(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048051
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】袋開口保持具
(51)【国際特許分類】
B65B 67/12 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
B65B67/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020168067
(22)【出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】520385766
【氏名又は名称】半田 宙子
(72)【発明者】
【氏名】半田 宙子
【テーマコード(参考)】
3E057
【Fターム(参考)】
3E057CA09
3E057CB04
3E057CC20
(57)【要約】
【課題】厚手ビニール袋やチャック付き袋は通常広げた口の離れた2箇所以上を押さえつづけていないと自然と口を閉じてしまう。よって一度の動作で簡便に開口保持できる器具を提供することを目的とする。
【解決手段】袋を構成するシートを曲げようとすると反り返る性質を利用して、袋口の一部のみを挟み込んで保持しつつ、同時に脇押さえ材で袋を構成するシートをひずませて開口状態とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋口の内側に入れる内側押さえ棒とこれと互いに押し付けあう押し付け手段を有し、かつ袋の外側に位置する外側押さえ部品を有し、これらの間にて袋口を挟持する器具であって、挟持部分の両脇を袋の外側から内側に向かって袋の面を押す脇押さえ部品を有する器具であって、当該脇押さえ部品により袋口をひずませて袋口を開口状態とすることを特徴とする袋の開口保持具。
【請求項2】
袋口の内側に入れる内側押さえ棒とこれと互いに押し付けあう押し付け手段を有し、かつ袋の外側に位置する外側押さえ部品を有し、これらの間にて袋口を挟持する器具であって、挟持部分の両脇を袋の外側から内側に向かって袋の面を押す脇押さえ部品を有する器具であって、当該脇押さえ部品により袋口をひずませて袋口を開口状態とすることを特徴とする袋の開口保持具であって、脇押さえ部品の位置を可動とする、もしくは形状を変化させて袋挟持部分から離すことで、開口させない単なる挟み固定具としても使用できる袋の開口保持具。
【請求項3】
袋口の内側に入れる内側押さえ棒とこれと互いに押し付けあう押し付け手段を有し、かつ袋の外側に位置する脇押さえ部品を有し、これらの間にて袋口を挟持する器具であって、当該脇押さえ部品により内側押さえ棒の側面の内で互いに対向する位置を袋の外側から押しつつ袋口をひずませて袋を開口状態とすることを特徴とする袋の開口保持具。
【請求項4】
袋口の内側に入れる内側押さえ棒内部に袋口から袋底に向かう方向に貫通する穴を有する請求項1、請求項2または請求項3に記載した袋の開口保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチャック付き袋や厚手ポリ袋などの面状の張りのある素材に力を加えたときに生ずる反り返りを利用して、開口状態を保ったまま袋を保持できるようにする部品である。
【背景技術】
【0002】
チャック袋を開口状態で保持する器具が販売されているが、袋口周りの離れた2か所以上を固定する必要がある(非特許文献1)。
【0003】
袋口1か所の固定で開口保持する器具は袋保持具として公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アズワンオンラインカタログのアズワン品番 3-9678-01ストックバッグホルダー
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のストックバッグホルダーとして市販されている袋保持器は袋口の離れた2箇所を固定せねばならない。
【0007】
また特許文献1の袋保持器は1箇所の固定で開口するとあるが、チャック袋などは器具の幅と袋口部分の幅が適合しないと袋口に復元力が働いて閉じてしまうので、袋サイズの選択に自由度が無い。
【0008】
本発明の目的はチャック袋や厚手ビニール袋などのように、袋の素材のシートが面を平らに保とうとする復元力を有するために通常離れた2箇所以上に力を加えて押さえておかないと開口を保てない袋について、一度の挟持動作だけで簡便に開口状態を保持でき、かつ様々なサイズにも対応可能な袋状容器の開口保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内側押さえ棒側面と外側押さえ部品の間または内側押さえ棒と脇押さえ部品の間で袋口を挟んで保持し、同時に脇押さえ部品が挟持部分の左右を袋の外側から押すことで、袋の素材が内側押さえ棒を抱き込む形に変形を起こし、当該変形の応力が袋口周りに伝わり、開口状態とすることを特徴とする。
【0010】
本発明の内側押さえ棒と外側押さえ部品の間で挟み込みを行う際に、脇押さえ部品の位置を可動とすること、もしくは形状を変化させることにより、脇押さえ部品の使用、不使用を選択出来、不使用の場合は開口しないので通常の挟持も可能である。
【0011】
本発明の内側押さえ棒内部に袋口から袋底に向かう方向に貫通する穴を設けることで、当該穴を利用して漏斗を取り付けることや管を通すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チャック付き袋や厚手のポリ袋などの袋口の一部を一度の動作のみで挟持し袋口をひずませ、開口保持することができる。固定が袋口の一部だけなので、いろいろなサイズの袋に利用しやすい。
【0013】
請求項2の発明によれば、可動式の脇押さえ部品を挟持部から遠ざけることで、通常のクリップとしても使用できる。
【0014】
請求項4の発明では、広げた袋口から固体を出し入れできるばかりでなく、内側押さえ棒に設けた貫通する穴を利用して、同時並行的に貫通穴経由で液体や粉体の出し入れ作業が行える。
【0015】
本発明の袋開口保持具は固定箇所が1部分だけであるので、袋口を手前にし、開口保持具を向こう側に配置すると中身の充填作業の時に開口保持具が汚れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1で開口保持した袋と開口保持具のA-A位置の断面である。
【
図3】請求項1に記載の開口保持具を開いた状態である。
【
図7】請求項3に記載した発明のB-B位置の断面図である。
【
図9】請求項4に記載した発明の実施例の上部を示す図である。
【
図10】請求項4に記載した開口保持具の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の袋の開口保持具の好ましい実施形態を、順次説明する。
なお、請求項1、2、3及び4に記載の発明に共通する事項として、袋口を挟み込む部品表面に滑り止め加工をすることが望ましい。また、外側押さえ部品または脇押さえ部品の一部にネジやマグネット、接着剤、フックなどを付けてスタンドや壁面に取り付けられ、任意の高さで袋を保持することが可能となるが、安全のために袋の底が作業する台に乗る高さで挟み固定を行うことが望ましい。さらに袋内側押さえ棒側面と外側押さえ部品または脇押さえ部品を相互に押し付ける力は、袋を立てた状態で開口保持する場合に袋の充填物の重量で袋がずり落ちない強度にする必要がある。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、請求項1に記載した発明の袋の開口保持具で袋口を挟持した様子を現した第1実施形態を示す。
図2は、
図1のA-A位置での断面を示す平面図である。
図3は、開口保持具を袋状容器に装着するために挟持部を開いた様子を示す図である。
【0019】
図1に示す開口保持具は、内側押さえ棒1bと、外側押さえ部品1a、および脇押さえ部品1cを有する。内側押さえ棒1bと外側押さえ部品1aは連結軸1dで開閉できるようになっている。かかる連結軸1d周りにはトーションバネがついていて、内側押さえ棒1bと、外側押さえ部品1aの間で袋口を挟持するための締め付け力を有する。
【0020】
図1の外側押さえ部品1aには挟持した袋口付近を袋の外から押さえ込むための脇押さえ部品1cを取り付けてある。この脇押さえ部品は袋口の一部を内側押さえ棒を囲むようにして変形させ、かかる変形が袋口全体のひずませることで開口状態となる。この開口状態を袋口に平行な断面であらわしたものが
図2である。
【0021】
図1の袋挟持具の内側押さえ棒1aと外側押さえ部品1bは、比較的剛性の高い樹脂部品料、例えばPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等又は比較的剛性の高い金属部品料、例えばアルミニウムや鉄等により作られている。また脇押さえ部品1cは、弾性変形可能で比較的剛性の高い金属材料または樹脂材料を薄板状に加工して作られており、ネジまたは接着剤、溶接などの手段で外側押さえ部品1bに取り付けられている。脇押さえ部品1cは針金や棒状の樹脂材料を並べたものに代えることができる。
図1の連結軸1dは比較的剛性の高い金属材料または比較的剛性の高い樹脂材料で作られており、軸周辺につけられたトーションバネで内側押さえ棒1bと外側押さえ部品1aによる袋口の締め付けの力を与える。
【0022】
図1の実施形態では本発明の開口保持具は底板1gから立ち上がる支柱1fに取り付けられており、作業中に袋口を上向きに保つことができる。支柱1fにはネジ固定または軸径中心部の連結軸差し込み、接着剤による接着などで取り付けられる。あるいは外側押さえ部品1aの長さを伸ばして支柱1fを兼用できる長さに成型するものとする。
【0023】
(第2実施形態)
図4は、請求項1に記載した発明の袋の開口保持具で袋口を挟持した様子を現した第2実施形態を示す。本実施形態では袋の外側押さえ部品2aと脇押さえ部品2cは一体で形成されている。2dの連結軸付近にバネをもうけて、袋保持力を生じさせるのは第1実施形態と同様である。
【0024】
(第3実施形態)
図5は請求項2に記載の発明の実施形態を示す。内側押さえ棒3bと外側押さえ部品3aは連結軸3d接続されていて、固定軸3eは金属のピンであり、それ以外の各部品の素材は第1実施形態と同様である。本実施例では脇押さえ部品3cは楕円のリング状に加工されているが、機能は実施例1や実施例2の脇押さえ部品と同様である。本実施形態では脇押さえ部品3cは固定軸3eを中心として回して位置を変えることができる。
図5-2のように脇押さえ部品3cを外側押さえ部品3bと並行方向に向けると、脇押さえ部品3cは袋に接触しなくなるので、通常のクリップとしても使用できる。
【0025】
(第4実施形態)
図6と
図8は請求項3に記載の発明の実施形態を示す。
図7は
図6のB-B位置の断面を示している。
図6と
図7に示すように袋の外側押さえ部品4aと脇押さえ部品4cは一体で形成されていて、内側押さえ棒4bとは完全に分離できる。第1から第3までの実施形態と異なり、脇押さえ部品4cが袋の外から内側押さえ棒4bを挟んで袋を保持する役割と袋口をひずませる役割を兼務している。
【0026】
図6の4a及び4cは金属性の板バネまたは弾性を有するポリプロピレン等の樹脂を内側押さえ棒を締め付けられるように加工したものであり、内側押さえ棒4bと袋を挟んで固定する締め付け強度を持つ。袋の内側押さえ棒4bの素材は樹脂、金属、木などで作られている。
図6と
図7では内側押さえ棒4bは直方体だが、これを円柱または楕円柱とすることも可能で、その場合は4a及び4cは内側押さえ棒を取り囲んで押さえられるように曲率を持たせたものとする。
【0027】
(第5実施形態)
図10は請求項4に記載の発明の袋の開口保持具で袋口を挟持し、かつロートを保持させた様子を現した第5実施形態を示す。本実施形態では内側押さえ棒に貫通穴を設けてあり、この穴を利用して漏斗やチューブを差し込むことができる。これにより袋口に直接固形物などを入れつつ、並行して貫通穴を通して液体や粉体の出し入れを行うことができる。
【0028】
図9は本実施形態の本体上部の平面図である。内側押さえ棒5bには漏斗やチューブを通せるように貫通した穴が開いている。内側押さえ棒5bは袋の外側を押さえるための外側押さえ部品5aと連結用蝶番5dで接続されている。この外側押さえ部品5a にはネジまたは接着剤を使って脇押さえ部品5cが取り付けらえている。
【0029】
図9及び
図10の袋の開口保持具の素材とその接続方法は第1実施形態と同様であるが、
図9の連結用蝶番5dは比較的剛性の高い金属部品料または比較的剛性の高い樹脂部品料で作られている。また、内側押さえ棒5bと外側押さえ部品5aの袋の挟持部分となる面の一方は磁性を有するシート5jが張り付けられており、他方は鉄などの磁石と引き合う部材で作られている。これにより互いに引き合い、袋を挟んで保持する。
【符号の説明】
【0030】
1a 外側押さえ部品
1b 内側押さえ棒
1c 脇押さえ部品
1d 連結軸
1e 固定ネジ
1f 支柱
1g 底板
1h 保持対象のチャック袋
2a 外側押さえ部品
2b 内側押さえ棒
2c 脇押さえ部品
2d 連結軸
3a 外側部品
3b 内側押さえ棒
3c 脇押さえ部品
3d 連結軸
3e 固定軸
4a 外側押さえ部品
4b 内側押さえ棒
4c 脇押さえ部品
4f 支柱
4h 保持対象のチャック袋
4i 支柱延長棒
5a 外側部品
5b 内側押さえ棒
5c 脇押さえ部品
5d 連結の蝶番
5e 固定ネジ
5f 支柱
5g 底板
5h 保持対象のチャック袋
5j 磁性シート
5k 漏斗