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特開2022-48154基板の構造化を用いて基板と部品とを接合するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048154
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】基板の構造化を用いて基板と部品とを接合するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/352 20140101AFI20220317BHJP
【FI】
B23K26/352
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021214725
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2018557382の分割
【原出願日】2017-04-26
(31)【優先権主張番号】2016/5314
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(71)【出願人】
【識別番号】518047322
【氏名又は名称】レーザー エンジニアリング アプリケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンロッティン、アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラモス デ カンポス、ホセ アントーニオ
(72)【発明者】
【氏名】クピシーヴィチ、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】モラレス シド、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス、イグエラス、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァス マルトス、フランシスコ ハヴィエル
(57)【要約】
【課題】基板11を部品14に接合するための方法を提供する。
【解決手段】接合方法は、パルス・レーザ31を用いて基板を構造化するステップを含み、基板11は、好ましくは金属で作製され、部品は、好ましくはポリマー系である。構造化ステップは、ビーム32と基板11の相対運動41によって決定されるパターン17で基板11に溝をエッチングすることを可能にする。パターン17は、構造化基板12と部品14がレーザ溶接130によって接合された後、構造化基板12と部品14との間の優れた接着が達成されるように設計される。好ましくは、接合方法は、溶接による接合中のレーザのより良好な吸収を可能にするために、構造化表面を前処理するステップ50を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(16)及び下面(160)を有する基板(11)を、表面を有する部品(14)と組み立てる方法であって、
a.
i.前記基板(11)を準備するステップ、
ii.前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成することが可能なパルス構造化レーザ(31)を準備するステップであって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、200から11,000nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップ、
iii.前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能な前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成するステップであって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、200から11,000nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップ、
iv.前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を生成することが可能な変位デバイス(33)を準備するステップ、並びに
v.前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を誘起することによって、前記基板(11)の前記上面(16)に前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)を照射して、パターン(17)を含む前記基板(12)の構造化された上面(16)の第1の部分(117)を生成するステップ
を実行することによって前記基板(11)の前記上面(16)を構造化するステップ(30)と、
b.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分(116)をその表面に有する前記部品(14)を準備するステップと、
c.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)を前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)と接触させて置くステップと、
d.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)と前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)との間の接触を維持するように圧力を加えるステップと、
e.前記可融性材料が溶融するのに十分な温度上昇を生じさせることが可能な加熱デバイス(131)を準備するステップと、
f.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)の前記パターン(17)内の少なくとも一部分を溶融するのに十分な温度に前記可融性材料が到達するように、前記加熱デバイス(131)によって、前記可融性材料を加熱するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記基板(11)の表面の光吸収を増加させるための前処理ステップ(50)をさらに含み、
前記前処理(50)が、ステップa.v.で刻まれた前記パターン(17)よりも浅い前処理構造をもたらす前記基板(11)の前記表面(16;160)のテクスチャライジングを含むように、
i.前記基板(11)に前処理ビーム(53)を照射して(52)、前記基板(11)の前記表面(16;160)の粗さを増加させるステップと、
ii.前記変位デバイス(33;39)によって、前記基板(11)と前記パルス構造化レーザ(31)によって生成された前記前処理ビーム(53)との間に相対変位を生じさせるステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理(50)は、前記基板(11)の前記上面(16)で実施されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理(50)の間の前記前処理ビーム(53)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動の線速度は、ステップa.v.の間の前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動の線速度よりも少なくとも1.5倍大きいことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理(50)は、平行な溝を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記部品(14)は、ポリマー又はガラスを含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱デバイス(131)は、溶接ビーム(132)を生成し、前記構造化された基板(12)を照射することによって加熱することが可能である溶接レーザであり、前記部品(14)は、前記溶接ビーム(132)を少なくとも部分的に透過させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)は、ステップf.の間に前記加熱デバイスによって加熱されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-15秒から10-6秒の持続時間と、少なくとも0.01Wのパワーとを有し、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の強度は、少なくとも10W/mmであり、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1,000から1,100nmの波長を有し、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1KHzから2MHzの繰り返し率を有し、
-前記基板(11)に対する前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、10から10,000mm/sの線速度で行われる
ことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1064nm又は1030nmの波長を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記パターン(17)の前記複数のライン(18)は、第1のライン及び第2のラインを含み、前記第2のライン、前記第1のライン及び前記第2のラインを連続して横切るラインが存在することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パターン(17)は、幾何学的形状(18)の繰り返しを含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
繰り返される前記幾何学的形状(18)は、複数の同心状の幾何学的形状を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
繰り返される前記幾何学的形状(18)は、複数のひし形、正方形、三角形、長方形又は六角形を含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記構造化された表面は、10,000から0.1のmm当たりの幾何学的形状(18)の密度を含むことを特徴とする、請求項13から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
繰り返される前記幾何学的形状(18)は、複数の列(21)に配置されることを特徴とする、請求項13から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
幾何学的形状の第1の列(21a)及び幾何学的形状の第2の列(21b)は、前記第2の列(21b)の幾何学的形状、前記第1の列(21a)の幾何学的形状及び前記第2の列(21b)の幾何学的形状を連続的に横切る直線が存在するようなものであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パターン(17)は、平行なラインを含むことを特徴とする、請求項11から18までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記パターン(17)は、100本/mmから0.2本/mmのライン密度を含むことを特徴とする、請求項11に従属する場合の請求項1から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記パターン(17)は、曲線を含むことを特徴とする、請求項1から20までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記溝は、5μmから500μmの幅を有することを特徴とする、請求項11に従属する場合の請求項11から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記溝は、1μmから2mmの深さを有することを特徴とする、請求項11に従属する場合の請求項11から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
2つの溝は、それらの間に最小5ミクロンから最大5mmの距離を有することを特徴とする、請求項11に従属する場合の請求項11から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記構造化された基板(12)は、前記溝に沿った再溶融領域(23)をさらに含み、前記再溶融領域(23)は、前記構造化された基板(12)の前記上面(16)に対して80μm未満の高さを有することを特徴とする、請求項11に従属する場合の請求項11から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.001から0.85、好ましくは0.2から0.8、さらに好ましくは0.4から0.6に相当することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
-前記基板は、アルミニウムで作製され、
-前記部品は、透明なポリカーボネートで作製され、
-前記構造化レーザ(31)は、50Wのパワーで前記前処理ステップに使用され、前記前処理ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、80KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記前処理ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、3,900mm/sの線速度で行われ、
-前記構造化レーザ(31)は、20Wのパワーで前記構造化ステップに使用され、前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、720mm/sの線速度で行われ、
-請求項16に記載の前記パターン(17)は、2mmの大きな対角線及び1mmの小さな対角線を有する複数のひし形を含み、
-請求項26に記載の、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.32に相当する
ことを特徴とする、請求項1から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
-前記基板は、亜鉛メッキ鋼で作製され、
-前記部品は、ポリプロピレンで作製され、
-前記構造化レーザ(31)は、50Wのパワーを有する前記構造化ステップに使用され、前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、720mm/sの線速度で行われ、
-請求項16に記載の前記パターンは、100μm離れた複数のひし形を含み、
-請求項26に記載の、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.79に相当する
ことを特徴とする、請求項1から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
-前記基板は、亜鉛メッキ鋼で作製され、
-前記部品は、ポリプロピレンで作製され、
-前記構造化レーザ(31)は、50Wのパワーを有する前記構造化ステップに使用され、前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記構造化ステップに使用される前記パルス・パターニング・レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、300mm/sの線速度であり、
-請求項16に記載の前記パターンは、80μm離れた複数のひし形を含み、
-請求項26に記載の、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、前記上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.81に相当する
ことを特徴とする、請求項1から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記基板(11)の前記上面(16)の少なくとも一部分は、金属を含むことを特徴とする、請求項1から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記金属は、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、亜鉛、鋼、軟鋼、高降伏強度鋼、極高強度鋼弾性、超高降伏強度鋼、ステンレス鋼及び合金から選択された少なくとも1つの要素又は合成物を含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基板(11)の前記上面(16)の少なくとも一部分は、セラミック材料又はガラスを含むことを特徴とする、請求項1から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1から32までのいずれか一項によって得られた基板(11)と部品(14)とを含む組み立て体。
【請求項34】
基板(11)を部品(14)と組み立てるためのデバイス(80;180)であって、前記基板(11)は、上面(16)及び下面(160)を有し、前記部品(14)は、前記基板(11)の前記上面(16)の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分(116)を有する表面を有し、前記デバイス(80;180)は、
-前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成することが可能なパルス構造化レーザ(31)であって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1,000から1,100nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、パルス構造化レーザ(31)と、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を生成することが可能な変位手段(33;39)と、
-前記部品(14)の前記表面を前記基板(11)の前記上面(16)に接触させるための接触手段と、
-圧縮手段と、
-前記可融性材料の少なくとも一部分が溶融するのに十分な温度上昇を前記可融性材料に生じさせることが可能な加熱デバイスと
を含み、
前記構造化レーザ(31)と前記変位手段は、前記レーザ・ビーム(32)において前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動を生じさせて、前記基板(11)の前記上面(16)の第1の部分(117)に刻まれた複数の溝によって形成されたパターン(17)を生成するように構成され、
前記接触手段は、前記パターン(17)を含む前記基板(11)の前記上面(16)の前記第1の部分(117)を、前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)と接触させて配置するように構成され、
前記圧縮手段は、前記パターン(17)を含む前記基板(11)の上面(16)の前記第1の部分(117)と前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)との間に圧縮力を加えるように構成され、
前記加熱デバイスは、前記部品(14)の少なくとも可融性材料部分を、前記基板(11)の上面(16)の前記第1の部分(117)の前記パターン(17)の前記複数の溝内に溶融するように構成され、
前記部品(14)の前記可融性材料は、前記基板(11)の前記パターン(17)の前記溝内で凝固して、前記部品(14)と前記基板(11)とを含む組み立て体を形成する、前記部品(14)と前記基板(11)との間の接合部を形成することが可能である、
デバイス(80;180)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様によれば、本発明は、基板の構造化を含む、基板を部品と組み立てる方法に関する。第2の態様によれば、本発明は、構造化基板と部品との組み立て体に関し、これは上記の組み立てる方法によって得ることができる。第3の態様によれば、本発明は、基板と部品とを組み立てるためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の材料との接触時に第2の材料を凝固させることにより第1及び第2の材料を接合することによって組み立てを行うことが、当業者に知られている。第1の材料の表面の表面外観、特に微細構造は、組み立て体の接合の機械的特性に必須である。
【0003】
第1の材料に対する第2の材料の接着を増加させるためのアプローチは、第2の材料と接触する第1の材料の表面を改質することである。非特許文献1は、ポリマー材料とのより良好な接着を可能にするためにアルミニウム基板表面の構造化を含む組み立て方法を提示している。この方法はまた、金属基板の構造化表面上にポリマー材料を組み立てることを可能にする単色及び多色構成要素を含む光を生成させる照射加熱手段も提供する。
【0004】
この方法の欠点のうちの1つは、2つの単色光源及び多色光源からの光の使用である。この方法は良好な機械的特性、及び特に高い引張り強度値の組み立て体を有するが、別の欠点は、金属基材とプラスチック材料との間の界面で組み立て不良が生じ、プラスチック材料では生じないことである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Amend P. et al., Physics Procedia 41, pp 98-105 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的のうちの1つは、基板と部品との間のより良好な接着を可能にする組み立て方法を提供することである。本発明の目的のうちの1つは、溶接ステップ中に単一の光源に基板及び部品を露出させることによって基板と部品とを組み立てる方法を提供することである。本発明の目的のうちの1つは、引張り破断試験中に凝集破壊があり界面破壊がない、基板と部品との組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、第1の態様によれば、上面及び下面を有する基板を、表面を有する部品と組み立てる方法を提案し、この方法は、
a.
i.前記基板を準備するステップと、
ii.基板の上面を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビームを生成することが可能なパルス構造化レーザを準備するステップであって、パルス構造化レーザ・ビームは、200から11,000nmの波長、基板の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップと、
iii.基板の上面を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビームを生成するステップであって、パルス構造化レーザ・ビームは、200から11,000nmの波長、基板の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップと、
iv.パルス構造化レーザ・ビームと前記基板の前記上面との間に相対運動を生成することが可能な変位デバイスを準備するステップと、
v.パルス構造化レーザ・ビームと前記基板の上面との間に相対運動を誘起することによって、基板の上面にパルス構造化レーザ・ビームを照射して、パターンを含む基板の構造化上面の第1の部分を生成するステップと、
を実行することによって前記基板の前記上面を構造化するステップと、
b.基板の構造化上面の前記第1の部分の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分をその表面に有する前記部品を準備するステップと、
c.基板の構造化上面の第1の部分を前記部品の第2の表面部分と接触させて置くステップと、
d.基板の構造化上面の前記第1の部分と部品の前記第2の表面部分との間の接触を維持するように圧力を加えるステップと、
e.可融性材料が溶融するのに十分な温度上昇を生じさせることが可能な加熱デバイスを準備するステップと、
f.基板の構造化上面の第1の部分のパターン内の少なくとも一部分を溶融するのに十分な温度に可融性材料が到達するように、加熱デバイスによって、可融性材料を加熱するステップと、を含む。
【0008】
本発明の組み立て方法は、基板と部品との組み立て体を作製すること可能にする。このようにして作製された組み立て体は、例えば、基板と部品との間に高い引張り強度及びせん断強度が存在するように、部品を基板に取り付けることを可能にする。例えば、組み立て体は、基板と部品との間に隙間を有しない。例えば、組み立て体は、組み立て体を損傷することなく、部品から基板へ及びその逆に機械的な力を伝達することを可能にする。
【0009】
本発明の組み立て方法は、非特許文献1と比較して、部品の凝集破壊をもたらす基板と部品との組み立て体を得ることが可能である。引用した文献に記載されている不良タイプは系統的に界面である。本発明の組み立て方法は、引用した文献に記載された組み立て体よりも引張り強度及びせん断強度において高い機械的特性を有する組み立て体を得ることを可能にする。本発明の組み立て方法は、単一の光源を必要とするが、引用した文献では2つの光源を使用する必要がある。
【0010】
本明細書の目的のために、基板の表面の「構造化」は、前記基板の前記表面からの物質除去である。したがって、構造化は彫刻の一種である。例えば、構造化はミクロ構造化又はテクスチャライジングであり得る。構造化は、好ましくは、溝の深さ、構造、又は形状にかかわらず、基板に1つ又は複数の溝を製造することを含む。
【0011】
本明細書の目的のために、「構造化ビームと基板との相対変位」は、基板が静止している間の構造化ビームの変位、構造化ビームが静止している間の基板の変位、又は構造化ビーム及び基板の両方の変位を含み得る。この相対変位は、好ましくは平行移動を含む。この相対変位は、回転を含み得る。
【0012】
本明細書の目的のために、溝を有する構造化表面の「再溶融領域」は、構造化の前に溝内に存在し、構造化の間に溝の外側に再堆積され、それによって溝のエッジ近くの表面にレリーフを形成する材料を含む溝の外側の領域である。
【0013】
本明細書の目的のために、「パターン」又は「構造化パターン」は、構造化の間に基板表面に刻まれた全ての溝の形状である。このパターンは、特にビームと基板の互いの相対変位によって決定される。例えば、本発明による溝は、点状にすることができ、すなわち、ラインではなく点によって規定される溝に対応することができる。例えば、溝は穴である。例えば、穴は、基板構造化ステップの間に穴の周りに再堆積された再溶融領域を考慮することによって、クレーターの形状を有する。
【0014】
本明細書の目的のために、レーザパルスの持続時間は、パルスのレーザ放射が存在する時間であり、パルス強度の高さの半分で決定される。この持続時間は、例えば、超短パルス・レーザ(fs、ps)の自己相関器及び短パルス・レーザ(ns)の高速フォトダイオードを用いて測定することができる。
【0015】
本発明による方法は、マイクロメータ・スケール及び/又はサブミクロン・スケールで高レベルの粗さを有する、特に高密度の構造化パターンを得ることを可能にする。パターンを部品と接触させることによって組み立てて、部品からパターン内に材料を溶融した後、基板と部品の再凝固した材料との間、特に溝の側壁上に大きな接触面が得られる。この結果、基板と部品との間の特に強い接着が生じる。
【0016】
短い持続時間のパルスのおかげで、ビームの効果は特に局在化される。これにより、特に幅の狭い溝を形成することができる。これにより、特に正確なパターンを作成することが可能になる。さらに、短い持続時間のパルスのおかげで、基板上のビーム効果は、アサーマル又はほとんどアサーマルである。
【0017】
また、本発明による方法のおかげで、特に薄い基板を顕著な変形なしに構造化することが可能である。なぜなら、本発明による構造化は基板を加熱せず、又は基板を僅かしか加熱しないからである。これらの薄い基板は、好ましくは1mm未満の厚さを有する。これらの薄い基板は、好ましくは、100μmから500μmの厚さを有する。
【0018】
さらに、本発明による方法は、空気で加熱すると空気によって汚染される材料を含む基板を構造化することを可能にする。例えば、チタン又はマグネシウムを含む材料は、本発明による方法によって刻むことができる。なぜなら、本発明による構造化は、基板を加熱せず、又は僅かしか加熱せず、構造化の対象となる領域は、構造化の間、例えば窒素のような不活性ガス流をその上に送ることによって、不活性雰囲気中に容易に置くことができるからである。
【0019】
短いパルス持続時間のおかげで、本発明による構造化方法は、銅、銅合金、アルミニウム、亜鉛、アルミニウム合金、銅及びアルミニウムの合金、金並びに銀などの高反射材料の構造化を可能にする。
【0020】
本発明による方法は、構造化中に特に少量の材料を除去することを可能にする。その結果、特に浅い溝が生じる。これにより、基板と部品との溶接中に、溝の底部と溝に浸透した材料との間に気泡が発生することが防止される。本発明による方法によって形成された異なる溝間の相互接続は、溝から空気を排出するのに役立つので、基板と溝に浸透した材料との間に閉じ込められた空気量も減少させる。
【0021】
本発明は、その組成に従って最適化された基板の構造化上面を形成することを可能にする。本発明は、基板組成に従って最適化されたライン密度を含む構造化上面を形成することを可能にする。したがって、本発明による方法を用いた部品との構造化基板組み立ては、基板と部品との間の優れた接着性を有する。特に、基板と部品との間の引張り強度は特に良好である。例えば、せん断強度は特に良好である。特に、いくつかの方向のせん断強度は特に良好である。
【0022】
好ましくは、組み立て方法は、基板の表面の光吸収を増加させるための前処理ステップを含み、この方法は、
i.基板に前処理ビームを照射して基板の前記表面の粗さを増加させるステップと、
ii.前処理が、ステップa.v.で刻まれたパターンよりも浅い前処理構造をもたらす基板の表面のテクスチャライジングを含むように、変位デバイスによって、基板とパルス構造化レーザによって生成された前処理ビームとの間に相対変位を生じさせるステップと、を含む。
【0023】
前処理は、吸収が増加すると部品から溶融材料を溶融するのに最適な温度により速く到達することが可能なので、溶接レーザ・ビーム波長を反射する基板に特に有用である。
【0024】
好ましくは、基板の上面の光吸収の増加は、基板の上面の粗さの増加によって達成される。粗さを増加させることにより、溶接中の基板の上面の溶接レーザ・ビームの吸収を増加させることができる。
【0025】
好ましくは、前処理は、基板の上面のテクスチャリングを含み、その結果、ステップa.v.の間に刻まれたパターンよりも浅い前処理構造が得られる。
【0026】
好ましくは、前処理は、ステップaの後に行われる。
【0027】
構造化及び前処理に同じ変位デバイス及び同じレーザを使用することにより、基板処理を制限し、方法の間に使用される機器を制限することができ、それにより時間及び費用を節約することができる。
【0028】
前処理の間の前処理ビームと前記基板の前記上面との間の相対運動の線速度は、ステップa.v.の間の基板に対するパルス構造レーザ・ビーム及び前記基板の前記上面の相対運動の線速度よりも少なくとも1.5倍大きいと有利である。
【0029】
前処理によって形成される構造の精度は、構造化中の彫刻の精度よりも重要ではない。したがって、たとえ精度を低下させたとしても、前処理によってかかる時間が前処理及び構造化によってかかる全体の時間に有意な影響を与えないように、前処理の間により速い速度を使用することが有利である。
【0030】
好ましくは、前処理は、平行な溝の形成を含む。
【0031】
好ましくは、前処理は、基板の上面で実施される。基板の上面は構造化パターンを受け入れるものであるので、前処理は、構造化を受けていない上面で行われる。基板の上面の前処理は、透明材料を含む又は加熱デバイスによって放出された照射に対する特定の透明性を有する、溶接される部品との組み立ての際に、溶接レーザによる基板の上面の吸収を増加させることができるから、特に有利である。基板は溶接レーザによって増加されるべきである。次いで、溶接される部品を通って加熱デバイスによって放出された照射をよく吸収することによって、基板の上面を局所的に加熱することが可能である。次いで、基板の上面が加熱デバイスによって放出された照射をあまりにも反射する場合、前処理が好ましい。前処理は、金属を含む基板に対して特に推奨される。前処理は、基板と溶接される部品との間の溶接の位置での加熱を可能にするので、より迅速でより良好な品質の溶接を可能にする。基板の上面を加熱することにより、部品との接触点で溶接される部品が加熱される。このように加熱することにより、基板の上面に構造化することによって得られるパターンの溝に溶接される部品の材料部分が浸透するように、溶接される部品を局所的に溶融することが可能になる。
【0032】
前処理は、基板と溶接された部品との間の接触面の増加(溶接面の増加)を可能にし、例えば組み立て体の引張り強度の増加をもたらすので有利である。
【0033】
好ましくは、パルス構造レーザ・ビームのパルスは、10-15秒から10-6秒の持続時間、より好ましくは10-14秒から10-8秒の持続時間を有する。
【0034】
好ましくは、パルス構造レーザ・ビームのパワーは、少なくとも0.01Wであり、より好ましくは少なくとも1Wであり、さらにより好ましくは最大で100Wである。これらのレーザ・ビームのパワーは、基板の構造を生成するのに十分なパワーに相当する。
【0035】
好ましくは、パルス構造レーザ・ビームの強度は、少なくとも10W/mmであり、より好ましくは少なくとも50W/mmであり、さらにより好ましくは少なくとも100W/mmである。これらのレーザ・ビームの強度は、基板の構造を生成するのに十分な強度に相当する。
【0036】
パルス構造化レーザ・ビームは、200から11,000nm、より有利には1,000から1,100nm、さらに有利には1,030から1,070nmの波長を有すると有利である。
【0037】
本発明の一実施例では、パルス構造化レーザ・ビームは、1KHzから2MHzの繰り返し率を有する。
【0038】
本明細書の目的のために、パルス・レーザ・ビームの「繰り返し率」は、時間単位当たりのレーザ・ビームのパルス数である。
【0039】
本発明の一実施例では、基板に対するパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、10から10,000mm/s、より好ましくは100から5,000mm/sの線速度で行われる。この最後の間隔における線速度は、構造化基板の良好な生産率と良好な接着品質をもたらす溝の構造化精度の両方を可能にする。
【0040】
本発明の一実施例では、基板の上面の少なくとも一部分は金属を含む。特に、金属は、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、鋼、軟鋼、高降伏強度鋼、極高降伏強度鋼、超高降伏強度鋼、ステンレス鋼及び合金から選択された少なくとも1つの要素又は合成物を含む。
【0041】
基板の上面の少なくとも一部分は、セラミック材料又はガラスを含むと有利である。
【0042】
本発明の一実施例では、加熱デバイスは、基板の第1の構造化上面部分を照射することによって加熱することができる溶接レーザ・ビームを生成することができる溶接レーザであり、部品は溶接ビームを少なくとも部分的に透過させる。好ましくは、基板の第1の構造化上面部分は、前記加熱デバイスによって加熱される。
【0043】
溶接レーザは、構造化レーザとは異なっていてもよい。実際に、構造化は、組み立てが行われるワークショップとは異なるワークショップで行うことができる。さらに、溶接ビーム特性は、構造化ビームの特性とは異なっていてもよい。
【0044】
好ましくは、部品は、ポリマー又はガラスを含む。
【0045】
有利な方法では、この方法は、パルス構造化レーザ・ビームのパルスは、10-15秒から10-6秒の持続時間と、少なくとも0.01Wのパワーとを有し、パルス構造化レーザ・ビームの強度は、少なくとも10W/mmであり、パルス構造化レーザ・ビームは、1,000から1,100nmの波長を有し、パルス構造化レーザ・ビームは、1KHzから2MHzの繰り返し率を有し、基板に対するパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、10から10,000mm/sの線速度で行われる、という特徴を含む。
【0046】
好ましくは、パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1,064nm又は1,030nmの波長を有する。
【0047】
上述したように、組み立て方法の構造化ステップによって得られる構造化基板は、基板を部品に溶接するのに特に適している。実際、溶接プロセスから生じる溶接は、基板と部品との間の優れた接着性を有する。特に、基板と部品との間の引張り強度及びせん断強度は特に良好である。
【0048】
好ましくは、パターンは一方向において別の方向よりも大きな構成要素を有する。
【0049】
これらの2つの方向は、好ましくは、第1及び第2の方向と同一平面上にある。パターンは、小さい牽引が予期される別の方向よりも大きい牽引が予期される方向においてより大きな構成要素を有するように設計することができる。本発明者らは、パターンがより大きな構成要素を有する方向においてせん断強度がより良好であることを見出した。
【0050】
好ましくは、パターンは、複数のラインを含み、各ラインは、基板に刻まれた溝に対応する。
【0051】
本明細書の目的のために、「ライン」とは、1つの寸法、長さが別の寸法、幅よりもはるかに大きいラインである。ラインは、構造化の間に刻まれた溝に対応する。ラインは好ましくは連続的であるが、ラインの長さに対してサイズが小さい1つ又は複数の不連続部を含み得る。ラインは、湾曲、破線、ジグザグであってもよく、線分を含み、表面の輪郭...であってもよい。典型的には、パターンのラインの長さは、ビームと基板の相対変位の方向に対応する。
【0052】
溝の幅は、基板の表面に延びる平面内で測定した2つの溝の縁の間の最小距離である。溝の幅は典型的には、溝の長さに対して垂直である。
【0053】
溝の深さは、溝底部、すなわち基板の表面から最も遠い溝の点と基板の表面の延長部との間の距離である。深さは、基板の表面の延長部に対して垂直に測定される。
【0054】
2つの溝間の距離は、2つの溝の最も近い縁の間の最小距離である。これは、基板の表面に沿って測定される。
【0055】
組み立て後の接着は、主として溝に存在する可融性材料による連結によって引き起こされ、ラインはそれらの幾何学的形状がより良好な機械的引張り強度及びせん断強度をもたらすので一組の点又は全面よりも良好な接着性を提供するので、ラインを含むパターンは、特に有利である。
【0056】
ラインを含むパターンは、基板の上面の面積を増加させることを可能にし、基板の構造化されていない上面よりも基板と基板の所与の表面上の部品との間のより大きな接触面を可能にする。構造化基板の場合、基板の上面の面積はまた、溝の側壁、溝の下部壁、及び溝に沿った可能性がある再溶融領域も考慮する。
【0057】
好ましくは、パターンの複数のラインは、第1のライン及び第2のラインを含み、第2のライン、第1のライン及び第2のラインを連続的に横切る直線が存在する。第1のラインは、第2のラインに「重なり合う」。
【0058】
ラインの重なり合いにより、特に引張り強度及びせん断強度に耐性のある基板と部品の連結が可能になる。
【0059】
パターンは破線を含むと有利である。
【0060】
本明細書の目的のために、「破線」は、2つの非平行成分を含むラインである。破線は、例えば、ジグザグ・ラインであってもよい。
【0061】
破線の使用は、パターンの選択に大きな自由度を与え、特に、基板、部品、組み立て体、一緒に組み立てられた基板と部品を含む溶接組み立て体の使用にパターンを適合させることを可能にする。破線を最適に使用するには、溝付き面と非溝面との最適な比が尊重されなければならない。破線の最適な使用は、より良好な組み立て機械的特性を得るために、異なる向きの破線によって形成されたパターンの選択も含む。
【0062】
本発明の一実施例では、パターンは幾何学的形状の充実を含む。
【0063】
本明細書の目的のために、幾何学的形状は、前記形状の輪郭を形成するラインから構成されてもよいし、又は前記形状の内面を含み得る。幾何学的形状の繰り返しは、表面上のパターンの一定の均一性を可能にし、したがって、組み立て後の接着の均一性を可能にする。
【0064】
好ましくは、繰り返される幾何学的形状は、複数の同心状の幾何学的形状を含む。
【0065】
これは、大きな全パターン表面を有することを可能にする。
【0066】
本発明の一実施例では、繰り返される幾何学的形状は、複数のひし形、正方形、三角形、長方形又は六角形を含む。
【0067】
ひし形、正方形、長方形、三角形又は正六角形などの舗装を可能にする幾何学的形状は、良好な表面被覆及びいくつかの方向での組み立て体の良好なせん断強度及び引張り強度を可能にするので、大きなパターン全表面を可能にする。
【0068】
繰り返される幾何学的形状は、複数の列に配置されると有利である。
【0069】
好ましくは、第1の幾何学的形状の列及び第2の幾何学的形状の列は、第2の列の幾何学的形状、第1の列の幾何学的形状及び第2の列の幾何学的形状を連続的に横切る直線が存在するようなものである。
【0070】
第1の幾何学的形状の列は、第2の幾何学的形状の列に「重なり合う」。この重なり合いは、大きなパターンの全表面を有することを可能にする。
【0071】
好ましくは、構造化表面は、10,000から0.1のmm当たりの幾何学的形状の密度を含む。表面単位当たりの幾何学的形状密度は、表面単位に対応する表面に含まれる重なり合う又は重なり合わない幾何学的形状の数に対応する。例えば、1mmの表面上に配置された10個の重なり合うひし形は、幾何学的形状の表面密度が10/mmである。
【0072】
本発明は、例えば熱可塑性材料を有し熱可塑性材料の凝集破壊を実証する組み立て体を得るために、基板組成に応じて幾何学的形状の種類及びその密度を最適化することを可能にする。
【0073】
本発明の一実施例では、パターンは、平行なライン又は湾曲したラインを含む。
【0074】
好ましくは、パターンは、100本/mmから0.2本/mmのライン密度を含む。表面単位当たりのライン密度は、表面単位に対応する表面に含まれるライン、直線、曲線、交差又は平行のラインの数に対応する。例えば、1mmの表面上に配置された16本の湾曲したライン又はジグザグのラインは、16本/1mmのライン表面密度を与える。
【0075】
好ましくは、溝は、5から500μmの幅を有し、より好ましくは50から120μmの幅を有する。この最後の幅の間隔は、溶接後の特に良好な接着性を可能にする。
【0076】
好ましくは、溝は、1μmから2mmの深さを有し、より好ましくは5から500μmの深さを有し、さらにより好ましくは10から200μmの深さを有する。本発明者らは、この最後の深さ間隔が接着性に最適であることを見出した。100μmに近い深さが特に好ましい。
【0077】
好ましくは、2つの隣接する溝は、それらの間の距離が最小5μm、より好ましくは最小50μmである。好ましくは、2つの隣接する溝は、それらの間の最大距離が5mm、より好ましくは1mmである。好ましくは、2つの隣接する溝は、それらの間に最小5μmから最大5mmの距離を有する。このような溝間の距離は、大きなパターンの全表面を可能にする。
【0078】
好ましくは、基板は、溝に沿った再溶融領域も含み、再溶融領域は、構造化基板の上面に対して80μm未満の高さを有し、より好ましくは10μm未満の高さを有する。
【0079】
好ましくは、上面の前記溝が占める領域は、前記第1の上面部分の面積の0.001から0.85に相当し、好ましくは0.2から0.8に相当し、さらに好ましくは0.4から0.6に相当する。
【0080】
有利な方法では、
前記基板は、アルミニウムで作製され、前記部品は、透明なポリカーボネートのような透明な熱可塑性材料で作製され、前記構造化レーザは、50Wのパワーで前処理ステップに使用され、前処理ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームのパルスは、10-7秒の持続時間、80KHzの繰り返し率を有し、基板に対する前処理ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、3,900mm/sの線速度で行われ、前記構造化レーザは、20Wのパワーで構造化ステップに使用され、構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームのパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、基板に対する構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、720mm/sの線速度で行われ、前記パターンは、2mmの大きな対角線及び1mmの小さな対角線を有する複数のひし形を含み、前記溝が占める領域、及び上面の前記溝に沿った前記再溶融領域は、前記第1の上面部分の面積の0.32に相当する。
【0081】
有利な方法では、
前記基板は、亜鉛メッキ鋼で作製され、前記部品は、ポリプロピレンで作製され、前記構造化レーザは、50Wのパワーを有する構造化ステップに使用され、構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームのパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、基板に対する構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、720mm/sの線速度で行われ、前記パターンは、100μm離れた複数のひし形を含み、前記溝が占める領域、及び上面の前記溝に沿った前記再溶融領域は、前記第1の上面部分の面積の0.79に相当する。
【0082】
有利な方法では、
前記基板は、亜鉛メッキ鋼で作製され、前記部品は、ポリプロピレンで作製され、前記構造化レーザは、50Wのパワーを有する構造化ステップに使用され、構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームのパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、基板に対する構造化ステップに使用されるパルス構造化レーザ・ビームの相対運動は、300mm/sの線速度で行われ、前記パターンは、80μm離れた複数のひし形を含み、前記溝が占める領域、及び上面の前記溝に沿った前記再溶融領域は、前記第1の上面部分の面積の0.81に相当する。
【0083】
好ましくは、構造化基板は、第1及び第2の非平行方向に延びる表面を有し、基板の上面に非貫通状に刻まれたパターンを含み、パターンは、少なくとも部分的に第1の方向及び第2の方向に延び、複数の破線を含み、各破線は溝に対応する。
【0084】
パターンは、第1の破線及び第2の破線を含み、第2の破線、第1の破線及び第2の破線を連続的に横切る直線が存在すると有利である。本発明の一実施例では、パターンは幾何学的形状の繰り返しを含み、各幾何学的形状の輪郭は、破線に対応する。
【0085】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による組み立て方法によって得られる、基板と部品とを含む組み立て体に関する。本発明の第1の態様による方法について説明した様々な変形及び利点は、必要な変更を加えて第2の態様の組み立て体に適用される。
【0086】
第3の態様によれば、本発明は、基板を部品と組み立てるためのデバイスに関し、前記基板は、上面及び下面を有し、前記部品は、前記基板の前記上面の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分を有する表面を有し、前記デバイスは、
-前記基板の前記上面を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビームを生成することが可能なパルス構造化レーザであって、パルス構造化レーザ・ビームは、1,000から1,100nmの波長、基板の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、パルス構造化レーザと、
-前記パルス構造化レーザ・ビームと前記基板の前記上面との間に相対運動を生成することが可能な変位手段と、
-前記部品の前記表面を前記基板の前記上面に接触させるための接触手段と、
-圧縮手段と、
-可融性材料の少なくとも一部分が溶融するのに十分な温度上昇を可融性材料に生じさせることが可能な加熱デバイスと、を含み、
前記構造化レーザと前記変位手段は、前記レーザ・ビームにおいて前記パルス構造化レーザ・ビームと前記基板の前記上面との間の相対運動を生じさせて、前記基板の上前記面の第1の部分に刻まれた複数の溝によって形成されたパターンを生成するように構成され、
前記接触手段は、前記パターンを含む前記基板の上面の第1の部分を、前記部品の第2の表面部分と接触させて配置するように構成され、
前記圧縮手段は、前記パターンを含む前記基板の上面の第1の部分と前記部品の第2の表面部分との間に圧縮力を加えるように構成され、
前記加熱デバイスは、前記部品の少なくとも可融性材料部分を、基板の上面の第1の部分の前記パターンの前記複数の溝内に溶融するように構成され、
前記部品の前記可融性材料は、基板の前記パターンの前記溝内で凝固して、前記部品と前記基板とを含む組み立て体を形成する、前記部品と前記基板との間の接合部を形成することが可能である。
【0087】
本発明の第1の態様による方法及び本発明の第2の態様による組み立て体について説明した様々な変形及び利点は、必要な変更を加えて、第3の態様によるデバイスに適用される。
【0088】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読むと明らかになり、詳細な説明の理解のために、添付の図面への参照が行われるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】本発明による方法に含まれる基板構造化ステップのステップを示す図である。
図2】本発明による方法に含まれる基板構造化ステップのステップを示す図である。
図3】本発明による組み立て方法のステップを示す図である。
図4】組み立てデバイス、より具体的には、本発明による基板構造化を可能にする組み立てデバイスを示す図である。
図5】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれたパターンの第1の実例を示す図である。
図6】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれたパターンの第2の実例を示す図である。
図7】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれたパターンの第3の実例を示す図である。
図8】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれたパターンの第4の実例を示す図である。
図9】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれた溝セクションの第1の実例を示す図である。
図10】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれた溝セクションの第2の実例を示す図である。
図11】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれた溝セクションの第3の実例を示す図である。
図12】本発明による方法の構造化ステップの間に刻まれた溝セクションの第4の実例を示す図である。
図13】本発明による方法の構造化ステップの間の構造化基板の概略断面図を示す図である。
図14】組み立てデバイス、特に構造化基板及び部品を溶接するための組み立てデバイスを示す図である。
図15】本発明の一実施例による方法並びに組み立て及び溶接デバイスによる加圧デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明は、特定の実施例を用いて図面を参照して説明されるが、本発明はそれらに限定されない。説明される図面又は図は、概略的なものに過ぎず、限定的なものではない。
【0091】
本明細書の文脈において、「第1の」及び「第2の」という用語は、異なる要素を区別するためにのみ使用され、それらの間の順序を意味するものではない。
【0092】
図面において、同一又は類似の要素は同じ符号を有する場合がある。
【0093】
図1は、本発明の方法による基板11の構造化ステップ10を示す。構造化ステップ10は、基板11の上面16を刻むことができるパルス構造化ビーム32を放出する構造化レーザ31を使用し、上面16は、第1の方向101及び第2の方向102に延び、第1の方向101及び第2の方向102は、平行ではない。上面16及び方向101、102は、図4に示されている。構造化ステップ10はまた、構造化ビーム32及び基板11を互いに対して移動させるために変位デバイスを使用する。
【0094】
構造化30aは、上面16の照射42と、構造化ビーム32と基板11との相対運動41とを含む。照射42と運動41は、好ましくは同期する。しかしながら、それらは連続的であり、特に連続して何度も繰り返される可能性がある。
【0095】
構造化30aが基板11の上面16上にパターン17を形成する結果、パターンを有する基板12aが得られる。次いで、この方法は、組み立て方法に含まれる次の溶接130(図3)に使用することができる。
【0096】
基板11は、好ましくは、照射された上面16上の金属を含むか、又は照射された上面16上の金属部分を含む。例えば、この金属は、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム、亜鉛、鋼、軟鋼、高降伏強度鋼、極高降伏強度鋼、超高降伏強度鋼、ステンレス鋼及び合金から選択された要素又は合成物を含み得る。基板11又はその一部分は、セラミック材料又はガラスも含み得る。上面16は平坦であることが好ましい。上面16は湾曲していてもよい。
【0097】
構造化レーザ31は、好ましくはパルス・レーザである。構造化レーザ31は、好ましくは、1000ns未満、より好ましくは10-15秒から10-6秒の間、さらにより好ましくは10-14秒から10-8秒の持続時間を有するパルスを送ることができるレーザである。
【0098】
構造化レーザ31及び構造化ビーム32は、1KHzから2MHzの繰り返し率を有するパルス構造化ビーム32を有することを可能にする。構造化レーザ31は、好ましくは、少なくとも10W/mm、より好ましくは50W/mm、さらに好ましくは100W/mmの強度を有するビームを放射することができる。構造化レーザ31は、少なくとも0.01W、好ましくは0.1W、より好ましくは1W、さらにより好ましくは100Wのパワーを有するビームを放射することができる。構造化レーザ31は、200から11,000nm、好ましくは300から2,000nm、より好ましくは1,000から1,100nm、さらにより好ましくは1,030から1,070nmの波長を有するビームを放射することができる。
【0099】
本明細書の目的のために、パルス・レーザ・ビームの「パワー」は、そのビームの平均パワー、すなわち所定の持続期間の全ての積分されたパルスのエネルギ積分をその持続期間で割ったものである。
【0100】
本明細書の目的のために、パルス・レーザ・ビームの「強度」は、そのビームのパワーとそのビームによって照射される表面積との比である。
【0101】
構造化ビーム32の生成のための構造化レーザ31のパラメータは、照射42が基板11から材料を除去するように、基板11に基づいて選択される。構造化レーザ31のパラメータは、好ましくは、構造化30aの持続時間を通じて一定に保たれる。
【0102】
相対運動41は、構造化ビーム32の変位、基板11の変位、又は両方の変位を含み得る。運動41は、特に上面16が平坦でない場合、基板11の回転を含む回転を含み得る。図4に示す本発明の一実施例では、変位デバイス33は、構造化ビーム32及び基板11の変位デバイス39を変位させることができるスキャナ・ヘッド35を含む。
【0103】
照射42は、例えば蒸発又は昇華によって、表面11から材料を除去する。このようにして、非貫通溝が形成され、その深さ及び幅は、構造化ビーム特性及び運動41の速度によって本質的に決定される。運動41は、上面16上の異なる点で照射42を生じさせ、それにより所定のパターン17を生成する。パターン17は、好ましくは、基板11の変位デバイス39及び(図4に示される)スキャナ・ヘッド35によって運動41を案内する(図4に示される)コンピュータ38にプログラムされる。パターン17は、好ましくは、ライン18、より好ましくは破線を含む。
【0104】
図2は、本発明の方法による基板11の構造化ステップ20を示す。構造化ステップ20は、同じ要素(基板11、構造化レーザ31、構造化ビーム32、変位デバイス33)を使用し、構造化ステップ10と同じステップ(相対変位41、照射42、すなわち構造化30aによるパターンの生成)を経る。構造化ステップ20は、前処理50を追加する。したがって、構造30bは、パターンの前処理50及び構造化30aを含む。
【0105】
前処理ステップ50は、好ましくは、基材の表面16のテクスチャライジングを含む。テクスチャライジングは、構造パターン17の溝よりも浅いテクスチャライジング構造の生成を含む。テクスチャライジング構造は、好ましくは、テクスチャライジング溝を含む。
【0106】
前処理ステップ50は、好ましくは、相対的な前処理変位51及び前処理照射52を含み、その間に表面16は、構造化レーザ31によって放射される前処理ビーム53によって照射される。前処理ビーム53は、好ましくはパルス状である。照射52と変位51は、好ましくは同期する。しかしながら、それらは連続的であり、特に連続して何度も繰り返される可能性がある。照射52及び変位51は、テクスチャを有する基板13を生成する。
【0107】
前処理ステップ50の間、構造化レーザ31は、好ましくは、1,000ns未満の持続時間のパルスを送る。前処理50の間、構造化レーザ31は、好ましくは、1KHzから500KHzの繰り返し率を有する。前処理ステップ50の間、構造化レーザ31は、好ましくは1Wから100Wのパワーを有する。前処理ステップ50の間、構造化レーザ31は、好ましくは0.01から100mJのエネルギを有する。
【0108】
相対的な前処理変位51は、所定の前処理スキームに従って実行される。相対的な前処理変位51は、好ましくは、前処理50によって取られる時間が、パターンの前処理50及び構造30aを含む構造化30bによって取られる全体の時間に重要な影響を与えないように、パターンの構造化30aの相対運動41よりも高い線速度で行われる。例えば、基板11に対する前処理50の間の前処理ビーム53の相対変位51の線速度は、相対変位41の間の構造化ビーム32の相対変位の線速度より少なくとも1.5倍大きくてもよく、好ましくは少なくとも4倍大きい。例えば、前処理50の間の前処理ビーム53の相対変位51の線速度は、1,000から10,000mm/sの間であり得る。特に、前処理50の間の前処理ビーム53の相対変位51の線速度は、3,000から5,000mm/sの間であり得る。
【0109】
前処理50に続いて、テクスチャを有する基板13は、その後の組み立て130(図3)で使用することができるテクスチャ及びパターンを有する基板12bを形成するように、所定の構造化パターンを30aに刻む相対運動41及び照射42のステップに従う。
【0110】
本発明の第2の実施例による構造化方法20の変形例では、構造化30aの照射42に使用される構造化レーザ31以外のレーザが、前処理照射52に使用され、及び/又は構造化30aのために使用される変位デバイス33以外の変位デバイスが、前処理相対変位51のために使用される。
【0111】
構造化方法20の変形例では、前処理50は、パターンを形成する構造化30aの運動41及び照射42のステップの後に行われる。
【0112】
前処理は、例えば、複数の平行ラインを刻むことを含み得る。ラインは、例えば、50μm離れていてもよい。ラインは、例えば50μm幅とすることができる。例えば、ラインは、4から7μmの深さを有し得る。前処理によって生成されたテクスチャライジングは、好ましくは、その後溶接ビーム132(図3)によって照射される表面16の全部分を覆う。
【0113】
前処理50の主な機能は、基材の表面16の粗さを増加させることによって溶接130(図3)の組み立て中に表面16上の溶接ビーム132の吸収を増加させることである。
【0114】
図3は、本発明による組み立て方法を示す。組み立て方法は、パターンを有する基板12aの構造化30から生じる、基板11を構造化するステップ10、又は、テクスチャ及びパターンを有する基板12bの構造化30から生じる、基板11を構造化するステップ20を含む。パターンを有する基板12a及びテクスチャ及びパターンを有する基板12bは、図3の説明に「(テクスチャ及び)パターンを有する基板12」として含まれる。溶接される(テクスチャ及び)パターンを有する基板12の表面16の部分は、第1の表面部分117と呼ばれる。
【0115】
組み立て方法は、表面を有する部品14を使用する。結合されなければならない部品14の表面の部分は、第2の表面部分116と呼ばれる。第2の表面部分116は、加熱デバイス113によって生成される局部的な加熱が、基板の第1の構造化表面部分117を溶融させることなく、部品の可融性材料を溶融させることができるように、基板の第1の構造化表面部分117の融点より低い融点を有する可融性材料を含む。部品14は、好ましくは、ポリマー及び/又はガラスを含む。第2の表面部分116は、平坦であっても湾曲していてもよい。
【0116】
組み立て方法はまた、可融性材料において可融性材料を溶融するのに十分な温度上昇を生じさせることができる加熱デバイス131も使用する。加熱デバイス131は、構造化レーザ31と優先的に異なる溶接レーザであってもよい。実際には、構造化30は、組み立て130が実施されるところとは異なるワークショップで行うことができる。
【0117】
加熱デバイス131が溶接レーザである場合、溶接レーザは、部品14を通過し、構造化30の間に構造化された表面16の第1の部分117に照射することによって加熱することができる溶接ビーム132を放出する。言い換えれば、溶接ビーム132の波長及び他の特性は、溶接ビーム132が部品14を少なくとも部分的に透過し、第1の表面部分117によって少なくとも部分的に吸収されるように選択される。
【0118】
組み立てステップ130の間、第2の表面部分116は、第1の表面部分117と接触する。組み立てステップ130は、構造化基板12を部品14と接触させるステップと、圧縮ステップとを含む。溶接ビーム132は、第1の表面部分117に照射するために、部品14を通って第1の表面部分117上に送られる。
【0119】
基板12の第1の表面部分117による溶接ビーム132の吸収は、その温度の上昇を引き起こす。温度上昇は、第1の表面部分117に刻まれたパターン17の溝に入る部品14の第2の表面部分116の可融性材料から材料を溶融するように選択される。冷却時に、部品14からのこの材料は凝固し、第2の表面部分116を第1の表面部分117でブロックする、すなわち、溶接組み立て体15を形成するように、基板12と部品14との間に接着を生じさせる。さらに、温度上昇は、基板12の構造化上面16の第1の部分117を溶融しないように、すなわち基板12の構造化上面16の第1の部分117に到達する温度がその溶融温度よりも低くなるように選択することができる。
【0120】
基板12の第1の表面部分117による溶接ビーム132の吸収が大きいほど、温度上昇はより大きい。したがって、第1の表面部分117をより粗くし、それにより溶接ビーム132をより吸収することができるようにするために、前処理50(図2)を実施することが有利である。また、本発明の範囲内にある限り、レーザ以外の加熱デバイス131によって組み立てを行うことも可能である。加熱デバイス131は、例えば、基板12を熱伝導によって加熱することができる。
【0121】
本発明の一実施例では、接触手段は、把持式の把持手段又は真空把持手段を有するデバイスである。これらの把持手段は、部品14の供給を可能にするアームを備えているのが好ましい。これらの把持手段は、構造化基板12及び部品14の組み立てが完了した後、組み立て体を組み立て体のための収集領域に運搬し、新しい部品を用いて新しい組み立て体を作ることができるように新しい基板を構造化することも可能である。これらの把持手段は、パターン17を含む基板11の上面16の部分117と組み立てられるように意図された部品14の部分116を運ぶことを可能にする。
【0122】
本発明の一実施例では、溶接ビームによる照射の間、第2の表面部分116と第1の表面部分117との間の接触を維持するために、機械的な圧力が加えられる。この機械的圧力の印加は圧縮ステップに対応する。この圧力はまた、部品14の第2の表面部分116の可融性材料の材料が、第1の表面部分117に構造化されたパターン17の溝に入るという事実を促進する。この圧力は、例えば、加圧デバイス140によって加えることができる。
【0123】
本発明の一実施例では、組み立て130は、溶接ビーム132の直径よりも実質的に大きい表面での溶接を可能にするために、溶接ビーム132及び/又は第1の表面部分117と接触する第2の表面部分116の変位を含む。
【0124】
組み立て方法は、特に、自動車産業における照明用途のための電球ホルダの組み立てに使用することができる。
【0125】
図4は、構造化ステップ10、20において、パターンの構造化30a、及び場合によっては前処理50を実行するために使用される構造化デバイス80を示す。このデバイス80は、ビーム32を成形する光路34に向けて構造化ビーム32を放出する構造化レーザ31を含む。光路34は、異なる光学要素、例えば、ミラー、レンズ、ビーム・エキスパンダ/コリメータ、減衰器、偏光子のうちの少なくとも1つを含む。光路34は、好ましくは傾斜ミラーと接眼レンズとを含むスキャナ・ヘッド35にビーム32を送り、ビーム32を基板の表面16に向けることができる。デバイス80はまた、好ましくは、視覚システム36と、共焦点測定システム37も含む。デバイス80はまた、基板の変位デバイス39も含む。変位デバイス39は、好ましくは、基板を第1の方向101、第2の方向102、及び第3の方向103に並進させ、基板を少なくとも2つの回転軸の周りで回転させることを可能にする。
【0126】
本発明の一実施例では、タブレットとすることができるコンピュータ38が、構造化レーザ31、光路34、及びスキャナ・ヘッド35、視覚システム36、測定システム37及び変位デバイス39を制御する。
【0127】
パターン17は、複数のラインを含むことが好ましい。パターン17は、直線状、湾曲状、破線、多角形状、開放状、閉鎖状...のラインを含み得る。パターン17の実施例の実例を図5から図8に示す。
【0128】
図5は、一定距離だけ離間した複数の平行なライン18a、18b...を含むパターン17aの第1の実例を示す。各ライン18はまた、幾何学的形状19でもある。
【0129】
図6は、複数のグループ化された平行なライン18a、18b...を含むパターン17bの第2の実例を示す。各ライン18はまた、幾何学的形状19でもある。
【0130】
図7及び図8は、第1のラインが第2のラインに重なり合うようにパターンが第1のライン及び第2のラインを含むパターン実現の2つの実例を示す。
【0131】
図7は、パターン17cの第3の実例を示す。パターン17cは、ライン18a、18b...を含む。ライン18は、幾何学的形状19であり、より正確にはひし形である。形状は、本発明の範囲内にある限り、正方形、長方形、六角形、三角形とすることが可能である。特に、それらは表面が覆われることを可能にする形状とすることができる。形状19は、好ましくは、接着面の少なくとも80%を覆うように再現される。例えば、それらは4から60回再現することができる。
【0132】
形状19はグループ22にグループ化され、各グループ22は複数の同心形状を含む。グループ22は、第1の列21aが第2の列21bと重ね合うように、列21に配置される。
【0133】
本発明者らは、垂直構成要素が水平構成要素よりも大きい図8のようなパターンでは、組み立て後のせん断強度が水平方向よりも垂直方向で良好であることを見出した。
【0134】
図8は、パターン17dの第4の実例を示す。パターン17dはライン18a、18b...を含む。ライン18は幾何学的形状19であり、より正確には線分を含むジグザグ形である。ライン18は互いに重なり合っている。ジグザグ形の線分は、図では90°の角度をなしているが、本発明の範囲内にある間は、代わりに鋭角及び鈍角を形成することも可能である。
【0135】
図5から図8に示すように、破線に対応する各幾何学的形状の外形で幾何学的形状19を繰り返すことが好ましい。
【0136】
図9から図12は、本発明による方法によって刻まれた溝セクションを示す。これらの部分において、垂直方向は溝の深さに対応し、水平方向は溝の幅に対応する。図9は、溝セクションの第1の実例を示す。図10は、溝セクションの第2の実例を示す。図11は、溝セクションの第3の実例を示す。図12は、溝セクションの第4の実例を示す。溝は、V形状(図9、10)又はU形状(図11、12)とすることができる。溝は、再溶融領域23(図9)を有しなくてもよく、2つの側部(図10、11)又は片側のみ(図12)を有してもよい。再溶融領域の高さは、好ましくは、パターンの外側の基板の表面から80μm未満である。再溶融領域の高さは、パターンの外側の基板の表面から10μm未満であることがより好ましい。
【0137】
図13は、本発明による構造化基板の概略断面を示す。これは、2つの溝201、202を有する構造化基板の第1の部分117の一部分を示す。図13は、溝の深さ210を示す。図13は、溝の幅220も示す。図13は、2つの溝間の距離230も示す。
【0138】
図14は、(テクスチャ及び)パターンを有する基板12と部品14の組み立て130を実行する溶接を実行するための組み立てデバイス180を示す。デバイス180は、溶接ビーム132を形成する光路134に向かって溶接ビーム132を放出する、図示の発明の実施例では溶接レーザである加熱デバイス131を含む。光路134は、異なる光学要素、例えば、ミラー、レンズ、ビーム・エキスパンダ/コリメータ、減衰器、偏光子のうちの少なくとも1つを含む。光路134は、ビーム132を、好ましくは傾斜ミラー及び接眼レンズを含むスキャナ・ヘッド135に送り、部品14を介してビーム132を第1の表面部分117に向けることができる。デバイス180は、好ましくは、視覚システム136、及び温度測定器137も含む。デバイス180はまた、第1の表面部分117と接触する第2の表面部分116によって形成されるセットを移動させる変位デバイス139、及び図15を参照してより詳細に説明される加圧デバイス140も含む。
【0139】
本発明の一実施例では、タブレットとすることができるコンピュータ138が、溶接レーザ、光路134、スキャナ・ヘッド135、視覚システム136、測定システム137及び変位デバイス139に命令する。
【0140】
図15は、本発明の一実施例による溶接デバイス180に含まれる加圧デバイス140を示す。加圧デバイス140は、部品14が置かれた構造化基板12を支持する第1のトレイ141を含む。加圧システム140は、第1のトレイ141を垂直方向に移動させることができる高さ調節可能な支持要素142も含む。加圧デバイス140は、溶接ビーム132を通すプレート145、プレート145を支持する支柱143、及び高さ調節可能な支持要素142及び支柱143を支持する第2のプレート144も含む。プレート145は、例えば、PMMAで作製される。このデバイス140を使用するために、構造化基板12を第1のトレイ141上に置き、部品14を構造化基板12上に置き、高さ調節可能な支持要素142を調整して、部品14をプレート145に押し付ける。次に、溶接ビーム132は、プレート145を通って送られる。変位デバイス139が基板12及び部品14を移動させるための部品を含み、それらの下に位置する場合、この部品は、第2のトレイ144の下に配置されるか、又は第2のトレイ144と第1トレイ141との間、例えば高さ調節可能な支持要素142の上又は下に配置することができる。
【0141】
実施例の実例:
第1の実例:アルミニウム基板と透明なポリカーボネート熱可塑性樹脂部品:
【0142】
第1の実験的試験は、厚さ2mmのアルミニウム基板11上で実施され、
-50Wのパワー、100nsのパルス持続時間、80KHzの繰り返し率及び3,900mm/sの線速度を有するパルス・レーザを使用し、平行ラインを50μm離して作製する前処理50と、
-20Wのパワー、100nsのパルス持続時間、20KHzの繰り返し率及び720mm/sの線速度を有するパルス・レーザを使用し、最大のひし形、すなわち複数の同心状のひし形の最も外側が2mmの大きな対角線及び1mmの小さな対角線を有する、図7と同様のひし形のパターンを生成する構造化30aであって、
溝が占める領域、及び上面16の溝に沿った再溶融領域23は、上面16の第1の部分117の面積の0.32に相当する、構造化30aと、
-基板12bと厚さ2mmの透明なポリカーボネート部品14との組み立て130と、
-表面単位当たりのこの力値について熱可塑性材料の凝集破壊が観察された16N/mmの結果を与えるせん断試験と、
を含んだ。
【0143】
第2の実例:亜鉛メッキ鋼基板及び不透明なポリプロピレンタイプの熱可塑性ポリマー部品。
【0144】
第2の実験的試験は、厚さ0.8mmの亜鉛メッキ鋼基板11上で実施され、
-50Wのパワー、100nsのパルス持続時間、20KHzの繰り返し率及び720mm/sの線速度を有するナノ秒パルス・レーザを使用し、100μm離間したひし形を含むパターンを生成する構造化30aであって、
溝が占める領域、及び上面16の溝に沿った再溶融領域23は、上面16の第1の部分117の面積の0.79に相当する、構造化30aと、
-基板12aとPPT20タイプのポリプロピレンの不透明な厚さ2mmの部品14との組み立て130と、
-ポリマーの凝集破壊に対応する6.9N/mmの結果を与える引張り試験と、
を含んだ。
【0145】
第3の実例:銅基板及び透明ポリカーボネート部品。
【0146】
第3の実験的試験は、厚さ25μmの銅基板11上で実施され、
-20Wのパワー、100nsのパルス持続時間、20KHzの繰り返し率及び300mm/sの線速度を有するナノ秒パルス・レーザを使用し、80μm離間したひし形を含むパターンを生成する構造化30aであって、
溝が占める領域、及び上面16の溝に沿った再溶融領域23は、上面16の第1の部分117の面積の0.81に相当する、構造化30aと、
-構造化基板12と厚さ2mmの透明ポリカーボネート(PC)部品14との組み立て130と、
-ポリマーの凝集破壊時に8.43N/mmの結果を与える引張り試験と、
を含んだ。
【0147】
換言すれば、本発明は、基板(11)と部品(14)とを組み立てる方法を参照し、パルス・レーザ(31)によって基板の構造化するステップを含み、基板(11)は、好ましくは金属であり、部品は好ましくはポリマー系である。構造化ステップは、ビーム(32)と基板(11)との相対運動(41)によって決定されるパターン(17)で基板(11)に溝を刻むことを可能にする。パターン(17)は、基板(12)と部品(14)のレーザ溶接(130)後の構造化基板(12)と部品(14)との間の優れた接着を提供するように設計される。好ましくは、組み立て方法は、溶接組み立て中のより良好なレーザ吸収を可能にする構造化表面の前処理ステップ(50)を含む。
【0148】
本発明は、純粋に例示的なものであり、限定的であると見なされるべきではない特定の実施例に関して記載されている。一般的に、本発明は、上記で図示及び/又は説明した実例に限定されない。動詞「含む(comprise)」、「含む(include)」、「含む(contain)」又は任意の他の変形、及びそれらの活用形の使用は、言及された要素以外の要素の存在をなんら排除しない。要素を導入するための不定冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は定冠詞「その(the)」の使用は、複数のこれらの要素の存在を排除しない。特許請求の範囲における参照符号は、その範囲を限定しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(16)及び下面(160)を有する、1mm未満の厚さの基板(11)を、表面を有する部品(14)と組み立てる方法であって、前記方法は、
a.
i.前記基板(11)を準備するステップ、
ii.前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成することが可能なパルス構造化レーザ(31)を準備するステップであって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、200から11,000nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップ、
iii.前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能な前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成するステップであって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、200から11,000nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、ステップ、
iv.前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を生成することが可能な変位デバイス(33)を準備するステップ、並びに
v.前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を誘起することによって、前記基板(11)の前記上面(16)に前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)を照射して、パターン(17)を含む前記基板(12)の構造化された上面(16)の第1の部分(117)を生成するステップ
を実行することによって、1つ以上の溝を製造することによって、前記基板(11)の前記上面(16)を構造化するステップ(30)と、
b.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分(116)をその表面に有する前記部品(14)を準備するステップと、
c.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)を前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)と接触させて置くステップと、
d.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)と前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)との間の接触を維持するように圧力を加えるステップと、
e.前記可融性材料が溶融するのに十分な温度上昇を生じさせることが可能な加熱デバイス(131)を準備するステップと、
f.前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)の前記パターン(17)内の少なくとも一部分を溶融するのに十分な温度に前記可融性材料が到達するように、前記加熱デバイス(131)によって、前記可融性材料を加熱するステップと
を含み、
前記基板はまた、前記溝に沿った再溶融領域を含み、前記再溶融領域は、前記構造化された基板の前記上面に対して80μm未満の高さを有する、
方法。
【請求項2】
前記基板(11)の表面の光吸収を増加させるための前処理ステップ(50)をさらに含み、
前記前処理(50)が、ステップa.v.で刻まれた前記パターン(17)よりも浅い前処理構造をもたらす前記基板(11)の前記表面(16;160)のテクスチャライジングを含むように、
i.前記基板(11)に前処理ビーム(53)を照射して(52)、前記基板(11)の前記表面(16;160)の粗さを増加させるステップと、
ii.前記変位デバイス(33;39)によって、前記基板(11)と前記パルス構造化レーザ(31)によって生成された前記前処理ビーム(53)との間に相対変位を生じさせるステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理(50)の間の前記前処理ビーム(53)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動の線速度は、ステップa.v.の間の前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動の線速度よりも少なくとも1.5倍大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱デバイス(131)は、溶接ビーム(132)を生成し、前記構造化された基板(12)を照射することによって加熱することが可能である溶接レーザであり、前記部品(14)は、前記溶接ビーム(132)を少なくとも部分的に透過させることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基板(12)の構造化された上面(16)の前記第1の部分(117)は、ステップf.の間に前記加熱デバイスによって加熱されることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-15秒から10-6秒の持続時間と、少なくとも0.01Wのパワーとを有し、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の強度は、少なくとも10W/mmであり、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1,000から1,100nmの波長を有し、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1KHzから2MHzの繰り返し率を有し、
-前記基板(11)に対する前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、10から10,000mm/sの線速度で行われる
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応し、前記パターン(17)は、幾何学的形状(18)の繰り返しを含み、前記構造化された表面は、10,000から0.1のmm 当たりの幾何学的形状(18)の密度を含むことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応し、前記パターン(17)は、平行なラインを含み、前記パターン(17)は、100本/mmから0.2本/mmのライン密度を含むことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応し、前記溝は、5μmから500μmの幅を有することを特徴とする、請求項からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応し、前記溝は、1μmから2mmの深さを有することを特徴とする、請求項からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記パターン(17)は、複数のライン(18)を含み、各ライン(18)は、前記基板(11)に刻まれた溝に対応し、前記構造化された基板(12)は、前記溝に沿った再溶融領域(23)をさらに含み、前記再溶融領域(23)は、前記構造化された基板(12)の前記上面(16)に対して80μm未満の高さを有し、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.001から0.85、好ましくは0.2から0.8、さらに好ましくは0.4から0.6に相当することを特徴とする、請求項から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
-前記基板は、アルミニウムで作製され、
-前記部品は、透明なポリカーボネートで作製され、
-前記構造化レーザ(31)は、50Wのパワーで前記前処理ステップに使用され、前記前処理ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、80KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記前処理ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、3,900mm/sの線速度で行われ、
-前記構造化レーザ(31)は、20Wのパワーで前記構造化ステップに使用され、前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、720mm/sの線速度で行われ、
-請求項に記載の前記パターン(17)は、2mmの大きな対角線及び1mmの小さな対角線を有する複数のひし形を含み、
-請求項11に記載の、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.32に相当する
ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
-前記基板は、亜鉛メッキ鋼で作製され、
-前記部品は、ポリプロピレンで作製され、
-前記構造化レーザ(31)は、50Wのパワーを有する前記構造化ステップに使用され、前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)のパルスは、10-7秒の持続時間、20KHzの繰り返し率を有し、前記基板(11)に対する前記構造化ステップに使用される前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)の前記相対運動(41)は、720mm/sの線速度で行われ、
-請求項に記載の前記パターンは、100μm離れた複数のひし形を含み、
-請求項11に記載の、前記溝が占める領域、及び前記上面(16)の前記溝に沿った前記再溶融領域(23)は、上面(16)の前記第1の部分(117)の面積の0.79に相当する
ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項によって得られた基板(11)と部品(14)とを含む組み立て体。
【請求項15】
1mm未満の厚さの基板(11)を部品(14)と組み立てるためのデバイス(80;180)であって、前記基板(11)は、上面(16)及び下面(160)を有し、前記部品(14)は、前記基板(11)の前記上面(16)の融点よりも低い融点を有する可融性材料を含む第2の表面部分(116)を有する表面を有し、前記デバイス(80;180)は、
-前記基板(11)の前記上面(16)を非貫通状に刻むことが可能なパルス構造化レーザ・ビーム(32)を生成することが可能なパルス構造化レーザ(31)であって、前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)は、1,000から1,100nmの波長、前記基板(11)の構造化を作成するのに十分なパワー、及び1μs未満の持続時間のパルスを有する、パルス構造化レーザ(31)と、
-前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間に相対運動(41)を生成することが可能な変位手段(33;39)と、
-前記部品(14)の前記表面を前記基板(11)の前記上面(16)に接触させるための接触手段と、
-圧縮手段と、
-前記可融性材料の少なくとも一部分が溶融するのに十分な温度上昇を前記可融性材料に生じさせることが可能な加熱デバイスと
を含み、
前記構造化レーザ(31)と前記変位手段は、前記レーザ・ビーム(32)において前記パルス構造化レーザ・ビーム(32)と前記基板(11)の前記上面(16)との間の相対運動を生じさせて、前記基板(11)の前記上面(16)の第1の部分(117)に刻まれた複数の溝によって形成されたパターン(17)を生成するように構成され、
前記接触手段は、前記パターン(17)を含む前記基板(11)の前記上面(16)の前記第1の部分(117)を、前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)と接触させて配置するように構成され、
前記圧縮手段は、前記パターン(17)を含む前記基板(11)の上面(16)の前記第1の部分(117)と前記部品(14)の前記第2の表面部分(116)との間に圧縮力を加えるように構成され、
前記加熱デバイスは、前記部品(14)の少なくとも可融性材料部分を、前記基板(11)の上面(16)の前記第1の部分(117)の前記パターン(17)の前記複数の溝内に溶融するように構成され、
前記部品(14)の前記可融性材料は、前記基板(11)の前記パターン(17)の前記溝内で凝固して、前記部品(14)と前記基板(11)とを含む組み立て体を形成する、前記部品(14)と前記基板(11)との間の接合部を形成することが可能であり、
前記基板はまた、前記溝に沿った再溶融領域を含み、前記再溶融領域は、前記構造化された基板の前記上面に対して80μm未満の高さを有する、
デバイス(80;180)。
【外国語明細書】