(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048831
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】マルチチャンネルオーディオ装置、プログラム、およびマルチチャンネルオーディオ再生方法
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20220318BHJP
H04S 3/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
H04S3/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154871
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】愛甲 英寿
【テーマコード(参考)】
5D162
5D208
【Fターム(参考)】
5D162AA13
5D162BA09
5D162CB06
5D162DA14
5D162EC02
5D208CA03
5D208CA04
5D208CA07
5D208CC04
5D208CC14
(57)【要約】
【課題】カラオケ用のマルチチャンネルオーディオコンテンツを別途用意することなく、マルチチャンネルオーディオコンテンツのカラオケをサラウンド環境で実現することができる技術を提供する。
【解決手段】マルチチャンネルAV装置1は、マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生して、チャンネル毎にオーディオ信号を対応スピーカ2-1~2-6から出力する通常再生モードに加えて、マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するとともに、所定チャンネル(例えばセンターチャンネル)のオーディオ信号をマイクの入力信号に置き代えて、チャンネル毎にオーディオ信号およびマイクの入力信号を対応スピーカ2-1~2-6から出力するカラオケ再生モードを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオコンテンツをサラウンド再生するマルチチャンネルオーディオ装置であって、
前記マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するオーディオ再生手段と、
マイクの入力信号を受信するマイク入力信号受信手段と、
前記複数チャンネルのチャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカからオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段と、を備え、
前記オーディオ出力手段は、
前記オーディオ再生手段により再生された前記複数チャンネルのオーディオ信号を、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力する通常再生モードと、前記マイク入力信号受信手段により受信されたマイクの入力信号を、所定チャンネルのオーディオ信号として、前記オーディオ再生手段により再生された、当該所定チャンネルを除く前記複数チャンネルのオーディオ信号とともに、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力するカラオケ再生モードと、を有する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチチャンネルオーディオ装置であって、
ワイヤレス端末に無線接続するための無線接続手段をさらに備え、
前記マイク入力信号受信手段は、
前記無線接続手段に無線接続された前記ワイヤレス端末からマイクの入力信号を受信すする
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマルチチャンネルオーディオ装置であって、
前記カラオケ再生モードにおいて、前記オーディオ出力手段から前記複数のスピーカに出力される前記複数チャンネルのオーディオ信号を含むマルチチャンネルオーディオコンテンツを生成するマルチチャンネルオーディオ生成手段と、
前記マルチチャンネルオーディオ生成手段により生成されたマルチチャンネルオーディオコンテンツを記憶するマルチチャンネルオーディオ記憶手段と、
前記マルチチャンネルオーディオ記憶手段に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれている前記所定チャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを、予め設定された時間だけ早める再生タイミング調整手段と、をさらに備える
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のマルチチャンネルオーディオ装置であって、
前記カラオケ再生モードにおいて、前記オーディオ出力手段から前記複数のスピーカに出力される前記複数チャンネルのオーディオ信号を含むマルチチャンネルオーディオコンテンツを生成するマルチチャンネルオーディオ生成手段と、
前記マルチチャンネルオーディオ生成手段により生成されたマルチチャンネルオーディオコンテンツを記憶するマルチチャンネルオーディオ記憶手段と、
前記マルチチャンネルオーディオ記憶手段に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれている前記所定チャンネルのオーディオ信号の再生タイミングをユーザの指示に従い調整する再生タイミング調整手段と、をさらに備える
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオ装置。
【請求項5】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオコンテンツをサラウンド再生するマルチチャンネルオーディオ装置として、コンピュータを動作させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するオーディオ再生手段、
マイクの入力信号を受信するマイク入力信号受信手段、および
前記複数チャンネルのチャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカからオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段として機能させ、
前記オーディオ出力手段は、
前記オーディオ再生手段により再生された前記複数チャンネルのオーディオ信号を、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力する通常再生モードと、前記マイク入力信号受信手段により受信されたマイクの入力信号を、所定チャンネルのオーディオ信号として、前記オーディオ再生手段により再生された、当該所定チャンネルを除く前記複数チャンネルのオーディオ信号とともに、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力するカラオケ再生モードと、を有する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオコンテンツをサラウンド再生するマルチチャンネルオーディオ装置を用いたマルチチャンネルオーディオ再生方法であって、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
動作モードが通常再生モードである場合、前記マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生して、チャンネル毎に、当該チャンネルのオーディオ信号を、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力し、
動作モードがカラオケ再生モードである場合、前記マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するとともに、所定チャンネルのオーディオ信号をマイクの入力信号に置き代えて、チャンネル毎に、当該チャンネルのオーディオ信号あるいはマイクの入力信号を、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオ再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネルオーディオ再生技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオコンテンツをサラウンド再生するマルチチャンネルオーディオ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のマルチチャンネルオーディオ装置は、マルチチャンネルオーディオコンテンツのチャンネル毎にオーディオ信号を増幅して、このチャンネルに対応するスピーカから出力している。これにより、ユーザは、サラウンド環境を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自宅において、よく聴いているマルチチャンネルオーディオコンテンツのカラオケをサラウンド環境で個人的に楽しみたいという要望がある。
【0005】
しかしながら、従来は、マルチチャンネルオーディオ装置によりサラウンド再生されたマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているボーカリストの歌声に合わせて歌わなければならず、十分にカラオケを楽しむことはできなかった。十分にカラオケを楽しむためには、ボーカリストの歌声が記録されていないカラオケ用のマルチチャンネルオーディオコンテンツを別途用意しなければならず、追加の出費が必要であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、カラオケ用のマルチチャンネルオーディオコンテンツを別途用意しなくても、マルチチャンネルオーディオコンテンツのカラオケをサラウンド環境で実現することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマルチチャンネルオーディオ装置は、マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生して、チャンネル毎にオーディオ信号を対応スピーカから出力する通常再生モードに加えて、マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するとともに、所定チャンネル(例えばセンターチャンネル)のオーディオ信号をマイクの入力信号に置き代えて、チャンネル毎にオーディオ信号およびマイクの入力信号を対応スピーカから出力するカラオケ再生モードを有する。ここで、マイクの入力信号は、ワイヤレス端末を介してマルチチャンネルオーディオ装置に無線送信されるものでもよい。
【0008】
例えば、本発明は、
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオコンテンツをサラウンド再生するマルチチャンネルオーディオ装置であって、
前記マルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生するオーディオ再生手段と、
マイクの入力信号を受信するマイク入力信号受信手段と、
前記複数チャンネルのチャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカからオーディオ信号を出力するオーディオ出力手段と、を備え、
前記オーディオ出力手段は、
前記オーディオ再生手段により再生された前記複数チャンネルのオーディオ信号を、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力する通常再生モードと、前記マイク入力信号受信手段により受信されたマイクの入力信号を、所定チャンネルのオーディオ信号として、前記オーディオ再生手段により再生された、当該所定チャンネルを除く前記複数チャンネルのオーディオ信号とともに、チャンネル毎に、当該チャンネルに対応する前記スピーカから出力するカラオケ再生モードと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通常再生モードでサラウンド再生されるマルチチャンネルオーディオコンテンツにおいて、ボーカリストの歌声が記憶されているチャンネル(通常はセンターチャンネル)を、マイクの入力信号で置き換える所定チャンネルに設定して、このマルチチャンネルオーディオコンテンツをカラオケ再生モードで再生することにより、カラオケ用のマルチチャンネルオーディオコンテンツを別途用意しなくても、このマルチチャンネルオーディオコンテンツのカラオケをサラウンド環境で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係るマルチチャンネルAVシステムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、マルチチャンネルAV装置1の概略機能構成図である。
【
図3】
図3は、マルチチャンネルAV装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【
図4】
図4は、マルチチャンネルAV装置1の通常再生モードにおける再生動作を説明するためのフロー図である。
【
図5】
図5は、マルチチャンネルAV装置1のカラオケ再生モードにおける再生動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るマルチチャンネルAVシステムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係るマルチチャンネルAVシステムは、アクセスポイント7およびWAN、LAN等のネットワーク6を介してメディアサーバ5に接続されたマルチチャンネルAV装置1と、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を介してマルチチャンネルAV装置1に接続されたワイヤレス端末4と、を備えている。
【0014】
マルチチャンネルAV装置1は、メディアサーバ5からマルチチャンネルAV(オーディオビジュアル)コンテンツをダウンロードし、このマルチチャンネルAVコンテンツに含まれているビデオコンテンツをビデオ信号に再生してモニタ3に表示するとともに、この再生に同期して、このマルチチャンネルAVコンテンツに含まれているマルチチャンネルオーディオコンテンツを複数チャンネルのオーディオ信号に再生して、複数のスピーカ2-1~2-6(以下、単にスピーカ2とも呼ぶ)から出力する(サラウンド再生)。
【0015】
本実施の形態では、5.1chのマルチチャンネルAVコンテンツを再生出力する場合を例示しており、FR(Front Right)チャンネル、FL(Front Left)チャンネル、C(Center)チャンネル、SR(Surround Right)チャンネル、SL(Surround Left)チャンネル、およびSW(Sub Woofer)チャンネルに対応した6台のスピーカ2-1~2-6と、モニタ3とがマルチチャンネルAV装置1に接続されている。マルチチャンネルAV装置1は、5.1ch対応のマルチチャンネルAVコンテンツを、ビデオ信号と、FRチャンネル、FLチャンネル、Cチャンネル、SRチャンネル、SLチャンネル、およびSWチャンネルのオーディオ信号とに再生して、ビデオ信号をモニタ3に表示するとともに、各チャンネルのオーディオ信号を各チャンネルのスピーカ2-1~2-6から出力する。
【0016】
ワイヤレス端末4は、マルチチャンネルAV装置1をリモート操作するためのコントローラとして機能する。また、ワイヤレス端末4は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、マイクの入力信号をマルチチャンネルAV装置1に送信するワイヤレスマイクとして機能する。
【0017】
つぎに、マルチチャンネルAV装置1の詳細について説明する。
【0018】
なお、ワイヤレス端末4には、スマートホン、あるいは、マイクを備えたタブレットPC等の携帯端末を利用することができるので、その詳細な説明を省略する。
【0019】
図2は、マルチチャンネルAV装置1の概略機能構成図である。
【0020】
図示するように、マルチチャンネルAV装置1は、無線ネットワークインターフェース部100と、近距離無線通信部101と、コンテンツ取得部102と、操作受付部103と、マイク入力信号受信部104と、第1コンテンツ記憶部105と、第2コンテンツ記憶部106と、ビデオ再生部107と、ビデオ出力部108と、オーディオ再生部109と、オーディオ出力部110と、オーディオ生成部111と、再生タイミング調整部112と、主制御部113と、を有する。
【0021】
無線ネットワークインターフェース部100は、アクセスポイント7に無線接続するためのインターフェースである。
【0022】
近距離無線通信部101は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりワイヤレス端末4に無線接続するためのインターフェースである。
【0023】
コンテンツ取得部102は、無線ネットワークインターフェース部100を介してメデイアサーバ5からマルチチャンネルAVコンテンツをダウンロードする。
【0024】
操作受付部103は、近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4から各種操作を受け付ける。
【0025】
マイク入力信号受信部104は、近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4からマイクの入力音声を受信する。
【0026】
第1コンテンツ記憶部105は、コンテンツ取得部102によりメディアサーバ5からダウンロードされたマルチチャンネルAVコンテンツを記憶する。
【0027】
第2コンテンツ記憶部106は、後述のオーディオ生成部111により生成されたマルチチャンネルオーディオコンテンツを記憶する。
【0028】
ビデオ再生部107は、第1コンテンツ記憶部105に記憶されているマルチチャンネルAVコンテンツに含まれているビデオコンテンツを、後述のオーディオ再生部109による、このマルチチャンネルAVコンテンツに含まれているマルチチャンネルオーディオコンテンツの再生に同期して、ビデオ信号に再生する。
【0029】
ビデオ出力部108は、ビデオ再生部107により再生されたビデオ信号をモニタ3に出力する。
【0030】
オーディオ再生部109は、第1コンテンツ記憶部105に記憶されているマルチチャンネルAVコンテンツに含まれているマルチチャンネルオーディオコンテンツ、あるいは第2コンテンツ記憶部106に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツを、チャンネル毎のオーディオ信号に再生する。
【0031】
オーディオ出力部110は、自マルチチャンネルAV装置1が通常再生モードの場合、オーディオ再生部109により再生された5.1chのオーディオ信号を、それぞれ対応するチャンネルのスピーカ2-1~2-6に出力する。また、オーディオ出力部110は、自マルチチャンネルAV装置1がカラオケ再生モードの場合、オーディオ再生部109により再生された5.1chのオーディオ信号のうち、Cチャンネルのオーディオ信号を、マイク入力信号受信部104により受信されたマイクの入力信号に置き換えて、これをCチャンネルのオーディオ信号とする。そして、これら5.1chのオーディオ信号を、それぞれ対応するチャンネルのスピーカ2-1~2-6に出力する。
【0032】
オーディオ生成部111は、自マルチチャンネルAV装置1がカラオケ再生モードの場合に、オーディオ出力部110からスピーカ2-1~2-6に出力される各チャンネルのオーディオ信号(オーディオ再生部109により再生されたCチャンネル以外の各チャンネルのオーディオ信号、および、マイクの入力信号に置き換えられたCチャンネルのオーディオ信号)を含むマルチチャンネルオーディオコンテンツを生成する。
【0033】
再生タイミング調整部112は、第2コンテンツ記憶部106に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているCチャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを調整する。具体的には、Cチャンネルのオーディオ信号のタイムコードを所定時間Tだけ早める。ここで、所定時間Tは、例えば、自マルチチャンネルAV装置1およびワイヤレス端末4各々におけるマイクの入力信号の処理時間と、近距離無線通信によるワイヤレス端末4から自マルチチャンネルAV装置1までの伝搬時間と、の合計時間に設定される。
【0034】
主制御部113は、操作受付部103がワイヤレス端末4から受け付けた各種操作に従い、マルチチャンネルAV装置1の各部100~112を統括的に制御する。
【0035】
なお、
図2に示すマルチチャンネルAV装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の無線通信装置と、Bluetooth(登録商標)アダプタ等の近距離無線通信装置と、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0036】
図3は、マルチチャンネルAV装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【0037】
操作受付部103が近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4からコンテンツ取得操作を受け付けると(S100でYES)、主制御部113は、このコンテンツ取得操作で指定された楽曲名をコンテンツ取得部102に通知して、コンテンツ取得部102にマルチチャンネルAVコンテンツのダウンロードを指示する。
【0038】
これを受けて、コンテンツ取得部102は、無線ネットワークインターフェース部100を介してメディアサーバ5にアクセスし、主制御部113より通知された楽曲名のマルチチャンネルAVコンテンツをメディアサーバ5からダウンロードする。それから、主制御部113は、メディアサーバ5からダウンロードしたマルチチャンネルAVコンテンツをコンテンツ取得部102から受け付けて第1コンテンツ記憶部105に記憶する(S101)。
【0039】
また、操作受付部103が近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4から通常再生モード設定操作を受け付けると(S102でYES)、主制御部113は、自マルチチャンネルAV装置1の動作モードを通常再生モードに設定する(S103)。
【0040】
また、操作受付部103が近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4からカラオケ再生モード設定操作を受け付けると(S104でYES)、主制御部113は、自マルチチャンネルAV装置1の動作モードをカラオケ再生モードに設定する(S105)。
【0041】
図4は、マルチチャンネルAV装置1の通常再生モードにおける再生動作を説明するためのフロー図である。
【0042】
このフローは、通常再生モードにおいて、操作受付部103が近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4から、楽曲名の指定を伴う再生操作を受け付けることにより開始される。
【0043】
まず、主制御部113は、再生操作で指定された楽曲名のマルチチャンネルAVコンテンツあるいはマルチチャンネルオーディオコンテンツを第1コンテンツ記憶部105あるいは第2コンテンツ記憶部106から読み出す。そして、読み出したコンテンツがマルチチャンネルAVコンテンツならば、マルチチャンネルAVコンテンツに含まれているビデオコンテンツをビデオ再生部107に渡すとともに、マルチチャンネルAVコンテンツに含まれているマルチチャンネルオーディオコンテンツをオーディオ再生部109に渡す。一方、読み出したコンテンツがマルチチャンネルオーディオコンテンツならば、これをオーディオ再生部109に渡す。
【0044】
これを受けて、オーディオ再生部109は、主制御部113から受け取ったマルチチャンネルオーディオコンテンツを、FRチャンネル、FLチャンネル、Cチャンネル、SRチャンネル、SLチャンネル、およびSWチャンネルのオーディオ信号に再生する。また、ビデオ再生部107は、主制御部113からビデオコンテンツを受け取っている場合、このビデオコンテンツを、オーディオ再生部109によるマルチチャンネルオーディオコンテンツの再生に同期して、ビデオ信号に再生する(S110)。
【0045】
つぎに、オーディオ出力部110は、オーディオ再生部109により再生されたFRチャンネル、FLチャンネル、Cチャンネル、SRチャンネル、SLチャンネル、およびSWチャンネルのオーディオ信号を、それぞれ対応するチャンネルのスピーカ2-1~2-6に出力する。また、ビデオ出力部108は、ビデオ再生部107によりビデオ信号が再生されているならば、これをモニタ3に出力する(S111)。
【0046】
図5は、マルチチャンネルAV装置1のカラオケ再生モードにおける再生動作を説明するためのフロー図である。
【0047】
このフローは、カラオケ再生モードにおいて、操作受付部103が近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4から、楽曲名の指定を伴う再生操作を受け付けることにより開始される。
【0048】
まず、主制御部113は、マイクの入力信号の受信をマイク入力信号受信部104に指示する。これを受けて、マイク入力信号受信部104は、近距離無線通信部101を介してワイヤレス端末4からマイクの入力信号の受信を開始する(S120)。
【0049】
また、主制御部113は、再生操作で指定された楽曲名のマルチチャンネルAVコンテンツあるいはマルチチャンネルオーディオコンテンツを第1コンテンツ記憶部105あるいは第2コンテンツ記憶部106から読み出す。そして、読み出したコンテンツがマルチチャンネルAVコンテンツならば、マルチチャンネルAVコンテンツに含まれているビデオコンテンツをビデオ再生部107に渡すとともに、マルチチャンネルAVコンテンツに含まれているマルチチャンネルオーディオコンテンツをオーディオ再生部109に渡す。一方、読み出したコンテンツがマルチチャンネルオーディオコンテンツならば、これをオーディオ再生部109に渡す。
【0050】
これを受けて、オーディオ再生部109は、主制御部113から受け取ったマルチチャンネルオーディオコンテンツを、FRチャンネル、FLチャンネル、Cチャンネル、SRチャンネル、SLチャンネル、およびSWチャンネルのオーディオ信号に再生する。また、ビデオ再生部107は、主制御部113からビデオコンテンツを受け取っている場合、このビデオコンテンツを、オーディオ再生部109によるマルチチャンネルオーディオコンテンツの再生に同期して、ビデオ信号に再生する(S121)。
【0051】
つぎに、オーディオ出力部110は、オーディオ再生部109により再生されたFRチャンネル、FLチャンネル、Cチャンネル、SRチャンネル、SLチャンネル、およびSWチャンネルのオーディオ信号のうち、Cチャンネルのオーディオ信号をマイク入力信号受信部104により受信されたマイクの入力信号に置き換えて、これをCチャンネルのオーディオ信号とする(S122)。そして、オーディオ出力部110は、これら5.1chのオーディオ信号を、それぞれ対応するチャンネルのスピーカ2-1~2-6に出力する。また、ビデオ出力部108は、ビデオ再生部107によりビデオ信号が再生されているならば、これをモニタ3に出力する(S123)。
【0052】
オーディオ生成部111は、オーディオ出力部110からスピーカ2-1~2-6に出力される各チャンネルのオーディオ信号(オーディオ再生部109により再生されたCチャンネル以外の各チャンネルのオーディオ信号、および、マイクの入力信号に置き換えられたCチャンネルのオーディオ信号)を含むマルチチャンネルオーディオコンテンツを生成する。そして、主制御部113は、オーディオ生成部111により生成されたマルチチャンネルオーディオコンテンツにユニークな楽曲名(例えばシリアル番号)を付して、これを第2コンテンツ記憶部106に記憶する(S124)。なお、この楽曲名は、ユーザがワイヤレス端末4を用いて修正できることが好ましい。
【0053】
その後、主制御部113は、再生操作で指定された楽曲名のマルチチャンネルAVコンテンツあるいはマルチチャンネルオーディオコンテンツの再生が終了すると(S125でYES)、第2コンテンツ記憶部106に記憶したマルチチャンネルオーディオコンテンツの楽曲名を再生タイミング調整部112に通知して、再生タイミングの調整を指示する。これを受けて、再生タイミング調整部112は、主制御部113より通知された楽曲名に対応付けられて第2コンテンツ記憶部106に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツを読み出して、このマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているCチャンネルのオーディオ信号のタイムコードを所定時間Tだけ早めることにより、Cチャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを調整する(S126)。
【0054】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0055】
本実施の形態によれば、通常再生モードでサラウンド再生されるマルチチャンネルオーディオコンテンツにおいてボーカリストの歌声が記憶されている可能性が極めて高いCチャンネルのオーディオ信号をマイクの入力信号に置き換えるカラオケ再生モードにより、このマルチチャンネルオーディオコンテンツを再生することで、カラオケ用のマルチチャンネルオーディオコンテンツを別途用意することなく、このマルチチャンネルオーディオコンテンツのカラオケをサラウンド環境で実現することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、スマートホン、マイクを備えたタブレットPC等のワイヤレス端末4と近距離無線通信により接続して、ワイヤレス端末4からマイクの入力信号を受信するので、専用のワイヤレスマイクを別途準備しなくても、ユーザは、気軽にカラオケをサラウンド環境で楽しむことができる。
【0057】
また、本実施の形態は、カラオケ再生モードにおいて、スピーカ2-1~2-6から出力される5.1chのオーディオ信号を含むマルチチャンネルオーディオコンテンツを生成し記憶するとともに、マルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているCチャンネルのオーディオ信号(マイクの入力信号)のタイムコードを所定時間Tだけ早めることにより、Cチャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを調整する。したがって、本発明によれば、自マルチチャンネルAV装置1およびワイヤレス端末4各々におけるマイクの入力信号の処理時間と、近距離無線通信によるワイヤレス端末4から自マルチチャンネルAV装置1までの伝搬時間との合計時間を所定時間Tとして設定することにより、自分の歌声が記録されたマルチチャンネルオーディオコンテンツを、伴奏に対する自分の歌声のずれを解消した状態で、後で再生して楽しむことができる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0059】
例えば、上記の実施の形態において、再生タイミング調整部112は、第2コンテンツ記憶部106に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているCチャンネルのオーディオ信号のタイムコードを所定時間Tだけ早めることにより、Cチャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを調整している。しかし、本発明はこれに限定されない。再生タイミング調整部112が、第2コンテンツ記憶部106に記憶されているマルチチャンネルオーディオコンテンツに含まれているCチャンネルのオーディオ信号のタイムコードを、操作受付部103を介してワイヤレス端末4から受け付けたユーザの指示に従って修正するようにしてもよい。これにより、Cチャンネルのオーディオ信号の再生タイミングを調整することができる。
【0060】
また、上記の実施の形態において、オーディオ出力部110は、自マルチチャンネルAV装置1がカラオケ再生モードの場合に、オーディオ再生部109により再生された5.1chのオーディオ信号のうち、Cチャンネルのオーディオ信号を、マイク入力信号受信部104により受信されたマイクの入力信号に置き換えて、これをCチャンネルのオーディオ信号としている。しかし、本発明はこれに限定されない。ボーカリストの歌声が記録されている所定チャンネルのオーディオ信号を、マイク入力信号受信部104により受信されたマイクの入力信号に置き換えるものであればよい。そして、この所定チャンネルは、操作受付部103を介してワイヤレス端末4からその指定を受け付けてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態において、マルチチャンネルAV装置1は、ワイヤレス端末4に代えて、ワイヤレスマイクあるいは有線マイクからマイクの入力信号を受信するようにしてもよい。
【0062】
また、上記の実施の形態では、マルチチャンネルAV装置1およびワイヤレス端末4間の通信をBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により行っているが、本発明はこれに限定されない。アクセスポイント7経由で行うようにしてもよい。
【0063】
また、上記の実施の形態では、5.1chのマルチチャンネルAVコンテンツあるいはマルチチャンネルオーディオコンテンツを再生する場合を例にとり説明したが、本発明は、5.1ch以外のマルチチャンネルAVコンテンツあるいはマルチチャンネルオーディオコンテンツを再生する場合に広く適用できる。また、メディアサーバ5からダウンロードするコンテンツは、マルチチャンネルAVコンテンツに限定されず、マルチチャンネルオーディオコンテンツでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1:マルチチャンネルAV装置 2-1~2-6:スピーカ 3:モニタ
4:ワイヤレス端末 5:メディアサーバ 6:ネットワーク
7:アクセスポイント 100:無線ネットワークインターフェース部
101:近距離無線通信部 102:コンテンツ取得部 103:操作受付部
104:マイク入力信号受信部 105:第1コンテンツ記憶部
106:第2コンテンツ記憶部 107:ビデオ再生部 108:ビデオ出力部
109:オーディオ再生部 110:オーディオ出力部
111:オーディオ生成部 112:再生タイミング調整部 113:主制御部