(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048779
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ロードセルユニット及び計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 3/14 20060101AFI20220318BHJP
G01G 11/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G01G3/14
G01G11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154793
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】武市 真治
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅喜
(57)【要約】
【課題】ロードセル及び駆動部において所望のサイズを維持しつつ、装置全体の大型化を抑えることができるロードセルユニット及び計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置100のロードセルユニット1は、第1ブロック部21及び第2ブロック部22と上ビーム部23及び下ビーム部24とを有し、これらの間に内部空間Sを形成する平行四辺形型の起歪体20と、上ビーム部23又は下ビーム部24に取り付けられ、起歪体20の変形に応じて信号を出力する歪みゲージ29と、起歪体20の内部空間Sに配置されると共に、第1ブロック部21、第2ブロック部22、上ビーム部23及び下ビーム部24のそれぞれとの間に間隙G1~G4が形成されたモータ30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に離間するように配置された第1ブロック部及び第2ブロック部と、前記第1ブロック部の上端と前記第2ブロック部の上端とを接続する上ビーム部と、前記第1ブロック部の下端と前記第2ブロック部の下端とを接続する下ビーム部と、を有し、前記第1ブロック部、前記第2ブロック部、前記上ビーム部及び前記下ビーム部の間に内部空間を形成する平行四辺形型の起歪体と、
前記上ビーム部又は前記下ビーム部に取り付けられ、前記起歪体の変形に応じて信号を出力する出力部と、
前記起歪体の前記内部空間に配置されると共に、前記第1ブロック部、前記第2ブロック部、前記上ビーム部及び前記下ビーム部のそれぞれとの間に間隙が形成された駆動部と、
を備える、ロードセルユニット。
【請求項2】
前記駆動部は、搬送面上に載置された物品を搬送する搬送部を駆動し、
前記第1ブロック部又は前記第2ブロック部のうち前記起歪体の自由端を含む方に接続され、前記搬送部を固定的に支持する第1ブラケットをさらに備える、請求項1に記載のロードセルユニット。
【請求項3】
前記第1ブロック部又は前記第2ブロック部のうち前記起歪体の自由端を含む方に接続され、前記駆動部を固定的に支持する第2ブラケットをさらに備える、請求項1又は2に記載のロードセルユニット。
【請求項4】
前記上ビーム部は、前記水平方向に並ぶように形成された2つの上薄肉部を含み、
前記下ビーム部は、前記水平方向に並ぶように形成されて、前記2つの上薄肉部と上下方向において向かい合う2つの下薄肉部を含み、
前記内部空間は、前記上薄肉部と前記下薄肉部との間に形成された中央空間と、前記中央空間から前記第1ブロック部及び前記第2ブロック部の少なくとも一方に向けて前記水平方向に張り出す拡張空間とからなり、
前記駆動部は、前記中央空間と前記拡張空間とにわたって配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項5】
前記内部空間の前記拡張空間は、前記中央空間から前記第1ブロック部に向けて前記水平方向に張り出す第1拡張空間と、前記中央空間から前記第2ブロック部に向けて前記水平方向に張り出す第2拡張空間と、を含み、
前記駆動部は、前記中央空間と前記第1拡張空間及び前記第2拡張空間の両方とにわたって配置されている、請求項4に記載のロードセルユニット。
【請求項6】
前記起歪体の前記内部空間に面する内周面の少なくとも一部には、前記駆動部で発生した熱を前記起歪体に均一化して伝達させる伝熱量均一化手段が設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のロードセルユニット。
【請求項7】
前記伝熱量均一化手段は、前記上ビーム部の下面に取り付けられた上断熱材を含む、請求項6に記載のロードセルユニット。
【請求項8】
前記伝熱量均一化手段は、前記第1ブロック部又は前記第2ブロック部のうち前記起歪体の自由端を含む方の内側面に取り付けられた横断熱材をさらに含む、請求項6又は7に記載のロードセルユニット。
【請求項9】
物品を計量するための計量装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のロードセルユニットと、
前記物品を搬送面上に載置して搬送する搬送部と、
前記ロードセルユニット及び前記搬送部の全体を設置面に対して支持する脚部と、を備え、
前記搬送部及び前記ロードセルユニットの前記駆動部が、前記ロードセルユニットの前記第1ブロック部及び前記第2ブロック部のうち前記起歪体の自由端を含む方によって支持され、
前記ロードセルユニットの前記第1ブロック部及び前記第2ブロック部のうち前記起歪体の固定端を含む方が、前記脚部によって支持され、
前記ロードセルユニットの前記駆動部は、前記搬送部を駆動する、計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロードセルユニット及び計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベア上を搬送される被計量物の計量を行うロードセル及び計量装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された計量装置では、ロードセルの両端に、床面につながる固定端と、コンベア側につながる自由端とが設けられている。固定端に隣接する位置に、コンベアを駆動させる駆動モータが設けられている。駆動モータは、固定端に対して非接触の状態に設置され、アーム部材を介して、自由端側に連結されている。特許文献2に記載された計量装置では、台座の支持フレーム上にロードセルが固定され、搬送ベルトを駆動させるモータは、ロードセルの上方であって、ロードセルと搬送ベルトとの間に配置されている。(特許文献3に記載された計量装置では、搬送機構と、搬送機構を駆動する駆動モータとが上下に配置され、これらの間にロードセルが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-101462号公報
【特許文献2】特開2017-167139号公報
【特許文献3】特開2002-39845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の計量装置では、ロードセル又はモータ(あるいはその両方)のサイズに関して、制約が生じる傾向にある。例えば、特許文献1に記載された計量装置では、ロードセルとモータがコンベアの搬送方向に並べられるため、コンベアが短い場合には、ロードセル及びモータのサイズを小さくせざるを得ない。また特許文献2,3に記載された計量装置のように、ロードセルとモータを上下に配置した場合にも、空間的な制約から、ロードセル及びモータのサイズを小さくせざるを得ない。
【0005】
本開示は、ロードセル及び駆動部において所望のサイズを維持しつつ、装置全体の大型化を抑えることができるロードセルユニット及び計量装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るロードセルユニットは、水平方向に離間するように配置された第1ブロック部及び第2ブロック部と、第1ブロック部の上端と第2ブロック部の上端とを接続する上ビーム部と、第1ブロック部の下端と第2ブロック部の下端とを接続する下ビーム部と、を有し、第1ブロック部、第2ブロック部、上ビーム部及び下ビーム部の間に内部空間を形成する平行四辺形型の起歪体と、上ビーム部又は下ビーム部に取り付けられ、起歪体の変形に応じて信号を出力する出力部と、起歪体の内部空間に配置されると共に、第1ブロック部、第2ブロック部、上ビーム部及び下ビーム部のそれぞれとの間に間隙が形成された駆動部と、を備える。
【0007】
このロードセルユニットによれば、駆動部は、起歪体の内部空間に配置され、駆動部と起歪体の各部すなわち第1ブロック部、第2ブロック部、上ビーム部及び下ビーム部のそれぞれとの間には、間隙が形成される。この構成によれば、起歪体の内部空間が、駆動部を設置するための空間として活用される。したがって、駆動部と起歪体とを別々に配置する場合と比較して、所定の容積の中で、ロードセル及び駆動部において、所望のサイズを維持する(確保する)ことができる。また、起歪体に駆動部が内包されるので、起歪体のサイズが、ロードセルユニットによって占められる空間を決める。起歪体は、駆動部と起歪体とを別々に配置する場合におけるこれらの合計の容積よりも、小型化され得る。したがって、装置全体の大型化を抑えることができる。
【0008】
駆動部は、搬送面上に載置された物品を搬送する搬送部を駆動し、ロードセルユニットが、第1ブロック部又は第2ブロック部のうち起歪体の自由端を含む方に接続され、搬送部を固定的に支持する第1ブラケットをさらに備えてもよい。この構成によれば、起歪体の内部空間に配置した駆動部により、搬送部を駆動させることができる。
【0009】
ロードセルユニットが、第1ブロック部又は第2ブロック部のうち起歪体の自由端を含む方に接続され、駆動部を固定的に支持する第2ブラケットをさらに備えてもよい。この構成によれば、駆動部が計量に直接的な影響を与えないように、駆動部を設置することができる。この場合、起歪体の大型化を抑えつつ、限られた内部空間内に所望のサイズの駆動部を配置することができる。
【0010】
上ビーム部は、水平方向に並ぶように形成された2つの上薄肉部を含み、下ビーム部は、水平方向に並ぶように形成されて、2つの上薄肉部と上下方向において向かい合う2つの下薄肉部を含み、内部空間は、上薄肉部と下薄肉部との間に形成された中央空間と、中央空間から第1ブロック部及び第2ブロック部の少なくとも一方に向けて水平方向に張り出す拡張空間とからなり、駆動部は、中央空間と拡張空間とにわたって配置されていてもよい。この場合、起歪体の大型化を抑えつつ、限られた内部空間内に所望のサイズの駆動部を配置することができる。
【0011】
内部空間の拡張空間は、中央空間から第1ブロック部に向けて水平方向に張り出す第1拡張空間と、中央空間から第2ブロック部に向けて水平方向に張り出す第2拡張空間と、を含み、駆動部は、中央空間と第1拡張空間及び第2拡張空間の両方とにわたって配置されていてもよい。この場合、起歪体の大型化を抑えつつ、限られた内部空間内に所望のサイズの駆動部を配置することができる。
【0012】
起歪体の内部空間に面する内周面の少なくとも一部には、駆動部で発生した熱を起歪体に均一化して伝達させる伝熱量均一化手段が設けられていてもよい。この構成によれば、伝熱量均一化手段によって、駆動部で発生した熱が起歪体に均一化されて伝達される。よって、熱が起歪体及び出力部に与える影響を抑えることができる。駆動部が内部空間に配置されている場合でも、駆動部が計量に与える影響を抑えることができる。
【0013】
伝熱量均一化手段は、上ビーム部の下面に取り付けられた上断熱材を含んでもよい。この構成によれば、上断熱材によって、駆動部により温められて上昇する空気から受ける熱の影響を抑えることができる。その結果、計量精度を悪化させることがない。
【0014】
伝熱量均一化手段は、第1ブロック部又は第2ブロック部のうち起歪体の自由端を含む方の内側面に取り付けられた横断熱材をさらに含んでもよい。起歪体の自由端を含むブロック部には、駆動部からブラケットを介して熱が流入し得る。横断熱材によってそのブロック部における温度の上昇を防ぐことで、起歪体に対する熱の影響を抑えることができる。その結果、計量精度を悪化させることがない。
【0015】
本開示の別の態様として、物品を計量するための計量装置であって、上記したいずれかのロードセルユニットと、物品を搬送面上に載置して搬送する搬送部と、ロードセルユニット及び搬送部の全体を設置面に対して支持する脚部と、を備え、搬送部及びロードセルユニットの駆動部が、ロードセルユニットの第1ブロック部及び第2ブロック部のうち起歪体の自由端を含む方によって支持され、ロードセルユニットの第1ブロック部及び第2ブロック部のうち起歪体の固定端を含む方が、脚部によって支持され、ロードセルユニットの駆動部は、搬送部を駆動する、計量装置が提供されてもよい。この計量装置によれば、上述したロードセルユニットにおける大型化抑制効果が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ロードセル及び駆動部において所望のサイズを維持しつつ、装置全体の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る計量装置を示す正面図である。
【
図4】
図4(a)は従来の計量装置を示す平面図、
図4(b)は
図4(a)の計量装置の正面図である。
【
図5】
図5(a)は従来の別の計量装置を示す平面図、
図5(b)は
図5(a)の計量装置の正面図である。
【
図6】他の実施形態に係る計量装置のロードセルの第1構成例を示す断面図である。
【
図7】他の実施形態に係る計量装置のロードセルの第2構成例を示す断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る計量装置のロードセルの第3構成例を示す断面図である。
【
図9】ロードセルユニットにおける起歪体の変形例と駆動部の配置を示す図である。
【
図10】ロードセルユニットにおける起歪体の他の変形例と駆動部の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明において、「上流」及び「下流」との語は、被計量物(物品)Xの搬送方向を基準として用いられる。
【0019】
まず、
図1を参照して、本実施形態の計量装置100の概略構成について説明する。
図1に示されるように、計量装置100は、搬送面5a上に載置されて搬送される被計量物Xを計量するための装置である。計量装置100は、例えば水平な所定方向D(
図1に示される左から右へと向かう方向)に、被計量物Xを搬送する。すなわち所定方向Dは、搬送コンベア(搬送部)4における搬送方向である。計量装置100は、例えば重量チェッカに組み込まれる。1台のみの計量装置100が設けられてもよいし、複数台の計量装置100が設けられてもよい。複数台の計量装置100が設けられる場合、複数の計量装置100が、所定方向Dに直交する水平な方向(搬送ベルト5の幅方向)に並設されてもよい(
図2参照)。重量チェッカは、計量装置100の他に、例えば、取込みコンベア、操作パネル、及び振分装置等(いずれも図示せず)を備える。取込みコンベアは、計量装置100の上流側に設置される。振分装置は、計量装置100の下流側に設置される。取込みコンベアの上流側には、例えば製袋包装装置等の商品供給装置(図示せず)が設置され、商品供給装置から重量チェッカへと、被計量物Xが順次供給される。
【0020】
計量装置100は、重量チェッカ内の適宜の位置に設けられた水平な設置面A上に設置される。計量装置100は、ロバーバル型(又はツービーム型)のロードセル2を有するロードセルユニット1と、ロードセルユニット1の上方に配置されて被計量物Xを搬送する搬送コンベア4と、ロードセルユニット1及び搬送コンベア4の全体を設置面Aに対して支持する脚部3と、を備える。計量装置100は、さらに、脚部3に接続されると共にロードセルユニット1の一部(後述する固定端21a)に接続されてロードセルユニット1及び搬送コンベア4の全体を支持する支持フレーム16を備える。支持フレーム16は、脚部3に一体的に形成されてもよいし、脚部3とは別体に形成された支持フレーム16が、脚部3に固定されてもよい。脚部3及び支持フレーム16は、全体として剛体とみなせる構造を有する。
【0021】
ロードセル2は、ロバーバル型の起歪体20と、起歪体20の表面に取り付けられた例えば4枚の歪みゲージ(出力部)29とを備える。
図1及び
図3に示されるように、起歪体20は、例えばアルミニウム製かつ一体構造のブロック体からなり、直方体状を呈する。起歪体20の中央には、所定方向Dに直交する水平な方向に起歪体20を貫通する孔部が形成されている。この孔部は、起歪体20の内部空間Sをなしている。起歪体20は、水平方向に離間するように配置された第1ブロック部21及び第2ブロック部22と、第1ブロック部21の上端と第2ブロック部22の上端とを接続する上ビーム部23と、第1ブロック部21の下端と第2ブロック部22の下端とを接続する下ビーム部24と、を有する。第1ブロック部21及び第2ブロック部22は、搬送コンベア4における搬送方向である所定方向Dに離間している。これらの第1ブロック部21、第2ブロック部22、上ビーム部23及び下ビーム部24によって、平行四辺形型の起歪体20が形成されている。起歪体20は、第1ブロック部21、第2ブロック部22、上ビーム部23及び下ビーム部24の間に、上記した内部空間Sを形成している。内部空間Sは、例えば、切削工程によって形成され得る。
【0022】
上ビーム部23の下面23bには、所定方向Dに一定の間隔をおいて、2つのU字状の上ノッチ部25が形成されている。下ビーム部24の上面24aには、所定方向Dに一定の間隔をおいて、2つのU字状の下ノッチ部26が形成されている。これらの上ノッチ部25及び下ノッチ部26は、上下対称に形成されている。上ビーム部23は、上ノッチ部25が形成された位置において、2つの上薄肉部27を含む。下ビーム部24は、下ノッチ部26が形成された位置において、2つの下薄肉部28を含む。2つの上薄肉部27は、所定方向Dに並ぶように形成されている。2つの下薄肉部28は、所定方向Dに並ぶように形成されている。上薄肉部27及び下薄肉部28の厚みは等しい。上薄肉部27及び下薄肉部28の厚みは、適度に薄くなっている。
【0023】
ロードセル2では、起歪体20のうち、第1ブロック部21が、固定端21aを含んでいる。また起歪体20のうち、第2ブロック部22が、自由端22aを含んでいる。第1ブロック部21の外側面が固定端21aになっており、この固定端21aに、支持フレーム16のユニット接続部16aが接続されている。第1ブロック部21は、鉛直方向に延在するユニット接続部16aに固定されており、動かないように構成されている。一方、第2ブロック部22の外側面が自由端22aになっている。第2ブロック部22は、第1ブロック部21に対して、僅かに動くことができるように構成されている。第2ブロック部22が第1ブロック部21に対して動く際、上記の上薄肉部27及び下薄肉部28が変形する。具体的には、ロードセル2に荷重が加わった際、第2ブロック部22が第1ブロック部21に対して僅かに下方に移動する。なお、起歪体20のうち、上薄肉部27及び下薄肉部28のみが変形可能であり、上薄肉部27,27の間、及び、下薄肉部28,28の間に形成された中間部M(
図3参照)は変形しない。中間部Mは、上薄肉部27及び下薄肉部28の変形に応じて上下に移動する。
【0024】
上ビーム部23の上面23aには、2つの上薄肉部27(すなわち2つの上ノッチ部25)に対応する位置に、2つの歪みゲージ29が取り付けられている。下ビーム部24の下面24bには、2つの下薄肉部28(すなわち2つの下ノッチ部26)に対応する位置に、2つの歪みゲージ29が取り付けられている。これらの複数の歪みゲージ29が、起歪体20の変形(具体的には自由端22aの移動)に応じて、図示しない配線を通じて所定の信号(電圧等の信号)を出力する。歪みゲージ29は、ロードセル2に加わる荷重(重量)を示す信号を出力する出力部である。ロードセル2には、搬送コンベア4を含む諸々の構成物品(詳しくは後述)の荷重が加わるが、被計量物Xが搬送面5a上に載っている場合と載っていない場合とで、ロードセル2に加わる荷重が変化するため、歪みゲージ29から出力される信号も変化する。この変化量(差分)に基づいて、風袋重量が除かれた被計量物Xの正味の重量が検出される。言い換えれば、歪みゲージ29からの出力に基づいて算出される重量に対して、ロードセル2に元々加わる構成物品の重量(風袋重量)が減算され、被計量物Xの正味の重量が算出される。
【0025】
ロードセルユニット1は、搬送コンベア4を駆動するモータ(駆動部)30を備える。モータ30は、横向きに配置されており、その回転軸31は、所定方向Dに直交する水平な方向(すなわち
図1の紙面に垂直な方向)に延びるように配置される。搬送コンベア4は、駆動ローラ6及び従動ローラ7と、駆動ローラ6及び従動ローラ7に掛け渡されたエンドレスな搬送ベルト5とを有する。本実施形態では、従動ローラ7の下流側、言い換えれば搬送ベルト5の下流端に、駆動ローラ6が配置されている。モータ30の回転軸31にはプーリ32が取り付けられ、駆動ローラ6の一端にはプーリ8が取り付けられている。回転軸31及びプーリ8に掛け渡された駆動ベルト9を介して、モータ30の回転駆動力が駆動ローラ6に伝達される。回転軸31に平行な回転軸線を有する駆動ローラ6及び従動ローラ7が回転することで、搬送ベルト5が移動させられ、搬送面5a上の被計量物Xが所定方向Dに搬送される。モータ30は、例えば、ブラシレスDCモータである。モータ30は、例えば矩形状の外形を有する。なお、計量装置100に用いられるモータ30の型式は、特に限定されない。モータ30は、ブラシ付DCモータであってもよく、ACモータであってもよい。
【0026】
図1及び
図3に示されるように、ロードセルユニット1において、モータ30は、起歪体20の内部空間Sに配置されている。言い換えれば、モータ30は、起歪体20に内包されている。そのため、内部空間Sは、モータ30よりも大きい。起歪体20は、起歪体20に加わる荷重に応じて自在に変形する(歪む)必要があるため、モータ30は、起歪体20からは隔絶されている。言い換えれば、モータ30は、起歪体20に当接していない。
図3に示されるように、モータ30と第1ブロック部21の内側面21bとの間には間隙G1が形成され、モータ30と第2ブロック部22の内側面22bとの間には間隙G2が形成され、モータ30と上ビーム部23の下面23bとの間には間隙G3が形成され、モータ30と下ビーム部24の上面24aとの間には間隙G4が形成されている。このように、間隙G1~間隙G4からなる矩形の(より詳細には角筒状の)間隙Gが形成されることで、モータ30は起歪体20から物理的に隔絶されている。但し、後述のとおり、モータ30の荷重は、モータ支持部12を含む第2ブラケットを介して、起歪体20の自由端22aに付加される。
【0027】
本実施形態の計量装置100では、起歪体20のうちで固定端21aを含む第1ブロック部21が、支持フレーム16を介して、脚部3によって支持されている。搬送コンベア4及びロードセルユニット1のモータ30が、起歪体20のうちで自由端22aを含む第2ブロック部22によって支持されている。以下、これらの脚部3と起歪体20とを連結する構造、或いは、起歪体20と搬送コンベア4及びモータ30とを連結する構造について詳細に説明する。
【0028】
図1に示されるように、ロードセルユニット1は、起歪体20と搬送コンベア4との間、及び、起歪体20とモータ30との間に配置されたユニットフレーム10を備えている。ユニットフレーム10は、起歪体20(ロードセル2)と、支持フレーム16のユニット接続部16a及び水平部16cとを取り囲むように配置された枠状のフレーム本体11と、フレーム本体11の上端部に固定された複数のコンベア支持部13と、フレーム本体11の側端部に固定されたモータ支持部12とを含む。
【0029】
フレーム本体11は、例えば金属製であり、一体的に形成されて、全体として剛体をなしている。フレーム本体11は、例えば、所定方向Dに直交する水平な方向において、搬送ベルト5と同程度の幅(
図1における奥行き)か、又は搬送ベルト5よりも小さな幅を有する。フレーム本体11は、起歪体20の上ビーム部23に対面する上面部材11aと、起歪体20の第1ブロック部21及び支持フレーム16のユニット接続部16aに対面する側面部材11cと、起歪体20の第2ブロック部22に対面する側面部材11dとを含む。上面部材11aは、側面部材11cの上端と側面部材11dの上端とを接続する。フレーム本体11は、さらに、側面部材11cの下端と側面部材11dの下端とを接続する底面部材11bを含んでいる。底面部材11bには、支持フレーム16のベース部16bが挿通される底部開口11hが形成されている。
【0030】
フレーム本体11は、側面部材11dの内側面に設けられた上下一対の接続片11e,11fのみによって、起歪体20に接続されている。上下に2つの接続片11e,11fが設けられてもよく、2つの接続片11eと2つの接続片11fとからなる合計4つの接続片11e,11fが設けられてもよい。接続片11e,11fが、第2ブロック部22の自由端22aに固定されている。これらの接続部位を除いて、フレーム本体11の各部、すなわちフレーム本体11の上面部材11a、底面部材11b、側面部材11c、及び側面部材11dは、起歪体20(ロードセル2)、支持フレーム16、及び脚部3のそれぞれから離間している。言い換えれば、上記の接続部位を除いて、フレーム本体11は、起歪体20、支持フレーム16、及び脚部3のそれぞれから隔絶されている。なお、支持フレーム16も、ユニット接続部16aのみにおいて起歪体20(ロードセル2)に接続されており、水平部16c及びベース部16bは、起歪体20(ロードセル2)からもフレーム本体11からも隔絶されている。
【0031】
フレーム本体11の上面部材11aには、例えば4つのコンベア支持部13が取り付けられている(
図2も参照)。コンベア支持部13は、搬送コンベア4における可動部を除く部分(例えば、搬送ベルト5の内部に配置された板状部材等)に連結されており、搬送コンベア4の全体を支持する。フレーム本体11の上面部材11a、接続片11e,11fを含む側面部材11d、及びコンベア支持部13は、起歪体20のうちで自由端22aを含む第2ブロック部22に接続され搬送コンベア4を固定的に支持する第1ブラケットに相当する。計量装置100では、搬送ベルト5によって駆動される駆動ローラ6と、自由端22aを含む第2ブロック部22とが、いずれも、下流側に位置する。
【0032】
図1及び
図2に示されるように、フレーム本体11には、所定方向Dに直交する水平な方向の端部(例えば
図1における奥側の端部)において、モータ支持部12が取り付けられている。モータ支持部12は、例えば、板状又は棒状の鋼材であり、上面部材11a、側面部材11c、又は側面部材11dのいずれかに固定される。なお、
図1では、モータ支持部12の大部分が起歪体20の向こう側に隠れており、見えない。モータ支持部12の一部に、モータ30が固定される。フレーム本体11の上面部材11a、側面部材11c、又は側面部材11dのいずれか(モータ支持部12が固定される部材)及びモータ支持部12は、起歪体20のうちで自由端22aを含む第2ブロック部22に接続されモータ30を固定的に支持する第2ブラケットに相当する。なお、本明細書において、「(何かを)固定的に支持する」とは、「何か」が、支持されていると同時に、その「何か」の空間的な配置が決められていることを意味する。
【0033】
図3を参照して、起歪体20における内部空間Sの形状と、内部空間Sに配置されたモータ30について、より詳細に説明する。
図3に示されるように、2つの上薄肉部27と2つの下薄肉部28とが、上下方向において向かい合っている。内部空間Sは、上薄肉部27と下薄肉部28との間に形成された中央空間Saと、中央空間Saから第1ブロック部21及び第2ブロック部22の両方に向けて水平方向に張り出す拡張空間Sbとからなる。より詳細には、拡張空間Sbは、第1ブロック部21から所定方向Dとは逆向きに向けて張り出す第1拡張空間Sb1と、第2ブロック部22から所定方向Dに向けて張り出す第2拡張空間Sb2とからなる。第1拡張空間Sb1の肩部長さL1(
図1に示される左の上ノッチ部25の第1ブロック部21側の端点から第1ブロック部21までの距離)は、上薄肉部27間の距離すなわちノッチ間の距離NLよりも大きい。第2拡張空間Sb2の肩部長さL2(
図1に示される右の上ノッチ部25の第2ブロック部22側の端点から第2ブロック部22までの距離)は、上薄肉部27間の距離すなわちノッチ間の距離NLよりも大きい。上記のノッチ間距離LNは、一対の上ノッチ部25の頂点の位置すなわち上薄肉部27のもっとも薄い部分を基準に定められる。ノッチ間の距離NLは、第2ブロック部22の沈み込みの幅すなわち変位高さを考慮して、(長すぎない)適宜の長さに決められる。例えば、規定範囲内で最大重量となる被計量物Xが搬送ベルト5上に供給された際にも、起歪体20が変形によりモータ30と接触しないように、ノッチ間の距離NLが決められる。
【0034】
本実施形態では、内部空間Sは、上下対称に形成された上ノッチ部25,25と下ノッチ部26,26との中心を通り、且つ第1ブロック部21と第2ブロック部22とを通過する鉛直面(当該鉛直面は上下の中間部Mを通る)に関して、対称に形成されている。また、内部空間Sは、上ノッチ部25,25と下ノッチ部26,26との中心を通る水平面(当該水平面は第1ブロック部21と第2ブロック部22の高さ方向の中間部を通る)に関して、対称に形成されている。上記した肩部長さL1と肩部長さL2とは等しい。また、肩部長さL1及び肩部長さL2は、下ノッチ部26,26と、第1ブロック部21及び第2ブロック部22との関係でも、同じ長さであり、変わらない。
【0035】
図1及び
図3に示されるように、モータ30は、中央空間Saと、第1拡張空間Sb1及び第2拡張空間Sb2とにわたって配置されている。言い換えれば、モータ30は、上薄肉部27及び下薄肉部28が形成された領域よりも水平方向に張り出すように配置されている。本実施形態のロードセルユニット1では、モータ30は、モータ30の重心が起歪体20の中央空間Saの範囲内に位置するように配置されている。すなわち、自由端22aへ取り付けられた部材(質量)の大部分を示すモータ30の重心が、ロードセル2の中心に近づけられている。より好ましくは、モータ30の重心が、起歪体20の変形中心に一致している。起歪体20の変形中心とは、4つのノッチ部すなわち上ノッチ部25,25と下ノッチ部26,26との中心であり、中央空間Saに位置する点である。上記の配置(モータ30と起歪体20の位置関係)は、ロードセル2における振動(起歪体20に生じる振動)に対する特性を向上させる目的で設定されている。左右対称の配置により、振動に対する特性が向上する。これは、中央空間Sa(すなわち変形中心)から見たモータ30による慣性モーメントが小さく抑えられるためである。
【0036】
モータ30は、所定方向Dに直交する水平な方向(搬送ベルト5の幅方向であり且つ起歪体20の幅方向)において、起歪体20から突出することなく起歪体20の範囲内に収まっているのが好ましい。モータ30の重心は、幅方向において、起歪体20の内側(起歪体20の幅の範囲内)に位置する。より好ましくは、起歪体20の幅の中心とモータ30の重心とが一致している。但し、モータ30の一部が、起歪体20の内部空間Sに配置され、モータ30の他の一部(回転軸31及び駆動ベルト9とは反対側の部分、すなわちモータ支持部12に取り付けられた部分)が、起歪体20からはみ出していてもよい。言い換えると、所定方向Dに直交する水平な方向(搬送ベルト5の幅方向であり且つ起歪体20の幅方向)において、モータ30の一部が内部空間Sを占めていればよい。このような場合でも、モータ30が上面視において起歪体20と部分的にオーバーラップした配置となり、変形中心から見たモータ30の慣性モーメントは小さく抑えられるためである。なお、プーリ32及び駆動ベルト9が配置される都合上、少なくともモータ30の回転軸31は、モータ支持部12の位置とは反対側において、起歪体20の内部空間Sから突出している。言い換えれば、搬送コンベア4を駆動するための駆動機構(プーリ32、駆動ベルト9、及びプーリ8を含む)と、モータ支持部12との間に、起歪体20が配置されている。
【0037】
以上説明したロードセルユニット1及びこれを備えた計量装置100では、モータ30に電力が供給されることで、搬送コンベア4が駆動される。搬送コンベア4と、ユニットフレーム10と、モータ30と、を含む構成物品の全体の荷重が、起歪体20の第2ブロック部22に加わる。搬送ベルト5上に被計量物Xが供給されると、被計量物Xの重量も付加されることになり、起歪体20における上薄肉部27と下薄肉部28の変形状態が変化する。その結果、起歪体20に貼付された歪みゲージ29が変形して、歪みゲージ29から出力される信号が変化する。この信号の変化に基づいて、被計量物Xが計量される。
【0038】
本実施形態のロードセルユニット1及び計量装置100によれば、モータ30は、起歪体20の内部空間Sに配置され、モータ30と起歪体20の各部すなわち第1ブロック部21、第2ブロック部22、上ビーム部23及び下ビーム部24のそれぞれとの間には、間隙G1~G4が形成される。この構成によれば、起歪体20の内部空間Sが、モータ30を設置するための空間として活用される。したがって、モータ30と起歪体20とを別々に配置する場合と比較して、所定の容積の中で、ロードセル2及びモータ30において、所望のサイズを維持する(確保する)ことができる。また、起歪体20にモータ30が内包されるので、起歪体20のサイズが、ロードセルユニット1によって占められる空間を決める。起歪体20は、モータ30と起歪体20とを別々に配置する場合におけるこれらの合計の容積よりも、小型化され得る。したがって、装置全体の大型化を抑えることができる。但し、モータ30が起歪体20の内部空間Sに配置される場合における起歪体20の単体の容積は、モータ30と起歪体20とを別々に配置する場合における起歪体20の単体の容積よりも大型化してよい。後述するように、起歪体20を大型化する(特に、高くする)ことによって、計量特性が向上する。
【0039】
例えば、
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、従来、搬送コンベア203の下方において、ロードセル201とモータ202とが搬送コンベア203の幅方向に並べられた計量装置200が知られていた。しかし、この計量装置200では、搬送コンベア203の幅方向の寸法を小さくできなかった。すなわち、コンベアの幅に制約が生じていた。また、
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、従来、搬送コンベア303の下方において、ロードセル301とモータ302とが搬送コンベア303の搬送方向に並べられた計量装置300が知られていた。しかし、この計量装置300では、搬送コンベア303の搬送方向の寸法を小さくできなかった。すなわち、コンベアの長さに制約が生じていた。
【0040】
本実施形態のロードセルユニット1及び計量装置100によれば、
図1及び
図2に示されるように、装置全体の大型化が抑えられている。モータ30とロードセル2とが占める容積を小さく保ったまま、ロードセル2及びモータ30の必要な大きさを確保できる。また、
図2において仮想線で示されるように、搬送コンベア4の幅方向に複数の計量装置100が並べられる場合(重量チェッカが多連チェッカである場合)でも、当該幅方向への大型化は抑えられており、幅方向におけるコンパクト性が実現されている。また、搬送コンベア4の搬送方向の長さは起歪体20及びフレーム本体11の大きさによって決まる(単体としてのモータ30の大きさは考慮する必要がない)ため、搬送コンベア4の長さに関する制約も抑えられている。なお、
図2において、図中の上側2つの仮想線にて示される搬送コンベア4も、実線で示される搬送コンベア4と同様の構造となっている。
【0041】
また、起歪体20における振動と、風袋による慣性モーメントの観点とにおいても、本実施形態のロードセルユニット1は、利点を有する。起歪体20の振動として、第2ブロック部22(自由端22aを含むブロック)の傾動方向の振動と、上下移動の振動とが考えられる。傾動方向の振動は、第2ブロック部22が傾くモードである。上下方向の振動は、第2ブロック部22が上下に並進するモードである。ロードセル2では、モータ30を収容するために起歪体20の高さH(
図3参照)を確保する必要がある。起歪体20の高さH、すなわち上ビーム部23と下ビーム部24との距離が大きい(高い)ほど、風袋によって生じる第2ブロック部22(自由端ブロック)の傾動方向の振動における振動周波数が高くなる。この振動周波数の高さは、計量におけるノイズを取り除きやすい(起歪体20において生じる上下移動の振動をフィルタで除去する(濾波する)際の時間を短縮させる)という利点をもたらす。また、ロードセル2では、モータ30を収容するために内部空間Sの容積を確保する必要がある。上薄肉部27間の距離(下薄肉部28間の距離)すなわちノッチ間の距離NLについては必要な距離を維持しつつ、第1拡張空間Sb1(肩部長さL1)及び第2拡張空間Sb2(肩部長さL2)を設けることにより、内部空間Sの容積が確保されている。この場合、上薄肉部27間の距離(下薄肉部28間の距離)すなわちノッチ間の距離NLが小さいほど、上下移動の振動における振動周波数が高くなる。この振動周波数の高さは、計量におけるノイズを取り除きやすい(起歪体20において生じる上下移動の振動をフィルタで除去する(濾波する)際の時間を短縮させる)という利点をもたらす。さらに、ロードセルユニット1では、モータ30の重心が起歪体20の中央空間Saの範囲内に位置する。より詳細には、モータ30の重心が、起歪体20の変形中心に近づけられている、又は一致している。これによって、風袋の慣性モーメントを低減できる(略ゼロにできる)。モータ30を内部空間Sに配置するというロードセルユニット1の構成は、コンパクト性のみならず、上記した各種の効果を奏する。
【0042】
上述の利点を別の観点で説明すると、一般的に、ロードセル2(起歪体20)のサイズが大きくなると、メカニカル剛性が高まるということが言える。そうすると、固有振動数を高めることができる。このことは、特に、高速で計量を行う重量チェッカにおいては、フィルタ時間の短縮すなわち計量能力の向上に寄与する。また、偏置特性も、ロードセル2(起歪体20)のサイズに依存するため、偏置特性の向上が期待できる。このように、計量特性を高めながら、駆動計量部のサイズがコンパクト化されている。
【0043】
また、本実施形態では、ロードセルユニット1が、第1ブロック部21又は第2ブロック部22のうち起歪体20の自由端22aを含む方に接続され、搬送コンベア4を固定的に支持する第1ブラケットを備える。この構成によれば、起歪体20の内部空間Sに配置したモータ30により、搬送コンベア4を駆動させることができる。
【0044】
ロードセルユニット1が、第1ブロック部21又は第2ブロック部22のうち起歪体20の自由端22aを含む方に接続され、モータ30を固定的に支持する第2ブラケットを備える。この構成によれば、モータ30が計量に直接的な影響を与えないように、モータ30を設置することができる。この場合、起歪体20の大型化を抑えつつ、限られた内部空間内に所望のサイズのモータ30を配置することができる。
【0045】
内部空間Sは、上薄肉部27,27と下薄肉部28,28との間に形成された中央空間Saと、中央空間Saから第1ブロック部21及び第2ブロック部22の少なくとも一方に向けて水平方向に張り出す拡張空間Sbとからなる。モータ30は、中央空間Saと拡張空間Sbとにわたって配置されている。この場合、起歪体20の大型化を抑えつつ、限られた内部空間S内に所望のサイズのモータ30を配置することができる。
【0046】
より詳細には、モータ30が、中央空間Saと第1拡張空間Sb1及び第2拡張空間Sb2の両方とにわたって配置されているので、起歪体20の大型化を抑えつつ、限られた内部空間内に所望のサイズのモータ30を配置することができる。上述したように、自由端22aへ取り付けられた部材(質量)の重心がロードセル2の中心に近づけられているので、振動に対する特性が向上しており、左右対称の効果が奏される。
【0047】
なお、本明細書において、「固定端」と「自由端」は、第1ブロック部21又は第2ブロック部22の外側面(各ブロック部の端面、つまり面状の部分)に相当するという前提で起歪体20に関する説明を行っている。しかしながら、必ずしもこれが唯一の正しい定義である訳ではなく、「固定端」と「自由端」がブロック状の部分に相当すると解されてもよい。その解釈に基づく場合、「固定端」又は「自由端」は、いずれかのブロック部そのものであり、当該ブロック部が「固定端ブロック」又は「自由端ブロック」等と称されてもよい。いずれの解釈をした場合でも、当業者は、特許請求の範囲に記載された発明を明確に理解することができる。
【0048】
続いて、
図6~
図8を参照して、他の実施形態に係るロードセルユニットについて説明する。他の実施形態に係るロードセルユニットは、例えば、
図6~
図8にそれぞれ示されるロードセル2A,2B,2Cを備える。これらのロードセル2A,2B,2Cでは、起歪体20の内部空間Sに面する内周面の少なくとも一部に、モータ30(
図6~
図8では図示省略)で発生した熱を起歪体20に均一化して伝達させる伝熱量均一化手段として、断熱材40A,40B,40Cがそれぞれ設けられている。内部空間Sにはモータ30が配置されるが、モータ30は発熱源になり得る。モータ30が内部空間Sに配置される構成においても、伝熱量均一化手段が設けられることで、計量精度の悪化が抑制されている。
【0049】
例えば、
図6に示されるように、ロードセルユニットは、上ビーム部23の下面23bに取り付けられた上断熱材41と、起歪体20のうちで固定端21aを含む第1ブロック部21の内側面21bに取り付けられた第1側面断熱材43と、起歪体20のうちで自由端22aを含む第2ブロック部22の内側面22bに取り付けられた第2側面断熱材(横断熱材)44と、下ビーム部24の上面24aに取り付けられた下断熱材42とからなる断熱材40Aを有するロードセル2Aを備えてもよい。
【0050】
より詳細には、上断熱材41は、2つの上ノッチ部25,25を除く領域において、上ビーム部23の下面23bに貼り付けられている。上断熱材41は、上ノッチ部25,25の左右両側すなわち拡張空間Sbに対応する部分に貼り付けられた肩部断熱材41a,41aと、中間部Mの下面に貼り付けられた中間断熱材41bとを含む。肩部断熱材41a,41aと中間断熱材41bとは、上ノッチ部25,25の存在によって不連続となっている。肩部断熱材41a,41aと、第1側面断熱材43及び第2側面断熱材44のそれぞれとは、連続していてもよいし、連続していなくてもよい。
【0051】
下断熱材42は、2つの下ノッチ部26,26を除く領域において、下ビーム部24の上面24aに貼り付けられている。下断熱材42は、下ノッチ部26,26の左右両側すなわち拡張空間Sbに対応する部分に貼り付けられた肩部断熱材42a,42aと、中間部Mの上面に貼り付けられた中間断熱材42bとを含む。肩部断熱材42a,42aと中間断熱材42bとは、下ノッチ部26,26の存在によって不連続となっている。肩部断熱材42a,42aと、第1側面断熱材43及び第2側面断熱材44のそれぞれとは、連続していてもよいし、連続していなくてもよい。
【0052】
これらの上断熱材41、下断熱材42、第1側面断熱材43、及び第2側面断熱材44としては、例えば、ポリプロピレンフォーム等が用いられる。これらの断熱材に用いられる材料は、上記以外の適宜の材料であってもよい。
【0053】
上記の構成によれば、伝熱量均一化手段としての断熱材40Aによって、モータ30で発生した熱が起歪体20に均一化されて伝達される。言い換えれば、モータ30の発熱による起歪体20の温度を急峻な変化が防止される。熱が起歪体20及び歪みゲージ29に与える影響を抑えることができる。モータ30が内部空間Sに配置されている場合でも、モータ30が計量に与える影響を抑えることができる。
【0054】
起歪体20における温度の不均衡は、ロードセルユニットにおける計量精度を悪化させる要因となり得る。起歪体20における各部の温度上昇量のバランスをとることで、計量精度の悪化が抑制される。
【0055】
また、断熱材40Aが、上断熱材41を含んでいるので、モータ30により温められて上昇する空気から受ける熱の影響を抑えることができる。その結果、計量精度を悪化させることがない。
【0056】
また、断熱材40Aが、自由端22aを含む第2ブロック部22に取り付けられた第2側面断熱材44を含んでいる。起歪体20の自由端22aを含む第2ブロック部22には、モータ30からモータ支持部12又はフレーム本体11等のブラケット(上記実施形態における第2ブラケット)を介して熱(伝導熱)が流入し得る。第2側面断熱材44によって、第2ブロック部22における温度の上昇を防ぐことで、起歪体20に対する熱の影響を抑えることができる。その結果、計量精度を悪化させることがない。
【0057】
他の構成例として、
図7に示されるように、ロードセルユニットが、上ビーム部23の下面23bに取り付けられた上断熱材41のみからなる断熱材40Bを有するロードセル2Bを備えてもよい。第1ブロック部21の内側面21b、第2ブロック部22の内側面22b、及び下ビーム部24の上面24aには、断熱材は設けられない。このような構成によっても、上記のロードセル2Aと同様の作用・効果が奏される。上断熱材41のみからなる断熱材40Bによれば、起歪体20の温度上昇に大きな影響を持つモータ30の滞留熱をカットしながら、逆に温度が上昇し難い起歪体20の下ビーム部24(下側)に熱を伝えやすくし、温度上昇量のバランスをうまくとることができる。
【0058】
さらに他の構成例として、
図8に示されるように、ロードセルユニットが、上ビーム部23の下面23bに取り付けられた上断熱材41と、起歪体20のうちで自由端22aを含む第2ブロック部22の内側面22bに取り付けられた第2側面断熱材44とからなる断熱材40Cを有するロードセル2Cを備えてもよい。第1ブロック部21の内側面21b及び下ビーム部24の上面24aには、断熱材は設けられない。一方の肩部断熱材41aと第2側面断熱材44とは、連続していてもよいし、連続していなくてもよい。このような構成によっても、上記のロードセル2Aと同様の作用・効果が奏される。上述したとおり、自由端22aを含む第2ブロック部22には、モータ30からモータ支持部12又はフレーム本体11等のブラケットを介して熱(伝導熱)が流入し得る。断熱材40Cを有するロードセル2Cによれば、断熱材が設けられない部分(すなわち内部空間Sに対して起歪体20が露出する部分)である第1ブロック部21及び下ビーム部24における温度上昇を促進しながら、伝道熱が流入する部分のさらなる温度上昇を防止することができる。結果として、起歪体20における各部の温度上昇量のバランスをとることができる。
【0059】
以上、本開示のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、起歪体20の形状、及び、起歪体20に形成された孔部である内部空間Sの形状は、適宜に変更されてよい。例えば、
図9に示されるように、円筒状の空洞である内部空間Sが形成された起歪体20Dを有するロードセル2Dが採用されてもよい。その場合に、円筒状の外形を有するモータ30Dが、内部空間Sに配置されてもよい。モータ30Dは、例えば、中央空間Saと拡張空間Sbとにわたって配置されている。
【0060】
例えば、
図10に示されるように、角筒状の空洞である内部空間Sが形成されているが、中央空間Saの第2ブロック部22側のみに拡張空間Sb(第2拡張空間Sb2)が形成された起歪体20Eを有するロードセル2Eが採用されてもよい。すなわち、拡張空間Sbとして、自由端22aを含む第2ブロック部22に向けて張り出す第2拡張空間Sb2のみが形成されており、固定端21aを含む第1ブロック部21に向けて張り出す第1拡張空間Sb1は形成されていない。その場合に、矩形の外形を有するモータ30Eが、内部空間Sに配置されてもよい。モータ30Eは、例えば、中央空間Saと拡張空間Sb(第2拡張空間Sb2)とにわたって配置されている。
【0061】
図10に示される起歪体20Eのように、内部空間Sが、上薄肉部27と下薄肉部28との間に形成された中央空間Saと、中央空間Saから第1ブロック部21及び第2ブロック部22のいずれか一方に向けて水平方向に張り出す拡張空間Sbとを含んでもよい。なお、どのような起歪体20の形状及び内部空間Sの形状が採用される場合でも、合計4つのノッチ部、すなわち上ノッチ部25,25及び下ノッチ部26,26は、上下左右に対称に配置される。
【0062】
本開示の上記した各種の実施形態及び
図9,
図10に示される変形例において、内部空間Sの形状とモータの形状とが同じでなくてもよい。すなわち、正面(
図1等に示される方向)から見て、四角形の空間に円形のモータが配置されてもよいし、円形の空間に四角形のモータが配置されてもよい。また、これらの形状は、八角形等の他の形状でも良い。
【0063】
搬送ベルト5によって駆動される駆動ローラ6が上流側に位置し、自由端22aを含む第2ブロック部22が下流側に位置する構成が採用されてもよい。搬送コンベア4を支持する第1ブラケットとして、フレーム本体11及びコンベア支持部13以外の適宜の構成が採用されてもよい。モータ30を支持する第2ブラケットとして、フレーム本体11及びモータ支持部12以外の適宜の構成が採用されてもよい。第1ブラケットと第2ブラケットとが、独立した構成であってもよい。すなわち、第1ブラケットと第2ブラケットとが、それぞれ別個に設けられてもよい。
【0064】
伝熱量均一化手段として、第1ブロック部21又は第2ブロック部22のうち起歪体20の自由端を含む方(上記実施形態及び変形例では第2ブロック部22)の内側面にのみ、横断熱材が取り付けられてもよい。言い換えれば、
図8に示される断熱材40Cにおいて上断熱材41が省略されてもよい。自由端ブロックにのみ断熱材が取り付けられる場合でも、上述した熱の影響を抑える効果を得ることができる。
【0065】
伝熱量均一化手段として、断熱材以外の構成が採用されてもよい。例えば、断熱材に代えて、起歪体20とは別体の吸熱材が、起歪体20とモータ30(駆動部)との間に配置されてもよい。吸熱材の配置は、
図6~
図8で例示した断熱材40A,40B,40Cと同様に配置されてもよい。伝熱量均一化手段の他の例として、例えば、黒体塗料(吸熱手段)が、塗布されてもよい。黒体塗料は、
図6~
図8で例示した断熱材40A,40B,40Cにおいて各断熱材が取り付けられたブロック部又はビーム部の内面(内部空間Sに臨む面)のみに塗布されてもよいし、内面に加えて、内面以外の表面に塗布されてもよい。
【0066】
各断熱材が取り付けられる(貼られる)範囲は、各ブロック部又は各ビーム部の内面(内部空間Sに臨む面)の全体であってもよいし、一部であってもよい。黒体塗料が塗布される範囲も、各ブロック部又は各ビーム部の内面の全体であってもよいし、一部であってもよい。
【0067】
第1ブロック部21が自由端を含み、第2ブロック部22が固定端を含んでもよい。その場合、搬送コンベア4(搬送部)及びモータ30(駆動部)は、第2ブロック部22によって支持される。
【0068】
本開示のロードセルユニットが、組み合わせ計量機に適用されてもよい。また、本開示のロードセルユニットが、ストレッチ包装機(計量包装値付機)に適用されてもよい。いずれの適用例においても、本開示のロードセルユニットが、当業者によって、各機器に適宜に組み込まれることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…ロードセルユニット、2,2A,2B,2C,2D,2E…ロードセル、3…脚部、4…搬送コンベア(搬送部)、5…搬送ベルト、6…駆動ローラ、10…ユニットフレーム、11…フレーム本体、11d…側面部材、11e,11f…接続片、12…モータ支持部、13…コンベア支持部、16…支持フレーム、16a…ユニット接続部、20…起歪体、21…第1ブロック部、21a…固定端、22…第2ブロック部、22a…自由端、23…上ビーム部、24…下ビーム部、25…上ノッチ部、26…下ノッチ部、27…上薄肉部、28…下薄肉部、29…歪みゲージ(出力部)、30…モータ(駆動部)、40A,40B,40C…断熱材(伝熱量均一化手段)、41…上断熱材、43…第1側面断熱材、44…第2側面断熱材(横断熱材)、100…計量装置、D…所定方向(水平方向)、G1~G4…間隙、LN…ノッチ間距離、L1,L2…肩部長さ、S…内部空間、Sa…中央空間、Sb…拡張空間、Sb1…第1拡張空間、Sb2…第2拡張空間、X…被計量物(物品)。