(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048489
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/16 20060101AFI20220318BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220318BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220318BHJP
H01L 27/11573 20170101ALI20220318BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G11C16/16
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L27/11573
G11C16/04 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154336
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 新悟
(72)【発明者】
【氏名】前田 高志
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225BA19
5B225DC03
5B225DC08
5B225DC09
5B225DC10
5B225EA05
5B225FA01
5B225FA07
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
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5F083ER03
5F083ER14
5F083ER23
5F083GA10
5F083GA11
5F083JA04
5F083JA19
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5F083KA05
5F083KA13
5F083LA03
5F083LA05
5F083LA10
5F083ZA21
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC01
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE07
5F101BF05
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、第1方向に並ぶ複数の第2導電層と、これらの間に設けられた第1半導体層と、複数の第1導電層と第1半導体層との間に設けられた第1部分、及び、複数の第2導電層と第1半導体層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、第1半導体層に電気的に接続された第1配線と、第1、第2導電層に接続された第1、第2トランジスタと、を備える。また、この半導体記憶装置は、消去動作において、複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、第1配線に第1電圧よりも大きい消去電圧を供給し、複数の第2トランジスタの少なくとも一部に第2トランジスタをOFF状態とする第1信号電圧を供給する。
【選択図】
図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、
前記第1方向と交差する第2方向において前記複数の第1導電層から離間して配置され、前記第1方向に並ぶ複数の第2導電層と、
前記複数の第1導電層と、前記複数の第2導電層と、の間に設けられ、前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層及び前記複数の第2導電層と対向する第1半導体層と、
前記複数の第1導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第1部分、及び、前記複数の第2導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、
前記第1半導体層に電気的に接続された第1配線と、
前記複数の第1導電層及び前記複数の第2導電層の少なくとも一方に電圧を供給する複数の電圧供給線と、
前記複数の第1導電層と前記複数の電圧供給線との間の電流経路であって、一又は直列に接続された複数の第1トランジスタを含む複数の第1電流経路と、
前記複数の第2導電層と前記複数の電圧供給線との間の電流経路であって、一又は直列に接続された複数の第2トランジスタを含む複数の第2電流経路と
を備え、
前記複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、前記第1配線に前記第1電圧よりも大きい消去電圧を供給し、前記複数の第2導電層の少なくとも一部に対応する前記第2電流経路において、少なくとも一つの前記第2トランジスタのゲート電極に、前記第2トランジスタをOFF状態とする第1信号電圧を供給する第1消去動作
を実行可能に構成された半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第2導電層の少なくとも一部に前記第1電圧を供給し、前記第1配線に前記消去電圧を供給し、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に対応する前記第1電流経路において、少なくとも一つの前記第1トランジスタのゲート電極に、前記第1トランジスタをOFF状態とする第2信号電圧を供給する第2消去動作を実行可能に構成された
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の第1導電層のうちの一つに前記第1電圧よりも大きい第1プログラム電圧を供給し、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に前記第1電圧よりも大きく前記第1プログラム電圧よりも小さい書込パス電圧を供給する第1プログラム動作を実行可能に構成され、
前記第1消去動作が実行された後、前記第2消去動作が実行される前に、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に対して、前記第1プログラム動作を実行する
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、
前記第1方向と交差する第2方向において前記複数の第1導電層から離間して配置され、前記第1方向に並ぶ複数の第2導電層と、
前記複数の第1導電層と、前記複数の第2導電層と、の間に設けられ、前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層及び前記複数の第2導電層と対向する第1半導体層と、
前記複数の第1導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第1部分、及び、前記複数の第2導電層と前記第1半導体層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、
前記第1半導体層に電気的に接続された第1配線と
を備え、
前記複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、前記複数の第2導電層の少なくとも一部に前記第1電圧よりも大きい第2電圧を供給し、前記第1配線に前記第1電圧よりも大きい消去電圧を供給する第1消去動作と、
前記複数の第2導電層の少なくとも一部に前記第1電圧を供給し、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に前記第2電圧を供給し、前記第1配線に前記消去電圧を供給する第2消去動作と、
前記複数の第1導電層のうちの一つに前記第1電圧よりも大きい第1プログラム電圧を供給し、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に前記第1電圧よりも大きく前記第1プログラム電圧よりも小さい書込パス電圧を供給する第1プログラム動作と
を実行可能に構成され、
前記第1消去動作が実行された後、前記第2消去動作が実行される前に、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に対して、前記第1プログラム動作を実行する
半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数の第1導電層の少なくとも一部に前記書込パス電圧よりも小さい第1ベリファイ電圧を供給し、前記複数の第2導電層の少なくとも一部に前記第1電圧よりも小さい第3電圧を供給する第1ベリファイ動作と、
前記複数の第1導電層のうちの一つに前記第3電圧よりも大きく前記第1電圧よりも小さい第2ベリファイ電圧を供給し、前記複数の第1導電層の少なくとも一部に前記第1電圧よりも大きく前記第1プログラム電圧よりも小さい読出パス電圧を供給し、前記複数の第2導電層の少なくとも一つに前記第3電圧を供給する第2ベリファイ動作と
を実行可能に構成され、
前記第1消去動作の実行後、前記第1プログラム動作の実行前に、前記第1ベリファイ動作を実行し、
前記第1プログラム動作の実行後、前記第2消去動作の実行前に、前記第2ベリファイ動作を実行する
請求項3又は4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1消去動作及び前記第1ベリファイ動作を複数回交互に実行し、
前記第1プログラム動作及び前記第2ベリファイ動作を複数回交互に実行する
請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記複数の第2導電層の少なくとも一部に前記書込パス電圧よりも大きい第2プログラム電圧を供給する第2プログラム動作を実行可能に構成され、
前記第1消去動作の実行前に、前記第2プログラム動作を実行する
請求項3~6のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載された実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する方向に積層された複数のゲート電極と、これら複数のゲート電極に対向する半導体層と、ゲート電極及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁性の電荷蓄積層やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積層等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、第1方向と交差する第2方向において複数の第1導電層から離間して配置され、第1方向に並ぶ複数の第2導電層と、複数の第1導電層と、複数の第2導電層と、の間に設けられ、第1方向に延伸し、複数の第1導電層及び複数の第2導電層と対向する第1半導体層と、複数の第1導電層と第1半導体層との間に設けられた第1部分、及び、複数の第2導電層と第1半導体層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、第1半導体層に電気的に接続された第1配線と、複数の第1導電層及び複数の第2導電層の少なくとも一方に電圧を供給する複数の電圧供給線と、複数の第1導電層と複数の電圧供給線との間の電流経路であって、一又は直列に接続された複数の第1トランジスタを含む複数の第1電流経路と、複数の第2導電層と複数の電圧供給線との間の電流経路であって、一又は直列に接続された複数の第2トランジスタを含む複数の第2電流経路と、を備える。また、この半導体記憶装置は、複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、第1配線に第1電圧よりも大きい消去電圧を供給し、複数の第2導電層の少なくとも一部に対応する第2電流経路において、少なくとも一つの第2トランジスタのゲート電極に、第2トランジスタをOFF状態とする第1信号電圧を供給する第1消去動作を実行可能に構成されている。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ複数の第1導電層と、第1方向と交差する第2方向において複数の第1導電層から離間して配置され、第1方向に並ぶ複数の第2導電層と、複数の第1導電層と、複数の第2導電層と、の間に設けられ、第1方向に延伸し、複数の第1導電層及び複数の第2導電層と対向する第1半導体層と、複数の第1導電層と第1半導体層との間に設けられた第1部分、及び、複数の第2導電層と第1半導体層との間に設けられた第2部分を備える電荷蓄積層と、第1半導体層に電気的に接続された第1配線と、を備える。また、この半導体記憶装置は、複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、複数の第2導電層の少なくとも一部に第1電圧よりも大きい第2電圧を供給し、第1配線に第1電圧よりも大きい消去電圧を供給する第1消去動作と、複数の第2導電層の少なくとも一部に第1電圧を供給し、複数の第1導電層の少なくとも一部に第2電圧を供給し、第1配線に消去電圧を供給する第2消去動作と、複数の第1導電層のうちの一つに第1電圧よりも大きい第1プログラム電圧を供給し、複数の第1導電層の少なくとも一部に第1電圧よりも大きく第1プログラム電圧よりも小さい書込パス電圧を供給する第1プログラム動作と、を実行可能に構成されている。また、この半導体記憶装置は、第1消去動作が実行された後、第2消去動作が実行される前に、複数の第1導電層の少なくとも一部に対して、第1プログラム動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の模式的なブロック図である。
【
図2】同半導体記憶装置の模式的な等価回路図である。
【
図3】同半導体記憶装置の模式的な等価回路図である。
【
図10】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図11】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図12】同半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図13】同半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図14】同半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図15】同半導体記憶装置の片面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図16】同半導体記憶装置の片面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図17】同半導体記憶装置の片面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図18】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図19】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図20】同半導体記憶装置のEP書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図21】同半導体記憶装置のEP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図22】同半導体記憶装置のEP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図23】第1比較例に係る半導体記憶装置の模式的な斜視図である。
【
図24】第2比較例に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図25】第2比較例に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図26】第3比較例に係る半導体記憶装置の両面EP書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図27】第3比較例に係る半導体記憶装置の両面EP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図28】第3比較例に係る半導体記憶装置の両面EP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図29】トランジスタの配置について説明するための模式的な平面図である。
【
図30】トランジスタの配置について説明するための模式的な平面図である。
【
図31】トランジスタの配置について説明するための模式的な平面図である。
【
図32】第2実施形態に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図33】第2実施形態に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【
図34】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図35】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図36】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図37】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図38】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図39】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【
図40】第3実施形態に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図41】第3実施形態に係る半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0009】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0013】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶ場合がある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0015】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0016】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なブロック図である。
図2及び
図3は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な等価回路図である。
【0017】
図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAを制御する周辺回路PCと、を備える。
【0018】
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、複数のストリングユニットSUを備える。ストリングユニットSUは、例えば
図2に示す様に、複数のメモリユニットMUを備える。これら複数のメモリユニットMUは、それぞれ、電気的に独立な2つのメモリストリングMSa,MSbを備える。これらメモリストリングMSa,MSbの一端は、それぞれドレイン側選択トランジスタSTDに接続され、これらを介して共通のビット線BLに接続される。メモリストリングMSa,MSbの他端は、共通のソース側選択トランジスタSTSに接続され、これを介して共通のソース線SLに接続される。
【0019】
メモリストリングMSa,MSbは、それぞれ、直列に接続された複数のメモリセルMCを備える。メモリセルMCは、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁層は、データを記憶可能な電荷蓄積層を備える。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積層中の電荷量に応じて変化する。メモリストリングMSaに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極は、それぞれ、ワード線WLaに接続されている。また、メモリストリングMSbに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極は、それぞれ、ワード線WLbに接続されている。ワード線WLa,WLbは、それぞれ、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0020】
選択トランジスタ(STD、STS)は、半導体層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極と、を備える電界効果型のトランジスタである。半導体層は、チャネル領域として機能する。ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDに接続されている。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSU中の全てのメモリユニットMUに接続されている。ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極は、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。ソース側選択ゲート線SGSは、メモリブロックBLK中の全てのメモリユニットMUに接続されている。
【0021】
周辺回路PCは、例えば
図1に示す様に、メモリセルアレイMCAに接続されたロウデコーダRDa,RDbと、メモリセルアレイMCAに接続されたセンスアンプモジュールSAMと、ロウデコーダRDa,RDb及びセンスアンプモジュールSAMに接続された電圧生成回路VGと、を備える。また、周辺回路PCは、図示しないシーケンサ、アドレスレジスタ、ステータスレジスタ等を備える。
【0022】
ロウデコーダRDaは、例えば
図3に示す様に、ブロックデコーダBLKDaと、ワード線デコーダWLDaと、ドライバ回路DRVaと、を備える。
【0023】
ブロックデコーダBLKDaは、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリブロックBLKに対応して設けられた複数のブロックデコードユニットblkdaを備える。ブロックデコードユニットblkdaは、メモリブロックBLK中の複数のワード線WLaに対応して設けられた複数のトランジスタTBLKを備える。トランジスタTBLKは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTBLKのドレイン電極は、ワード線WLaに接続されている。トランジスタTBLKのソース電極は、配線CGに接続されている。配線CGは、ブロックデコーダBLKDa中の全てのブロックデコードユニットblkdaに接続されている。トランジスタTBLKのゲート電極は、信号供給線BLKSELに接続されている。信号供給線BLKSELは、全てのブロックデコードユニットblkdaに対応して複数設けられている。また、信号供給線BLKSELは、ブロックデコードユニットblkda中の全てのトランジスタTBLKに接続されている。
【0024】
読出動作、書込シーケンス等においては、例えば、図示しないアドレスレジスタ中のブロックアドレスに対応する一つの信号供給線BLKSELが“H”状態となり、その他の信号供給線BLKSELが“L”状態となる。例えば、一つの信号供給線BLKSELに正の大きさを有する所定の駆動電圧が供給され、その他の信号供給線BLKSELに接地電圧VSS等が供給される。これにより、このブロックアドレスに対応する一つのメモリブロックBLK中の全てのワード線WLaが全ての配線CGと導通する。また、その他のメモリブロックBLK中の全てのワード線WLaがフローティング状態となる。
【0025】
ワード線デコーダWLDaは、メモリストリングMSa中の複数のメモリセルMCに対応して設けられた複数のワード線デコードユニットwldaを備える。図示の例において、ワード線デコードユニットwldaは、2つのトランジスタTWLを備える。トランジスタTWLは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTWLのドレイン電極は、配線CGに接続されている。トランジスタTWLのソース電極は、配線CGS又は配線CGUに接続されている。トランジスタTWLのゲート電極は、信号供給線WLSELS又は信号供給線WLSELUに接続されている。信号供給線WLSELSは、全てのワード線デコードユニットwldaに含まれる一方のトランジスタTWLに対応して複数設けられている。信号供給線WLSELUは、全てのワード線デコードユニットwldaに含まれる他方のトランジスタTWLに対応して複数設けられている。
【0026】
読出動作、書込シーケンス等においては、例えば、図示しないアドレスレジスタ中のページアドレスに対応する一つのワード線デコードユニットwldaに対応する信号供給線WLSELSが“H”状態となり、これに対応するWLSELUが“L”状態となる。また、それ以外のワード線デコードユニットwldaに対応する信号供給線WLSELSが“L”状態となり、これに対応するWLSELUが“H”状態となる。また、配線CGSには、選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。また、配線CGUには、非選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。これにより、上記ページアドレスに対応する一つのワード線WLaに、選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。また、その他のワード線WLaに、非選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。尚、図示しないアドレスレジスタ中のページアドレスが、ワード線WLaではなくワード線WLbに対応する場合には、全てのワード線WLaに、非選択ワード線WLに対応する電圧が供給される場合もある。
【0027】
ドライバ回路DRVaは、例えば、配線CGS及び配線CGUに対応して設けられた2つのドライバユニットdrvaを備える。ドライバユニットdrvaは、複数のトランジスタTDRVを備える。トランジスタTDRVは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTDRVのドレイン電極は、配線CGS又は配線CGUに接続されている。トランジスタTDRVのソース電極は、電圧供給線LVG又は電圧供給線LPに接続されている。電圧供給線LVGは、電圧生成回路VGの複数の出力端子のうちの一つに接続されている。電圧供給線LPは、接地電圧VSSが供給されるボンディングパッド電極Pに接続されている。トランジスタTDRVのゲート電極は、信号供給線VSELに接続されている。
【0028】
読出動作、書込シーケンス等においては、例えば、一つのドライバユニットdrvaに対応する複数の信号供給線VSELのいずれかが“H”状態となり、その他の信号供給線VSELが“L”状態となる。
【0029】
ロウデコーダRDbは、ロウデコーダRDaとほぼ同様に構成される。ただし、ロウデコーダRDb中のトランジスタTBLK,TWL,TDRV、配線CG,CGS,CGU等は、ワード線WLaではなく、ワード線WLbに電気的に接続されている。
【0030】
電圧生成回路VGは、例えば
図3に示す様に、複数の電圧生成ユニットvgを備える。電圧生成ユニットvgは、読出動作、書込シーケンス等において、所定の大きさの電圧を生成し、上記電圧供給線L
VGを介して出力する。電圧生成ユニットvgは、例えば、チャージポンプ回路等の昇圧回路であっても良いし、レギュレータ等の降圧回路であっても良い。
【0031】
センスアンプモジュールSAM(
図1)は、複数のビット線BL(
図2)に対応して設けられた図示しない複数のセンスアンプユニットを備える。センスアンプユニットは、ビット線BLに電気的に接続されたゲート電極を備えるセンストランジスタと、センストランジスタのドレイン電極に接続された複数のデータラッチ回路と、これら複数のデータラッチ回路のうちの一つのデータに応じてビット線BLの電圧を調整する電圧調整回路と、を備える。
【0032】
次に、
図4~
図9を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を説明する。
図4は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な平面図である。
図5及び
図6は、
図4に示す構造のAで示した部分及びA´で示した部分を拡大して示す模式的な平面図である。ただし、
図6においては、
図5に示す構造の一部が省略されている。
図7は、
図4に示す構造の一部を拡大して示す模式的な平面図である。
図8は、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的な斜視図である。
図9は、
図5及び
図6のBで示した部分を拡大して示す模式的な平面図である。
【0033】
図4に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向に並ぶ2つのメモリセルアレイ領域R
MCAが設けられる。メモリセルアレイ領域R
MCAとX方向に並ぶ位置には、フックアップ領域R
HUと、これよりもメモリセルアレイ領域R
MCAから遠いロウデコーダ領域R
RDと、が設けられている。また、半導体基板100のY方向の端部には、周辺回路領域R
PCが設けられている。
【0034】
半導体基板100は、例えば、p型の不純物を含む単結晶シリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板の上面には、n型の不純物を含むn型ウェルと、p型の不純物を含むp型ウェルと、が設けられている。尚、半導体基板100の表面には、例えば、周辺回路PC(
図1)の少なくとも一部を構成するトランジスタや配線等が設けられている。
【0035】
メモリセルアレイ領域R
MCAは、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、例えば
図5に示す様に、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。
【0036】
ストリングユニットSUは、例えば
図8に示す様に、Y方向に並ぶ複数の積層体構造LSと、これら複数の積層体構造LSの間に設けられたトレンチ構造ATと、を備える。積層体構造LSは、Z方向に積層された複数の導電層110を備える。トレンチ構造ATは、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSを備える。各メモリストリング構造MSSは、Z方向に延伸する略有底円筒状の半導体層120と、積層体構造LS及び半導体層120の間に設けられたゲート絶縁層130と、半導体層120の中心部分に設けられた酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層140と、を備える。また、X方向に並ぶ複数のメモリストリング構造MSSの間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層150が設けられている。
【0037】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層であり、例えば窒化チタン(TiN)とタングステン(W)との積層膜、又は、不純物が注入された多結晶シリコン(Si)等の導電層である。一部の導電層110は、それぞれ、ワード線WLa又はワード線WLb、及び、メモリセルMC(
図1)のゲート電極として機能する。また、これよりも上方に位置する一部の導電層110は、ドレイン側選択ゲート線SGD及びドレイン側選択トランジスタSTD(
図1)のゲート電極として機能する。
【0038】
複数の導電層110の下方には、例えば導電層110と同様の材料を含む導電層111が設けられている。導電層111は、ソース側選択ゲート線SGS及びソース側選択トランジスタSTS(
図1)のゲート電極として機能する。
【0039】
複数の導電層110の間、最下層の導電層110及び導電層111の間、並びに、導電層111及び半導体基板100の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0040】
尚、
図9の例では、導電層110のゲート絶縁層130との接触面113が、絶縁層140の中心軸を中心とする略円状の領域(例えば、円状、楕円状、長円状又はその他の形状の領域)の外周に沿って、曲線状に形成されている。また、導電層110の絶縁層150との接触面114は、X方向に延伸する直線状に形成されている。
【0041】
以下、Y方向に並ぶ複数の積層体構造LSのうち、Y方向の一方側から数えて偶数番目又は奇数番目の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110aと呼ぶ場合がある。また、それ以外の積層体構造LSに含まれる複数の導電層110を導電層110bと呼ぶ場合がある。
【0042】
導電層110aは、メモリストリングMSaに含まれるメモリセルMCのゲート電極及びワード線WLa、又は、メモリストリングMSaに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極等として機能する。
図6に示す様に、所定のXY断面においては、Y方向に並ぶ複数の導電層110aのうち、一つのメモリブロックBLKに含まれるもののX方向の一端部(
図6の左端部)が共通に接続されている。この様な複数の導電層110aは、例えば、一つのワード線WLa等として機能する。また、
図5に示す様に、所定のXY断面においては、Y方向に並ぶ複数の導電層110aのうち、一つのストリングユニットSUに含まれるもののX方向の一端部(
図5の左端部)が共通に接続されている。この様な複数の導電層110aは、例えば、一つのドレイン側選択ゲート線SGD等として機能する。
【0043】
導電層110bは、メモリストリングMSbに含まれるメモリセルMCのゲート電極及びワード線WLb、又は、メモリストリングMSbに含まれるドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極等として機能する。
図6に示す様に、所定のXY断面においては、Y方向に並ぶ複数の導電層110bのうち、一つのメモリブロックBLKに含まれるもののX方向の他端部(
図6の右端部)が共通に接続されている。この様な複数の導電層110bは、例えば、一つのワード線WLb等として機能する。また、
図5に示す様に、所定のXY断面においては、Y方向に並ぶ複数の導電層110bのうち、一つのストリングユニットSUに含まれるもののX方向の他端部(
図5の右端部)が共通に接続されている。この様な複数の導電層110bは、例えば、一つのドレイン側選択ゲート線SGD等として機能する。
【0044】
半導体層120(
図8)は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、上述の通り、略有底円筒状の形状を有する。半導体層120は、メモリストリングMSa,MSb(
図1)に含まれる複数のメモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。
【0045】
半導体層120の下端には、半導体層121(
図8)が接続されている。半導体層121は、Y方向において隣り合う2つの導電層111に対向する。半導体層121は、単結晶シリコン(Si)等の半導体層であり、ソース側選択トランジスタSTS(
図1)のチャネル領域として機能する。半導体層121及び導電層111の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層123が設けられる。
【0046】
尚、
図8の例では、半導体基板100がソース線SL(
図1)の一部として機能し、半導体層120が半導体層121及び半導体基板100を介して周辺回路PCに電気的に接続されている。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、半導体層121を省略し、メモリブロックBLKの下方又は上方にソース線SL(
図1)の一部として機能する配線等を設け、この配線等を介して半導体層120と周辺回路PCとを電気的に接続しても良い。
【0047】
ゲート絶縁層130は、略円筒状の形状を有し、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。ゲート絶縁層130は、半導体層120側から導電層110側にかけて設けられた、酸化シリコン(SiO2)等のトンネル絶縁層131と、窒化シリコン(SiN)等の電荷蓄積層132と、酸化シリコン(SiO2)等のブロック絶縁層133と、を備える。
【0048】
フックアップ領域R
HUは、例えば
図5に示す様に、複数のコンタクトCC、及び、これら複数のコンタクトCCの近傍に設けられた支持構造HRを備える。複数のコンタクトCCは、それぞれ、導電層110に接続されている。支持構造HRは、それぞれ、Z方向に積層された複数の導電層110を貫通する。支持構造HRは、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層であっても良い。
【0049】
ロウデコーダ領域R
RDは、例えば
図7に示す様に、Y方向に並ぶ複数のトランジスタ列CTrを備える。本実施形態において、トランジスタ列CTrのY方向における配列周期は、メモリブロックBLKのY方向における配列周期と等しい。これら複数のトランジスタ列CTrは、それぞれ、X方向に並ぶ複数のトランジスタTrを備える。これら複数のトランジスタTrは、例えば、半導体基板100の表面をチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域として利用する電界効果型のトランジスタである。これら複数のトランジスタTrは、それぞれ、コンタクトCCを介して導電層110に接続されている。これら複数のトランジスタTrは、それぞれ、
図3を参照して説明したトランジスタT
BLKとして機能する。トランジスタ列CTrに含まれるトランジスタTrの数は、例えば、メモリブロックBLKにおいてZ方向に積層された導電層110aの数、又は、導電層110bの数と等しい。
【0050】
[メモリセルMCのしきい値電圧]
次に、
図10を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧について説明する。
【0051】
上述の通り、メモリセルアレイMCAは、複数のメモリセルMCを備える。これら複数のメモリセルMCに書込シーケンスが実行された場合、これらメモリセルMCのしきい値電圧は複数通りのステートに制御される。
【0052】
図10は、複数ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCの数を示している。
【0053】
図10には、メモリセルMCのしきい値電圧の分布を3つ図示している。例えば、Erステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
BBよりも大きく、読出電圧V
CGARより小さい。尚、Erステートのしきい値分布に含まれる最も小さいしきい値電圧の大きさは、ベリファイ電圧V
VFYEPの大きさ程度である。また、Aステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出電圧V
CGARよりも大きく、読出電圧V
CGBRよりも小さい。尚、Aステートのしきい値分布に含まれる最も小さいしきい値電圧の大きさは、ベリファイ電圧V
VFYAの大きさ程度である。また、Bステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、読出電圧V
CGBRよりも大きい。尚、Bステートのしきい値分布に含まれる最も小さいしきい値電圧の大きさは、ベリファイ電圧V
VFYBの大きさ程度である。また、全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出パス電圧V
READよりも小さい。
【0054】
これらのしきい値分布には、それぞれ、1ビット又は複数ビットのデータが割り当てられる。
【0055】
例えばメモリセルMCに3ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCのしきい値電圧は、23=8通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら8通りのしきい値分布に、“0,0,0”,“0,0,1”,“0,1,0”,“0,1,1”,“1,0,0”,“1,0,1”,“1,1,0”,“1,1,1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0056】
また、例えばメモリセルMCに1ビットのデータが割り当てられる場合、メモリセルMCのしきい値電圧は、21=2通りのしきい値分布のいずれかに属する様に制御される。また、これら2通りのしきい値分布に、“0”,“1”のいずれかのデータが割り当てられる。
【0057】
[読出動作]
次に、
図11を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
図11は、同読出動作について説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係る読出動作は、指定されたメモリブロックBLK中の指定されたストリングユニットSUに含まれ、且つ、指定されたワード線WLa又はワード線WLbに接続された全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。以下、この様な複数のメモリセルMCを含む構成を、ページと呼ぶ場合がある。
図11では、メモリストリングMSaに対応するページに対して読出動作を実行する例について説明する。
【0058】
図11に示す様に、読出動作においては、選択ワード線WLとして機能する導電層110aに読出電圧V
CGXR(
図10の読出電圧V
CGAR,V
CGBR又はその他の読出電圧)を供給し、非選択ワード線WLとして機能する導電層110aに読出パス電圧V
READを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aに電圧V
SGを供給する。また、Y方向において選択ワード線WLと隣り合う導電層110bに読出遮断電圧V
BBを供給し、その他の非選択ワード線WLとして機能する導電層110bに読出パス電圧V
READを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110bに接地電圧V
SSを供給する。また、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に電圧V
SGを供給し、半導体基板100にソース電圧V
SRCを供給する。
【0059】
尚、電圧VSGは、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSがON状態となる程度の電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。ソース電圧VSRCは、接地電圧VSSと同程度の大きさの電圧であり、接地電圧VSSよりも大きい。
【0060】
これにより、半導体層120に、ビット線BLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネル、及び、ソース線SLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネルが形成される。また、選択メモリセルMCの電荷蓄積層132に蓄積された電荷量に応じて、選択メモリセルMCがON状態又はOFF状態となる。周辺回路PC(
図1)は、例えば、ビット線BLの電圧の高低、又は、ビット線BLに流れる電流の大小を検出することにより、メモリセルMCに記録されたデータを判定する。
【0061】
尚、
図11では、複数の導電層110bのうちの一つに読出遮断電圧V
BBを供給し、その他の非選択ワード線WLとして機能する導電層110bに読出パス電圧V
READを供給している。しかしながら、この様な方法は例示に過ぎず、具体的な方法は適宜調整可能である。例えば、ワード線WLとして機能する全ての導電層110bに読出遮断電圧V
BBを供給しても良い。
【0062】
[書込シーケンス]
次に、
図12~
図14を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明する。
図12は、同書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図13及び
図14は、同書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係る書込シーケンスは、指定されたページ内のメモリセルMCに対して一括して実行される。
図13及び
図14では、メモリストリングMSaに対応するページに対して書込シーケンスを実行する例について説明する。
【0063】
ステップS101(
図12)では、ループ回数n
Wを1に設定する。ループ回数n
Wは、レジスタ等に記録される。
【0064】
ステップS102では、プログラム動作を実行する。
【0065】
プログラム動作に際しては、例えば、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行うものに接続されたビット線BL(
図1)にソース電圧V
SRCを供給し、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行わないものに接続されたビット線BLに電圧V
DDを供給する。
【0066】
また、
図13に示す様に、選択ワード線WLとして機能する導電層110aにプログラム電圧V
PGMを供給し、非選択ワード線WLとして機能する導電層110a,110bに書込パス電圧V
PASSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110bに電圧V
SGDを供給し、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に接地電圧V
SSを供給する。
【0067】
プログラム電圧VPGMは、選択メモリセルMCの電荷蓄積層132に電子を蓄積させる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADよりも大きい。書込パス電圧VPASSは、メモリセルMCに記録されたデータに拘わらずメモリセルMCがON状態となる程度の電圧であり、上述の読出パス電圧VREADと同じかそれよりも大きく、プログラム電圧VPGMよりも小さい。電圧VSGDは、ビット線BLにソース電圧VSRCが供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがON状態となり、ビット線BLに所定の駆動電圧が供給されている場合にはドレイン側選択トランジスタSTDがOFF状態となる程度の電圧である。電圧VSGDは、接地電圧VSSよりも大きく、上述の電圧VSGよりも小さい。
【0068】
これにより、半導体層120に、ビット線BLと選択メモリセルMCのチャネル領域とを導通させる電子のチャネルが形成される。また、選択メモリセルMCのチャネル領域の電子がトンネル絶縁層131をトンネルして電荷蓄積層132に蓄積される。
【0069】
ステップS103(
図12)では、ベリファイ動作を実行する。
【0070】
図14に示す様に、ベリファイ動作は、基本的には読出動作と同様に実行される。ただし、ベリファイ動作においては、選択ワード線WLとして機能する導電層110aに、読出電圧V
CGXRではなく、ベリファイ電圧V
VFYX(
図10のベリファイ電圧V
VFYA,V
VFYB又はその他のベリファイ電圧)を供給する。
【0071】
ステップS104(
図12)では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、ベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数以上であった場合にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、ベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数未満であった場合にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0072】
ステップS105では、ループ回数nWが所定の回数NWに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0073】
ステップS106では、ループ回数n
Wに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば、プログラム電圧V
PGMに所定の電圧ΔVを加算する。例えば、プログラム電圧V
PGMを出力する電圧生成ユニットvg(
図3)の出力電圧を、電圧ΔVだけ増大させる。
【0074】
ステップS107では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、書込シーケンスを終了する。
【0075】
ステップS108では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、書込シーケンスを終了する。
【0076】
[片面消去シーケンス]
次に、
図15~
図17を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の片面消去シーケンスについて説明する。
図15は、同片面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図16及び
図17は、同片面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係る片面消去シーケンスは、指定されたメモリブロックBLKに含まれ、メモリストリングMSaに対応する全てのメモリセルMC、又は、メモリストリングMSbに対応する全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。以下、この様な複数のメモリセルMCを含む構成を、サブブロックと呼ぶ場合がある。
図16及び
図17では、メモリストリングMSaに対応するサブブロックに対して片面消去シーケンスを実行する例について説明する。
【0077】
ステップS201(
図15)では、ループ回数n
Eを1に設定する。ループ回数n
Eは、レジスタ等に記録される。
【0078】
ステップS202では、片面消去動作を実行する。
【0079】
片面消去動作に際しては、
図16に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層110aに接地電圧V
SSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aをフローティング状態とする。また、ワード線WL及びドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110bをフローティング状態とする。また、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111をフローティング状態とし、半導体基板100に消去電圧V
ERAを供給する。
【0080】
消去電圧VERAは、選択メモリセルMCの電荷蓄積層132から電子を引き抜く程度の電圧であり、上述のプログラム電圧VPGMと同じかそれよりも大きい。
【0081】
これにより、半導体層120に、ソース線SLとメモリストリングMSa内のメモリセルMCのチャネル領域とを導通させる正孔のチャネルが形成される。また、メモリストリングMSa内のメモリセルMCの電荷蓄積層132の電子がメモリセルMCのチャネル領域に引き抜かれる。
【0082】
尚、導電層110a,110bをフローティング状態とする方法は、適宜調整可能である。
【0083】
例えば、
図16の例では、全ての導電層110bをフローティング状態としている。この様な場合には、例えば、導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路において、電流経路に設けられた複数のトランジスタの少なくとも一つをOFF状態とすることが考えられる。例えば、ワード線WLbとして機能する導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路は、
図3の例では、導電層110bと電圧生成回路VG(
図3)との間の全ての電流経路、及び、導電層110bと接地電圧V
SSが供給されるボンディングパッド電極P(
図3)との間の全ての電流経路である。
【0084】
ここで、信号供給線BLKSELに接続された複数のトランジスタT
BLKは、ワード線WLbとして機能する導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路に設けられている。従って、導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路において、電流経路に設けられた複数のトランジスタの少なくとも一つをOFF状態とするためには、例えば、ロウデコーダRDb中のこの導電層110bに対応する信号供給線BLKSEL(
図3)を“L”状態としても良い。
【0085】
また、例えば、複数の信号供給線WLSELS及び複数の信号供給線WLSELUに接続された複数のトランジスタTWLは、ワード線WLbとして機能する導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路に設けられている。従って、導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路において、電流経路に設けられた複数のトランジスタの少なくとも一つをOFF状態とするためには、例えば、ロウデコーダRDb中の全ての信号供給線WLSELS及び信号供給線WLSELUを“L”状態としても良い。
【0086】
また、例えば、複数の信号供給線VSELに接続された複数のトランジスタTDRVは、ワード線WLbとして機能する導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路に設けられている。従って、導電層110bに電圧を供給するための全ての電流経路において、電流経路に設けられた複数のトランジスタの少なくとも一つをOFF状態とするためには、例えば、ロウデコーダRDb中の全ての信号供給線VSELを“L”状態としても良い。
【0087】
また、例えば、
図16の例では、ワード線WLaとして機能する導電層110aに接地電圧V
SSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aをフローティング状態としている。この様な場合には、例えば、ワード線WLaとして機能する導電層110aと電圧生成回路VGとを導通させることが考えられる。また、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aと電圧生成回路VG(
図3)との間の全ての電流経路、及び、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aと接地電圧V
SSが供給されるボンディングパッド電極P(
図3)との間の全ての電流経路において、電流経路に設けられた複数のトランジスタの少なくとも一つをOFF状態とすることが考えられる。
【0088】
ステップS203(
図15)では、片面消去ベリファイ動作を実行する。
【0089】
片面消去ベリファイ動作に際しては、
図17に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層110aにベリファイ電圧V
VFYeを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aに電圧V
SGを供給する。また、ワード線WLとして機能する導電層110bに読出遮断電圧V
BBを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110bに接地電圧V
SSを供給する。また、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に電圧V
SGを供給し、半導体基板100にソース電圧V
SRCを供給する。
【0090】
ベリファイ電圧V
VFYeは、ベリファイ電圧V
VFYEP(
図10)より大きく、読出電圧V
CGAR(
図10)より小さい。ベリファイ電圧V
VFYeの大きさは、例えば、
図10を参照して説明した様なErステートのしきい値分布に含まれる最も大きいしきい値電圧の大きさ程度でも良い。また、ベリファイ電圧V
VFYeは、例えば、接地電圧V
SSより小さくても良い。
【0091】
ステップS204(
図15)では、片面消去ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、片面消去ベリファイ動作においてOFF状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数以上であった場合には片面消去ベリファイFAILと判定し、ステップS205に進む。一方、片面消去ベリファイ動作においてOFF状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数未満であった場合には片面消去ベリファイPASSと判定し、ステップS207に進む。
【0092】
ステップS205では、ループ回数nEが所定の回数NEに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS206に進む。達していた場合にはステップS208に進む。
【0093】
ステップS206では、ループ回数nEに1を加算して、ステップS202に進む。また、ステップS206では、例えば、消去電圧VERAに所定の電圧ΔVを加算する。
【0094】
ステップS207では、図示しないステータスレジスタに、消去シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、消去シーケンスを終了する。
【0095】
ステップS208では、図示しないステータスレジスタに、消去シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、消去シーケンスを終了する。
【0096】
[EP書込シーケンス]
上述の通り、例えばメモリストリングMSa中の選択メモリセルMCに対して読出動作(
図11)、ベリファイ動作(
図14)又は片面消去ベリファイ動作(
図17)を実行する場合、ビット線BLの電圧の高低、又は、ビット線BLに流れる電流の大小を検出することにより、選択メモリセルMCがON状態であるかOFF状態であるかを検出する。
【0097】
ここで、
図8を参照して説明した様に、本実施形態に係る半導体層120は、略円筒状の形状を備えている。また、半導体層120の導電層110aとの対向部分はメモリストリングMSa中のメモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。また、半導体層120の導電層110bとの対向部分はメモリストリングMSb中のメモリセルMC及びドレイン側選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。
【0098】
この様な構造においては、例えば、選択メモリセルMCと同一の半導体層120に対応し、且つ、同一の高さ位置に設けられた非選択メモリセルMC(以下、「裏面メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。)がON状態になってしまうと、選択メモリセルMCがON状態であるかOFF状態であるかに拘わらず、裏面メモリセルMCを介してビット線BLとソース線SLとが導通してしまい、ビット線BLに電流が流れてしまう。これにより、選択メモリセルMCのしきい値電圧を好適に検出することが出来なくなってしまう。従って、読出動作(
図11)、ベリファイ動作(
図14)及び片面消去ベリファイ動作(
図17)を実行する場合には、裏面メモリセルMCをOFF状態とすることが望ましい。
【0099】
そこで、本実施形態においては、読出動作(
図11)、ベリファイ動作(
図14)及び片面消去ベリファイ動作(
図17)において、裏面メモリセルMCのゲート電極に読出遮断電圧V
BBを供給している。
【0100】
しかしながら、例えば
図18に示す様に、片面消去シーケンスの実行直後においては、一部のメモリセルMCのしきい値電圧が、読出遮断電圧V
BBよりも小さくなってしまう場合がある。この様な状態では、裏面メモリセルMCをOFF状態とすることが出来ない場合がある。
【0101】
そこで、本実施形態に係る半導体記憶装置においては、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロックに対して片面消去シーケンスを実行した後、他方に対応するサブブロックに対して読出動作、書込シーケンス又は片面消去シーケンスを実行する前に、片面消去シーケンスが実行されたサブブロックに対してEP書込シーケンスを実行する。これにより、片面消去シーケンスが実行されたメモリセルMCのしきい値電圧を、例えば
図19に示す様に、読出遮断電圧V
BBより大きく、読出電圧V
CGARより小さい範囲に制御する。
【0102】
次に、
図20~
図22を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置のEP書込シーケンスについて説明する。
図20は、同EP書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図21及び
図22は、同EP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。尚、本実施形態に係るEP書込シーケンスは、指定されたページ内のメモリセルMCに対して一括して実行される。また、EP書込シーケンスは、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロックに対して片面消去シーケンスを実行した後、他方に対応するサブブロックに対して読出動作、書込シーケンス又は片面消去シーケンスを実行する前に、片面消去シーケンスが実行されたサブブロック中の全てのページに対して実行される。
図21及び
図22では、メモリストリングMSaに含まれる所定のメモリセルMCに対してEP書込シーケンスを実行する例について説明する。
【0103】
ステップS301(
図20)では、ループ回数n
EPを1に設定する。ループ回数n
EPは、レジスタ等に記録される。
【0104】
ステップS302では、EPプログラム動作を実行する。
【0105】
EPプログラム動作に際しては、例えば、ビット線BL(
図1)にソース電圧V
SRCを供給する。
【0106】
また、
図21に示す様に、選択ワード線WLとして機能する導電層110aにプログラム電圧V
PGMEPを供給し、非選択ワード線WLとして機能する導電層110a,110bに書込パス電圧V
PASSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110bに電圧V
SGを供給し、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に接地電圧V
SSを供給する。
【0107】
プログラム電圧VPGMEPは、例えば、プログラム電圧VPGMと同程度の大きさを有していても良いし、プログラム電圧VPGMより小さくても良い。
【0108】
ステップS303(
図20)では、EPベリファイ動作を実行する。
【0109】
図22に示す様に、EPベリファイ動作は、基本的には読出動作と同様に実行される。ただし、EPベリファイ動作においては、選択ワード線WLとして機能する導電層110aに、読出電圧V
CGXRではなく、ベリファイ電圧V
VFYEPを供給する。
【0110】
ステップS304(
図20)では、EPベリファイ動作の結果を判定する。例えば、EPベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数以上であった場合にはEPベリファイFAILと判定し、ステップS305に進む。一方、EPベリファイ動作においてON状態として検出されたメモリセルMCの割合が一定数未満であった場合にはEPベリファイPASSと判定し、ステップS307に進む。
【0111】
ステップS305では、ループ回数nEPが所定の回数NEPに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS306に進む。達していた場合にはステップS308に進む。
【0112】
ステップS306では、ループ回数nEPに1を加算して、ステップS302に進む。また、ステップS306では、例えば、プログラム電圧VPGMEPに所定の電圧ΔVを加算する。
【0113】
ステップS307では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、書込シーケンスを終了する。
【0114】
ステップS308では、図示しないステータスレジスタに、書込シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、書込シーケンスを終了する。
【0115】
[第1比較例]
次に、
図23を参照して、第1比較例に係る半導体記憶装置について説明する。
図23は、第1比較例に係る半導体記憶装置について説明するための模式的な斜視図である。
【0116】
第1比較例に係る半導体記憶装置は、Z方向に積層された複数の導電層210と、Z方向に延伸する略有底円筒状の半導体層220と、複数の導電層210及び半導体層220の間に設けられたゲート絶縁層130と、を備える。また、複数の導電層210の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層201が設けられる。
【0117】
導電層210は、導電層110と異なり、複数の貫通孔を備えている。また、この複数の貫通孔の内周面は、それぞれ、ゲート絶縁層130を介して、半導体層220の外周面と対向している。
【0118】
[第2比較例]
次に、
図24及び
図25を参照して、第2比較例に係る半導体記憶装置について説明する。
図24は、第2比較例に係る半導体記憶装置の両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図25は、同両面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【0119】
第2比較例に係る半導体記憶装置は、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に、
図5~
図9を参照して説明した様な構成を備える。ただし、第2比較例に係る半導体記憶装置は、片面消去シーケンスのかわりに、両面消去シーケンスを実行可能に構成されている。
【0120】
両面消去シーケンスは、指定されたメモリブロックBLK内の全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。
【0121】
ステップS201(
図24)は、片面消去シーケンスと同様に実行される。
【0122】
ステップS402では、両面消去動作を実行する。
【0123】
両面消去動作に際しては、
図25に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層110a,110bに接地電圧V
SSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110bをフローティング状態とする。また、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111をフローティング状態とし、半導体基板100に消去電圧V
ERAを供給する。
【0124】
ステップS203では、例えば、メモリストリングMSaに対応するサブブロックに対して片面消去ベリファイ動作を実行する。
【0125】
ステップS403では、例えば、メモリストリングMSbに対応するサブブロックに対して片面消去ベリファイ動作を実行する。
【0126】
ステップS204~ステップS208は、片面消去シーケンスと同様に実行される。
【0127】
[第3比較例]
次に、
図26~
図28を参照して、第3比較例に係る半導体記憶装置について説明する。
図26は、第3比較例に係る半導体記憶装置の両面EP書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図27及び
図28は、同両面EP書込シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【0128】
第3比較例に係る半導体記憶装置は、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に、
図5~
図9を参照して説明した様な構成を備える。ただし、第3比較例に係る半導体記憶装置は、片面消去シーケンスのかわりに、第2比較例に係る両面消去シーケンスを実行可能に構成されている。また、第3比較例に係る半導体記憶装置は、両面EP書込シーケンスを実行可能に構成されている。
【0129】
両面EP書込シーケンスは、指定されたメモリブロックBLK内の全てのメモリセルMCに対して一括して実行される。
【0130】
ステップS301(
図26)は、第1実施形態に係るEP書込シーケンスと同様に実行される。
【0131】
ステップS502では、両面EPプログラム動作を実行する。
【0132】
両面EPプログラム動作に際しては、例えば、ビット線BL(
図1)にソース電圧V
SRCを供給する。
【0133】
また、両面EPプログラム動作に際しては、
図27に示す様に、下方から数えてk(kは自然数)番目の導電層110aと、下方から数えてk番目の導電層110bと、を選択ワード線WLとして、これらの導電層110a,110bにプログラム電圧V
PGMEPを供給する。また、非選択ワード線WLとして機能する導電層110a,110bに書込パス電圧V
PASSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110bに電圧V
SGを供給し、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に接地電圧V
SSを供給する。
【0134】
ステップS503(
図26)では、両面EPベリファイ動作を実行する。
【0135】
両面EPベリファイ動作に際しては、
図28に示す様に、下方から数えてk番目の導電層110aと、下方から数えてk番目の導電層110bと、を選択ワード線WLとして、これらの導電層110a,110bにベリファイ電圧V
VFYEPを供給する。また、非選択ワード線WLとして機能する導電層110a,110bに読出パス電圧V
READを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110bに電圧V
SGを供給し、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に電圧V
SGを供給し、半導体基板100にソース電圧V
SRCを供給する。
【0136】
[トランジスタ列CTrの面積]
第1比較例に係る半導体記憶装置においては、例えば
図23に示す様に、XY平面において一つの半導体層220に一つの導電層210が対向している。この様な構成では、一つの半導体層220に対応して一つのメモリストリングが形成される。一方、第2比較例に係る半導体記憶装置においては、例えば
図8に示す様に、XY平面において一つの半導体層120に二つの導電層110が対向している。この様な構成では、一つの半導体層120に対応して二つのメモリストリングMSa,MSbが形成される。従って、
図8の様な構成は、
図23の様な構成と比較して、メモリセルアレイMCAの高集積化が可能である。
【0137】
ここで、
図29には、第1比較例に係る半導体記憶装置の4つのメモリブロックBLK_A~BLK_Dと、これら4つのメモリブロックBLK_A~BLK_Dに対応して設けられた4つのトランジスタ列CTr_A~CTr_Dと、を図示している。
図29の例では、トランジスタ列CTrのY方向における配列周期が、メモリブロックBLKのY方向における配列周期の2倍である。
【0138】
図30には、第2比較例に係る半導体記憶装置の4つのメモリブロックBLK_A~BLK_Dと、これら4つのメモリブロックBLK_A~BLK_Dに対応して設けられた4つのトランジスタ列CTr_A~CTr_Dと、を図示している。ここで、上述の通り、第2比較例に係る半導体記憶装置は、
図5~
図9を参照して説明した様な構成を備える。ここで、
図5~
図9を参照して説明した様な構成では、導電層110aと電圧生成回路VGとを接続するためのトランジスタ列CTrをメモリブロックBLK_A~BLK_Dに対してX方向の一方側に配置し、導電層110bと電圧生成回路VGとを接続するためのトランジスタ列CTrをメモリブロックBLK_A~BLK_Dに対してX方向の他方側に配置する必要がある。従って、例えば
図30に示す様に、
図29に示す様な構造と比較して、トランジスタ列CTr_A~CTr_DのX方向における面積が2倍になってしまう。
【0139】
トランジスタ列CTr_A~CTr_Dの面積を削減するためには、例えば
図31に示す様に、一つのメモリブロックBLKのY方向の幅を、第1比較例に係るメモリブロックBLKのY方向の幅の2倍とすることが考えられる。
【0140】
[ページサイズとブロックサイズとの比]
第2比較例に係るメモリブロックBLKと、第1比較例に係るメモリブロックBLKと、のY方向の幅が同程度であった場合、第2比較例に係るメモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数は、第1比較例に係るメモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数の2倍程度となる。
【0141】
また、トランジスタ列CTr_A~CTr_Dの面積を削減するために
図31の様な構造を採用した場合、メモリブロックBLKのY方向の幅は、
図30の様な構造の2倍程度となる。従って、メモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数は、第1比較例に係るメモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数の4倍程度となる。
【0142】
ここで、上述の通り、第2比較例に係る半導体記憶装置においては、指定されたメモリブロックBLKに含まれる全てのメモリセルMCに対して、両面消去シーケンスが一括して実行される。この様な場合、読出動作、書込シーケンスの実行単位であるページに含まれるメモリセルMCの数(以下、「ページサイズ」と呼ぶ場合がある。)と、消去シーケンスの実行単位であるメモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数(以下、「ブロックサイズ」と呼ぶ場合がある。)と、の比も、第1比較例と比較して4倍となる。この様な場合、ガベージコレクションに際して必要となる書込シーケンスの実行回数が大幅に増大してしまう、等の理由から半導体記憶装置の寿命が短くなってしまう恐れがある。
【0143】
ここで、第1実施形態に係る半導体記憶装置は、片面消去シーケンスを実行可能に構成されている。ここで、片面消去シーケンスの実行単位であるサブブロックに含まれるメモリセルMCの数は、メモリブロックBLKに含まれるメモリセルMCの数の半分である。従って、上述の様な問題を抑制可能である。
【0144】
[読出動作等における裏面メモリセルMCのリーク電流]
図24及び
図25を参照して説明した様に、第2比較例に係る両面消去シーケンスでは、ステップS402において両面消去動作を実行し、ステップS203においてメモリストリングMSaに対応するサブブロックに対して片面消去ベリファイ動作(
図17)を実行し、ステップS403においてメモリストリングMSbに対応するサブブロックに対して片面消去ベリファイ動作(
図17)を実行する。
【0145】
この様な方法によれば、例えば、メモリブロックBLK中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が読出遮断電圧VBBより大きい場合には、メモリブロックBLK中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧を好適にベリファイ電圧VVFYeより小さい電圧とすることが可能である。
【0146】
しかしながら、例えば、メモリブロックBLK中のいずれかのメモリセルMCのしきい値電圧が読出遮断電圧VBBよりも小さい場合、この様なメモリセルMCを裏面メモリセルMCとするメモリセルMCのしきい値電圧を取得することは出来なくなってしまう。従って、この様なメモリセルMCのしきい値電圧がベリファイ電圧VVFYeより大きい場合でもベリファイPASSの判定が行われてしまい、一部のメモリセルMCのしきい値電圧が読出電圧VCGAR等の電圧よりも大きい状態となってしまう場合がある。これにより、誤書込の状態が発生してしまう場合がある。
【0147】
ここで、第3比較例に係る半導体記憶装置では、例えば
図26~
図28を参照して説明した様な両面EP書込シーケンスを実行する。この様な方法によれば、2つの選択メモリセルMCのしきい値電圧を、確実に読出遮断電圧V
BBよりも大きくすることが可能である。しかしながら、例えばこれら2つの選択メモリセルMCのしきい値電圧が大きく異なっていた場合に、一方の選択メモリセルMCのしきい値電圧が読出電圧V
CGAR等の電圧よりも大きくなってしまう場合がある。これにより、誤書込の状態が発生してしまう場合がある。
【0148】
ここで、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、上述の通り、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロックに対して片面消去シーケンスを実行した後、他方に対応するサブブロックに対して片面消去シーケンスを実行する前に、片面消去シーケンスが実行されたサブブロック中の全てのページに対して、EP書込シーケンスを実行する。従って、メモリストリングMSa,MSbの少なくとも一方に対応するサブブロックに含まれる全てのメモリセルMCのしきい値電圧を、常に読出遮断電圧VBBよりも大きい状態とすることが可能である。従って、上述の様な誤書込の状態の発生を抑制して、メモリセルMCのしきい値電圧を好適に制御することが可能である。
【0149】
[第2実施形態]
次に、
図32及び
図33を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図32は、第2実施形態に係る両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図33は、第2実施形態に係る両面消去シーケンスについて説明するための模式的な断面図である。
【0150】
第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、第2実施形態に係る両面消去シーケンスを実行可能に構成されている。
【0151】
本実施形態に係る両面消去シーケンスのステップS601では、例えば、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロックに対して、プリプログラム動作を実行する。
【0152】
プリプログラム動作に際しては、例えば、ビット線BL(
図1)にソース電圧V
SRCを供給する。
【0153】
また、
図33に示す様に、ワード線WLとして機能する導電層110bにプログラム電圧V
PGMPを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110bに電圧V
SGを供給する。また、ワード線WLとして機能する導電層110aに書込パス電圧V
PASSを供給し、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110aに電圧V
SGを供給する。また、ソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に接地電圧V
SSを供給する。
【0154】
プログラム電圧VPGMPは、例えば、プログラム電圧VPGMと同程度の大きさを有していても良いし、プログラム電圧VPGMより小さくても良い。
【0155】
例えば
図34には、メモリストリングMSbに対応するサブブロックに、読出遮断電圧V
BBよりも小さいしきい値電圧を有するメモリセルMCが含まれている様なヒストグラムを示している。この様な場合、ステップS601のプリプログラム動作によって、例えば、
図35に示す様に、メモリストリングMSbに対応するサブブロック内の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御される。
【0156】
ステップS602では、例えば、メモリストリングMSa,MSbの他方に対応するサブブロックに対して、
図15~
図17を参照して説明した片面消去シーケンスを実行する。
【0157】
これにより、例えば
図36に示す様に、メモリストリングMSaに対応するサブブロック中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出電圧V
CGAR等よりも小さい大きさに制御される。尚、ステップS602の片面消去シーケンスでは、片面消去ベリファイ動作(
図17)が実行される。ここで、上述の通り、メモリストリングMSbに対応するサブブロック内の全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御されている。従って、片面消去ベリファイ動作(
図17)は好適に実行される。
【0158】
ステップS603では、例えば、メモリストリングMSa,MSbの他方に対応するサブブロック内の全てのページに対して、
図20~
図22を参照して説明したEP書込シーケンスを実行する。
【0159】
これにより、例えば
図37に示す様に、メモリストリングMSaに対応するサブブロック中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出電圧V
CGAR等よりも小さく、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御される。尚、ステップS603のEP書込シーケンスでは、EPベリファイ動作(
図22)が実行される。ここで、上述の通り、メモリストリングMSbに対応するサブブロック内の全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御されている。従って、EPベリファイ動作(
図22)は好適に実行される。
【0160】
ステップS604では、例えば、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロックに対して、
図15~
図17を参照して説明した片面消去シーケンスを実行する。
【0161】
これにより、例えば
図38に示す様に、メモリストリングMSbに対応するサブブロック中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出電圧V
CGAR等よりも小さい大きさに制御される。尚、ステップS604の片面消去シーケンスでは、片面消去ベリファイ動作(
図17)が実行される。ここで、上述の通り、メモリストリングMSaに対応するサブブロック内の全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御されている。従って、片面消去ベリファイ動作(
図17)は好適に実行される。
【0162】
ステップS605では、例えば、メモリストリングMSa,MSbの一方に対応するサブブロック内の全てのページに対して、
図20~
図22を参照して説明したEP書込シーケンスを実行する。その後、両面消去シーケンスを終了する。
【0163】
これにより、例えば
図39に示す様に、メモリストリングMSbに対応するサブブロック中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出電圧V
CGAR等よりも小さく、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御される。尚、ステップS605のEP書込シーケンスでは、EPベリファイ動作(
図22)が実行される。ここで、上述の通り、メモリストリングMSaに対応するサブブロック内の全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、読出遮断電圧V
BBよりも大きい大きさに制御されている。従って、EPベリファイ動作(
図22)は好適に実行される。
【0164】
尚、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、例えば、
図15~
図17を参照して説明した片面消去シーケンスを単独で実行可能に構成されていても良い。また、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、例えば、
図20~
図22を参照して説明したEP書込シーケンスを単独で実行可能に構成されていても良い。
【0165】
また、本実施形態に係る両面消去シーケンスの具体的な実行方法は、適宜調整可能である。例えば、
図32~
図39を参照して説明した様な両面消去シーケンスを既に実行済である場合等には、メモリブロックBLK中の全てのメモリセルMCのしきい値電圧が、読出遮断電圧V
BBよりも大きいと考えられる。この様な場合には、例えば、ステップS601を省略しても良い。
【0166】
[第3実施形態]
次に、
図40及び
図41を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図40は、第3実施形態に係る両面消去シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図41は、第3実施形態に係る書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【0167】
第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第3実施形態に係る半導体記憶装置は、第3実施形態に係る両面消去シーケンス及び第3実施形態に係る書込シーケンスを実行可能に構成されている。
【0168】
図40に示す様に、本実施形態に係る両面消去シーケンスは、基本的には第2実施形態に係る両面消去シーケンスと同様に実行される。ただし、本実施形態に係る両面消去シーケンスでは、ステップS605が実行されない。
【0169】
図41に示す様に、本実施形態においては、例えば、下方から数えてk番目の導電層110a又は下方から数えてk番目の導電層110bに対応するページに対して書込シーケンスを実行する際、ステップS701において、下方から数えてk番目の導電層110bに対応するページに対して、EP書込シーケンスを実行する。また、この書込シーケンスのステップS702において、下方から数えてk番目の導電層110a又は下方から数えてk番目の導電層110bに対応するページに対して、第1実施形態に係る書込シーケンス(
図12~
図14)を実行する。
【0170】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体記憶装置について例示した。しかしながら、以上の態様はあくまでも例示に過ぎず、具体的な態様等は適宜調整可能である。
【0171】
例えば、
図16を参照して説明した片面消去動作においては、導電層110a及び導電層110bの一部を、フローティング状態としていた。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、片面消去動作の具体的な実行方法は適宜調整可能である。例えば、ワード線WLaに対応するサブブロックに対する片面消去動作においては、ワード線WLとして機能する導電層110bに、消去電圧V
ERA又はその他の電圧を供給しても良い。また、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する導電層110a,110b及びソース側選択ゲート線SGSとして機能する導電層111に、固定電圧を供給しても良い。
【0172】
また、例えば、
図3を参照して説明した様な回路等の構成は、適宜調整可能である。例えば、
図3には、ワード線WLaと電圧生成回路VGとの間の電流経路に複数のNMOSトランジスタが設けられる例を示した。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、ワード線WLa,WLbと電圧生成回路VGとの間の電流経路には、一又は複数のPMOSトランジスタが設けられていても良い。また、上述の説明では、NMOSトランジスタをON状態とするためにNMOSトランジスタのゲート電極の信号を“H”状態とし、NMOSトランジスタをOFF状態とするためにNMOSトランジスタのゲート電極の信号を“L”状態とする点について説明した。しかしながら、ワード線WLa,WLbと電圧生成回路VGとの間の電流経路に一又は複数のPMOSトランジスタが設けられる場合には、PMOSトランジスタをON状態とするためにNMOSトランジスタのゲート電極の信号を“L”状態とし、PMOSトランジスタをOFF状態とするためにNMOSトランジスタのゲート電極の信号を“H”状態としても良い。
【0173】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0174】
100…半導体基板、110…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁層、131…トンネル絶縁層、132…電荷蓄積層、133…ブロック絶縁層、140…絶縁層、150…絶縁層。