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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048128
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】局所興奮時間解析システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/346 20210101AFI20220317BHJP
   A61B 5/367 20210101ALI20220317BHJP
【FI】
A61B5/346
A61B5/367
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148397
(22)【出願日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】63/077,780
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/352,771
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127HH13
4C127HH18
4C127JJ00
4C127KK03
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】心臓信号を処理すること。
【解決手段】一実施形態では、心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出する方法は、電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、第1のIEGM信号及び対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、第2のIEGM信号を受信することと、受信された第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された人工ニューラルネットワークを受信された第2のIEGM信号に適用することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出するシステムであって、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を行うように構成された、処理回路を含む遠隔サーバを備える、システム。
【請求項2】
前記電気生理学的検査室サブシステムを更に備え、それぞれの電気生理学的検査室サブシステムは、
少なくとも1つの生体の少なくとも1つの心腔に挿入され、前記少なくとも1つの心腔から前記第1のIEGM信号のそれぞれの第1のIEGM信号を捕捉するように構成されたカテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、前記処理回路は、
前記第1のIEGM信号の前記それぞれの第1のIEGM信号を前記ディスプレイにレンダリングすることと、
前記注釈者のそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた、表示された前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈のうちの対応する前記局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号の前記それぞれの第1のIEGM信号及び前記局所興奮時間の注釈のうちの対応する前記局所興奮時間の注釈を前記遠隔サーバに提供することと、を行うように構成された、処理回路と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路は、
前記注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを計算することと、
前記第1のIEGM信号、及び前記局所興奮時間の注釈のそれぞれの局所興奮時間の注釈を付けた前記注釈者の前記それぞれの注釈者の計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、前記人工ニューラルネットワークを訓練することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、
前記注釈者のそれぞれの注釈者の前記局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、前記注釈者の前記それぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することと、
前記注釈者のそれぞれの注釈者に対する前記検索一致のそれぞれの数に応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われた前記注釈に対する前記重みを計算することと、を行うように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路は、前記データベースの検索を、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物に限定するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検索一致のそれぞれの数は、前記注釈者のそれぞれの注釈者に一致する前記科学文献出版物のそれぞれの数である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路は、
前記第1のIEGM信号を前記人工ニューラルネットワークに入力することと、
前記人工ニューラルネットワークの出力及び前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈に応じて、前記人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理回路は、
前記人工ニューラルネットワークの前記出力と、計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することと、
前記損失関数を最小化することに応じて、前記人工ニューラルネットワークの前記パラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理回路は、前記局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令は、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を行わせる、ソフトウェア製品。
【請求項12】
心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出する方法であって、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われる注釈に対する重みを計算することを更に含み、前記訓練することは、前記第1のIEGM信号、及び対応する前記局所興奮時間の注釈のそれぞれの注釈を付けた前記注釈者の前記それぞれの注釈者の計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、前記人工ニューラルネットワークを訓練することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記注釈者のそれぞれの注釈者の前記局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、前記注釈者の前記それぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することを更に含み、前記計算することは、前記注釈者のそれぞれの注釈者に対する前記検索一致のそれぞれの数に応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われる前記注釈に対する前記重みを計算することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検索することは、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物を検索することに限定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検索一致のそれぞれの数は、前記注釈者のそれぞれの注釈者に一致する前記科学文献出版物のそれぞれの数である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記訓練することは、
前記第1のIEGM信号を前記人工ニューラルネットワークに入力することと、
前記人工ニューラルネットワークの出力及び前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈に応じて、前記人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記人工ニューラルネットワークの前記出力と、計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することを更に含み、前記反復的に調整することは、前記損失関数を前記最小化することに応じて行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年9月14日に出願された米国仮特許出願第63/077,780号の利益を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は医療システムに関し、排他的にではないがとりわけ、心臓信号の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿静脈に挿入された後、関心の心臓の心腔内へとガイドされる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ以上の電極を有するカテーテルを心腔に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。高周波(radio frequency、RF)電流は、アブレーションカテーテルのカテーテル電極と、(カテーテル電極の1つであり得る)不関電極との間に印加され、電流は、電極の間、すなわち血液と組織との間の媒体を通って流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触している電極表面の量に依存し得る。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。いくつかの用途では、不可逆的エレクトロポレーションを実行して組織をアブレーションすることができる。
【0004】
電気生理学的(electrophysiological、EP)心臓マッピングは、心臓内の心機能不全の場所を識別する診断医療処置である。時変心電図(electro-cardiogram、ECG)信号が、患者の心臓の表面に沿った点に接触する電極によって受信される。信号が処理され、心機能に関する種々の基準が、処理された(ECG)信号から計算され、次いで、処理された信号が心臓の画像上に空間的にマッピングされる。次いで、医療専門家が解析するために、マップが出力される。
【0005】
心臓信号の解析は、ECG信号のタイミングへの同期化を伴う場合がある。例えば、米国特許出願公開第2013/0123652号は、時変心内電位信号を検知することと、既定の振動波形に対する時変心内電位信号の適合を見出すことと、を含む信号を解析する方法を記載している。方法は、適合に応答する信号の注釈時間を推定することを更に含む。
【0006】
電気生理学的(EP)心臓マッピング、すなわち心臓電気解剖学的マッピングは、機能不全である心臓組織内の領域を識別するために使用される。体内プローブ、典型的に複数のマッピング電極がカテーテル遠位端の近くでカテーテルの本体に沿って配置されたカテーテル、が心臓の腔に挿入される。時変心電図(ECG)信号が、マッピング電極と心臓組織との間の複数の接触点で記録される。次いで、複数のECG電極が心臓組織との異なる接触位置へ移動し、処理が繰り返される。次いで、心機能に関する基準が局所ECG信号から計算され、信号が、心臓腔の表面にわたって空間的にマッピングされる。マッピングは、医療専門家が心臓の機能不全の領域を特定するのを支援する。
【0007】
洞房(sinoatrial、SA)及び房室(atrioventricular、AV)結節などの、心臓内の電気供給源は、固有の洞調律で収縮するように心房及び心室の筋組織をトリガする、心臓にわたって伝播する電気的活動波を開始する。活動波面が各心臓周期中に複数のマッピング電極に到達するとき、固有のECG波形が複数のマッピング電極で検知される。これらの波形は、心臓腔の表面に沿った異なる空間的場所で組織に接触した、異なる複数の電極における同じ波面の異なる到着時間により、時間ずれする。
【0008】
複数のマッピング電極で検知されるECG波形の到着時間は、心臓を横切る活動波の伝播時間及び/又は速度をマッピングするために使用され得る。活動波のマッピングは、基準注釈時間として本明細書で知られる心臓周期を示す単一の時間基準に対して実行される。
【0009】
基準注釈時間は、体表面(body surface、BS)電極から、又は心腔の表面と接触して配置された追加的なカテーテルの心内(intra-cardiac、IC)基準電極から獲得されたECG信号を処理することによって、計算され得る。典型的に、医師は、疑わしい病変に応じて、基準注釈時間をBS又はICチャネルのいずれから計算するかを指定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、心内電位図(intracardiac electrogram、IEGM)信号の局所興奮時間を検出する方法であって、電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、第1のIEGM信号及び対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、第2のIEGM信号を受信することと、受信された第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された人工ニューラルネットワークを受信された第2のIEGM信号に適用することと、を含む、方法が提供される。
【0011】
更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、注釈者のそれぞれの注釈者によって行われる注釈に対する重みを計算することを含み、訓練することは、第1のIEGM信号、及び対応する局所興奮時間の注釈のそれぞれの注釈を付けた注釈者のそれぞれの注釈者の計算された重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することを含む。
【0012】
また更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、注釈者のそれぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することを含み、計算することは、注釈者のそれぞれの注釈者に対する検索一致のそれぞれの数に応じて、注釈者のそれぞれの注釈者によって行われる注釈に対する重みを計算することを含む。
【0013】
加えて、本開示の一実施形態によれば、検索することは、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物を検索することに限定される。
【0014】
更に、本開示の一実施形態によれば、検索一致のそれぞれの数は、注釈者のそれぞれの注釈者に一致する科学文献出版物のそれぞれの数である。
【0015】
更に、本開示の一実施形態によれば、訓練することは、第1のIEGM信号を人工ニューラルネットワークに入力することと、人工ニューラルネットワークの出力及び第1のIEGM信号の局所興奮時間の注釈に応じて、人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を含む。
【0016】
また更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、人工ニューラルネットワークの出力と、計算された重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた第1のIEGM信号の局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することを含み、反復的に調整することは、損失関数を最小化することに応じて行われる。
【0017】
更に、本開示の一実施形態によれば、損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む。
【0018】
更に、本開示の一実施形態によれば、方法は、局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成することを含む。
【0019】
本開示の別の実施形態によれば、心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出するシステムであって、電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、第1のIEGM信号及び対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、第2のIEGM信号を受信することと、受信された第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された人工ニューラルネットワークを受信された第2のIEGM信号に適用することと、を行うように構成された、処理回路を含む遠隔サーバを備える、システムもまた提供される。
【0020】
更に、本開示の実施形態によれば、システムは、電気生理学的検査室サブシステムを備え、それぞれの電気生理学的検査室サブシステムは、少なくとも1つの生体の少なくとも1つの心腔に挿入され、少なくとも1つの心腔から第1のIEGM信号のそれぞれの第1のIEGM信号を捕捉するように構成されたカテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、処理回路は、第1のIEGM信号のそれぞれの第1のIEGM信号をディスプレイにレンダリングすることと、注釈者のそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた、表示された第1のIEGM信号の局所興奮時間の注釈のうちの対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、第1のIEGM信号のそれぞれの第1のIEGM信号及び局所興奮時間の注釈のうちの対応する局所興奮時間の注釈を遠隔サーバに提供することと、を行うように構成された、処理回路と、を含む。
【0021】
また更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、注釈者のそれぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを計算することと、第1のIEGM信号、及び局所興奮時間の注釈のそれぞれの局所興奮時間の注釈を付けた注釈者のそれぞれの注釈者の計算された重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、を行うように構成されている。
【0022】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、注釈者のそれぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することと、注釈者のそれぞれの注釈者に対する検索一致のそれぞれの数に応じて、注釈者のそれぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを計算することと、を行うように構成されている。
【0023】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、データベースの検索を、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物に限定するように構成されている。
【0024】
更に、本開示の一実施形態によれば、検索一致のそれぞれの数は、注釈者のそれぞれの注釈者に一致する科学文献出版物のそれぞれの数である。
【0025】
また更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、第1のIEGM信号を人工ニューラルネットワークに入力することと、人工ニューラルネットワークの出力及び第1のIEGM信号の局所興奮時間の注釈に応じて、人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている。
【0026】
加えて、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、人工ニューラルネットワークの出力と、計算された重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた第1のIEGM信号の局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することと、損失関数を最小化することに応じて、人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている。
【0027】
更に、本開示の一実施形態によれば、損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む。
【0028】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路は、局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成するように構成されている。
【0029】
本開示の更に別の実施形態によれば、プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令は、中央処理装置(central processing unit、CPU)によって読み取られると、CPUに、電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、第1のIEGM信号及び対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、第2のIEGM信号を受信することと、受信された第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された人工ニューラルネットワークを受信された第2のIEGM信号に適用することと、を行わせる、ソフトウェア製品もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】心臓にカテーテル手順を実施するためのシステムの絵画図であり、このシステムは、本発明の実施形態に従って構成されており、また動作するものである。
図2図1のシステムの電気生理学的検査室サブシステムの操作方法における工程を含むフロー図である。
図3図1のシステムを使用してレンダリングされた、表示された、注釈が付けられた心内電位図信号の図である。
図4図1のシステムのブロック図である。
図5図1のシステムの遠隔サーバの操作方法における工程を含むフロー図である。
図6図1のシステムで使用するための人工ニューラルネットワークの概略図である。
図7図5の方法の工程におけるサブ工程を含むフロー図である。
図8図6の訓練された人工ニューラルネットワークを使用して心内電位図信号を処理する方法における工程を含むフロー図である。
図9図1のシステムによってレンダリングされた、表示された、電気解剖学的マップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概論
電気生理学(EP)における主要な課題の1つは、正確な心内電位図(IEGM)信号の注釈アルゴリズムを検出して、IEGM信号から正しい局所興奮時間(local activation time、LAT)を選択して、例えば、LATマップを生成することである。LATを自動的に検出するための1つの方法は、それぞれの関心のあるウィンドウ(window of interest、WOI)内で信号の最大負勾配を検出することと、LATをその点に割り当てることと、を含む。WOIは、典型的には、1つ以上の体表面電極によって捕捉された信号のQRS群を検知することに基づいて、システムによって設定される。最大負勾配を検知することは、場合によっては、WOI内に多くのそのような勾配があり、誤った勾配がアルゴリズムによって選択されることがあるため、上記の問題に対する幅広い解決策を提供するものではない。したがって、医師は、計算されたLATをWOI内の異なる点に手動で変更する選択肢を有する。
【0032】
本発明の実施形態は、深層学習技術を用いて人工ニューラルネットワーク(artificial neural network、ANN)を訓練して、対応するIEGM信号のLATを検出することにより、上記の問題を解決する。ANNは、様々なEP検査室(検査室)から提供される、注釈者(例えば、医師又は他の医療専門家)によって手動で注釈が付けられたIEGM信号及び対応するLATの注釈を用いて訓練される。手動注釈は、自動的に計算された注釈を補正することであってもよく、又はIEGM信号に最初の注釈を提供することであってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、ANNの訓練中、異なるLATの注釈には、等しい重みが提供されない。例えば、ANNを訓練するために使用される損失関数は、訓練中にそれぞれのIEGM信号及びLATの注釈ペアの寄与を重み付けするために、それぞれのIEGM信号及びLATの注釈ペアに関連付けられ得る重みを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイナリクロスエントロピー(binary cross-entropy、BCE)損失関数が使用されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、(例えば、損失関数において使用するための)IEGM信号及びLATの注釈ペアに割り当てられる重みは、当該LATの注釈を手動で決定した注釈者のLATの注釈経験レベルに応じて計算され得る。このようにして、ANNは、より経験豊かな注釈者により大きい重みを与えることによって訓練され得る。
【0035】
様々な注釈者のLATの注釈経験レベルは、科学文献出版物を含むデータベースを検索して、LATの注釈範囲における様々な注釈者に関する検索一致の数(例えば、科学文献出版物の数)を検出することによって推定され得る。例えば、「John Smith and LAT annotation」を検索することによって50個の一致が提供され得る一方で、「Tim Jones and LAT annotation」を検索することによって400個の一致が提供され得る。そのような場合、Tim Jonesによって提供されたLATの注釈は、John Smithによって提供されたLATの注釈よりも、訓練においてはるかに大きい重みが提供される。任意の好適なデータベース、例えば、Google Scholar、Scopus又はWeb of Scienceが検索され得る。
【0036】
システムの説明
ここで、本発明の実施形態に従って構成され、動作する心臓12にカテーテル挿入手順を実行するための医療システム10の絵画図である、図1を参照する。医療システム10は、電気活動を評価し、生体の心臓12に対してアブレーション処置を実行するように構成されてもよい。システム10は、EPデータを捕捉するEP検査室サブシステム11(簡略化のために1つのみ図示されている)を備える。医療システム10はまた、ネットワーク27を介して格納及び/又はEP検査室サブシステム11による処理のためにEPデータが送信される、遠隔サーバ26、例えば、クラウドコンピューティング装置を備える。EPデータは、EP検査室サブシステム11で圧縮され、ネットワーク27を介して遠隔サーバ26に圧縮された形式で送信されてもよい。
【0037】
次に、EP検査室サブシステム11のうちの1つが、単なる例として、以下により詳細に説明される。様々なEP検査室サブシステム11は、処理のために、遠隔サーバ26にEPデータを提供する、同じ又は異なるEP検査室機器を備えてもよい。図1のEP検査室サブシステム11は、被験者の血管系を通って、心臓12の心室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。通常は医師である操作者16が、例えば、アブレーション標的部位において、心臓壁とカテーテルの遠位端18を接触させる。電気的活性マップは、米国特許第6,226,542号、同第6,301,496号、同第6,892,091号に開示されている方法に従って、準備されてもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販品はCARTO(登録商標)3システム(Biosense Webster,Inc.Irvine,CAから入手可能)として入手可能である。このシステムは、本明細書で説明する発明の原理を具体化するために当業者によって修正される場合がある。
【0038】
電気的活性マップの評価によって異常と判定された領域は、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する遠位端18の1つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを印加することによってアブレーションすることができる。このエネルギーは、組織内に吸収され、その組織が永久にその電気興奮性を失う時点まで、その組織を加熱する。成功裏に行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理は、異なる心腔に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0039】
カテーテル14は、通常、操作者16がカテーテル14の遠位端18を所望どおりに操作、位置決め、及び配向してアブレーションすることを可能にするための、ハンドルに好適な制御部を有するハンドル20を含む。操作者16を補助するために、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された処理回路22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。処理回路22は、後述のようないくつかの処理機能を果たすことができる。
【0040】
ワイヤ接続部35は、コンソール24を、体表面電極30、及びカテーテル14の位置及び向きの座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結してもよい。処理回路22又は別のプロセッサ(図示せず)が、位置決めサブシステムの要素であってもよい。米国特許第7,536,218号に教示されているように、カテーテル電極31及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定することができる。温度センサ(図示せず)、通常、熱電対又はサーミスタは、後述のようにカテーテル14の遠位部分のアブレーション表面上に載置され得る。
【0041】
コンソール24は、通常、1つ以上のアブレーション電力発生装置25を収容している。カテーテル14は、任意の既知のアブレーション技法、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、不可逆エレクトロポレーション、及びレーザにより生成された光エネルギーを使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合され得る。このような方法は、米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0042】
一実施形態では、位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、所定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する磁気位置追跡配置を備える。位置決めサブシステムは、米国特許第7,756,576号及び同第7,536,218号に記載されている。
【0043】
上述したように、カテーテル14はコンソール24に結合され、これにより操作者16は、カテーテル14の機能を観察及び調節することができる。コンソール24は、処理回路22、一般的には適切な信号処理回路を有するコンピュータを含む。処理回路22は、ディスプレイ29(例えば、モニタ)を駆動するように結合されている。信号処理回路は、典型的にはカテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化し、その信号には、電気、温度、及び接触力センサなどのセンサ、並びにカテーテル14内の遠位に位置する場所感知電極31により生成された信号が含まれる。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、かつ使用されることにより、カテーテル14の位置及び向きを計算し、そして電極からの電気信号を分析する。いくつかの実施形態では、デジタル化された信号は、位置及び配向データを計算し、かつ/又は電極30、31からの電気信号を分析し、かつ/又は電気信号及び関連データを使用して、人工ニューラルネットワークを訓練するために、(任意選択的に、送信前に圧縮され、)遠隔サーバ26に送信される。これらは以下でより詳細に説明される。
【0044】
電気解剖学的マップを生成するために、処理回路22は、典型的には、電気解剖学的マップ発生器、画像登録プログラム、画像又はデータ分析プログラム、及びディスプレイ29上にグラフィカル情報を提示するように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを含む、マッピングモジュールを含む。いくつかの実施形態では、マッピングモジュールの機能の一部又は全ては、遠隔サーバ26によって実行される。
【0045】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には、他の要素も含まれる。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含んでもよく、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24又は遠隔サーバ26に供給するために、体表面電極30のうちの1つ以上から信号を受信するように連結されている。いくつかの実施形態では、ECGモニタの機能の一部又は全ては、遠隔サーバ26によって実行される。上記に述べたように、システム10は、典型的にはまた、患者の身体の外側に付着された外部貼付式参照パッチ、又は心臓12に対する固定位置に維持された状態で心臓12に挿入されている内部置きカテーテル(internally-placed catheter)のいずれかに参照位置センサをも有する。アブレーション部位を冷却するためにカテーテル14を通して液体を循環させるための従来のポンプ及びラインが提供されてもよい。システム10及び/又は遠隔サーバ26は、MRIユニット又は同様のものなどの外部の画像化モダリティから画像データを受信してもよく、画像を生成及び表示するために(例えば、処理回路22及び/又は遠隔サーバ26によって)組み込まれ、又はそれによって起動することができる画像プロセッサを含む。
【0046】
実際には、処理回路22の機能の一部又は全てを、単一の物理的構成要素中に組み合わされ、又は代替的に複数の物理的構成要素を使用して実装することができる。これらの物理的構成要素は、ハードワイヤードデバイス若しくはプログラマブルデバイス、又はこれら2つの組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路22の機能のうちの少なくとも一部は、好適なソフトウェアの制御下でプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でデバイスにダウンロードされてもよい。あるいは又は更に、このソフトウェアは、光学的メモリ、磁気的メモリ又は電子的メモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されていてもよい。
【0047】
次に、図2及び図3を参照する。図2は、図1のシステム10の電気生理学的検査室サブシステム11のうちの1つの動作方法における工程を含むフロー図40である。図3は、図1のシステム10を使用してレンダリングされた、表示された、注釈が付けられたIEGM信号48の図である。
【0048】
各EP検査室サブシステム11は、少なくとも1つの生体の少なくとも1つの心腔に挿入され、少なくとも1つの心腔からそれぞれのIEGM信号48を捕捉するように構成されたカテーテル14を含む。任意の好適なタイプの1つ又は複数のカテーテル14が、各EP検査室サブシステム11において使用されてもよい。処理回路22は、IEGM信号48を受信し、IEGM信号48の表示をディスプレイ29にレンダリングし(ブロック42)、EP検査室サブシステム11の注釈者によって手動で注釈が付けられた、対応するIEGM信号48の局所興奮時間(LAT)の注釈50を受信する(ブロック44)ように構成されている。まず、IEGM信号48は、処理回路22上で動作するアルゴリズムによって自動的に注釈が付けられてもよい。次いで、注釈者は、表示されたIEGM信号48上に局所興奮時間の注釈50をマーキングすることによって、自動注釈を手動注釈で補正することができる。いくつかの実施形態では、注釈者は、(自動化されたLATの注釈を計算する処理回路22を伴わず)表示されたIEGM信号48をディスプレイ29上で視認し、次いで、表示されたIEGM信号48上に局所興奮時間の注釈50をマーキングしてもよい。
【0049】
EP検査室サブシステム11の処理回路22は、IEGM信号48及び対応する局所興奮時間の注釈50を遠隔サーバ26に提供する(ブロック46)ように構成されている。いくつかの実施形態では、EP検査室サブシステム11は、好適なネットワークインターフェースを介してネットワーク27(図1)上でIEGM信号48及び対応する局所興奮時間の注釈50を遠隔サーバ26に提供するように構成されている。
【0050】
次に、図4及び図5を参照する。図4は、図1のシステム10のブロック図である。図5は、図1のシステム10の遠隔サーバ26の動作方法における工程を含むフロー図100である。
【0051】
遠隔サーバ26は、処理回路60、メモリ62、データバス64、及びネットワークインターフェース66を含む。処理回路60は、ソフトウェアを起動して、様々な信号処理及び計算タスクを実行するように構成され、人工ニューラルネットワーク68、訓練モジュール70、及びマッピングモジュール72を含む。訓練モジュール70は、図5図7を参照して以下でより詳細に説明されるように、人工ニューラルネットワーク68を訓練するように構成されている。マッピングモジュール72は、図8及び図9を参照してより詳細に説明されるように、心臓信号及び生体から捕捉された他のデータに応じてEPマップを生成するように構成されている。
【0052】
実際には、処理回路60の機能の一部又は全てを、単一の物理的構成要素において組み合わされ、又は代替的に複数の物理的構成要素を使用して実装することができる。これらの物理的構成要素は、ハードワイヤードデバイス若しくはプログラマブルデバイス、又はこれら2つの組み合わせを備えてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路60の機能のうちの少なくとも一部は、好適なソフトウェアの制御下でプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子的形態でデバイスにダウンロードされてもよい。あるいは又は更に、このソフトウェアは、光学的メモリ、磁気的メモリ又は電子的メモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されていてもよい。
【0053】
メモリ62は、処理回路60によって使用されるデータを格納するように構成されている。データバス64は、遠隔サーバ26の様々な要素間で、例えば、処理回路60とネットワークインターフェース66との間で、データを転送するように構成されている。
【0054】
処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、EP検査室サブシステム11から、(それぞれのEP検査室サブシステム11内で捕捉された)IEGM信号48、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられたIEGM信号48の対応する局所興奮時間の注釈50を受信する(ブロック102)ように構成されている。換言すれば、訓練モジュール70は、EP検査室サブシステム11のうちの1つの、ある注釈者によって手動で注釈が付けられた対応する局所興奮時間の注釈50及びIEGM信号48、並びにEP検査室サブシステム11のうちの別の1つの、別の注釈者によって手動で注釈が付けられた対応する局所興奮時間の注釈50及び他のIEGM信号48を受信するように構成されている。
【0055】
処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、IEGM信号48及び対応する局所興奮時間の注釈50を含む訓練データに応じて、人工ニューラルネットワーク68を訓練して(ブロック104)、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように構成されている。ブロック104の工程は、以下でより詳細に説明するブロック106~ブロック110のサブ工程を含む。
【0056】
処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、科学文献出版物のデータベース(例えば、Google Scholar、Scopus、又はWeb of Science)を、(局所興奮時間の注釈50を提供した)それぞれの注釈者に応じて、検索文字列として検索する(ブロック106)ように構成され、検索することにより、それぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数がもたらされる。換言すれば、注釈者のそれぞれに対して異なる検索文字列(例えば、「J.Smith」、「T.Jones」など)を用いてデータベースが検索されて、注釈者のそれぞれに対して検索一致の数(例えば、J.Smithに対して5個の一致、及びT.Jonesに対して40個の一致など)がもたらされる。場合によっては、所与の注釈者の検索は、検索一致をもたらさない場合がある。検索は、任意の好適なソフトウェアスクリプトを使用して、例えば、Scopusにアクセスするためのpybliometrics2.5.0などのウェブクローラーを使用して実行されてもよい。検索一致のそれぞれの数は、それぞれの注釈者に一致する科学文献出版物のそれぞれの数(例えば、J.Smithに対する5個の出版物、及びT.Jonesに対する40個の出版物など)であってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、データベースの検索を、局所興奮時間の注釈及び/又はIEGM及び/又は心電図の注釈及び/又はEPの注釈などを記載している科学文献出版物に限定するように構成されている。検索を上記のうちの1つ以上に限定することは、偽の結果を防止するのに有用である。例えば、「Nuclear Physics」誌で論文を公表したJ.Smithが存在することがあり得、したがって、彼の経験は、局所興奮時間の注釈50を提供したJ.Smithとは無関係である。
【0058】
処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、それぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを、それぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて計算する(ブロック108)ように構成されている。例えば、J.Smithによって行われた注釈に対して重みが計算され、T.Jonesによって行われた注釈に対して別の重みが計算される、などである。
【0059】
いくつかの実施形態では、処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、それぞれの注釈者に対する検索一致のそれぞれの数(例えば、科学文献出版物の数)に応じて、それぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを計算するように構成されている。例えば、J.Smithによって行われた注釈については、J.Smithに関するデータベース内で検出された5個の検索一致(例えば、5個の出版物)に応じて重みが計算され、T.Jonesによって行われた注釈については、T.Jonesに関するデータベース内で検出された40個の検索一致(例えば、40個の出版物)に応じて別の重みが計算される。重みは、比例計算され得る。例えば、N人の注釈者が存在し、j番目の注釈者が、検索時にP個の出版物が検出された場合、i番目の注釈者の重みWは、以下と等しくなる。
【0060】
【数1】
【0061】
処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、(EP検査室サブシステム11から受信した)IEGM信号48を含む訓練データと、それぞれの局所興奮時間の注釈50に注釈を付けたそれぞれの注釈者のそれぞれの計算された重みに従って重み付けされた、対応する局所興奮時間の注釈50と、に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワーク68を訓練する(ブロック110)ように構成されている。例えば、J.Smithによって提供された注釈は、J.Smithに関して計算された重みに従って重み付けされ、T.Jonesによって提供された注釈は、T.Jonesに関して計算された重みに従って重み付けされる、などが行われる。
【0062】
次に、図6及び図7を参照する。図6は、図1のシステム10で使用するための人工ニューラルネットワーク68の概略図である。図7は、図5の方法のブロック110の工程におけるサブ工程を含むフロー図である。
【0063】
ニューラルネットワークは、ニューロンのネットワーク又は回路、あるいは現代的な意味では、人工ニューロン又はノードで構成されている人工ニューラルネットワークである。生物学的ニューロンの接続が、重みとしてモデリングされる。正の重みは興奮性の接続を反映し、負の値は抑制性の接続を意味する。入力は重みで修正され、線形結合を使用して合計される。活性化関数が、出力の振幅を制御することができる。例えば、出力の許容範囲は通常0~1であるが、-1~1の場合もある。
【0064】
これらの人工ネットワークは、予測モデリング、適応制御及びアプリケーションに使用でき、データセットを介して訓練することができる。経験から生じる自己学習がネットワーク内で発生する可能性があり、複雑で一見無関係なセットの情報から結論を導き出すことができる。
【0065】
完全を期すために、生物学的ニューラルネットワークは、化学的に接続されたニューロン又は機能的に関連付けられたニューロンのグループから構成されている。1つのニューロンが他の多くのニューロンに接続されていてもよく、ネットワーク内のニューロン及び接続の総数が広範囲にわたってもよい。シナプスと呼ばれる接続は、通常、軸索から樹状突起へと形成されるが、樹状突起間シナプス及び他の接続も可能である。電気的な信号伝達とは別に、神経伝達物質の拡散から生じる他の信号伝達形態がある。
【0066】
人工知能、認知モデリング及びニューラルネットワークは、生物学的神経システムのデータ処理方法に着想を得た情報処理パラダイムである。人工知能及び認知モデリングは、生物学的ニューラルネットワークのいくつかの特性をシミュレートしようとする。人工知能分野では、人工ニューラルネットワークが音声認識、画像分析及び適応制御にうまく適用され、(コンピュータゲーム及びビデオゲームにおける)ソフトウェアエージェント又は自律ロボットが構築されている。
【0067】
ニューラルネットワーク(neural network:NN)は、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network:ANN)又はシミュレートニューラルネットワーク(simulated neural network:SNN)と呼ばれる人工ニューロンの場合、情報処理に計算への接続論的アプローチに基づいて数学的モデル又は計算モデルを使用する、天然のニューロン又は人工ニューロンの相互接続されたグループである。ほとんどの場合、ANNは、ネットワークを通って流れる外部情報又は内部情報に基づいてその構造を変更する適応型システムである。より実際的には、ニューラルネットワークは、非線形の統計データモデリングツール又は意思決定ツールである。これらを、入力と出力の間の複雑な関係をモデリングするため及びデータのパターンを見つけるために使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、人工ニューラルネットワーク68は、完全結合ニューラルネットワーク、例えば、畳み込みニューラルネットワークを含む。他の実施形態では、人工ニューラルネットワーク68は、任意の好適なANNを含んでもよい。人工ニューラルネットワーク68は、処理回路60(図4)によって実行されるソフトウェア、及び/又は人工ニューラルネットワーク68の機能を実行するように構成されたハードウェアモジュールを含んでもよい。
【0069】
人工ニューラルネットワーク68は、入力が受信される入力層80と、人工ニューラルネットワーク68の出力が提供される出力層84への入力を漸進的に処理する1つ以上の隠れ層82と、を含む。人工ニューラルネットワーク68は、人工ニューラルネットワーク68の層80、82、84の間の層の重みを含み得る。人工ニューラルネットワーク68は、人工ニューラルネットワーク68の層80、82、84の間の様々な層の重みの値に従って入力層80で受信したデータを操作する。
【0070】
人工ニューラルネットワーク68の層の重みは、人工ニューラルネットワーク68が実行するように訓練されるデータ操作タスクを、人工ニューラルネットワーク68が実行するように、人工ニューラルネットワーク68の訓練中に更新される。
【0071】
人工ニューラルネットワーク68内の層の数及び層の幅は設定可能であってもよい。層の数及び層の幅が増加するにつれて、人工ニューラルネットワーク68が差し当たってのタスクに従ってデータを操作することができる精度が高まる。しかしながら、より多くの数の層及びより幅広い層は、一般に、より多くの訓練データ、すなわち、より多くの訓練時間を必要とし、訓練が収束しない場合がある。例として、入力層80は、(例えば、400個のサンプルのバッチを圧縮するための)400個のニューロンを含んでもよく、出力層もまた、400個のニューロンを含んでもよい。
【0072】
人工ニューラルネットワーク68を訓練することは、概ね反復的なプロセスである。人工ニューラルネットワーク68を訓練する1つの方法を以下に説明する。処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、人工ニューラルネットワーク68の出力とIEGM信号48の局所興奮時間の注釈50との間の差を減少させるように、人工ニューラルネットワーク68のパラメータ(例えば、層の重み)を反復的に調整する(ブロック112)ように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、人工ニューラルネットワーク68の出力と、計算された(図5のブロック108の工程で計算された)重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされたIEGM信号48の局所興奮時間の注釈50との関数である損失関数を最小化し、損失関数を最小化することに応じて、人工ニューラルネットワーク68のパラメータ(例えば、層の重み)を反復的に調整するように構成されている。いくつかの実施形態では、損失関数は、バイナリクロスエントロピー(BCE)損失関数を含む。Pytorch.orgは、好適なBCE損失関数の一例を提供している。
【0074】
ここでブロック112の工程のサブ工程を以下で説明する。
【0075】
処理回路22(図4)の処理回路60上で動作する訓練モジュール70は、IEGM信号48を人工ニューラルネットワーク68の入力層80に入力する(ブロック114)ように構成されている。処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、人工ニューラルネットワーク68の出力(例えば、出力層84の出力)を、例えば、それぞれの局所興奮時間の注釈50について(それぞれの注釈者について計算された)重みを考慮する好適な損失関数を使用して、所望の出力、すなわち、IEGM信号48の対応する局所興奮時間の注釈50と比較する(ブロック116)ように構成されている。
【0076】
人工ニューラルネットワーク68の出力は、人工ニューラルネットワーク68に入力されたIEGM信号48に対応する様々なベクトルを含む。出力ベクトルのそれぞれは、各成分が浮動小数点値(例えば、0~1)を有する成分を含む。所望の出力のそれぞれは、ベクトルの全ての成分が、それぞれの局所興奮時間の注釈50の時間値に対応する1の値を有する成分のうちの1つを除いて、ゼロ値を有するone-hotベクトルとして表される。
【0077】
例えば、人工ニューラルネットワーク68によって出力されたベクトルA、B、Cのセットと、対応する局所興奮時間の注釈A’、B’、及びC’を表す対応するベクトルのセットとが存在する場合、処理回路60(図4)の訓練モジュール70は、損失関数を使用して、A’、B’、及びC’を注釈した注釈者の重みに基づいて、AとA’、BとB’、CとC’などをそれぞれ比較する。
【0078】
判定ブロック118において、処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、人工ニューラルネットワーク68の出力と所望の出力との間の差が十分に小さいかどうかを判定するように構成されている。人工ニューラルネットワーク68の出力と所望の出力との間の差が十分に小さい(分岐120)場合、処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、人工ニューラルネットワーク68のパラメータ(例えば、層の重み)を将来の使用のために保存する(ブロック122)ように構成されている。
【0079】
差が十分に小さくない(分岐124)場合、処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、損失関数に従って人工ニューラルネットワーク68の出力と人工ニューラルネットワーク68の所望の出力との間の差を減少させるように、人工ニューラルネットワーク68のパラメータ(例えば、層の重み)を修正(ブロック126)するように構成されている。上記実施例で最小化される差は、損失関数に従って人工ニューラルネットワーク68の全ての出力と、全ての所望の出力(例えば、局所興奮時間の注釈50)との間の全体的な差である。処理回路60(図4)上で動作する訓練モジュール70は、任意の好適な最適化アルゴリズム、例えば、アダム最適化などの勾配降下アルゴリズムを使用してパラメータを修正するように構成されている。次いで、ブロック114~ブロック118の工程が繰り返される。
【0080】
ここで、図6の訓練された人工ニューラルネットワーク68を使用して心内電位図信号を処理する方法における工程を含むフロー図150である図8を参照する。図4もまた参照する。
【0081】
処理回路60上で動作するマッピングモジュール72(又は任意の他の好適なモジュール)は、EP検査室サブシステム11のうちの1つからIEGM信号を受信する(ブロック152)ように構成されている。処理回路60上で動作するマッピングモジュール72(又は任意の他の好適なモジュール)は、受信したIEGM信号に訓練された人工ニューラルネットワーク68を適用して(ブロック154)、受信したIEGM信号の局所興奮時間を示すように構成されている。人工ニューラルネットワーク68の出力は、各成分が例えば0~1の浮動値(例えば、小数点値)を有する成分(例えば、400個の成分)を有するベクトルを含んでもよい。浮動値は、それぞれのベクトル成分が、入力されたIEGM信号に対するLAT値であるそれぞれの確率を表す。したがって、最も高い浮動値は、最も高い確率に関連付けられており、したがって、入力されたIEGM信号に使用されるべきLAT値を示す。処理回路60上で動作するマッピングモジュール72は、人工ニューラルネットワーク68の出力を受信し、人工ニューラルネットワーク68によって出力されたベクトルの成分の最も高い浮動値を検出し、最も高い浮動値を有するベクトル成分の位置に応じて、受信したIEGM信号のLAT値を計算するように構成されてもよい。
【0082】
ここで、図1のシステム10によってレンダリングされた、表示された電気解剖学的マップ160の概略図である図9を参照する。図8もまた参照する。処理回路60上で動作するマッピングモジュール72(又は任意の他の好適なモジュール)は、ブロック154の工程においいて提供された局所興奮時間及び他の同様のEPデータの表示に応じて電気解剖学的マップ160を生成する(ブロック156)ように任意選択的に構成されている。いくつかの実施形態では、処理回路60は、電気解剖学的マップ160を生成するために使用されたIEGM信号を提供したEP検査室サブシステム11に電気解剖学的マップ160を提供するように構成されている。マッピングモジュール72は、ブロック154の工程において検出されたLATを、LATが検出されたIEGM信号を提供したEP検査室サブシステム11に提供する(ブロック158)ように任意選択的に構成されている。
【0083】
本明細書で使用するとき、任意の数値又は数値の範囲について「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約)」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、72%~108%の値の範囲を指し得る。
【0084】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらも単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0085】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ本発明の範囲は、上記の明細書で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出する方法であって、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を含む、方法。
(2) 前記注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われる注釈に対する重みを計算することを更に含み、前記訓練することは、前記第1のIEGM信号、及び対応する前記局所興奮時間の注釈のそれぞれの注釈を付けた前記注釈者の前記それぞれの注釈者の計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、前記人工ニューラルネットワークを訓練することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記注釈者のそれぞれの注釈者の前記局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、前記注釈者の前記それぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することを更に含み、前記計算することは、前記注釈者のそれぞれの注釈者に対する前記検索一致のそれぞれの数に応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われる前記注釈に対する前記重みを計算することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記検索することは、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物を検索することに限定される、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記検索一致のそれぞれの数は、前記注釈者のそれぞれの注釈者に一致する前記科学文献出版物のそれぞれの数である、実施態様3に記載の方法。
【0087】
(6) 前記訓練することは、
前記第1のIEGM信号を前記人工ニューラルネットワークに入力することと、
前記人工ニューラルネットワークの出力及び前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈に応じて、前記人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を含む、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記人工ニューラルネットワークの前記出力と、計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することを更に含み、前記反復的に調整することは、前記損失関数を前記最小化することに応じて行われる、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 心内電位図(IEGM)信号の局所興奮時間を検出するシステムであって、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を行うように構成された、処理回路を含む遠隔サーバを備える、システム。
【0088】
(11) 前記電気生理学的検査室サブシステムを更に備え、それぞれの電気生理学的検査室サブシステムは、
少なくとも1つの生体の少なくとも1つの心腔に挿入され、前記少なくとも1つの心腔から前記第1のIEGM信号のそれぞれの第1のIEGM信号を捕捉するように構成されたカテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、前記処理回路は、
前記第1のIEGM信号の前記それぞれの第1のIEGM信号を前記ディスプレイにレンダリングすることと、
前記注釈者のそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた、表示された前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈のうちの対応する前記局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号の前記それぞれの第1のIEGM信号及び前記局所興奮時間の注釈のうちの対応する前記局所興奮時間の注釈を前記遠隔サーバに提供することと、を行うように構成された、処理回路と、を含む、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記処理回路は、
前記注釈者のそれぞれの注釈者の局所興奮時間の注釈経験レベルに応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われた注釈に対する重みを計算することと、
前記第1のIEGM信号、及び前記局所興奮時間の注釈のそれぞれの局所興奮時間の注釈を付けた前記注釈者の前記それぞれの注釈者の計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、前記人工ニューラルネットワークを訓練することと、を行うように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記処理回路は、
前記注釈者のそれぞれの注釈者の前記局所興奮時間の注釈経験レベルを示す検索一致のそれぞれの数をもたらす、前記注釈者の前記それぞれの注釈者に応じて科学文献出版物のデータベースを検索することと、
前記注釈者のそれぞれの注釈者に対する前記検索一致のそれぞれの数に応じて、前記注釈者の前記それぞれの注釈者によって行われた前記注釈に対する前記重みを計算することと、を行うように構成されている、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記処理回路は、前記データベースの検索を、局所興奮時間の注釈を記載している科学文献出版物に限定するように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記検索一致のそれぞれの数は、前記注釈者のそれぞれの注釈者に一致する前記科学文献出版物のそれぞれの数である、実施態様13に記載のシステム。
【0089】
(16) 前記処理回路は、
前記第1のIEGM信号を前記人工ニューラルネットワークに入力することと、
前記人工ニューラルネットワークの出力及び前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈に応じて、前記人工ニューラルネットワークのパラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている、実施態様13に記載のシステム。
(17) 前記処理回路は、
前記人工ニューラルネットワークの前記出力と、計算された前記重みのそれぞれの重みに応じて重み付けされた前記第1のIEGM信号の前記局所興奮時間の注釈との関数である損失関数を最小化することと、
前記損失関数を最小化することに応じて、前記人工ニューラルネットワークの前記パラメータを反復的に調整することと、を行うように構成されている、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記損失関数は、バイナリクロスエントロピー損失関数を含む、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記処理回路は、前記局所興奮時間が示されたことに応じて、電気解剖学的マップを生成するように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(20) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令は、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
電気生理学的検査室サブシステムから、第1のIEGM信号、及びそれぞれの注釈者によって手動で注釈が付けられた前記第1のIEGM信号の対応する局所興奮時間の注釈を受信することと、
前記第1のIEGM信号及び前記対応する局所興奮時間の注釈に応じて、IEGM信号の局所興奮時間を検出するように、人工ニューラルネットワークを訓練することと、
第2のIEGM信号を受信することと、
受信された前記第2のIEGM信号の局所興奮時間を示すように、訓練された前記人工ニューラルネットワークを受信された前記第2のIEGM信号に適用することと、を行わせる、ソフトウェア製品。
図1
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【外国語明細書】