(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048527
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】立軸ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/046 20060101AFI20220318BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20220318BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20220318BHJP
F04D 29/043 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
F04D29/046 A
F04D13/00 D
F04D29/58 F
F04D29/043 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154393
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000151058
【氏名又は名称】株式会社電業社機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】根岸 道明
(72)【発明者】
【氏名】木村 辰美
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB50
3H130AC10
3H130BA33A
3H130BA33D
3H130BA33E
3H130BA33J
3H130BA44A
3H130BA44D
3H130BA44E
3H130BA44J
3H130BA46A
3H130BA46D
3H130BA46E
3H130BA46J
3H130BA98A
3H130BA98D
3H130BA98E
3H130BA98J
3H130CA26
3H130DA02X
3H130DB03X
3H130DB11X
3H130DB15X
3H130DG03X
3H130DG04X
3H130DJ02X
3H130EA07A
3H130EA07D
3H130EA07E
3H130EA07J
3H130EB01D
3H130EB01E
3H130EB01J
3H130EB02A
3H130EB02D
3H130EB02E
3H130EB02J
3H130EB04D
3H130EB04E
3H130EB04J
(57)【要約】
【課題】 外部にポンプを設置する必要が無く、低コストで軸受を冷却可能であると共に、土砂による軸受の破損を防止可能な立軸ポンプを提供すること。
【解決手段】 下端に羽根車2が取り付けられ回転駆動される主軸3と、軸受4を介して主軸を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口5aを端部に有したケーシング5と、軸受に原水を供給する原水供給機構6とを備え、原水供給機構が、軸受に供給する前に原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器7と、主軸の下部に設けられ軸受に供給される前又は供給された後の原水を主軸の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部8と、濾過水加圧ポンプ部で加圧された原水をケーシング内からケーシング外に排出可能な排出流路9とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に羽根車が取り付けられ回転駆動される主軸と、
軸受を介して前記主軸を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、
前記軸受に前記原水を供給する原水供給機構とを備え、
前記原水供給機構が、前記軸受に供給する前に前記原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器と、
前記主軸の下部に設けられ前記軸受に供給される前又は供給された後の前記原水を前記主軸の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部と、
前記濾過水加圧ポンプ部で加圧された前記原水を前記ケーシング内から前記ケーシング外に排出可能な排出流路とを備えていることを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の立軸ポンプにおいて、
前記濾過水加圧ポンプ部が、前記主軸の外周面に設けられた螺旋状溝又は回転フィンを有していることを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項3】
請求項1に記載の立軸ポンプにおいて、
前記排出流路が、前記主軸の内部に前記主軸に沿って形成され、
前記濾過水加圧ポンプ部が、前記主軸の内部に形成され前記主軸の外周面に一端が開口していると共に他端が前記排出流路に接続された複数の原水導入流路を備え、
前記複数の原水導入流路が、前記主軸の回転方向に軸線を傾けて開口していることを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の立軸ポンプにおいて、
前記ケーシングが、内部に前記羽根車より上の前記主軸及び前記軸受を内側に配して保護する保護管と、
前記保護管を前記主軸と共に内側に収納した外側ケーシング部とを備え、
前記原水供給機構が、前記濾過後の前記原水を前記保護管内に供給することを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の立軸ポンプにおいて、
前記排出流路が、前記吸水口内に配され下端部に前記原水を前記吸水口の中心軸に対して上面視で右回り方向に向けて排出する複数の排出口を周方向に有した旋回流発生部を備えていることを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の立軸ポンプにおいて、
内部に前記排出流路を有すると共に前記吸水口から下方に突出していると共に下方に向けて前記原水を排出する下方噴出管を備えていることを特徴とする立軸ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下端部に羽根車が取り付けられた主軸を回転可能に支持する軸受を冷却可能な立軸ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
立軸ポンプは、下端部に羽根車が取り付けられた主軸を軸受で回転可能に支持しているが、通常、軸受の加熱を抑制するために潤滑水を軸受に供給して冷却している。従来、この潤滑水は、水道水等の他圧水であり、立軸ポンプの外部に他圧水用の外部ポンプを設置して供給を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、保護管で被覆された主軸を支持する軸受に冷却水(潤滑水)を供給する冷却機構を備えている立軸ポンプ装置が記載されている。
この立軸ポンプ装置では、給水タンクと給水ポンプと給水管と冷却制御部とを備えており、給水タンクに貯水された冷却水が給水ポンプによって汲み上げられ、給水管及び給水路を経由して保護管の下端から供給されるようになっている。
【0004】
また、特許文献2には、回転軸を支える水中軸受を内包して固定する保護管と、保護管と立軸ポンプの外部とを連通する連通管とを備え、連通管から保護管内に潤滑水を送水する水中軸受構造が記載されている。この水中軸受構造でも、潤滑水は立軸ポンプの外部の据付床に備えた水槽に蓄えられ、水中ポンプで連通管に送水されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-190207号公報
【特許文献2】特開2016-17420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
従来の特許文献1及び2に記載の技術では、潤滑水を水道水等の他圧水として供給するために外部にポンプを設置する必要があり、高コストになってしまうという不都合があった。また、ポンプを水中モータとの一体構造とする方法もあるが、水中モータは耐久性に劣り、高価であるため、やはりコストが増大してしまう。さらに、水道管が設置されていないところでは、水道水を潤滑水として供給することが困難であった。
また、セラミックス軸受・樹脂軸受を使用する立軸斜流ポンプ等では、一般的に無注水軸受と呼ばれた方式である原水を利用した自己循環により使用されてきたが、豪雨等の洪水時で大量の土砂が原水(河川水)と共に内部に流入した場合、軸受が破損してしまう問題があった。すなわち、主軸を支持する軸受本体の溝に泥水となった原水中の土砂が堆積し、水循環が絶たれて過熱し破損する問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、外部にポンプを設置する必要が無く、低コストで軸受を冷却可能であると共に、土砂による軸受の破損を防止可能な立軸ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る立軸ポンプは、下端に羽根車が取り付けられ回転駆動される主軸と、軸受を介して前記主軸を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、前記軸受に前記原水を供給する原水供給機構とを備え、前記原水供給機構が、前記軸受に供給する前に前記原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器と、前記主軸の下部に設けられ前記軸受に供給される前又は供給された後の前記原水を前記主軸の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部と、前記濾過水加圧ポンプ部で加圧された前記原水を前記ケーシング内から前記ケーシング外に排出可能な排出流路とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この立軸ポンプでは、原水供給機構が、軸受に供給する前に原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器と、主軸の下部に設けられ軸受に供給される前又は供給された後の原水を主軸の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部と、濾過水加圧ポンプ部で加圧された原水をケーシング内からケーシング外に排出可能な排出流路とを備えているので、主軸が回転すると濾過水加圧ポンプ部によって加圧された原水を排出流路から外部に押し出すことができる。したがって、外部にポンプを設置しなくても軸受に供給された冷却用の原水をケーシング外に排出させることが可能になる。また、軸受に供給される冷却用の原水は濾過器により濾過されていることで、軸受に原水中のゴミや泥が付着して詰まることを防止することができ、土砂による軸受の破損を防止することができる。
【0010】
第2の発明に係る立軸ポンプは、第1の発明において、前記濾過水加圧ポンプ部が、前記主軸の外周面に設けられた螺旋状溝又は回転フィンを有していることを特徴とする。
すなわち、この立軸ポンプでは、濾過水加圧ポンプ部が、主軸の外周面に設けられた螺旋状溝又は回転フィンを有しているので、主軸が回転すると濾過水加圧ポンプ部の螺旋状溝又は回転フィンも回転して周囲の原水を加圧して排出流路に押し出すことができる。
【0011】
第3の発明に係る立軸ポンプは、第1の発明において、前記排出流路が、前記主軸の内部に前記主軸に沿って形成され、前記濾過水加圧ポンプ部が、前記主軸の内部に形成され前記主軸の外周面に一端が開口していると共に他端が前記排出流路に接続された複数の原水導入流路を備え、前記複数の原水導入流路が、前記主軸の回転方向に軸線を傾けて開口していることを特徴とする。
すなわち、この立軸ポンプでは、複数の原水導入流路が、主軸の回転方向に軸線を傾けて開口しているので、主軸が回転すると原水導入流路に周囲の原水が入ると共に加圧され、排出流路に導かれる。
【0012】
第4の発明に係る立軸ポンプは、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記ケーシングが、内部に前記羽根車より上の前記主軸及び前記軸受を内側に配して保護する保護管と、前記保護管を前記主軸と共に内側に収納した外側ケーシング部とを備え、前記原水供給機構が、前記濾過後の前記原水を前記保護管内に供給することを特徴とする。
すなわち、この立軸ポンプでは、ケーシングが、内部に羽根車より上の主軸及び軸受を内側に配して保護する保護管を備え、原水供給機構が、濾過後の原水を保護管内に供給するので、保護管内に供給された原水が軸受を冷却すると共に主軸下部の濾過水加圧ポンプ部まで流れるので、別途軸受に対する原水の供給管を設ける必要がない。
【0013】
第5の発明に係る立軸ポンプは、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記排出流路が、前記吸水口内に配され下端部に前記原水を前記吸水口の中心軸に対して上面視で右回り方向に向けて排出する複数の排出口を周方向に有した旋回流発生部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この立軸ポンプでは、排出流路が、吸水口内に配され下端部に原水を吸水口の中心軸に対して上面視で右回り方向に向けて排出する複数の排出口を周方向に有した旋回流発生部を備えているので、旋回流発生部により吸水口下方で発生させる右回りの旋回流により、吸水時に発生し易い左回りの旋回流を相殺させて、渦の発生を抑制することができる。
【0014】
第6の発明に係る立軸ポンプは、第1から第5の発明のいずれかにおいて、内部に前記排出流路を有すると共に前記吸水口から下方に突出していると共に下方に向けて前記原水を排出する下方噴出管を備えていることを特徴とする。
すなわち、この立軸ポンプでは、内部に排出流路を有すると共に吸水口から下方に突出していると共に下方に向けて原水を排出する下方噴出管を備えているので、吸水口の中心下方に堆積し易い土砂を、下方噴出管から下方に向けてジェット噴流として噴射される原水により攪拌し吹き飛ばし、安定した排水を継続可能とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の立軸ポンプによれば、原水供給機構が、軸受に供給する前に原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器と、主軸の下部に設けられ軸受に供給される前又は供給された後の原水を主軸の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部と、濾過水加圧ポンプ部で加圧された原水をケーシング内からケーシング外に排出可能な排出流路とを備えているので、主軸が回転すると濾過水加圧ポンプ部によって加圧された原水を排出流路から外部に押し出すことができる。
したがって、本発明の立軸ポンプでは、外部ポンプが不要で低コストで構成でき、水道管が配設されていない場所でも原水を軸受に供給して冷却することが可能になると共に、土砂による軸受の破損を防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る立軸ポンプの第1実施形態を示す配管及び全体断面図である。
【
図2】第1実施形態において、要部を示す拡大断面図である。
【
図3】本発明に係る立軸ポンプの第2実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【
図4】
図3のA-A線断面図(a)及びB-B線断面図(b)である。
【
図5】第2実施形態において、濾過水加圧ポンプ部を示す縦断面図である。
【
図6】本発明に係る立軸ポンプの第3実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【
図7】本発明に係る立軸ポンプの第4実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における立軸ポンプの第1実施形態を、
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態における立軸ポンプ1は、
図1及び
図2に示すように、下端に羽根車2が取り付けられ回転駆動される主軸3と、軸受(水中軸受)4を介して主軸3を回転可能に支持し原水を吸い上げる吸水口5aを端部に有したケーシング5と、軸受4に原水を供給する原水供給機構6とを備えている。
なお、本実施形態の立軸ポンプ1は、羽根車2から吐出される流れが主軸3の中心線を軸とする円錐面内にある斜流ポンプである。
【0019】
上記原水供給機構6は、軸受4に供給する前に原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器7と、主軸3の下部に設けられ軸受4に供給される前又は供給された後の原水を主軸3の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部8と、濾過水加圧ポンプ部8で加圧された原水をケーシング5内からケーシング5外に排出可能な排出流路9とを備えている。
【0020】
上記濾過水加圧ポンプ部8は、主軸3の外周面に設けられた螺旋状溝又は回転フィンを有している。
本実施形態では、
図2に示すように、ねじポンプである螺旋状溝8aを主軸3の外周面に有した濾過水加圧ポンプ部8が採用されている。
すなわち、本実施形態の濾過水加圧ポンプ部8は、主軸3の下部(シャフトスリーブ部分)に深溝を掘って又は螺旋状のフィンを設けて螺旋状溝8aを形成したねじポンプであり、主軸3の回転に伴って回転することで原水を排出流路9に押し出すスクリューポンプとして機能する。
【0021】
上記主軸3の下部は、濾過水加圧ポンプ部8の下方に配されたセラミックス軸受4で支持されている。
濾過水加圧ポンプ部8で加圧、増圧された原水は、下方のセラミックス軸受4を介して濾過水加圧ポンプ部8下方の濾過水排水用空間9aに送り込まれる。
上記排出流路9は、濾過水排水用空間9aに一端が接続され他端がケーシング5外に接続されている。このため、濾過水排水用空間9aに送り込まれた原水は、排出流路9を介してケーシング5外に排出される。
【0022】
上記ケーシング5は、内部に羽根車2より上の主軸3及び軸受4を内側に配して保護する保護管5Aと、保護管5Aを主軸3と共に内側に収納した外側ケーシング部5Bとを備えている。
上記外側ケーシング部5Bは、複数の筒状体が軸線方向に連結されて構成されている。
【0023】
上記原水供給機構6は、濾過後の原水を保護管5A内に供給、注水するように配管されている。
すなわち、外側ケーシング部5B内の上部に一端が接続され外側ケーシング部5B内で羽根車2により吐き出される原水を外部に導き出す導出配管6aと、導出配管6aの他端に接続された濾過器(ストレーナ)7と、濾過器7に接続され濾過された原水中の泥等を除去するフィルタ6bと、フィルタ6bを通った原水を保護管5A内の上部に供給する供給配管6cとを備えている。
上記濾過器7は、原水中の大きめなゴミを主に除去するストレーナであり、上記フィルタ6bは、原水中の泥等の細かい粒子を主に除去する機能を有している。
【0024】
なお、上記供給配管6cの途中には、流水検知器6dが接続されている。
また、濾過器7内のゴミや泥等は、第1排出管6eにより取水槽へ排出される。
さらに、外側ケーシング部5Bには、空気弁6fを介して空気抜き管6gの一端が接続され、空気抜き管6gの他端が取水槽に接続されている。
なお、図中において二点鎖線の矢印線で原水の流れを示している。
【0025】
上記ケーシング5は、下端に水の吸込口である吸水口5aを有する筒状であり、上部側に吐出管10が接続されている。
なお、本実施形態の立軸ポンプ1では、上部に屋外立軸全閉外扇電動機Mを設置して主軸3を回転駆動している。このように地上型設置の電動機Mを採用することで、羽根車直上に水中モータを設置する場合に比べて信頼性と寿命とが向上する。
【0026】
上記保護管5Aは、水中軸受4を支持し主軸3の振動等を受ける構造であり、外側ケーシング部5Bとは接続されていない。
また、この保護管5Aは、ケーシング5内の排水(原水)と保護管5A内の濾過済みの原水との混濁を防いでいる。なお、保護管5Aの内外は、簡易なシール(ラビリンス、グラントパッキン、簡易メカニカルシール)などで遮断されている。
上記羽根車(インペラ)2は、主軸3の下部に固定されたインペラボス2aの外周面に設けられている。
羽根車2の上方には、案内羽根2bが外側ケーシング部5Bの内側に設けられている。
【0027】
本実施形態の立軸ポンプ1は、吸込水槽の上部の据付床11に形成された据付孔11aに取り付けられたポンプベース(ベースプレート)11bに吐出管10が設置されケーシング5上部のフランジ部が固定されて吊り下げ設置されている。
【0028】
このように本実施形態の立軸ポンプ1では、原水供給機構6が、軸受4に供給する前に原水中のゴミ又は泥を除去し濾過する濾過器7と、主軸3の下部に設けられ軸受4に供給される前又は供給された後の原水を主軸3の回転によって加圧する濾過水加圧ポンプ部8と、濾過水加圧ポンプ部8で加圧された原水をケーシング5内からケーシング5外に排出可能な排出流路9とを備えているので、主軸3が回転すると濾過水加圧ポンプ部8によって加圧された原水を排出流路から外部に押し出すことができる。
【0029】
したがって、外部にポンプを設置しなくても軸受4に供給された冷却用の原水をケーシング5外に排出させることが可能になる。また、軸受4に供給される冷却用の原水は濾過器7により濾過されていることで、軸受4に原水中のゴミや泥が付着して詰まることを防止することができると共に、土砂による軸受の破損を防止することができる。
また、濾過水加圧ポンプ部8が、主軸3の外周面に設けられた螺旋状溝又は回転フィンを有しているので、主軸3が回転すると濾過水加圧ポンプ部8の螺旋状溝又は回転フィンも回転して周囲の原水を加圧して排出流路9に押し出すことができる。
【0030】
さらに、ケーシング5が、内部に羽根車2より上の主軸3及び軸受4を内側に配して保護する保護管5Aを備え、原水供給機構6が、濾過後の原水を保護管5A内に供給するので、保護管5A内に供給された原水が軸受4を冷却すると共に主軸3下部の濾過水加圧ポンプ部8まで流れるので、別途軸受4に対する原水の供給管を設ける必要がない。
【0031】
次に、本発明に係る立軸ポンプの第2実施形態から第4実施形態について、
図3から
図6を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、ねじポンプである螺旋状溝8aを主軸3に有した濾過水加圧ポンプ部8が採用されているのに対し、第2実施形態の立軸ポンプ21は、
図3から
図5に示すように、主軸3に下部に設けられて主軸3と共に回転して主軸3内の排出流路29に原水を加圧して送り込む水車式の濾過水加圧ポンプ部28を採用している点である。
【0033】
すなわち、第2実施形態では、排出流路29が、主軸3の内部に主軸3に沿って形成され、濾過水加圧ポンプ部28が、
図4の(a)及び
図5に示すように、主軸3の内部に形成され主軸3の外周面に一端が開口(原水導入口28a)していると共に他端が排出流路29に接続された複数の原水導入流路28bを備えている。
上記複数の原水導入流路28bは、原水導入口28aにおいて主軸3の回転方向に軸線を傾けて開口している。
【0034】
すなわち、原水導入流路28bは、主軸3の中心軸に形成された排出流路29から半径方向外方に延在した後、途中で主軸3の回転方向に向けて流路が傾いて延在しており、原水導入口28aにおいて原水導入流路28bの軸線が回転方向に向けて傾いている。
排出流路29は、複数の原水導入流路28bが接続され主軸3内に設けられた主軸内流路29aと、主軸3の下端に同軸上に配されて主軸内流路29aが接続されケーシング5内の下部に支持板5gを介して固定された排出管29bとを備えている。
【0035】
また、排出管29bの上部には、主軸3の下端が内側に挿入されているが、回転する主軸3が摺動しないように主軸3との間に隙間を設けている。
また、排出流路29は、吸水口5a内に配され下端部に原水を吸水口5aの中心軸に対して上面視で右回り方向に向けて排出する複数の排出口27cを周方向に有した旋回流発生部27を備えている。
上記旋回流発生部27は、
図4の(b)に示すように、排出管29bの下端に接続された上部筒部27aと、上部筒部27aの下部に設けられ下部筒部27bとを備えている。
【0036】
上記下部筒部27bは、下方に向けて内径が漸次拡がっていると共に内部に設けられた複数の旋回流用羽根27eによって下面外周部に複数の排出口27cが区分けされて形成されている。
複数の旋回流用羽根27eは、中心の上部筒部27aから半径方向外方に向かって、かつ右回りに曲がりながら延在しており、排出管29bから送り出される原水を複数の旋回流用羽根27eがガイドすることで、上面視で右回り方向に向けて原水を複数の排出口27cから排出可能となっている。
【0037】
このように第2実施形態の立軸ポンプ21では、複数の原水導入流路28bが、主軸3の回転方向に軸線を傾けて開口しているので、主軸3が回転すると複数の原水導入流路28bに周囲の原水が入ると共に加圧され、排出流路29に導かれる。
なお、濾過水加圧ポンプ部28の外径を大きくする程、下方から排出する水量を増やすことができる。
【0038】
また、排出流路29が、吸水口5a内に配され下端部に原水を吸水口5aの中心軸に対して上面視で右回り方向に向けて排出する複数の排出口27cを周方向に有した旋回流発生部27を備えているので、旋回流発生部27により吸水口5a下方で発生させる右回りの旋回流により、吸水時に発生し易い左回りの旋回流を相殺させて、渦の発生を抑制することができる。
【0039】
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、排出管29bの下端に旋回流発生部27が取り付けられているのに対し、第3実施形態の立軸ポンプ31では、
図6に示すように、内部に排出流路39を有すると共に吸水口5aから下方に突出していると共に下方に向けて原水を排出する下方噴出管39aを備えている点である。
【0040】
すなわち、第3実施形態では、下方噴出管39aが排出管29bの代わりに主軸3の下端に接続され、吸水口5aから下方に突出して吸水槽底部の土砂Sの近傍まで延在している。
なお、底部から吸水口5aまでの距離は、吸水口5aの内径Dと同じに形成され、下方噴出管39a下端と底部までの距離は、0.5D程度に設定される。
上記噴出管39aは、主軸3の下端に同軸上に配されて主軸内流路29aが接続されケーシング5内の下部に支持板5gを介して固定されている。
また、噴出管39aの上部には、主軸3の下端が内側に挿入されているが、回転する主軸3が摺動しないように主軸3との間に隙間を設けている。
【0041】
このように第3実施形態の立軸ポンプ31では、内部に排出流路39を有すると共に吸水口5aから下方に突出していると共に下方に向けて原水を排出する下方噴出管39aを備えているので、吸水口5aの中心下方に堆積し易い土砂Sを、下方噴出管39aから下方に向けてジェット噴流として噴射される原水により攪拌し吹き飛ばし、安定した排水を継続可能とすることができる。
【0042】
次に、第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、濾過水加圧ポンプ部28で加圧された原水が下方噴出管39aに供給されて下方に噴出されるのに対し、第4実施形態の立軸ポンプ41では、
図7に示すように、軸受4循環用(冷却用)の原水を加圧供給する濾過水加圧ポンプ部8とは別に、下方噴出管39aから下方に噴出する原水用の噴出用ポンプ部48が設けられている点である。
【0043】
すなわち、第4実施形態の立軸ポンプ41では、ケーシング5内に設けられケーシング5内で吸い上げられる原水の一部からゴミ又は泥を除去するフィルタ5cと、フィルタ5cを通過した原水を下方噴出管39aに送る噴流用流路5eと、ケーシング5内で吸い上げられる原水の一部を加圧して下方噴出管39aに供給する噴出用ポンプ部48とを備えている。
【0044】
第4実施形態では、第1実施形態と同じねじポンプ型の濾過水加圧ポンプ部8が主軸3の下部に設けられているが、濾過水加圧ポンプ部8の下方にさらに噴出用ポンプ部48が主軸3に設けられている。
なお、濾過水加圧ポンプ部8で加圧された原水は、第1実施形態と同様に、排水流路9を介して側方からケーシング5外に排出される。
【0045】
上記噴出用ポンプ部48は、第2実施形態の濾過水加圧ポンプ部28と同様の水車型のポンプ構造を有している。
外側ケーシング部5B内で吸い上げられる原水の一部は、案内羽根2bの内側の内壁5dに設けられた流通孔5bを介して、流通孔5bの内側に形成された内側空間5fから噴出用ポンプ部48の外周であってインペラボス2a内に設けられたボス内空間48a内に供給される。
なお、内側空間5fとボス内空間48aとは、連通している。また、主軸内流路29aと下方噴出管39aとは、連通している。
【0046】
ボス内空間48a内の原水は、原水導入流路28b及び主軸内流路29aを介して噴出用ポンプ部48により加圧され下方噴出管39aに送り込まれる。
すなわち、流通孔5b,内側空間5f,ボス内空間48a,原水導入流路28b及び主軸内流路29aは、噴流用流路5eを構成している。
上記フィルタ5cは、流通孔5bに嵌め込まれたメッシュ板である。
【0047】
このように第4実施形態の立軸ポンプ41では、濾過水加圧ポンプ部8とは別に噴出用ポンプ部48が設けられているので、軸受冷却用として供給される原水の量にかかわらず、吸水口5aから吸い上げる原水の一部を直接ジェット噴流用として利用して噴出用ポンプ部48が加圧することで、下方噴出管39aから多くの原水を土砂Sの攪拌及び吹き飛ばし用として噴射することができる。
なお、下方噴出管39aの下部を旋回流発生部27に変更する事で下方で発生させる右回りの旋回流により、吸水時に発生し易い左回りの旋回流を相殺させて、渦の発生を抑制することもできる。また、噴出用ポンプ部48の外径を大きくする程、下方から排出する水量を増やすことができる。
【0048】
また、ケーシング5内に設けられケーシング5内で吸い上げられる原水の一部からゴミ又は泥を除去するフィルタ5cと、フィルタ5cを通過した原水を下方噴出管39aに送る噴流用流路5eとを備えているので、フィルタ5cによりゴミ等が除去された原水を下方噴出管39aから吸水口5a下方に排出することで、ゴミ等を吸水槽等に戻さずに済むと共に噴流用流路5eの詰まりを防止することができる。
【0049】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
例えば、上記第1実施形態の立軸ポンプでは、主軸下部に螺旋状溝を有した濾過水加圧ポンプ部を備えているが、主軸下部に回転フィンを有した濾過水加圧ポンプ部でも構わない。すなわち、主軸の下部に回転フィンを複数設けることで、主軸が回転駆動された際に回転フィンも回転され、主軸下部まで供給された原水が、回転する回転フィンにより排出流路へと押し出されるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0051】
1,21,31,41…立軸ポンプ、2…羽根車、2b…案内羽根、3…主軸、4…軸受、5…ケーシング、5a…吸水口、5A…保護管、5B…外側ケーシング部、6…原水供給機構、7…濾過器、8…濾過水加圧ポンプ部、8a…螺旋状溝、9…排出流路、10…吐出管、27…旋回流発生部、27c…排出口、28a…原水導入口、28b…原水導入流路、39a…下方噴出管