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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048681
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】顔面被覆具
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/16 20060101AFI20220318BHJP
   A61F 9/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G02C7/16
A61F9/04 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154643
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】594097594
【氏名又は名称】藤徳紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】西川 晃司
(57)【要約】
【課題】全体が簡素で大量生産に適しており、眼鏡を着用した状態でも安定して保持される顔面被覆具を提供する。
【解決手段】例えば顔面被覆具Xは、被覆本体部10と、被覆本体部10の左右の端部に各々設けられたテンプル支持部20と、を備え、テンプル支持部20は、テンプル部G31が挿通される前側テンプル挿通部30と、当該前側テンプル挿通部30よりも後側に位置する後側テンプル挿通部40と、を備えることによって、テンプル支持部20が湾曲して顔面被覆具Xが眼鏡G3に保持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着用している眼鏡のテンプル部に取り付けて使用され、シート材で構成されてなる顔面被覆具であって、
前記テンプル部に取り付けられた使用状態で使用者の顔面の前方に位置する被覆本体部と、
前記被覆本体部の左右の端部に各々設けられたテンプル支持部と、
を備え、
前記テンプル支持部は、
前記テンプル部が挿通される前側テンプル挿通部と、当該前側テンプル挿通部よりも後側に位置する後側テンプル挿通部と、を備える
ことを特徴とする顔面被覆具。
【請求項2】
前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とは、当該テンプル支持部を構成する前記シート材における表裏方向に貫通する貫通孔部で構成されてなる
請求項1に記載の顔面被覆具。
【請求項3】
前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とは、当該テンプル支持部を構成する前記シート材に設けられた切込み線部で構成されてなる
請求項1に記載の顔面被覆具。
【請求項4】
前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とのうち少なくとも一方が、当該テンプル支持部を構成する前記シート材における表裏方向に貫通する貫通孔部で構成されてなる
請求項1に記載の顔面被覆具。
【請求項5】
前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とのうち少なくとも一方が、当該テンプル支持部を構成する前記シート材に設けられた切込み線部で構成されてなる
請求項1に記載の顔面被覆具。
【請求項6】
前記切込み線部の端部に、前記テンプル支持部を構成する前記シート材の表裏方向に貫通する貫通孔部が当該切込み線部と連通状に設けられてなる
請求項3又は請求項5に記載の顔面被覆具。
【請求項7】
前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部との間には、さらに前記テンプル部が挿通される中間テンプル挿通部が設けられてなる
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の顔面被覆具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が着用している眼鏡に装着して使用する顔面被覆具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば顔面被覆具としては、顔面を覆う防護具や保護具が既に開示されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
具体的に特許文献1には、ヘッドギア部と、ヘッドギア部に取り付けられており、装着した際の装着者の両側頭部の位置を軸として回動可能に支持されている帯状の回動部と、装着者の顔面部と所定距離を保持しつつ、回動部の下縁部から延設されているとともに、装着した際の装着者の顔面部の手前に位置するように設けられている透明部とを備えた防護具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、湾曲透明板の外面の上・下部に一対の突起を各々設け、該透明板の内面に上部当接板と下部当接板を各々突出させて固着し、透明板の内面適所に保持部を設けた調理用の保護具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3220327号公報
【特許文献2】特開平9-94176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1,2に開示された防護具あるいは保護具は、顔面を覆う透明部材が頭部に対してぐらつきやすいという問題がある。特に、使用者が眼鏡を着用している場合には、眼鏡が入るスペースを確保する必要があり、より一層、透明部材がぐらつきやすくなって不安定であるという問題がある。また、いずれの構成も、構造が複雑で部品点数が多く、短期間に大量生産するには極めて不向きな上、保管がしにくい構成である。
【0007】
そこで本発明は、全体が簡素で大量生産に適しており、眼鏡を着用した状態でも安定して保持される顔面被覆具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、使用者が着用している眼鏡のテンプル部に取り付けて使用され、シート材で構成されてなる顔面被覆具であって、前記テンプル部に取り付けられた使用状態で使用者の顔面の前方に位置する被覆本体部と、前記被覆本体部の左右の端部に各々設けられたテンプル支持部と、を備え、前記テンプル支持部は、前記テンプル部が挿通される前側テンプル挿通部と、当該前側テンプル挿通部よりも後側に位置する後側テンプル挿通部と、を備えることを特徴とする顔面被覆具である。
【0009】
かかる構成にあっては、前記前側テンプル挿通部及び前記後側テンプル挿通部に眼鏡のテンプル部を挿通されることによってテンプル部の少なくとも2箇所で顔面被覆具が支持されるため、被覆本体部を顔部に対して安定して保持することができる。また、構造が簡易であるため大量生産に適している。また、シート材で構成されるため、積み重ねてコンパクトに保管することもできる。
【0010】
ここで、前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とは、当該テンプル支持部を構成する前記シート材における表裏方向に貫通する貫通孔部で構成されていてもよい。
【0011】
かかる構成にあっては、前記前側テンプル挿通部及び前記後側テンプル挿通部としての前記貫通孔部に前記テンプル部が挿通されることで、前記シート材が撓んだ状態でテンプル部に貫かれて支持されることとなり、シート材が元の平面状態に戻ろうとする復元力が作用してテンプル部に貫通孔部の孔縁部が強く圧接し、もって顔面被覆具が安定して保持される。
【0012】
また、前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とは、当該テンプル支持部を構成する前記シート材に設けられた切込み線部で構成されていてもよい。
【0013】
かかる構成にあっては、前記前側テンプル挿通部及び前記後側テンプル挿通部としての前記切込み線部に前記テンプル部を挿通した際には、切込み線部に隣接する部位がテンプル部を挟み込むようにして圧接するため、これによって顔面被覆具が安定して保持される。
【0014】
なお、本発明は、前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とのうち少なくとも一方が、前記貫通孔部で構成されたものや、前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部とのうち少なくとも一方が、前記切込み線部で構成されたものを積極的に排除するものではない。
【0015】
さらに、前記切込み線部の端部に、前記テンプル支持部を構成する前記シート材の表裏方向に貫通する貫通孔部が当該切込み線部と連通状に設けられてなる構成が提案される。
【0016】
かかる構成にあっては、切込み線部に挿通されたテンプル部が、当該切込み線部に連続する前記貫通孔部に挿通されることも許容されるため、安定した保持性が得られることとなる。したがって、例えば、装着対象となる眼鏡のテンプル部の太さが様々であっても、適宜、切込み線部内で位置変更させたり貫通孔部にも挿通させたりして使用することができる。具体的には、テンプル部が細い場合には、当該テンプル部を前記貫通孔部に挿通して使用し、テンプル部が太い場合には、当該テンプル部を、貫通孔部には挿通させずに切込み線部に挿通して使用することができる。
【0017】
また、前記前側テンプル挿通部と前記後側テンプル挿通部との間には、さらに前記テンプル部が挿通される中間テンプル挿通部が設けられてなる構成が提案される。
【0018】
かかる構成とすることにより、テンプル部に対して保持される箇所が増えるため、保持性がより一層向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる顔面被覆具によれば、安定して被覆本体部を保持できる。しかも、部品点数が少ないため、保管しやすく簡素で低廉な顔面被覆具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】眼鏡に装着した顔面被覆具(マウスシールド)の外観斜視図である。
図2】(a)は実施例にかかる顔面被覆具の全体を示す平面図であり、(b)はテンプル支持部の拡大図である。
図3】(a)は細いテンプル部の眼鏡に取り付けた顔面被覆具の使用状態を示す側面図であり、(b)は太いテンプル部の眼鏡に取り付けた顔面被覆具の使用状態を示す側面図である。
図4】別例にかかる顔面被覆具を眼鏡に取り付けた状態を示す側面図である。
図5】別例にかかる顔面被覆具(フェイスシールド)の全体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。尚、本発明は、以下の実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。また、本発明の実施例は、プラスチック製の薄厚クリアシート材で構成されていることから、シート同士が重ね合わされた部位については説明を簡便とするため、図示省略している。また、以下の説明では、上下、前後、左右を規定して説明するが、かかる方向は、原則、使用状態における上下、前後、左右方向に基づいて説明している。
【0022】
〔実施例1〕
図1等に示すマウスシールドとしての顔面被覆具Xは、主に鼻部及び口部を被覆する機能を有するいわゆるマスクの代用品として使用される。すなわち、図1に示すように、使用状態で使用者の顔面の前方に位置する被覆本体部10が、使用者の鼻部及び口部を被覆するように配される。なお、被覆される部位は、鼻部及び口部に限定されるものではない。
【0023】
顔面被覆具Xは、図2(a)に示すようにプラスチック製で平板状の薄厚シート材から切り出されてなり、左右対称形状の外観を有している。すなわち、中央に被覆本体部10を備え、被覆本体部10の左右の端部には各々テンプル支持部20が設けられている。
【0024】
また、左右のテンプル支持部20にはそれぞれ前側貫通孔部31が形成されている。ここで、前側貫通孔部31は、テンプル支持部20のなかで被覆本体部10寄り位置に配置されており、シート材の表裏方向に貫通する丸孔形状とされている。
【0025】
また、テンプル支持部20には、前側貫通孔部31に連通するように前側切込み線部32が設けられている。ここで、前側切込み線部32は、線状にシートを切り込んで形成されるものであり、本実施例では平面視で縦長のコの字形とされている。なお、本実施例では、前側貫通孔部31及び前側切込み線部32によって前側テンプル挿通部30が構成されている。
【0026】
さらに、前側貫通孔部31よりも後方位置、すなわち前側貫通孔部31を基準としてさらに被覆本体部10から離れる位置には、シート材の表裏方向に貫通する丸孔状の後側貫通孔部41が形成されている。
【0027】
加えて、テンプル支持部20には、後側貫通孔部41に連通するように後側切込み線部42が設けられている。ここで、後側切込み線部42の形状は、平面視で縦長のコの字形であり、前側切込み線部32とは左右対称とされている。なお、本実施例では、後側貫通孔部41及び後側切込み線部42によって後側テンプル挿通部40が構成されている。
【0028】
また、前側テンプル挿通部30と後側テンプル挿通部40との間には、縦長で貫通孔形状の中間テンプル挿通部50が設けられている。
【0029】
このように、顔面被覆具Xは一枚のシート材を所定形状に切り取るだけで製造することができ、大量生産が非常に容易である。
【0030】
これまでに述べた顔面被覆具Xには、眼鏡に取り付けられて使用されるところ、サイズの異なるテンプル挿通部30,40の顔面被覆具Xをあらかじめ複数準備することなく、一種の顔面被覆具Xが、様々な眼鏡のテンプル部の太さに応じて安定的に装着される。以下にその取り付け手順を説明する。
【0031】
まず、顔面被覆具Xを、太さが前側貫通孔部31及び後側貫通孔部41の孔径と略同じである細いテンプル部G11を有する眼鏡G1に取り付ける場合を説明する。
【0032】
図3(a)に示すように、まずテンプル部G11を顔面被覆具Xの内側(顔側)から外側に向けて前側貫通孔部31に挿通する。次に、テンプル部G11を顔面被覆具Xの外側から内側に向けて中間テンプル挿通部50に挿通する。さらに、テンプル部G11を顔面被覆具Xの内側から外側に向けて後側貫通孔部41に挿通し、そして、前後位置を適宜調整して、眼鏡G1に顔面被覆具Xを取り付ける。
【0033】
このとき、テンプル部G11の太さによってテンプル支持部20が撓んで湾曲するが、撓むことで生じるシート材の復元力により、切込み線部32,42に隣接する部位がテンプル部G11を両側から挟み込むこととなり、これによりテンプル部G11に対してテンプル支持部20が安定して支持されて、眼鏡G1に顔面被覆具Xが安定して保持される。しかも、テンプル部G11が前側テンプル挿通部30と後側テンプル挿通部40、及び中間テンプル挿通部50の3点で支持されるため、前後のバランスが良好に確保される利点もある。
【0034】
これに対し、顔面被覆具Xを、太さが前側貫通孔部31及び後側貫通孔部41の孔径より若干太いテンプル部G21を有する眼鏡G2に取り付ける場合を説明する。
【0035】
図3(b)に示すように、まずテンプル部G21を顔面被覆具Xの内側(顔側)から外側に向けて前側切込み線部32に挿通する。次に、テンプル部G21を顔面被覆具Xの外側から内側に向けて中間テンプル挿通部50に挿通する。さらに、テンプル部G21を顔面被覆具Xの内側から外側に向けて後側切込み線部42に挿通し、そして、前後位置を適宜調整して、眼鏡G2に顔面被覆具Xを取り付ける。
【0036】
このときもまた、上述した場合と同様に、テンプル部G21の太さによってテンプル支持部20が撓んで湾曲し、撓むことで生じるシート材の復元力により、切込み線部32,42に隣接する部位がテンプル部G21を両側から挟み込むこととなる。これにより、テンプル部G21に対してテンプル支持部20が安定し支持されることとなる。
【0037】
また、顔面被覆具Xを、太さが前側切込み線部32及び後側切込み線部42の縦長さと略等しいテンプル部G31を有する眼鏡G3に取り付ける場合を説明する。
【0038】
図4に示すように、まずテンプル部G31を顔面被覆具Xの内側(顔側)から外側に向けて前側切込み線部32に挿通する。次いで、テンプル部G31を顔面被覆具Xの外側から内側に向けて後側切込み線部42に挿通する。そして、前後位置を適宜調整する。これによって眼鏡G3に顔面被覆具Xを取り付けることができる。
【0039】
この場合も上述した場合と同様に、好適に顔面被覆具Xが眼鏡G3に保持される。特に切込み線部32,42によって区画された舌片状の部位がテンプル部G31に圧接されるため、顔面被覆具Xが眼鏡G3に安定して保持されることとなる。
【0040】
このように、顔面被覆具Xは、使用者の耳等に引っ掛けるのではなく、眼鏡に取り付けるものであるため、使用者の皮膚に過度な負担をかけずに使用することができる。また、眼鏡と一緒に付け外しができる。
【0041】
〔実施例2〕
図5に示すように、顔面被覆具Yは、使用者の額部までも被覆可能な被覆本体部80を備えたフェイスシールドとして機能する。
【0042】
具体的には、中央に被覆本体部80を備え、当該被覆本体部80の両端にはテンプル支持部90が設けられている。そして、テンプル支持部90には、実施例1と同様に、前側テンプル挿通部30、後側テンプル挿通部40、及び中間テンプル挿通部50が設けられている。
【0043】
かかる構成とすることにより、使用者の顔部のほぼ全面を被覆することが可能となる。
【0044】
上記実施例1,2において各部の寸法形状は適宜自由に変更可能である。
【0045】
また、前側切込み線部32及び後側切込み線部42は、実施例の形状に限定されることはなく、例えば平面視で「く」の字形状等であってもよい。
【0046】
また、例えば前側切込み線部32及び後側切込み線部42の上側の位置、あるいは下側の位置に、それぞれ貫通孔部が形成されていても構わない。さらに、別のテンプル挿通部が追加されていても構わない。
【0047】
なお、上記実施例1においては、図1に示すように、眼鏡の下側に被覆本体部10が配されるが、被覆本体部10の向きを上下で逆にしていわゆる「お面」のように使用してもよい。すなわち、被覆本体部10を眼鏡の上側に位置させて、額部分に被覆本体部10を位置させてもよい。このような使用形態の場合には、被覆本体部10に種々の意匠を施して装飾性を高めてもよい。
【符号の説明】
【0048】
X,Y 顔面被覆具
10.80 被覆本体部
20,90 テンプル支持部
30 前側テンプル挿通部
31 前側貫通孔部
32 前側切込み線部
40 後側テンプル挿通部
41 後側貫通孔部
42 後側切込み線部
50 中間テンプル挿通部
G1,G2,G3 眼鏡
G11,G21、G31 テンプル部
図1
図2
図3
図4
図5