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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048036
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】テストシステム及びプローブ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20220317BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20220317BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 E
G01R31/28 B
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154164
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 正幸
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
2G132
【Fターム(参考)】
2G003AA08
2G003AA10
2G003AG03
2G003AG04
2G003AH01
2G003AH04
2G011AA02
2G011AA17
2G011AB01
2G011AE03
2G011AF07
2G132AA08
2G132AA14
2G132AB01
2G132AC03
2G132AD06
2G132AE18
2G132AE23
2G132AF02
2G132AG01
2G132AH00
2G132AL09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体記憶装置のウェハテストにおけるテスト時間を短縮する。
【解決手段】第1ウェハ上に形成された1以上の第1半導体チップと第2ウェハ上に形成された1以上の第2半導体チップとを電気的に接続して前記第1及び第2半導体チップをテストするテストシステムであって、前記第1半導体チップにテスト信号を供給するテスト装置2と、前記第1半導体チップの第1内部パッドに接続される第1プローブ17と、信号の送受信を行う第1通信回路11と、を有する第1プローブ装置P1と、前記第2半導体チップの第2内部パッドに接続される第2プローブ27と、前記第1通信回路と信号の送受信を行う第2通信回路25と、を有する第2プローブ装置P2と、を具備するテストシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ウェハ上に形成された1以上の第1半導体チップと第2ウェハ上に形成された1以上の第2半導体チップとを電気的に接続して前記第1及び第2半導体チップをテストするテストシステムにおいて、
前記第1半導体チップにテスト信号を供給するテスト装置と、
前記第1半導体チップの第1内部パッドに接続される第1プローブと、信号の送受信を行う第1通信回路とを有する第1プローブ装置と、
前記第2半導体チップの第2内部パッドに接続される第2プローブと、前記第1通信回路と信号の送受信を行う第2通信回路とを有する第2プローブ装置と
を具備するテストシステム。
【請求項2】
前記第1プローブ装置は、前記第1半導体チップの外部パッドに接続される第3プローブを有し、前記テスト信号を前記第3プローブ及び外部パッドを介して前記第1半導体チップに供給する
請求項1に記載のテストシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2半導体チップをテストする際に、前記テスト信号に基づいて前記第1及び第2内部パッド間での信号の向きを制御する制御信号を発生させ、前記第1及び第2半導体チップに供給する
請求項1に記載のテストシステム。
【請求項4】
前記第1プローブ装置は、前記第1内部パッドから前記第1プローブを介して取り込んだ信号を前記第1及び第2通信回路によって伝送可能な信号に変換する第1信号生成回路を有し、
前記第2プローブ装置は、前記第2通信回路によって受信した信号を前記第1信号生成回路が変換する前の信号に戻して前記第2プローブを介して前記第2内部パッドに与える第2信号生成回路を有する
請求項1に記載のテストシステム。
【請求項5】
前記第2信号生成回路は、前記第2内部パッドから前記第2プローブを介して取り込んだ信号を前記第1及び第2通信回路によって伝送可能な信号に変換し、
前記第1信号生成回路は、前記第1通信回路によって受信した信号を前記第2信号生成回路が変換する前の信号に戻して前記第1プローブを介して前記第1内部パッドに与える
請求項4に記載のテストシステム。
【請求項6】
半導体チップの内部パッドに接続される第1プローブと、
前記内部パッドから前記第1プローブを介して取り込んだ信号を外部に送信するための通信回路と、
前記内部パッドから前記第1プローブを介して取り込んだ信号を前記通信回路によって伝送可能な信号に変換する信号生成回路と
を具備するプローブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テストシステム及びプローブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置のウェハテストは、記憶容量の増加に比例して、テスト時間が増大傾向にある。半導体記憶装置は、メモリセルと周辺回路とが組み合わされた構造を有する。周辺回路に、電圧を生成するポンプ回路や、テスト回路(BIST(Build in Self Test))を組み込むことで、半導体記憶装置のメモリセルのテストを周辺回路によって実行することができる。
【0003】
ところで、周辺回路の高速化のために、メモリセルと周辺回路とを別のウェハ上に別プロセスで作成し、作成後に両者を組み合わせるCBA(CMOS directly Bonded to Array)という技術が開発されている。このCBAでは、メモリセルと周辺回路とが別のウェハ上に形成されることから、メモリセル単体でテストを行う場合には、ウェハテストを行うテスト装置に、周辺回路と同様の機能を実装する必要がある。
【0004】
このため、テスト装置の回路構成が複雑となりコスト増を招来すると共に、メモリセルと周辺回路とを別々にテストする必要があり、テスト時間が長くなってしまう。
【0005】
また、メモリセルを形成したウェハと周辺回路を形成したウェハとを互いに貼り合わせた後、周辺回路を利用してテストを行うことも可能である。しかし、この場合には、貼り合わせたチップ同士の一方が良品であっても、他方が不良品の組み合わせになることもあり、歩留が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-71763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、テスト時間を短縮することができるテストシステム及びプローブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のテストシステムは、第1ウェハ上に形成された1以上の第1半導体チップと第2ウェハ上に形成された1以上の第2半導体チップとを電気的に接続して前記第1及び第2半導体チップをテストするテストシステムにおいて、前記第1半導体チップにテスト信号を供給するテスト装置と、前記第1半導体チップの第1内部パッドに接続される第1プローブと、信号の送受信を行う第1通信回路とを有する第1プローブ装置と、前記第2半導体チップの第2内部パッドに接続される第2プローブと、前記第1通信回路と信号の送受信を行う第2通信回路とを有する第2プローブ装置とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るテストシステムを示すブロック図。
図2】プローブ装置Pの外観の例を示す説明図。
図3】プローブ装置Pの外観の例を示す説明図。
図4】プローブ装置Pと各半導体チップとの接続を説明するための説明図。
図5】周辺回路チップCpとメモリセルチップCc内のウェハテストに関する回路部分を示すブロック図。
図6】ウェハテストの様子を示す説明図。
図7】周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間の信号の送受を示す説明図。
図8】制御信号による制御を説明するための説明図。
図9】第1の実施の形態の動作を説明するための説明図。
図10】第1の実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャート。
図11】第1の実施の形態の動作を説明するための説明図。
図12】第1の実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャート。
図13】周辺回路チップCpとメモリセルチップCc内のウェハテストに関する回路部分を示すブロック図。
図14】変形例を示す説明図。
図15】変形例を示す説明図。
図16】第2の実施の形態を示すブロック図。
図17】第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
図18】第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
図19】複数組の周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcのテストを同時に行う様子を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は実施形態に係るテストシステムを示すブロック図である。
【0012】
本実施の形態は、プローブ装置同士の通信を可能にして、異なるウェハ上に形成され相互に関連を有する2つの半導体チップに対する検査を同時に実施することを可能にすることにより、ウェハテスト時間を短縮すると共に、歩留まりを向上させるものである。
【0013】
なお、本実施の形態においては、半導体記憶装置のウェハテストを例に説明するが、記憶装置に限らず各種半導体装置のウェハテストに用いることが可能である。
【0014】
図1において、テストシステム1は、テスト装置2と複数のプローブ装置P1,P2(以下、これらを区別する必要が無い場合にはプローブ装置Pという)により構成される。なお、図1では2つのプローブ装置P1,P2のみを示しているが、3つ以上のプローブ装置を採用してもよい。
【0015】
テストシステム1のテスト対象は、例えば、CBAにより構成される2つの半導体チップであり、周辺回路が構成された周辺回路チップCpとメモリセルが構成されたメモリセルチップCcである。テストシステム1は、それぞれのウェハ上に構成されたこれらの周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcに対してテストを行う。
【0016】
プローブ装置P1は、周辺回路チップCp用の装置(プローブカード)であり、プローブ装置P2は、メモリセルチップCc用の装置(プローブカード)である。プローブ装置Pは、ウェハに形成された半導体チップ上のパッド(PAD)とテスト装置2とを電気的に接続する役割を有する。なお、プローブ装置P1とプローブ装置P2との相違点は、接続対象の半導体チップのパッド数に対応してプローブ数が異なる点である。従って、プローブの一部を使用しないようにすることで、プローブ装置P1とプローブ装置P2として、同一の装置を用いてもよい。
【0017】
テスト装置2は、テスト回路2a及び通信回路2bを有する。テスト回路2aは、検査対象の半導体記憶装置を構成する周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcのウェハテストのための各種信号(テスト信号)を発生することができる。テスト回路2aは、発生したテスト信号に対する周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcからの出力信号を取り込み、期待値と比較することで、周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcの良不良等のテスト判定結果を得る。
【0018】
通信回路2bは、プローブ装置Pとの間で通信を行って、信号を送受信する。通信回路2bは、無線又は有線による通信が可能である。例えば、通信回路2bは、LAN等の有線ケーブルを採用した有線伝送路、光通信や無線LAN等による無線伝送路を利用した通信が可能である。なお、通信回路2bが利用する伝送路としてはこれらに限定されるものではない。通信回路2bは、テスト回路2aが発生したテスト信号をプローブ装置Pに送信し、プローブ装置Pの出力を受信してテスト回路2aに与える。
【0019】
プローブ装置P1は、プローブ装置P1の各部を制御する制御回路11を有する。制御回路11は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。
【0020】
通信回路12は、テスト装置2の通信回路2bとの間で通信を行って、信号を送受信する。通信回路12は、通信回路2bが使用する伝送路と同一の伝送路を介して通信回路2bと同一の通信規格での通信が可能である。
【0021】
プローブ装置P1にはインタフェース(I/O)13が設けられる。I/O13は、制御回路11に制御されて、周辺回路チップCpに供給する信号や電圧(以下、これらを単に信号という場合がある)を発生してプローブ17に供給する。プローブ17は、周辺回路チップCpの後述する外部パッド及び内部パッドに電気的に接続されるようになっており、I/O13が発生した信号や電圧をこれらのパッドに供給すると共に、これらのパッドに現れる信号や電圧を取り込んでI/O13に与える。
【0022】
通信回路15は、他のプローブ装置P(図1ではプローブ装置P2)との間で通信を行って、信号を送受信する。通信回路15は、無線又は有線による通信が可能である。例えば、通信回路15は、LAN等の有線ケーブルを採用した有線伝送路、光通信や無線LAN等による無線伝送路を利用した通信が可能である。なお、通信回路15が利用する伝送路としてはこれらに限定されるものではない。
【0023】
信号生成回路14は、I/O13において周辺回路チップCpの内部パッドからプローブ17を介して取得した信号や電圧が与えられ、この信号や電圧を、通信回路15により他のプローブ装置P(図1ではプローブ装置P2)に伝送可能にするための信号を生成する。信号生成回路14からの信号は通信回路15に供給され、通信回路15は、この信号を図示しない伝送路を介して他のプローブ装置P2に転送する。
【0024】
通信回路15は、信号をデジタル伝送可能に構成されていてよく、また、アナログ伝送可能に構成されていてもよい。通信回路15によって伝送可能な信号が信号生成回路14において発生される。例えば、通信回路15は、電圧値を直接アナログ伝送するように構成されていてもよい。また、通信回路15は、電圧値のデジタル情報を伝送したり電圧波形をアナログ伝送したりしてもよい。この場合には、これらのデジタル情報やアナログ信号を受信した半導体チップ側で電圧を発生させる。
【0025】
なお、プローブ装置P1内の各部は、バス16によって接続されている。
【0026】
プローブ装置P2の制御回路21、通信回路22、I/O23、信号生成回路24、通信回路25、バス26、プローブ27の構成は、プローブ数を除き、プローブ装置P1の制御回路11、通信回路12、I/O13、信号生成回路14、通信回路15、バス16、プローブ17の構成と同様である。
【0027】
図2及び図3はプローブ装置Pの外観の例を示す説明図であり、図4はプローブ装置Pと各半導体チップとの接続を説明するための説明図である。なお、図2ではプローブ装置P2とメモリセルチップCcとの接続の様子を示し、図3ではプローブ装置P1と周辺回路チップCpとの接続の様子を示しているが、プローブ装置P1とプローブ装置P2とは相互に同一の外観及び構造を有していてもよく、また、図2のプローブ装置P2と周辺回路チップCpとが接続され、図3のプローブ装置P1とメモリセルチップCcとが接続されてもよい。
【0028】
図2はプローブ装置P2の外観の一部分の一例を示している。プローブ装置P2は筐体P2aを有し、筐体P2a内には図示しない基板が配置され、この基板上に図1の各回路ブロックが構成されている。メモリセル用のウェハWcには、一括でのテスト対象となる複数のメモリセルチップCcが形成される。テスト時には、筐体P2aとウェハWcとの相対位置を調整して、筐体P2aから突出したプローブ27を、ウェハWc上の所定の位置(斜線部)の各メモリセルチップCcの内部パッドCcPに接触させる。これにより、プローブ装置P2を介して各メモリセルチップCcとテスト装置2とが相互に電気的に接続される。なお、図2は、1つのメモリセルチップCcを拡大して、プローブ27と内部パッドCcPとが接触している様子を示している。
【0029】
また、図3はプローブ装置Pの他の外観の例を示している。プローブ装置P1は、筐体P11aを有し、筐体P11a内には図示しない基板が配置され、この基板上に図1の各回路ブロックが構成されている。ウェハプローバ31上にはステージ32が取り付けられ、ステージ32上には周辺回路用のウェハWpが搭載される。ウェハWpには、複数の周辺回路チップCpが形成される。ウェハプローバ31は、ウェハWpを搬送してウェハWpの位置を決められた位置まで移動させる。これにより、プローブ装置P1のプローブ17と周辺回路チップCp上の外部パッド41(図4参照)及び内部パッドCpPとが電気的に接続される。なお、外部パッド41に接続されるプローブ装置P1のプローブ17をプローブ17aと呼び、内部パッドCpPに接続されるプローブ装置P1のプローブ17をプローブ17bと呼ぶものとする。こうして、プローブ装置P1を介して周辺回路チップCpとテスト装置2とが相互に電気的に接続される。
【0030】
図3の例では、プローブ装置P1はテスト装置2に取り付けられて、相互に電気的に接続されている。プローブ装置Pとテスト装置2との通信が無線通信により行われる場合又は伝送ケーブルを用いた有線通信によって行われる場合には、プローブ装置Pとテスト装置2とは離間した位置に配置可能である。
【0031】
なお、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcは、例えば、ウェハWpとウェハWcとを対向させ、各周辺回路チップCpの内部パッドCpPと各メモリセルチップCcの内部パッドCcPとを接続して、CBAによりウェハWpとウェハWcを貼り合わせることで、1体の半導体記憶装置を構成することもできる。
【0032】
図4において、周辺回路チップCpは内部パッドCpPと外部パッド41とを有し、メモリセルチップCcは内部パッドCcPのみを有する。半導体記憶装置として完成時には、周辺回路チップCpの内部パッドCpPは、メモリセルチップCcの内部パッドCcPに電気的に接続されるものであり、外部パッド41は、半導体記憶装置外部との間で信号や電圧を送受するための端子として機能する。
【0033】
プローブ装置P1のプローブ17aはウェハWp上の周辺回路チップCpの外部パッド41に、プローブ17bは内部パッドCpPにそれぞれ接続される。また、プローブ装置P2のプローブ27はメモリセルチップCcの内部パッドCcPに接続される。
【0034】
プローブ17bとプローブ27との間は、プローブ装置P1内の回路、プローブ装置P1,P2による伝送路及びプローブ装置P2内の回路を経由して、相互に電気的に接続される。これにより、プローブ装置P1,P2を介して周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとが電気的に接続される。
【0035】
図5は周辺回路チップCpとメモリセルチップCc内のウェハテストに関する回路部分を示すブロック図である。
【0036】
周辺回路チップCpにはCPU42、ポンプ回路43、アドレス回路44、ステータス回路45及びデータラッチ回路46,47が形成されている。CPU42は、図示しないメモリを用いて、ウェハテストに関して周辺回路チップCpの全体を制御する。CPU42は、プローブ装置P1のプローブ17aから外部パッド41を介して入力されたコマンドや各種データ等のテスト信号を取り込み、取り込んだテスト信号に応じてポンプ回路43及びアドレス回路44を制御する。
【0037】
ポンプ回路43は、テスト信号に応じた駆動電圧を発生して内部パッドCpPに出力する。また、アドレス回路44は、テスト信号に応じたアドレスを発生して内部パッドCpPに出力する。例えば、アドレス回路44は、ワード線WLを選択するためのアドレスを内部パッドCpPに出力する。また、CPU42は、テスト信号に基づいてデータをデータラッチ回路46,47にセットする。データラッチ回路46,47は、取り込んだデータを複数の内部パッドCpPに出力する。
【0038】
周辺回路チップCpの各内部パッドCpPは、プローブ装置P1のプローブ17bに接続されており、テスト信号に基づいて内部パッドCpPに供給された信号は、プローブ装置P1のプローブ17bを経由して、プローブ装置P2のプローブ27に伝送される。プローブ27は、メモリセルチップCcの各内部パッドCcPに接続されており、各内部パッドCcPは、プローブ27を介して周辺回路チップCpの各内部パッドCpPからの信号を受信する。
【0039】
メモリセルチップCcは、メモリセルが形成されるメモリセル形成領域51とデコード回路52とを有する。デコード回路52は、周辺回路チップCpのポンプ回路43,アドレス回路44の出力が、内部パッドCcPを介して与えられる。デコード回路52は、入力された信号をデコードして、メモリセル形成領域51の各メモリセルを駆動するための信号を得る。
【0040】
なお、メモリセルチップCcにおいても、ウェハテストを制御するためのCPU及びメモリを備えていてもよい。
【0041】
例えばデータの読み出し時等においては、メモリセル形成領域51の各メモリセルからの出力は、内部パッドCcPに与えられる。内部パッドCcPに供給された信号は、プローブ27からプローブ装置P1,P2を経由して、プローブ装置P1のプローブ17bに伝送される。こうして、周辺回路チップCpの各内部パッドCpPは、メモリセルチップCcの各内部パッドCcPからの信号を受信してデータラッチ回路46,47に与える。
【0042】
また、デコード回路52は、メモリセルチップCcにおいてコマンドに応じた駆動が行われたか否かのステータス情報を発生する。この情報は、内部パッドCcP、プローブ装置P1,P2、内部パッドCpPを介してステータス回路45に供給される。例えば、メモリセルに対するプログラム動作時には、プログラム結果がステータス情報として伝送される。ステータス回路45はステータス情報をCPU42に与え、CPU42は、ステータス情報に基づいてウェハテストの判定結果を外部パッド41に出力する。この判定結果は、外部パッド41からプローブ17aを介してプローブ装置P1に供給される。
【0043】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図6から図12を参照して説明する。図6はウェハテストの様子を示す説明図である。また、図7から図12はウェハテスト時の信号の伝送を説明するための説明図である。図6において図2と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
図6に示すように、本実施の形態においては、ウェハWpに形成された周辺回路チップCpにプローブ装置P1を接続し、ウェハWcに形成されたメモリセルチップCcにプローブ装置P2を接続することで、貼り合わされる前の周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとに対して同時にウェハテストを実施する。
【0045】
筐体P1aは,筐体P2aと同一構成であり、筐体P1a内に配置された図示しない基板には、プローブ装置P1を構成する各回路ブロックが構成されている。ウェハテスト時には、筐体P1aとウェハWpとの相対位置を調整して、筐体P1aから突出したプローブ17a,17bを、ウェハWp上の所定の位置(斜線部)の周辺回路チップCpの外部パッド41及び内部パッドCpPにそれぞれ接触させる。また、筐体P2aとウェハWcとの相対位置を調整して、筐体P2aから突出したプローブ27を、ウェハWc上の所定の位置(斜線部)のメモリセルチップCcの内部パッドCcPに接触させる。これにより、プローブ装置P1,P2を介して周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとが相互に電気的に接続されるとともに、テスト装置2にも電気的に接続される。
【0046】
テスト装置2からの信号は、プローブ装置P1,P2の通信回路12,通信回路22おいて受信される。プローブ装置P1の制御回路11は、テスト装置2からのテスト信号をI/O13に与え、I/O13は、プローブ17aを介してテスト信号を周辺回路チップCpの外部パッド41に与える。周辺回路チップCpは、外部パッド41からのテスト信号に基づいて、メモリセルチップCcを駆動するための各種信号等を発生して内部パッドCcPから出力する。
【0047】
本実施の形態においては、内部パッドCcPの出力は、プローブ装置P1のプローブ17bを介してI/O13に取り込まれる。信号生成回路14は、I/O13に取り込まれた信号を通信回路15,通信回路25の通信に適した形式に変換して通信回路15に与える。通信回路15は、信号生成回路14からの信号を伝送路TLを介してプローブ装置P2の通信回路25に送信する。
【0048】
プローブ装置P2の信号生成回路24は、制御回路21に制御されて、通信回路25からの信号を元の形式に戻してI/O23に与える。I/O23は、周辺回路チップCpからの信号をプローブ27を介してメモリセルチップCcの内部パッドCcPに与える。こうして、テスト装置2からのテスト信号に基づいて、メモリセルチップCcが動作する。
【0049】
例えば、テスト信号により書き込みが指示されている場合には、メモリセルチップCcはメモリセルへの書き込みを行い、書き込みが正常に行われたか否かのステータス情報を内部パッドCcPを介して出力する。このステータス情報は、プローブ27からプローブ装置P2に伝送され、プローブ装置P2から伝送路TLを介してプローブ装置P1に伝送される。なお、この場合にも、ステータス情報は、通信回路25,15の通信に適した形式に変換されて伝送される。即ち、プローブ装置P2の信号生成回路24は、ステータス情報を通信回路25,15の通信に適した信号の形式に変換して通信回路25に与える。プローブ装置P1は、通信回路25から伝送された信号を信号生成回路14において元の形式に戻したうえで、プローブ17bを介して周辺回路チップCpの内部パッドCpPにステータス情報を出力する。周辺回路チップCpはステータス情報を外部パッド41からプローブ17aを介してプローブ装置P1に出力する。プローブ装置P1は受信したステータス情報をテスト装置2に送信する。
【0050】
このように、本実施の形態においては、プローブ装置P1,P2同士による通信を可能にして、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間の信号の受け渡しを中継することを可能にしており、ウェハWp,ウェハWc上の周辺回路チップCp,メモリセルチップCcの検査を同時に実施することができる。
【0051】
ところで、内部パッドCpPと内部パッドCcPとの間では、双方向に通信が可能であるパッドがある。そこで、プローブ装置P1からプローブ装置P2に信号が送信される際と、プローブ装置P2からプローブ装置P1に信号が送信される際とで、信号の送受の向きが制御される場合がある。この理由から、本実施の形態においては、信号の送受の向きを制御するための制御信号を送受信するための制御パッドを、内部パッドCpP,CcPの一部として周辺回路チップCp,メモリセルチップCcにそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0052】
図7は周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間の信号の送受を示す説明図であり、図8は制御信号による制御を説明するための説明図である。
【0053】
図7の例は周辺回路チップCpが内部パッドCpPとして2つの出力パッドO、2つの入力パッドI、双方向通信用のパッドPA~PF及び制御信号伝送用の制御パッドP_IOを採用し、メモリセルチップCcが内部パッドCcPとして2つの入力パッドI、2つの出力パッドO、双方向通信用のパッドMA~MF及び制御信号伝送用の制御パッドM_IOを採用する例を示している。
【0054】
図8は制御信号として2値のデジタル信号を採用し、A期間からF期間におけるレベルによって、信号の送受の向きを制御する例を示している。例えば、周辺回路チップCpのCPU42は、テスト信号に応じて周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間の信号の送受の向きを制御する図8に示す制御信号を発生してもよい。CPU42は、発生した制御信号に基づいて、内部パッドCcPの信号の送受を制御すると共に、発生した制御信号を制御パッドP_IOに出力する。制御信号は、制御パッドP_IOからプローブ17b、プローブ装置P1、伝送路TL、プローブ装置P2、プローブ27を介してメモリセルチップCcの制御パッドM_IOに供給される。メモリセルチップCcのCPU(図示省略)は、受信した制御信号に基づいて、内部パッドCcPの信号の送受を制御する。
【0055】
図8の例では、A期間とE期間にハイレベル(以下、Hレベルという)で、B~D期間に及びF期間にローレベル(以下、Lレベルという)となる制御信号が制御パッドP_IOに供給される。A期間からF期間は、それぞれ、パッドPA,MA、パッドPB,MB、パッドPC,MC、パッドPD,MD、パッドPE,ME及びパッドPF,MFに対応しており、Hレベルが周辺回路チップCpからメモリセルチップCcへの通信を示し、LレベルがメモリセルチップCcから周辺回路チップCpへの通信を示している。即ち、矢印にて示すように、パッドPA,PEからそれぞれパッドMA,MEへの送信と、パッドMB,MC,MD,MFからそれぞれパッドPB,PC,PD,PFへの送信が行われることを示している。
【0056】
このように、図8の例は、制御信号をシリアル伝送し、複数の内部パッドCpP,CcP間での信号の送受の向きを1つの制御パッドによって制御可能である。また、制御信号による制御は、ウェハテスト時のみ用いられ、貼り合せ後は通常通り、内部パッドCpPと内部パッドCcPとの直接接続による信号伝達が行われる。また、周辺回路チップCpのCPU42において制御信号を発生するものと説明したが、プローブ装置P1の制御回路11において制御信号を発生し、プローブ17aから外部パッド41を介して周辺回路チップCpに供給するようになっていてもよい。
【0057】
図9の説明図及び図10のタイミングチャートは、周辺回路チップCpからメモリセルチップCcへのデジタル伝送の動作を説明するためのものである。なお、図10は、図9中の内部パッド及び伝送路のうち枠で囲った部分についての伝送タイミングを示している。
【0058】
図9の例では、周辺回路チップCpが内部パッドCpPとして1つの出力パッドPO1、1つの入力パッドPI1、双方向通信用のパッドPA~PF及び制御信号伝送用の制御パッドP_IOを採用し、メモリセルチップCcが内部パッドCcPとして1つの入力パッドCI1、1つの出力パッドCO1、双方向通信用のパッドMA~MF及び制御信号伝送用の制御パッドM_IOを採用する例を示している。なお、周辺回路チップCpの外部パッド41及びメモリセルチップCcの内部パッドCcPの一部には、それぞれプローブ装置P1,P2を介して電源電圧が供給される。
【0059】
CPU42は、制御信号を発生して、双方向通信における信号の方向を決定する。CPU42は、図10のA期間からF期間において、制御信号を内部パッドCcPからプローブ17b、プローブ装置P1、プローブ装置P2、プローブ27を介してメモリセルチップCcの制御パッドM_IOに送信する。これにより、内部パッドCpP及び内部パッドCcPにおける信号の送受の向きが決定する。なお、このA~F期間における内部パッドCpP,CcPの状態は無視する。
【0060】
制御パッドP_IOに供給される制御信号は、テスト時のみHレベル又はLレベルとなる。非テスト時及び周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを貼合した後は、図10に示すように、制御信号が供給される制御パッドP_IOは常時Hizであり、非テスト時及び製品完成後は方向制御の機能は使用されない。
【0061】
制御信号の送信が終了すると、プローブ装置P1からプローブ17aを介して外部パッド41に転送されたテスト信号によって、周辺回路チップCpの出力パッドPO1、パッドPA及びメモリセルチップCcの出力パッドCO1には、図10に示す出力が現れる。周辺回路チップCpの出力パッドPO1、パッドPAの出力は、制御信号に従って、メモリセルチップCcの入力パッドCI1、パッドMAにそれぞれ転送される。また、メモリセルチップCcの出力パッドCO1の出力は、制御信号に従って、周辺回路チップCpの入力パッドPI1に転送される。こうして、テスト信号に応じて、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間で信号の伝送が行われる。
【0062】
図10の例は、プローブ装置P1とプローブ装置P2との間でデジタル伝送が行われる例を示しており、例えば、メモリセルチップCcは、入力されたデジタル値に基づいて所望の電圧を発生することも可能である。
【0063】
図11の説明図及び図12のタイミングチャートは、周辺回路チップCpからメモリセルチップCcへのアナログ伝送の動作を説明するためのものである。なお、図12は、図11中の内部パッド及び伝送路のうち枠で囲った部分についての伝送タイミングを示している。
【0064】
図11の例では、周辺回路チップCpが内部パッドCpPとして1つの出力パッドPOX、1つの入力パッドPIY、双方向通信用のパッドPA~PF及び制御信号伝送用の制御パッドP_IOを採用し、メモリセルチップCcが内部パッドCcPとして1つの入力パッドCIX、1つの出力パッドCOY、双方向通信用のパッドMA~MF及び制御信号伝送用の制御パッドM_IOを採用する例を示している。なお、周辺回路チップCpの外部パッド41及びメモリセルチップCcの内部パッドCcPの一部には、それぞれプローブ装置P1,P2を介して電源電圧が供給される。
【0065】
CPU42は、制御信号を発生して、双方向通信における信号の方向を決定する。CPU42は、図12のA期間からF期間において、制御信号を内部パッドCcPからプローブ17b、プローブ装置P1、プローブ装置P2、プローブ27を介してメモリセルチップCcの制御パッドM_IOに送信する。これにより、内部パッドCpP及び内部パッドCcPにおける信号の送受の向きが決定する。なお、この期間における内部パッドCpP,CcPの状態は無視する。制御信号の送信が終了すると、プローブ装置P1からプローブ17aを介して外部パッド41に転送されたテスト信号によって、周辺回路チップCpの出力パッドPOXには、図12に示す出力が現れる。この出力は、制御信号に従って、メモリセルチップCcの入力パッドCIXに転送される。こうして、周辺回路チップCpからメモリセルチップCcに例えば0Vから6Vまで変化する電圧が供給される。
【0066】
ところで、図9及び図10の例では、メモリセルチップCcは、パルスジェネレータ等により伝送された信号に基づく電圧を発生する。しかし、パルスジェネレータ等では、電圧を微調整することができない可能性もある。そこで、ポンプ回路をメモリセルチップCcに配置することも考えられる。
【0067】
図13はこの場合の周辺回路チップCpとメモリセルチップCc内のウェハテストに関する回路部分を示すブロック図である。図13において図5と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
図13の例は、図5において周辺回路チップCpに設けられているポンプ回路43及びデータラッチ回路46,47をメモリセルチップCcに設けたものであり、メモリセルチップCc中のポンプ回路43a及びデータラッチ回路46a,47aは、それぞれポンプ回路43、データラッチ回路46,47と同様の機能を有する。
【0069】
即ち、図5の例では、ポンプ回路43は、CPU42に制御されて、テスト信号に応じた電圧を発生し、CPU42は発生した電圧に応じた信号を内部パッドCpPを介してメモリセルチップCcに供給し、メモリセルチップCcは受信した信号から電圧を生成した。
【0070】
これに対し、図13の例は、CPU42は、テスト信号に基づく電圧に応じた信号を内部パッドCpPを介してメモリセルチップCcに供給する。メモリセルチップCcは受信した信号からポンプ回路43aによって電圧を生成する。
【0071】
また、図5の例では、CPU42は、テスト信号に応じたデータをデータラッチ回路46,47に与えて、データラッチ回路46,47は、内部パッドCpPを介してデータをメモリセルチップCcに供給した。
【0072】
これに対し、図13の例は、CPU42は、テスト信号に基づく信号を内部パッドCpPを介してメモリセルチップCcに供給する。メモリセルチップCcは受信した信号に応じた電圧をデータラッチ回路46a,47aにラッチさせる。
【0073】
図5の例のように、メモリセルチップCcにおいて用いる駆動電圧の制御を、周辺回路チップCp又はテスト装置2において実施するとプローブ数の増加に繋がり、また、テスト装置2の構成が複雑となる。これに対し、図13のように、メモリセルチップCc内にポンプ回路やデータラッチ回路を移植すると、周辺回路チップCp又はテスト装置2においてメモリセルチップCcにおいて用いる駆動電圧制御が不要となり、プローブ数の削減が可能となる。
【0074】
また、周辺回路チップCpから発生する電圧にはバラツキがあり、周辺回路チップCpからの電圧をメモリセルチップCcに与えてテストを行う場合には、テスト数が増大することがある。図13の例では、メモリセルチップCcにおいて安定した電圧を発生させることができ、結果的にテスト数を削減し、製造コスト増加を抑制できるという利点もある。
【0075】
このように本実施の形態においては、周辺回路チップCpの内部パッドCpPとメモリセルチップCcの内部パッドCcPとにそれぞれ2つのプローブ装置P1,P2を接続し、プローブ装置P1,P2同士で通信を行うことで、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの間を電気的に接続することを可能にする。これにより、貼り合わされる前のウェハ上の周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを同時にテストすることが可能であり、ウェハテスト時間を短縮すると共に、歩留まりを向上させることができる。
【0076】
(変形例1)
図14は変形例を示す説明図である。図14において図6と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
図6の例は、ウェハWpとウェハWcの同一位置の周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとにプローブ装置P1,プローブ装置P2を接続して、テストを行う例を示した。図1の構成によれば、プローブ装置P1とプローブ装置P2は、貼り合わされる前のウェハWp,Wc上の任意の位置にプローブ17,27を配置することが可能である。
【0078】
そこで、本変形例においては、図14に示すように、ウェハWp,Wc上の相互に異なる位置(斜線部)に形成された周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとにプローブ17,27を接続する。このように、本変形例では、ウェハWp上の任意の位置の周辺回路チップCpとウェハWc上の任意の位置のメモリセルチップCcとにそれぞれプローブ装置P1,プローブ装置P2を接続してテストを行う。
【0079】
他の構成及び作用は第1の実施の形態と同様である。
【0080】
(変形例2)
図15は変形例を示す説明図である。図15において図6と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
図6に示したウェハWp,Wcは、ウェハ同士を貼り合わせて、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを接続した半導体記憶装置を製造することを考慮したものであり、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcのサイズ及び配置がウェハWp,Wcで共通である。
【0082】
これに対し、図15の例は、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcのサイズ及びウェハ上の配置が、ウェハWpとウェハWcとで異なる例を示している。ウェハWpには複数の周辺回路チップCpが形成される。また、ウェハWc1,Wc2には、複数のメモリセルチップCcが形成される。ウェハWpとWc1,Wc2とでは、形成される周辺回路チップCpとメモリセルチップCcのサイズ及びウェハ上の配置が異なる。
【0083】
図15はプローブ装置P1をウェハWp上の周辺回路チップCp1に接続し、プローブ装置P2をウェハWc1上のメモリセルチップCc1に接続した場合と、プローブ装置P1をウェハWp上の周辺回路チップCp2に接続し、プローブ装置P2をウェハWc2上のメモリセルチップCc2に接続した場合の例を示している。プローブ装置P1とウェハWpとを相対的に移動させ、プローブ装置P2とウェハWc1,Wc2とを相対的に移動させることにより、各種組み合わせでの検査が可能である。
【0084】
ところで、上述したように、仮に、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを同時にテストすることができない場合には、テスト時間を短縮することを考慮すると、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを貼り合わせて完成した半導体記憶装置に対してテストを行うことも考えられる。即ち、この場合には、半導体記憶装置の完成前にチップ不良を発見することはできないので、製造の効率化を考慮すると、ウェハ同士を貼り合せることにより完成した半導体記憶装置を作成する製造方法を採用することになる。しかし、この場合には、ウェハ内のチップサイズ及びパッドサイズを合わせ、ウェハ内の同一座標のチップ同士を貼り付ける必要がある。従って、本来は回路面積が小さく1ウェハに比較的多くの周辺回路チップCpを構成できる場合であっても、1ウェハにはメモリセルチップCcと同数の周辺回路チップCpしか形成することはできない。
【0085】
これに対し、変形例1,2では、任意のウェハ上の任意の位置の周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを組み合わせてこれらのチップを同時にテストすることが可能である。これにより、例えば良品同士の組み合わせの周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとをウェハ状態で見つけることができる。従って、ウェハ同士を貼り合わせるのではなく、例えば良品同士の周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとを組み合わせて貼り合わせる製造方法を採用したとしても、非効率ではない。即ち、変形例1,2によるテストでは、良品のチップと不良品のチップとが貼り合わされることを防止することができ、歩留まりを改善させることが可能である。
【0086】
このように、変形例1,2では、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとで回路面積が異なるウェハであっても、それらウェハから検査対象のチップを組み合わせることが可能であり、かつ組み合わせるチップの少なくとも一方について、複数のウェハの中からチップを選択してウェハテストを実施することができる。回路面積の小さい周辺回路チップについては、多チップ化が可能となり、また、メモリセルチップCcのセル容量に応じて、異なる周辺回路チップを再テストする必要もなく、開発期間とコストを抑制することができる。
【0087】
(第2の実施の形態)
図16は第2の実施の形態を示すブロック図である。図16において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0088】
本実施の形態はウェハWp上の良品チップとウェハWc上の良品チップとを組み合わせることで、歩留まりを改善させるものである。本実施の形態においても、ウェハWp上の任意の位置の周辺回路チップCpとウェハWc上の任意の位置のメモリセルチップCcとについて同時にウェハテストが可能である。そこで、ウェハWp,Wc上のチップ同士の組み合わせを変化させながらテストを実施することで、組み合わせに適したチップを選択可能にして、結果的に歩留まりを改善するようになっている。
【0089】
図16はテスト装置2に代えてテスト装置5を採用した点が第1の実施の形態と異なる。テスト装置5は、テスト装置5の全体を制御する制御回路5aを有する。制御回路5aは、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。
【0090】
制御回路5aは、バス6を介してテスト装置5内の各部と接続されている。制御回路5aは、テスト回路2aを制御して、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcのテストを実行する。また、制御回路5aは、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcの組み合わせを変更しながらテストを実行する。本実施の形態においては、制御回路5aは、テスト回路2aによるテスト結果を記録回路5bに記録すると共に、テスト結果に基づいて、テスト対象の周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcについて、良不良の判定及び相性の判定等の評価を行い、評価結果を記録回路5bに記録する。
【0091】
なお、図16では、記録回路5bをテスト装置5内に設ける例を説明したが、外部の図示しないサーバ等に評価結果を記録するようになっていてもよい。また、テスト装置5内の制御回路5aによって、良不良の判定及び相性の判定等の評価を実施する例を説明したが、図示しない外部機器において評価を行い評価結果を記録するようになっていてもよい。
【0092】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図17及び図18のフローチャートを参照して説明する。
【0093】
テスト装置5は、テスト回路2aを制御して、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとのテストを実施させる。プローブ装置P1のプローブ17a,17bは、ウェハWp上の所定の位置の周辺回路チップCpの外部パッド41及び内部パッドCpPにそれぞれ接続される。また、プローブ装置P2のプローブ27は、ウェハWc上の所定の位置のメモリセルチップCcの内部パッドCcPに接続される。
【0094】
テスト回路2aはテスト信号をプローブ装置P1に送信する。テスト回路2aは、図17のステップS1において、外部パッド41のコンタクト試験を行う。プローブ装置P1は、テスト信号をプローブ17aを介して周辺回路チップCpの外部パッド41に与える。プローブ17aからの信号は、プローブ装置P1のI/O13において受信され、通信回路12,2bによりテスト装置5のテスト回路2aに転送される。テスト回路2aは受信した信号によって、外部パッド41の導通等の電気的接続状態を確認するコンタクト試験を行う。
【0095】
テスト回路2aは、ステップS2において、合否を判定する。外部パッド41に対するコンタクト試験に合格しなかった場合には、テスト回路2aは、検査対象の周辺回路チップCpを不良と判定し(ステップS5)、当該周辺回路チップCpが不良であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS6)。コンタクト試験に合格すると、テスト回路2aは周辺回路に関する試験を行う。
【0096】
テスト信号は、プローブ装置P1からプローブ17aを介して周辺回路チップCpに供給される。例えば、論理設計の確認用のパターンをテスト信号として供給することにより、動作テスト(ファンクション試験)が行われる。ファンクション試験により、各種閾値やポンプ回路の出力値等の特性情報が得られる。ファンクション試験の結果は、プローブ17aからプローブ装置P1のI/O13に供給され、通信回路12,2bによりテスト装置5のテスト回路2aに転送される。テスト回路2aは受信した信号によって、周辺回路チップCpのファンクション試験の試験結果を得る。
【0097】
テスト回路2aは、ステップS2において、周辺回路チップCpのファンクション試験の合否を判定する。ファンクション試験に合格しなかった場合には、テスト回路2aは、検査対象の周辺回路チップCpを不良と判定し(ステップS5)、当該周辺回路チップCpが不良であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS6)。ファンクション試験に合格すると、テスト回路2aはステップS3において、内部パッドCpPに関する試験(コンタクト試験)を行う。
【0098】
コンタクト試験のためのテスト信号は、プローブ装置P1からプローブ17bを介して周辺回路チップCpの内部パッドCpPに与えられる。コンタクト試験の結果は、プローブ17bからプローブ装置P1のI/O13に供給され、通信回路12,2bによりテスト装置5のテスト回路2aに転送される。テスト回路2aは受信した信号によって、内部パッドCpPのコンタクト試験の試験結果を得る。
【0099】
テスト回路2aは、ステップS4において、周辺回路チップCpの内部パッドCpPのコンタクト試験の合否を判定する。コンタクト試験に合格しなかった場合には、テスト回路2aは、検査対象の周辺回路チップCpを不良と判定し(ステップS5)、当該周辺回路チップCpが不良であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS6)。テスト回路2aは、コンタクト試験合格の判定を行うと、当該周辺回路チップCpが良品であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS6)。
【0100】
なお、テスト回路2aは、周辺回路チップCpの良不良だけでなく、コンタクト試験及びファンクション試験の結果に基づく評価情報を生成して記録回路5bに記録するようになっていてもよい。
【0101】
また、テスト回路2aはテスト信号をプローブ装置P2にも送信する。テスト回路2aは、図18のステップS11において、内部パッドCcPのコンタクト試験を行う。プローブ装置P2は、テスト信号をプローブ27を介してメモリセルチップCcの内部パッドCcPに与える。また、プローブ27からの信号は、プローブ装置P2のI/O23において受信され、通信回路22,2bによりテスト装置5のテスト回路2aに転送される。テスト回路2aは受信した信号によって、内部パッドCcPの導通等の電気的接続状態の確認が可能である。
【0102】
テスト回路2aは、ステップS12において、合否を判定する。内部パッドCcPに対するコンタクト試験に合格しなかった場合には、テスト回路2aは、検査対象のメモリセルチップCcを不良と判定し(ステップS13)、当該メモリセルチップCcが不良であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS14)。
【0103】
また、テスト回路2aは、メモリセルチップCcに対する特性試験のためのテスト信号も発生する(ステップS11)。このテスト信号は、プローブ装置P1からプローブ17aを介して周辺回路チップCpに供給される。周辺回路チップCpは、特性試験のための信号を内部パッドCpPからプローブ17b、プローブ装置P1,P2及びプローブ27を介して内部パッドCcPに供給する。これにより、特性試験が実施され、特性試験の結果は、内部パッドCcP、プローブ27、プローブ装置P2,プローブ装置P1、内部パッドCpP、外部パッド41及びプローブ17aを介して、プローブ装置P1のI/O13に供給され、通信回路12,2bによりテスト装置5のテスト回路2aに転送される。テスト回路2aは受信した信号によって、メモリセルチップCcの特性試験の試験結果を得る。
【0104】
テスト回路2aは、ステップS12において、メモリセルチップCcの特性試験の合否を判定する。特性試験に合格しなかった場合には、テスト回路2aは、検査対象のメモリセルチップCcを不良と判定し(ステップS13)、当該メモリセルチップCcが不良であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS14)。特性試験に合格すると、当該メモリセルチップCcが良品であることを示す評価情報を生成して記録回路5bに記録する(ステップS14)。
【0105】
なお、テスト回路2aは、メモリセルチップCcの良不良だけでなく、コンタクト試験及び特性試験の結果に基づく評価情報を生成して記録回路5bに記録するようになっていてもよい。
【0106】
制御回路5aは、プローブ装置P1とウェハWpとの相対位置及びプローブ装置P2とウェハWcとの相対位置を変化させながら、検査対象の周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcを切換える。これにより、ウェハ上の各チップについての評価情報が記録回路5bに蓄積される。この評価情報は、各チップについて、良不良の判定結果を示すと共に、所定の周辺回路チップCpと所定のメモリセルチップCcとの相性の良さを判定するための情報となる。制御回路5aは、この評価情報を利用することで、相性の良いチップ同士の組み合わせを決定する。制御回路5aは決定した組み合わせでウェハテストを実施する。こうして、相性の良いチップ同士を組み合わせて半導体記憶装置を製造することが可能となり、歩留まりを改善することができる。
【0107】
図19は複数組の周辺回路チップCp及びメモリセルチップCcのテストを同時に行う様子を説明するための説明図である。
【0108】
図19のテストシステムは、図16と同一構成のテスト装置5と、図16と同一構成の9つのプローブ装置P1のユニットと9つのプローブ装置P2のユニットとを備える。ステージ32p上には周辺回路用のウェハWpが搭載され、ステージ32c上にはメモリセル用のウェハWcが搭載される。
【0109】
9つのプローブ装置P1のユニットのプローブ17a,17bは、ウェハWp上の9つの周辺回路チップCpの外部パッド41及び内部パッドCpPに接続される。また、9つのプローブ装置P2のユニットのプローブ27は、ウェハWc上の9つのメモリセルチップCcの内部パッドCcPに接続される。
【0110】
また、図9の例では、テスト装置5の通信回路2bは、コンタクト部35p,35cと切換部36とにより構成されており、各プローブ装置P1のユニットは、それぞれテスト装置5の通信回路2bを構成するコンタクト部35pと接続される。また、各プローブ装置P2のユニットは、それぞれテスト装置5の通信回路2bを構成するコンタクト部35cと接続される。コンタクト部35p,35cは、各プローブ装置P1,P2のユニットの通信回路12,22とテスト装置5の通信回路2bとの間で有線通信を行う場合には例えばコネクタ等により構成され、無線通信を行う場合には例えばアンテナや発光素子等により構成される。
【0111】
テスト装置5は、テスト信号を9つのプローブ装置P1のユニットに供給し、各プローブ装置P1のユニットは、それぞれのプローブ17aを介してテスト信号をウェハWp上の9つの周辺回路チップCpに供給する。また、9つの周辺回路チップCpのそれぞれの内部パッドCpPは、9つのプローブ装置P1のユニットのプローブ17b及び内部回路、9つのプローブ装置P2のユニットの内部回路及びプローブ27を介して、9つのメモリセルチップCcのそれぞれの内部パッドCcPに接続される。こうして、ウェハWp上の9つの周辺回路チップCpとウェハWc上の9つのメモリセルチップCcとがそれぞれ個別に電気的に接続される。
【0112】
この状態で先ず良不良及び相性等の評価が行われる。テスト装置5は、各周辺回路チップCpと各メモリセルチップCcについて良不良及び相性等を評価する。テスト装置5の制御回路5aは、良不良及び相性に応じて、周辺回路チップCpとメモリセルチップCcの組み合わせを決定して、ウェハテストを実施する。テスト装置5の通信回路2bを構成する切換部36は、接続する周辺回路チップCpとメモリセルチップCcとの組み合わせを適宜設定することができる。
【0113】
図19の例では、テスト装置5内の矢印によって、9つのプローブ装置P1のユニットのうち右から1,2,3,4,7,8,9番目のコンタクト部35pと接続される各プローブ装置P1のユニットと、9つのプローブ装置P2のユニットのうち左から2,3,4,5,6,7,9番目のコンタクト部35cと接続される各プローブ装置P2のユニットとが組となって、これらのプローブ装置P1のユニット,プローブ装置P2のユニットに接続された各周辺回路チップCpと各メモリセルチップCcとがそれぞれ組み合わされてテストが実施されることを示している。なお、各9つのプローブ装置P1のユニット,プローブ装置P2のユニットに接続された周辺回路チップCp,メモリセルチップCcのうち、対応するコンタクト部35pとコンタクト部35cが接続されていない組は、不良チップであり、テスト信号の送信は行われない。
【0114】
このように本実施の形態においては、ウェハWp,Wc上のチップ同士の組み合わせを変化させながらテストを実施することで、組み合わせに適したチップを選択可能にして、結果的に歩留まり改善することができる。
【0115】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0116】
1…テストシステム、2,5…テスト装置、2a…テスト回路、2b…通信回路、11,21…制御回路、12,22…通信回路、13,23…I/O、14,24…信号生成回路、15,25…通信回路、17,17a,17b…プローブ、41…外部パッド、Cc…メモリセルチップ、CcP…内部パッド、Cp…周辺回路チップ、CpP…内部パッド、P1,P2…プローブ装置、Wc,Wp…ウェハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19