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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048059
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】差動配線基板及び半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/015 20060101AFI20220317BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20220317BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20220317BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G02F1/015 505
H01S5/022
H01S5/026 616
G02F1/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020186989
(22)【出願日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020153685
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 光一朗
【テーマコード(参考)】
2K102
5F173
【Fターム(参考)】
2K102AA20
2K102BA02
2K102BB01
2K102BC04
2K102CA20
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA08
2K102EB20
2K102EB29
5F173AD14
5F173MA02
5F173MC01
5F173MC20
5F173MD04
5F173MD23
5F173MD43
5F173MD51
5F173MD59
5F173MD64
(57)【要約】
【課題】差動駆動方式での小型化を目的とする。
【解決手段】差動配線基板は、第1面12及び第2面14を有し、第1面12及び第2面14の間で第1厚みh1を有する第1部分16を含み、第1面12及び第2面14の間で第1厚みh1よりも薄い第2厚みh2を有する第2部分18を含む誘電体層10と、第1配線幅W1を有し、第1部分16の第1面12に配置された第1導体ライン22と、第1配線幅W1よりも狭い第2配線幅W2を有し、第2部分18の第1面12に配置された第2導体ライン24と、第1部分16の第2面14及び第2部分18の第2面14に、第1導体ライン22及び第2導体ライン24に重なるように配置されたグランド導体26と、を有する。第1導体ライン22及び第2導体ライン24は、差動伝送線路を構成する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で第1厚みを有する第1部分を含み、前記第1面及び前記第2面の間で前記第1厚みよりも薄い第2厚みを有する第2部分を含む誘電体層と、
第1配線幅を有し、前記第1部分の前記第1面に配置された第1導体ラインと、
前記第1配線幅よりも狭い第2配線幅を有し、前記第2部分の前記第1面に配置された第2導体ラインと、
前記第1部分の前記第2面及び前記第2部分の前記第2面に、前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインに重なるように配置されたグランド導体と、
を有し、
前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインは、差動伝送線路を構成する差動配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載された差動配線基板であって、
前記グランド導体は、前記第1部分の前記第2面及び前記第2部分の前記第2面に連続している差動配線基板。
【請求項3】
請求項1に記載された差動配線基板であって、
前記グランド導体は、前記第1部分の前記第2面に配置された第1グランド導体と、前記第1グランド導体とは分離されて前記第2部分の前記第2面に配置された第2グランド導体と、を含む差動配線基板。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載された差動配線基板であって、
前記誘電体層は、前記第1部分及び前記第2部分の間に、厚みが変化する第3部分を有し、
前記第3部分は、前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインのいずれにも重ならない差動配線基板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された差動配線基板であって、
前記第2面には、前記第1部分及び前記第2部分の間の段差があり、
前記第2面の前記段差は、前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインの間のスペースの中央直下にある差動配線基板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載された差動配線基板であって、
前記第2導体ラインは、前記第1導電ライン及び前記第2導電ラインの並ぶ方向で、前記第2部分の中央に位置している差動配線基板。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載された差動配線基板であって、
前記第1部分は、複数の第1部分であり、
前記第2部分は、複数の第2部分であり、
前記第1導体ラインは、前記複数の第1部分のそれぞれの前記第1面に配置され、
前記第2導体ラインは、前記複数の第2部分のそれぞれの前記第1面に配置され、
前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインは、多チャンネルのそれぞれで、前記差動伝送線路を構成する差動配線基板。
【請求項8】
請求項7に記載された差動配線基板であって、
前記複数の第1部分のそれぞれは、前記第1面に、前記第1導体ラインが形成される配線領域と、前記第2導体ラインとは反対の方向に余白幅を以て前記配線領域に隣接する余白領域と、を含み、
前記複数の第1部分は、それぞれ、前記余白幅において等しい差動配線基板。
【請求項9】
請求項7に記載された差動配線基板であって、
前記複数の第1部分のそれぞれは、前記第1面に、前記第1導体ラインが形成される配線領域を有し、前記第2導体ラインとは反対の方向に前記配線領域に隣接する余白を有しない差動配線基板。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載された差動配線基板であって、
前記多チャンネルの隣同士のチャンネル間で、前記第1面に配置されたチャンネル間導体と、
前記誘電体層を貫通して前記グランド導体と前記チャンネル間導体を接続する接続導体と、
をさらに有する差動配線基板。
【請求項11】
請求項10に記載された差動配線基板であって、
前記接続導体は、前記第2部分を避けて前記第1部分を貫通している差動配線基板。
【請求項12】
請求項10に記載された差動配線基板であって、
前記接続導体は、前記第1部分を避けて前記第2部分を貫通している差動配線基板。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載された前記差動配線基板と、
前記差動配線基板に搭載された半導体光素子と、
を有する半導体発光装置。
【請求項14】
請求項13に記載された半導体発光装置であって、
前記半導体光素子は、電界吸収型変調器と半導体レーザが一体に集積された電界吸収型変調器集積レーザであり、
前記電界吸収型変調器集積レーザは、前記電界吸収型変調器及び前記半導体レーザに共通の下電極と、前記電界吸収型変調器の上電極と、を有し、
前記下電極は、前記第1導体ラインに、はみださないように対向し、
前記上電極は、ワイヤによって、前記第2導体ラインに接続されている半導体発光装置。
【請求項15】
請求項14に記載された半導体発光装置であって、
前記第2導体ラインとは反対方向に前記第1導体ラインに隣り合うように、前記第1面に配置されたパッドと、
前記パッドと前記第1導体ラインの間に直列接続された整合抵抗器と、
前記上電極と前記パッドを接続するワイヤと、
をさらに有する半導体発光装置。
【請求項16】
請求項15に記載された半導体発光装置であって、
前記パッドは、前記第1部分に配置されている半導体発光装置。
【請求項17】
請求項15に記載された半導体発光装置であって、
前記パッドは、前記第2部分に配置されている半導体発光装置。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載された半導体発光装置であって、
前記第2導体ラインは、前記第1導体ラインとは反対方向に延びるスタブを有し、
前記第1導体ラインの、前記パッドに隣り合う部分と、前記第2導体ラインの、スタブが延びる部分とは、隣り合っている半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動配線基板及び半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信用光モジュールの電気信号の品質を確保する手段として、差動駆動方式が知られている。特許文献1には、電界吸収型変調器集積レーザ(Electro Absorption Modulated Laser: EML)を差動駆動することが開示されている。また差動伝送線路の一般的な計算式として非特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-29649号公報
【非特許文献1】IEEE Transactions on Electronic Computers, 1967, Vol. EC-16, Issue 2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
差動駆動方式では、位相の反転した信号対のバランスをとるために、一対の差動伝送線路の配線幅は同じになっていた。また、引用文献1に開示されるように、一対の差動伝送線路の一方にEMLを搭載するには、広い配線幅を確保する必要がある。これらの理由から、差動駆動方式は、シングルエンド駆動方式と比較して、小型化が難しかった。
【0005】
本発明は、差動駆動方式での小型化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る差動配線基板は、第1面及び第2面を有し、前記第1面及び前記第2面の間で第1厚みを有する第1部分を含み、前記第1面及び前記第2面の間で前記第1厚みよりも薄い第2厚みを有する第2部分を含む誘電体層と、第1配線幅を有し、前記第1部分の前記第1面に配置された第1導体ラインと、前記第1配線幅よりも狭い第2配線幅を有し、前記第2部分の前記第1面に配置された第2導体ラインと、前記第1部分の前記第2面及び前記第2部分の前記第2面に、前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインに重なるように配置されたグランド導体と、を有し、前記第1導体ライン及び前記第2導体ラインは、差動伝送線路を構成する。
【0007】
本発明によれば、第2配線幅が第1配線幅よりも狭いことで、小型化が可能になる。第2配線幅が第1配線幅よりも狭いが、第2厚みが第1厚みよりも薄いので、差動伝送される信号対のバランスをとることができる。
【0008】
本発明に係る半導体発光装置は、前記差動配線基板と、前記差動配線基板に搭載された半導体光素子と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る差動配線基板の平面図である。
図2図1に示す差動配線基板のII-II線断面図である。
図3】第1の実施例に係る差動配線基板のシミュレーション用モデルを示す図である。
図4】比較例に係る差動配線基板のシミュレーション用モデルを示す図である。
図5】三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、第1の実施形態と比較例の周波数特性を示す図である。
図6】変形例1に係る差動配線基板の断面図である。
図7】変形例2に係る差動配線基板の断面図である。
図8】変形例3に係る差動配線基板の断面図である。
図9】変形例4に係る差動配線基板の断面図である。
図10】第2の実施形態に係る差動配線基板の平面図である。
図11図10に示す差動配線基板のXI-XI線断面図である。
図12】第3の実施形態に係る差動配線基板の断面図である。
図13】第4の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。
図14図13に示す半導体発光装置のXIV-XIV線断面図である。
図15】半導体光素子の断面図である。
図16】第5の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。
図17】第6の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。
図18図17に示す半導体発光装置のXVIII-XVIII線断面図である。
図19】第7の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。
図20図19に示す半導体発光装置のXX-XX線断面図である。
図21】第8の実施形態に係る半導体発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る差動配線基板の平面図である。図2は、図1に示す差動配線基板のII-II線断面図である。差動配線基板は、誘電体層10を有する。誘電体層10は、窒化アルミニウムなどの誘電体からなる。誘電体層10は単層からなる。誘電体層10は、第1面12及び第2面14を有する。誘電体層10は、第1部分16を含む。第1部分16は、第1面12及び第2面14の間で第1厚みh1を有する。誘電体層10は、第2部分18を含む。第2部分18は、第1面12及び第2面14の間で第1厚みh1よりも薄い第2厚みh2を有する。第1部分16及び第2部分18は、第1面12において面一になっている。第2面14には、第1部分16及び第2部分18の間の段差(高さ変換部)20がある。つまり、第1部分16及び第2部分18の厚みの差は、第2面14に現れている。
【0012】
差動配線基板は、第1導体ライン22を有する。第1導体ライン22は、第1配線幅W1を有する。第1導体ライン22は、第1部分16の第1面12に配置されている。差動配線基板は、第2導体ライン24を有する。第2導体ライン24は、第1配線幅W1よりも狭い第2配線幅W2を有する。第2導体ライン24は、第2部分18の第1面12に配置されている。第2導体ライン24は、第1導体ライン22及び第2導体ライン24の並ぶ方向で、第2部分18の中央に位置している。第2面14の段差20は、第1導体ライン22及び第2導体ライン24の間のスペースの中央直下にある。つまり、第1導体ライン22から中央までの距離d1と、第2導体ライン24から中央までの距離d2が等しい。
【0013】
第1導体ライン22及び第2導体ライン24は、金などの材料からなり、積層材料を用いてもよい。第1導体ライン22及び第2導体ライン24は、差動伝送線路を構成する。第1配線幅W1及び第2配線幅W2、第1厚みh1及び第2厚みh2は、差動伝送線路の特性インピーダンスが100Ωとなるように設定されている。
【0014】
差動配線基板は、グランド導体26を有する。グランド導体26は、金などの材料からなり、積層材料を用いてもよい。グランド導体26は、第1部分16の第2面14及び第2部分18の第2面14に配置されている。グランド導体26は、第1部分16の第2面14及び第2部分18の第2面14に連続している。グランド導体26は、第1部分16の、第2部分18に隣接する側面にも形成されている。グランド導体26を一体的に形成するので、パターニングが不要になり、作製工程を簡易化することができる。
【0015】
グランド導体26は、第1導体ライン22及び第2導体ライン24に重なる。これにより、第1導体ライン22とグランド導体26は、GND付きマイクロストリップ線路型の高周波線路を構成する。また、第2導体ライン24とグランド導体26も、GND付きマイクロストリップ線路型の高周波線路を構成する。
【0016】
本実施形態によれば、第2配線幅W2が第1配線幅W1よりも狭いことで、小型化が可能になる。第2配線幅W2が第1配線幅W1よりも狭いが、第2厚みh2が第1厚みh1よりも薄いので、差動伝送される信号対のバランスをとることができ、特性インピーダンスの劣化もない。
【0017】
図3は、第1の実施例に係る差動配線基板のシミュレーション用モデルを示す図である。第1導体ライン22及び第2導体ライン24並びに第1部分16及び第2部分18は、上述した特徴を有する。具体的な寸法は図示する通りである。差動インピーダンスは100Ωに設定した。
【0018】
図4は、比較例に係る差動配線基板のシミュレーション用モデルを示す図である。一対の導体ラインの幅は同じであり、誘電体層の厚みも均一である。具体的な寸法は図示する通りである。差動インピーダンスは100Ωに設定した。
【0019】
図5は、三次元電界解析ツールを用いたシミュレーションによって得られた、第1の実施形態と比較例の周波数特性を示す図である。本結果より明らかなように、第1の実施形態は、比較例と同様に、0GHzから60GHzまでの範囲において、十分な透過特性(S21)を得ている。本実施形態によれば、少なくとも50GHzまでのアプリケーションにおいて、差動配線基板の大きさを20%低減しつつ一般的な差動配線基板と同等の特性が得られる。なお、寸法はあくまで一例に過ぎず、所望の差動インピーダンス、必要な周波数帯、及び誘電体層10の誘電率などの条件に応じて、適宜選択すればよい。
【0020】
[変形例1]
図6は、変形例1に係る差動配線基板の断面図である。差動配線基板は、誘電体層が多層(例えば誘電率の異なる層10A,10B)である点で、第1の実施形態と異なる。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0021】
[変形例2]
図7は、変形例2に係る差動配線基板の断面図である。差動配線基板は、グランド導体が分割されている点で、第1の実施形態と異なる。グランド導体は、第1部分16の第2面14に配置された第1グランド導体26Aを含む。グランド導体は、第1グランド導体26Aとは分離されて第2部分18の第2面14に配置された第2グランド導体26Bを含む。第1部分16の、第2部分18に隣接する側面にはグランド導体26が形成されない。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0022】
[変形例3]
図8は、変形例3に係る差動配線基板の断面図である。第2面14の段差20Bは、第1導体ライン22及び第2導体ライン24の間のスペースの中央直下にはない。このように、段差20Bの位置にばらつきが生じるとしても、実用上の問題は小さい。
【0023】
[変形例4]
図9は、変形例4に係る差動配線基板の断面図である。誘電体層10は、第1部分16及び第2部分18の間に、厚みが変化する第3部分28を有する。第3部分28は、第1導体ライン22及び第2導体ライン24のいずれにも重ならない。なお、第2導体ライン24は、第1導体ライン22及び第2導体ライン24の並ぶ方向で、第2部分18の中央に位置している。第3部分28は、第1厚みh1で第1部分16に一体化し、第2厚みh2で第2部分18に一体化する。第1部分16の第2面14と、第2部分18の第2面14は、第3部分28の傾斜面で接続される。このような形状であっても、高周波特性に実用上問題になるレベルの差は見られない。
【0024】
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態に係る差動配線基板の平面図である。図11は、図10に示す差動配線基板のXI-XI線断面図である。
【0025】
誘電体層210は、複数の第1部分216を含む。誘電体層210は、複数の第2部分218を含む。複数の第1部分216及び複数の第2部分218は、交互に配列されている。第1導体ライン222は、複数の第1部分216のそれぞれの第1面212に配置されている。第2導体ライン224は、複数の第2部分218のそれぞれの第1面212に配置されている。第1導体ライン222及び第2導体ライン224は、多チャンネルCHのそれぞれで、差動伝送線路を構成する。
【0026】
複数の第1部分216のそれぞれは、第1面212に、第1導体ライン222が形成される配線領域230を含む。複数の第1部分216のそれぞれは、第1面212に、第2導体ライン224とは反対の方向に余白幅Wmを以て配線領域230に隣接する余白領域232を含む。複数の第1部分216は、それぞれ、余白幅Wmにおいて等しい。
【0027】
グランド導体226は、第1部分216の第2面214及び第2部分218の第2面214に連続している。第2面214には、第1部分216及び第2部分218の間の段差220がある。第2面214の段差220は、第1導体ライン222及び第2導体ライン224の間のスペースの中央直下にある。第2導体ライン224は、第1導体ライン222及び第2導体ライン224の並ぶ方向で、第2部分218の中央に位置している。その他の内容は、第1の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0028】
本実施形態によれば、それぞれのチャンネルCHで第2配線幅W2が第1配線幅W1よりも小さいので、小型のアレイ型差動配線基板を実現することができる。あるいは、変形例として、アレイ型差動配線基板の大きさを維持して、隣同士のチャンネルCH間の距離を大きくしてもよい。これにより、クロストークの低減が可能である。あるいは、差動配線基板を小さくするとともに、隣同士のチャンネルCH間の距離を大きくしてもよい。
【0029】
[第3の実施形態]
図12は、第3の実施形態に係る差動配線基板の断面図である。複数の第1部分316のそれぞれは、第1面312に、第1導体ライン322が形成される配線領域330を有する。複数の第1部分316のそれぞれは、第1面312に、第2導体ライン324とは反対の方向に配線領域330に隣接する余白を有しない。第2面314の段差320は、第1導体ライン322及び第2導体ライン324の間のスペースの中央直下にある。その他の内容は、第2の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0030】
[第4の実施形態]
図13は、第4の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。図14は、図13に示す半導体発光装置のXIV-XIV線断面図である。半導体発光装置は、差動配線基板400を有する。差動配線基板400には、第1の実施形態で説明した内容を適用可能である。
【0031】
差動配線基板400に半導体光素子434が搭載されている。半導体光素子434は、光を発するための半導体レーザ436を有する。半導体光素子434は、光を電界吸収効果によって変調するための電界吸収型変調器438を有する。半導体光素子434は、半導体レーザ436と電界吸収型変調器438が一体に集積された電界吸収型変調器集積レーザである。
【0032】
図15は、半導体光素子434の断面図である。半導体レーザ436と電界吸収型変調器438は、半導体基板440に作り込まれている。半導体基板440は、n型InP基板である。半導体レーザ436は、半導体基板440の上に、下側SCH(Separated Confinement Heterostructure)層442A及び上側SCH層444Aに挟まれた多重量子井戸446Aを有する。上側SCH層444Aの上に、回折格子層448があり、クラッド層450Aで覆われている。半導体レーザ436は、分布反射型(Distributed Bragg Reflector: DBR)であってもよいし、分布帰還型(Distributed Feedback: DFB)であってもよい。
【0033】
電界吸収型変調器438は、半導体基板440の上に、下側SCH層442Bと上側SCH層444Bに挟まれた多重量子井戸446Bを有する。上側SCH層444Bは、クラッド層450Bで覆われている。クラッド層450Aとクラッド層450Bは同じものであってもよいし、それぞれ異なる材料でもよい。電界吸収型変調器438と半導体レーザ436は、同一の半導体基板440上に集積されずに、互いが異なる半導体基板440に形成されていても構わない。
【0034】
半導体光素子434は、電界吸収型変調器438及び半導体レーザ436に共通の下電極452(例えばカソード)を有する。なお、下電極452は、電界吸収型変調器438及び半導体レーザ436のそれぞれに別々に形成されてもよい。半導体レーザ436は、直流電圧を印加するための上電極454(例えばアノード)を有する。上電極454と下電極452の間に直流電圧を印加するようになっている。半導体光素子434は、電界吸収型変調器438の上電極456(例えばアノード)を有する。上電極456と下電極452の間に交流電圧を印加するようになっている。
【0035】
半導体光素子434(下電極452)は、第1導体ライン422に、はみださないように対向している。第1導体ライン422の第1配線幅W1は、半導体光素子434を搭載するために十分な大きさに設定されており、延在方向に一定である。電界吸収型変調器438の上電極456は、ワイヤ468によって、第2導体ライン424に接続されている。図示しないが、半導体レーザ436の上電極454は、ワイヤ等の接続手段により直流電流源に電気的に接続される。
【0036】
差動配線基板400は、第2導体ライン424とは反対方向に第1導体ライン422に隣り合うように、第1面412に配置されたパッド458を有する。パッド458は、第1部分416に配置されている。差動配線基板400は、パッド458と第1導体ライン422の間に直列接続された整合抵抗器460を有する。整合抵抗器460は、インピーダンスマッチングのために接続されている。半導体発光装置は、電界吸収型変調器438の上電極456とパッド458を接続するワイヤ470を有する。これにより、整合抵抗器460は、電界吸収型変調器438に並列接続される。
【0037】
第1導体ライン422及び第2導体ライン424に、差動信号伝送のための高周波信号が入力される。高周波信号は、下電極452及び電界吸収型変調器438の上電極456にそれぞれ印加され、差動信号により駆動される。
【0038】
[第5の実施形態]
図16は、第5の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。第2導体ライン524は、第1導体ライン522とは反対方向に延びるスタブ562を有する。スタブ562は、第2導体ライン524と同じ材料又は同じ積層材料からなる。第1導体ライン522の、パッド558に隣り合う部分と、第2導体ライン524の、スタブ562が延びる部分とは、隣り合っている。
【0039】
第2導体ライン524は、スタブ562を有することで、整合抵抗器560及びパッド558に接続された第1導体ライン522に、電気的特性において近づく。その結果、第1導体ライン522及び第2導体ライン524の高周波線路の高周波特性がより近い性能となり、差動信号で駆動したときの信号品質の改善が可能になる。その他の内容は、第4の実施形態で説明した内容が該当する。
【0040】
[第6の実施形態]
図17は、第6の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。図18は、図17に示す半導体発光装置のXVIII-XVIII線断面図である。
【0041】
半導体発光装置は、差動配線基板600を有する。差動配線基板600には、第2の実施形態(図11)及び第4の実施形態(図13)で説明した内容を適用可能である。半導体発光装置は、半導体光素子634を有する。半導体光素子634には、第4の実施形態(図13)で説明した内容を適用可能である。
【0042】
複数の第1部分616のそれぞれは、第1面612に、第1導体ライン622が形成される配線領域630を含む。複数の第1部分616のそれぞれは、第1面612に、第2導体ライン624とは反対の方向に余白幅Wm(図11参照)を以て配線領域630に隣接する余白領域632を含む。複数の第1部分616は、それぞれ、余白幅Wmにおいて等しい。パッド658は、第1部分616に配置されている。
【0043】
それぞれのチャンネルCHで、第1導体ライン622及び第2導体ライン624に、差動信号伝送のための高周波信号が入力される。高周波信号は、下電極(図示せず)及び電界吸収型変調器638の上電極656にそれぞれ印加され、差動信号により駆動される。
【0044】
[第7の実施形態]
図19は、第7の実施形態に係る半導体発光装置の平面図である。図20は、図19に示す半導体発光装置のXX-XX線断面図である。
【0045】
差動配線基板700は、隣同士のチャンネルCH間で、第1面712に配置されたチャンネル間導体764(例えば充填ビアやスルーホールビアなどのビア)を有する。差動配線基板700は、誘電体層710を貫通してグランド導体726とチャンネル間導体764を接続する接続導体766を有する。接続導体766は、第2部分718を避けて第1部分716を貫通している。なお、パッド758は、第1部分716に配置されている。
【0046】
本実施形態では、隣同士のチャンネルCHの間に、グランド導体726に接続されるチャンネル間導体764が配置されているため、隣同士のチャンネルCHの間の電気クロストークを低減することができる。
【0047】
[第8の実施形態]
図21は、第8の実施形態に係る半導体発光装置の断面図である。差動配線基板800は、隣同士のチャンネルCH間で、第1面812に配置されたチャンネル間導体864を有する。差動配線基板800は、誘電体層810を貫通してグランド導体826とチャンネル間導体864を接続する接続導体866を有する。接続導体866は、第1部分816を避けて第2部分818を貫通している。なお、パッド858は、第2部分818に配置されている。
【0048】
チャンネル間導体864は、薄い第2部分818に形成されるので、貫通穴を小さくすることができる。例えば、小径のビアを形成することができる。このため、より小型な半導体発光装置を提供することができる。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態を説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 誘電体層、10A 層、10B 層、12 第1面、14 第2面、16 第1部分、18 第2部分、20 段差、20B 段差、22 第1導体ライン、24 第2導体ライン、26 グランド導体、26A 第1グランド導体、26B 第2グランド導体、28 第3部分、210 誘電体層、212 第1面、214 第2面、216 第1部分、218 第2部分、220 段差、222 第1導体ライン、224 第2導体ライン、226 グランド導体、230 配線領域、232 余白領域、312 第1面、314 第2面、316 第1部分、320 段差、322 第1導体ライン、324 第2導体ライン、330 配線領域、400 差動配線基板、412 第1面、416 第1部分、422 第1導体ライン、424 第2導体ライン、434 半導体光素子、436 半導体レーザ、438 電界吸収型変調器、440 半導体基板、442A 下側SCH層、442B 下側SCH層、444A 上側SCH層、444B 上側SCH層、446A 多重量子井戸、446B 多重量子井戸、448 回折格子層、450A クラッド層、450B クラッド層、452 下電極、454 上電極、456 上電極、458 パッド、460 整合抵抗器、468 ワイヤ、470 ワイヤ、522 第1導体ライン、524 第2導体ライン、558 パッド、560 整合抵抗器、562 スタブ、600 差動配線基板、612 第1面、616 第1部分、622 第1導体ライン、624 第2導体ライン、630 配線領域、632 余白領域、634 半導体光素子、638 電界吸収型変調器、656 上電極、658 パッド、700 差動配線基板、710 誘電体層、712 第1面、716 第1部分、718 第2部分、726 グランド導体、758 パッド、764 チャンネル間導体、766 接続導体、800 差動配線基板、810 誘電体層、812 第1面、816 第1部分、818 第2部分、826 グランド導体、858 パッド、864 チャンネル間導体、866 接続導体、CH チャンネル、h1 第1厚み、h2 第2厚み、W1 第1配線幅、W2 第2配線幅、Wm 余白幅、d1 距離、d2 距離。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21