の例であり、これらの絶縁層22bは第2膜の例である。
【0044】
これらの犠牲層22a’は、後述する工程(図8(a)の工程)で、複数の電極層22aに置き換えられる。これにより、複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22が、層間絶縁膜23と絶縁膜21aとの間に形成される。
【0045】
次に、絶縁膜21a、積層膜22’、および層間絶縁膜23内に複数のメモリホールH1を形成する(図5(b))。その結果、これらのメモリホールH1内に基板26の上面が露出する。これらのメモリホールH1は、凹部の例である。
【0046】
次に、基板26の全面にメモリ絶縁膜24aを形成する(図6(a))。その結果、メモリホールH1内の基板26の上面や、メモリホールH1内の絶縁膜21a、積層膜22’、および層間絶縁膜23の側面や、メモリホールH1外の絶縁膜21aの上面に、メモリ絶縁膜24aが形成される。メモリ絶縁膜24aは、基板26の全面にブロック絶縁膜61、電荷蓄積層62、およびトンネル絶縁膜63(図2)を順に形成することで形成される。
【0047】
次に、ドライエッチングにより、メモリホールH1内の基板26の上面や、メモリホールH1外の絶縁膜21aの上面から、メモリ絶縁膜24aを除去する(図6(b))。その結果、メモリホールH1内に基板26の上面が再び露出する。このようにして、メモリ絶縁膜24aが、Z方向に延びる管状の形状を有するように加工される。
【0048】
次に、基板26からのエピタキシャル成長により、メモリホールH1内の基板26の上面に半導体層24bを形成する(図7(a))。半導体層24bは例えば、P原子がドープされた単結晶シリコン層である。半導体層24b内のP原子の濃度は例えば、1.0×1019cm-3以上であり、好ましくは、1.0×1019cm-3から5.0×1019cm-3である。このようにして、半導体層24bが、Z方向に延びる非管状の形状を有するように加工される。
【0049】
なお、図7(a)に示すアレイウェハ4の上下方向の向きは、図3に示すアレイ領域2の上下方向の向きとは逆になっている。そのため、図7(a)に示す半導体層24bの上面は、図3に示す半導体層24bの下面に対応している。図7(a)の工程では、半導体層24bの上面の位置が、図3に示す半導体層24bの下面の位置にくるように、半導体層24bが形成される。よって、図7(a)に示す半導体層24bの上面は、最上位(図3では最下位)のソース側選択線SGSの上面と、最下位(図3では最上位)のソース側選択線SGSの下面との間の高さに位置している。ただし、図7(a)に示す段階では、まだ犠牲層22a’が電極層22に置き換えられていないため、図7(a)に示す半導体層24bの上面は、より正確には、最上位のソース側選択線SGSに対応する犠牲層22a’の上面と、最下位のソース側選択線SGSに対応する犠牲層22a’の下面との間の高さに位置している。
【0050】
次に、基板26の全面にチャネル半導体層24cとコア絶縁膜24dとを順に形成し、メモリホールH1外のチャネル半導体層24cとコア絶縁膜24dとを除去する(図7(b))。その結果、メモリホールH1内の半導体層24bの上面や、メモリホールH1内の積層膜22’と層間絶縁膜23の側面に、チャネル半導体層24cが形成される。さらには、メモリホールH1内のチャネル半導体層24cの上面や側面に、コア絶縁膜24dが形成される。このようにして、チャネル半導体層24cが、Z方向に延びる管状の形状を有するように形成され、コア絶縁膜24dが、Z方向に延びる非管状の形状を有するように形成される。具体的には、チャネル半導体層24cは、Z方向に延びる管状の形状を有する側面部分P1と、この管の下端に設けられた底面の形状を有する底面部分P2とを含むように形成される。このようにして、上記複数のメモリホールH1内に複数の柱状部24が形成される。
【0051】
次に、犠牲層22a’を電極層22に置き換える(図8(a))。具体的には、絶縁膜21aおよび積層膜22’内にスリットを形成し、スリットを用いたウェットエッチングにより犠牲層22a’を除去し、犠牲層22a’の除去により形成された複数の凹部内に複数の電極層22を埋め込む。その結果、複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22が、層間絶縁膜23と絶縁膜21aとの間に形成される。これらの電極層22aは例えば、複数のワード線WLと、1つ以上のソース側選択線SDSと、1つ以上のドレイン側選択線SDGとを含んでいる(図3を参照)。
【0052】
なお、図5(a)の工程では、複数の犠牲層22a’と複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22’を形成する代わりに、複数の電極層22aと複数の絶縁層22bとを交互に含む積層膜22を形成してもよい。この場合には、図8(a)の工程で犠牲層22a’を電極層22aに置き換える必要はない。この場合の電極層22aと絶縁層22bは、第1膜と第2膜の例である。
【0053】
次に、絶縁膜21aおよび各柱状部24上に、層間絶縁膜21の一部である絶縁膜21bと、配線層43と、ビアプラグ42と、金属パッド41とを形成する(図8(a))。このようにして、貼合対象となるアレイウェハ4が製造される。図8(a)は、アレイウェハ4の貼合面Sとなるアレイウェハ4の上面S2を示している。
【0054】
次に、回路ウェハ3用の基板11を用意し、基板11上にトランジスタ12、層間絶縁膜13、コンタクトプラグ31、配線層32、ビアプラグ33、配線層34、ビアプラグ35、配線層36、ビアプラグ37、および金属パッド38を形成する(図8(b))。このようにして、貼合対象となる回路ウェハ3が製造される。図8(b)は、回路ウェハ3の貼合面Sとなる回路ウェハ3の上面S1を示している。
【0055】
次に、回路ウェハ3とアレイウェハ4とを貼り合わせて、回路ウェハ3上にアレイウェハ4を配置する(図9(a))。回路ウェハ3とアレイウェハ4は、トランジスタ12、積層膜22、柱状部24などが基板11と基板26との間に挟まれるように貼り合わされる。この貼り合わせでは、金属パッド38と金属パッド41が互いに接合され、層間絶縁膜13と層間絶縁膜21が互いに接着される。
【0056】
次に、CPM(Chemical Mechanical Polishing)により基板26を除去する(図9(b))。その結果、各柱状部24の半導体層24bが露出する。
【0057】
次に、層間絶縁膜23および各柱状部24上に、配線層51の半導体層51aを形成する(図10(a))。図10(a)の工程で形成される半導体層51aは例えば、P原子がドープされたアモルファスシリコン層である。この半導体層51aは、各柱状部24の半導体層24bに接するように形成され、これにより各柱状部24の半導体層24bに電気的に接続される。
【0058】
次に、レーザーアニールにより半導体層51aをアニールする(図10(b))。その結果、アモルファスシリコン層である半導体層51aが、ポリシリコン層に変化する。
【0059】
その後、半導体層51a上に、配線層51の金属層51bを形成し、金属層51b上にパッシベーション膜52を形成する(図1を参照)。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0060】
なお、図4に示す比較例の半導体装置を製造する際には、例えば図10(b)の工程のアニールにより半導体層51aからチャネル半導体層24cにP原子を拡散させ、チャネル半導体層24c内に不純物拡散層25を形成する。しかしながら、この方法では、異なる柱状部24の不純物拡散層25の位置を同じ位置に近づけることは難しい。加えて、アニールが金属パッド38、41に悪影響を与えることを抑制するために、図10(b)の工程のアニールは短時間だけ行うことが望ましい。このことも、半導体層51aからチャネル半導体層24cにP原子を拡散させる上での障害となる。
【0061】
一方、本実施形態では、チャネル半導体層24c内に不純物拡散層25を形成する代わりに、チャネル半導体層24cとは別に半導体層24bを形成する。これにより、比較例の半導体装置のような問題を解消することが可能となる。
【0062】
図11は、第1実施形態の変形例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0063】
まず、図5(a)~図9(b)の工程を実施した後、ウェットエッチングにより基板26を除去する(図11(a))。その結果、各柱状部24の半導体層24bが露出する。図11(a)の工程では、基板26と共に、層間絶縁膜23およびメモリ絶縁膜24aの一部も除去されてもよい。この場合、各柱状部24の半導体層24bの部分K1が、図11(a)に示すように、層間絶縁膜23およびメモリ絶縁膜24aから突出することとなる。
【0064】
次に、図10(a)の工程と同様に、層間絶縁膜23および各柱状部24上に、配線層51の半導体層51aを形成する(図11(b))。その結果、半導体層51aの複数の部分K2が+Z方向に突出するように、半導体層51aが形成される。半導体層51aのこれらの部分K2の各々は、対応する柱状部24の半導体層24bの部分K1の+Z方向に形成される。図11(b)では、当該部分K1が半導体層51a内に突出している。
【0065】
次に、図10(b)の工程を実施した後、半導体層51a上に、配線層51の金属層51bを形成し、金属層51b上にパッシベーション膜52を形成する(図1を参照)。このようにして、本変形例の半導体装置が製造される。本変形例の半導体装置の構造は、上記の部分K1、K2を含む点で、本実施形態の半導体装置の構造と相違する。
【0066】
以上のように、本実施形態の半導体装置の各柱状部24は、チャネル半導体層24cに加えて半導体層24bを備えている。よって、本実施形態によれば、各柱状部24内の半導体層(チャネル半導体層24cや半導体層24b)の性能を向上させることが可能となる。例えば、本実施形態によれば、異なる柱状部24の半導体層24bの位置を容易に同じ位置に近づけることが可能となり、異なる柱状部24で発生するGIDL電流の値を容易に同じ値に近づけることが可能となる。
【0067】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0068】
1:回路領域、2:アレイ領域、3:回路ウェハ、4:アレイウェハ、
11:基板、12:トランジスタ、12a:ゲート絶縁膜、
12b:ゲート電極、12c:絶縁膜、13:層間絶縁層、
21:層間絶縁膜、21a:絶縁膜、21b:絶縁膜、22:積層膜、
22’:積層膜、22a:電極層、22a’:犠牲層、22b:絶縁層、
23:層間絶縁膜、24:柱状部、24a:メモリ絶縁膜、24b:半導体層、
24c:チャネル半導体層、24d:コア絶縁膜、25:不純物拡散層、26:基板、
31:コンタクトプラグ、32:配線層、33:ビアプラグ、34:配線層、
35:ビアプラグ、36:配線層、37:ビアプラグ、38:金属パッド、
41:金属パッド、42:ビアプラグ、43:配線層、
51:配線層、51a:半導体層、51b:金属層、52:パッシベーション膜、
61:ブロック絶縁膜、62:電荷蓄積層、63:トンネル絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11