IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイアー ディメンション マテリアルズ,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048201
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】抗微生物性布帛アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   D06M 11/83 20060101AFI20220317BHJP
   D06M 15/55 20060101ALI20220317BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
D06M11/83
D06M15/55
D06M13/463
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022004536
(22)【出願日】2022-01-14
(62)【分割の表示】P 2018551977の分割
【原出願日】2017-04-04
(31)【優先権主張番号】62/318,059
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509238133
【氏名又は名称】ハイアー ディメンション マテリアルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン-ファ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ディー.オルムステッド
(72)【発明者】
【氏名】ナスララー ジュブラン
(57)【要約】
【課題】抗微生物性布帛アセンブリならびにその製造及び使用方法を提供すること。
【解決手段】幾つかの例において、本開示は、上面を含む可撓性基材、前記可撓性基材の前記上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレート、及び、前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含む布帛アセンブリであって、前記抗微生物剤は細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、布帛アセンブリに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を含む可撓性基材、
前記可撓性基材の前記上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレート、及び、
前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤、
を含む布帛アセンブリであって、前記抗微生物剤は細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、布帛アセンブリ。
【請求項2】
前記抗微生物剤は金属形態の金属を含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項3】
前記抗微生物剤は金属形態の金属である、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項4】
前記抗微生物剤は金属ゼオライトを含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項5】
前記抗微生物剤は金属ゼオライトである、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項6】
前記抗微生物剤は金属ガラスを含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項7】
前記抗微生物剤は金属ガラスである、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項8】
前記抗微生物剤は金属塩を含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項9】
前記抗微生物剤は金属塩である、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項10】
前記抗微生物剤は有機物を含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項11】
前記抗微生物剤は有機物である、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項12】
前記抗微生物剤は第四級アンモニウム化合物を含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項13】
前記抗微生物剤は第四級アンモニウム化合物である、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項14】
前記抗微生物剤は天然由来物質を含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項15】
前記抗微生物剤は天然由来物質である、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項16】
前記抗微生物剤は金属形態の金属、金属ゼオライト、金属ガラス、金属塩、有機物、第四級アンモニウム化合物、天然由来物質又はそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項17】
前記ガードプレート材料は前記布帛アセンブリを抗微生物性再生性とするように選択されている、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項18】
前記抗微生物剤は前記複数のガードプレート中に含まれている、請求項1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
【請求項19】
前記抗微生物剤は前記基材中に含まれている、請求項1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
【請求項20】
前記抗微生物剤は前記複数のガードプレート上にある、請求項1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
【請求項21】
前記抗微生物剤は前記基材上にある、請求項1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項記載の布帛アセンブリを形成することを含む方法。
【請求項23】
前記布帛アセンブリを形成させることは、可撓性基材の上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレートを、堆積させることを含み、
該布帛アセンブリは、前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含み、
該抗微生物剤は、細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年4月4日に出願された米国仮出願第62/318,059号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
技術分野
いくつかの例において、本開示は、衣類、手袋、ブーツ、家具、輸送座席及び布帛が一般的に使用される他の用途に使用されうる保護布帛材料に関する。
【発明の概要】
【0003】
概要
いくつかの実施例において、本開示は、抗微生物性布帛アセンブリならびにその製造及び使用方法に関する。布帛アセンブリは布帛基材(例えば、織布、不織布又は編布基材)を含み、該布帛基材の表面に付着され、そしてその表面上でギャップによって分離されている複数のガードプレートを含むことができる。ガードプレートは、布帛基材上で、例えばスクリーン印刷によりポリマー材料を堆積した後に、該ポリマー材料を硬化させることによって形成することができる。布帛アセンブリは基材又は複数のガードプレートの少なくとも1つの中又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含む。抗微生物剤は、細菌、ウイルス、カビ、菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように構成することができる。
【0004】
1つの例では、本開示は、上面を含む可撓性基材、該可撓性基材の前記上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレート、及び、前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含む布帛アセンブリであって、該抗微生物剤は細菌、ウイルス、カビ、菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される布帛アセンブリに関する。
【0005】
別の例において、本開示は、可撓性基材の上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレートを形成することを含み、該布帛アセンブリは前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含み、該抗微生物剤は細菌、ウイルス、カビ、菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される方法に関する。
【0006】
1つ以上の実施例の詳細は添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明)
図1a-1g】図1a-1gは本開示による例示的な抗微生物性布帛アセンブリを示す概念図である。
図1h-1n】図1h-1nは本開示による例示的な抗微生物性布帛アセンブリを示す概念図である。)
図1o-1s】図1o-1sは本開示による例示的な抗微生物性布帛アセンブリを示す概念図である。
【0008】
図2図2a~2dはガードプレートなどの様々な例示的な断面を示す概念図である。
【0009】
図3図3は、例示的なプレート形状、プレートパターン及びギャップ幅のバリエーションを示す例示的な布帛アセンブリの平面図である。
【0010】
図4図4は、本開示の実施例による例示的な抗微生物性布帛アセンブリの試験の実験結果を示すプロットである。
図5図5は微生物リッチ環境へのAgイオンの放出を可能にしそして制御する銀ゼオライトのイオン交換メカニズムを示す概念図である。
図6図6は多孔性銀ガラスを作製するために、どのように通常のガラスを変性するかを示す概念図である。
図7図7は、プレート、ギャップ及び可撓性基材の構成要素を布帛アセンブリへと組み合わせる例示的方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示は、本明細書に記載される実施形態によって限定されない。これらの実施形態は、本開示の態様を例示するためだけに役立つ。
【0012】
例えば、本開示の例は、主にSUPERFABRICの関係で記載されているが、本開示の例は、すべての例は、可撓性基材及びガードプレートのその特定のアセンブリに限定されない。任意の適切な可撓性基材及びガードプレートを使用することができる。用語SUPERFABRIC及び例示的な布帛アセンブリは本開示において互換的に使用されうる。
【0013】
いくつかの例において、可撓性基材は可撓性布帛基材であることができる。布帛基材は、編布、織布及び/又は不織布であることができる。
【0014】
いくつかの例において、ガードプレートは硬化したポリマー樹脂ガードプレートであることができる。ガードプレートを形成するのに適したポリマー組成物はエポキシ樹脂を含むことができる。1つの実施形態において、プレートは熱硬化エポキシ樹脂から形成されうる。適切な樹脂の別の例は紫外線(UV)硬化アクリレートであることができる。特定の用途に応じて、布帛基材上のプレートは、例えば約80~約95ショアDなどの、約70~約100ショアD硬度を有することができる。ガードプレートの硬度は多くの要因によることができるが、該要因としては、限定するわけではないが、プレートを形成するために使用されるポリマー樹脂組成物及び/又は可撓性基材の表面上に堆積された後にポリマー樹脂組成物を硬化させるために使用される方法が挙げられる。いくつかの実施形態において、ガードプレートは熱硬化エポキシを含むことができる。いくつかの実施形態において、ガードプレートは無機フィラー粒子を含むことができる。ガードプレートに使用される熱硬化ポリマー材料は比較的に硬くかつ耐クラック性があることができる。
【0015】
いくつかの例において、ガードプレートを形成するための使用に選択されるポリマー樹脂は、ガードプレートと布帛基材ベース材料との間の強い結合を保証することができる。いくつかの例において、ガードプレートを構成するのに適したポリマー樹脂は、(i)耐摩耗性を提供し、(ii)スクリーン印刷性であり、(iii)耐破壊性であり、(iv)ベース材料へ結合可能であり、そして、(v)ガードプレート材料の印刷及び硬化中の良好な形状精細度を有するように配合される一液型熱硬化性エポキシ樹脂である。このような樹脂はこれらの基準を満たすように容易に配合することができ、例えば、Fielco Industries, Inc., Huntingdon Valley, PA, 19006から入手可能であり、それは、この段落に記載された特性を満たすことができる配合樹脂であり、名称:TR21及びTR84が与えられている。適切な樹脂配合物の他の例は、Hexion Specialty Chemicals, Columbus, OH43215から入手可能である。
【0016】
例えば、Hexion Starting Formulation 4019は、適切なサーモセッティング熱硬化性エポキシベース樹脂配合物であることができる。いくつかの例において、ガードプレートによって提供される耐摩耗性は、樹脂にシリカ、アルミナ、炭化ケイ素、酸化チタンなどの小さな粒子(例えば1~100マイクロメートル)を加えることによって増加させることができる。
【0017】
本開示のガードプレートの幾何形状を生成するために使用することができる樹脂及び布帛を含む材料ならびに方法の実施形態に関する追加の情報は、2001年12月31日に出願された米国特許第7,018,692号明細書及び2000年7月6日に出願された米国特許第6,962,739号明細書(両方とも参照により本明細書に取り込まれる)に記載されている。本開示の別の実施形態は、2001年12月31日に出願された米国特許第7,018,692号明細書に記載されているような、多角形体(ガードプレート)の第一の層の上に形成された多角形体(ガードプレート)の第二の層であることができる。いくつかの実施形態において、布帛を設計するための布帛基材は織布又は不織布であってよく、綿などの天然、又は、ポリエステル又はナイロンなどの合成のものから作られていてよい。多角形体に使用されるポリマー樹脂は、上述したように、熱硬化エポキシ樹脂であることができる。本開示に記載されている特許及び公開特許出願の各々の内容全体は参照により本明細書に取り込まれる。
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、抗微生物性SUPERFABRIC又は他の抗微生物性布帛アセンブリに関する。SUPERFABRIC自体は、通気性、耐汚染性、耐摩耗性及び可撓性のある布帛であることができ、汚れ、摩耗及び摩減に対する高い耐性を有する近接間隔配置した、重なり合わず、よく設計され、そして工学操作されたガードプレートの配列を有する。
【0019】
ガードプレートは、例えば図3に示すように、任意の数のパターンで配列することができる。いくつかのパターンは耐摩耗性を高め、そしてSUPERFABRICの耐久性を向上させるように特に設計されているが、他のパターンは可撓性を高める一方で、SUPERFABRICを意図された用途に特に魅力的になるように主として設計されている。
【0020】
SUPERFABRICは570 Hale Avenue North, Oakdale, MN 5512, USAにあるSUPERFABRIC社としても知られているHigher Dimension Materials Inc.によって製造され、特許され、商標表示されている。
【0021】
いくつかの例において、SUPERFABRIC又は他の布帛アセンブリの抗微生物活性は4つの異なるアプローチによって達成されうる。1つのアプローチは、ガードプレートの配合物に抗微生物剤を含ませ、次いで、印刷及び硬化することである。第二のアプローチにおいて、抗微生物剤を基材布帛の中又はその上に含ませ、その上にガードプレートを付着させることである。第三のアプローチにおいて、抗微生物剤をガードプレート配合物中に含ませ、そしてガードプレートを、次いで、抗微生物剤を既に含んでいる基材上に印刷及び硬化することである。第四のアプローチにおいて、抗微生物剤をSUPERFABRIC又は他の布帛アセンブリ表面へのコーティングとして適用することである。抗微生物活性をさらに増加させる必要がある場合には、次いで、抗微生物性SUPERFABRICアセンブリ上に抗微生物剤を適用することができる。
【0022】
新規な抗微生物性SUPERFABRIC又は他の抗微生物性布帛アセンブリは、新規に獲得した抗微生物活性に加えて、耐久性、可撓性、通気性、耐汚染性、耐摩耗性、耐摩減性などのSUPERFABRIC属性を維持するように注意深く設計することができる。SUPERFABRIC又は他の布帛アセンブリの抗微生物活性は応用指針及び要件に適合するように変更することができる。
【0023】
新規な布帛アセンブリの例は、幼児のソファー又はベビーベッドのための内装材;幼児着替え用テーブル、公共交通機関の待機エリア、公共交通機関の座席のための表面カバリング及び内装材;スポーツウェア、下着、又は、外科用ドレープ、外科用スクラブ及びエプロンなどの医療従事者のための衣類;壁、内装材及び装置などの医療施設など;特に衛生環境が必要な市場で多くの用途を見出すことができる。例はスクラブパッド及びクリーニング布に有用でありうる。
【0024】
抗微生物性SUPERFABRIC又は他の抗微生物性布アセンブリの例は、単一の布帛に組み合わされる多数のほぼ相容れない機能性のために、テキスタイルに新しいパラダイムを確立することができる。例えば、SUPERFABRICの関係において、伝統的な織布、不織布又は編布に通常に関連する可撓性を維持しながら、耐摩耗性、耐汚染性、環境条件に対する安定性の耐久性が世界的に知られている。SUPERFABRICは、近接間隔配置した、重なり合わず、よく設計され、そして工学操作されたガードプレートであって、基材布帛から構成される小さいギャップにより互いに分離されているガードプレートの配列を有することにより、この顕著な特性の組み合わせを達成することができる。
【0025】
SUPERFABRIC又は他のそのような布帛アセンブリへの抗微生物特性の追加はアセンブリの応用性を、集団感染又は院内感染によるかどうかにかかわらず、媒介物(fomites)による疾病の伝染の予防へと拡大することができる。
【0026】
本開示の構成要素部分は図1a~1sに示されている。基材布帛は(100)により示されている。ガードプレートは(101)により示される。ギャップは(103)により、抗微生物剤の部分は(104)により示される。符号(105)は抗微生物剤のコーティングである。限定するわけではないが、抗微生物剤は任意の組み合わせの抗微生物剤の集合体として理解されるべきである。同様に、限定するわけではないが、構造の異なる部分にある抗微生物剤は、他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0027】
本開示の第一の実施形態の図1aにおいて、1種以上の適切な抗微生物剤(104)は、SUPERFABRIC又は他の布帛アセンブリに耐摩耗性、耐汚染性及び/又は他の耐久性を与えることができるガードプレート(101)の材料に取り込まれている。ガードプレート(101)構造に使用される例示的な材料は、様々なエポキシ硬化性材料、硬化剤及びガードプレート(101)に必要な特性を与えるフィラーから配合されるエポキシ樹脂である。適切な抗微生物材料(104)をエポキシ樹脂にその配合の間に添加することができ、それによってガードプレート(101)に抗微生物作用が与えられる。適切な量の抗微生物剤(104)は、その配合中に樹脂と均一に混合されるので、ガードプレート(101)の表面上に特定の表面濃度の微生物剤が存在して、布帛に抗微生物特性を与える。この実施形態において、抗微生物剤は、基材布帛(100)の中又は上、又は、ギャップ(103)には示されていない。
【0028】
この第一の実施形態の特定の利点は、ガードプレート(101)が抗微生物剤(104)のリザーバとして機能しうることである。この抗微生物剤(104)のリザーバは、SUPERFABRICなどの布帛アセンブリに、「抗微生物性再生性」と呼ばれる特性を与える。以下のように記載されるこの特性はこの特性の定義として役立つ。ガードプレート(101)が摩耗されるときに、新鮮な抗微生物剤(104)はガードプレート(101)の表面に露出される。このようにして、抗微生物作用は布帛の表面で常に更新される。耐摩耗性及び耐汚染性を支配するガードプレート(101)の材料特性は、布帛を含む衣服を洗濯し又は布帛を含む表面を擦り洗いするなどのクリーニング動作によって、十分な抗微生物剤表面濃度をこのようなクリーニングを通して表面に回復させるとともに、SUPERFABRICに既に知られている優れた耐摩耗性によって与えられる布帛の優れた全体としての耐久性を維持することの両方を確保するように、制御することができる。
【0029】
本開示のいくつかの例で使用されるガードプレート構造のいくつかの実施形態において、ガードプレートは、砂粒子、ガラス粒子、二酸化チタン粒子、金属粒子及びその他の多くのフィラーなどのフィラーを含むエポキシ樹脂からなり、該フィラーは使用される特定のエポキシ樹脂との組み合わせで、ガードプレートの物理的特性を決定する。これらの組み合わせによって影響される物理的特性としては、ショア硬度、貯蔵弾性率、損失弾性率、表面組織、延性、耐破壊性及びその他の多くが挙げられる。これらの物理的特性は、それで、摩擦、化学薬品によるクリーニング、洗濯又は風化などの様々な条件下でのガードプレートの摩耗摩減の実際の速度を支配する。例えば、高いガラス転移温度を有するエポキシ樹脂を、最大硬化度を保証する硬化剤及びガラス球又は金属粒子などのフィラーとともに使用して、Wyzenbeek摩耗試験を受けたときに、100万回を超える二重擦りで生存し、そしてTaber摩耗試験で4000サイクルを超えて生存するガードプレートを含む、本開示の例示的な布帛アセンブリを形成することができる。比較すると、標準的なビニル内装材は、約30,000回のWyzenbeek二重擦りで生存し、約500回のTaberサイクルで生存する。標準的なビニル内装材は、トリクロサンなどの標準的な抗微生物剤で処理され、漂白剤溶液などの防腐剤を用いて12回のクリーニングを通して継続する抗微生物作用を有することができる。ガラス転移温度が高いエポキシ樹脂を、最大硬化度を保証する硬化剤及びガラス球又は金属粒子などのフィラーとともに使用した、上述のようなガードプレートを備えた例示的な布帛アセンブリは、何倍も長持ちする内装材を製造するが、ガードプレート中の表面銀ゼオライトが毒性微生物への繰り返しの暴露によって枯渇する可能性があると懸念されうる。この場合において、ガードプレート組成を調整し、エポキシ硬化性パッケージの一部としてゴム状部分を含み、幾らかのガラスフィラー材料と二酸化チタン又は酸化亜鉛粒子とを残部とすることができる。これらの変更により、ガードプレートが少し柔軟になり、耐摩耗性が低下する。適切な配合により、例えば、500,000回のWyzenbeek摩擦及び1500回のTaberサイクルに耐えるガードプレートを製造することができる。ガードプレートは、ガードプレート内に埋め込まれ、微生物環境に一度も暴露されていない新鮮な銀ゼオライト材料を露出するときは、少し速く摩耗するであろう。それで、標準的な使用条件下でビニルよりもずっと耐久性が高いが、材料の寿命にわたって再生する必要のない新鮮な抗微生物作用を常に有する内装材が開発された。
【0030】
本開示の第二の実施形態の図1bにおいて、抗微生物剤(104)は実施形態1と同様にガードプレート(101)に埋め込まれているが、追加の抗微生物剤がガードプレート(101)の上部に配置されたコーティング(105)中に添加されている。コーティング(105)中の抗微生物剤はガードプレート(101)中の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。同様に、コーティング(105)又はガードプレート(101)のいずれかの中の抗微生物剤は、互いに、任意の割合での任意の抗微生物剤の組み合わせであることができる。
【0031】
本開示の別の実施形態の図1cにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)に埋め込まれており、抗微生物剤はガードプレート(101)を覆い、ギャップ(103)において露出した布帛(100)を覆うコーティング(105)中に添加されている。コーティング(105)中の抗微生物剤は、ガードプレート(101)上の抗微生物剤及びギャップ(103)における抗微生物剤と同一であっても又は異なっていてもよい。同様に、コーティング(105)又はガードプレート(101)のいずれかの中の抗微生物剤は、互いに、任意の割合での任意の抗微生物剤の組み合わせであることができる。
【0032】
本開示の別の実施形態の図1dにおいて、抗微生物剤はガードプレート(101)に埋め込まれ、ガードプレートの上にあるコーティング(105)中に配置され、そして抗微生物剤(104)は基材布帛の底面に配置されている。構造の全ての部分における抗微生物剤(104)は構造の他の部分におけるものと同じであっても又は異なっていてもよい。この実施形態において、ギャップ(103)は抗微生物剤(104)を含まず、布(100)もその構造内に埋め込まれた抗微生物剤(104)を有していない。
【0033】
本開示の別の実施形態の図1eにおいて、図1dに示す実施形態のギャップ(103)において露出した基材布帛(100)に抗微生物性コーティングが付加されている。構造の異なる部分の抗微生物剤は構造の他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0034】
本開示の別の実施形態の図1fにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)及び基材布帛(100)の両方に埋め込まれている。限定するわけではないが、抗微生物剤(104)は任意の割合の抗微生物剤の混合物であってよく、そして構造の異なる部分の抗微生物剤は、他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。この実施形態はガードプレート(101)の上の布帛(100)上又はギャップ(103)におけるコーティングを想定していない。
【0035】
本開示の別の実施形態の図1gにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)に埋め込まれており、ガードプレート(101)の上のコーティングに含まれており、そして布帛(100)中に含まれている。この実施形態はギャップ(103)における抗微生物剤又は布帛(100)の底面上の抗微生物剤を想定していない。構造の異なる部分の抗微生物剤は構造の他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0036】
本開示の別の実施形態の図1hにおいて、抗微生物剤はガードプレート(101)中に含まれており、ガードプレート(101)を覆いそしてギャップ(103)において布帛(100)を部分的又は全体的に覆っているコーティング(105)中に含まれている。布帛(100)の底面には抗微生物性コーティングは施されていない。構造の異なる部分の抗微生物剤は構造の他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0037】
本開示の別の実施形態の図1iにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)中、布帛(100)中、そして布帛(100)の底面上に含まれている。
【0038】
本開示の別の実施形態の図1jにおいて、抗微生物剤は、ガードプレート(101)中、ガードプレートを覆いそしてギャップ(103)内に延在しているコーティング(105)中に含まれている。抗微生物剤は、布帛(100)中、そして布帛(100)の底面上にも含まれている。構造の異なる部分の抗微生物剤は構造の他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0039】
本開示の別の実施形態の図1kにおいて、抗微生物剤はガードプレート(101)中に含まれていない。このことはガードプレート(101)に埋め込まれうる抗微生物剤(104)と適合しえない特定のタイプのガードプレート材料に必要とされうる。この場合に、抗微生物保護は抗微生物剤(104)を含むガードプレート(101)上のコーティング(105)によって提供される。前記薬剤は任意の割合の任意の組み合わせの抗微生物剤を含むと考えられるであろう。
【0040】
本開示の別の実施形態の図1L図1l)において、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)を覆いそしてギャップ(103)において布帛(100)を部分的又は全体的に覆っているコーティング中に含まれる。
【0041】
本開示の別の実施形態の図1mにおいて、抗微生物剤は、ガードプレート(101)の上面上のコーティング(105)中及び布帛(100)の底面上に含まれている。
【0042】
本開示の別の実施形態の図1nにおいて、抗微生物剤(104)は、ガードプレート(101)を覆いそしてギャップ(103)において布帛(100)を全体的又は部分的に覆っているコーティング中、そして布帛(100)の底面上に含まれている。
【0043】
本開示の別の実施形態の図1oにおいて、抗微生物剤(104)は布帛(100)中にのみ含まれている。
【0044】
本開示の別の実施形態の図1pにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)の上面上のコーティングに含まれ、そして布帛(100)中に含まれている。
【0045】
本開示の別の実施形態の図1qにおいて、抗微生物剤(104)はガードプレート(101)を覆い、そしてギャップ(103)において布帛(100)を全部又は少なくとも部分的に覆っている、コーティング中に含まれている。抗微生物剤(104)は布帛(100)中にも存在する。
【0046】
本開示の別の実施形態の図1rにおいて、抗微生物剤(104)は、ガードプレート上のコーティング(105)中、布帛(100)中及び布帛(100)底面上のコーティング中に含まれている。
【0047】
本開示の別の実施形態の図1sにおいて、抗微生物剤はガードプレート上及びギャップ(103)の全体又は少なくとも部分における布帛(100)上のコーティング(105)中に、布帛(100)中に、そして布帛(100)の底面上にあるコーティング(105)中に存在する。
【0048】
実施形態1a~1sの全てにおいて、抗微生物剤(104)は、個々のタイプの抗微生物剤の任意の割合の混合物であることができることは理解される。本発明の構造の異なる部分:ガードプレート(101)、布帛(100)、ギャップ(103)又はコーティング(105)にある抗微生物剤及びその混合物は、構造体の他の部分の抗微生物剤と同じであっても又は異なっていてもよい。
【0049】
このように開示された実施形態1a~1sのいずれか、又は、本開示の任意の他の実施形態において、サイズ、形状又は表面の質感などの他のガードプレート特性は、バイオフィルムの形成を妨げるように制御されうる。いくつかの病原体は、媒介物の表面上に自らの足場を構築する傾向があり、その足場は、病原体の増殖を育成し、病原体を消毒剤及びクリーニング剤の影響から保護するフィルムを形成する。エポキシ樹脂から作られたSUPERFABRICガードプレートは、表面エネルギーが低く、本質的に耐汚染性があり、病原体の足場材料がガードプレートに容易に付着しない。ガードプレートは、布帛全体の表面を横切ってバイオフィルムが広がることを防止するギャップによって互いに分離され、そしてガードプレート表面は、平滑及び凸状にして、バイオフィルムの付着がより困難であり、バイオフィルムがより容易に除去されるようにすることが可能である。また、図2a~図2dは異なる目的を果たすガードプレートのいくつかの典型的な表面プロファイルを示す。図2dに示される平滑な丸いガードプレートの表面形状は、バイオフィルムの形成に最も抵抗すると予想される。符号(201)は基材布帛であり、(202)は背の低いガードプレートであり、(203)は背の高いガードプレートであり、(204)は粗い組織表面を有するガードプレートであり、そして(205)は滑らかな凸型のガードプレートであり、最も良好にクリーニング性を養いそしてバイオフィルムを防止することが期待される。
【0050】
図1及び図2の実施例の態様は、図 1a~1sについて以下にさらに説明する。
【0051】
ガードプレートへの埋め込み
抗微生物剤がガードプレートにどのように埋め込まれるかの例は、銀ゼオライト、銀ガラス又は金属銀(ナノ粒子又はミクロ粒子の形態のいずれか)などの抗微生物剤をガードプレート配合物、例えばエポキシ樹脂に混合することである。ガードプレート配合物中の銀ゼオライトの典型的な濃度は、総ガードプレート配合物質量に対して約2質量%~約7質量%の銀ゼオライトである。エポキシ配合物に成分として添加される金属銀粒子の場合には、銀の質量は3mg/(kgガードプレート)~約3000mg/(kgガードプレート)の範囲である。
【0052】
ガードプレート上のコーティングとしての抗微生物剤
ガードプレート上のコーティングに抗微生物剤を組み込む様々な方法がある。一例において、銀ゼオライト粒子は、ポリウレタンの質量の約2%~約3%の割合で液体ポリウレタンなどの適切なポリマーマトリックスに混合される。次いで、ゼオライトを含有する液体ポリウレタンを、スプレーコーティング又はロールコーティングなどの任意の適切な方法によってガードプレートの表面に適用することができる。スプレー法の場合には、ポリウレタン/銀ゼオライト混合物の適用を制限してガードプレートのみに費やし、基材布帛をコーティングするのを避けるために適切なマスクを使用することができる。ロールコーティング法を使用する場合には、ゴムローラー上のゴム使用のデュロメータなどのローラー特性は、コーティングをガードプレートの表面にのみ適用し、ポリウレタン銀ゼオライト混合物をガードプレートの間のギャップに押し込まないように選択することができる。デュロメータの具体的な選択は、基材上のガードプレートの高さ、使用される特定のポリウレタン/銀ゼオライト混合物のレオロジー特性、ロール塗布法に使用される圧力及びロールコーティング法の速度に依存する。次いで、ポリウレタン/銀ゼオライト混合物を、標準的なポリウレタン硬化法、例えば炉中での加熱により硬化させる。
【0053】
ガードプレート及び基材の両方の上でのコーティングとしての抗微生物剤
ガードプレート上のコーティングに抗微生物剤を取り込むさまざまな方法がある。一例において、銀ゼオライト粒子は、ポリウレタンの質量の2~3%の割合で液体ポリウレタンなどの適切なポリマーマトリックスに混合される。次いで、ゼオライトを含有する液体ポリウレタンを、スプレーコーティングによって、全SUPERFABRIC構造(ガードプレート及び基材布帛の両方)の表面に適用する。次いで、ポリウレタン/銀ゼオライト混合物を、標準的なポリウレタン硬化法、例えば炉中での加熱により硬化させる。ガードプレート及び基材布帛の両方に抗微生物剤を適用する第二の方法は、水又はメタノール溶媒中のシラン第四級アンモニウム化合物の混合物を使用することである。従来のテキスタイルが染色されるのと同じ方法で、全SUPERFABRIC構造を液体混合物に浸漬させる。次いで、布帛を乾燥させる。シラン第四級アンモニウム化合物は、実際に、ガードプレートの表面及び基材の表面に反応し、化学反応によって永久的に付着する。シラン第四級アンモニウム化合物の適用は、典型的には、約1000mg/(kg布帛アセンブリ(例えばSUPERFABRIC))~約4000mg/(kg布帛アセンブリ(例えばSUPERFABRIC))を適用する。
【0054】
基材上のみの上のコーティングとしての抗微生物剤
SUPERFABRIC又はその他の布帛アセンブリの基材構成要素は、水又はメタノール中シラン第四級アンモニウム化合物のシラン第四級アンモニウム溶液に布帛を浸漬することによって抗微生物剤で処理することができる。シラン第四級アンモニウムは布帛の表面と反応して、布帛の表面に対する永久的な結合を提供する。次いで、布帛を溶液から取り出し、従来のテキスタイル染色法と同じ方法で乾燥させる。これは、ガードプレートが基材に付着される前に行なう。布帛に付着しているシラン第四級アンモニウム化合物の量は、約1000mg/(kgテキスタイル)~約4000mg/(kgテキスタイル)である。
【0055】
基材布帛のみへの埋め込み
一例において、基材布帛は、従来のヤーンと銀金属スレッドとの混合物から織られることができる。このような構造は医療マスク及びクロスに使用されている。これらの用途における銀の量は約200,000mg/(lkgテキスタイル)~約300,000mg/(kgテキスタイル)の範囲である。次いで、ガードプレートをこの基材布帛に付着させて、本発明の布帛構造を完成させる。
【0056】
別の例において、銀ナノ粒子をポリエステルなどのポリマーと混合し、得られた混合物からスレッドを紡ぎ、従来のテキスタイル製造法によって基材布帛を製造するのに使用できるヤーンを製造する。次いで、ガードプレートを基材布帛に付着させて、SUPERFABRIC又はその他の布帛アセンブリ構造を完成させる。そのような構成における銀の典型的な量は、1.5mg/(kgテキスタイル)~約4,000mg/(kgテキスタイル)の範囲である。
【0057】
例示的な抗微生物剤の議論
【0058】
任意の適切な抗微生物剤は、本明細書に記載されうるように機能する本開示の例において利用されうる。例えば、抗微生物剤は、金属形態の金属、金属-ゼオライト、金属-ガラス、金属塩、有機物、第四級アンモニウム化合物、天然由来物質又はそれらの組み合わせを含むことができる。本開示の例示的な布帛アセンブリにおいて、抗微生物剤は、例えば、抗微生物剤を含まない実質的に同一の布帛アセンブリと比較して、細菌、ウイルス、カビ、菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させることができる。
【0059】
抗微生物作用は、抗微生物剤を含まない対照材料に対する微生物の増殖を、微生物処理された材料に対する微生物の増殖と比較して、両材料を同じ微生物増殖好適環境に供して測定することによって定量化することができる。この減少は、1.0から「処理材料上の微生物の数/未処理サンプル上の微生物の数の比」を差し引いた値として報告される。例えば、未処理サンプルが単位面積当たり1,000,000個の微生物を有し、同条件下で、処理サンプルが単位面積当たり1,000個の微生物を有する場合には、抗菌作用は0.999又は99.9%として報告される。本開示で議論されるタイプの用途については、99%~99.9%は典型的な目標であり、本開示のいくつかの例によって達成されうる。極端な医療用途では99.9999%が必要であるが、抗微生物剤が匂いの制御にのみ使用されるスポーツウェアなどの物品は、ずっと低いレベルの活性を必要とすることがあり、しばしば、99%も必要としない。本開示の例は、布帛アセンブリの所望の用途に基づいて抗微生物作用を調整することができる。
【0060】
第二次世界大戦中、綿布がトラックカバーのために広く使用されたときに、これらの布帛は微生物の攻撃による腐敗から保護する必要があった。そうするために、軍隊はこれらの布帛を塩素化ワックス、銅及びアンチモン塩の混合物で処理し、布帛を剛性化し、それらに特有の臭いを与えた。当時、これらの材料の適用の潜在的な汚染効果及び毒性関連の問題は主な考慮事項ではなかった。政府及び産業界の企業は、これらの化合物が引き起こす環境及び職場の危険性をよりよく認識するようになったので、代替製品を探求してきた。かなり多くの研究は米国農務省南部地域研究所、繊維技術研究所(ITT)によりなされ、そしてITTの構成員の一部は綿をミリングして化学変性してその腐敗に対する耐性を改良し、そして綿のアセチル化及びシアノエチル化により他の特性を改良する。これらの処理は比較的高コストであるため、業界の受け入れが限定されていた。
【0061】
近年、テキスタイルの抗微生物仕上げは、防護用、装飾用及び技術用テキスタイル製品の製造において極めて重要になっている。このことは、テキスタイル、医薬品、医療品、工学、農業及び食品産業における様々な用途へのそのようなテキスタイルの使用を拡大する機会を提供した。テキスタイルの抗微生物仕上げは、医学的及び衛生的な問題を引き起こす可能性のある病原性又は臭気発生性微生物からユーザを保護し、機能低下をもたらす可能性のある腐敗により引き起こされる望ましくない審美的変化又は損傷からテキスタイルを保護する。
【0062】
特に、テキスタイル及びその他の材料の抗微生物仕上げは、疾患の時々起きる媒介物伝染及び持続性媒介物リザーバを介した、集団感染(医療施設の外で罹患)及び院内感染(医療施設の環境又は職員から罹患)を制御するのを助けるための重要な手段である。媒介物とは、菌又は寄生虫などの感染性生物を運ぶことができ、したがってそれらをある個体から別の個体に移すことができる任意の物体又は物質である。皮膚細胞、毛、衣類及び寝具は一般的な汚染源である。
【0063】
媒介物関連疾患の多くの認められた例は存在する。Martinezらは、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)の発生は、広範囲のクリーニング後であっても、前の占有者がVREを有した部屋に患者を配置することと強く関連することを報告している。英国のカルバペネム耐性アシネトバクター(Carbapenem-resistant Acinetobacter)の発生では、媒介物リザーバとして機能する布帛カーテンを含む環境表面が原因と突き止められた。汚染されたビールグラスを介した媒介物伝染はパブへの訪問客の間でのA型肝炎の発生に関係していた。輻射型暖房器具の汚染による媒介物伝染が原因となって、新生児保育園でDNA同一ヘルペスを伝播させ、数人の患者を死亡させた。媒介物は、特に湿潤条件下でのクラミジア感染症の眼への尤もらしい伝染源であると特定された。菌類による医療施設の生物汚染はリウマチ性疾患の発生と関連している。
【0064】
様々な表面は通常の条件下で汚染されうる。パラインフルエンザ及び単純ヘルペスは、いずれも未処理の歯ブラシ上で少なくとも24時間生存する。単純ヘルペスは、湿潤表面上で少なくとも8時間感染性を維持する。入院患者における帯状疱疹の発疹の開始から7日以内に、水痘ウイルス(varicella virus)は、椅子の背、ドアハンドル、テーブル及びエアコンフィルタを含む、すべての試験された部屋の表面で検出された。
【0065】
1980年代に、手洗いを奨励するための国立衛生研究所のキャンペーンは、手洗いの広報担当者として、そしてプロモーション物品として、ぬいぐるみのテディベア(「T. Bear」)を使用した。皮肉なことに、小児病棟に放置された39の滅菌T.Bearの研究では、100%が1週間以内に細菌、菌類、又はその両方でコロニー形成したことが判明した。テディベアから培養された生物は、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、α型溶血連鎖球菌(Alpha Streptococci)、コリネバクテリウムアクネス(Corynebacterium acnes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)、ミクロコッカス菌株(Micrococcus sp)、バチルス菌株(Bacillus sp)、及び、カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、アスペルギルス(Aspergillus)などの菌株が挙げられる。
【0066】
表面上の病原体を死滅させると、他の表面又はヒトへ伝播する病原体の個体数が減少することが期待され、病原体を死滅させる1つの方法は化学消毒によるものである。しかし、強い化学溶液を正しく塗布し、表面で長時間接触させておかなければならない。多くの材料はそのような処置に適しておらず、病院の待合室、公共交通機関の待合室、公共交通機関の座席、レストランの座席、トイレのベビー着替え用テーブル及びその他などの多くの環境では、このような処置に容易に適応されない。
【0067】
能動的クリーニングによって表面汚染を制御することの困難さを考えると、生物汚染事象(たとえ認識されていない事象であっても)の後に、自己浄化することができる外来表面の有望性に大きな魅力がある。
【0068】
本開示は、SUPERFABRICの他の優れた特性と優れた抗微生物効能を組み合わせたSUPERFABRIC上のそのような外来表面を記載する。
【0069】
トリクロサンなどの合成有機化合物から、第四級アンモニウム化合物、ポリビグアニド、N-ハラミン、銀などの金属、及び、キトサンなどの天然由来の抗微生物剤に至るまで、多くの様々な化合物がテキスタイルに抗微生物機能を付与するために使用される。テキスタイル用の抗微生物剤は、微生物に対する有効性、テキスタイル加工に対する適合性、耐久性、及び好ましい安全性及び環境プロファイルを含む多くの異なる基準を満たす必要がある。これらの抗微生物剤は、その化学構造、有効性、施用方法、及び、環境への影響が異なる。テキスタイル産業におけるほとんどの抗微生物剤は制御放出機構を利用している。これらの薬剤は、浸出性抗微生物剤とも呼ばれるが、テキスタイル繊維に化学的に結合しておらず、それらの抗微生物活性は、湿気の存在下でテキスタイルから周囲に徐々に持続的に放出される特性があり、幅広い種類の細菌又は菌類に対する毒として作用する。薬剤のその周囲への浸出のために、テキスタイル中の活性物質の濃度は減少し、有効性の限界の下まで徐々に低下する。これは、微生物におけるこれらの物質に対する耐性を誘発することがあり、加えて、浸出性薬剤は繰り返しの洗濯に耐えない。制御放出メカニズムは、繊維表面に化学的に取り込まれているが水に浸出可能な活性物質を有する薬剤にも、見出すことができる。これらの薬剤の他の浸出性抗微生物剤に勝る重要な利点は、それらが適切な条件下で再生できることである。
【0070】
本開示の例示的な抗微生物剤は4つのファミリーに分類されうる。天然起源物質、第四級アンモニウム化合物、有機物及び金属である。銅、亜鉛及びコバルトなどのいくつかの他の金属は、テキスタイル用の有効な抗微生物剤として注目されているが、銀は、一般的なテキスタイル及び傷用包帯において最も広く使用されている。これは、大腸菌(E.coli)に対して0.05~0.1mg/lのMIC値(最小阻害値)を有する。合成繊維の場合には、押出前又は電界紡糸を用いたナノファイバー形成前に、銀粒子をポリマーに取り込むことができる。天然繊維を金属で処理することは仕上段階でのみ行うことができ、吸収性及び耐久性を高めるために様々な戦略が考案されている。綿は無水コハク酸で前処理され、それは金属イオンの配位子として作用して金属塩(Ag及びCu2+)のその後の吸着を促進し、非常に効果的な抗微生物活性を提供する。
【0071】
天然由来物質は、植物などの多くの生物から得ることができる又は製造することができる材料である。1つの例はターメリックであり、これはアジアの古代の有色性スパイスである。ターメリックは、伝統的に多くの治療に使用されてきたクルクミンの主な供給源である。これは、綿、羊毛及びウサギの毛における微生物増殖抑制剤として作用するテキスタイルにおける抗微生物剤として使用されてきた。
【0072】
第四級アンモニウム化合物、例えば、シラン第四級アンモニウム化合物は、膜のリン脂質及びタンパク質に不可逆的に結合し、それによって膜透過性を損なう。
【0073】
一般に消毒薬及び消毒性材料と考えられている有機物としては、限定するわけではないが、トリクロサン(2,4,4-ハイドロフェニルトリクロロ(II)エーテル)、n-オクチル-イソチアゾリノン(OIT)、ベンズ-イソチアゾリノン(BIT)及び10,10'-オキシビスフェノキサルシン(OBPA)が挙げられる。トリクロサンは細菌の細胞壁を浸透して作用し、RNA合成、マクロ分子の生成などの複数の細胞質及び膜部位を標的とし、脂肪酸の合成をブロックする。
【0074】
金属は、限定するわけではないが、銀、亜鉛及び銅などの金属形態の金属、遊離であるか、又は、ガラス又はゼオライト構造に埋め込まれた金属カチオン、ならびに金属塩及び金属酸化物からなる広い分類として定義される。
【0075】
金属カチオンの新規なデリバリー方法は多孔性媒体中にカチオンを包埋するものであり、この多孔性媒体は、適切な条件下で、金属カチオンを放出し、必要な時のみ微生物に殺生作用を与える。ゼオライトは、その細孔に金属イオンを収容することができる周知の多孔性構造である。イオンは、イオン交換によって細孔に出入りする。図5http://www.pfonline.com/articles/silver-bulletに見出すことができる)は、Agイオンの微生物リッチ環境への放出を可能にしそして制御する銀ゼオライトのイオン交換メカニズムを示す概念図である。次に、微生物はAgイオンに暴露され、以下に述べるメカニズムによって殺生される。
【0076】
図5は、ゼオライトキャリア粒子を示す。これらのゼオライト粒子は、典型的には横断方向に数ミクロンであり、およそ立方体形状を有する。それは細孔内にAg、Cu++又はKイオンを含有するのに十分な大きさの細孔を有する多孔性構造であるという顕著な特性を有する。注目のカチオンに最も適合するように、様々なゼオライト構造を調製することができる。抗微生物目的のための最も一般的なカチオンはAgであり、そのため、ここでの議論はAgの例に焦点を当てている。
【0077】
細孔内にAgを含む銀ゼオライト粒子がNaイオンを含む微生物リッチ湿潤環境に接触すると、ゼオライト細孔からAgイオンをその湿潤環境に放出し、以前はAgイオンによって占められていた細孔の中にNaイオンを捕捉するイオン交換プロセスが起こる。後述するように、Agイオンは有効な殺生物剤であり、湿潤環境で微生物を殺生すように作用する。微生物の増殖を促進するのに有効な媒体は、一般に、微生物細胞の増殖を支援するのに必要な電解質であるので、Naイオンを含む。
【0078】
銀ゼオライトによって示されるものと本質的に同様にAgイオンを収容し、Agイオンを湿潤環境に送達することができる多孔性構造の別の例は銀ガラスである。金属イオンを含有するために使用されるガラスの一例は二酸化ケイ素、五酸化リン及び炭酸カルシウムからなる。通常のガラスにおいて、ケイ素原子は酸素原子を介して相互に高度に架橋されている。金属ガラスの場合には、架橋が破壊されて、ガラス構造を開き、抗微生物剤として作用する金属イオンを収容することができる細孔を形成する。これらのイオンは、銀ゼオライトに関連して論じたイオン交換プロセスによって湿分の存在下で放出することができる。
【0079】
図6(http:www.ishizuka.co.jp/English/material/antimicrobialに見られる)は、通常のガラスをどのように変性して多孔性銀ガラスを製造するかを示す概念図である。Agイオンなどの変性イオン(修飾イオン)を含むことができる通常のガラスにおいて、ケイ素原子は酸素原子によって密接に架橋される。これは、湿分又は他の条件の変化に応答して容易に膨潤又はサイズを変化させることができない小さな孔を有する構造を形成する。その結果、これらの細孔に含まれるイオンはそこに永久に結合し、外部環境とのイオン交換プロセスに参加することができない。銀ガラスにおいて、架橋性酸素原子は、リンなどの他の元素にも結合している酸素原子で置換されている。得られる架橋ははるかに弱く、ガラス中の細孔は周囲の環境中の湿分によって崩壊されうる。これにより、銀ガラスの細孔中のAgイオンが環境とのイオン交換に利用可能となる。その結果、銀ガラスはその抗微生物作用において銀ゼオライトと同様に挙動する。
【0080】
銀については、有効な殺生物剤は銀イオンである。銀イオンは硝酸銀などの塩の水溶液中に容易に放出されるが、銀イオンは金属銀から僅かに取り出されるだけである。金属銀の抗微生物剤としての現代的使用において、銀ナノ粒子を使用して、金属銀粒子における銀の体積に対する表面積を増加させるか、又は、銀を小さなガラス球などの基材上にコーティングする。どちらのアプローチでも、使用される銀の体積を減らしながら、微生物に暴露される銀の表面積を増加させることによって必要とされる銀の量を低減させる。50ppbの、ナノスケールケージに閉じ込められた銀ナノ粒子から放出される銀イオンは、正常な水の状態で抗微生物活性を生じさせるのに十分であると評価される。また、単一の細菌を殺生するために約100個の銀イオンを要すると報告されている。これは、細菌中の酵素ペプチドのおおよその数と一致する。
【0081】
銀-ゼオライト及び銀-ガラスに関しては、2つのメカニズムが提案されている。1つはゼオライトから放出される銀イオン自体の作用であり、もう1つはマトリックス中の銀から生成される反応性酸素種の作用である。銀イオンの殺細菌性効力は、微生物細胞壁のタンパク質に見られるジスルフィド(S-S)及びスルフヒドリル(-SH)基とAgの強力な結合、及び、AgイオンがCa2+又はZn2+などの必須の金属イオンの置換により正常な代謝プロセスを妨害し、細胞死をもたらすことを含む複数のメカニズムにより生じる。研究では、10CFU(コロニー形成単位)/ml)1の大腸菌K12 W-T、黄色ブドウ球菌NCIMB 6571及び緑膿菌NCIMB 8295を含む微生物培養物は、銀装填ゼオライトにより1時間未満で阻害された(生存細胞は検出されなかった)ことを示した。そのような研究はまた、ゼオライト中の僅かに3%の銀イオンが各暴露において放出され、その後の暴露に利用可能な十分な濃度の銀イオンを残すことも明らかにした。
【0082】
図7は、プレート、ギャップ及び可撓性基材の構成要素が、SUPERFABRICの形態のアセンブリなどの布帛アセンブリへと、組み合わされる例示的プロセスを示す概略図である。左側はSUPERFABRICがどのように構成部品から組み立てられているかを示している。側面図は、ガードプレートとギャップとの組み合わせがどのようにSUPERFABRICに通常の布帛の可撓性を与えるかを示している。図面の右側は、耐汚染性及び耐摩耗性に加えて、SUPERFABRICの審美的魅力を与える例示的なガードプレートパターンを示している。
【実施例0083】
【0084】
抗微生物試験結果:
抗微生物性SUPERFABRICのサンプルシートを作製した。プラスチック表面の抗微生物活性を決定するために製造業者が最も頻繁に使用している日本工業規格JIS Z 2801試験方法を用いて、Intertek lab Testing Services, Chemicals&materials, 1 Science Park drive, Singapore118221でSUPERFABRICの抗微生物活性が確認された。この広く認められた方法は、研究機関、大学及び抗微生物剤の製造業者の団体によって策定されたものである。
【0085】
抗微生物性SUPERFABRICサンプル及びクリーンな対照サンプルのシートを試験に使用した。エポキシ組成物を布帛基材上に印刷しそして硬化させて、布帛の表面上で抗微生物剤がガードプレート中に含まれている布帛アセンブリを形成することによって、抗微生物性SUPERFABRICサンプルを形成した。エポキシ配合物は、約3質量%のIrgaguard B5000(BASFからの銀ゼオライト抗微生物剤)を含んでいた。
【0086】
試験の第一の工程は表面の滅菌であり、次いで、大腸菌又は黄色ブドウ球菌の懸濁液の液滴を試験される表面上に直接置く。各微生物の生存細胞数を予め測定した。次に、カバースリップを液滴の上に置き、それによって細菌懸濁液を広げ、それを試験表面と密に接触させたままにする。次に、サンプルを35℃及び湿度90%の一定条件(細菌を増殖させるのに最適な条件)でチャンバー内に置く。これらの条件下で24時間連続してインキュベートした後に、試験を停止し、そして細菌懸濁液をカバースリップ-試験サンプルサンドイッチの間から放出し、生き残った生存細菌細胞数を決定し、初期数と比較する。
【0087】
JIS Z 2801法の強みは、(i)定量的、(ii)3組で実施され、そして(iii)良好な再現性を有することである。
【0088】
実験条件は現実の状況で起こりそうな状態を反映するのではなく、試験される抗微生物表面にとって最良のシナリオである。
【0089】
試験の前と後における、初期の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)数と、対照及び抗微生物性SUPERFABRIC表面上の生存黄色ブドウ球菌数とを、以下の表1に示す:
【表1】
【0090】
表に示すように、対照の表面上の生存細菌数は220,000から11,000,000まで劇的に増加し、これは220,000から6,700に減少した抗微生物性SUPERFABRICの表面上の生存細菌数と著しく対照的である。この結果は、何ら疑いもなく、抗微生物性SUPERFABRIC表面の有効な抗微生物活性を確認している。
【0091】
対照表面及び抗微生物性SUPERFABRIC表面との間の劇的な差異を実証するために、図4は数値試験結果をグラフで示すプロットである。
【0092】
同様に、対照及びSUPERFABRICの表面上の大腸菌(Escherichia coli)微生物の初期数、試験の前と後で測定、を以下の表2に示す:
【表2】
【0093】
抗微生物性SUPERFABRIC表面の微生物減少の百分率を下記の表3に示す。
【表3】
【0094】
抗微生物性SUPERFABRICの摩耗性、切断抵抗性及び耐汚染性試験:
上記のJIS Z2801に合格した抗微生物性SUPERFABRICシートのハードプリントを、同一のスクリーン及び厚さを有する対照SUPERFABRICシートと比較したが、但し、抗微生物性SUPERFABRICシートは抗微生物剤を含有し、一方、対照は抗微生物剤を含有しない。
【0095】
摩耗性は、車輪(ホイール)の両側に1000g荷重を負荷したTABER 5130摩耗機を用いて測定した。ガードプレートが完全に摩耗し、下地の布帛表面が検出されたときに試験を停止した。切断試験は独自の自社作製機を使用して測定した。耐汚染性は、ケチャップとイタリアンドレッシング汚点を表面に1時間残し、その後に、水で徹底的に洗浄し、汚点の除去を観察することによって行った。
【0096】
摩耗試験:
対照及びサンプルの両方について1205サイクルを行い、それぞれ9.91%及び10.02%の%質量減少であった。
【0097】
切断試験:
対照及びサンプルについて、4.5ポンド。
【0098】
耐汚染性:
汚れはサンプル及び対照の両方について完全に洗い流した。
図1a-1g】
図1h-1n】
図1o-1s】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
耐汚染性:
汚れはサンプル及び対照の両方について完全に洗い流した。
以下に、本発明の態様を非限定的に示す。
(態様1)
上面を含む可撓性基材、
前記可撓性基材の前記上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレート、及び、
前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤、
を含む布帛アセンブリであって、前記抗微生物剤は細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、布帛アセンブリ。
(態様2)
前記抗微生物剤は金属形態の金属を含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様3)
前記抗微生物剤は金属形態の金属である、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様4)
前記抗微生物剤は金属ゼオライトを含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様5)
前記抗微生物剤は金属ゼオライトである、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様6)
前記抗微生物剤は金属ガラスを含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様7)
前記抗微生物剤は金属ガラスである、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様8)
前記抗微生物剤は金属塩を含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様9)
前記抗微生物剤は金属塩である、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様10)
前記抗微生物剤は有機物を含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様11)
前記抗微生物剤は有機物である、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様12)
前記抗微生物剤は第四級アンモニウム化合物を含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様13)
前記抗微生物剤は第四級アンモニウム化合物である、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様14)
前記抗微生物剤は天然由来物質を含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様15)
前記抗微生物剤は天然由来物質である、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様16)
前記抗微生物剤は金属形態の金属、金属ゼオライト、金属ガラス、金属塩、有機物、第四級アンモニウム化合物、天然由来物質又はそれらの組み合わせを含む、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様17)
前記ガードプレート材料は前記布帛アセンブリを抗微生物性再生性とするように選択されている、態様1記載の布帛アセンブリ。
(態様18)
前記抗微生物剤は前記複数のガードプレート中に含まれている、態様1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
(態様19)
前記抗微生物剤は前記基材中に含まれている、態様1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
(態様20)
前記抗微生物剤は前記複数のガードプレート上にある、態様1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
(態様21)
前記抗微生物剤は前記基材上にある、態様1~17のいずれか1項記載の布帛アセンブリ。
(態様22)
態様1~21のいずれか1項記載の布帛アセンブリを形成することを含む方法。
(態様23)
前記布帛アセンブリを形成させることは、可撓性基材の上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列された複数のガードプレートを、堆積させることを含み、
該布帛アセンブリは、前記基材及び前記複数のガードプレートの少なくとも1つの中及び/又は上に含まれる1種以上の抗微生物剤を含み、
該抗微生物剤は、細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、態様22記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を含む可撓性基材、
前記可撓性基材の前記上面に付着された複数のガードプレートであって、隣接するプレート間に連続する複数のギャップが画定されるようなパターン状に配列され、硬化エポキシ樹脂から形成され、70~100のショアD硬度を有し、前記基材の耐摩耗性と耐久性を増加させるように構成されている、複数のガードプレート、及び、
前記複数のガードプレート中に含まれる銀ゼオライト又は銀ガラス抗微生物剤、
を含む布帛アセンブリであって、
前記抗微生物剤は、細菌、ウイルス、カビ、真菌類又は藻類のうちの少なくとも1つの前記布帛アセンブリの表面での個体数を減少させるように選択される、布帛アセンブリ。
【請求項2】
前記銀ゼオライト又は銀ガラス抗微生物剤は、銀ゼオライト抗微生物剤を含み、前記銀ゼオライトが、前記ガードプレート中に全ガードプレート組成重量に対して2質量%~7重量%の銀ゼオライトの量で、存在する、請求項1記載の布帛アセンブリ。
【請求項3】
前記複数のガードプレートは、材料が摩耗すると、前記ガードプレートに含まれる新鮮な抗微生物剤を前記ガードプレートの表面に露出させて、前記布帛アセンブリを抗微生物性再生性にするように摩耗する材料から形成されている、請求項1又は2記載の布帛アセンブリ。
【外国語明細書】