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特開2022-48390スピロ-オキシインドール化合物の固体状態形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048390
(43)【公開日】2022-03-25
(54)【発明の名称】スピロ-オキシインドール化合物の固体状態形
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/20 20060101AFI20220317BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220317BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220317BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
C07D491/20 CSP
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P25/04
A61K31/407
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016342
(22)【出願日】2022-02-04
(62)【分割の表示】P 2018565859の分割
【原出願日】2017-06-16
(31)【優先権主張番号】62/351,150
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506030826
【氏名又は名称】ゼノン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XENON PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ロネン ベン-デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ビアールマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ クリス ハルティワンガー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル エゴロフ
(72)【発明者】
【氏名】レアン ルイユン ウー
(72)【発明者】
【氏名】メヘラン ヤズダニアン
(57)【要約】
【課題】スピロ-オキシインドール化合物の固体状態形を提供すること。
【解決手段】本発明は、フナピドおよびフナピドとその対応する(R)鏡像異性体とのラセミ混合物などの特定のスピロ-オキシインドール化合物の固体状態形、これらの固体状態形を含む薬学的組成物、ならびにこれらの固体状態形および薬学的組成物を調製するためのプロセスを提供する。本発明は、スピロ-オキシインドール化合物の薬学的組成物の調製のための、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形のいずれか1つの使用も含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピロ-オキシインドール化合物など。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特定のスピロ-オキシインドール化合物の固体状態形、これらの固体状態形および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物、ならびにこれらの固体状態形および薬学的組成物を調製するためのプロセスを包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
PCT公開特許出願第WO2006/110917号、PCT公開特許出願第WO2010/045251号、PCT公開特許出願第WO2010/045197号、PCT公開特許出願第WO2011/047174号、PCT公開特許出願第WO2011/002708号、PCT公開特許出願第WO2011/106729号およびPCT公開特許出願第WO2013/154712号には、特定のスピロ-オキシインドール化合物、スピロ-オキシインドール化合物を調製する方法、スピロ-オキシインドール化合物を含む薬学的組成物および/またはスピロ-オキシインドール化合物を使用する方法が開示されている。
【0003】
これらのスピロ-オキシインドール化合物の1つがフナピド(funapide)であり、TV-45070またはXEN402としても公知である。フナピドは、次式(I-S):
【化1】
を有し、その化学名は(S)-1’-{[5-(トリフルオロメチル)フラン-2-イル]メチル}スピロ[フロ[2,3-f][1,3]ベンゾジオキソール-7,3’-インドール]-2’(1’H)-オンである。
【0004】
特に、PCT公開特許出願第WO2011/002708号には、フナピドおよびその対応する(R)-鏡像異性体が具体的に開示されている。PCT公開特許出願第WO2011/047174号には、フナピドのラセミ体をSMBクロマトグラフィーまたはキラルHPLCにより分割することによってフナピドを調製する方法が開示されている。また、PCT公開特許出願第WO2013/154712号には、フナピドを不斉合成により調製する方法が開示されている。
【0005】
フナピドは、PCT公開特許出願第WO2006/110917号の中で化合物#428として以前に開示されたラセミ化合物の(S)-鏡像異性体である。化合物#428はXEN401としても公知である。
【0006】
フナピドおよびフナピドを含む薬学的組成物は、ナトリウムチャネル媒介性疾患、好ましくは痛みに関連した疾患、癲癇、不安、うつ病および双極性疾患などの中枢神経病態;不整脈、心房細動および心室細動などの心血管病態;下肢静止不能症候群などの神経筋病態;脳卒中、神経外傷および多発性硬化症からの神経保護;ならびに皮膚紅痛症および家族性直腸痛症候群などのチャネル病の治療に有用である。
【0007】
上記の公開された特許出願の関連する開示内容は、参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0008】
同じ分子の異なる結晶形の存在である多形性は、一部の分子および分子複合体の特性である。単一分子が、明確な結晶構造、ならびに融点、熱挙動(例えば、示差走査熱量法「DSC」または熱重量分析「TGA」によって測定)、X線回折パターン、赤外吸収フィンガープリント、および固体状態(13C-)NMRスペクトルなどの明確な物理的特性を有する様々な多形体を生じることがある。これらの技法のうちの1つまたは複数を使用して、化合物の異なる多形形を識別することができる。
【0009】
有効活性成分の固体状態形(溶媒和形を含む)が異なれば、特性が異なることがある。異なる固体状態形および溶媒和物の特性におけるそのような差異は、例えば加工もしくは取扱い特徴の改良を促進すること、溶解プロファイルを好ましい方向に変更すること、または安定性(多形安定性および化学安定性)および貯蔵寿命を改善することによって、製剤の改善の基礎を提供することができる。異なる固体状態形の特性におけるこれらの差異が、例えばバイオアベイラビリティを改善する働きをする場合、最終の剤形にも改善をもたらすことがある。有効活性成分の異なる固体状態形および溶媒和物は様々な多形または結晶形を生じることもあり、これらの多形または結晶形は、ひいては、固体の有効活性成分の特性および特徴における差異を評価するさらなる機会を提供し得る。
【0010】
薬学的製品の新規固体状態形および溶媒和物を発見することによって、取扱いのしやすさ、加工のしやすさ、貯蔵安定性、および精製のしやすさなどの望ましい加工特性を有する材料、または他の多形形への変換を容易にする望ましい中間体の結晶形としての材料を得ることができる。薬学的に有用な化合物の新規固体状態形が、薬学的製品の性能特徴を改善する機会を提供することもできる。それは、例えば様々な特性、例えば異なる晶癖、よりよい加工もしくは取扱い特徴をもたらすことができるより高い結晶性もしくは多形安定性、改善された溶解プロファイル、または改善された貯蔵寿命(化学的/物理的安定性)を有する製品を提供することによって、製剤科学者が製剤最適化に利用することができる材料のレパートリーを広げる。少なくともこれらの理由で、フナピドの固体状態形(溶媒和形を含む)が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2006/110917号
【特許文献2】国際公開第2010/045251号
【特許文献3】国際公開第2010/045197号
【特許文献4】国際公開第2011/047174号
【特許文献5】国際公開第2011/002708号
【特許文献6】国際公開第2011/106729号
【特許文献7】国際公開第2013/154712号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本発明は、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形、およびそれらの薬学的組成物を提供する。
本発明は、スピロ-オキシインドール化合物の薬学的組成物の調製のための、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形のいずれか1つの使用も含む。
【0013】
本発明は、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形を調製する方法も提供する。
【0014】
本発明は、上記の薬学的組成物を調製するためのプロセスも提供する。プロセスは、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形のいずれか1つを、少なくとも1つの薬学的に許容される添加物と合わせるステップを含む。
【0015】
特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形および薬学的組成物は、医薬、特にナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みの治療のための医薬として使用することができる。
【0016】
本発明は、ナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みを治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に開示される特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドもしくはラセミ混合物の固体状態形のいずれか1つ、または上記の薬学的組成物の少なくとも1つを、ナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みに苦しむ、またはそうではなく治療を必要とする対象に投与するステップを含む方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、フナピド(TV-45070)のフォームAの特徴的な粉末X線ディフラクトグラムを示す。
【0018】
図2図2は、フナピド(XEN-402)のフォームAのDSCサーモグラフを示す。
【0019】
図3図3は、フナピドのフォームAのATRによるFTIRスペクトルを示す。
【0020】
図4図4は、フナピドのフォームAのラマンシフトスペクトルを示す。
【0021】
図5図5は、フナピド(TV-45070)のフォームBの特徴的な粉末X線ディフラクトグラムを示す。
【0022】
図6図6は、フナピド(TV-45070)のフォームBのDSCサーモグラフを示す。
【0023】
図7図7は、フナピドのフォームBのATRによるFTIRスペクトルを示す。
【0024】
図8図8は、フナピドのフォームBのラマンシフトスペクトルを示す。
【0025】
図9図9は、非晶質のフナピド(TV-45070)の特徴的な粉末X線ディフラクトグラムを示す。
【0026】
図10図10は、フナピド(TV-45070)の非晶形のDSCサーモグラフを示す。
【0027】
図11図11は、フナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の特徴的な粉末X線ディフラクトグラムを示す。
【0028】
図12図12は、フナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物のラマンシフトスペクトルを示す。
【0029】
図13図13は、ラセミ混合物、フナピドのフォームAおよびフナピドのフォームBの粉末X線ディフラクトグラムのオーバーレイを示す。
【0030】
図14図14は、ラセミ混合物、フォームAおよびフォームBのラマンシフトスペクトルのオーバーレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、特定のスピロ-オキシインドール化合物、好ましくはフナピドまたはフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の固体状態形を含む。フナピドまたはラセミ混合物の固体状態特性は、フナピドまたはラセミ混合物が固体の形で得られる条件の制御の影響を受けることがある。
【0032】
本明細書では「特定のスピロ-オキシインドール化合物の固体状態形」は、本明細書に記載されるフナピドの結晶形、フナピドの非晶形、およびフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体を含むラセミ混合物の結晶形を含むことが意図される。
【0033】
一部の実施形態では、本発明のフナピドの結晶形は、フナピドのいずれか他の形またはフナピドの指定された多形形をそれぞれ実質的に含まない。
【0034】
本明細書では、フナピドの固体状態形を指すときの「実質的に含まない」は、本発明の固体状態形が、20重量%またはそれ未満のフナピドのいずれか他の多形体もしくは指定された多形体、またはフナピドの非晶形を含有することを意味することが意図される。一部の実施形態によれば、フナピドの固体状態形は、10重量%もしくはそれ未満、5重量%もしくはそれ未満、2重量%もしくはそれ未満、1重量%もしくはそれ未満、0.5重量%もしくはそれ未満、または0.2重量%もしくはそれ未満のフナピドのいずれか他の多形体もしくは指定された多形体、またはフナピドの非晶形を含有する。他の実施形態では、本発明のフナピドの固体状態形は、1重量%~20重量%、5重量%~20重量%、または5重量%~10重量%のフナピドのいずれか他の固体状態形もしくは指定された多形体、またはフナピドの非晶形を含有する。
【0035】
比較する他の固体状態形に応じて、本発明のフナピドの結晶形は、以下のうちの少なくとも1つから選択される有利な特性を有する:化学的純度、流動性、溶解度、溶解速度、形態または晶癖、多形変換に関連して化学安定性ならびに熱および機械的安定性、脱水に対する安定性ならびに/または貯蔵安定性などの安定性、低含有量の残留溶媒、より低い吸湿度、流動性、ならびに圧縮率およびかさ密度などの有利な加工および取扱い特徴。
【0036】
特に、本発明のフナピドの結晶形は、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフランおよびトルエンなどの多数の溶媒に極めて可溶であることが明らかになった。本発明のフナピドの結晶形は、良好な物理的安定性も示す。
【0037】
本明細書では、本発明のフナピドの固体状態形に関して用語「極めて可溶である」は、室温で100mg/mLを超える溶解度を有するフナピドの固体状態形に相応する。
【0038】
結晶形または非晶形などの固体状態形は、本明細書では、図「に示されている」または「実質的に示されている」グラフのデータによって特徴付けられていると称することができる。そのようなデータとしては、例えば粉末X線ディフラクトグラム、DSCサーモグラフ、ATRによるFTIRスペクトルおよびラマンシフトスペクトルが挙げられる。当技術分野において周知であるように、グラフのデータは、数値またはピーク位置を単独で参照することにより記述できるとは限らないそれぞれの固体状態形をさらに定義するための追加の技術情報(いわゆる「フィンガープリント」)を潜在的に提供する。いずれにしても、当業者は、データのそのようなグラフ表示が、当業者に周知である計器応答における差異ならびに試料濃度および純度における差異などの(これらに限定されないが)特定の要因のため、例えばピーク相対強度およびピーク位置における小さな差異を生じやすいことがあるということを理解する。それにもかかわらず、当業者は容易に、本明細書における図中のグラフのデータを未知の結晶形について生成されたグラフのデータと比較することができ、2組のグラフのデータが同じ結晶形の特徴をなしているか異なる2つの結晶形の特徴をなしているかを確認することができる。したがって、本明細書で図「に示されている」または「実質的に示されている」グラフのデータによって特徴付けられていると称されるフナピドまたはラセミ混合物の結晶形は、図と比べて当業者に周知であるそのような小さな差異を有するグラフのデータで特徴付けられるフナピドまたはラセミ混合物のいかなる結晶形も含むと考えられる。
【0039】
本明細書では、本発明のフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形に関して用語「単離された」は、形成された反応混合物中から物理的に分離されたフナピドまたはラセミ混合物の固体状態形に相応する。
【0040】
本明細書では、別段の記載がない限り、XRPD測定は、45kVおよび40mAで銅Kα線を使用して、行われる。
【0041】
本明細書では、別段の記載がない限り、DSC測定値は熱勾配10℃/分で測定された。
【0042】
フナピドもしくはラセミ混合物の固体状態形または反応混合物もしくは溶液などの物体または混合物が、本明細書で、「室温」または「周囲温度」(「RT」と略すことが多い)であり、またはそれになることができるとして特徴付けられるとき、物体または混合物の温度が、この物体または混合物が位置している空間、例えば部屋またはドラフトチャンバーの温度に近く、またはそれと同じであることを意味することが意図される。典型的には、室温は、約20℃~約30℃、または約22℃~約27℃、または約25℃である。
【0043】
化学プロセス、例えば反応または結晶化において使用される溶媒の量は、本明細書で、ある数値の「体積」または「vol」または「V」と称することができる。例えば、材料は、10体積(または10volまたは10V)の溶媒に懸濁されていると称することができる。この文脈では、この表現は、懸濁されている材料1グラム当たりの溶媒のミリリットル数を意味すると理解されているはずであり、したがって、5グラムの材料を10体積の溶媒に懸濁するということは、溶媒が、懸濁されている材料1グラム当たり溶媒10ミリリットルの量で使用され、または、この例では50mLの溶媒であることを意味する。別の文脈では、用語「v/v」は、液体混合物の体積に対する液体混合物に添加される溶媒の体積の数を示すために使用することができる。例えば、溶媒X(1.5v/v)を100mlの反応混合物に添加するということは、150mLの溶媒Xが添加されたことを示すことになる。
【0044】
プロセスまたはステップは、本明細書では、「終夜」実施されていると称することがあ
る。これは、例えばプロセスまたはステップが積極的に観察されていない可能性がある、夜間の時間にわたるそのプロセスまたはステップの時間間隔を指す。この時間間隔は、約8~約20時間、または約10~18時間、典型的には約16時間である。
【0045】
本明細書では、用語「減圧」は、大気圧未満である圧力を指す。例えば、減圧は、約10mbar~約50mbarである。
【0046】
本明細書では、「フナピドの結晶形A」または「フォームA」または「フナピドのフォームA」は、図1に示されている粉末X線回折パターンによって特徴付けることができるフナピドの結晶形を指す。
【0047】
本明細書では、「フナピドの結晶形B」または「フォームB」または「フナピドのフォームB」は、図5に示されている粉末X線回折パターンによって特徴付けることができるフナピドの結晶形を指す。
【0048】
本明細書では、「フナピドの非晶形」は、図9に示されている粉末X線回折パターン、さらにガラス転移温度42℃および結晶化温度72℃を示す図10に示されているDSCサーモグラフによって特徴付けることができるフナピドの非晶形を指す。
【0049】
本明細書では、「ラセミ混合物」は、図11に示されている粉末X線回折パターンによって特徴付けることができる、フナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形を指す。
【0050】
一実施形態では、本発明は、以下のうちの1つまたは複数から選択されるデータによって特徴付けられる、本明細書でフナピドの結晶形Aと称するフナピドの結晶形を含む:10.10°、10.69°、20.59°、22.69°および33.12°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;図1に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータの組合せ。
【0051】
フナピドの結晶形Aは、10.10°、10.69°、20.59°、22.69°および33.12°θ±0.2°θにピークを有し、さらに15.94°、17.77°、20.26°、23.79°および30.84°θ±0.2°θから選択される追加の1本、2本、3本または4本のピークも有する粉末X線回折パターン;図2に示されているDSCサーモグラム;融点110~116℃、好ましくは融点114~116℃;図3に示されているFTIRスペクトル、ならびに図4に示されているラマンシフトスペクトルによってさらに特徴付けることができる。
【0052】
フナピドの結晶形Aは、上記の特徴のそれぞれ単独および/または考え得るすべての組合せによって、例えば10.10°、10.69°、20.59°、22.69°および33.12°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターンならびに図1に示されている粉末X線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0053】
別の実施形態では、フナピドの結晶形Aは、表1に列挙されている以下のラマンシフトピークのうちの1本または複数によって特徴付けられている。
【表1-1】
【表1-2】
【0054】
別の実施形態では、本発明は、以下のうちの1つまたは複数から選択されるデータによって特徴付けられる本明細書でフナピドの結晶形Bと称するフナピドの結晶形を含む:9.61°、10.03°、14.95°、19.28°および21.30°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;図5に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータの組合せ。
【0055】
フナピドの結晶形Bは、9.61°、10.03°、14.95°、19.28°および21.30°θ±0.2°θにピークを有し、12.51°、16.14°、18.03°、18.72°および25.50°θ±0.2°θから選択される追加の1本、2本、3本または4本のピークも有する粉末X線回折パターン;融点104~107℃を示す図6に示されているDSCサーモグラム;図7に示されているFTIRスペクトルならびに図8に示されているラマンシフトスペクトルによってさらに特徴付けることができる。
【0056】
フナピドの結晶形Bは、上記の特徴のそれぞれ単独および/または考え得るすべての組合せによって、例えば9.61°、10.03°、14.95°、19.28°および21.30°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターンならびに図5に示されている粉末X線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0057】
別の実施形態では、フナピドの結晶形Bは、表2に列挙されている以下のラマンシフトピークのうちの1本または複数によって特徴付けられている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0058】
一実施形態では、本発明は、以下のうちの1つまたは複数から選択されるデータによって特徴付けられる本明細書でラセミ混合物の結晶形と称するフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形を含む:13.68°、14.83°、20.17°、25.49°および29.80°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;図11に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータの組合せ。
【0059】
ラセミ混合物の結晶形は、13.68°、14.83°、20.17°、25.49°および29.80°θ±0.2°θにピークを有し、15.94°、22.24°、27.21°および31.91°θ±0.2°θから選択される追加の1本、2本、3本または4本のピークも有する粉末X線回折パターン;ならびに図12に示されているラマンシフトスペクトルによってさらに特徴付けることができる。
【0060】
別の実施形態では、ラセミ混合物は、表3に列挙されているXRPDピークのうちの1本または複数によって特徴付けられる。
【表3-1】
【表3-2】
【0061】
別の実施形態では、ラセミ混合物の結晶形は、表4に列挙されている以下のラマンシフトピークのうちの1本または複数によって特徴付けられている。
【表4-1】
【表4-2】
【0062】
本発明は、本発明のフナピドの結晶形、フナピドの非晶形またはラセミ混合物の結晶形のいずれか1つ、および1つまたは複数の添加物を含む、薬学的組成物および製剤を含む。典型的には、薬学的組成物は固体組成物であり、その中で、フナピドはその固体状態形を保持する。
【0063】
本発明の薬学的組成物は、PCT公開特許出願WO2011/047174で開示されたものと同様の方法、またはPCT公開特許出願第WO2013/154712号で開示されたものと同様の方法、またはPCT公開特許出願第WO2011/106729号で開示されたものと同様の方法で調製することができる。
【0064】
本発明のフナピドおよびラセミ混合物の上記の結晶形ならびにフナピドの非晶形を医薬としても使用することができる。
【0065】
本発明は、1)薬学的組成物の製造におけるフナピドの上記の結晶形もしくは非晶形またはラセミ混合物の結晶形の使用、ならびに2)ナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みに苦しむ、またはそうではなく治療を必要とする対象を治療する方法であって、本明細書に記載されるフナピドの上記の結晶形または非晶形のうちのいずれか1つを含む有効量の薬学的組成物の投与を含む方法をさらに含む。
【0066】
フナピドの上記の結晶形もしくは非晶形またはラセミ混合物の結晶形、およびそれを含む薬学的組成物の使用は、PCT公開特許出願第WO2011/002078号に記載されている疾患および病態を治療する際に使用することができる。
【0067】
好ましい特定の実施形態および具体例を参照しながら、本発明をこのように説明してきたので、当業者は、説明および図示された本発明に対する、本明細書で開示されている本発明の趣旨および範囲から逸脱しない修正を理解することができる。実施例は、本発明の理解を助けるために記載されているが、決して本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0068】
本明細書に開示されるフナピドの結晶形を調製するために本明細書で使用されるフナピドを、PCT公開特許出願第WO2011/047174号で開示された方法に従っておよび/またはPCT公開特許出願第WO2013/154712号で開示された方法によって調製した。
【0069】
分析方法
XRPD-粉末X線回折
X’celerator検出器を装備したPANalytical X’Pert Pro回折計で、45kVおよび40mAでCu Kα線を使用して、粉末X線回折(X-ray powder diffraction)(粉末X線回折(powder X-ray diffraction)または粉末XRDとしても公知であるXRPD)パターンを記録した。PANalytical Data Collector1を用いて、回折計を制御した。HighScorePlus2でアルゴリズムを使用して、すべての試料を分析した。
【0070】
標準反射モード
高配向結晶(Ge111)入射ビームモノクロメータを用いて、Kα1線を得た。10mmのビームマスク、ならびに固定(1/4°)発散および散乱防止(1/8°)スリットを入射ビーム側に挿入した。0.04ラジアンのSollerスリットおよび5mmの固定受光スリットを回折ビーム側に挿入した。粉末X線パターン走査の収集は、約2~40°2θ、ステップサイズ0.0080°および計数時間96.06秒で行い、走査速度およそ0.5°/分となった。試料を、測定のためにシリコンゼロバックグラウンド(ZBG)プレート上に広げた。PANalytical PW3065/12 Spinnerで、試料を15回転/分で回転させた。データ収集前のSi参照標準物質の測定によって、十分に28.0°<2θ<28.5°の許容差内であり、最小ピーク高さの150cpsより著しく大きい2θおよび強度の値が得られた。
【0071】
キャピラリー透過モード
X celerator検出器を装備したPANalytical X Pert Pro回折計で、45kVおよび40mAでCu Kα線を使用して、粉末XRDパターンを記録した。入射ビーム(Cu W/Si)集束MPDミラーを入射ビーム経路で使用した。固定(1/20)発散および散乱防止(1/40)スリット、ならびに0.01のSollerを入射ビーム側に挿入した。5.0mmの固定散乱防止スリットおよび0.0
1のSollerを回折ビーム側に挿入した。散乱防止デバイス(PW3094/10)を使用する場合、追加の2.0mmのスリットを検出器から197mmに配置する。粉末X線パターン走査の収集は、約2.75~40°2θ、ステップサイズ0.0080°および計数時間101秒で行い、走査速度およそ0.5°/分となった。試料を薄壁Kaptonキャピラリーにロードし、改変した透過ホルダーに配置した。ホルダーは、回転しているキャピラリーの測定を可能にする追加された機械的特徴を有する標準透過試料リングである。
【0072】
可変温度(VT)モード
可変温度の研究は、Anton Paar CHC温度/湿度チャンバーを用いて、コンピュータ制御下に行った。Anton Paar TCU110温度制御ユニットを使用して、データコレクターで温度を設定した。
【0073】
ニッケルフィルターを用いて、Kα線を得た。固定(1/40)発散および散乱防止(1/20)スリットを入射ビーム側に挿入した。0.10mmの固定受光スリットを回折ビーム側に挿入した。Sollerスリット(0.04ラジアン)を入射ビーム側と回折ビーム側の両方に挿入した。粉末X線パターン走査の収集は、約2~40°2θ、ステップサイズ0.0080°および計数時間96.06秒で行い、走査速度およそ0.5°/分となった。
【0074】
温度の研究では、Nガス流を用いて測定を行った。研究のために選択された温度は、DSC結果に基づいた温度であった。CHCチャンバーが、必要とされた温度に到達してから、測定を開始した。必要とされた温度に到達した後、試料を35℃/分で冷却し、低速走査を25℃で測定した。この技法により、試料をより高い温度で「加熱処理する」ことが回避される。走査の収集は、約3°~30°または40°2θ、ステップサイズ0.008°および計数時間100秒で行い、走査速度およそ0.5°/分となった。
【0075】
DSC-示差走査熱量法
Pyrisソフトウェアバージョン6.0を実行しているオートサンプラーを装備したPerkin-Elmer Sapphire DSCユニットを使用して、分析の前にインジウムで較正して、熱曲線を取得した。固体試料1~10mgを、20μLのアルミニウムピンホール試料パンに秤量した。次いで、DSCセルを窒素でパージし、温度を0から270℃に10℃/分で加熱した。インジウム(Tm=156.6℃;ΔHFus=28.45J/g)を使用して、較正した。
【0076】
FTIR分光法
ダイヤモンド結晶ウインドウを含むATRアタッチメントを用いたBruker Tensor27を使用して、スペクトルを得た。OPUSデータ収集プログラム(バージョン7.0、Bruker)を使用して、IRスペクトル4000~400cm-1を得た。スペクトル分解前にバックグラウンド走査を収集し、平均した。
【0077】
ラマン分光法
RAMIIモジュールまたはRamanScopeを用いて、1064nmのNdYAGレーザーおよび液体窒素冷却Ge検出器を装備したVertex 70 FTIR(Bruker)光学台で、ラマンスペクトルを収集した。32回の走査を、両面獲得モード、走査速度5KHz、アパーチャ5mmで収集した。位相分解32cm-1、8×ゼロ充填および弱Norton-Beerアポダイゼーション関数で、データを処理した。可能ならいつでもRAMIIを使用してガラスバイアルを通して、試料スペクトルを収集した。不整形な試料は、RamanScopeで10倍対物レンズを使用して分析した。その状況では、64回の走査を1197mWのレーザー出力で収集した。
【0078】
スクリーニング方法
様々な溶媒におけるスラリー平衡化
25℃における平衡化
およそ20mgのフナピドを、4mLのバイアル中、約0.2mLの溶媒と25±3℃で少なくとも48時間平衡化した。得られた混合物を濾過し、固体を少なくとも10分間風乾した。
【0079】
50℃における平衡化
およそ40mgのフナピドを、4mLのバイアル中、約0.4mLの溶媒と50℃で少なくとも24時間平衡化した。次いで、溶液を濾過し、少なくとも10分間風乾した。
【0080】
5℃における冷却結晶化
およそ20mgのフナピドを、4mLのバイアル中、200μLの溶媒に22~25℃で完全に溶解した。目に見える結晶が確実に残っていないように注意した。溶液を2℃/分の速度で5℃に冷却した。沈澱物(が存在する場合それ)をフィルター上に収集し、乾燥した。
【0081】
蒸発
5℃における低速蒸発
およそ20mgのフナピドを、4mLのバイアル中、200μLの溶媒に22~25℃で完全に溶解した。溶液を2℃/分の速度で5℃に冷却した。目に見える結晶が確実に残っていないように注意した。温度および撹拌を維持しながら、各バイアルのカバーを緩めて、溶媒を少なくとも1日間低速蒸発させた。
【0082】
50℃における高速蒸発
およそ40mgのフナピドを、4mLのバイアル中、200μLの溶媒と22~25℃で混合した。溶液を、機器が可能な限り速く50℃に加熱した。この時点で目に見える結晶が確実に残っていないように注意した。温度および撹拌を維持しながら、各バイアルのカバーを開けて、溶媒を乾固するまで高速蒸発させた。
【0083】
アンチソルベント添加による沈澱
4mLのバイアル中で、およそ20mgのフナピドを、フナピドの溶解度が高い溶媒に完全に溶解し、次いでフナピドが極めて不溶である第2の溶媒を添加した。得られたスラリーから、試料を取り出した。試料を濾過して、固体を得た。
【実施例0084】
(実施例1~66)
以下の実施例1~66は、様々な溶媒中において上記の様々な方法でスクリーニングすることによって得られたフナピドの固体状態形である。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0085】
(実施例67)
フナピドのフォームBの結晶化プロセス
フナピド(1.952Kg)を7070mLのメタノール(3.62体積)に溶解した。10Lの反応器中に完全溶解液が(反応器中)56℃で得られた。反応器温度が64℃に到達すると、742mLの水を、65分かけて滴下して加えた。水の添加時間の終わりに、やはり清んだ溶液が得られた(反応器温度は68℃に到達した)。溶液を30分間混合した。ジャケット温度を、40分かけて85℃から40℃に冷却した。この冷却時間の終わりに、反応器中の温度が59℃に到達し(ジャケット温度は40℃であった)、白色スラリーが得られた。スラリーを、反応器ジャケット温度に応じて、5時間かけて40℃から-5℃に冷却し、さらに11.5時間混合した。得られた固体を濾過により収集し、メタノールと水(908mLの水と1160mLのメタノール)の冷混合物で洗浄した。白色固体を真空オーブン中、50℃で43時間乾燥して、乾燥固体を得た。収量:1831g(理論値の93.8%)。
【0086】
材料をXRPDにより分析し、フォームBパターンが示された。試料のDSCは、熱イベントが106.6℃であり、典型的なフォームBと一致するものである。
【0087】
(実施例68)
フナピドの非晶形の調製
A.フナピドのフォームAを、乾燥N雰囲気中、XRPDユニット上にVTステージを必要に応じて使用して溶融することによって、フナピドの非晶形を生成した。試料を140℃に加熱し、次いで室温に冷却し、粉砕した。分解は認められなかった。XRPDにより、試料はフナピドの非晶形であることが確認された。
【0088】
B.あるいは、フナピドのフォームBを同じように溶融して、フナピドの非晶形を生成してもよい。
【0089】
(実施例69)
ラセミ混合物の固体状態特徴付け
フナピド(フナピドのフォームAとして)とその対応する(R)-鏡像異性体を含むラセミ混合物を検討して、ラセミ混合物がラセミ化合物であるのかそれともラセミコングロメレートであるのかを決定した。
【0090】
図11は、ラセミ混合物の特徴的な粉末X線ディフラクトグラムを示す。図12は、ラセミ混合物のラマンシフトスペクトルを示す。
【0091】
図13は、ラセミ混合物、フナピドのフォームAおよびフナピドのフォームBの粉末X線ディフラクトグラムのオーバーレイを示す。図14は、ラセミ混合物、フォームAおよびフォームBのラマンシフトスペクトルのオーバーレイを示す。
【0092】
ラセミ混合物は、XRPDパターンおよび融点がフォームAおよびフォームBと劇的に異なる(フォームAの110℃およびフォームBの104℃に対して140℃)。ラセミ混合物は、一部のラマンピークのシフトも、フォームAまたはフォームBに比べると顕著であった。
【0093】
ラセミ混合物の性質を同定するために、ラセミ混合物とフォームAの混合物のDSCによる二元状態図を、実験結果および理論的予測に基づいて構築した。実験結果と理論的予測の間に良好な一致が認められた。ラセミ化合物の典型的な二元状態図により、ラセミ混合物が(ラセミコングロメレートではなく)ラセミ化合物であることが確認された。
【0094】
ラセミ混合物、フォームA、およびラセミ混合物とフォームAとの様々な混合物の6つのDSCサーモグラフのオーバーレイは、フォームAおよびラセミ混合物が共に、フォームAおよびラセミ混合物の溶融に相応する1本のシャープなピークを有することを示した。ラセミ混合物とフォームAの混合物では、共晶融解(その開始はTと定義される)および純粋な種の溶融(その最大値はTと定義される)の2本の吸熱ピークが認められた。
【0095】
ラセミ混合物の結晶構造が解かれた。非対称単位に1分子が存在し、1単位格子中に4対の鏡像異性体が充填されていた。さらに、分子はフォームBの「U字形状」と一致した(フナピド中のN-CH結合に沿った回転により、フォームAと一致する「椅子形状」またはフォームBと一致する「U字形状」が生じる)。
【0096】
ラセミ混合物の結晶構造決定により、ラセミ混合物がコングロメレートではなくラセミ化合物であるという確証が得られる。
【0097】
本明細書で言及されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物はすべて、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
理解を容易にするために、前述の発明をいくらか詳細に説明してきたが、特定の変更および修正を添付の特許請求の範囲内で実施できることは明らかである。したがって、記載された実施形態は、例示するものであって、限定するものではないとみなされるべきであり、本発明は、本明細書に記載された詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内および均等物内で修正することができる。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
フォームAと称するフナピドの結晶形であって、以下:10.10°、10.69°、20.59°、22.69°および33.12°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;実質的に図1に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータのいずれかの組合せのうちの1つまたは複数によって特徴付けられる結晶形。
(項目2)
10.10°、10.69°、20.59°、22.69°および33.12°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、15.94°、17.77°、20.26°、23.79°、および30.84°θ±0.2°θから選択される追加の1本、2本、3本、4本または5本の粉末X線回折パターンピークによってさらに特徴付けられる、項目1に記載の結晶形。
(項目3)
以下:実質的に図2に示されているDSCサーモグラム;吸熱開始温度109℃およびピーク最大値温度114℃、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数によってさらに特徴付けられる、前出の項目1から2のいずれかに記載の結晶形。
(項目4)
フォームBと称するフナピドの結晶形であって、以下:9.61°、10.03°、14.95°、19.28°、および21.30°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;実質的に図5に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータのいずれかの組合せのうちの1つまたは複数によって特徴付けられる結晶形。
(項目5)
9.61°、10.03°、14.95°、19.28°、および21.30°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けられ、12.51°、16.14°、18.03°、18.72°、および25.50°θ±0.2°θから選択される追加の1本、2本、3本、4本または5本の粉末X線回折パターンピークによってさらに特徴付けられる、項目4に記載の結晶形。
(項目6)
以下:実質的に図6に示されているDSCサーモグラム;吸熱開始温度103℃およびピーク最大値温度105℃、またはそれらの組合せのうちの1つまたは複数によってさらに特徴付けられる、前出の項目4から5のいずれかに記載の結晶形。
(項目7)
フナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形であって、以下:13.68°、14.83°、20.17°、25.49°および29.80°θ±0.2°θにピークを有する粉末X線回折パターン;図11に示されている粉末X線回折パターン;ならびにこれらのデータの組合せのうちの1つまたは複数によって特徴付けられる結晶形。
(項目8)
前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形または項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形を含む薬学的組成物。
(項目9)
前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形もしくは項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形、または項目8に記載の薬学的組成物、および少なくとも1つの薬学的に許容される添加物を含む薬学的製剤。
(項目10)
薬学的組成物または製剤の製造における、前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形の使用または項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形の使用。
(項目11)
医薬としての使用のための、前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形、項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形、
または項目8に記載の薬学的組成物。
(項目12)
ナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みに苦しむ対象の治療における使用のための、前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形、項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形、項目8に記載の薬学的組成物、または項目9に記載の薬学的製剤。
(項目13)
ナトリウムチャネル媒介性疾患および病態、例えば痛みに苦しむ対象を治療する方法であって、治療有効量の、前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形、項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形、項目8に記載の薬学的組成物、または項目9に記載の薬学的製剤を投与するステップを含む方法。
(項目14)
本発明の薬学的組成物を調製する方法であって、前出の項目1から6のいずれかに記載のフナピドの結晶形または項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形を、1つまたは複数の薬学的に許容される添加物と合わせるステップを含む方法。
(項目15)
本明細書に記載されるフォームAと称するフナピドの結晶形を調製する方法。
(項目16)
本明細書に記載されるフォームBと称するフナピドの結晶形を調製する方法。
(項目17)
項目7に記載のフナピドとその対応する(R)-鏡像異性体のラセミ混合物の結晶形を調製する方法。
(項目18)
フナピドの非晶形であって、図9に示されている粉末X線回折パターンならびにガラス転移温度42℃および結晶化温度72℃を示す図10に示されているDSCサーモグラフによって特徴付けられる非晶形。
(項目19)
本明細書に記載されるフナピドの非晶形を調製する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】