(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048152
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】回収ボックス及び対応する熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20220317BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20220317BHJP
F28F 9/16 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F28D1/053 A
F28F9/16
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213497
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2020083313の分割
【原出願日】2014-10-14
(31)【優先権主張番号】1362571
(32)【優先日】2013-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン、リオンデ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク、ルスュール
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065CA17
3L065CA21
3L103AA01
3L103AA17
3L103BB39
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC22
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD81
3L103DD85
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車用の、熱交換器のための回収ボックスに関する。
【解決手段】少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を有するヘッダ5を備えた熱交換器用回収ボックス1であって、前記ヘッダ5は、-熱交換器の複数の熱交換チューブを通過させるための複数の開口7と、-前記開口7を取り囲む複数のフランジ9と、を備えた前記熱交換器用回収ボックス1に関する。本発明によれば、前記ヘッダ5は複数の畝状部11を備え、前記フランジ9は前記ヘッダ5の前記畝状部11に作製されているとともに、前記熱回収ボックス1により画定された容積から離間する方向に向けられた実質的に拡がった形状をそれぞれ有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を有するヘッダ(5)を備えた熱交換器用回収ボックス(1)であって、
前記ヘッダ(5)は、
-熱交換器の複数の熱交換チューブ(3)を通過させるための複数の開口(7)と、
-前記開口(7)を取り囲む複数のフランジ(9)と、
を備え、
-前記ヘッダ(5)は、複数の畝状部(11)を更に備え、
-前記フランジ(9)は、前記ヘッダ(5)の前記畝状部(11)に作製されているとともに、前記回収ボックス(1)により画定された容積から離間する方向に向けられた実質的に拡がった形状をそれぞれ有している、回収ボックス。
【請求項2】
前記フランジ(9)は、前記回収ボックス(1)により画定された容積から離間する方向に向く前記畝状部(11)の頂部に形成されている、請求項1に記載の回収ボックス。
【請求項3】
前記ヘッダ(5)は少なくとも1つの壁部(8)を有し、前記壁部(8)の形状は前記回収ボックス(1)により画定された容積の外側に向かって実質的に窪んでいる、請求項1又は2に記載の回収ボックス。
【請求項4】
前記畝状部(11)は、前記壁部(8)上に形成されている、請求項3に記載の回収ボックス。
【請求項5】
前記畝状部(11)は、前記チューブ(3)のピッチの30%程度の最高高さ(h)をそれぞれ有している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項6】
前記フランジ(9)は、実質的に円錐形の形状をそれぞれ有している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項7】
前記フランジ(9)により形成される円錐体は、30°程度の角度(α)を有している、請求項6に記載の回収ボックス。
【請求項8】
前記フランジ(9)は、
-第1の幅(l1)と、
-前記第1の幅(l1)より大きい、例えば前記第1の幅(l1)の2倍程度の、第2の幅(l2)と、をそれぞれ有している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項9】
前記第1の幅(l1)は、前記開口(7)に挿入されるように意図されたチューブ(3)の幅と実質的に等しい、請求項8に記載の回収ボックス。
【請求項10】
前記フランジ(9)は、2つの凸状の実質的に拡がった縁部(9a、9b)をそれぞれ有し、前記凸形状は前記回収ボックス(1)により画定された容積の外側に向いている、請求項1乃至9にいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項11】
前記フランジ(9)は、畝状部(11)の前記高さ(h)の半分程度の高さ(h’)を有している、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項12】
前記フランジ(9)は、前記ヘッダ(5)上の前記畝状部(11)に対して薄肉化されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回収ボックス。
【請求項13】
フランジ(9)における材料の薄肉化は、材料の当初厚さの少なくとも30%を超えている、請求項12に記載の回収ボックス。
【請求項14】
熱交換コアチューブ(3)束を備えた、特に自動車用の、熱交換器であって、
前記チューブ(3)の端部が少なくとも1つの回収ボックス(1)に固定され、
前記回収ボックス(1)は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のものである、熱交換器。
【請求項15】
前記熱交換チューブ(3)は、0.8mm乃至2.5mmの間、好適には1.2mm乃至1.8mmの間に含まれる高さを有している、請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記熱交換チューブ(3)のピッチは、5mm乃至10mmの間、好適には6mm乃至8mmの間に含まれる、請求項14又は15に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の、熱交換器のための回収ボックスに関する。本発明は、また、対応する熱交換器に関する。このような熱交換器は、例えば、自動車において、特に冷却システム用のラジエータとして、又は、高圧利用において、例えば空調システム用の凝縮器として、使用される。
【背景技術】
【0002】
一般に、このような熱交換器は、コアチューブ束と、少なくとも1つの回収ボックスを備えている。この回収ボックスは、熱交換器のチューブの端部を受容するように構成されている。
【0003】
この目的のために、回収ボックスは、通常、例えばヘッダプレートの形状にあるヘッダを備えている。通常、回収ボックスは、ヘッダプレートを固定して回収ボックスを閉鎖するカバーも備えている。
【0004】
ヘッダプレートは、流体が複数の熱交換チューブに分配されることを可能にする、又はこれらの熱交換チューブからの流体が回収されることを可能にする。ヘッダプレートは、通常、アルミニウムからなり、例えば打抜きにより製造され得る。
【0005】
ヘッダプレートは、通常、平坦な底部を有している。
【0006】
しかしながら、耐圧が意図される適用例において、耐圧を目的としてヘッダに少なくとも部分的に丸みを帯びた底部を設けることが知られている。更に、平坦な底部又は窪んだ底部を有するヘッダプレートは、一般的に、熱交換器のコアの複数のチューブの端部が通過する開口を取り囲むフランジを有している。
【0007】
チューブの導入のために、スロット等の開口はヘッダプレートに、材料を除去することにより、又は他方で材料を除去せずに設けられる。後者の場合、材料がツールによって回収ボックスにより画定された容積の内部へと押し込まれ、これによりチューブを導入するための開口の周囲にフランジが形成される。このようなフランジは、標準フランジと称される。
【0008】
フランジは、チューブとヘッダプレートの開口との接触が確保されることを可能にするとともに、例えば総アルミニウム製の交換器において、ろう付けされた場合に高いろう付品質を得ることを可能にしている。
【0009】
一般的に、チューブは、開口の周囲にフランジを形成するために使用されたツールと同じ方向において開口に挿入される。正確なろう付け及び高い堅牢性と防漏性を有するアセンブリを確実に提供するように、一般的に、挿入されたチューブを回収ボックス内に部分的に延び出させる。特定の解決手段において、チューブは、流体用の貯留部を形成する容積に回収ボックスの容積のほぼ半分まで突出している。
【0010】
しかしながら、チューブを回収ボックスの内部容積により画定された容積であって流体用の貯留部を形成する容積内に突出させることにより、流体回路に圧力損失が生じる。この内部圧力損失により、流体の特定の流量を維持するためにポンプ能力を増大させることが必要となる。
【0011】
公知の解決手段によれば、平坦な底部を有する回収ボックスは、逆フランジと称されるフランジを有し得る。これは、熱交換チューブの挿入方向に対して反対方向に作製されたフランジ、という意味である。したがって、このようなフランジは回収ボックスにより画定された容積から離間するようにして拡がる形状を有している。しかしながら、このような逆フランジは、ほんのわずかしか拡がっていない。換言すれば、このことは、公知の逆フランジは、熱交換チューブの挿入のための小さい入口円錐体しか画定しないことを意味している。したがって、入口円錐体は、簡単に熱交換チューブを挿入可能とするには十分でない場合があり、従来技術から公知の解決手段は熱交換チューブのヘッダへの挿入に関するデメリットを呈することがある。
【0012】
このような逆フランジを有するヘッダに熱交換チューブを挿入することは困難であるため、丸みを帯びた底部を有するヘッダに対して逆フランジを用いるような解決手段は、いわゆる標準フランジが好まれる従来技術において想定されることはない。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、従来技術のこれらの問題を解決することができる回収ボックスを提供することである。
【0014】
この目的のために、本発明の1つの主題は、少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を有するヘッダを備えた熱交換器用回収ボックスであって、前記ヘッダは、熱交換器の複数の熱交換チューブを通過させるための複数の開口と、前記開口を取り囲む複数のフランジと、を備え、前記ヘッダは、複数の畝状部を更に備え、前記フランジは、前記ヘッダの前記畝状部に作製されているとともに、前記回収ボックスにより画定された容積から離間する方向に向けられた実質的に拡がった形状をそれぞれ有している。
【0015】
好適な一実施形態によれば、前記フランジは、前記回収ボックスにより画定された容積から離間する方向に向く前記畝状部の頂部において形成されている。
【0016】
少なくとも部分的に丸みを帯びたこのような底部は、高圧利用における耐圧に適しており、このような逆フランジ、すなわちチューブが挿入される通常の方向と逆方向に向くフランジを有するヘッダは、従来であれば回収ボックスにより画定された容積内に突出していたチューブの端部を受容することができる。
【0017】
したがって、チューブの端部は、回収ボックスにより画定された容積内に最早開口していない。これにより、熱交換器のチューブを通過する流体の流れに関連する圧力ロスが顕著に減少する。
【0018】
要するに、少なくとも部分的に丸みを帯びたヘッダと複数の畝状部とを組み合わせることにより、熱交換チューブを導入しやすくするように十分に拡がった逆フランジを形成するのに十分な材料が存在することとなる。具体的に、本発明による逆フランジは、実質的にチューリップ形状の熱交換チューブの挿入のための入口開口を画定しており、この入口開口はこのような豊富な材料を理由として十分に幅広い。
【0019】
前記回収ボックスは、更に、以下の1つ又は複数の特徴を単独で又は組み合わせて備え得る。
-前記ヘッダは少なくとも1つの壁部を有し、前記壁部の形状は前記回収ボックスにより画定された容積の外側に向かって実質的に窪んでいる。
-前記畝状部は、前記壁部上に形成されている。
-前記畝状部は、前記チューブのピッチの30%程度の最高高さをそれぞれ有している。-前記フランジは、実質的に円錐形の形状をそれぞれ有している。
-前記フランジにより形成される円錐体は、30°程度の角度を有しており、これにより、複数の熱交換チューブをフランジにより取り囲まれたヘッダ開口に同時に導入しやすくなっている。
-前記フランジは、第1の幅と、前記第1の幅より大きい、例えば前記第1の幅の2倍程度の、第2の幅と、をそれぞれ有しており、これにより全ての熱交換チューブがヘッダの開口に簡単に導入されように十分に幅広い開口が提供される。
-前記第1の幅は、前記開口に挿入されるように意図されたチューブの幅と実質的に等しい。
-前記フランジは、2つの凸状の実質的に拡がった縁部をそれぞれ有し、前記凸形状は前記回収ボックスにより画定された容積の外側に向いている。
-前記フランジは、畝状部の前記高さの半分程度の高さを有している。
-前記フランジは、前記ヘッダ上の前記畝状部に対して薄肉化されて、これにより前記畝状部は第1の厚さをそれぞれ有するとともに、前記フランジは前記畝状部の前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さをそれぞれ有している。
-フランジにおける材料の薄肉化は、材料の当初厚さの少なくとも30%、又は局所的に50%を超えている。材料を薄肉化することにより、チューブを挿入しやすくするような十分な拡がりを得るようにフランジを長くすることができる。
【0020】
また、本発明は、熱交換コアチューブ束を備えた、特に自動車用の、熱交換器であって、前記チューブの端部が少なくとも1つの上述の回収ボックスに固定されている熱交換に関する。
【0021】
前記熱交換器は、ろう付けされた熱交換器であり得る。
【0022】
他の選択肢として、前記熱交換器は、回収ボックスを形成する要素が互いに機械的に組み付けられた熱交換器であり得る。
【0023】
一実施形態によれば、熱交換チューブは、0.8mm乃至2.5mmの間、好適には1.2mm乃至1.8mmの間に含まれる高さを有している。
【0024】
熱交換チューブのピッチ、すなわち2つの熱交換チューブの中心間距離は、例えば、5mm乃至10mmの間、好適には6mm乃至8mmの間に含まれる。
【0025】
本発明の更なる特徴及び利点が、例示的、非限定的な例として示される以下の説明を読み、添付図面を精査することによって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】熱交換器用の本発明による回収ボックスの斜視図。
【
図2】熱交換器のコアの複数のチューブのうちの一部が図示された1つのチューブの端部を受容している
図1の回収ボックスの部分断面図。
【
図4a】
図1乃至3の回収ボックスのヘッダの第1斜視図。
【
図4b】
図1乃至3の回収ボックスのヘッダの第2斜視図。
【
図6】熱交換器のチューブの端部を受容している
図5のヘッダの拡大図。
【0027】
これらの図面において、同一の要素には同一の参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、特に自動車分野における熱交換器(図示せず)のための流体回収ボックス1を概略的且つ単純化した態様で示す。熱交換器は、特に自動車用のラジエータとして又は凝縮器として使用され得る。
【0029】
特に、本発明は、ろう付けされた熱交換器に適用され得る。
【0030】
熱交換器は、コアチューブ3束を備えている。
図2に1つのチューブ3の1つの端部のみを示す。チューブ3は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。チューブ3は、例えば実質的に平坦なチューブ3である。
【0031】
回収ボックス1は、熱交換器のチューブ3の少なくとも1つの端部を受容するように構成されている。より具体的には、熱交換器(図示せず)の複数のチューブ3の複数の端部を受容するように構成されている。
図2に1つのチューブ3の1つの端部のみを示す。
【0032】
この目的のために、回収ボックス1はヘッダ5を備えている。回収ボックス1は、ヘッダ5に固定されて回収ボックス1を閉鎖するためのカバー6も備えている。
【0033】
ヘッダ5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される。カバー6は、アルミニウム又はアルミニウム合金から、又は他の選択肢としてプラスチックから構成され得る。
【0034】
カバー6はヘッダ5に、例えばクリップ留めにより、ろう付けにより、更に又は圧着により、固定され得る。
【0035】
更に、ヘッダ5は、複数のチューブ3の端部を通過させるための複数の開口7を備えている。
【0036】
開口7は、例えばスロットのように実質的に細長い形状を有している。
【0037】
開口7に受容されたチューブ3の端部は、例えば、ヘッダ5にろう付けされ得る。
【0038】
一実施形態によれば、熱交換チューブ3は、0.8mm乃至2.5mmの間、好適には1.2mm乃至1.8mmの間に含まれる高さを有している。
【0039】
熱交換チューブ3のピッチ、すなわち2つの熱交換チューブ3の中心間距離は、例えば、5mm乃至10mmの間、好適には6mm乃至8mmの間に含まれる。
【0040】
図示の実施形態によれば、ヘッダ5は、ボックス端部を形成する壁部8を有している。更に、回収ボックス1は、ボックス端部8に連結された側壁部8’を備えている。
【0041】
このボックス端部8は、少なくとも部分的に丸みを帯びた形状を有している。
【0042】
図示の実施形態によれば、端部壁部8とも称されるボックスの端部を形成する壁部8は、回収ボックス1により画定された容積の外側に向かって実質的に窪んだ形状を有している。したがって、ヘッダ5の端部壁部8は、回収ボックス1により画定された内部容積に対して実質的に凹状の形状であって、熱交換器の複数のチューブ3からなるコアに対して実質的に凸状の形状を有している。凸部は、回収ボックス1により画定された容積の外側に向いている。
【0043】
図1乃至
図3に示されるように、回収ボックス1は、更に、ヘッダ5において、チューブ3の端部を受容するための開口7に形成された所定数のフランジ9を備えている。より具体的には、各開口7はフランジ9により取り囲まれている。フランジ9は、本例において、材料を除去することなく作製されている。
【0044】
ヘッダ5は、更に、複数の変形部11を備えている。変形部11は、ヘッダ5の実質的に窪んだ端部壁部8に作製されている。変形部11は、例えば、規則的なパターンを形成するようにして作製されている。
【0045】
図示の実施形態によれば、このパターンは、畝状部又は波状部11からなる。
【0046】
畝状部11は、ヘッダ5の端部壁部8の長手軸に対して対称的に作製され得る。したがって、畝状部11は、ヘッダ5の端部壁部8の長手軸の一側と他側に交互に延在する頂部を有している。換言すれば、畝状部11は、例えば、回収ボックス1により画定された容積の内側に向く複数の頂部と、回収ボックスにより画定された容積から離間する方向に配向された複数の対向頂部、すなわち回収ボックス1の外側に向くとともに熱交換器の複数のチューブ3からなるコアの方向に向く複数の対向頂部と、を有している。
【0047】
図4a及び
図4bによりよく示されるフランジ9は、畝状部11に形成されている。より具体的には、回収ボックスにより画定された容積から離間する方向に向く畝状部11の頂部に形成されている。特に、複数の開口7は、回収ボックスにより画定された容積から離間する方向に向く畝状部11の頂部においてヘッダ5を穿孔する又は打抜くことにより形成されており、フランジ9はこれらの開口7の周囲の材料により作製されている。
【0048】
畝状部11においてフランジ9を形成するために十分な材料を確保し得るように、畝状部11は、十分な高さh(
図5参照)、例えば、チューブのピッチの30%程度の最高高さhを有するようにして作製されている。
【0049】
このようにして形成されたフランジ9は、回収ボックス1により画定された容積から離間する方向に向いている、すなわち熱交換器の複数のチューブ3からなるコアの方向に向いている。このため、これらのフランジは、逆フランジ9と称される。
【0050】
再度
図2及び
図6を参照すると、熱交換器のチューブ3の端部が、このような逆フランジ9によって取り囲まれた開口7に挿入されるとき、チューブ3の端部は、回収ボックス1により画定された容積の内側に向く畝状部11の頂部とヘッダ5のボックス端部8の平坦部分との間に位置する領域Zに存在するが、回収ボックス1により画定された容積内に突出してはいない。回収ボックス1の容積内に開口したチューブ3が存在しないことにより、流体の流れという点で性能が向上する。
【0051】
フランジ9は、チューブ3の端部の挿入を許容するのに適した十分な高さh’、例えば畝状部11の高さhの半分程度の高さh’を有している。
【0052】
更に、フランジ9は、チューリップ形状等の全体として拡がった形状を有している。
【0053】
より具体的には、フランジ9は、例えば30°程度の角度α(
図5参照)を有する実質的に円錐形の形状をそれぞれ有している。
【0054】
したがって、フランジ9は、2つの短縁部9c、9dにより互いに接合された2つの長縁部に相当する2つの拡がった縁部9a、9bを有している。
【0055】
この拡がった又は実質的に円錐体の形状は、回収ボックス1により画定された容積の外側から回収ボックス1により画定された容積の内部に向かうチューブ3の端部のヘッダ5への導入を容易なものとする。
【0056】
2つの拡がった縁部9a、9bは、例えば、実質的に凸状の形状を有し、凸形状は回収ボックス1により画定された容積の外側に向いている。
【0057】
図5を参照すると、チューリップ形状のフランジ9は、
-フランジ9の最短幅に相当する、穿孔された又は打抜かれた対応畝状部11の頂部における第1の幅l
1と、
-フランジ9の最大幅に相当する外側の第2の幅l
2と、
をそれぞれ有している。
【0058】
第1の幅l1は、開口7に挿入されることが意図されたチューブ3の幅と実質的に同じか、又はわずかに大きい。
【0059】
最大幅l2は、フランジ9により取り囲まれた、チューブ3の端部の挿入のための開口7を画定している。第2の幅l2は、熱交換器(図示せず)の全てのチューブ3の端部が簡単且つ特に同時に各開口7に挿入され得るように十分に幅広くされている。例えば、第2の幅l2は、フランジ9の第1の幅l1の2倍程度の幅である。
【0060】
更に、フランジ9は、ヘッダ5に設けられた畝状部11に対して薄肉とされている。具体的には、
図6を参照すると、畝状部11は、例えば、第1の厚さe
1を有し、フランジ9は、畝状部11の第1の厚さe
1より小さい第2の厚さe
2を有している。
【0061】
フランジ9は、長手の拡がった縁部9a、9bにおいても短手の連結縁部9c、9dにおいても簡単に薄肉化され得る。
【0062】
例えば、材料の薄肉化はフランジ9において実施され、薄肉化は材料の当初厚さの30%又は局所的に50%を超えてもよい。
【0063】
フランジ9において材料を薄肉化することにより、このフランジ9を長くすることができる。
【0064】
したがって、このような逆フランジ9を有するヘッダ5は、特に各チューブ3を対応する開口7に案内する特殊用途のツールを必要とすることなく、熱交換器の複数の熱交換チューブ3の端部を同時に且つ簡単に導入しやすくすることを理解されたい。
【0065】
具体的には、逆向きの且つ拡がったフランジ9は、回収ボックス1の外側からの回収ボックス1により画定された容積の内側への導入のための十分な開口を提供する。
【0066】
最後に、これらの逆フランジ9は、回収ボックス1により画定された容積内にチューブ3の端部が開口することなく、チューブ3の端部を挿入することができるため、回収ボックス1内部の流体の流れが促進される。