(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048595
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ラベルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20220318BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20220318BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J2/32 Z
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154491
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】佐野 太郎
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C065
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB04
2C058AB06
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF06
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LB09
2C058LB34
2C065AA01
2C065AB01
2C065AD02
2C065CZ09
2C065CZ17
(57)【要約】
【課題】カッタユニットを容易にメンテナンスすることが可能なラベルプリンタを提供する。
【解決手段】ラベルプリンタ1は、台紙レスラベルLが巻回されたラベルロールLRを保持するラベルカセットCAと、ラベルロールLRから繰り出された台紙レスラベルLの印字面に印字する印字部10と、印字済みの台紙レスラベルLを切断するカッタユニット20と、台紙レスラベルLを切断する切断位置にカッタユニット20を固定した固定状態と当該固定を解除した固定解除状態とを切替え可能なロック機構50と、ロック機構50により固定解除状態とされている場合において、カッタユニット20を支持しながら、カッタユニット20をスライドするように移動可能とする移動機構60と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙レスラベルが巻回されたラベルロールを保持するラベルカセットと、
前記ラベルロールから繰り出された前記台紙レスラベルの印字面に印字する印字部と、
印字済みの前記台紙レスラベルを切断するカッタユニットと、
前記台紙レスラベルを切断する切断位置に前記カッタユニットを固定した固定状態と当該固定を解除した固定解除状態とを切替え可能なロック機構と、
前記ロック機構により前記固定解除状態とされている場合において、前記カッタユニットを支持しながら、前記カッタユニットをスライドするように移動可能とする移動機構と、を備える、ラベルプリンタ。
【請求項2】
前記移動機構は、メンテナンスの際に作業者が前記カッタユニットの固定刃及び可動刃にアクセス可能な引出位置まで前記カッタユニットをスライド可能とする、請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記移動機構は、
前記カッタユニットを保持する保持フレームに設けられ、前記カッタユニットのスライド方向に延びるレール部と、
前記カッタユニットに設けられ、前記レール部に沿って摺動可能な摺動部と、を含む、請求項1又は2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記保持フレームは、第1プレートと、前記第1プレートに着脱可能に設けられた第2プレートと、を含み、
前記レール部は、前記第1プレートに設けられたスリットと前記第2プレートとにより構成され、
前記スリットは、前記スライド方向に沿って延び、一端側が開口し、前記摺動部が挿通可能であり、
前記第2プレートは、前記スリットにおける前記スライド方向の一端側のスリット幅が、前記スリットに挿通された前記摺動部が当該スリットの一端側から抜け出なくなるまで狭まるように、又は当該スリットの一端側を塞ぐように、前記第1プレートに重ねられている、請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記ロック機構は、
前記カッタユニットを保持する保持フレームに設けられた被係合部と、
前記カッタユニットに設けられ、前記カッタユニットの移動を阻止するように前記被係合部に係合する係合部と、
前記被係合部と前記係合部とが係合する係合状態と、当該係合が解除された係合解除状態との切り替わりが生じる際に、移動する前記係合部又は前記被係合部を支持する支持部と、
前記係合部と前記被係合部とが前記係合状態となるように、前記係合部又は前記被係合部を付勢する付勢部と、を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記被係合部は、切断した前記台紙レスラベルの排出をガイドするガイドローラの軸部であり、
前記係合部は、前記軸部に係合可能な爪部である、請求項5に記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記被係合部である前記軸部は、前記支持部に支持されながら移動することにより、前記係合状態と前記係合解除状態との切り替わりを生じさせ、
前記軸部を移動可能に支持する前記支持部は、前記軸部が挿通され、前記軸部の移動方向に沿った長手方向となるように形成された長孔であり、
前記付勢部は、前記長孔の前記長手方向に沿って、前記係合状態となる位置まで前記軸部が移動するように付勢するバネである、請求項6に記載のラベルプリンタ。
【請求項8】
前記ロック機構は、前記カッタユニットを保持する保持フレームから当該カッタユニットを分離させることなく、前記固定状態から前記固定解除状態へ切替え可能である、請求項1~7の何れか一項に記載のラベルプリンタ。
【請求項9】
前記移動機構は、前記カッタユニットのスライド方向と直交する方向に沿って延びる回動軸を基軸に前記カッタユニットを回動可能とする、請求項1~8の何れか1項に記載のラベルプリンタ。
【請求項10】
前記移動機構は、前記カッタユニットが前記切断位置から一定角度を超えて回転しないように、前記カッタユニットと当接して前記カッタユニットの回転を規制するストッパを含む、請求項9に記載のラベルプリンタ。
【請求項11】
前記カッタユニットは、所定平面に沿って配置された固定刃及び可動刃を含み、
前記ストッパは、前記カッタユニットのスライド方向に前記所定平面が沿う回転位置にて、前記カッタユニットと当接して前記カッタユニットの回転を規制する、請求項10に記載のラベルプリンタ。
【請求項12】
前記カッタユニットの外面には、樹脂シートが設けられ、
前記ストッパは、前記樹脂シートに当接する、請求項10又は11に記載のラベルプリンタ。
【請求項13】
前記移動機構は、前記回動軸を基軸に前記カッタユニットを回転しながらスライドするように移動可能とする、請求項9~12の何れか一項に記載のラベルプリンタ。
【請求項14】
前記カッタユニットのスライド方向は、水平方向に対して30°~60°傾斜する方向である、請求項1~13の何れか一項に記載のラベルプリンタ。
【請求項15】
前記ラベルカセットは、作業者により前側に引き出され、
前記ラベルカセットは、前側に配置された壁部を含み、
前記壁部の後方側には、前記台紙レスラベルが通過する経路が存在し、
前記壁部は、前記経路に前記台紙レスラベルを通過させる際に、前記経路から離れる方向に移動可能に設けられている、請求項1~14の何れか一項に記載のラベルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙レスラベルが巻回されたラベルロールを保持するラベルカセットと、ラベルロールから繰り出された台紙レスラベルの印字面に印字する印字部と、印字済みの台紙レスラベルを切断するカッタユニットと、を備えたラベルプリンタが知られている。この種の技術として、例えば特許文献1には、発行されたラベルを切断するカッタユニットと、切断部で切断されたラベルを受けるラベル受け部と、ラベル受け部を保持する保持部と、を備えたラベル切断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなラベルプリンタでは、カッタユニットをメンテナンス(例えば、清掃等)する際、作業者がカッタユニットにアクセスしにくく、当該メンテナンスが困難な場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、カッタユニットを容易にメンテナンスすることが可能なラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るラベルプリンタは、台紙レスラベルが巻回されたラベルロールを保持するラベルカセットと、ラベルロールから繰り出された台紙レスラベルの印字面に印字する印字部と、印字済みの台紙レスラベルを切断するカッタユニットと、台紙レスラベルを切断する切断位置にカッタユニットを固定した固定状態と当該固定を解除した固定解除状態とを切替え可能なロック機構と、ロック機構により固定解除状態とされている場合において、カッタユニットを支持しながら、カッタユニットをスライドするように移動可能とする移動機構と、を備える。
【0007】
このラベルプリンタでは、ロック機構においてカッタユニットを固定解除状態とすることで、移動機構により当該カッタユニットをスライドするように引き出すことができる。これにより、作業者がカッタユニットにアクセスしやすくなり、カッタユニットを容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、移動機構は、メンテナンスの際に作業者がカッタユニットの固定刃及び可動刃にアクセス可能な引出位置までカッタユニットをスライド可能としてもよい。これにより、カッタユニットを一層容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0009】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、移動機構は、カッタユニットを保持する保持フレームに設けられ、カッタユニットのスライド方向に延びるレール部と、カッタユニットに設けられ、レール部に沿って摺動可能な摺動部と、を含んでいてもよい。この場合、カッタユニットをスライドするように移動可能とする構成を、具体的に実現できる。
【0010】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、保持フレームは、第1プレートと、第1プレートに着脱可能に設けられた第2プレートと、を含み、レール部は、第1プレートに設けられたスリットと第2プレートとにより構成され、スリットは、スライド方向に沿って延び、一端側が開口し、摺動部が挿通可能であり、第2プレートは、スリットにおけるスライド方向の一端側のスリット幅が、スリットに挿通された摺動部が当該スリットの一端側から抜け出なくなるまで狭まるように、又は当該スリットの一端側を塞ぐように、第1プレートに重ねられていてもよい。これにより、例えば第2プレートを取り外すことで、スリットの開口から摺動部を取り外して、カッタユニットを保持フレームから取り外すことが可能となる。
【0011】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、ロック機構は、カッタユニットを保持する保持フレームに設けられた被係合部と、カッタユニットに設けられ、カッタユニットの移動を阻止するように被係合部に係合する係合部と、被係合部と係合部とが係合する係合状態と、当該係合が解除された係合解除状態との切り替わりが生じる際に、移動する係合部又は被係合部を支持する支持部と、係合部と被係合部とが係合状態となるように係合部又は被係合部を付勢する付勢部と、を含んでいてもよい。このように構成されたロック機構では、係合部が被係合部に係合することで、カッタユニットの移動が阻止され、固定状態となる。固定状態において、例えば作業者の操作により、被係合部に対して付勢部の付勢に抗って力を加え、被係合部を係合解除状態の位置まで移動させることで、固定解除状態となる。また、当該力を加えることを止め、付勢部の付勢によって被係合部は係合状態の位置まで戻り、固定状態に戻ることになる。
【0012】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、被係合部は、切断した台紙レスラベルの排出をガイドするガイドローラの軸部であり、係合部は、軸部に係合可能な爪部であってもよい。この場合、係合部及び被係合部を、他の部位を利用して構成することが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、被係合部である軸部は、支持部に支持されながら移動することにより、係合状態と係合解除状態との切り替わりを生じさせ、軸部を移動可能に支持する支持部は、軸部が挿通され、軸部の移動方向に沿った長手方向となるように形成された長孔であり、付勢部は、長孔の長手方向に沿って、係合状態となる位置まで軸部が移動するように付勢するバネであってもよい。この場合、構成を簡易化することができる。
【0014】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、ロック機構は、カッタユニットを保持する保持フレームから当該カッタユニットを分離させることなく、固定状態から固定解除状態へ切替え可能であってもよい。これにより、カッタユニットを固定状態から固定解除状態へ切替える場合に、カッタユニットを保持フレームから取り外す手間がなくなり、作業者負担を低減させることができる。
【0015】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、移動機構は、カッタユニットのスライド方向と直交する方向に沿って延びる回動軸を基軸にカッタユニットを回動可能としてもよい。これにより、作業者がカッタユニットにアクセスしやすくなるように、カッタユニットを回転させることができる。
【0016】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、移動機構は、カッタユニットが切断位置から一定角度を超えて回転しないように、カッタユニットと当接してカッタユニットの回転を規制するストッパを含んでいてもよい。これにより、カッタユニットが切断位置から一定角度を超えて回転してしまうのを抑止することが可能となる。
【0017】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、カッタユニットは、所定平面に沿って配置された固定刃及び可動刃を含み、ストッパは、カッタユニットのスライド方向に所定平面が沿う回転位置にて、カッタユニットと当接してカッタユニットの回転を規制してもよい。これにより、カッタユニットを、作業者がカッタユニットの固定刃及び可動刃にアクセスしやすくなるように回転及びスライドさせることができる。
【0018】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、カッタユニットの外面には、樹脂シートが設けられ、ストッパは、樹脂シートに当接してもよい。これにより、ストッパがカッタユニットに当接した状態でカッタユニットがスライドする場合に、樹脂シートでストッパ及びカッタユニットを保護することができる。
【0019】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、移動機構は、回動軸を基軸にカッタユニットを回転しながらスライドするように移動可能としてもよい。これにより、カッタユニットを一層容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0020】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、カッタユニットのスライド方向は、水平方向に対して30°~60°傾斜する方向であってもよい。この場合、カッタユニットの自重を利用してカッタユニットをスライドさせることができる。スライド方向が水平方向に対して傾斜する方向(以下、単に「傾斜方向」ともいう)が30°よりも小さいと、当該スライドが緩慢である一方、スライド方向の傾斜方向が60°よりも大きいと、当該スライドが急峻となる。よって、適度な速さで当該スライドを実現することができる。
【0021】
本発明の一側面に係るラベルプリンタでは、ラベルカセットは、作業者により前側に引き出され、ラベルカセットは、前側に配置された壁部を含み、壁部の後方側には、台紙レスラベルが通過する経路が存在し、壁部は、経路に台紙レスラベルを通過させる際に、経路から離れる方向に移動可能に設けられていてもよい。このように構成すれば、経路に台紙レスラベルを通過させる際、ラベルカセットの壁部が当該経路に干渉して邪魔になることがなく、台紙レスラベルを経路に通過させる作業を作業者は容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カッタユニットを容易にメンテナンスすることが可能なラベルプリンタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るラベルプリンタを搭載した電子秤の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の電子秤からラベルカセットを引き出した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のラベルプリンタの要部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のラベルプリンタの要部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のラベルプリンタの要部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1のラベルプリンタの要部の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1のラベルプリンタの要部の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1のラベルプリンタのカッタユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1のラベルプリンタの要部を示す側面図である。
【
図10】
図10は、
図1のラベルプリンタの要部において引出位置までカッタユニットを移動させた状態を示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図1のラベルプリンタの要部において引出位置までカッタユニットを移動させた状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1のラベルプリンタの要部においてカッタユニットを取り外す場合を示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図2のラベルカセットにおいて持ち手が閉状態の場合を示す側面図である。
【
図14】
図14は、
図2のラベルカセットにおいて持ち手が開状態の場合を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
以下の説明において、「上」及び「下」の語は、鉛直方向の上下方向に対応する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。説明の便宜上、店員側表示部D1が配置された側を「前」、店員側表示部D1が配置された側と反対側を「後」、前から電子秤100を見て左となる側を「左」、前側から電子秤100を見て右となる側を「右」として説明するが、本発明の構成を限定するものではない。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、電子秤100は、本体ケースBと、その中に組み込まれたラベルプリンタ1と、本体ケースBの上面に設置された計量部Wと、ラベルプリンタ1及び計量部Wを制御する制御部Cと、ラベルプリンタ1及び制御部Cに給電する電源ユニット(不図示)と、を備える。電子秤100では、本体ケースBの前側にタッチパネル式の店員側表示部D1及び固定キーD2が設けられている。電子秤100では、本体ケースBの後側に客側表示部D3が設けられている。
【0027】
ラベルプリンタ1は、本体ケースB内の右側に収納されている。開閉扉Gは、本体ケースBの正面に設けられている。開閉扉Gの前方に設けられた店員側表示部D1のケースを上方に跳ね上げれば、
図2に示されるように、開閉扉Gを下方へ開くことができる。開閉扉Gを開けば、中からラベルカセットCAが取り出せるようになっている。ラベルカセットCAの前部には、取手が取り付けられ、これを手前に引けば、ラベルカセットCAを本体ケースBから引き出すことができる。
【0028】
ラベルプリンタ1は、ラベルロールLRを収納するラベルカセットCAと、ラベルカセットCAの先端上部に設けられたプラテンローラ12と、開閉扉Gの裏面に設けられた印字ヘッド11と、本体ケースBの前端上部に設けられたカッタユニット20と、を備える。
図2に示されるように、ラベルカセットCAの左側の側壁CA1には、ロール支持部Rが片持ち状態で支持されている。紙管に帯状の台紙レスラベルLが巻きつけられたラベルロールLRは、ロール支持部Rに装着される。このようなラベルカセットCAは、台紙レスラベルLが巻回されたラベルロールLRを保持する。ラベルカセットCAは、作業者により前側に引き出される。ラベルロールLRの台紙レスラベルLは、先端上部のプラテンローラ12に引き渡される。
【0029】
台紙レスラベルLは、基材である紙の裏面に接着剤が積層され、基材の表面に熱によって発色する感熱剤が積層され、当該感熱材の上から剥離剤としてのシリコン樹脂が塗布されている。ラベルロールLRは、このような台紙レスラベルLの裏面を内側にして紙管に巻き付けられており、ラベルロールLRの裏面がプラテンローラ12と接触するようにロール支持部Rに装着される。
【0030】
開閉扉Gの裏面に設けられた印字ヘッド11は、サーマル式の印字ヘッドで構成されている。印字ヘッド11が有する発熱ラインは、開閉扉Gを閉じると、収納されたラベルカセットCAのプラテンローラ12と接するように位置決めされている。印字ヘッド11とプラテンローラ12とは、ラベルロールLRから繰り出された台紙レスラベルLの印字面に印字する印字部10を構成する。ラベルカセットCAの側壁CA1内には、プラテンローラ12を駆動するギア機構が組み込まれている。ラベルカセットCAを本体ケースBに装着すると、ギア機構が本体ケースB内の駆動モータと連結されてプラテンローラ12が回転する。
【0031】
プラテンローラ12の上方には、固定刃21と可動刃22とを備えたカッタユニット20が取り付けられている。カッタユニット20は、印字済みの台紙レスラベルLを切断する。カッタユニット20は、可動刃22がカッタユニット20内部のクランク機構に連結されて、固定刃21との間を水平方向に高速で往復運動するようになっている。
【0032】
計量部Wは、機械的歪みを電気信号に変換する周知構成のロードセルと、ロードセルから出力される電気信号を増幅してデジタル信号に変換する信号処理回路と、デジタル信号を本体ケースB内の制御部Cに無線で送信する通信モジュールと、これらに給電するバッテリーユニットと、を備える。本体ケースB内には、計量部Wから送信されたデジタル信号を受信する通信モジュールと、受信したデジタル信号を質量に変換し、当該質量に設定された単位質量当りの単価を乗じて価格を算出し、算出した価格を店員側表示部D1と客側表示部D3とに表示する制御部Cと、ラベルプリンタ1並びにこれらに給電する電源ユニットと、が収納されている。
【0033】
店員側表示部D1は、タッチパネル式の液晶ディスプレイであり、制御部Cの制御により、必要な操作画面が表示される。固定キーD2には、ハカリ用としての単価キー、定額キー、風袋キー、及び呼出キーD21と、台紙レスラベルLの発行を指示する印字キーD22と、があり、これらが数字キーと共に配置されている。客側表示部D3は、液晶ディスプレイであり、重量、価格の他、商品に関する広告メッセージが表示される。
【0034】
次に、ラベルプリンタ1の要部について説明する。
【0035】
図3、
図4及び
図5に示されるように、本実施形態のラベルプリンタ1は、カッタユニット20、ガイド部30、保持フレーム40、ロック機構50及び移動機構60を備える。
図3及び
図8に示されるように、カッタユニット20は、固定刃21、可動刃22、ユニット本体23、ユニット前部24、ユニット側板25及びピン26を有する。
【0036】
固定刃21及び可動刃22は、左右方向と平行な所定平面に沿って配置されている。固定刃21と可動刃22との間のスペースの上方には、ガイド部30が配置されている。固定刃21は台紙レスラベルLの糊面側に配置され、可動刃22は台紙レスラベルLの印字面側に配置される。ユニット本体23は、可動刃22を駆動する駆動装置を含み、矩形箱状を呈する。ユニット本体23は、その前側において可動刃22を固定刃21に対して接近及び離間する方向に可動する。
【0037】
ユニット前部24は、ユニット本体23の前側に設けられたフレーム体である。ユニット前部24には、固定刃21が固定されている。ユニット側板25は、ユニット本体23の左側及び右側それぞれに設けられた板状の部材である。ユニット側板25は、左右方向と直交する平板状を呈する。左右のユニット側板25の前端部には、第2ガイドローラ32の軸部32Aと係合可能な爪部28が設けられている。
【0038】
ピン26は、左右のユニット側板25のそれぞれに、外側に突出するように設けられている。一対のピン26は、左右方向を軸方向とすると共に、その軸が互いに一致するように配置(同軸で配置)されている。ピン26は、ネジと円筒状のカラーとを含む。ピン26は、ネジの先端部分がユニット側板25に固定されると共に、ネジの頭部と当該先端部分との間にカラーが当該ネジを囲うように配置されて構成されている。ピン26は、前後方向において、カッタユニット20の中心よりも後側に偏った位置に配置されている。
【0039】
カッタユニット20の外面には、樹脂シート27が設けられている。樹脂シート27は、ユニット本体23の上面において、後述のストッパ63との接触領域に接着されている。樹脂シート27は、カッタユニット20と後述のストッパ63と間に介在され、これらの直接接触ひいてはそれによる損傷を抑制する。樹脂シート27の形状及び材料としては、特に限定されず、公知の種々の樹脂シートを用いることができる。
【0040】
図3、
図4及び
図5に示されるように、ガイド部30は、第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ(ガイドローラ)32を有する。第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32は、切断した台紙レスラベルLの排出をガイドする。第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32は、左右方向を軸方向して延在する。第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32は、台紙レスラベルLとの接触面積を減らすために、その表面が凹凸状とされている。第1ガイドローラ31の軸部31Aは、その両端部が保持フレーム40に回転可能に支持されている。第2ガイドローラ32の軸部32Aは、その両端部が保持フレーム40に回転可能に支持されている。
【0041】
保持フレーム40は、ピン26、第1ガイドローラ31及び第2ガイドローラ32を支持し、カッタユニット20及びガイド部30を保持するフレーム体である。保持フレーム40は、ブラケット41を介して本体ケースB(
図1参照)に取り付けられている。保持フレーム40は、第1プレート42及び一対の第2プレート45を有する。
【0042】
第1プレート42は、カッタユニット20よりも左側及び右側のそれぞれに位置する一対の側板部43と、一対の側板部43の上側を架け渡すように設けられた上板部44と、を含む。側板部43は、左右方向を厚さ方向とする板状を呈する。側板部43は、第1ガイドローラ31の軸部31Aの両端部を回転可能に支持する。側板部43には、前後方向に長尺で且つ第2ガイドローラ32の軸部32Aが挿通可能な長孔46が形成されている。側板部43は、長孔46を介して軸部32Aの両端部を回転可能に支持する。側板部43には、後述するように、カッタユニット20のピン26が挿通可能なスリット64が形成されている。側板部43は、スリット64を介してピン26を支持する。第2プレート45は、左右方向を厚さ方向とする板部材である。第2プレート45は、一対の側板部43それぞれの左右方向の外側に、ネジNで着脱可能に設けられている。
【0043】
図3及び
図6に示されるように、ロック機構50は、台紙レスラベルL(
図2参照)を切断する切断位置にカッタユニット20を固定した固定状態(以下、単に「固定状態」ともいう)と当該固定を解除した固定解除状態(以下、単に「固定解除状態」ともいう)とを切替え可能な機構である。ロック機構50は、カッタユニット20を保持する保持フレーム40から当該カッタユニット20を分離させることなく、固定状態から固定解除状態へ切替え可能である。
【0044】
ロック機構50は、第2ガイドローラ32の軸部32Aと、カッタユニット20の爪部28と、第1プレート42の長孔46と、バネ53と、を含む。軸部32Aは、保持フレーム40に設けられた被係合部を構成する。軸部32Aの両端には、第2ガイドローラ32の前側に位置し且つ当該両端を架け渡すように延びる前フレーム51が連結されている。爪部28は、カッタユニット20に設けられた係合部を構成する。爪部28は、カッタユニット20の移動を阻止するように、少なくとも上下方向において軸部32Aに係合する(
図7参照。詳しくは後述)。
【0045】
長孔46には、軸部32Aが挿通可能である。長孔46は、軸部32Aを回転可能に支持しつつ、当該軸部32Aを前後方向に沿って移動可能とする。長孔46は、軸部32Aの移動方向に長尺である。換言すると、長孔46は、被係合部である軸部32Aの移動方向に沿って長手方向となるように形成されている。軸部32Aを長孔46の前後範囲における後端に移動させたときの軸部32Aの位置は、軸部32Aと爪部28と係合する係合状態(以下、単に「係合状態」ともいう)の位置である(
図6参照)。軸部32Aを長孔46の前後範囲における後端よりも前側に移動させたときの軸部32Aの位置は、軸部32Aと爪部28との係合が解除される係合解除状態(以下、単に「係合解除状態」ともいう)の位置である。つまり、長孔46は、係合状態と係合解除状態との切り替わりが生じる際に、移動する軸部32Aを支持する。被係合部である軸部32Aは、長孔46に支持されながら移動することにより、係合状態と係合解除状態との切り替わりを生じさせる。長孔46は、支持部を構成する。
【0046】
バネ53は、係合部と被係合部とが係合状態となるように係合部又は被係合部を付勢する付勢部を構成する。バネ53は、長孔46の長手方向に沿って、係合状態となる位置まで軸部32Aが移動するように付勢する。バネ53の一端側は、前フレーム51に設けられたピン52に接続され、バネ53の他端側は、保持フレーム40の第2プレート45のピン47に接続されている。ピン52は、前フレーム51の左側面及び右側面のそれぞれに、外側に突出するように設けられている。一対のピン52は、左右方向を軸方向とすると共に、その軸が互いに一致するように配置されている。ピン47は、一対の第2プレート45のそれぞれに、外側に突出するように設けられている。一対のピン47は、左右方向を軸方向とすると共に、その軸が互いに一致するように配置されている。
【0047】
ピン52及びピン47は、ネジと円筒状のカラーとを含む。ピン52は、ネジの先端部分が前フレーム51に固定されると共に、ネジの頭部と当該先端部分との間にカラーが当該ネジを囲うように配置されて構成されている。ピン47は、ネジの先端部分が第2プレート45に固定されると共に、ネジの頭部と当該先端部分との間にカラーが当該ネジを囲うように配置されて構成されている。バネ53は、引張りの弾性力により保持フレーム40に対して前フレーム51を後側に付勢し、長孔46の後端に向かうように軸部32Aを押し付ける(係合状態となるように軸部32Aを付勢する)。
【0048】
図3、
図9、
図10及び
図11に示されるように、移動機構60は、ロック機構50により固定解除状態とされている場合において、カッタユニット20を支持しながら、カッタユニット20をスライドするように移動可能とする。移動機構60は、メンテナンスの際に作業者がカッタユニット20の固定刃21及び可動刃22にアクセス可能な引出位置までカッタユニット20をスライド可能とする。移動機構60は、レール部61及び摺動部62を有する。
【0049】
レール部61は、保持フレーム40に設けられている。レール部61は、カッタユニット20のスライドをガイドする機能を有する。レール部61は、カッタユニット20のスライド方向に延びる。レール部61は、側板部43に設けられたスリット64と第2プレート45とにより構成されている。スリット64は、スライド方向に沿って延び、その前端側が開口する。スリット64は、前側に行くに連れて下側へ傾斜するように延びる。スリット64は、摺動部62が挿通可能である。第2プレート45は、スリット64における前端側のスリット幅が、スリット64に挿通された摺動部62が当該スリット64の前端側から抜け出なくなるまで狭まるように、側板部43に重ねられてネジNにより固定されている。なお、例えばネジNの締結を緩めることで、スリット64の前端側のスロット幅が広がるように当該ネジNを基軸に第2プレート45を回転させることができる。
【0050】
レール部61においてカッタユニット20をスライドさせるスライド方向(スリット64の延在方向)は、水平方向に対して30°~60°傾斜する方向である、具体的には、スライド方向は、前側に行くに連れて下側に、水平方向に対して30°~60°の傾斜角度で傾く方向である。摺動部62は、カッタユニット20に設けられ、レール部61に沿って摺動可能な部分である。本実施形態の摺動部62は、カッタユニット20のピン26により構成される。
【0051】
このような移動機構60は、ロック機構50により固定解除状態とされている場合において、スライド方向へのスライドに加えて、カッタユニット20のピン26(摺動部62)を基軸にカッタユニット20を回動可能とする。ピン26は、カッタユニット20のスライド方向と直交する左右方向に沿って延びる回動軸(回転支点)を構成する。つまり、本実施形態では、移動機構60は、ピン26を基軸にカッタユニット20を回転しながらスライドするように移動可能とする。
【0052】
移動機構60は、ストッパ63を有する。ストッパ63は、カッタユニット20が切断位置から一定角度を超えて回転しないように、カッタユニット20と当接してカッタユニット20の回転を規制する。ストッパ63は、移動機構60によりピン26を基軸に回転した場合に、ユニット本体23の上面の樹脂シート27と当接し、それ以上の回転を阻止する。ストッパ63は、上板部44の後側の一部が後側且つ下側に突出するように設けられている。一定角度は、固定刃21及び可動刃22が配置された所定平面がスライド方向に沿うときのカッタユニット20の回転角度である。つまり、ストッパ63は、スライド方向に所定平面が沿う回転位置にて、カッタユニット20と当接してカッタユニットの回転を規制する。
【0053】
次に、ラベルプリンタ1において、カッタユニット20をメンテナンスする場合の例を説明する。
【0054】
図3及び
図9に示されるように、通常状態(メンテナンス開始時)のラベルプリンタ1では、カッタユニット20は切断位置に位置している。切断位置は、カッタユニット20が印字済みの台紙レスラベルLを切断可能な位置である。切断位置は、固定刃21及び可動刃22が配置された所定平面が水平面上に位置するときのカッタユニット20の位置である。切断位置は、ピン26がスリット64の後端に配置されるときのカッタユニット20の位置である。通常状態のラベルプリンタ1では、第2ガイドローラ32の軸部32Aが爪部28に係合する係合状態の位置(つまり、長孔46内の後端)に位置し、ロック機構50により固定状態でロックされている(
図7参照)。したがって、固定状態において、カッタユニット20の爪部28の下方には、第2ガイドローラ32の軸部32Aが位置する。そのため、カッタユニット20は、爪部28が第2ガイドローラ32の軸部32Aにぶら下がる(引っかかる)ことになり、カッタユニット20(の前側)は、軸部32Aによって下方への動きが規制される。その結果、カッタユニット20のピン26がスリット64に沿ってスライド方向に滑り落ちる動き(前側且つ下側への動き)、及びカッタユニット20がピン26を回転の中心として下方へ回転する動きは規制される。
【0055】
このような通常状態のラベルプリンタ1において、前フレーム51をバネ53の弾性力に逆らって(付勢に抗って)前側へ引っ張る。これにより、前フレーム51に連結された軸部32Aを長孔46内の前側位置に移動させ、軸部32Aと爪部28との係合が解除された係合解除状態とし、ロック機構50を固定状態から固定解除状態へアンロックする。
【0056】
したがって、第2ガイドローラ32の軸部32Aが爪部28の下方に位置しなくなる。これにより、カッタユニット20のピン26がスリット64に沿ってスライド方向に滑り落ちる動き、及びカッタユニット20がピン26を回転の中心として下方へ回転する動きは規制されなくなる。その結果、
図10及び
図11に示されるように、カッタユニット20の自重により、ピン26を基軸にしてユニット前部24側が下側に開くようにカッタユニット20が回転する。これに併せて、ピン26がレール部61のスリット64を介して支持されながら、カッタユニット20の自重により、スリット64に沿ってスライド方向に滑り落ちるように摺動し、カッタユニット20がスライド方向に沿って前側且つ下側に突き出るようにスライドする。
【0057】
カッタユニット20が一定角度回転したとき、ストッパ63が樹脂シート27を介してカッタユニット20のユニット本体23の上面に当接し、カッタユニット20のそれ以上の当該回転が規制される。また、カッタユニット20が一定距離スライド方向にスライドしたとき、ピン26がスリット64における前端まで達し、ピン26がレール部61の第2プレート45と当接し、カッタユニット20のそれ以上の当該スライドが規制される。
【0058】
これにより、作業者が固定刃21及び可動刃22にアクセス可能な引出位置まで、カッタユニット20が開くように回転し且つ前側にスライドすることとなる。作業者は、例えばクリーナーにより、固定刃21及び可動刃22の先端面、表面及び裏面に付着した汚れを容易に除去可能となる。なお、ロック機構50のアンロック後、前フレーム51の引張りを解除すると、前フレーム51はバネ53の弾性力で後側に戻るように移動し、軸部32Aは長孔46内の後端に戻る。
【0059】
また、清掃後にカッタユニット20を引出位置から切断位置へ戻す場合には、まず、作業者により、ピン26がスリット64に沿ってスライド方向に駆け上がるように摺動させ、カッタユニット20をスライド方向に沿って後側且つ上側に引っ込むようにスライドさせる。これに併せて、作業者により、ピン26を基軸にしてユニット前部24側が上側に閉じるようにカッタユニット20を回転させる。
【0060】
カッタユニット20の当該回転の際には、爪部28のテーパ面28Xが第2ガイドローラ32の軸部32Aに突き当たり、軸部32Aがバネ53の弾性力に逆らって長孔46内にて前側にずれる。そして、軸部32Aが爪部28を乗り越え(軸部32Aが爪部28の下側に位置し)、固定刃21及び可動刃22が配置された所定平面が水平面に沿う姿勢までカッタユニット20が回転して戻った場合、軸部32Aがバネ53の弾性力により係合状態の位置(つまり、長孔46内の後端)に戻り、ロック機構50により固定状態へ再ロックされる。この際、後方側に付勢された軸部32Aにより、カッタユニット20(の爪部28)は後方側へ押し付けられることになる。したがって、カッタユニット20は、軸部32Aによって、後方側(より正確には、スリット64の接触面からピン26が受ける力も合わさった、上方側且つ後方側)に押し戻す力を受けて、カッタユニット20のピン26がスリット64に沿って滑り落ちないように支えられることになる。
【0061】
以上、ラベルプリンタ1では、ロック機構50においてカッタユニット20を固定解除状態とすることで、移動機構60により当該カッタユニット20をスライドするように引き出すことができる。これにより、作業者がカッタユニット20にアクセスしやすくなり、カッタユニット20を容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0062】
ラベルプリンタ1では、移動機構60は、メンテナンスの際に作業者がカッタユニットの固定刃21及び可動刃22にアクセス可能な引出位置までカッタユニット20をスライド可能とする。これにより、カッタユニット20を一層容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0063】
ラベルプリンタ1では、移動機構60は、保持フレーム40に設けられたレール部61と、カッタユニット20に設けられレール部61に沿って摺動可能なピン26と、を含む。この場合、カッタユニット20をスライドするように移動可能とする構成を、具体的に実現できる。
【0064】
ラベルプリンタ1では、保持フレーム40は、第1プレート42と第1プレート42に着脱可能に設けられた第2プレート45とを含む。レール部61は、第1プレート42に設けられたスリット64と第2プレート45とにより構成される。スリット64は、スライド方向に沿って延び、一端側が開口し、ピン26が挿通可能である。第2プレート45は、スリット64におけるスライド方向の一端側のスリット幅が、スリット64に挿通されたピン26が当該スリット64の一端側から抜け出なくなるまで狭まるように、第1プレート42に重ねられている。
【0065】
これにより、例えばネジNの締結を緩めることで、スリット64の前端側のスロット幅が広がるように当該ネジNを基軸に第2プレート45を回転させることができる。その結果、
図12に示されるように、カッタユニット20をスライド方向に沿って前側に向かって移動させることで、スリット64の開口からピン26を取り外して、カッタユニット20を保持フレーム40から取り外すことが可能となる。なお、ここでは、ネジNの締結を緩めて第2プレート45を回転させるのに代えて、ネジNを外して第2プレート45を第1プレート42から取り外してもよい。
【0066】
ラベルプリンタ1では、ロック機構50は、保持フレーム40に支持された第2ガイドローラ32の軸部32Aと、カッタユニット20に設けられ軸部32Aに係合する爪部28と、係合状態と係合解除状態との切り替わりが生じる際に移動する軸部32Aを支持する長孔46と、係合状態となるように軸部32Aを付勢するバネ53と、を含む。このように構成されたロック機構50では、爪部28が軸部32Aに係合することで、カッタユニット20の移動が阻止され、固定状態となる。固定状態において、例えば作業者の操作により、軸部32Aに対してバネ53の付勢に抗って力を加え、軸部32Aを係合解除状態の位置まで移動させることで、固定解除状態となる。また、当該力を加えることを止め、バネ53の付勢によって軸部32Aは係合状態の位置まで戻り、固定状態に戻ることになる。
【0067】
ラベルプリンタ1は、切断した台紙レスラベルLの排出をガイドする第2ガイドローラ32の軸部32Aを被係合部として備え、軸部32Aに係合可能な爪部28を係合部として備える。この場合、ロック機構50の係合部及び被係合部を、他の部位を利用して構成することが可能となる。
【0068】
ラベルプリンタ1は、被係合部である軸部32Aは、長孔46に支持されながら移動することにより、係合状態と係合解除状態との切り替わりを生じさせる。軸部32Aを移動可能に支持する長孔46は、軸部32Aが挿通され、軸部32Aの移動方向に沿った長手方向となるように形成されている。バネ53は、長孔46の長手方向に沿って、係合状態となる位置まで軸部32Aが移動するように付勢する。この場合、ロック機構50の構成を簡易化することができる。
【0069】
ラベルプリンタ1では、ロック機構50は、保持フレーム40からカッタユニット20を分離させることなく、固定状態から固定解除状態へ切替え可能である。これにより、カッタユニット20を固定状態から固定解除状態へ切替える場合に、カッタユニット20を保持フレーム40から取り外す手間がなくなり、作業者負担を低減させることができる。
【0070】
ラベルプリンタ1では、移動機構60は、左右方向に沿って延びるピン26を基軸にカッタユニット20を回動可能とする。これにより、作業者がカッタユニット20にアクセスしやすくなるように、カッタユニット20を回転させることができる。
【0071】
ラベルプリンタ1では、移動機構60は、カッタユニットが切断位置から一定角度を超えて回転しないように、カッタユニット20と当接してカッタユニット20の回転を規制するストッパ63を含む。これにより、カッタユニット20が切断位置から一定角度を超えて回転してしまうのを抑止することが可能となる。
【0072】
ラベルプリンタ1では、ストッパ63は、固定刃21及び可動刃22が配置された所定平面がカッタユニット20のスライド方向に沿う回転位置において、カッタユニット20と当接してカッタユニット20の回転を規制する。これにより、作業者が固定刃21及び可動刃22にアクセスしやすくなるようにカッタユニット20を回転及びスライドさせることができる。
【0073】
ラベルプリンタ1では、カッタユニット20の外面には、樹脂シート27が設けられ、ストッパ63は、樹脂シート27に当接する。これにより、ストッパ63がカッタユニット20に当接した状態でカッタユニット20がスライドする場合に、樹脂シート27でストッパ63及びカッタユニット20を保護することができる。
【0074】
ラベルプリンタ1では、移動機構60は、ピン26を基軸にカッタユニット20を回転しながらスライドするように移動可能とする。これにより、カッタユニット20を一層容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0075】
ラベルプリンタ1では、カッタユニット20のスライド方向は、水平方向に対して30°~60°傾斜する方向である。この場合、カッタユニット20の自重を効果的に利用してカッタユニット20をスライドさせることができる。スライド方向としての傾斜方向が30°よりも小さいと、当該スライドが緩慢である一方、スライド方向としての傾斜方向が60°よりも大きいと、当該スライドが急峻となる。よって、適度な速さで当該スライドを実現することができる。
【0076】
図13は、持ち手71が閉状態のラベルカセットCAを示す側面図である。
図14は、持ち手71が開状態のラベルカセットCAを示す側面図である。
図13及び
図14に示されるように、ラベルカセットCAは、底部81と、底部81の前側に配置された壁部70と、を有する。壁部70の後方側には、台紙レスラベルLが通過する経路91が存在する。壁部70は、持ち手71を含む。持ち手71は、左右方向を軸方向とする回転軸72を介して、底部81に開閉可能(回転可能)に取り付けられている。持ち手71は、経路91に台紙レスラベルLを通過させる際に、回転軸72を基軸に手前側に開くように回転可能である。すなわち、壁部70は、経路91に台紙レスラベルLを通過させる際に、経路91から離れる方向に移動可能に設けられている。
【0077】
このように、ラベルカセットCAの持ち手71を可動式とし、台紙レスラベルLのラベルセット時には持ち手71を開状態とすることによって、ラベルカセットCA内の経路91が広がり、当該ラベルセットを容易にすることができる。換言すると、経路91に台紙レスラベルLを通過させる際、壁部70が当該経路91に干渉して邪魔になることがなく、台紙レスラベルLを経路91に通過させる作業を作業者は容易に行うことができる。
【0078】
以上、実施形態について説明してきたが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0079】
上記実施形態では、移動機構60は、ピン26を基軸に回転しながらスライドするようにカッタユニット20を移動させたが、これに限定されない。移動機構60は、カッタユニット20を回転した後にスライドするように移動させてもよいし、カッタユニット20をスライドした後に回転するように移動させてもよい。移動機構60は、カッタユニット20を回転せずにスライドするように移動させてもよい。
【0080】
上記実施形態では、付勢部としてバネ53を用いたが、付勢部は特に限定されない。係合状態となるように係合部又は被係合部を付勢する手段であれば、種々の公知手段を用いてもよい。上記実施形態では、スリット64の一端側のスリット幅が狭まるように第2プレート45を第1プレート42に重ねたが、スリット64の一端側を塞ぐように第2プレート45を第1プレート42に重ねてもよい。
【0081】
上記実施形態では、爪部28が移動可能で且つ軸部32Aが固定された構成とすることで、これらの係合状態及び係合解除状態を実現してもよく、例えば次のような構成としてもよい。すなわち、爪部28は、ユニット側板25に対して移動可能に構成されていてもよい。爪部28には、長孔46に挿通され、長孔46の長手方向に沿って移動する凸部(出張り)が設けられていてもよい。支持部は、ユニット側板25に開けられた長孔であってもよい。付勢部は、爪部28を前側(
図8及び
図9参照)に押し付けるバネであってもよい。軸部32A(前フレーム51)が固定されていてもよい。爪部28を後側(
図8及び
図9参照)に押し込むと、係合解除状態となり、カッタユニット20が回動可能となってもよい。
【0082】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…ラベルプリンタ、10…印字部、20…カッタユニット、21…固定刃、22…可動刃、26…ピン(摺動部,回動軸)、27…樹脂シート、28…爪部(係合部)、32…第2ガイドローラ(ガイドローラ)、32A…軸部(被係合部)、40…保持フレーム、42…第1プレート、45…第2プレート、46…長孔(支持部)、50…ロック機構、53…バネ(付勢部)、60…移動機構、61…レール部、62…摺動部、63…ストッパ、64…スリット、70…壁部、91…経路、CA…ラベルカセット、L…台紙レスラベル、LR…ラベルロール。