(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048767
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】脱水助剤及びその製造方法、並びに汚泥の脱水方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/147 20190101AFI20220318BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C02F11/147 ZAB
B01D21/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154769
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】廣芝 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】小幡 慶
(72)【発明者】
【氏名】楊 賀
【テーマコード(参考)】
4D015
4D059
【Fターム(参考)】
4D015BA11
4D015BA12
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4D059DB24
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4D059DB40
(57)【要約】
【課題】汚泥の含水率を低減する性能が優れた脱水助剤及びその製造方法、並びに汚泥の脱水方法の提供。
【解決手段】多糖類と、尿素とを含む脱水助剤、多糖類と、尿素と、高分子化合物と、水とを混練して混練物を得る混練工程と、前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して粒子を得る造粒工程と、前記粒子を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、前記解砕物を分級する分級工程と、を含む脱水助剤の製造方法、多糖類と、尿素と、水とを混練して混練物を得る混練工程と、前記混練物を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、前記解砕物を分級する分級工程と、を含む脱水助剤の製造方法、並びに前記脱水助剤を汚泥に添加する工程と、高分子凝集剤を汚泥に添加する工程とを含む汚泥の脱水方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類と、尿素とを含むことを特徴とする脱水助剤。
【請求項2】
前記多糖類が、セルロース、酢酸セルロース、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の脱水助剤。
【請求項3】
前記多糖類と前記尿素との合計質量を100質量部としたときに、前記多糖類は60質量部以上100質量部未満であり、前記尿素は0質量部超40質量部以下である請求項1から2のいずれかに記載の脱水助剤。
【請求項4】
更に高分子化合物を含み、粒子である請求項1から3のいずれかに記載の脱水助剤。
【請求項5】
前記高分子化合物が、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物、及び両性高分子化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項4に記載の脱水助剤。
【請求項6】
多糖類と、尿素と、高分子化合物と、水とを混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して粒子を得る造粒工程と、
前記粒子を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、
前記解砕物を分級する分級工程と、
を含むことを特徴とする脱水助剤の製造方法。
【請求項7】
多糖類と、尿素と、水とを混錬して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、
前記解砕物を分級する分級工程と、
を含むことを特徴とする脱水助剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の脱水助剤を汚泥に添加する工程と、
高分子凝集剤を汚泥に添加する工程とを含むことを特徴とする汚泥の脱水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水助剤及びその製造方法、並びに汚泥の脱水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等で種々の製品を製造する過程において、無機イオンとして金属イオンやフッ素イオン等の環境負荷物質を含む廃液が大量に発生しており、水浄化剤を用いた水浄化処理が行われている。そして、水浄化処理により発生する汚泥は多くの水分を含んでいるため、脱水処理した後、廃棄物として処分されている。
脱水汚泥の含水率が低いほど廃棄物処分量が少なくなり、処分費用が削減されるため、汚泥を高度に脱水処理することが望まれている。
【0003】
そこで、例えば、含水率が30~80重量%の繊維状物のビスコースレーヨンからなる汚泥用脱水助剤(例えば、特許文献1参照)、所定の流動電位値を有するパルプを含有する汚泥の脱水助剤(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0004】
しかし、前記提案の技術は、汚泥の含水率をより低減させるためには多量の脱水助剤を用いなければならならない等、十分に満足することができるものとはいえず、汚泥の含水率をより低減することができる技術の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-283225号公報
【特許文献2】特開2016-93777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、汚泥の含水率を低減する性能が優れた脱水助剤及びその製造方法、並びに汚泥の脱水方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、多糖類と、尿素とを含む脱水助剤を用いることで、汚泥からの水抜け性の向上と、汚泥の高密度化とを達成することができ、少量の添加でも汚泥の含水率を大幅に低減できることを見出した。
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 多糖類と、尿素とを含むことを特徴とする脱水助剤である。
<2> 前記多糖類が、セルロース、酢酸セルロース、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載の脱水助剤である。
<3> 前記多糖類と前記尿素との合計質量を100質量部としたときに、前記多糖類は60質量部以上100質量部未満であり、前記尿素は0質量部超40質量部以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の脱水助剤である。
<4> 更に高分子化合物を含み、粒子である前記<1>から<3>のいずれかに記載の脱水助剤である。
<5> 前記高分子化合物が、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物、及び両性高分子化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<4>に記載の脱水助剤である。
<6> 多糖類と、尿素と、高分子化合物と、水とを混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して粒子を得る造粒工程と、
前記粒子を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、
前記解砕物を分級する分級工程と、
を含むことを特徴とする脱水助剤の製造方法である。
<7> 多糖類と、尿素と、水とを混錬して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を乾燥させて乾燥物を得る乾燥工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る解砕工程と、
前記解砕物を分級する分級工程と、
を含むことを特徴とする脱水助剤の製造方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の脱水助剤を汚泥に添加する工程と、
高分子凝集剤を汚泥に添加する工程とを含むことを特徴とする汚泥の脱水方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、汚泥の含水率を低減する性能が優れた脱水助剤及びその製造方法、並びに汚泥の脱水方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(脱水助剤)
本発明の脱水助剤は、多糖類と、尿素とを少なくとも含み、必要に応じて更に高分子化合物などのその他の成分を含む。
前記脱水助剤の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、混合物の態様、粒子(以下、「造粒物」と称することがある。)の態様などが挙げられる。
【0011】
<多糖類>
前記多糖類とは、10個以上の単糖が結合することで構成されている炭水化物である。前記多糖類は、疎水性であってもよいし、親水性であってもよいが、汚泥の含水率をより低減することができる点で、疎水性であることが好ましい。
前記多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セルロース類、麻などが挙げられる。前記多糖類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
前記セルロース類としては、天然の高分子であるセルロース又はその塩、該セルロースの誘導体又はその塩などが挙げられる。
前記セルロースは無水グルコースを繰返し単位とする高分子で、繰返し単位当たり3個の水酸基を持っている。
前記セルロースの誘導体としては、例えば、セルロースの水酸基が酸とエステル化したセルロースエステルなどが挙げられる。
エステル化度と重量平均分子量によってセルロースエステルの性質を調節することができる。
前記セルロースエステルとしては、例えば、酢酸セルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロースなどが挙げられる。
前記セルロース類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記セルロース類の重量平均分子量は、100,000以上が好ましく、150,000以上がより好ましい。重量平均分子量が高いほど、汚泥含水率を低減する効果を高くすることができる。
前記セルロース類の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによる測定値を標準ポリメタクリル酸メチルの分子量に換算して得られるものである。
【0014】
前記麻としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長朔黄麻、モロヘイヤ、亜麻、苧麻、大麻、洋麻などが挙げられる。これらの中でも、汚泥の含水率をより低減することができる点で、長朔黄麻が好ましい。
前記麻は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記多糖類の中でも、汚泥の含水率をより低減することができる点で、セルロース、酢酸セルロース、及び麻からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0016】
前記多糖類は、粉末乃至粒子状であることが好ましい。
前記多糖類の粒径は、1,500μm以下が好ましく、1,190μm以下がより好ましく、710μm以下が更に好ましく、355μm以下が特に好ましい。多糖類の粒径が1,500μm以下であると、汚泥の含水率をより低減することができる。
ここで、多糖類の粒径は、例えば、所定の目開きのJIS Z8801-1(2006)及びISO3310-1:2000に定める金属製網ふるいを用いて分級されたセルロース類の粒径を意味する。
【0017】
前記多糖類は、市販品を用いてもよいし、公知の方法により調製したものを用いてもよい。
【0018】
<尿素>
前記尿素は、市販品を用いてもよいし、公知の方法により調製したものを用いてもよい。
【0019】
前記多糖類の脱水助剤における含有量と、前記尿素の脱水助剤における含有量との関係としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記多糖類と前記尿素との合計質量を100質量部としたときに、前記多糖類は60質量部以上100質量部未満であり、前記尿素は0質量部超40質量部以下であることが好ましく、前記多糖類は60質量部以上90質量部以下であり、前記尿素は10質量部以上40質量部以下であることがより好ましい。前記好ましい範囲内であると、汚泥の含水率をより低減することができる点で、有利である。なお、なお、前記質量は、乾燥質量をもとに算出することができる。
【0020】
前記多糖類と前記尿素の脱水助剤における合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%超100質量%以下が好ましく、60質量%以上99質量%以下がより好ましく、85質量%以上95質量%以下が特に好ましい。前記好ましい範囲内であると、汚泥の含水率をより低減することができる点で、有利である。
前記脱水助剤は、前記多糖類と前記尿素のみからなるものであってもよい。
【0021】
<高分子化合物>
前記脱水助剤は、更に高分子化合物を含有させてもよい。前記高分子化合物は、前記粒子である脱水助剤において、つなぎ材として機能する。
前記高分子化合物としては、前記脱水助剤を粒子とすることができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ノニオン性高分子化合物、及び両性高分子化合物からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記高分子化合物の具体例としては、アクリルアミドを含むポリマー(単に、「ポリアクリルアミド」、「PAM」と称することがある。)、ポリアミン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、アクリルアミドを含むポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
前記高分子化合物は、イオン構造を有していてもよい。イオンがカチオンの場合は、例えば、アンモニウム塩、スルホニム塩などが挙げられる。イオンがアニオンの場合には、例えば、カルボン酸塩などが挙げられる。
前記高分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記高分子化合物は、市販品を用いてもよいし、公知の方法により調製したものを用いてもよい。
前記市販品としては、例えば、ポリアクリルアミドとしては、Flopam AN 905、Flopam AN 926、Flopam AN 956(いずれも、株式会社エス・エヌ・エフ製);アコフロック A-100、アコフロックA-150(いずれも、MTアクアポリマー株式会社製)などが挙げられ、ポリアクリル酸ナトリウムとしては、アコフロック A-190(MTアクアポリマー株式会社製)、PA-331(栗田工業株式会社製)などが挙げられる。
【0024】
前記高分子化合物の脱水助剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。前記高分子化合物の量が少ないと、脱水助剤における多糖類や尿素の量を多くすることができる点で、有利である。
【0025】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、一般に汚泥処理に使用されている成分などを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、消臭剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の脱水助剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
前記脱水助剤は、例えば、汚泥の脱水助剤として好適に用いることができる。
【0027】
(脱水助剤の製造方法)
〔第1の態様〕
本発明の脱水助剤の製造方法の第1の態様は、混練工程と、造粒工程と、乾燥工程と、解砕工程と、分級工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0028】
<混練工程>
前記第1の態様における混練工程は、多糖類と、尿素と、高分子化合物と、水と、必要に応じて更にその他の成分とを混練して混練物を得る工程である。
【0029】
前記混練の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、多糖類と、尿素と、高分子化合物と、水と、必要に応じて更にその他の成分とを一度に混合して得られる混合物を練って混練物を得てもよいし、多糖類と、尿素と、高分子化合物と、必要に応じて更にその他の成分とを混合して混合物を得た後に、前記混合物に水を加え、その後、水を加えた前記混合物を練って混練物を得てもよい。
前記多糖類は、粉砕物であることが好ましい。
【0030】
前記混練工程における水の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多糖類と、尿素と、高分子化合物との合計質量に対する水の使用量として、20~300質量%などが挙げられる。
【0031】
前記混練は装置を用いて行ってもよい。前記混練に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラネタリーミキサー等の縦型ミキサーなどが挙げられる。前記ミキサーの回転数、時間などの条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
<造粒工程>
前記第1の態様における造粒工程は、前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して粒子(造粒物)を得る工程である。
【0033】
前記混練物を造粒する方法としては、押出造粒方式、攪拌造粒方式、シート化造粒方式などが挙げられるところ、多糖類と、尿素と、高分子化合物とを含有する混練物を造粒する際には、押出造粒方式又は攪拌造粒方式の方が、シート化造粒方式に比べ歩留まり率が高く、高生産性となる点で、好ましい。具体的には、押出造粒方式又は攪拌造粒方式の方が、シート化造粒方式に比べ分級の際のロスが少ない。更には、攪拌造粒方式よりも押出造粒方式の方が、分級の際のロスが少なく、攪拌造粒方式よりも押出造粒方式の方が高生産性である。
【0034】
ここで、押出造粒とは、前記混練物の湿塊を小孔から円柱状に押し出して造粒する方法である。
攪拌造粒とは、前記混練物を容器に入れ攪拌しながら混練物中の粒子を凝集させて造粒する方法である。
シート化造粒とは、乾式造粒の一種で、粉体を2つのローラ間で押し潰して原材料をシート状にした後に粉砕して造粒する方法である。
【0035】
前記押出造粒又は攪拌造粒は、公知の手段を適宜選択して行うことができる。前記押出造粒又は攪拌造粒における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0036】
<乾燥工程>
前記第1の態様における乾燥工程は、前記粒子を乾燥させて乾燥物を得る工程である。
【0037】
前記乾燥は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、振動流動層乾燥機、熱風乾燥機などが挙げられる。前記乾燥における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0038】
前記乾燥物における水分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%以下であることが好ましい。
【0039】
前記乾燥工程を行うことで、後述の解砕工程において、解砕がしやすくなり、高生産性となる。
【0040】
<解砕工程>
前記第1の態様における解砕工程は、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程である。
【0041】
前記解砕は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、解砕機などが挙げられる。前記解砕における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
前記解砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0043】
<分級工程>
前記第1の態様における分級工程は、前記解砕物を分級する工程である。
【0044】
前記分級は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、篩を用いた篩い分けや、振動式分級機、重力分級機、遠心分級機(サイクロン式分級機)、慣性分級機などが挙げられる。前記分級における条件としては、特に制限はなく、脱水助剤の粒子径に応じて適宜選択することができる。
【0045】
<その他の工程>
前記脱水助剤の製造方法の第1の態様におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、原料に用いる多糖類を粉砕し、粉砕物とする粉砕工程などが挙げられる。
【0046】
〔第2の態様〕
また、本発明の脱水助剤の製造方法の第2の態様は、混練工程と、乾燥工程と、解砕工程と、分級工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0047】
<混練工程>
前記第2の態様における混練工程は、多糖類と、尿素と、水と、必要に応じて更にその他の成分とを混練して混練物を得る工程であり、前記第1の態様における混練工程において、高分子化合物を用いない以外は、同様にして行うことができる。
前記第2の態様における混練工程によれば、前記尿素を水に溶解させ、前記多糖類の表面がコーティングされる。
【0048】
<乾燥工程>
前記第2の態様における乾燥工程は、前記混練物を乾燥させて乾燥物を得る工程であり、前記第1の態様における乾燥工程と同様にして行うことができる。
【0049】
<解砕工程>
前記第2の態様における解砕工程は、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程であり、前記第1の態様における解砕工程と同様にして行うことができる。
【0050】
<分級工程>
前記第2の態様における分級工程は、前記解砕物を分級する工程であり、前記第1の態様における分級工程と同様にして行うことができる。
【0051】
<その他の工程>
前記脱水助剤の製造方法の第2の態様におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第1の態様におけるその他の工程と同様の工程が挙げられる。
【0052】
(汚泥の脱水方法)
本発明の汚泥の脱水方法は、脱水助剤添加工程と、高分子凝集剤添加工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0053】
前記汚泥としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系不要物を含有する排水の浄化処理工程において発生した汚泥などが挙げられる。
【0054】
前記無機系不要物としては、例えば、ニッケル、フッ素、鉄、銅、亜鉛、クロム、ヒ素、カドミウム、錫、鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記汚泥の一例である無機系不要物を含有する排水の浄化処理工程において発生する汚泥は、例えば、下記のようにして生じる。
無機系不要物を含有する排水に対し、前記無機系不要物における無機イオンを、無機凝集剤の添加などにより不溶化し、懸濁物質(Suspended solid、以下「SS」と称することがある。)であるミクロフロックを形成させ、前記ミクロフロックを凝集沈降させることにより上澄みと汚泥に沈降分離させ、その沈降分離物から前記汚泥を分離する。
【0056】
<脱水助剤添加工程>
前記脱水助剤添加工程は、本発明の脱水助剤を汚泥に添加する工程である。
前記脱水助剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、汚泥中の懸濁物質に対して絶乾重量で、0.1~30重量%が好ましく、1~25重量%がより好ましく、10~20重量%が特に好ましい。
【0057】
前記脱水助剤の汚泥への添加方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1回で全量を添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。また、常時又は間欠的に汚泥の流入、引抜きがある場合には、汚泥の流入量、引抜き量を考慮して、前記脱水助剤を追加添加すればよい。
【0058】
前記脱水助剤を後述する高分子凝集剤よりも先に汚泥に添加することで、汚泥中に均一に分散させることができる。
【0059】
<高分子凝集剤添加工程>
前記高分子凝集剤添加工程は、高分子凝集剤を汚泥に添加する工程である。前記高分子凝集剤添加工程は、前記脱水助剤添加工程の後に行う。前記高分子凝集剤の添加により凝集が促進される。
【0060】
前記高分子凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、排水中の前記無機系不要物を除去する効果を示すものが好ましく使用でき、例えば、アニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、及び両性高分子凝集剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
前記高分子凝集剤の具体例としては、アクリルアミドを含むポリマー(単に、「ポリアクリルアミド」、「PAM」と称することがある。)、ポリアミン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム塩などが挙げられる。これらの中でも、アクリルアミドを含むポリマー、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
前記高分子凝集剤は、イオン構造を有していてもよい。イオンがカチオンの場合は、例えば、アンモニウム塩、スルホニム塩などが挙げられる。イオンがアニオンの場合には、例えば、カルボン酸塩などが挙げられる。
前記高分子凝集剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子凝集剤の中でも、カチオン性高分子凝集剤が好ましい。
【0062】
前記高分子凝集剤は、市販品を用いてもよいし、公知の方法により調製したものを用いてもよい。
前記市販品としては、例えば、ポリアクリルアミドとしては、Flopam AN 905、Flopam AN 926、Flopam AN 956(いずれも、株式会社エス・エヌ・エフ製);アコフロック A-100、アコフロックA-150(いずれも、MTアクアポリマー株式会社製)などが挙げられ、ポリアクリル酸ナトリウムとしては、アコフロック A-190(MTアクアポリマー株式会社製)、PA-331(栗田工業株式会社製)などが挙げられる。
【0063】
前記高分子凝集剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、汚泥中の懸濁物質に対して絶乾重量で0.1~5重量%添加するなどが挙げられる。
【0064】
前記高分子凝集剤の汚泥への添加方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1回で全量を添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。また、常時又は間欠的に汚泥の流入、引抜きがある場合には、汚泥の流入量、引抜き量を考慮して、前記高分子凝集剤を追加添加すればよい。
【0065】
前記脱水助剤及び前記高分子凝集剤が添加された汚泥の脱水処理の方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して実施することができ、例えば、加圧脱水機、真空脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機などを用いて実施することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記脱水処理により、脱水汚泥(「汚泥脱水物」と称することもある。)が得られる。
【0066】
<その他の工程>
前記汚泥の脱水方法におけるその他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【実施例0067】
以下、本発明の実施例等を説明するが、本発明は、これらの実施例等に何ら限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
多糖類として酢酸セルロース(粒径355μm以下、重量平均分子量(Mw)184,000、関東化学株式会社製)90質量部と、尿素(Urea 特級、富士フィルム和光純薬社製)10質量部と、水50質量部とを混練し、混練物を得た。
前記混練物を、乾燥機(コンベア型乾燥機、ゴダイエンジニアリング社製)を用いて乾燥(120℃、30分)を行い、乾燥物を得た。
前記乾燥物を、解砕機(オリエントミル、オリエント機械社製)を用いて解砕(1,000rpm、スクリーン径φ5mm)を行い、解砕物を得た。
前記解砕物を、分級機(振動式分級機、ダルトン社製)を用いて分級(篩目開き:850μm)を行い、脱水助剤を得た。
なお、酢酸セルロースの粒径が355μm以下であるとは、目開き355μmのJIS Z8801-1(2006)及びISO3310-1:2000に定める金属製網ふるいを通過した酢酸セルロースの粒径を意味する。
【0069】
(実施例2)
多糖類として酢酸セルロース(実施例1と同じ物)85質量部と、尿素(実施例1と同じ物)と10質量部と、高分子化合物としてポリアクリルアミド(FO4190VHM、エス・エヌ・エフ社製)5質量部と、水150質量部とを混練し、混練物を得た。
前記混練物を、押出造粒機(バスケット式湿式造粒機、菊水製作所製)を用いて押出造粒(回転数:30rpm、スクリーン径φ0.8mm)を行い、造粒物(粒子)を得た。
前記粒子を、乾燥機(コンベア型乾燥機、ゴダイエンジニアリング社製)を用いて乾燥(120℃、30分)を行い、乾燥物を得た。
前記乾燥物を、解砕機(オリエントミル、オリエント機械社製)を用いて解砕(1,000rpm、スクリーン径φ5mm)を行い、解砕物を得た。
前記解砕物を、分級機(振動式分級機、ダルトン社製)を用いて分級(篩目開き:850μm)を行い、脱水助剤を得た。
【0070】
(実施例3)
実施例1において、酢酸セルロースと尿素との質量比を80:20に変えた以外は、実施例1と同様にして、脱水助剤を得た。
【0071】
(実施例4)
実施例1において、酢酸セルロースと尿素との質量比を60:40に変えた以外は、実施例1と同様にして、脱水助剤を得た。
【0072】
(実施例5)
実施例2において、酢酸セルロースの量を85質量部から60質量部に変え、また、尿素の量を10質量部から35質量部に変えた以外は、実施例2と同様にして、脱水助剤を得た。
【0073】
(実施例6)
実施例1において、酢酸セルロースと尿素との質量比を40:60に変えた以外は、実施例1と同様にして、脱水助剤を得た。
【0074】
(実施例7)
実施例1において、酢酸セルロースと尿素との質量比を20:80に変えた以外は、実施例1と同様にして、脱水助剤を得た。
【0075】
(比較例2)
酢酸セルロース(実施例1と同じ物)を脱水助剤とした。
【0076】
(比較例3)
酢酸セルロース(実施例1と同じ物)を脱水助剤とした。
【0077】
(比較例4)
酢酸セルロース(実施例1と同じ物)を脱水助剤とした。
【0078】
(比較例5)
尿素(実施例1と同じ物)を脱水助剤とした。
【0079】
(比較例6)
尿素(実施例1と同じ物)を脱水助剤とした。
【0080】
(試験例1)
下水処理場から発生した消化汚泥スラリー25g(固形分濃度1.69%、固形分量0.423g)に、下記の表1に記載の量の実施例1~7及び比較例2~6のいずれかの脱水助剤を添加して、汚泥スラリーを調製した。
前記汚泥スラリー25mLを遠沈管に入れ、高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド:FO4190VHM、エス・エヌ・エフ社製)を、懸濁物質(SS)に対して絶乾重量で0.25重量%添加した後、遠沈管間の移し替えを10回行い凝集させた。
凝集した汚泥を遠心分離(1,500G、5分間)した後に上澄みを取り除き、ろ紙上に汚泥を移し、更に遠心脱水(2,500G、10分間)を行い、脱水汚泥を得た。
また、脱水助剤を用いなかった以外は同様にして処理したものを比較例1とした。
【0081】
前記脱水汚泥の含水率(以下、「汚泥含水率」と称することがある。)を以下のようにして求めた。
前記脱水汚泥の重量を測定し、脱水汚泥の重量Aを求めた。続いて、105℃のオーブンで絶乾状態(水分量0.05%以下)にした脱水汚泥の重量Bを測定した。ここで、水分量の確認には加熱乾燥式水分計(MX-50、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いた。これらより、脱水汚泥に含まれる水分の重量(A-B)を脱水汚泥の重量(A)で除し百分率とすることで、汚泥含水率を求めた。結果を下記の表1に示す。
なお、汚泥含水率は精度よく測定することができた。
【0082】
【表1】
表1中、「添加量」は、脱水助剤の絶乾重量とした場合の量を表し、「添加率%対SS」は、懸濁物質(SS)に対する、脱水助剤又はカチオン性高分子凝集剤の絶乾重量とした場合の添加割合を表す。
【0083】
表1に示されたように、本発明の脱水助剤を用いた場合、汚泥含水率が大幅に低減されていることが確認された。