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特開2022-48827ゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置
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  • 特開-ゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048827
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20220318BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20220318BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C08J3/12 101
C08J3/12 CEZ
B07B1/00 B
B01J2/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154867
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】591011384
【氏名又は名称】株式会社パウレック
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 人志
(72)【発明者】
【氏名】合志 忠俊
(72)【発明者】
【氏名】中 俊明
(72)【発明者】
【氏名】藤田 典明
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩司
【テーマコード(参考)】
4D021
4F070
4G004
【Fターム(参考)】
4D021AA01
4D021CA07
4D021EA10
4F070AA62
4F070AC12
4F070AE28
4F070DA27
4F070DB01
4F070DB09
4G004EA08
(57)【要約】
【課題】 安全性が高く、かつ所望する粒径のゼラチン粒子を選別する。
【解決手段】 液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化させる造粒工程を有するゼラチン粒子製造方法に関する。
上記造粒工程によって得られたゼラチン粒子Gを、第1の目開きの第1ふるい11aで選別する第1選別工程と、上記第1選別工程において第1ふるい11aを通過しなかったゼラチン粒子G1を粉砕する粉砕工程と、当該粉砕工程で粉砕したゼラチン粒子G2を、上記第1ふるいで選別する第2選別工程と、上記第1選別工程および第2選別工程において第1ふるいを通過したゼラチン粒子g、g1を、上記第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるい12aで選別する第3選別工程と、上記第3選別工程において上記第2ふるい12aを通過しなかったゼラチン粒子g2を回収する回収工程と、回収したゼラチン粒子g2を加熱処理する加熱工程とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化させる造粒工程を有するゼラチン粒子製造方法において、
上記造粒工程によって得られたゼラチン粒子を、第1の目開きの第1ふるいで選別する第1選別工程と、
上記第1選別工程において第1ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を粉砕する粉砕工程と、
当該粉砕工程で粉砕したゼラチン粒子を、上記第1ふるいで選別する第2選別工程と、
上記第1選別工程および第2選別工程において第1ふるいを通過したゼラチン粒子を、上記第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるいで選別する第3選別工程と、
上記第3選別工程において上記第2ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を回収する回収工程と、
回収したゼラチン粒子を加熱処理する加熱工程とを有することを特徴とするゼラチン粒子製造方法。
【請求項2】
上記造粒工程おいて、噴霧する上記液状ゼラチンの濃度を1~30Wt%とすることを特徴とする請求項1に記載のゼラチン粒子製造方法。
【請求項3】
上記造粒工程おいて、上記濃度の液状ゼラチンを0.5~10g/minで噴霧し、乾燥エアを20~100L/minで噴射して乾燥させることを特徴とする請求項2に記載のゼラチン粒子製造方法。
【請求項4】
上記第1ふるいの目開きを90~45μmとし、上記第2ふるいの目開きを40~10μmとすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のゼラチン粒子製造方法。
【請求項5】
液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化する造粒手段を備えたゼラチン粒子製造装置において、
第1の目開きの第1ふるいを有する第1選別手段と、上記第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるいを有する第2選別手段と、ゼラチン粒子を粉砕する粉砕手段と、ゼラチン粒子を加熱処理する加熱手段とを備え、
上記第1選別手段によって上記造粒手段で造粒されたゼラチン粒子を選別するとともに、上記粉砕手段によって上記第1ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を粉砕し、
さらに上記第1選別手段によって上記粉砕手段で粉砕されたゼラチン粒子を選別し、
上記第2選別手段は、上記第1選別手段によって選別されて上記第1ふるいを通過したゼラチン粒子を選別し、
当該第2選別手段による選別によって上記第2ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を回収して、上記加熱手段で加熱処理することを特徴とするゼラチン粒子製造装置。
【請求項6】
上記造粒手段と第1選別手段と第2選別手段と粉砕手段とを清浄空間に設けるとともに、上記第1選別手段と第2選別手段とを、上記造粒手段と粉砕手段との間に配置したことを特徴とする請求項5に記載のゼラチン粒子製造装置。
【請求項7】
上記加熱手段に、内部空間が無菌状態に維持されるアイソレータを接続するとともに、当該アイソレータに上記内部空間を除染する除染手段を設け、
上記加熱手段によって加熱処理されたゼラチン粒子を、上記アイソレータの除染された内部空間に搬出することを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載のゼラチン粒子製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置に関し、詳しくは液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化するゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食用や工業用などの分野においてゼラチンが用いられており、その使用態様として粒状化させたゼラチン粒子が使用されている。
このようなゼラチン粒子の製造方法としては、液状のゼラチンを噴霧してこれを乾燥させるスプレードライ法(特許文献1)や、疎水性溶媒中にゼラチン液滴を吐出し、当該疎水性溶媒を脱水するとともに洗浄し、その後乾燥させるエマルジョン法(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-245074号公報
【特許文献2】特許第5307490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したようなゼラチン粒子は医療の分野においても使用されており、例えばゼラチン粒子に薬効成分を含侵させて体内で徐々に成分を放出させる徐放の担体として用いたり、心筋シートのような細胞シートを複数枚重ねて用いる場合に、各シート間に介在させる培養基材として用いられている。
このような医療用のゼラチン粒子としては、操作性や細胞との親和性の観点から、粒径が数十μm程度のものが求められているが、特許文献1に記載された方法を用いた場合、粒径が250~350μmと大径であり不適当となっていた。
一方、特許文献2に記載された方法によれば、粒径を小さくすることができるものの、脱水や乾燥に用いる溶媒に毒性の強いアセトン等が使用されていることから、得られたゼラチン粒子を医療用に用いるには安全性に問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は安全性が高く、かつ所望する粒径のゼラチン粒子を得ることが可能なゼラチン粒子製造方法およびゼラチン粒子製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるゼラチン粒子製造方法は、液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化させる造粒工程を有するゼラチン粒子製造方法において、
上記造粒工程によって得られたゼラチン粒子を、第1の目開きの第1ふるいで選別する第1選別工程と、
上記第1選別工程において第1ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を粉砕する粉砕工程と、
当該粉砕工程で粉砕したゼラチン粒子を、上記第1ふるいで選別する第2選別工程と、
上記第1選別工程および第2選別工程において第1ふるいを通過したゼラチン粒子を、上記第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるいで選別する第3選別工程と、
上記第3選別工程において上記第2ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を回収する回収工程と、
回収したゼラチン粒子を加熱処理する加熱工程とを有することを特徴とする。
また請求項5の発明にかかるゼラチン粒子製造装置は、液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて粒状化する造粒手段を備えたゼラチン粒子製造装置において、
第1の目開きの第1ふるいを有する第1選別手段と、上記第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるいを有する第2選別手段と、ゼラチン粒子を粉砕する粉砕手段と、ゼラチン粒子を加熱処理する加熱手段とを備え、
上記第1選別手段によって上記造粒手段で造粒されたゼラチン粒子を選別するとともに、上記粉砕手段によって上記第1ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を粉砕し、
さらに上記第1選別手段によって上記粉砕手段で粉砕されたゼラチン粒子を選別し、
上記第2選別手段は、上記第1選別手段によって選別されて上記第1ふるいを通過したゼラチン粒子を選別し、
当該第2選別手段による選別によって上記第2ふるいを通過しなかったゼラチン粒子を回収して、上記加熱手段で加熱処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、液状ゼラチンを噴霧し乾燥させて所望する粒径よりも大きな粒子を含んで粒状化されたゼラチン粒子について、第1ふるいにより所望の粒径範囲を超えるゼラチン粒子を選別して粉砕し、粉砕されたゼラチン粒子について再度第1ふるいにより所望の粒径範囲を超えるゼラチン粒子を選別しているので、造粒されたゼラチン粒子からそのまま所望の粒径範囲のゼラチン粒子を選別したり、造粒されたゼラチン粒子をそのまま粉砕して所望の粒径範囲のゼラチン粒子を選別する場合に比較して、より多くの所望の粒径範囲のゼラチン粒子を回収することができる。
そして液状ゼラチンを噴霧し乾燥させるスプレードライ法により粒状化しているため、毒性成分が残留することがなく安心して医療用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかるゼラチン粒子製造装置の平面図
図2】本実施例にかかるゼラチン粒子製造方法を示すフロー
図3】造粒手段によって造粒したゼラチン粒子の粒径の頻度分布を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1はゼラチン粒子製造装置1を示し、医療に好適な粒径を有するゼラチン粒子を得るための装置となっている。
本実施例で製造する医療用のゼラチン粒子は、薬効成分を含侵させて体内で徐々に成分を放出させる徐放の担体として、また、心筋シートのような細胞シートを複数枚重ねて用いる場合に、各シート間に介在させる培養基材として用いることができ、臨床用に様々な利用が可能となっている。
ここで、ゼラチン粒子を医療用として用いる場合、その粒径は操作性や細胞との親和性の観点からが数十μm程度であることが望ましく、本実施例のゼラチン粒子製造装置1はこのような医療用のゼラチン粒子を製造するものとなっている。
【0009】
本実施例のゼラチン粒子製造装置1は、ゼラチン粒子を造粒する造粒手段2と、造粒されたゼラチン粒子から所望の粒径のゼラチン粒子を選別する選別手段3と、所望の粒径よりも大きなゼラチン粒子を粉砕する粉砕手段4と、選別されたゼラチン粒子を真空加熱処理する加熱手段5とを備えている。
またゼラチン粒子製造装置1は、内部が所定の空気清浄度に維持され清浄空間を形成するクリーンルーム6と、同様に内部が所定の空気清浄度に維持された清浄空間を形成するとともに、内部を除染することで無菌状態に維持することが可能なアイソレータ7とを備え、上記クリーンルーム6の内部には上記造粒手段2、選別手段3、粉砕手段4が収容され、また上記アイソレータ7はクリーンルーム6と上記加熱手段5との間に設けられている。
上記クリーンルーム6の一端にはゼラチン粒子の原料となる液状ゼラチンなどを搬入するための搬入扉6aが設けられ、また側面には作業者が装着するためのグローブ6gが設けられている。
【0010】
上記造粒手段2は従来公知であるため詳細な説明については省略するが、筒状の処理筒2aと、当該処理筒2aの下部に設けられて液状ゼラチンを噴霧する噴霧手段2bと、処理筒2aの内部に乾燥エアからなる気流を発生させる図示しないエアノズルを有する気流発生手段とを備えている。
上記処理筒2aの内部は所定の温度に設定されるようになっており、例えば処理筒2aの内部温度を70~150℃に設定することができる。
上記噴霧手段2bは固体のゼラチンを水に溶解させた液状ゼラチンを霧状に噴霧するようになっており、この液状ゼラチンとしては1~30wt%の濃度で溶解させた液状ゼラチンを使用することができる。
また噴霧手段2bは上記液状ゼラチンを0.5~10g/minの割合で処理筒2aの内部に噴霧することができ、また上記気流発生手段は乾燥エアを20~100L/minの割合で処理筒2aの内部に噴射することができる。
【0011】
このような構成により、上記噴霧手段2bによって噴霧された微小な液滴状の液状ゼラチンは、上記気流発生手段が供給した乾燥エアによって処理筒2aの内部で浮遊しながら乾燥され、小さなシード粒子を形成する。
このシード粒子に新たな液状ゼラチンが衝突し、この衝突した液状ゼラチンが乾燥することで、シード粒子の粒径が拡大してゆき、その後液状ゼラチンの衝突と乾燥とが繰り返されることで、ゼラチン粒子が形成されるようになっている。
ここで、このような造粒手段2を用いたゼラチン粒子の造粒方法はいわゆるスプレードライ法と呼ばれ、上記特許文献1にも記載されたものとなっており、特許文献2に記載されたエマルジョン法に比べて薬剤を用いないことから、得られたゼラチン粒子は医療用として用いる際の安全性が高いものとなっている。
しかしながら、上記スプレードライ法を用いた場合、特許文献1において得られるゼラチン粒子の粒径の最頻粒径が250~350μmであると記載されている通り、粒径が大きすぎて医療用には適さないものとなっており、以下に詳述する通り、本実施例の造粒手段2において造粒したゼラチン粒子も平均粒径が100μmを超えるものとなっている。
【0012】
上記選別手段3は、第1選別手段11と第2選別手段12との2つの選別手段を備え、第1選別手段11は第1の目開きの第1ふるい11aを有し、第2選別手段12は、上記第1ふるい11aの第1の目開きよりも小さい第2の目開きの第2ふるい12aを有している。
これら第1、第2選別手段11、12はそれぞれ超音波振動による微細な振動により、投入されたゼラチン粒子の選別を行うものとなっている。
すなわち、第1選別手段11および第2選別手段12は、第1、第2ふるい11a、12aを振動させる超音波振動手段11b、12bと、第1、第2ふるい11a、12aを通過したゼラチン粒子を回収する回収容器11c、12cとを備えている。
第1、第2ふるい11a、12bの目開きは、それぞれISO規格に規定された目開きを有したものを使用することができ、所望するゼラチン粒子の粒径に応じて任意のものを使用することができる。
医療用として粒径数十μmのゼラチン粒子を選別する場合、上記第1ふるい11aについての第1の目開きを90~45μmの範囲で選定し、上記第2ふるい12aについての第2の目開きを40~10μmの範囲で選定することが望ましい。
【0013】
上記粉砕手段4には従来公知の構成を採用することができ、内部には無菌エアをジェット噴射する図示しない噴射手段が設けられており、そのほかにも粉砕前のゼラチン粒子を投入するためのホッパー4aを備えている。
このような構成により、上記ホッパー4aによって投入されたゼラチン粒子に対して上記噴射手段が無菌エアを高速で衝突させることにより、ゼラチン粒子を粉砕するものとなっている。
【0014】
そして本実施例では、上記造粒手段2、選別手段3(第1選別手段11および第2選別手段12)、粉砕手段4は、造粒手段2と粉砕手段4との間に選別手段3を配置したものとなっている。
これにより、造粒手段2から第1選別手段11、第1選別手段11から粉砕手段4、粉砕手段4から第1選別手段11、第1選別手段11から第2選別手段12へと、ゼラチン粒子を移動させる際の作業性の向上を図っている。
上記配置は、特に、クリーンルーム6内に各手段を接近させて配置して、グローブ6gによる操作によってゼラチン粒子を移動させる場合には特に有効である。なお、造粒手段2と粉砕手段4の間に選別手段3が位置する形であれば、一列に配列する必要はなく、クリーンルーム6の形状やサイズに合わせて各手段をレイアウトしてもよい。
【0015】
上記加熱手段5には従来公知のものを使用することができ、収容したゼラチン粒子を真空状態下において所要の温度で加熱することにより、ゼラチン粒子に架橋反応を生じさせるものとなっている。
また、このような加熱処理によってゼラチン粒子が滅菌されることから、上記加熱手段5によって加熱が終了したゼラチン粒子は無菌状態にあり、加熱手段5より取り出された状態で治療等に用いることが可能となっている。
【0016】
上記アイソレータ7は、内部空間に無菌エアを供給する図示しない無菌エア供給手段と、内部空間を除染するための除染手段13とを備え、側面には作業者が作業するためのグローブ7gが設けられている。
また上記アイソレータ7に隣接した位置には、上記クリーンルーム6に連通するように受渡し室14が設けられており、この受渡し室14にもグローブ14gが設けられており、上記クリーンルーム6内において処理されたゼラチン粒子は、一度この受渡し室14に収容されるようになっている。
そして上記アイソレータ7には複数の開閉扉が設けられており、上記受渡し室14との間には受渡し扉7aが、上記真空加熱手段5との間には連通扉7bがそれぞれ設けられており、またアイソレータ7から加熱処理後に容器に収容されたゼラチン粒子を搬出するための搬出扉7cが設けられている。
そして上記除染手段13は、過酸化水素蒸気などの除染媒体を上記内部空間に充満させて、内部空間内に露出している部分を除染するものとなっており、従来公知の構成を使用することができる。
【0017】
以下、上記構成を有するゼラチン粒子製造装置1を用いてゼラチン粒子を製造する方法について、図1および図2を用いて説明する。ここで、原料となる液状ゼラチンや、作業に必要な資材は予め上記クリーンルーム6に搬入されている。
最初に、液状ゼラチンからゼラチン粒子を造粒する造粒工程を行う。
本実施例では上記造粒手段2に15wt%の濃度の液状ゼラチンを投入し、処理筒2aの内部温度を90℃に設定し、当該処理筒2aの内部に上記液状ゼラチンを2g/minの割合で噴霧しながら、処理筒2aの内部に気流発生手段が乾燥エアを70L/minの割合で噴射し、上記条件において造粒手段2を90分間稼働させる。
すると、処理筒2aの内部で液滴状の液状ゼラチンが乾燥してシード粒子を形成し、このシード粒子に衝突した新たな液体ゼラチンが乾燥することで粒径が拡大してゆき、ゼラチン粒子Gが得られる。
ここで、図3は上記造粒手段2によって造粒されたゼラチン粒子Gの粒径についての頻度分布を、レーザー回析・散乱法を用いて解析したグラフを示し、このうち最頻値(図中(4))を示す粒径の範囲は133.103μm~152.453μmとなっており、その頻度は8.799%、当該粒径が得られるまでの積算頻度は63.901%であった。
このように、いわゆるスプレードライ法を用いてゼラチン粒子Gを造粒した場合、粒径が100μmを超えてしまい、所望する数十μmの範囲、例えば53μm~20μmのゼラチン粒子は少量しか得られないことが理解できる。
【0018】
次に、上記造粒工程で得られたゼラチン粒子Gを上記第1ふるい11aを用いて選別する第1選別工程を行う。
造粒手段2で得られたゼラチン粒子Gを上記第1選別手段11の第1ふるい11aに投入すると、第1ふるい11aは53μm以下のゼラチン粒子を選別し、53μmを超える粒径のゼラチン粒子G1が第1ふるい11a上に残留し、第1ふるい11aを通過した53μm以下のゼラチン粒子gが回収容器11cに回収される。
【0019】
次に、上記第1選別工程において第1ふるい11a上に残留したゼラチン粒子G1を、上記粉砕手段4を用いて粉砕する粉砕工程を行う。つまりこの粉砕工程では粒径が53μmを超えるゼラチン粒子G1を粉砕するものとなっている。
粉砕手段4では、上記ホッパー4aがゼラチン粒子G1を28m/hの供給エアによって供給し、さらに上記噴射手段が48m/hの粉砕エアを噴射することにより、上記ゼラチン粒子G1を粉砕する。なお、この時の粉砕手段4の処理能力は1~10g/minであった。
【0020】
次に、上記粉砕工程において粉砕されたゼラチン粒子G2を、上記第1ふるい11aによって再度選別する第2選別工程を行う。
上記粉砕工程において粉砕されたゼラチン粒子G2は、上記第1選別工程において第1ふるい11aを通過しなかったものであるが、上記粉砕工程によって粉砕されることで、その大半が第1ふるい11aを通過可能な粒径となっている。
上記第1選別工程と同様、ゼラチン粒子G2を第1選別手段11の第1ふるい11aによって選別すると、少量の53μmを超える粒径のゼラチン粒子G3が第1ふるい11a上に残留し、53μm以下のゼラチン粒子g1が第1ふるい11aを通過して回収される。
この第2選別工程において第1ふるい11aを通過しなかったゼラチン粒子G3については、廃棄や溶解して再利用することも可能であるが、再度粉砕工程を行って第1ふるい11aを通過可能な粒径にし、再度第2選別工程を行ってもよい。
【0021】
次に、上記第1選別工程において上記第1ふるい11aを通過したゼラチン粒子gと、上記第2選別工程において上記第1ふるい11aを通過したゼラチン粒子g1とを第2ふるい12によって選別する第3選別工程を行う。
この第3選別工程では、上記ゼラチン粒子gと上記ゼラチン粒子g1からなる、粒径が53μm以下のゼラチン粒子を上記第2選別手段12の第2ふるい12aに投入するものである。
上記第2ふるい12aは第1ふるい11aよりも小さい、例えば20μmの目開きを有しており、このため第2ふるい12aに投入されたゼラチン粒子g、g1のうち、粒径が20μmを超えるゼラチン粒子g2が第2ふるい12a上に残留することとなる。
【0022】
次に、上記第3選別工程においてされた選別されたゼラチン粒子g2を、所望する範囲の粒径を有するゼラチン粒子として回収する回収工程を行う。
つまり、上記第2選別手段12において第2ふるい12aを通過しなかったゼラチン粒子g2を所要の容器に回収し、第2ふるい12aを通過したゼラチン粒子g3は、医療用としては粒径が小さすぎるため廃棄または溶解して再利用する。
【0023】
次に、上記第3選別工程において第2ふるい12aを通過せず、上記回収工程において回収されたゼラチン粒子g2を、加熱手段5を用いて真空の無酸化状態で加熱処理する加熱工程を行う。
上記回収工程において所要の容器に収容されたゼラチン粒子g2は、上記クリーンルーム6からアイソレータ7に隣接して設けた受渡し室14に移載された後、上記アイソレータ7の受渡し扉7aを介してアイソレータ7の内部空間に移動される。
その後、ゼラチン粒子g2は上記連通扉7bを介して加熱手段5に収容され、加熱手段5では、温度160℃、加熱時間0.5~24時間、圧力100Pa以下の無酸化の環境で加熱を行う。
これにより、ゼラチン粒子g2では加熱による架橋反応が生じ、医療用に適した状態に変化するとともに、加熱による滅菌が行われることとなる。
【0024】
上記加熱手段5による加熱工程と並行して、上記アイソレータ7では内部空間を除染する除染工程を行う。
除染工程の前には、予め上記アイソレータ7の搬出扉7cを介してゼラチン粒子g2を収容するためのバイアル瓶などの容器が搬入されており、この状態で上記アイソレータ7の全ての開閉扉を閉鎖した状態で、上記除染手段13による内部空間の除染を行う。
これにより、アイソレータ7の内部空間と容器とが除染される。
【0025】
最後に、加熱工程の終了したゼラチン粒子g2を容器に収容して密封する包装工程を行う。
上記加熱工程および除染工程が終了すると、上記加熱手段5との連通扉7bが開放され、加熱処理されたゼラチン粒子g2をアイソレータ7の内部空間に移動させる。
そして、ゼラチン粒子g2は作業者の手作業により各容器に収容された後に密封され、これにより全ての容器にゼラチン粒子g2が無菌状態で収容されて、上記搬出扉7cを開放して外部へと取り出されるようになっている。
【0026】
上記実施例によれば、造粒手段2によって造粒された安全性の高いゼラチン粒子Gから、所望の粒径範囲のゼラチン粒子g2を効率的に収集することが可能となっている。
つまり、第1選別工程において第1ふるい11aを通過しなかった大きなゼラチン粒子G1を粉砕手段4によって粉砕し、粉砕したゼラチン粒子G2を第2選別工程において再度選別することで、第1ふるい11aを通過可能な所定粒径以下のゼラチン粒子を多く得ることができる。
その後、第3選別工程においてゼラチン粒子g、g1を第2ふるい12aによって選別することで、所定粒径を超えるゼラチン粒子g2を得ることができ、所望の範囲の粒径からなるゼラチン粒子g2を効率的に得ることができる。
これに対し、上記作業から第1選別工程を行わすに、造粒されたゼラチン粒子をそのまま粉砕すると、所望の範囲を上回る粒径のものは粉砕されて適度な大きさとなるものの、所望の範囲の粒径のものが粉砕されて粒径が小さくなり、所望の範囲を下回ってしまうことになる。
具体的に、本実施例に従って第1~第3選別工程を経てゼラチン粒子g2を得た場合、造粒手段2によって造粒したゼラチン粒子Gのうち、約26%を所望の粒径範囲のゼラチン粒子g2として回収することができた。
これに対し、第1選別工程を行わず粉砕工程を行った場合には、造粒手段2によって造粒したゼラチン粒子Gのうち、約5.6%しか回収することができなかった。
【0027】
なお、上記実施例では、上記クリーンルーム6内に上記造粒手段2、選別手段3、粉砕手段4を設けているが、これらを上記アイソレータ7内に設置してもよい。
また、上記実施例では、加熱手段5による加熱処理中に上記アイソレータ7内を除染する除染工程を行っているが、加熱処理されたゼラチン粒子g2を除染された無菌状態のアイソレータ7に移動できれば、加熱工程と除染工程を並行して行う必要はなく、ゼラチン粒子g2が加熱手段5に収容されるなど除染媒体の影響を受けない状態にあれば、加熱処理前や後に除染することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 ゼラチン粒子製造装置 2 造粒手段
3 選別手段 4 粉砕手段
5 加熱手段 6 クリーンルーム
7 アイソレータ 11 第1ふるい
12 第2ふるい 13 除染手段
図1
図2
図3