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特開2022-48341ファイバ走査システムを改良するための技法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048341
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ファイバ走査システムを改良するための技法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
G02B26/10 109Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015501
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2019550228の分割
【原出願日】2018-03-13
(31)【優先権主張番号】62/471,913
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー マーク ダルリンプル
(72)【発明者】
【氏名】アレジャンドロ ロペス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ケー. ジョーンズ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー シー. デューナー
(57)【要約】
【課題】ファイバ走査システムを改良するための技法の提供。
【解決手段】ファイバ走査システムは、ファイバ走査システムのアクチュエータおよび光ファイバ走査要素の自然周波数を実質的に整合させることによって、最適化された性能を有することができる。自然周波数を整合させることによって、ファイバ走査システムは、光ファイバ走査要素の先端が駆動され得る、静置位置に対する最大距離を増加させることができる。ファイバスキャナの自然周波数を整合させるステップが、より大きい振幅が達成されることを可能にするため、そのような効果が、生産され得る。走査システムの自然周波数が、本システムを不安定にし得る励起周波数を回避するように選択され得ることに留意されたい。このように、本システムは、全体として、同調質量ダンパまたは同調共鳴構造として作用し、それによって、走査性能を改善させながら、安定した走査システムを維持し得る。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバ走査システムであって、
アクチュエータ自然周波数を有するように構成されているアクチュエータと、
前記アクチュエータに結合されている光ファイバ走査要素であって、前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータ自然周波数の10%以内であるファイバ自然周波数を有するように構成されており、前記ファイバ自然周波数は、前記光ファイバ走査要素が駆動力または減衰力がない状態で発振する傾向にある周波数であり、前記周波数は、前記アクチュエータから独立である、または、前記アクチュエータとは別個であり、前記光ファイバ走査要素の変位ゲインは、動作周波数の関数として、前記ファイバ自然周波数より小さい第1の共振周波数における第1のピーク値と、前記ファイバ自然周波数より大きい第2の共振周波数における第2のピーク値とを示す、光ファイバ走査要素と
を備える、ファイバ走査システム。
【請求項2】
前記第1のピーク値および前記第2のピーク値は、前記ファイバ自然周波数における前記光ファイバ走査要素の変位ゲインよりも大きい、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項3】
前記アクチュエータが前記アクチュエータ自然周波数に等しい動作周波数で駆動されるとき、前記アクチュエータの変位ゲインはゼロである、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項4】
前記アクチュエータが前記アクチュエータ自然周波数に等しい動作周波数で駆動されるとき、前記アクチュエータの移動はゼロであり、かつ、前記光ファイバ走査要素の移動は最大限にされる、請求項3に記載のファイバ走査システム。
【請求項5】
前記ファイバ自然周波数と前記アクチュエータ自然周波数との間の差異は、前記アクチュエータ自然周波数の約10%以下または約20%以下である、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、圧電管を備える、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項7】
前記アクチュエータは、中心軸を有する円筒形幾何学形状を有し、前記光ファイバ走査要素は、前記中心軸に沿って前記アクチュエータを通過する、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項8】
前記光ファイバ走査要素は、マルチコア光ファイバを備える、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項9】
前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータの中心位置において前記アクチュエータに結合されている、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項10】
前記光ファイバ走査要素の外径は、前記中心位置における前記アクチュエータの内径より小さい、請求項9に記載のファイバ走査システム。
【請求項11】
前記光ファイバ走査要素を囲繞し、かつ、前記光ファイバ走査要素に接触する保定カラーをさらに備える、請求項10に記載のファイバ走査システム。
【請求項12】
前記光ファイバ走査要素と前記アクチュエータとを結合する中間要素をさらに備える、請求項1に記載のファイバ走査システム。
【請求項13】
ファイバ走査システムを動作させる方法であって、前記方法は、
アクチュエータと、前記アクチュエータに結合されている光ファイバ走査要素とを含む前記ファイバ走査システムを構成することであって、前記ファイバ走査システムを構成することは、
前記アクチュエータがアクチュエータ自然周波数を有するように前記アクチュエータを構成することと、
前記光ファイバ走査要素が前記アクチュエータ自然周波数の10%以内であるファイバ自然周波数を有するように前記光ファイバ走査要素を構成することであって、前記ファイバ自然周波数は、前記光ファイバ走査要素が駆動力または減衰力がない状態で発振する傾向にある周波数であり、前記周波数は、前記アクチュエータから独立である、または、前記アクチュエータとは別個である、ことと
によって行われる、ことと、
第1の周波数から第2の周波数までに及ぶ動作周波数の範囲を決定することであって、前記第1の周波数は、前記ファイバ自然周波数よりも小さく、前記第2の周波数は、前記ファイバ自然周波数よりも大きい、ことと、
前記アクチュエータを前記動作周波数の範囲内の動作周波数で駆動することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記動作周波数の範囲を決定することは、前記光ファイバ走査要素の変位ゲインが前記動作周波数の範囲内の所定の値よりも大きくなるように、前記第1の周波数および前記第2の周波数を決定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の値は、前記ファイバ自然周波数において前記光ファイバ走査要素の変位ゲイン以上である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
動作周波数の関数としての前記光ファイバ走査要素の変位ゲインは、第1の共振周波数における第1のピーク値および第2の共振周波数における第2のピーク値を示し、前記第1の共振周波数および前記第2の共振周波数は、前記動作周波数の範囲内にある、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のピーク値および前記第2のピーク値は、前記ファイバ自然周波数における前記光ファイバ走査要素の変位ゲインよりも大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記動作周波数は、前記第1の共振周波数と前記第2の共振周波数との間である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記動作周波数は、前記第1の共振周波数または前記第2の共振周波数におけるものである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記動作周波数は、前記ファイバ自然周波数におけるものである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年3月15日に出願され“DYNAMIC ABSORBER MODE FIBER SCANNER”と題された米国仮特許出願第62/471,913号に対する優先権を主張するものであり、該米国仮特許出願の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
画像プロジェクタは、ユーザが視聴するための画像(または動画像)を投影する、光学デバイスであり得る。近年の革新により、頭部搭載型デバイスが画像プロジェクタを含むことが可能にされている。そのような画像プロジェクタは、頭部搭載型デバイスを装着するユーザの眼に画像を投影することができる。しかしながら、頭部搭載型デバイスと併用されるように十分に小さい画像プロジェクタは、典型的には、狭い視野を伴う画像を投影する。したがって、画像プロジェクタを頭部搭載型デバイスと併用するための、改良された設計に関する技術の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
提供されるものは、ファイバ走査システムの改良された設計のための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品である。例えば、ファイバ走査システムの性能は、ファイバ走査システムのアクチュエータおよび光ファイバ走査要素の自然周波数を実質的に整合させることによって、最適化されることができる。自然周波数を整合させることによって、ファイバ走査システムは、光ファイバ走査要素の先端が駆動され得る、光ファイバ走査要素の静置位置に対する最大距離を増加させることができる。ファイバスキャナの自然周波数を整合させるステップが、より大きい振幅が達成されることを可能にするため、そのような効果が、生産され得る。走査システムの自然周波数が、本システムを不安定にし得る励起周波数を回避するように選択され得ることに留意されたい。このように、本システムは、全体として、発振器のための同調動吸振器またはモードエネルギー伝達オプティマイザとして挙動し、それによって、走査性能を改善させながら、安定した走査システムを維持し得る。
【0004】
本発明のある実施形態によると、ファイバ走査システムの視野を増加させるための方法が、提供される。本方法は、(1)第1のアクチュエータ自然周波数によって特徴付けられる、アクチュエータと、(2)第1のアクチュエータ自然周波数の閾値内である第1のファイバ自然周波数によって特徴付けられる、光ファイバ走査要素とを選択することによって、同調動吸振器として挙動するように、ファイバ走査システムを構成するステップを含む。代替として、本方法は、(1)第2のファイバ自然周波数によって特徴付けられる、光ファイバ走査要素と、(2)第2のアクチュエータ自然周波数の閾値内である第2のアクチュエータ自然周波数によって特徴付けられる、アクチュエータとを選択することによって、同調動吸振器として挙動するように、ファイバ走査システムを構成するステップを含む。本方法はまた、ファイバ走査システムをある動作周波数で駆動するステップを含む。
【0005】
別の実施形態によると、ファイバ走査システムの視野を増加させるための方法が、提供される。本方法は、(1)あるアクチュエータ自然周波数によって特徴付けられる、アクチュエータと、(2)アクチュエータ自然周波数の閾値内であるファイバ自然周波数によって特徴付けられる、光ファイバ走査要素とを提供することによって、同調動吸振器として挙動するように、ファイバ走査システムを構成するステップを含む。第1の変位ゲインは、ファイバ自然周波数におけるファイバ走査システムの動作と関連付けられる。本方法はまた、動作周波数の範囲を決定するステップを含む。範囲は、ファイバ自然周波数を下回り、かつ第1の変位ゲインと関連付けられる、第1の動作周波数から、ファイバ自然周波数を上回り、かつ第1の変位ゲインと関連付けられる、第2の動作周波数までに及ぶ。本方法はさらに、アクチュエータを範囲内の動作周波数で駆動するステップを含む。
【0006】
いくつかの実施例では、ファイバ走査システムは、アクチュエータ(例えば、圧電管)と、光ファイバ走査要素とを含むことができる。そのような実施例では、ファイバ走査システムは、(アクチュエータの)アクチュエータ自然周波数が(光ファイバ走査要素の)ファイバ自然周波数を整合させるように決定され得るように、最適化されることができる。このように、アクチュエータからのエネルギーが、光ファイバ走査要素により効率的に伝達され、光ファイバ走査要素の全体的偏向を増加させることができ、これは、ファイバ走査システムのためのより幅広い視野を提供することができる。
【0007】
本開示を用いて、従来の技法に優る多数の利点が、達成される。例えば、本開示の実施形態は、所与のエネルギー入力のための光ファイバ走査要素の先端の増加される偏向を提供し、走査ファイバシステムの視野を増加させる。
【0008】
提供されるものは、ファイバ走査システムである。例えば、ファイバ走査システムは、あるアクチュエータ自然動作周波数によって特徴付けられる、アクチュエータ(例えば、圧電管)と、アクチュエータに結合される、光ファイバ走査要素とを含むことができる。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素は、アクチュエータ自然周波数を整合させるように決定される、あるファイバ自然周波数によって特徴付けられることができる。圧電管を伴う実施例では、圧電管は、中心軸を有する、円筒形幾何学形状を有することができ、光ファイバ走査要素は、中心軸に沿って圧電管を通過する。
【0009】
いくつかの実施例では、アクチュエータの1つ以上の属性は、アクチュエータ自然動作周波数を生産するように構成されることができる。そのような実施例では、1つ以上の属性のうちのある属性は、ヤング率、断面二次モーメント、密度、断面積、長さ、またはあるモード定数であり得る。
【0010】
いくつかの実施例では、アクチュエータ自然周波数およびファイバ自然周波数は、閾値(例えば、10パーセント)内に整合されることができる。そのような実施例では、アクチュエータ自然動作周波数は、光ファイバ走査要素がアクチュエータと別個であるとき、アクチュエータを特徴付けることができる。
【0011】
また、提供されるものは、ファイバ走査システムのための視野を増加させるための方法である。例えば、本方法は、あるアクチュエータ自然動作周波数によって特徴付けられる、アクチュエータを提供するステップを含むことができる。いくつかの実施例では、ファイバ走査システムは、アクチュエータを含むことができる。本方法はさらに、アクチュエータに結合される、光ファイバ走査要素を提供するステップを含むことができる。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素は、アクチュエータ自然周波数を整合させるように決定される、あるファイバ自然周波数によって特徴付けられることができる。そのような実施例では、ファイバ走査システムはさらに、光ファイバ走査要素を含むことができる。本方法はさらに、アクチュエータをある動作周波数で駆動するステップを含む。
【0012】
いくつかの実施例では、ファイバ走査システムの変位ゲインは、アクチュエータ自然周波数を境界する2つの分裂周波数ピークによって特徴付けられることができる。そのような実施例では、動作周波数は、周波数ピークの第1のピークの近傍にある(すなわち、その閾値内の周波数である)ことができ、第1のピークは、アクチュエータ自然周波数を下回る。他の実施例では、動作周波数は、周波数ピークの第2のピークの近傍にある(すなわち、その閾値内の周波数である)ことができ、第2のピークは、アクチュエータ自然周波数より高い。他の実施例では、動作周波数は、アクチュエータ自然周波数の近傍にある(すなわち、その閾値内の周波数である)ことができる。いくつかの実施例では、アクチュエータは、正弦波電圧によって駆動されることができる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
ファイバ走査システムの視野を増加させるための方法であって、前記方法は、
同調動吸振器として挙動するように前記ファイバ走査システムを構成することであって、前記ファイバ走査システムを構成することは、
(1)アクチュエータ自然周波数によって特徴付けられるアクチュエータと、(2)前記アクチュエータ自然周波数の閾値内であるファイバ自然周波数によって特徴付けられる光ファイバ走査要素とを提供することであって、第1の変位ゲインは、前記ファイバ自然周波数における前記ファイバ走査システムの動作と関連付けられる、ことと、
動作周波数の範囲を決定することであって、前記範囲は、前記ファイバ自然周波数を下回り、かつ前記第1の変位ゲインと関連付けられる第1の動作周波数から、前記ファイバ自然周波数を上回り、かつ前記第1の変位ゲインと関連付けられる第2の動作周波数までに及ぶ、ことと、
前記アクチュエータを前記範囲内の動作周波数で駆動することと
によって行われる、こと
を含む、方法。
(項目2)
前記動作周波数は、前記ファイバ自然周波数を下回る第1の共振周波数に対応し、
前記動作周波数における変位ゲインは、前記第1の変位ゲインを上回る、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記動作周波数は、前記ファイバ自然周波数を上回る第2の共振周波数に対応し、
前記動作周波数における変位ゲインは、前記第1の変位ゲインを上回る、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ファイバ走査システムは、2つの分裂周波数ピークによって特徴付けられ、第1の周波数ピークは、前記ファイバ自然周波数を下回る周波数を有し、第2の周波数ピークは、前記ファイバ自然周波数を上回る周波数を有し、
前記動作周波数は、前記第1の周波数ピーク以上であり、かつ前記第2の周波数ピーク以下である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記第1の変位ゲインは、前記ファイバ自然周波数と関連付けられる、項目1に記載の方法。
(項目6)
ファイバ走査システムであって、
アクチュエータ自然動作周波数によって特徴付けられるアクチュエータと、
前記アクチュエータに結合される光ファイバ走査要素であって、前記光ファイバ走査要素は、アクチュエータ自然周波数を前記アクチュエータ自然周波数の閾値内に整合させるように構成されるファイバ自然周波数によって特徴付けられる、光ファイバ走査要素とを備える、ファイバ走査システム。
(項目7)
前記アクチュエータは、圧電管を備える、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目8)
前記アクチュエータ自然周波数は、前記光ファイバ走査要素が前記アクチュエータと別個であるとき、前記アクチュエータを特徴付ける、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目9)
前記アクチュエータは、中心軸を有する円筒形幾何学形状を有し、前記光ファイバ走査要素は、前記中心軸に沿って前記アクチュエータを通過する、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目10)
前記光ファイバ走査要素は、マルチコアファイバを備える、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目11)
前記光ファイバ走査要素は、片持ち支持される、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目12)
前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータの中心位置において前記アクチュエータに結合される、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目13)
前記中心位置における前記光ファイバ走査要素の外径は、前記中心位置における前記アクチュエータの内径より小さい、項目12に記載のファイバ走査システム。
(項目14)
前記光ファイバ走査要素を囲繞し、かつそれと接触する保定カラーをさらに備える、項目13に記載のファイバ走査システム。
(項目15)
前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータに機械的に結合される、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目16)
前記光ファイバ走査要素と前記アクチュエータとの間に中間要素をさらに備える、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目17)
前記光ファイバ走査要素は、固定構成で前記アクチュエータに結合され、固定された端部における回転および変位を不可能にする、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目18)
前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータに結合され、前記光ファイバ走査要素の回転を可能にする、項目6に記載のファイバ走査システム。
(項目19)
前記光ファイバ走査要素は、前記アクチュエータに結合され、さらに、前記光ファイバ走査要素の変位を可能にする、項目18に記載のファイバ走査システム。
(項目20)
ファイバ走査システムのための視野を増加させるための方法であって、前記方法は、
アクチュエータ自然動作周波数によって特徴付けられるアクチュエータを提供することであって、前記ファイバ走査システムは、前記アクチュエータを含む、ことと、
前記アクチュエータに結合される光ファイバ走査要素を提供することであって、前記光ファイバ走査要素は、アクチュエータ自然周波数を前記アクチュエータ自然周波数の閾値内に整合させるように構成されるファイバ自然周波数によって特徴付けられ、前記ファイバ走査システムはさらに、前記光ファイバ走査要素を含む、ことと、
前記アクチュエータを動作周波数で駆動することと
を含む、方法。
(項目21)
前記ファイバ走査システムの変位ゲインは、前記アクチュエータ自然周波数を境界する2つの分裂周波数ピークによって特徴付けられる、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記動作周波数は、前記2つの分裂周波数ピークの第1のピークの閾値内であり、前記第1のピークは、前記アクチュエータ自然周波数を下回る、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記動作周波数は、前記2つの分裂周波数ピークの第2のピークの閾値内であり、前記第2のピークは、前記アクチュエータ自然周波数を上回る、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記動作周波数は、前記2つの分裂周波数ピークの間である、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記アクチュエータは、正弦波電圧によって駆動される、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記アクチュエータの1つ以上の属性は、前記アクチュエータを前記アクチュエータ自然周波数によって特徴付けさせるように構成され、前記1つ以上の属性のうちの属性は、ヤング率、断面二次モーメント、密度、断面積、長さ、またはモード定数である、項目20に記載の方法。
(項目27)
前記アクチュエータ自然周波数は、前記光ファイバ走査要素が前記アクチュエータと別個であるとき、前記アクチュエータを特徴付ける、項目20に記載の方法。
(項目28)
前記光ファイバ走査要素の先端は、光を投影し、画像を生成するように構成される、項目20に記載の方法。
(項目29)
前記アクチュエータを駆動することは、前記光ファイバ走査要素を走査させ、複数の入射角と、交点とを用いて、導波管によって眼まで中継される、一連のビームレットを作成する、項目20に記載の方法。
(項目30)
前記アクチュエータを駆動させることは、前記光ファイバ走査要素を渦巻状パターンで走査させる、項目20に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
例証的実施形態が、以下の図を参照して下記に詳細に説明される。
【0014】
図1図1は、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのある実施例を図示する。
【0015】
図2図2は、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムを使用する画像プロジェクタのある実施例を図示する。
【0016】
図3図3は、本開示のある実施形態による、可動ファイバ走査システムによって形成される、渦巻状パターンのある実施例を図示する。
【0017】
図4A図4Aは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための動吸振器設計の断面のある実施例を図示する。
【0018】
図4B図4Bは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための代替設計の断面のある実施例を図示する。
【0019】
図4C図4Cは、ハブおよびプレートを示す、ファイバ走査システムの断面のある実施例を図示する。
【0020】
図5A図5Aは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための代替設計に関する、ボード線図のある実施例を図示する。
【0021】
図5B図5Bは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための動吸振器設計に関する、ボード線図のある実施例を図示する。
【0022】
図5C図5Cは、本開示のある実施形態による、光ファイバ走査要素のための動吸振器設計および代替設計の比較に関する、ボード線図のある実施例を図示する。
【0023】
図5D図5Dは、本開示のある実施形態による、アクチュエータのための動吸振器設計および代替設計の比較に関する、ボード線図のある実施例を図示する。
【0024】
図6図6は、ファイバ走査システムのための視野を増加させるためのプロセスのある実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、説明の目的のために、具体的な詳細が、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、種々の実施形態が、これらの具体的な詳細なく実践され得ることが明白となるであろう。図および説明は、制限的であるように意図されない。
【0026】
続く説明は、例示的実施形態のみを提供し、本開示の範囲、可用性、または構成を限定するように意図されない。むしろ、例示的実施形態の続く説明は、例示的実施形態を実装するための実行可能な説明を当業者に提供するであろう。例えば、説明は、圧電管を説明する場合があるが、任意のタイプのアクチュエータもまた、使用され得ることを認識されたい。種々の変更が、添付の請求項で述べられているような本開示の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配列において成され得ることもまた、理解されたい。
【0027】
画像プロジェクタは、ユーザが視聴するための画像(または動画像)を投影する、光学デバイスであり得る。いくつかの実施例では、画像プロジェクタは、光の形態の画像をユーザの1つ以上の眼の中に投影することができる。そのような実施例では、画像プロジェクタは、1つ以上のファイバ走査システムの形態であることができ、これはそれぞれ、光ファイバ走査要素およびアクチュエータを使用して、種々のパターン(例えば、ラスタ走査、渦巻状走査、リサージュなど)で、ユーザの1つ以上の眼の中に光を投影することができる。光を投影することに加え、ファイバ走査システムは、放出される光を受光することができる。特に、光を投影する同一のファイバ走査システムが、光を受光するために使用されてもよい。
【0028】
図1は、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システム100のある実施例を図示する。ファイバ走査システム100は、アクチュエータ110(圧電管等)と、光ファイバ走査要素120(例えば、単一ファイバまたはマルチコア光ファイバ走査要素)とを含むことができる。いくつかの実施例では、アクチュエータ110は、光ファイバ走査要素120に結合され、光ファイバ走査要素120を片持ち支持させることができる。そのような実施例では、アクチュエータ110は、ユーザの1つ以上の眼に光を投影するために、光ファイバ走査要素120の先端を走査する(または移動させる)ために使用されてもよい。
【0029】
図2は、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システム200を使用する画像プロジェクタのある実施例を図示する。いくつかの実施例では、ファイバ走査システム200は、(図1のアクチュエータ110と相関し得る)アクチュエータ210と、(図1の光ファイバ走査要素120と相関し得る)光ファイバ走査要素220とを含むことができる。そのような実施例では、光ファイバ走査要素220は、アクチュエータ210によって走査され、複数の入射角と、交点とを用いて、導波管230によって眼240まで中継される、一連のビームレットを作成することができる。例えば、コリメートされたライトフィールド画像が、導波管230の中に投入され、眼240まで平行移動されることができる。
【0030】
図3は、本開示のある実施形態による、可動ファイバ走査システムによって形成される、渦巻状パターンのある実施例を図示する。特に、渦巻状部310は、マルチコア光ファイバ走査要素330を図示し、渦巻状部320は、単一光ファイバ走査要素340を図示する。いくつかの実施例では、一定パターンのピッチが、均一な表示分解能を提供することができる。そのような実施例では、ピッチは、マルチコア光ファイバ走査要素330の起点からの共通ベクトルに沿った連続する渦巻き状経路の間の距離であり得る。
【0031】
図4Aは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システム400のための動吸振器設計の断面のある実施例を図示する。ファイバ走査システム400は、(図1のアクチュエータ110と相関し得る)アクチュエータ410を含むことができる。ファイバ走査システム400はまた、(図1の光ファイバ走査要素120と相関し得る)光ファイバ走査要素420を含むことができる。下記に説明されるように、光ファイバ走査要素420は、ファイバ走査表示システムの走査ファイバとして利用されることができる。
【0032】
図4Aでは、ファイバ走査システムのアクチュエータが、圧電管として実装され、明確化のため、本明細書における議論は、用語「圧電管」を利用するが、本開示の実施形態は、圧電管以外のアクチュエータも利用し得ることを理解されたい。例えば、ボイスコイルアクチュエータ、熱アクチュエータ、静電駆動型アクチュエータ、電磁アクチュエータなどもまた、使用されることができる。故に、圧電管の説明は、アクチュエータのより一般的なクラスの説明を含むことが理解されるべきであり、本開示は、圧電管として実装されるアクチュエータに限定されないことが理解されるべきである。
【0033】
図4Aに図示される例示的実施形態では、アクチュエータ410は、円筒形幾何学形状によって特徴付けられる。加えて、光ファイバ走査要素420は、光ファイバ走査要素420の中心軸に沿ってアクチュエータ410を通過し、中心位置412において、アクチュエータ410に機械的に結合される。光ファイバ走査要素420は、中心位置412、すなわち、ゼロ半径の半径方向位置においてアクチュエータ410に結合されるが、これは、本開示によって要求されず、他の結合位置もまた、本開示の実施形態に従って利用されることができる。したがって、光ファイバ走査要素420は、アクチュエータ410の他の場所にも結合され得ることを認識されたい。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420は、エポキシを使用して、アクチュエータ410に結合されることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、ファイバ走査システム400はさらに、光ファイバ走査要素420とアクチュエータ410との間に中間要素を含むことができる。そのような実施例では、中間要素は、溶融シリカフェルールまたは微細加工された(例えば、溶融シリカまたは単結晶シリコン)継手であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、中心位置412における光ファイバ走査要素420の外径および中心位置412におけるアクチュエータ410の内径は、同一であることができる。他の実施例では、直径は、異なり得る(すなわち、外径は、内径より小さくあり得る)。そのような実施例では、保定カラーが、光ファイバ走査要素420を囲繞し、かつそれと接触するように使用されることができる。
【0036】
いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420は、エポキシ、充填剤入りエポキシ(例えば、カーボンナノチューブ、ナノゴム、グラフェン、ナノシリカ添加剤など)、はんだガラス、はんだ、任意の接着剤などを使用して、アクチュエータ410に結合されることができる。
【0037】
いくつかの実施例では、アクチュエータ410は、(下記に説明されるような)アクチュエータ410の1つ以上の属性に基づいて、ある自然周波数(時として、アクチュエータ自然周波数または固有周波数と称される)を有することができる。アクチュエータ自然周波数は、(Mechanical Vibrations, Third Addition, pg. 53, Rao S.S.,Addison-Wesley Publishing Company, New York, 1995において説明されるように)アクチュエータ410が、初期擾乱後、それ自体で振動するように残される外力のない状態で発振する、ある周波数として説明されることができる。いくつかの実施例では、アクチュエータ自然周波数は、光ファイバ走査要素420と別個である、アクチュエータ410の特性である。
【0038】
いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420はまた、自然周波数(時として、ファイバ自然周波数と称される)を有することができる。ファイバ自然周波数(時として、ファイバ共鳴周波数と称される)は、(アクチュエータ410から独立したまたはそれと別個である)光ファイバ走査要素420が任意の駆動または減衰力のない状態で発振する傾向にある、ある周波数であり得る。ファイバ自然周波数は、アクチュエータ自然周波数と同一であるまたはそれと異なり得る。いくつかの実施例では、ファイバ自然周波数は、(図4Bに示されるような)アクチュエータの自然周波数をはるかに下回り得る。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420は、その発振周波数がアクチュエータ自然周波数に整合するとき、より多くのエネルギーを吸収することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、ファイバ走査システム400は、光ファイバ走査要素420がアクチュエータ410と別個であるまたはそれから独立しているとき、ファイバ自然周波数がアクチュエータ自然周波数の閾値(例えば、10%)内であり得るように最適化されることができる。自然周波数を閾値内に整合させることによって、アクチュエータ410からのエネルギーが、光ファイバ走査要素420により効率的に伝達され、光ファイバ走査要素420のより大きい全体的偏向を得ることができ、これは、画像のためのより大きい(またはより幅広い)視野をもたらすことができる。アクチュエータ自然周波数とファイバ自然周波数との間の同等性またはそれらを整合させることは、本明細書に説明されるように、アクチュエータ410から光ファイバ走査要素420への効率的なエネルギー伝達を可能にすることができる。同等性または整合させることは、10%の閾値に関連して議論されるが、これは、本開示によって要求されていない。いくつかの実施例では、閾値は、10%を下回る(例えば、5%、2%、1%などである)。他の実施例では、閾値は、10%を上回る(例えば、15%、20%などである)。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0040】
上記に言及されるように、アクチュエータ自然周波数は、アクチュエータ410の1つ以上の属性に基づくことができる。いくつかの実施例では、1つ以上の属性は、アクチュエータ自然周波数がファイバ自然周波数に整合する(その閾値内である)ように決定されるように、調節されることができる。そのような実施例では、アクチュエータ410の1つ以上の属性は、限定ではないが、ヤング率、断面二次モーメント、密度、断面積、長さ、またはあるモード定数を含むことができる。アクチュエータ自然周波数は、
【化1】
(式中、fは、アクチュエータ410の自然周波数であり得、βは、モード定数であり得、Lは、アクチュエータ410の長さであり得、iは、モード数を表す整数であり得、Eは、アクチュエータ410のヤング率であり得、Iは、アクチュエータ410の断面二次モーメントであり得、ρは、アクチュエータ410の密度であり得、Aは、アクチュエータ410の断面積であり得る)として表現されることができる。いくつかの実施例では、モード定数は、境界条件の関数およびモード調和指数(例えば、第1のモード、第2のモード等)であることができる。境界条件は、光ファイバ走査要素がその端部に取り付けられる方法であり得る。いくつかの実施例では、取付は、固定された端部における回転および変位がないことを示す、固定式であることができる。他の実施例では、取付は、回転が可能にされる変位がないことを示す、単純なものであることができる。他の実施例では、取付は、回転および変位が両方可能にされることを示す、支持のないものであることができる。
【0041】
1つの例証的実施例では、アクチュエータ自然周波数およびファイバ自然周波数はそれぞれ、約25,000ヘルツ(Hz)であることができる。そのような実施例では、アクチュエータ410の長さは、3.903ミリメートル(mm)であることができ、光ファイバ走査要素420の長さは、1.970mmであることができる。アクチュエータ410および光ファイバ走査要素420の他の寸法は、圧電管外径(OD)(例えば、888マイクロメートル(μm))、圧電管内径(ID)(例えば、296μm)、光ファイバ走査要素420の直径(例えば、125μm)、継手撓曲プレート厚(例えば、70μm)(プレートは、図4Cに図示される)、継手撓曲ハブ厚(例えば、40μm)(ハブは、図4Cに図示される)、および公称励起電圧(例えば、100μm)を含み得る。しかしながら、寸法および属性は、特定の用途および/またはアクチュエータに応じて異なり得ることを認識されたい。
【0042】
いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420が、アクチュエータ410に追加され、ファイバ走査システムを形成するとき、ファイバ走査システムの自然周波数は、アクチュエータ自然周波数またはファイバ自然周波数のいずれか一方を下回り得る。例えば、ファイバ走査システムの自然周波数は、光ファイバ走査要素420の追加された質量のため、アクチュエータ自然周波数に対して減少し得る。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素420がアクチュエータ410と組み合わせられると、ファイバ走査システムの自然周波数は、光ファイバ走査要素420およびアクチュエータ410のモード質量比の関数になり得る。いくつかの実施例では、動吸振器設計に関するモード質量比は、1:1であり得、アクチュエータ410は、光ファイバ走査要素420に等しいモード質量を有する。
【0043】
いくつかの実施例では、アクチュエータ410は、特定の周波数または特定の周波数範囲で駆動されることができ、これは、動作周波数と称され得る。そのような実施例では、アクチュエータ410は、正弦波電圧によって駆動されることができる。アクチュエータ410が駆動される動作周波数は、アクチュエータ410がそれ自体の移動を低減させるようなものであり得る。例えば、アクチュエータ410は、その自然周波数で駆動されることができる。アクチュエータ410の移動を最小限にすることによって、エネルギーが、アクチュエータ410によって貯蔵されることができ、これは、次いで、反力を通して光ファイバ走査要素420に伝達され、光ファイバ走査要素420のより大きい全体的偏向を得ることができる。故に、アクチュエータがその自然周波数で駆動され、光ファイバ走査要素の増加される偏向を生産する、本発明の実施形態は、特に、同調動吸振器の動作周波数が振動を低減させるために共振周波数から有意に異なる、従来のシステムと著しく対照的である。光ファイバ走査要素の発振(すなわち、偏向)を低減するのではなく、本発明の実施形態は、従来のシステム動作とは対照的に、偏向範囲を増加させる。
【0044】
図4Bは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための代替設計の断面のある実施例を図示する。代替設計は、アクチュエータ440および光ファイバ走査要素450のための異なる自然周波数を有することができる。特に、アクチュエータ自然周波数は、約50,000Hzであることができる一方、ファイバ自然周波数は、約25,000Hz(これは、アクチュエータ自然周波数の半分である)であることができる。いくつかの実施例では、代替設計におけるアクチュエータの長さは、2.767mmであることができ、光ファイバ走査要素450の長さは、1.970mmであることができる。いくつかの実施例では、代替設計のためのモード質量比は、2:1であることができ、アクチュエータ440は、光ファイバ走査要素450の2倍のモード質量を有することができる。
【0045】
図5Aは、本開示のある実施形態による、ファイバ走査システムのための代替設計に関する、ボード線図のある実施例を図示する。図5Aに図示されるボード線図は、光ファイバ走査要素の自然周波数がアクチュエータの自然周波数の半分である上記の図4Bに関連して議論される、ファイバ走査システムの代替設計と相関する。図5Aのボード線図は、ファイバ走査システムの構成要素(例えば、アクチュエータ440および/または光ファイバ走査要素450)のための周波数応答および位相角を説明することができる。いくつかの実施例では、ボード線図は、1つ以上の線形モデルを使用して生成されることができる。しかしながら、ボード線図は、1つ以上の非線形モデルを使用して生成され得ることもまた、認識されたい。
【0046】
特に、第1のボード線図は、ある電圧によってアクチュエータに印加される周波数に関連して、アクチュエータ(例えば、圧電管プロット520)および光ファイバ走査要素(例えば、ファイバプロット510)のための変位ゲインをグラフ化し得る。いくつかの実施例では、変位ゲインは、光ファイバ走査要素の先端および/またはアクチュエータの先端と関連し得る。そのような実施例では、変位ゲインは、以下の方程式、すなわち、
【化2】
(式中、δは、ファイバ走査システムの動的値を指し、1は、ファイバ走査システムの静的値の近似値を指す)を使用して算出されることができる。そのような実施例では、静的値は、ファイバ走査システムのための予期される静的偏向であり得る、1に正規化されることができる。いくつかの実施例では、静的値は、直流(DC)電位が印加されるときのアクチュエータの変位量であり得る。そのような実施例では、アクチュエータの位置は、時間に伴って変化し得ない。いくつかの実施例では、動的値は、交流(AC)電位が印加されるときのアクチュエータの変位量であり得る。
【0047】
図5Aの第1のボード線図を参照すると、ファイバプロット510は、光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインが、アクチュエータに印加されている周波数が光ファイバ走査要素の自然周波数(例えば、25,000Hz)に到達するまで増加し得ることを示し得る。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素の変位ゲインは、周波数がファイバ自然周波数に接近するにつれて、より大きい率で増加することができる。ファイバプロット510がファイバ自然周波数に到達した後、光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインは、(例えば、漸近的に)減少し得る。
【0048】
圧電管プロット520は、アクチュエータの先端の変位ゲインもまた、アクチュエータに印加されている周波数がファイバ自然周波数に到達するまで増加することを示し得る。いくつかの実施例では、アクチュエータの周波数は、光ファイバ走査要素の変位ゲインが特定の量に到達するまで、対数目盛上で比較的に線形の率で増加することができる。いったん光ファイバ走査要素の変位ゲインが特定の量に到達すると、より多くのエネルギーが、アクチュエータから光ファイバ走査要素に伝達され、アクチュエータの変位ゲインを光ファイバ走査要素の変位ゲインが特定の量に到達する前より多い率で増加させることができる。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素からアクチュエータへのエネルギー伝達は、光ファイバ走査要素の反力のアクチュエータへの伝達が、光ファイバ走査要素が被り得る変位ゲインを減少させるため、有利ではない。
【0049】
いったんアクチュエータに印加されている周波数がファイバ自然周波数に到達すると、アクチュエータの変位ゲインは、約-10に低下し得、これは、
【化3】
に等しく、0.31に等しい出力/入力をもたらし、動的応答が静的応答の31%であることを示し得る。アクチュエータの変位ゲインが低下した後、アクチュエータの変位ゲインは、特定の量に増加し(周波数の関数としての変位の振幅の変化率は、線形システムの次数によって決定され得る)、次いで、アクチュエータに印加されている周波数がアクチュエータ自然周波数(例えば、50,000Hz)に到達するまで、(上記に説明される特定の量の前の率に類似する率で)増加し続けることができる。アクチュエータに印加されている周波数がアクチュエータの自然周波数に到達した後、アクチュエータの変位ゲインは、(例えば、漸近的に)減少することができる。
【0050】
第2のボード線図は、ある電圧によってアクチュエータに印加される周波数に関連して、アクチュエータ(例えば、圧電管540)および光ファイバ走査要素(ファイバプロット530)のための位相角をグラフ化し得る。位相角は、周波数入力に対するアクチュエータおよび光ファイバ走査要素の応答の間の関係を示し得る。いくつかの実施例では、位相角は、典型的には、コマンド信号と物理的応答との間の時間遅延を示し得る。そのような実施例では、位相角は、ファイバ走査システムの可制御性を示し得る。
【0051】
図5Bは、本開示のある実施形態による、(ファイバ自然周波数がアクチュエータ自然周波数にほぼ整合され得る、上記の図4Aに図示されるような)ファイバ走査システムのための動吸振器設計に関する、ボード線図のある実施例を図示する。図5Aに関して上記に説明されるようなものと同様に、ボード線図は、ファイバ走査システムの構成要素(例えば、アクチュエータ410および/または光ファイバ走査要素420)のための周波数応答および位相角を説明することができる。
【0052】
図5Bの第1のボード線図を参照すると、ファイバプロット550は、光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインが、ファイバプロット550内の2つのピークによって特徴付けられ得ることを示し得る。2つのピークは、同一の周波数を有する光ファイバ走査要素およびアクチュエータの両方を伴う単一の機械的システムの中に光ファイバ走査要素およびアクチュエータをともに組み合わせることによってもたらされる、モード分裂を表し得る。特に、アクチュエータの第1の共振モードは、アクチュエータ自然周波数より低い周波数において形成される、第1のピーク(時として、第1の共振周波数552と称される)と関連付けられることができる。加えて、光ファイバ走査要素の第2の共振モードは、ファイバ自然周波数より高い周波数において形成される、第2のピーク(時として、第2の共振周波数554と称される)と関連付けられることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインは、図5Bに図示されるように、第1のピークと第2のピークとの間で減少し得る。変位ゲインの減少は、ファイバ自然周波数における光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインを、ピークのうちのいずれか一方を下回らせ得るが、しかしながら、変位ゲインは、ピーク値から減少されるが、依然として、(図5Aに図示されるように)ファイバ自然周波数における代替設計の光ファイバ走査要素の先端の変位ゲインより高くあり得る。いくつかの実施例では、ファイバプロット550におけるピークの間の距離は、モード質量比の関数であることができる。例えば、アクチュエータがより大きいモード質量を有する場合、第1のピークと第2のピークとの間に、より少ない分離が、存在し得る。加えて、ピークのそれぞれの形状は、ファイバ走査システムの減衰に基づくことができる。例えば、ピークのうちの1つは、他のピークより高くあることができる。
【0054】
いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素の変位ゲインは、第1の共振周波数552、ファイバ自然周波数、および/または第2の共振周波数554のいずれかにおいて最大限にされることができる。そのような実施例では、ファイバ走査システムは、変位ゲインを最大限にしている点またはその近傍において動作されることができる。他の実施例では、ファイバ走査システムは、動作されている点が最大ではなくても、上記に説明される点のうちの1つにおいて動作されることができる。そのような実施例では、ファイバ走査システムの動作点は、点の周囲の変化率に基づいて選択されることができる。例えば、第1の共振周波数552および/または第2の共振周波数554は、変位ゲイン(例えば、周波数に対するわずかな変化に応答する変位ゲインに関する変化量に基づく)の観点から不安定であり得る一方、自然周波数556は、より安定した状態であり得る。そのような実施例では、自然周波数556は、第1の共振周波数552または第2の共振周波数554ではなく、ファイバ走査システムのための動作点として選択されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ファイバ走査システムの動作点は、変位ゲインが所定の変位ゲイン以上であるように選択される。言い換えると、動作の間、ファイバ走査システムは、周波数のある範囲内の動作周波数においてアクチュエータを駆動させることによって、変位ゲインのある範囲を達成することができる。
【0056】
図5Bを参照すると、25kHzの自然周波数における変位ゲインは、40dBをわずかに上回り、これは、自然変位ゲインと称され得る。自然変位ゲイン以上である変位ゲインが、ファイバ走査システムを、変位ゲインが自然変位ゲインに等しい第1の共振周波数552を下回る最小周波数と関連付けられる、fから、変位ゲインが自然変位ゲインに等しい第2の共振周波数554を上回る最大周波数と関連付けられる、fまでの範囲に及ぶ周波数(すなわち、動作周波数)において駆動することによって、達成されることができる。故に、ファイバ走査システムを本範囲内の動作周波数において駆動することによって、自然変位ゲイン以上である変位ゲインが、達成される。いくつかの実施形態では、特定の動作周波数が、アクチュエータの自然周波数に基づいて選択されるのに対し、他の実施形態では、特定の動作周波数は、光ファイバ走査要素の自然周波数に基づいて選択される。
【0057】
動作周波数は、動作周波数が第1の共振周波数552の閾値内にあるまたは第2の共振周波数の閾値内にあるように選択されることができる。閾値は、動作周波数が自然変位ゲイン以上である変位ゲインと関連付けられるように設定されることができる。故に、図5Bに図示されるように、第1の共振周波数の周囲の閾値は、周波数fから25kHZまでに及び得、第2の共振周波数の周囲の閾値は、25kHzから周波数fまでに及び得る。
【0058】
ファイバプロット550と同様に、圧電管プロット560もまた、2つの共振周波数を含むことができる。いくつかの実施例では、圧電管プロット560の2つの共振周波数は、ファイバプロット550の2つの共振周波数に類似する周波数に位置することができる。しかしながら、アクチュエータの先端の変位ゲインは、約ゼロまで低減され得る。いくつかの実施例では、アクチュエータの組み合わせられる運動エネルギーおよびポテンシャルエネルギーが、アクチュエータ自然周波数において光ファイバ走査要素に伝達されることができ、これは、アクチュエータの変位ゲインを約ゼロまで低減させることができる。
【0059】
第2のボード線図は、ある電圧によって圧電管に印加される周波数に関連して、アクチュエータ(例えば、圧電管プロット520)および光ファイバ走査要素(例えば、ファイバプロット510)のための位相角をグラフ化し得る。いくつかの実施例では、第2のボード線図は、位相偏移(例えば、180度の位相偏移)が各ピークにおいて生じ得ることを図示し得る。
【0060】
図5Cは、本開示のある実施形態による、(上記に説明されるような)光ファイバ走査要素のための動吸振器設計および代替設計の比較に関する、ボード線図のある実施例を図示する。そこから分かり得るように、動吸振器設計のための光ファイバ走査要素のピークは、最も高い変位ゲインを提供する。また、ピーク間の点における動吸振器設計のための変位ゲインは、代替設計より低いが、これは、常時該当しない場合がある。加えて、動吸振器設計がその点においてより低い変位ゲインを有している場合でも、動吸振器設計は、より安定した状態であり得る。理想的な動作点は、実験研究から決定されてもよい。
【0061】
図5Dは、本開示のある実施形態による、(上記に説明されるような)アクチュエータのための動吸振器設計および代替設計の比較に関する、ボード線図のある実施例を図示する。いくつかの実施例では、実施例は、エネルギーが、動吸振器設計内の光ファイバ走査要素によってアクチュエータから吸収されていることを図示し得る。そのような実施例では、アクチュエータの応答は、動吸振器設計のための静的応答を下回り得る。
【0062】
図6は、ファイバ走査システムのための視野を増加させるためのプロセス600のある実施例を図示する。
【0063】
プロセス600は、あるアクチュエータ自然動作周波数によって特徴付けられる、アクチュエータを提供するステップを含むことができる(610)。いくつかの実施例では、ファイバ走査システムは、アクチュエータを含むことができる。
【0064】
プロセス600はさらに、アクチュエータに結合される、光ファイバ走査要素を提供するステップを含むことができる(620)。いくつかの実施例では、光ファイバ走査要素は、アクチュエータ自然周波数に整合するように決定される、ファイバ自然周波数によって特徴付けられることができる。そのような実施例では、ファイバ走査システムはさらに、光ファイバ走査要素を含むことができる。
【0065】
プロセス600はさらに、ある動作周波数においてアクチュエータを駆動するステップを含むことができる(630)。いくつかの実施例では、ファイバ走査システムの変位ゲインは、アクチュエータ自然周波数を境界する、2つの分裂周波数ピークによって特徴付けられることができる。そのような実施例では、動作周波数は、分裂周波数ピークの第1のピークの近傍にある(すなわち、第1のピークの閾値内の周波数である)ことができ、第1の周波数ピークは、アクチュエータ自然周波数を下回る。他の実施例では、動作周波数は、第2のピークの近傍にある(すなわち、その閾値内の周波数である)ことができ、第2の周波数ピークは、アクチュエータ自然周波数を上回る。他の実施例では、動作周波数は、例えば、アクチュエータ自然周波数における、第1の周波数ピークと第2の周波数ピークとの間の範囲内の周波数であることができる。いくつかの実施例では、アクチュエータは、正弦波電圧によって駆動されることができる。
【0066】
いくつかの実施例が、説明されている。但し、種々の修正が、本開示の範囲から逸脱することなく成され得ることを理解されたい。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6