(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048073
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】エアフォイルベアリング及びそのエアフォイルベアリングを含む圧縮機
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20220317BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20220317BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
F16C27/02 A
F04B39/00 103Z
F04D29/056 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058259
(22)【出願日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117800
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】キム、テヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ビョンファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョンミョン
【テーマコード(参考)】
3H003
3H130
3J012
【Fターム(参考)】
3H003AA06
3H003CA02
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA95E
3H130BA97E
3H130DB02X
3H130DB03X
3H130EB01E
3H130EB02E
3H130EB04E
3J012AB20
3J012BB02
3J012EB08
3J012FB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の技術より簡単な構造を有しながらも優れた性能を発揮するエアフォイルベアリングを提供する。
【解決手段】エアフォイルベアリングは、下部に備えられるビームプレート100と、ビームプレートの上部に備えられ、ビームプレートの上面のうち一部を覆うように備えられるシムシートと、シムシートの上部に備えられるトップフォイル300と、を含み、ビームプレートの一側は固定されており、ビームプレートの他側は上下方向に移動可能に備えられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に備えられるビームプレートを含み、
前記ビームプレートの一側は固定されており、前記ビームプレートの他側は上下方向に移動可能に備えられる、エアフォイルベアリング。
【請求項2】
前記ビームプレートの上部に備えられ、前記ビームプレートの上面のうち一部を覆うように備えられるシムシートをさらに含む、請求項1に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項3】
前記シムシートの上部に備えられるトップフォイルをさらに含む、請求項2に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項4】
前記シムシートが複数備えられ、
前記複数のシムシートは、前記ビームプレートの上面の周縁に沿って備えられる、請求項3に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項5】
前記ビームプレートの外側周縁は円形状を有し、
前記ビームプレートの中央領域には貫通ホールが形成され、
前記ビームプレートは、
前記ビームプレートの周縁を形成し、かつ前記円の円周方向Aに沿って延びる周縁領域と、
前記貫通ホールと前記周縁領域との間に備えられ、前記円の放射方向Rにおいて前記周縁領域から離隔される離隔領域と、
前記周縁領域と前記離隔領域を連結する連結領域と、を含む、請求項4に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項6】
前記シムシートは、
前記ビームプレートの前記周縁領域の上部に備えられる第1領域と、
前記第1領域と連結され、前記ビームプレートの前記離隔領域及び前記連結領域の上部に備えられる第2領域と、
前記第2領域と連結されて前記離隔領域の上部に備えられる第3領域と、を含む、請求項5に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項7】
前記第3領域は、前記円の円周方向Aに延びる複数の突出部を含む、請求項6に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項8】
前記複数の突出部の間に、前記円の放射方向Rにおいて互いに離隔されるように前記複数の突出部が配置される、請求項7に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項9】
前記複数の突出部のうち前記円の放射方向Rにおける外側に備えられた突出部は、前記複数の突出部のうち前記円の放射方向Rにおける内側に備えられた突出部よりも長く形成される、請求項8に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項10】
前記連結領域の前記円の円周方向Aにおける幅は、前記第2領域のうち前記周縁領域と前記離隔領域との間に備えられる部分の前記円の円周方向Aにおける幅と同一である、請求項6に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項11】
前記ビームプレートの厚さは、0.8mm以上3.5mm以下である、請求項1に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項12】
前記トップフォイルは、
前記ビームプレートの前記周縁領域の上部に備えられる周縁部と、
前記放射方向Rにおいて前記周縁部の内側に離隔されるように備えられ、前記ビームプレートの前記離隔領域の上部に備えられる内側部と、
前記周縁部と前記内側部を連結し、前記ビームプレートの連結領域の上部に備えられる第1連結部と、を含む、請求項6に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項13】
前記内側部は、前記円周方向Aに沿って互いに離隔されている複数の内側部材を含み、
前記トップフォイルは、前記複数の内側部材を互いに連結する第2連結部をさらに含む、請求項12に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項14】
前記第1連結部の前記円の円周方向Aにおける幅は、前記連結領域の前記円の円周方向Aにおける幅よりも小さい、請求項12に記載のエアフォイルベアリング。
【請求項15】
ハウジングと、
前記ハウジングの一面に結合されるエアフォイルベアリングと、を含み、
前記エアフォイルベアリングは、一部が前記ハウジングの前記一面に結合されるビームプレートを含み、
前記ビームプレートは、前記ハウジングに固定される固定端領域と、前記ハウジングに対して相対的な移動が可能な自由端領域と、を含む、圧縮機。
【請求項16】
前記ビームプレートを挟んで前記ハウジングと対向するように備えられ、前記ビームプレートの上面のうち一部を覆うように備えられるシムシートをさらに含む、請求項15に記載の圧縮機。
【請求項17】
前記シムシートを挟んで前記ビームプレートと対向するように備えられるトップフォイルをさらに含む、請求項16に記載の圧縮機。
【請求項18】
前記ビームプレートの外側周縁は円形状を有し、
前記ビームプレートの中央領域には貫通ホールが形成され、
前記ビームプレートは、
前記ビームプレートの周縁を形成し、かつ前記円の円周方向Aに沿って延びる周縁領域と、
前記貫通ホールと前記周縁領域との間に備えられ、前記円の放射方向Rにおいて前記周縁領域から離隔される離隔領域と、
前記周縁領域と前記離隔領域を連結する連結領域と、を含み、
前記固定端領域は、前記周縁領域であり、
前記自由端領域は、前記離隔領域及び前記連結領域である、請求項17に記載の圧縮機。
【請求項19】
前記シムシートは、
前記ビームプレートの前記周縁領域と対向する第1領域と、
前記第1領域と連結され、前記ビームプレートの前記離隔領域及び前記連結領域と対向する第2領域と、
前記第2領域と連結されて前記離隔領域と対向する第3領域と、を含む、請求項18に記載の圧縮機。
【請求項20】
前記エアフォイルベアリングの両面のうち前記ハウジングと対向する一面の反対側面と対向するように備えられる回転部をさらに含み、
前記回転部は、前記離隔領域と対向するように備えられる、請求項18に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造を有するエアフォイルベアリング及びそのエアフォイルベアリングを含む圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
ベアリング(BEARING)は、回転体に属して回転するように支持する構成であって、ボールベアリング、ジャーナルベアリング、エアフォイルベアリングなど多様な種類のベアリングがある。このうち、エアフォイルベアリングは、ベースプレート、バンプフォイル及びトップフォイルからなる構成であるところ、回転体の回転によって回転体とエアフォイルベアリングとの間にエアフィルム(air film)を形成することにより、冷却及び回転体の支持を行うことができる。このようなエアフォイルベアリングは多様な産業現場に使用されるところ、例えば、エアフォイルベアリングは、燃料電池に圧縮空気を提供するための圧縮機に使用され得る。
【0003】
より詳しくは、従来の技術によれば、回転体が回転によって空気が流動することによりエアフォイルベアリング周辺の圧力が変化することになると、トップフォイルがバンプフォイルを加圧することになり、それによって加圧されたバンプフォイルの形状が変化することになる。その後、回転体が回転を停止することになると、バンプフォイルは元の形状に戻ってくるようになる。すなわち、従来の技術によれば、バンプフォイルは外力によって可逆的に形状が変化する弾性構造を有するようになる。
【0004】
このため、従来の技術によれば、バンプフォイルは、表面が凸凹の一種のエンボシング構造を有していた。弾性構造を具現化するためのバンプフォイルのこのような構造は、エアフォイルベアリングを製造するのに必要な時間を増加させる要素として作用していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、従来の技術より簡単な構造を有しながらも優れた性能を発揮するエアフォイルベアリング、及びそのようなエアフォイルベアリングが搭載された装備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の一側面によれば、下部に備えられるビームプレート(beam plate)を含み、前記ビームプレートの一側は固定されており、前記ビームプレートの他側は上下方向に移動可能に備えられる、エアフォイルベアリングが提供される。
【0007】
前記ビームプレートの上部に備えられ、前記ビームプレートの上面のうち一部を覆うように備えられるシムシート(shim sheet)をさらに含んでよい。
【0008】
前記シムシートの上部に備えられるトップフォイル(top foil)をさらに含んでよい。
【0009】
前記シムシートが複数備えられ、前記複数のシムシートは、前記ビームプレートの上面の周縁に沿って備えられてよい。
【0010】
前記ビームプレートの外側周縁は円形状を有し、前記ビームプレートの中央領域には貫通ホールが形成され、前記ビームプレートは、前記ビームプレートの周縁を形成し、かつ前記円の円周方向Aに沿って延びる周縁領域と、前記貫通ホールと前記周縁領域との間に備えられ、前記円の放射方向Rにおいて前記周縁領域から離隔される離隔領域と、前記周縁領域と前記離隔領域を連結する連結領域と、を含んでよい。
【0011】
前記シムシートは、前記ビームプレートの前記周縁領域の上部に備えられる第1領域と、前記第1領域と連結され、前記ビームプレートの前記離隔領域及び前記連結領域の上部に備えられる第2領域と、前記第2領域と連結されて前記離隔領域の上部に備えられる第3領域と、を含んでよい。
【0012】
前記第3領域は、前記円の円周方向Aに延びる複数の突出部を含んでよい。
【0013】
前記複数の突出部の間に、前記円の放射方向Rにおいて互いに離隔されるように前記複数の突出部が配置されてよい。
【0014】
前記複数の突出部のうち前記円の放射方向Rにおける外側に備えられた突出部は、前記複数の突出部のうち前記円の放射方向Rにおける内側に備えられた突出部よりも長く形成されてよい。
【0015】
前記連結領域の前記円の円周方向Aにおける幅は、前記第2領域のうち前記周縁領域と前記離隔領域との間に備えられる部分の前記円の円周方向Aにおける幅と同一であってよい。
【0016】
前記ビームプレートの厚さは、0.8mm以上3.5mm以下であってよい。
【0017】
前記トップフォイルは、前記ビームプレートの前記周縁領域の上部に備えられる周縁部と、前記放射方向Rにおいて前記周縁部の内側に離隔されるように備えられ、前記ビームプレートの前記離隔領域の上部に備えられる内側部と、前記周縁部と前記内側部を連結し、前記ビームプレートの連結領域の上部に備えられる第1連結部と、を含んでよい。
【0018】
前記内側部は、前記円周方向Aに沿って互いに離隔されている複数の内側部材を含み、前記トップフォイルは、前記複数の内側部材を互いに連結する第2連結部をさらに含んでよい。
【0019】
前記第1連結部の前記円の円周方向Aにおける幅は、前記連結領域の前記円の円周方向Aにおける幅よりも小さくてよい。
【0020】
前記目的を達成するための本発明の他の側面によれば、ハウジングと、前記ハウジングの一面に結合されるエアフォイルベアリングと、を含み、前記エアフォイルベアリングは、一部が前記ハウジングの前記一面に結合されるビームプレート(beam plate)を含み、前記ビームプレートは、前記ハウジングに固定される固定端領域と、前記ハウジングに対して相対的な移動が可能な自由端領域と、を含む圧縮機が提供される。
【0021】
前記ビームプレートを挟んで前記ハウジングと対向するように備えられ、前記ビームプレートの上面のうち一部を覆うように備えられるシムシート(shim sheet)をさらに含んでよい。
【0022】
前記シムシートを挟んで前記ビームプレートと対向するように備えられるトップフォイル(top foil)をさらに含んでよい。
【0023】
前記ビームプレートの外側周縁は円形状を有し、前記ビームプレートの中央領域には貫通ホールが形成され、前記ビームプレートは、前記ビームプレートの周縁を形成し、かつ前記円の円周方向Aに沿って延びる周縁領域と、前記貫通ホールと前記周縁領域との間に備えられ、前記円の放射方向Rにおいて前記周縁領域から離隔される離隔領域と、前記周縁領域と前記離隔領域を連結する連結領域と、を含み、前記固定端領域は、前記周縁領域であり、前記自由端領域は、前記離隔領域及び前記連結領域であってよい。
【0024】
前記シムシートは、前記ビームプレートの前記周縁領域と対向する第1領域と、前記第1領域と連結され、前記ビームプレートの前記離隔領域及び前記連結領域と対向する第2領域と、前記第2領域と連結されて前記離隔領域と対向する第3領域と、を含んでよい。
【0025】
前記エアフォイルベアリングの両面のうち前記ハウジングと対向する一面の反対側面と対向するように備えられる回転部をさらに含み、前記回転部は、前記離隔領域と対向するように備えられてよい。
【0026】
前記回転部は、前記回転部の放射方向において前記周縁領域と離隔されるように備えられてよい。
【0027】
前記自由端領域は、前記回転部の長手方向において前記ハウジングと離隔されることにより、前記自由端領域は、前記ハウジング方向に撓むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、従来の技術より簡単な構造を有しながらも優れた性能を発揮するエアフォイルベアリング、及びそのようなエアフォイルベアリングが搭載された装備を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係るエアフォイルベアリングの積層構造を示した平面図である。
【
図2】本発明に係るエアフォイルベアリングでビームプレートとシムシートの積層構造を示した平面図である。
【
図3】本発明に係るエアフォイルベアリングのビームプレートの一部領域の構造、及びビームプレートの領域別変位量を色で示した図である。
【
図4】本発明に係る圧縮機の構造を示した断面図である。
【
図5】本発明に係る圧縮機でエアフォイルベアリング、ハウジング及び回転部の間の配置関係を示した断面図である。
【
図6】本発明に係る圧縮機で回転部が回転しない際のエアフォイルベアリングの形状を概略的に示した側断面図である。
【
図7】本発明に係る圧縮機で回転部が回転する際のエアフォイルベアリングの形状を概略的に示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参考にして、本発明に係るエアフォイルベアリング及び圧縮機を説明する。
【0031】
エアフォイルベアリング
図1は、本発明に係るエアフォイルベアリングの積層構造を示した平面図であり、
図2は、本発明に係るエアフォイルベアリングでビームプレートとシムシートの積層構造を示した平面図である。そして、
図3は、本発明に係るエアフォイルベアリングのビームプレートの一部領域の構造及びビームプレートの領域別変位量を色で示した図である。
【0032】
図1から
図3を参考にすれば、本発明に係るエアフォイルベアリング10は、互いに異なる複数の構成が上方に積層された構造を有することができる。より詳しくは、エアフォイルベアリング10は、エアフォイルベアリングの下部に備えられるビームプレート(beam plate)100、ビームプレート100の上部に積層具備され、ビームプレート100の上面のうち一部を覆うように備えられるシムシート200、及びシムシート200の上部に備えられるトップフォイル(top foil)300を含んでよい。すなわち、本発明に係るエアフォイルベアリング10は、下方から上方に向かって、ビームプレート100、シムシート200及びトップフォイル300が順次積層された構造を有してよい。一方、本発明によれば、エアフォイルベアリング10を構成するビームプレート100、シムシート200及びトップフォイル300は、全て滑らかな表面を有することができる。したがって、本発明によれば、エアフォイルベアリング10を製造するために凸凹の表面、すなわち、エンボシング構造を形成するための別途の工程が不要である。このとき、滑らかな表面を有するか否かは、人の目視を基準にして判断することができる。
【0033】
名称からも分かるように、本発明によれば、ビームプレート100の厚さと比較して、シムシート200及びトップフォイル300の厚さは顕著に薄いことがある。よって、ビームプレート100の剛性と比較してシムシート200及びトップフォイル300の物理的剛性もやはり顕著に弱いことがある。後述するように、ビームプレート100は、ビームプレート周辺の圧力変化に応じて可逆的に撓むことができる構成であってよい。このため、ビームプレート100の厚さは、0.8mm以上3.5mm以下であってよい。ビームプレート100の厚さが0.8mm未満である場合には、ビームプレート100の剛性が過度に弱くなるため、エアフォイルベアリング10の耐久性に問題が発生することがあり、ビームプレート100の厚さが3.5mmを超過する場合には、圧力の変化に応じてビームプレート100が充分に撓まないこともある。
【0034】
一方、
図1及び
図2に示すように、ビームプレート100及びトップフォイル300の外側周縁は円形状を有してよく、ビームプレート100及びトップフォイル300の中央領域には貫通ホールHが形成されてよい。また、ビームプレート100及びトップフォイル300は、それぞれ一つの構成からなってよい。
【0035】
その反面、
図2に示すように、シムシート200は複数備えられてよい。
図2には、一例として、6つのシムシート200が、ビームプレート100の上面の周縁に沿って等間隔に備えられた姿が示されている。より詳しくは、複数のシムシート200は、前記円の円周方向Aに沿って互いに離隔されるように配置されてよい。
【0036】
一方、
図2及び
図3を参考にすれば、エアフォイルベアリング10を構成するビームプレート100、シムシート200及びトップフォイル300は、それぞれ複数の領域に区分されてよい。以下、ビームプレート100、シムシート200及びトップフォイル300を構成する複数の領域に対して検討してみる。
【0037】
図2及び
図3を参考にすれば、ビームプレート100は、ビームプレートの外側周縁を形成し、かつ前記円の円周方向Aに沿って延びる周縁領域110、貫通ホールHと周縁領域110との間に備えられ、前記円の放射方向Rにおいて周縁領域110から離隔される離隔領域120、及び周縁領域110と離隔領域120を連結する連結領域130を含んでよい。
【0038】
また、
図2及び
図3を参考にすれば、シムシート200は、ビームプレート100の周縁領域110の上部に備えられる第1領域210、第1領域210と連結され、ビームプレート100の離隔領域120と連結領域130の上部に備えられる第2領域220、及び第2領域220と連結されて離隔領域120の上部に備えられる第3領域230を含んでよい。
【0039】
このとき、第3領域230は、円周方向Aに延びる複数の突出部232を含んでよい。このとき、複数の突出部232の間に、放射方向Rにおいて互いに離隔されるように複数の突出部232が配置されてよい。
図2には、一例として、複数のシムシート200の第3領域230に、それぞれ3つの突出部232が放射方向Rにおいて互いに離隔されるように配置された姿が示されている。
【0040】
引き続き
図2を参考にすれば、シムシート200の第3領域230に備えられる複数の突出部232の長さは、互いに異なっていてよい。これは複数の突出部232のうちいずれか一つの円周方向Aの長さは、複数の突出部232のうち他のいずれか一つの円周方向Aの長さと異なるということを意味することができる。
【0041】
より詳しくは、本発明によれば、複数の突出部232のうち放射方向Rにおける外側に備えられた突出部は、複数の突出部232のうち放射方向Rにおける内側に備えられた突出部よりも長く形成されてよい。したがって、本発明によれば、放射方向Rにおける外側に備えられる突出部であるほど長くなり得る。
【0042】
また、
図1を参考にすれば、トップフォイル300は、ビームプレート100の周縁領域110の上部に備えられる周縁部310、放射方向Rにおいて周縁部310の内側に離隔されるように備えられ、ビームプレート100の離隔領域120の上部に備えられる内側部320、及び周縁部310と内側部320を連結してビームプレート100の連結領域130の上部に備えられる第1連結部330を含んでよい。このとき、内側部320は、円周方向Aに沿って互いに離隔されている複数の内側部材322を含んでよい。
図1には、一例として、内側部320が6つの内側部材322からなる姿が示されている。より好ましくは、周縁部310は、シムシート200の第1領域210及びビームプレート100の周縁領域110の上部に備えられることで、シムシート200の第1領域210、そしてビームプレート100の周縁領域110と対向するように備えられてよい。また、内側部320は、シムシート200の第2領域220及び第3領域230、そしてビームプレート100の離隔領域120と対向するように備えられてよい。また、内側部材322の個数は、シムシート200の個数と同一であってよい。
【0043】
また、トップフォイル300は、複数の内側部材322を互いに連結する第2連結部340をさらに含んでよい。すなわち、本発明によれば、トップフォイル300の大きさの大部分を占める周縁部310及び内側部320は、放射方向Rにおいて互いに離隔されていてよく、内側部320の構成(すなわち、内側部材)は、円周方向Aにおいて互いに離隔されていてよいが、周縁部310と内側部320を連結する第1連結部330と、複数の内側部材322を互いに連結する第2連結部340によって、トップフォイル300は一つの構成になり得る。
【0044】
一方、
図1から
図3を参考にすれば、ビームプレート100の連結領域130の円周方向Aにおける幅は、シムシート200の第2領域220のうち周縁領域110と離隔領域120の間に備えられる部分の円周方向Aにおける幅と同一であってよい。したがって、
図1に示すように、連結領域130全体は、第2領域220によってオーバーラップされ得る。
【0045】
また、
図1から
図3を参考にすれば、トップフォイル300の第1連結部330の円周方向Aにおける幅は、連結領域130の円周方向Aにおける幅よりも小さくてよく、トップフォイル300の第1連結部330の円周方向Aにおける幅は、第2領域220のうち周縁領域110と離隔領域120との間に備えられる部分の円周方向Aにおける幅よりも小さくてよい。したがって、
図1に示すように、本発明に係るエアフォイルベアリング10を上から眺めたとき、第1連結部330は、第2領域220の一部のみを覆うようになり得る。
【0046】
圧縮機
図4は、本発明に係る圧縮機の構造を示した断面図であり、
図5は、本発明に係る圧縮機でエアフォイルベアリング、ハウジング及び回転部の間の配置関係を示した断面図である。
【0047】
図4に示すように、本発明に係る圧縮機は、圧縮機の外面のうち少なくとも一部を形成するハウジング20、及びハウジング20の一面に結合されるエアフォイルベアリング10を含んでよい。
図4には、ハウジング20の内側面にエアフォイルベアリング10が結合された姿が示されている。
【0048】
このとき、
図1から
図3を参考にすれば、エアフォイルベアリング10は、一部がハウジング20の一面に結合されるビームプレート100、ビームプレート100を挟んでハウジング20と対向するように備えられ、ビームプレート100の上面のうち一部を覆うように備えられるシムシート200、及びシムシート200を挟んでビームプレート100と対向するように備えられるトップフォイル300を含んでよい。例えば、ビームプレート100の周縁領域110(
図3参照)には一つ以上の貫通領域が形成されてよく、前記貫通領域にボルトが結合されることで、ビームプレート100とハウジング20が互いに結合されてよい。
【0049】
前述した内容に基づいて本発明に係るエアフォイルベアリング及び圧縮機を検討してみる。
【0050】
本発明に係るエアフォイルベアリング10でビームプレート100の一側は固定されていてよく、ビームプレート100の他側は
図1を基準に地面を突き出るか入っていく方向、すなわち、上下方向に移動可能に備えられてよい。
【0051】
より詳しくは、
図5に示すように、ビームプレート100は、本発明に係る圧縮機のハウジング20に固定される固定端領域E、及びハウジング20に対して相対的な移動が可能な自由端領域Fを含んでよい。より好ましくは、固定端領域Eは、ビームプレートの周縁領域110(
図3参照)であってよく、自由端領域Fは、ビームプレートの離隔領域120(
図3参照)及び連結領域130(
図3参照)であってよい。一方、
図5には、ハウジング20がビームプレート100の自由端領域Fと対向する場合が示されているが、これとは異なり、ハウジング20は、ビームプレート100の自由端領域Fと対向しなくてもよい。例えば、ハウジング20は、ビームプレート100の固定端領域Eにのみ対向してもよい。
【0052】
引き続き
図4及び
図5を参考にすれば、本発明に係る圧縮機は、エアフォイルベアリング10の両面のうちハウジング20と対向する一面の反対側面と対向するように備えられる回転部30をさらに含んでよい。このとき、
図5に示すように、回転部30は、シムシート及びトップフォイルを挟んでビームプレート100(
図3参照)の離隔領域120(
図3参照)と対向するように備えられてよい。
【0053】
より詳しくは、回転部30は、回転部の中心に備えられる軸32と、軸32から軸32の放射方向に延びる延長部34とを含んでよく、この際、離隔領域120(
図3参照)は、延長部34と対向するように備えられてよい。
【0054】
一方、
図5に示すように、回転部30は、回転部の放射方向において周縁領域110(
図3参照)と離隔されるように備えられてよい。より詳しくは、回転部30の延長部34が、ビームプレートの周縁領域と離隔されるように備えられてよい。
【0055】
また、
図5に示すように、ビームプレート100の自由端領域Fは、回転部30の放射方向において軸32と離隔されていてよい。したがって、自由端領域Fと軸32との間には、所定の空いた空間が形成されてよい。それだけでなく、ビームプレート100の自由端領域Fは、回転部30の長手方向においてハウジング20と離隔されていてよい。したがって、自由端領域Fとハウジング20との間には、所定の空いた空間が形成されてよい。この場合、自由端領域Fのハウジング20方向(
図5を基準に右側方向)に円滑に撓むことができるようになる。
【0056】
図6は、本発明に係る圧縮機で回転部が回転しない際のエアフォイルベアリングの形状を概略的に示した側断面図であり、
図7は、本発明に係る圧縮機で回転部が回転する際のエアフォイルベアリングの形状を概略的に示した側断面図である。
【0057】
以下、
図6及び
図7を参考にして、本発明に係る圧縮機の作動状態によるエアフォイルベアリングの形状変化を説明する。
【0058】
圧縮機の回転部30が回転しないときには、
図6に示すように、エアフォイルベアリングのビームプレート100の全領域が撓まずに回転部30と並んで備えられる。
【0059】
その後、圧縮機の回転部30が回転すると、回転部30とエアフォイルベアリングとの間には空気が流動することになり、それによって回転部30とエアフォイルベアリングとの間の圧力が上昇することになり、それによってエアフォイルベアリングは回転部30と対向する方向の反対方向(
図7を基準に下方)に力を受けることになる。
【0060】
しかし、前述したように、ビームプレート100の周縁領域110は、ハウジング20に結合される固定端領域Eであってよく、ビームプレート100の離隔領域120及び連結領域130は、ハウジング20に結合されない自由端領域Fであってよい。したがって、エアフォイルベアリングが回転部30と対向する方向の反対方向に力を受けても、固定端領域Eの形状は変形されない反面、自由端領域Fの形状は変形されて撓むことになる。しかし、ビームプレート100自体が有している剛性によって、自由端領域Fは、空気の流動による圧力とビームプレート100が有する復元力との間に力の平衡が形成される地点までのみ撓むことになる。その後、圧縮機の回転部30の回転を停止すると、ビームプレート100の弾性により、
図6のように再び元の状態に戻ってくることになる。
【0061】
本発明によれば、外力による可逆的な形状の変形のために表面が凸凹の一種のエンボシング構造を形成せず、ビームプレート100自体の剛性を用いながら、ビームプレート100を固定端領域及び自由端領域に区別されるようにすることにより、エアフォイルベアリングの機能を発揮することができる。一方、本発明に係る圧縮機は、燃料電池に圧縮空気を提供するための圧縮機であってよい。
【0062】
以上、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面によって説明されたとしても、本発明はこれにより限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10:エアフォイルベアリング
20:ハウジング
30:回転部
32:軸
34:延長部
100:ビームプレート
110:周縁領域
120:離隔領域
130:連結領域
200:シムシート
210:第1領域
220:第2領域
230:第3領域
232:突出部
300:トップフォイル
310:周縁部
320:内側部
322;内側部材
330:第1連結部
340:第2連結部
H:貫通ホール
A:円周方向
R:放射方向
E:固定端領域
F:自由端領域