(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048409
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154207
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】繁野 晃
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA13
3D026AA20
3D026AA25
3D026AA34
(57)【要約】
【課題】送風ノズルを薄型化し、これを利用することのできる技術を提供する。
【解決手段】ノズル6は、ノズル体10を備え、送風機からの空気をノズル体10を介して送風する。ノズル体10は、XYZ座標空間において、Z方向が厚みとなる板状に形成され、X方向およびZ方向に延在する第1面部10Aと、X方向およびY方向に延在する第2面部10Bとを有している。ここで、ノズル6は、ノズル体10の内部を開口するよう第2面部10Bに設けられ、送風機側と連通される連通口14と、ノズル体10の内部を開口するよう第1面部10Aに設けられる吹出口15と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル体を備え、送風機からの空気を前記ノズル体を介して送風するノズルであって、
前記ノズル体は、XYZ座標空間において、Z方向が厚みとなる板状に形成され、X方向およびZ方向に延在する第1面部と、X方向およびY方向に延在する第2面部とを有し、
前記ノズル体の内部を開口するよう前記第2面部に設けられ、前記送風機側と連通される連通口と、
前記ノズル体の内部を開口するよう前記第1面部に設けられる吹出口と、を備える、
ことを特徴とするノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル(「送風ノズル」ともいう。)に関し、特に、洗車機などの車両処理装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-148596号公報(特許文献1)には、車両と、一対のサイドノズル(送風ノズル)を備えた本体フレームとを相対移動させながら洗車を行う洗車機が記載されている。この洗車機は、車両の左右側面から所定距離離れた位置にそれぞれサイドノズルを保持しながら、ブロワ(送風機)からの高圧風をサイドノズルを介して車両の側面に吹き付ける機能を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-148596号公報(
図3、
図4、[0014]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような洗車機は、例えば、ガソリンスタンドのピットなど限られた空間に格納される場合や、本体フレームの移動距離が制限されるようなスペースに設置される場合がある。このため、本体フレームの小型化(移動方向の薄型化)が求められているが、その一解決策として送風ノズルを薄型化することが考えられる。また、本体フレームの小型化の他に、送風ノズルを薄型化することができれば、本体フレーム内での部材(装置)レイアウトの自由度が増したり、洗車機の機能性を向上したりすることもできる。
【0005】
本発明の一目的は、送風ノズルを薄型化し、これを利用することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(解決項1)
ノズル体を備え、送風機からの空気を前記ノズル体を介して送風するノズルであって、
前記ノズル体は、XYZ座標空間において、Z方向が厚みとなる板状に形成され、X方向およびZ方向に延在する第1面部と、X方向およびY方向に延在する第2面部とを有し、
前記ノズル体の内部を開口するよう前記第2面部に設けられ、前記送風機側と連通される連通口と、
前記ノズル体の内部を開口するよう前記第1面部に設けられる吹出口と、を備える、
ことを特徴とするノズル。
【0007】
(解決項2)
前記吹出口は、X方向へ延在するスリット状であり、
前記連通口は、前記吹出口のX方向寸法の中心と同じ高さ位置となるよう前記第2面部に設けられている、
解決項1記載のノズル。
【0008】
(解決項3)
前記ノズル体は、前記吹出口側の第1厚みより前記連通口側の第2厚みが厚く、
前記連通口のX方向寸法およびY方向寸法のうちの最大寸法が、前記第2厚みのZ方向寸法より大きい、
解決項1または2記載のノズル。
【0009】
(解決項4)
前記ノズル体は、前記第2面部に対向する第3面部を有し、
前記連通口に対向するように前記第3面部に設けられた補強部材を備える、
解決項1~3のいずれか一項に記載のノズル。
【0010】
(解決項5)
前記補強部材は、前記第2面部と前記第3面部との間をブリッジしている、
解決項4記載のノズル。
【0011】
(解決項6)
前記ノズル体は、前記第2面部に対向する第3面部を有し、
前記連通口に対向するように前記第3面部に取り付けられた一対の板部材を備え、
前記一対の板部材は、前記連通口側の前記第3面部においてX方向に互いに離れて設けられている、
解決項1~5のいずれか一項に記載のノズル。
【0012】
(解決項7)
解決項1~6のいずれか一項に記載のノズルを備え、
前記ノズルを介して車両へ送風する機能を含む、
ことを特徴とする車両処理装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一効果は、送風ノズルを薄型化し、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理装置の模式的な平面図である。
【
図2】
図1に示す車両処理装置の模式的な側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るノズルの模式的な斜視図である。
【
図6】
図3に示すノズルの進行方向における車両検知動作の説明図である。
【
図7】
図3に示すノズルの延出方向における車両検知動作の説明図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るノズルの模式的な斜視図である。
【
図10】
図8に示すノズルの模式的な側面図である。
【
図11】
図8に示すノズル内部での流体解析結果である。
【
図12】検討したノズル内部での流体解析結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0016】
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態では、車両を洗浄する洗浄機能および車両へ送風する乾燥機能を備える洗車機(車両処理装置)に適用した場合について、図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、図面中にX軸、Y軸、Z軸が付されている場合には、洗車機等が基準となるXYZ座標空間に配置されているものとする。
【0017】
図1および
図2は、それぞれ本実施形態に係る洗車機100の模式的な平面図および側面図である。洗車機100は、停車位置で停車した車両C(
図1では乗用車を示す。)に対して種々の処理を施す機能を含んでいる。なお、
図1および
図2では、部材の位置関係の理解を容易にするために、一部を透視した状態で示している。
【0018】
洗車機100は、本体フレーム1と、回転ブラシ3,4・4と、送風ノズル5,6・6と、車形検出装置7と、走行エンコーダ8と、走行モータ9と、を備えている。洗車機100は、本体フレーム1と車両Cとを相対移動させながら本体フレーム1に処理を施す。
【0019】
本体フレーム1は、いわゆる門型で敷設面G(地面)に起立して設けられ、左右一対のレール2,2間に停車された車両Cを跨ぐようにレール2上を往復走行(移動)する。また、走行エンコーダ8は、本体フレーム1が単位距離走行する毎にパルス出力する。また、走行モータ9は、本体フレーム1を走行させる。
図2に示す本体フレーム1は、図中右側が前方であり、その方向への移動が往行、図中左側が後方であり、その方向への移動が復行となる。なお、XYZ座標空間で示すと、X方向は本体フレーム1の起立方向(車両Cの車高方向)、Y方向は本体フレーム1の幅方向(車両Cの幅方向)、Z方向は本体フレーム1の移動方向(車両Cの車長方向)となる。
【0020】
また、回転ブラシ3,4・4は、本体フレーム1に設けられ、車両Cをブラッシング洗浄する。具体的に、Y方向に延在する回転軸を有するトップブラシ3は、本体フレーム1の移動に伴って昇降動作しながら、主に車両Cの上面を洗浄する。また、左右一対に設けられ、X軸方向に延在する回転軸を有するサイドブラシ4・4は、本体フレーム1の移動に伴って開閉動作(接離動作)しながら、主に車両Cの側面および前後面を洗浄する。
【0021】
また、送風ノズル5,6・6は、本体フレーム1に設けられ、洗浄によって濡れた状態の車両Cに対して、送風機からの空気を送風し、車両Cを乾燥させる。具体的に、トップノズル5は、本体フレーム1の移動に伴って昇降動作しながら、主に車両Cの上面を乾燥させる。一対のサイドノズル6・6は、本体フレーム1の移動に伴って開閉動作(延出動作ともいう。)しながら、主に車両Cの側面を乾燥させる。
【0022】
また、車形検出装置7(「車形センサ」ともいう。)は、本体フレーム1の前方に配置され本体フレーム1の走行に伴い、主に車両Cの上面位置を読み取る。車形検出装置7は、車両Cの幅方向において車両Cを挾むように、上下に複数の発光素子を配列した発光部7aと受光素子を配列した受光部7bを対向させて構成されている。この構成による車形検出装置7は、発光部7aと受光部7bの対となる発光素子・受光素子間で形成される光軸(
図1では破線で示す。)が車両Cによって遮られたのを検知し、そのときの本体フレーム1の位置関係から車両Cの上面に沿った形状、すなわち車形を検出する。
【0023】
ここで、本発明の実施形態に係るノズルとして洗車機100のサイドノズル6に適用した場合について具体的に説明する。
図3、
図4および
図5は、それぞれXYZ座標空間におけるサイドノズル6を示す斜視図、側面図および平面図である。また、
図6および
図7は、それぞれサイドノズル6の進行方向および延出方向における車両検知動作の説明図である。これら
図3等に示すサイドノズル6は、車両Cの先頭左側で敷設面(地面)に起立する門型本体フレーム1の脚部に設けられる。
【0024】
このサイドノズル6は、ノズル体10を備えている。洗車機100は、左右のサイドノズル6をそれぞれ車両Cの側面から所定距離離れた位置に保持しながら、送風機からの高圧空気をノズル体10を介して車両Cの側面へ送風する機能を含んでいる。
【0025】
ノズル体10は、中空で、X方向が長手、Y方向が短手、Z方向が厚みとなる板状に形成されている。ノズル体10は、X方向およびZ方向に拡がるように延在する第1面部10Aと、X方向およびY方向に拡がるように延在する第2面部10Bと、第2面部10Bと平行に対向する第3面部10Cと、X方向の上側に位置する上面部10Dと、を有している。これら面部のうち第1面部10Aが細長く構成されている。このように、ノズル体10を板状にすることで、サイドノズル6の薄型化(小型化)を図ることができる。また、薄型化によりサイドノズル6の軽量化も図ることができる。
【0026】
ノズル体10は、内部を開口するものとして、吹出口15(送風口)と、送風機側と連通される連通口14とを有する。本実施形態では、ノズル体10を板状にしているため、吹出口15が第1面部10Aに、そして連通口14が第2面部10Bに設けられる構成としている。この連通口14には、送風機と連通する可撓性のダクトホース13(例えば、断面視円形状)が接続される。送風機から圧送さた空気は、連通口14からノズル体10の内部へ送られる。なお、連通口14には、ダクトホース13を介さず直接に送風機が接続されてもよい。
【0027】
ノズル体10の内部へ送られた空気は、吹出口15の形状を流通断面(第1面部10A)の形状として、ノズル体10の外部へ送り出される。サイドノズル6では吹出口15がX方向に延在するスリット状に設けられている。これにより、例えばノズル体10を上下させずとも、車高方向(X方向)において車両Cの側面に対して一度に送風することができる。
【0028】
ここで、連通口14は、板状の厚みのために狭くなっている上面部10Dではなく、広い第2面部10Bに設けている。本実施形態では、ノズル体10が板状であるため、連通口14の大きさ(より具体的には
図4に示すX方向寸法DxおよびY方向寸法Dyのうちの最大寸法)が、ノズル体10の厚み(Z方向寸法)よりも大きい。なお、連通口14の大きさは、送風機からの空気を効率よくノズル体10へ取り込むために、ある程度必要である。
【0029】
このため、本実施形態では、狭い上面部10Dに連通口14を設けることができない場合であっても、広い第2面部10Bに連通口14を設けている。したがって、X方向およびY方向に拡がる面積が確保された第2面部10Bに連通口14を設けることで、送風ノズルとしての機能を有しつつ、ノズル体10をZ方向を厚みとした板状とすることができる。なお、連通口14の大きさは、送風機の性能はもちろんノズル体10の形状(大きさ、吐出口15)も考慮される。
【0030】
このように、本実施形態では、サイドノズル6を薄型化し、送風機からの空気をサイドノズル6を介して車両Cへ送風するために、ノズル体10を板状とし、第1面部10Aに吹出口15、第2面部10Bに連通口15を設けている。サイドノズル6を薄型化することで、洗車機100では、例えば、本体フレーム1の小型化を図ることもできる。
【0031】
そして、ノズル体10では、スリット状である吹出口15のX方向寸法の中心とX方向において同じ高さ位置にあるように、ノズル体10の第2面部10Bに連通口14が設けられている。すなわち、X方向に延在するスリット状の吹出口15の一方側の面部(上面部10D)に送風機側と連通する連通口14が設けられていない。言い換えると、ノズル体10では、X方向に延在するスリット状の吹出口15の他方側から最も離れた位置に連通口15が設けられていない。
【0032】
他方、特許文献1に記載のようなサイドノズルによれば、X方向に延在するスリット状の吹出口(送風口)の他方側から最も離れた位置に連通口(接続筒)が設けられることとなる。仮に、スリット状の吹出口15の一方側(すなわち上面部10D)に連通口14が設けられた場合、スリット状の吹出口15の他方側まで送風機からの空気が流れにくくなってしまう。
【0033】
これに対して、本実施形態では、スリット状である吹出口15のX方向寸法の中心とX方向において同じ高さ位置に連通口14を設けている。これにより、スリット状の吹出口15の中心側の他に、一方側(上側)および他方側(下側)にも空気が流れ易くすることができる。
【0034】
また、ノズル体10を板状とし、その厚み方向(Z方向)と直交する一側面部(第2側面部10B)に連通口14を設けている。仮に、他の実施形態として、ノズル体10の厚みを均一とした場合であっても、サイドノズル6としての機能を有しつつ、ノズル体10を薄型化させることができる(例えば、
図5に示す吹出口15側の厚みT1で、ノズル体10の厚みを均一とした場合である。)。なお、本実施形態では、
図5に示すようにノズル体10は、吹出口15側の厚みT1と、連通口14側の厚みT2と異なる厚みの板状として説明している。
【0035】
ところで、連通口14からノズル体10の内部に入った空気は、第2面部10B(連通口14)と対向する第3面部10Cに衝突し、第2面部10Bと第3面部10Cとの間で吹出口15への流れが安定しないおそれもある。このため、本実施形態では、
図5に示すように、ノズル体10の吹出口15側の厚みT1よりも連通口14の厚みT2を厚くし、連通口14と第3面部10Cとの距離を確保している。連通口14から入ってくる空気を受け止める距離(厚みT2)を確保することで、ノズル体10の内部で空気を流れ易くする(安定させる)ことができる。
【0036】
また、ノズル体10では、
図5に示すように、吐出口15が設けられる部分P1(厚みT1)と、連通口14が設けられる部分P2(厚みT2)との間の部分P3が部分P2から部分P1へかけて徐々に(または段階的であってもよい)厚みを薄くしている。これにより、連通口14から吹出口15側へ、より空気を流れ易くすることができる。
【0037】
また、連通口14からノズル体10の内部に入った空気は、第2面部10B(連通口14)と対向する第3面部10Cに衝突する。このため、第3面部10Cが撓んで振動してしまう。これを防止するために、サイドノズル6は、連通口14に対向するように第3面部10Cに設けられた補強部材50を備えている。本実施形態では、補強部材50として複数(2つ)の板部材50を用いている。そして、補強部材50を第2面部10Bと第3面部10Cとの間をブリッジするようにそれぞれに固定して設ける(例えば、鋼板を両持ちでリベット止めしている。)。これにより、連通口14からの空気の衝突によって第3面部10Cが撓むことを防止することができる。
【0038】
また、サイドノズル6は、連通口14に対向するように第3面部10Cに取り付けられた一対の板部材50・50を備えている(
図4、
図5参照)。この一対の板部材50・50は、それぞれY方向およびZ方向に延在する板面部50A(
図5では平面図であるがハッチングを付している。)を有し、連通口14側の第3面部10CにおいてX方向に互いに離れて設けられている。一対の板部材50・50により、連通口14からノズル体10の内部に入った空気が板面部50aによってX方向(ノズル体10の長手方向)へ拡がることが防止され、吐出口15から均一に空気が吐出されるようにすることができる。なお、
図4に示すように一対の板部材50・50は、板面部50AをY方向に平行に配置されることはもちろん、吐出口15に向かって末広がりとなるように配置されてもよい。すなわち、吐出口15から均一に空気が吐出されるようにすることができればよい。
【0039】
また、ノズル体10では、X方向に延在するスリット状の吐出口15から空気が勢いよく吐出される。このため、吐出口15を構成する部材が振動してしまう。これを防止するために、サイドノズル6は、スリット状の吐出口15に沿ってX方向に延在する補強部材52を備えている。本実施形態では、補強部材52として、第2面部10Bを構成するパネルの吐出口15側を折り曲げた端部および第3面部10Cを構成するパネルの吐出口15側を折り曲げた端部を用いている。なお、これら端部間をブリッジする部材を設けることで、吐出口15側での振動の発生をより防止することができる。
【0040】
また、洗車機100は、サイドノズル6を本体フレーム1の脚部から延出方向(Y方向)へ移動させるノズル進退装置11を備えていることがより好ましい。ノズル進退装置11は、ノズル体10を車両Cの側面に対して接離自在に進退させる。本実施形態では、ノズル体10を板状にしてサイドノズル6を薄型・軽量化することができるので、ノズル進退装置11によるサイドノズル6を進退動させる負荷を低減させることができる。
【0041】
このノズル進退装置11は、
図3に示すように、チェーン20と、スプロケット21と、ノズル進退用モータ22と、エンコーダ23と、リミットスイッチ25と、ドッグ26と、を備えて構成されている。ノズル進退装置11は、ノズル体10の側面(第2面部10B、第3面部10C)に設けたキャリア16を、本体フレーム1の脚部内に水平に取り付けたガイドフレーム17のガイド溝18に沿って移動させる。
【0042】
チェーン20は、ノズル体10の側面上部と側面背部に取り付けたローラ19,19でガイドフレーム17を挟んだ状態で前後し、キャリア16の左右端に接続している。スプロケット21、21は、チェーン20が懸架される。ノズル進退用モータ22は、一方のスプロケット21を回転駆動する。ノズル進退位置検出用のエンコーダ23は、モータの駆動軸先端に接続される。リミットスイッチ25は、キャリア16が移動するガイド溝18と平行に設けられたもう1つのガイド溝24に沿って移動する。ドッグ26は、ガイド溝24の前後端にそれぞれ設けられる。
【0043】
また、洗車機100は、サイドノズル6に取り付けられる車両検知装置12を備えていることがより好ましい。車両検知装置12は、ノズル体10と車両Cとの接触を未然に防止することができるからである。本実施形態では、ノズル体10を板状にしてサイドノズル6が薄型・軽量化するため、これを進退動させる性能が向上するが、車両検知検装置12を設けることで、よりサイドノズル6と車両Cとの接触を防止することができる。
【0044】
車両検知装置12は、
図3、
図5に示すように、下ブラケット27と、下支持アーム28と、上ブラケット29と、上支持アーム30と、検知バー33と、作動板34と、近接スイッチ35と、を備えて構成される。下ブラケット27は、ノズル体10の下端から垂下される。また、下支持アーム28は、下ブラケット27から乾燥時にサイドノズル6よりも先行する側に本体フレーム1の進行方向に対して角度θ1だけ内向きに指向させた状態で水平に取り付けられる。
【0045】
上ブラケット29は、ノズル体10の上面部10Dから乾燥時にサイドノズル6よりも先行する側に本体フレーム1の進行方向に対して角度θ2だけ内向きに指向させた状態で水平に取り付けられる。上支持アーム30は、この上ブラケット29に水平に取り付けられる。
【0046】
検知バー33は、下支持アーム28の先端に取り付けた下端支持体31と上支持アーム30の先端に取り付けた上端支持体32との間に、上下端を回動自在に支持された状態で取り付けられる。近接スイッチ35は、常態の上支持アーム30と上下平行になるように上端支持体32に取り付けられる作動板34と、上ブラケット29に取り付けられ、作動板34の接近・離間を検出する。
【0047】
下支持アーム28と上支持アーム30は、バネ等の弾性部材からなり、検知バー33を変位自在に付勢している。また、
図4に示すZ方向(ノズル体10の厚み方向)に対して下支持アーム28の取付角度θ1と上支持アーム30の取付角度θ2とを、θ1<θ2の関係にしている。更に、下支持アーム28と上支持アーム30の弾性力を変え、下支持アーム28の弾性力を上支持アーム30よりも強く設定している。
【0048】
続いて、洗車機100による車両Cに対する処理方法について説明する。車両Cを本体フレーム1の前方より進入させ、所定の停車位置に停車させたら(
図1、
図2参照)、ユーザは希望する洗車コースを選んで処理機能をスタートさせる。
【0049】
例えば、本体フレーム1が1.5往復する洗車コースが選ばれると、まず、本体フレーム1の往行(
図2では右方向への移動)に伴い、先行する車形検出装置7で車両Cの上面形状が検出される。洗車機100は、この検出された車両形状に沿ってトップブラシ3の昇降とサイドブラシ4・4の接離を制御しながら、シャンプー剤(液体)を塗布して車両Cの外面をブラッシング洗浄する。このとき、サイドブラシ4・4が車両Cの側面に接触した位置を記憶しておくことで、車両Cの側面形状が検出される。
【0050】
次いで、本体フレーム1の復行に伴い、ワックス剤(液体)を塗布して車両Cの外面をワックス掛けする。次いで、本体フレーム1の再度の往行に伴い、検出した車形に沿ってトップノズル5の昇降とサイドノズル6・6の接離を制御しながら、液体で濡れた車両Cに高圧風を吹き付けて車両Cの外面をブロー乾燥する。なお、この1.5往復洗車コース以外にも本体フレーム1を2.5往復や3.5往復させる様々なニーズに応じた洗車動作をさせることもできる。
【0051】
乾燥工程において、送風ノズル(サイドノズル6・6)は、回転ブラシ(サイドブラシ4・4)の位置から検出された側面形状に沿って車両Cの側面に対して接離される。本体フレーム1には、車両Cとの接触を防止する安全装置として、吹出口15よりも前方(車両C側)で、かつ乾燥工程時の進行方向に対してサイドノズル6よりも先行する側に車両検知装置12を取り付けている。この車両検知装置12で車両Cを検知すると、本体フレーム1の走行停止やノズル進退装置11によるサイドノズル6の接近停止・後退を行い、未然に車両Cとサイドノズル6との接触が防止される。
【0052】
ここで、
図6に示すように、本体フレーム1の走行により、車両検知装置12の検知バー33にドアミラーCdm等の突起物が接触すると、検知バー33が下端支軸体31を支点として回動し、上端に連係した上支持アーム30を付勢力に抗して進行方向と逆方向に湾曲させる。これにより、上端支軸体32に固定した剛体の作動板34が近接スイッチ35と非近接状態となり、近接スイッチ35がスイッチングして車両Cとの接触が検知される。
【0053】
本実施形態では、上支持アーム30は、下支持アーム28に比べて、弾性力を弱く設定し、進行方向に対する取付角度を緩くして応答性を高めてある。このため、車両Cとの接触により上支持アーム30が先行して揺動し、弱い接触圧であっても車両Cとの接触を確実に検知することができる。また、車種によって取り付け高さ位置が異なるドアミラーCdmも、検知バー33がサイドノズル6の高さ範囲をカバーし、弱い接触で上支持アーム30が変位するからどの高さ位置にあるドアミラーCdmでも検知することができる。
【0054】
また、
図7に示すように、サイドノズル6の延出により、車両検知装置12の検知バー33が車両Cに接触すると、検知バー33は下端支軸体31を支点として回動し、上端に連係した上支持アーム30を付勢力に抗して延出方向と逆方向に湾曲させる。上支持アーム30は、下支持アーム28に比べて、弾性力を弱く設定しているため、車両Cとの接触により上支持アーム30が先行して揺動し、弱い接触圧であっても車両Cとの接触を確実に検知することができる。
【0055】
このように、車両Cへの接触は、本体フレーム1の進行方向からの接触と、サイドノズル6の進退方向からの接触とが考えられるが、いずれの接触であっても上支持アーム30が先に揺動することになる。作動板34と近接スイッチ35により検知バー33への接触が検知される。
【0056】
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、サイドノズル6(送風ノズル)の連通口14にダクトホース13を接続する場合について説明した。本発明に係る第2実施形態では、送風ノズルに直接送風機(例えば、遠心ファン)を接続する場合について、図面を参照して説明する。
図8、
図9および
図10は、それぞれ本実施形態に係る送風ノズル60の模式的な斜視図、平面図および側面図である。
【0057】
送風ノズル60は、ノズル体10を備えている。ノズル体10は、中空で、X方向が長手、Y方向が短手、Z方向が厚みとなる板状に形成されている。ノズル体10は、4つの側面部として、X方向およびZ方向に拡がるように延在する第1面部10Aと、X方向およびY方向に拡がるように延在する第2面部10Bと、第2面部10Bと平行に対向する第3面部10Cと、第1面部10Aと平行に対向する第4面部10Eと、を有している。また、ノズル体10は、X方向の上側に位置する上面部10Dと、X方向の下側に位置する下面部10Fと、を有している。これら面部のうち第1面部10Aが細長く構成されている。このように、ノズル体10を板状にすることで、送風ノズル60の薄型化(小型化)を図ることができる。また、薄型化により送風ノズル60の軽量化も図ることができる。
【0058】
ノズル体10は、内部を開口するものとして、吹出口15(送風口)と、送風機62側と連通される連通口14とを有する。本実施形態では、ノズル体10を板状にしているため、吹出口15が第1面部10Aに、そして連通口14が第2面部10Bに設けられる構成としている。この連通口14には、送風機62の吐出口(例えば、断面視矩形状)が直接接続される。送風機62から圧送さた空気は、連通口14からノズル体10の内部へ送られる。また、本実施形態では、ノズル体10の連通口14側から吐出口15側へ流通断面が拡がるように、上面部10Dおよび下面部10Fにそれぞれ末広部10Da、10Fa(言い換えると、テーパ部10Da、10Fa)が形成されている。これにより、連通口14から入ってくる空気を、スリット状の吐出口15へ流れ易くする(安定させる)ことができる。
【0059】
ここで、連通口14は、板状の厚みのために狭くなっている上面部10D(末広部10Da)ではなく、広い第2面部10Bに設けている。本実施形態では、ノズル体10が板状であるため、連通口14の大きさ(より具体的には
図10に示すX方向寸法DxおよびY方向寸法Dyのうちの最大寸法)が、ノズル体10の厚み(Z方向寸法)よりも大きい。このため、本実施形態では、狭い上面部10Dに連通口14を設けることができない場合であっても、広い第2面部10Bに連通口14を設けている。したがって、X方向およびY方向に拡がる面積が確保された第2面部10Bに連通口14を設けることで、送風ノズルとしての機能を有しつつ、ノズル体10をZ方向を厚みとした板状とすることができる。
【0060】
また、連通口14からノズル体10の内部に入った空気は、第2面部10B(連通口14)と対向する第3面部10Cに衝突する。このため、第3面部10Cが撓んで振動してしまう。これを防止するために、送風ノズル60は、連通口14に対向するように第3面部10Cに設けられた補強部材50を備えている。本実施形態では、補強部材50として複数(4つ)の板部材50を用い、これを第3面部10Cに固定して設けている(例えば、ステンレス板を片持ちで溶接止めしている。)。これにより、連通口14からの空気の衝突によって第3面部10Cが撓むことを防止することができる。
【0061】
また、送風ノズル60は、連通口14に対向するように第3面部10Cに取り付けられた一対の板部材64・64(補強部材50でもある。)を備えている(
図9、
図10参照)。一対の板部材64・64は、それぞれY方向およびZ方向に延在する板面部64A(
図9では平面図であるがハッチングを付している。)を有し、連通口14側の第3面部10CにおいてX方向に互いに離れて設けられている。一対の板部材64・64により、連通口14からノズル体10の内部に入った空気が板面部64AによってX方向(ノズル体10の長手方向)へ拡がることが防止され、吐出口15から均一に空気が吐出されるようにすることができる。
【0062】
また、送風ノズル60は、連通口14に対向するように第3面部10Cに取り付けられた一対の板部材66・66(補強部材50でもある。)を備えている(
図9、
図10参照)。一対の板部材66・66は、それぞれY方向およびZ方向に延在する板面部66A(
図9では平面図であるがハッチングを付している。)を有し、連通口14側の第3面部10CにおいてX方向に互いに離れて設けられている。そして、一対の板部材66・66は、一対の板部材64・64よりも吐出口14側であり、近づいて配置されている。これにより、連通口14からの空気を一対の板部材64・64の板面部64Aで受け、それを一対の板部材66・66の板面部66Aで受けることで、吐出口15から均一に空気が吐出されるようにすることができる。
【0063】
図11に送風ノズル60の内部での流体解析結果を示す。また、
図12に送風ノズル60と比較するために、板部材64、66を設けていないノズル内部での流体解析結果を示す。ここで、本実施形態では、送風機62にとして遠心ファン(
図8参照)を用いている。このため、
図11および
図12では、連通口14のX方向下側で空気が密に強く流れていることがわかる。そして、
図12に示すように、板部材64、66を設けていない場合は、吐出口15のX方向上下側で空気が密に流れているが、中央側では空気が疎に流れている。そこで、本実施形態では、板部材64、66を設けることで、
図11に示すように、吐出口15のX方向上下中央側で均一に空気が流れるようにすることができる。
【0064】
また、
図10に示すように、一対の板部材64・64と、一対の板部材66・66は、連通口14に対してそのX方向中心から下側へずらして配置されている。これは、送風機62として遠心ファンを用いているため、送り出される空気がX方向下側が密となることを考慮して第2面部10Bに配置されている。このように、連通口14からの空気の入り方によって一対の板部材64・64、66・66の配置を変えることで、吐出口15から均一に空気が流れるようにすることができる。なお、送風機62が軸流ファンである場合は、一対の板部材64・64、66・66は、連通口14のX方向中心と同じ高さ位置を挟むようにして第2面部10Bに配置される。
【0065】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0066】
前記実施形態では、敷設面(地面)に停車した車両に対して本体フレームが移動する洗車機(車両処理装置)を説明した。これに限らず、例えば、車両の車長方向に移動可能なキャリアに車両を搭乗させて、本体フレームに対して車両が移動する場合や、車両および本体フレームが共に移動する場合であってもよい。このため、本発明には、処理対象となる車両に対して本体部が相対移動する関係が含まれる。
【0067】
また、前記実施形態では、車両として乗用車を例示し、車両処理装置として洗車機に適用した場合について説明した。これに限らず、車両として、その他の自動車や特殊車両、電車などの列車に対して送風する機能を含む車両処理装置にも適用することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、板状のノズル体を備える送風ノズルとして、洗車機のサイドノズルに適用した場合について説明した。これに限らず、洗車機のトップノズルにも適用することもできる。例えば、
図2に示すトップノズル5の吹出口(下面部にある)と連通口(上面部にある)は対向し、連通口に接続されるダクトホースも考慮すると、鉛直方向寸法を確保して本体フレーム1を構成する必要があった。この点、本発明によれば下面部と交差する側面部に連通口が設けられるので、本体フレーム1の鉛直方向寸法を小さくしたり、部材レイアウトの自由度を向上したりすることができる。
【符号の説明】
【0069】
6 ノズル、 10 ノズル体、 10A 第1面部、 10B 第2面部、 14 連通口、 15 吹出口