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  • 特開-装填材 図1
  • 特開-装填材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022047981
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】装填材
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154062
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】馬場 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰洋
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA39
4C267CC06
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG35
4C267HH08
4C267JJ00
4C267JJ02
(57)【要約】
【課題】切断しても糸屑が発生しない装填材を提供する。
【解決手段】陰圧治療のために創傷部12と被覆シート14との間に装填される装填材10は、第一の糸16が編まれて形成された編み地から形成される。また、装填材10は、第一の糸16と、熱融着性を有する第二の糸20と、で形成された編み地である。第一の糸16は、例えばナイロンから形成され、例えばナイロンのモノフィラメント(単繊維)から形成される。第二の糸20は、例えばウレタンから形成される。第二の糸20の融点は、第一の糸16の融点よりも低くなるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧治療のために創傷部と被覆シートとの間に装填される装填材であり、
第一の糸と、熱融着性を有する第二の糸と、から形成された編み地であって、第二の糸が溶融して解れ止め機能が付与された編み地であることを特徴とする装填材。
【請求項2】
前記第二の糸の融点は、前記第一の糸の融点よりも低い請求項1に記載する装填材。
【請求項3】
前記第一の糸がナイロンから形成され、前記第二の糸がウレタンから形成された請求項1又は2に記載する装填材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、創傷部に陰圧を付与する陰圧治療において、創傷部と被覆シートとの間に装填される装填材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、創傷部の陰圧治療は、創傷部を被覆シートで密封し、その内側を陰圧に保ちながら、生理食塩水である洗浄液を創傷部に供給することにより行われている。創傷部には、洗浄液を導くための透水性を有する装填材が被覆シートの内側に装填される。装填材の一例として、メッシュ状の布から形成されたものが存在する。装填材は、創傷部の大きさ及び形状に倣うようにするために、切断した後に折り畳み、又は折り畳んだ後に切断する。装填材の切断は鋏やカッター等の刃物を使用して行うが、切断する時に糸屑が発生することがあった。糸屑が創傷部に付着すると、創傷部の治療の妨げとなる。このため、切断しても糸屑が発生しない装填材が望まれている。なお、陰圧治療に関する文献が存在する(特許文献1~4)。しかし、本願発明に関連するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-517690号公報
【特許文献2】特表2006-528038号公報
【特許文献3】特表2009-525087号公報
【特許文献4】特表2009-506878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、切断しても糸屑が発生しない装填材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の装填材は、陰圧治療のために創傷部と被覆シートとの間に装填される装填材であり、
第一の糸と、熱融着性を有する第二の糸と、から形成された編み地であって、第二の糸が溶融して解れ止め機能が付与された編み地であることを特徴とする。
【0006】
また、本願発明の装填材は、前記装填材において、前記第二の糸の融点は、前記第一の糸の融点よりも低いことを特徴とする。
【0007】
また、本願発明の装填材は、前記装填材において、前記第一の糸がナイロンから形成され、前記第二の糸がウレタンから形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明に係る装填材は、第二の糸が溶融して解れ止め機能が付与された編み地であり、糸屑が発生することはない。このため、糸屑が創傷部に付着することはなく、創傷部の治療の妨げとなることはない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明の装填材を形成するための生地を形成する編み機を示す正面断面図である。
図2】本願発明の装填材の使用方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1において、符号11は、装填材10を形成するための生地を示し、図2において、符号10は、本願発明の装填材を示す。装填材10は、図2に示すように、陰圧治療のために創傷部12と被覆シート14との間に装填されて使用される。
【0011】
(構成)
装填材10は、第一の糸16が編まれて形成された編み地から形成される。第一の糸16は、例えばナイロンから形成され、例えばナイロンのモノフィラメント(単繊維)から形成される。第一の糸16の融点は、例えば、200℃以上、特には200℃以上240℃以下、更に特には約225℃である。第一の糸16は、ポリエステル又はパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)から形成されてもよい。
【0012】
装填材10は、第一の糸16と、熱融着性を有する第二の糸20と、から形成された編み地である。第二の糸20は、例えばウレタンから形成される。第二の糸20の融点は、例えば、170℃以下である。すなわち、第二の糸20の融点は、第一の糸16の融点よりも低くなるように構成されている。理由は、後に示す「装填材10の製造方法」において説明する。第二の糸20の融点は、低いほど溶融しやすく、好ましい。
【0013】
(装填材10の製造方法)
(編み機24)
第二の糸20と第一の糸16とが融着される前の生地11は、例えば図1に示す既存の編み機24によって製造される。編み機24は、第一の糸16と第二の糸20とを束ねる給糸ガイド26を備える。編み機24は、給糸ガイド26から送られる第一の糸16及び第二の糸20が係合される編み針28を備える。編み針28へ送る第一の糸16及び第二の糸20は、第一の糸16に第二の糸20を略並行に沿わせても、第一の糸16のまわりに第二の糸20を螺旋状に巻いてもよい。編み針28は、回転中心C1のまわりに複数本配列され、回転駆動装置(図示しない)によって回転中心C1のまわりに回転させられる。編み機24は、回転中心C1のまわりに回転する編み針28を上下移動させるカム30を備える。編み機24は、複数本の編み針28を、上下移動させながら回転中心C1のまわりに回転させることにより、袋状の生地11を釜32の中で形成するように構成されている。編み機24による編み方は、引き揃え編みである。なお、プレーティング編みにより、生地11を形成してもよい。
【0014】
編み機24の仕様は、例えば、第一の糸16がナイロンの0.8号であって、ゲージが6G、釜32の内径が5インチ、編み針28の本数が96本、生地幅が180mm、タテ度目が8.0目/0.5インチ、ヨコ度目が3.0目/0.5インチである。また、例えば、第一の糸16がナイロンの0.5号であって、ゲージが6G、釜32の内径が5インチ、編み針28の本数が96本、生地幅が200mm、タテ度目が9.0目/0.5インチ、ヨコ度目が3.0目/0.5インチである。また、例えば、第一の糸16がナイロンの0.8号であって、ゲージが6G、釜32の内径が5インチ、編み針28の本数が96本、生地幅が140mm、タテ度目が8.5目/0.5インチ、ヨコ度目が4.0目/0.5インチである。また、例えば、第一の糸16がナイロンの0.5号であって、ゲージが6G、釜32の内径が5インチ、編み針28の本数が96本、生地幅が150mm、タテ度目が10.0目/0.5インチ、ヨコ度目が4.0目/0.5インチである。また、例えば、第一の糸16がナイロンの0.5号であって、ゲージが12G、釜32の内径が6インチ、編み針28の本数が240本、生地幅が220mm、タテ度目が12.0目/0.5インチ、ヨコ度目が6.0目/0.5インチである。
【0015】
編み機24によって形成された袋状の生地11は、例えば、蒸気加熱ゾーン、熱ローラー、スチーマー又はアイロン等により、第二の糸が溶融して解れ止め機能が付与される。
【0016】
融着するための温度は、例えば、140℃以上190℃以下、特には150℃以上180℃以下、更に特には160℃以上170℃以下が好ましい。第二の糸20の融点は、例えば、170℃以下であるため、第二の糸20が溶融する。第一の糸16の融点は、例えば200℃以上であるため、第一の糸16は溶融しない。このため、第二の糸20が溶融して解れ止め機能が付与された装填材10が形成される。
【0017】
(作用効果)
形成された装填材10は、カッター又はハサミ等によって、病院等に出荷できる寸法に切断される。病院においては、創傷部12(図2に示す)に装填できるように、所定の寸法に切断され、折り畳まれて使用される。解れ止め機能が付与された装填材10が切断される時、糸屑が発生することはない。
【0018】
創傷部12に装填できるように切断された装填材10は、折り畳まれ、図2に示すように、創傷部12に装填される。吸入パイプ38から創傷部12に生理食塩水が吸入され、排出パイプ40から生理食塩水が排出され、陰圧治療が行われる。このとき、上述のように、装填材10を切断した時に、装填材10から糸屑が出ないため、糸屑が創傷部12に付着することはなく、創傷部12の治療の妨げとなることはない。
【0019】
尚、本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。
【符号の説明】
【0020】
10:装填材
11:生地
12:創傷部
14:被覆シート
16:第一の糸
20:第二の糸
24:編み機
26:給糸ガイド
28:編み針
30:カム
32:釜
38:吸入パイプ
40:排出パイプ
図1
図2