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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048881
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/12 20170101AFI20220318BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220318BHJP
【FI】
G06T7/12
G06T7/00 350C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020154928
(22)【出願日】2020-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】517198517
【氏名又は名称】クリスタルメソッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】河合 継
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA72
5L096HA09
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA09
(57)【要約】
【課題】処理対象の部品ごとの特徴が少なく、部品ごとに属性を持たせにくい場合も部品の抽出が可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】物体を2次元で表したデータである物体データを基に物体を複数の部品に分割する情報処理装置であって、物体データを取得する取得部と、物体データを、分割用学習済みモデルを用いて複数の領域に分ける領域分割部と、を備え、分割用学習済みモデルには、物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、複数の部品のそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された物体の全体の輪郭2次元情報と複数の部品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性が記憶されている、情報処理装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を2次元で表したデータである物体データを基に物体を複数の部品に分割する情報処理装置であって、
前記物体データを取得する取得部と、
前記物体データを、分割用学習済みモデルを用いて複数の領域に分ける領域分割部と、を備え、
前記分割用学習済みモデルには、前記物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、前記複数の部品のそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された前記物体の全体の輪郭2次元情報と前記複数の部品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性が記憶されている、情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記物体データの代わりに前記物体を3次元で表したデータである3次元データを取得し、
前記3次元データの所定の範囲ごとの2次元情報を算出して、前記物体に対する2次元情報の分布を示した2次元情報分布データを前記物体データとして生成する2次元情報データ生成部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
それぞれの前記領域の2つ以上に対する前記物体の状態を、状態判定用学習済みモデルを使用することで判定する状態判定部を、さらに備え、
前記状態判定用学習済みモデルには、前記領域と、前記領域に対する状態情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された複数の前記領域と複数の前記状態情報との間における連関性が記憶され、
前記状態情報は、前記物体の前記領域ごとの状態であり、
前記状態情報を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
物体を2次元で表したデータである物体データを基に物体を複数の部品に分割する情報処理方法であって、
前記物体データを取得する第1のステップと、
前記物体データを、分割用学習済みモデルを用いて複数の領域に分ける第2のステップと、を備え、
前記分割用学習済みモデルには、前記物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、前記複数の部品のそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された前記物体の全体の輪郭2次元情報と前記複数の部品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性が記憶されている、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、位置合わせの基準となる基準部品を選択し、アライメント画像を作成し、アライメント画像を用いて、部品の属性を認識して、部品を抽出する技術について開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-039994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載されたような従来の手法は、基準部品を選択し、部品の属性を認識する必要があり、処理対象の部品ごとの特徴がなければ部品の抽出が難しいという課題があった。
【0005】
本発明の実施の形態の一態様は、処理対象の部品ごとの特徴が少なく、部品ごとに属性を持たせにくい場合も部品の抽出が可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
物体を2次元で表したデータである物体データを基に物体を複数の部品に分割する情報処理装置であって、物体データを取得する取得部と、物体データを、分割用学習済みモデルを用いて複数の領域に分ける領域分割部と、を備え、分割用学習済みモデルには、物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、複数の部品のそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された物体の全体の輪郭2次元情報と複数の部品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性が記憶されている、情報処理装置を提供する。
【0007】
物体を2次元で表したデータである物体データを基に物体を複数の部品に分割する情報処理方法であって、物体データを取得する第1のステップと、物体データを、分割用学習済みモデルを用いて複数の領域に分ける第2のステップと、を備え、分割用学習済みモデルには、物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、複数の部品のそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された物体の全体の輪郭2次元情報と複数の部品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性が記憶されている、情報処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば処理対象の部品ごとの特徴が少なく、部品ごとに属性を持たせにくい場合も部品の抽出が可能な情報処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態による学習段階及び利用段階における情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態による3次元データ及び3次元データに基づく曲率の分布を示す曲率分布データである。
図3図3は、第1の実施の形態による分割用学習済みモデルを示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態による学習段階における入力データと出力データの組み合わせを格納する学習時入出力組合せテーブルを示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態による学習段階における分割用学習済みモデル生成処理及び利用段階における分割処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施の形態による分割用学習済みモデルの他の利用方法を示す図である。
図7図7は、第2の実施の形態による学習段階及び利用段階における情報処理装置の構成を示すブロック図である。学習段階及び利用段階における情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施の形態による状態判定用学習済みモデルを示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態によって判定される物体の状態の一例を示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態による学習段階における状態判定用学習済みモデル生成処理及び利用段階における状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下図面を用いて、本発明の実施の形態の一態様を詳述する。なお本実施の形態の一態様における物体とは、複数の部品から構成されているものとする。
【0011】
図1図2及び図3を用いて説明を行う。図1は、本実施の形態による学習段階及び利用段階における情報処理装置1の構成を示すブロック図である。図2は、本実施の形態による3次元データ15及び3次元データに基づく曲率の分布を示す曲率分布データ20である。なお曲率は2次元情報の一例であって、曲率分布データ20は、2次元情報の分布を示す2次元情報分布データの一例とする。図3は、本実施の形態による分割用学習済みモデルDB1を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態による情報処理装置1は、中央演算装置2、主記憶装置3及び補助記憶装置10を備える。中央演算装置2は、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、主記憶装置3に記憶されたプログラムを呼び出すことで処理を実行する。主記憶装置3は、例えばRAM(Random Access Memory)であって、後述の取得部4、曲率分布データ生成部5、領域分割部6、学習済みモデル生成部7及び出力部9といったプログラムを記憶する。
【0013】
補助記憶装置10は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)であって、後述の分割用学習済みモデルDB1などのデータベースを記憶する。なお取得部4、曲率分布データ生成部5、領域分割部6、学習済みモデル生成部7及び出力部9は、公知の技術を利用してもよい。
【0014】
まず情報処理装置1が、図1に示す利用段階のように例えば図2に示す物体の3次元データ15を基に物体の状態を判定する場合について説明する。取得部4は、3Dスキャナなどの入力装置11によって物体がスキャンされることで生成される3次元データ15を入力装置11から取得する。なお取得部4は、後述の物体データを直接取得してもよいものとする。
【0015】
なお本発明においては、3次元は立体を指し、2次元は平面を指すものとする。図2に示す3次元データ15において符号A~Lは、物体を構成するそれぞれの部品に付されたタグの一例である。符号A~Lのタグが付された部品をそれぞれ部品A~Lと呼んでもよい。
【0016】
曲率分布データ生成部5は、3次元データ15の頂点を含む所定の範囲ごとの面の曲がり具合である曲率を算出して曲率の分布を示した2次元データである図2に示すような曲率分布データ20を生成する。なお例えば所定の範囲とは予め設定された範囲とする。例えば曲率は、図2に示すように第1の範囲から第4の範囲として4等分して表示される。なお図2においては、第1の範囲~第4の範囲を網掛け種別1~4で示している。
【0017】
また例えば3次元データ15はメッシュデータであり、曲率分布データ生成部5はメッシュデータのそれぞれの頂点の曲率を例えば2つ以上のメッシュを指定することで算出する。なお曲率分布データ生成部5は、2次元情報データを生成する2次元情報分布データ生成部の一例とする。
【0018】
領域分割部6は、物体を2次元で表したデータである物体データを、図3に示す分割用学習済みモデルDB1を用いて領域30A,30B,…,30L(30)といった物体を構成する部品A~Lと対応する複数の領域に分ける。物体データは例えば曲率分布データ20のような2次元情報分布データとする。
【0019】
分割用学習済みモデルDB1には、物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報35と、複数の部品A~Lのそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報36A~36L(36)と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成された物体の全体の輪郭2次元情報35と複数の物品のそれぞれの輪郭2次元情報36との間における連関性が記憶される。
【0020】
ここで学習とは例えば機械学習を指し、具体的にはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いるものとする。物体の全体の輪郭2次元情報と複数の物品のそれぞれの輪郭2次元情報との間における連関性は、具体的には、図3に丸で示すノードと矢印で示すエッジとエッジに設定される重み係数によってあらわされる畳み込みニューラルネットワークによって表すことができる。
【0021】
分割用学習済みモデルDB1は、図4に示すような学習の際に用いるテーブルである学習時入出力組合せテーブルTB1に格納された入力と出力の組み合わせを複数用いることで生成される。図4は、本実施の形態による学習段階における入力データと出力データの組み合わせを格納する学習時入出力組合せテーブルTB1を示す図である。
【0022】
図4に示すように学習時入出力組合せテーブルTB1には、入力欄には輪郭2次元情報35が1つ格納され、出力欄には2次元情報36A~36Lが物体を構成する部品の数だけ格納される。ここで輪郭2次元情報35、36A~36Lは、例えば物体を撮像した画像を人が手作業(以下、これを所定の方法と呼んでもよい)で物体や部品の輪郭をなぞったような情報とする。
【0023】
所定の方法は、物体を撮像した画像からエッジを検出する方法などでもよく、複数の入出力の組み合わせのうちのいくつかは、人による手作業、他のいくつかはエッジ検出などとして、複数の方法による組み合わせを混ぜてもよいものとする。
【0024】
学習時入出力組合せテーブルTB1に格納される入力と出力を生成する際に、所定の方法を行う対象は、物体を撮像した画像でなくともよく、曲率分布データ20や3次元データ15を投影変換して2次元データとした投影変換データ31などでもよい。
【0025】
出力部9は、例えばディスプレイやスマートフォンといった提示装置12に分割の結果として曲率分布データ20と領域30A,30B,…,30Lと1組として出力する。提示装置12は、出力部9から取得した状態情報を元に画像で提示を行う。
【0026】
図3に示すように分割用学習済みモデルDB1への曲率分布データ20の入力は、例えば画素p1,p2といった画素ごととする。分割用学習済みモデルDB1と同様に、分割用学習モデルDB1’への輪郭2次元情報35,36A~36Lの入力も画素ごととする。分割用学習済みモデルDB1や分割用学習モデルDB1’への入力は、複数の画素ごととしてもよいものとする。
【0027】
次に情報処理装置1が、図1に示す学習段階のように例えば図2に示す物体の3次元データ15を基に物体を分割するための分割用学習済みモデルDB1を分割用学習モデルDB1’から生成する場合について説明する。
【0028】
ここでは教師あり学習を例に説明する。取得部4は、例えば入力装置13から学習時入出力組合せテーブルTB1を取得する。なお分割用学習済みモデルDB1は予め用意されていてもよいものとする。
【0029】
学習済みモデル生成部7は、物体の全体の輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報35と、複数の部品A~Lのそれぞれの輪郭を2次元情報で表した輪郭2次元情報36A~36L(36)と、を一対の学習データとして複数用い、分割用学習モデルDB1’による学習により、物体の全体の輪郭2次元情報35と複数の物品のそれぞれの輪郭2次元情報36との間における連関性が記憶された分割用学習済みモデルDB1を生成する。生成された分割用学習済みモデルDB1は、例えば補助記憶装置10に記憶される。
【0030】
次に図5を用いて説明を行う。図5は、本実施の形態による学習段階における分割用学習済みモデル生成処理及び利用段階における分割処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず学習段階における分割用学習済みモデル生成処理について説明する。まず取得部4は、複数の学習データを入力装置13から取得する(S1)。学習データとは、学習時入出力組合せテーブルTB1のような入力と出力が組になったデータとする。次に学習済みモデル生成部7は、取得部4が取得した複数の学習データを用いて分割用学習モデルDB1’による学習を行い(S2)、分割用学習済みモデルDB1を生成する(S3)。
【0032】
次に利用段階における分割処理について説明する。まず取得部4は、3次元データ15を取得する(S4)。次に曲率分布データ生成部5は、3次元データ15の頂点を含む所定の範囲ごとの面の曲がり具合である曲率を算出して曲率の分布を示した2次元データである曲率分布データを生成する(S5)。
【0033】
次に領域分割部6は、曲率分布データ20のような2次元情報分布データを、図3に示す分割用学習済みモデルDB1を用いて領域30A,30B,…,30Lといった物体を構成する部品A~Lと対応する複数の領域に分ける領域分割を行う(S6)。
【0034】
以上のように、本実施の形態における情報処理装置1は、利用段階において、分割用学習済みモデルDB1を用いることで3次元データ15に基づく曲率分布データなどの2次元情報分布データを分割する処理を行う。なお分割用学習済みモデルDB1は、精度が高くなるような所定の方法が対象に対して適用されたうえで生成されている。
【0035】
このため、本実施の形態における情報処理装置1は、処理対象の部品ごとの特徴が少なく、部品ごとに属性を持たせにくい場合も部品の抽出が可能となる。例えば本実施の形態による情報処理装置1によれば、各ピースの特徴があまりない完成済みのホワイトパズルを各ピースに分割する処理なども可能となる。また本実施の形態における情報処理装置1は、結果を出力する出力部を備えるため、情報処理装置1の使用者に情報処理の結果を知らせることができる。
【0036】
なお本実施の形態においては、取得部4、曲率分布データ生成部5、領域分割部6、学習済みモデル生成部7及び出力部9は、プログラムとしたがこれに限らず論理回路でもよい。また取得部4、曲率分布データ生成部5、領域分割部6、学習済みモデル生成部7、出力部9及び分割用学習済みモデルDB1は1つの装置に実装されておらず、ネットワークで接続された複数の装置に分散して実装されていてもよい。
【0037】
なお本実施の形態においては、学習段階において情報処理装置1は、教師あり学習をするとしたが、これに限らず教師なし学習をしてもよい。また分割用学習済みモデルDB1は、CNNによって構築されずに、CNN以外の深層学習手段や、SVM(Support Vector machine)などによって構築されてもよい。
【0038】
また本実施の形態においては、図6に示すように曲率分布データ20のような2次元情報分データ以外を物体データとして分割用学習済みモデルDB1への入力としてもよい。物体データは、投影変換データ31でもよいし、物体を撮像したデータでもよいし、3次元データ15を撮像したデータとしてもよい。図6は本実施の形態による分割用学習済みモデルDB1の他の利用方法を示す図である。
【0039】
例えば分割用学習済みモデルDB1に投影変換データ31を入力した場合、分割用学習済みモデルDB1は、領域32A,32B,…,32L(32)といった物体を構成する部品A~Lと対応する複数の領域を出力する。なお投影変換データ31を分割用学習済みモデルDB1への入力とする場合、曲率分布データ生成部5の代わりに投影変換データ31を生成する投影変換データ生成部が必要となる。なお、分割用学習済みモデルDB1への入力は、3次元データ15を撮像したものでもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態においては、例えば利用段階において領域分割部6が曲率分布データ20を、分割用学習済みモデルDB1を用いて領域30A,30B,…,30Lといった複数の領域に分ける場合について説明したが、本発明はこれに限らない。本実施の形態においては、領域分割部6によって分割された領域を用いて、さらに物体の状態の判定を行う。
【0041】
本実施の形態においては、第1の実施の形態との差分に着目して説明を行う。図7は、本実施の形態による学習段階及び利用段階における情報処理装置1の構成を示すブロック図である。図8は、本実施の形態による状態判定用学習済みモデルDB2を示す図である。
【0042】
図7に示すように本実施の形態における情報処理装置1は、さらに状態判定部8及び複数の状態判定用学習済みモデルDB2を備える。例えば、状態判定部8はプログラムであって主記憶装置3に記憶され、状態判定用学習済みモデルDB2はデータベースであって補助記憶装置10に記憶される。状態判定部8は既知の技術を利用してもよい。出力部9は、提示装置12に状態情報を出力し、提示装置12は、出力部9から取得した状態情報を元に画像や音などで正常やしわといった状態情報の提示を行う。
【0043】
まず利用段階の説明を行う。状態判定部8は、例えば、それぞれの領域30A~30Lの少なくとも1つに対する物体の状態を、図8に示す状態判定用学習済みモデルDB2を使用し、領域30A~30Lを入力データとし、入力データに対する、しわや正常といった状態情報を出力することで、判定する。
【0044】
状態判定用学習済みモデルDB2は、領域30A,30B,…,30F,…,30Lといった領域と、領域に対する物体の状態の情報である状態情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により生成され、複数の領域と複数の状態情報との間における連関性が記憶されている。状態情報とは、正常やしわといった情報とする。ここで学習とは例えば機械学習を指し、具体的にはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いるものとする。
【0045】
複数の領域と複数の状態情報との間における連関性は、具体的には、図8に丸で示すノードと矢印で示すエッジとエッジに設定される重み係数によってあらわされる畳み込みニューラルネットワークによって表すことができる。
【0046】
なお図8に示すように状態判定用学習済みモデルDB2は、例えば、部品A~Lごとに生成される。また図8に示すように状態判定用学習済みモデルDB2への領域30A~30Lといった領域30A~30Lごとの入力は、例えば画素p1,p2といった画素ごととする。
【0047】
状態判定用学習済みモデルDB2と同様に、状態判定用学習モデルDB2’への領域30A~30Lごとの入力も画素ごととする。なお状態判定用学習済みモデルDB2は、領域ごとに生成されず、共通のものが1つ生成されてもよい。状態判定用学習モデルDB2’への入力は、複数の画素ごととしてもよいものとする。
【0048】
次に情報処理装置1が、学習段階において例えば図2に示す物体の3次元データ15を基に物体の状態を判定するための状態判定用学習済みモデルDB2を状態判定用学習モデルDB2’から生成する場合について説明する。ここでは教師あり学習を例に説明する。なお状態判定用学習済みモデルDB2は予め用意されていてもよいものとする。
【0049】
取得部4は、物体の状態の情報である物体情報をカメラなどの入力装置13から取得する。物体情報は、例えば3次元データ15の元となる物体を撮像した画像を情報処理装置1の外部の装置における学習によって画像処理などで判別した結果であって、位置情報と状態情報とする。位置情報とは例えば物体におけるどの位置かを示す情報であって、画像内の座標情報などとする。
【0050】
領域分割部6は、物体情報が複数の領域30A~30Lのうちのいずれかの領域30A~30Lに割り当てられているかの割当を、位置情報を参照し特定する。学習済みモデル生成部7は、領域分割部6によって特定された割当を参照して領域30A~30Lに対する状態情報を教師データとして学習を行う。
【0051】
学習済みモデル生成部7は、領域30A~30Lと、状態情報と、を一対の学習データとして複数用い、状態判定用学習モデルDB2’による学習により、複数の領域30A~30Lと複数の状態情報との間における連関性が記憶された状態判定用学習済みモデルDB2を生成する。生成された状態判定用学習済みモデルDB2は、例えば補助記憶装置10に記憶される。
【0052】
次に図9を用いて説明を行う。図9は、本実施の形態によって判定される物体の状態の一例を示す図である。図9では、例えば3次元データ15の部品Fにしわ16が現れており、曲率分布データ20の領域30Fにしわ21が現れている。
【0053】
図9に示すように曲率分布データ20を領域30A~30Lごとに分けると、しわ21が目立ちやすくなる。本実施の形態において、例えば、情報処理装置1は領域30A~30Lごとに状態判定用学習済みモデルDB2を生成し、領域30A~30Lごとに状態判定用学習済みモデルDB2を用いて処理を行う。
【0054】
次に図10を用いて説明を行う。図10は、本実施の形態による学習段階における状態判定用学習済みモデル生成処理及び利用段階における状態判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
学習段階及びに利用段階におけるステップS4~S6は第1の実施の形態において説明しているので説明を省略する。まず学習段階に関しての説明を行う。次に領域分割部6は、物体情報が複数の領域30A~30Lのうちのいずれかの領域30A~30Lに割り当てられているかの割当を、位置情報を参照し特定する。学習済みモデル生成部7は、領域分割部6によって特定された割当を参照し領域に対する物体の状態を示す状態情報を教師データとして学習を行う(S11)。
【0056】
次に学習済みモデル生成部7は領域30A~30Lと、状態情報と、を一対の学習データとして複数用いた学習により、領域30A~30Lと状態情報との間における連関性が記憶された状態判定用学習済みモデルDB2を状態判定用学習モデルDB2’から例えば領域30A~30Lごとに生成し(S12,S13)、学習済みモデル生成処理は終了する。
【0057】
学習済みモデル生成部7は、それぞれの領域30A~30Lに関して未処理の領域がなくなるまで処理を行う。学習済みモデル生成処理では、1つの物体の3次元データから物体に含まれる複数の領域30A~30Lのそれぞれの状態判定用学習済みモデルDB2を生成する。
【0058】
次に利用段階に関しての説明を行う。状態判定部8は、例えば、それぞれの領域30A~30Lの少なくとも1つに対する物体の状態を、部品A~Lごとの状態判定用学習済みモデルDB2を使用し、領域30A~30Lを入力データとし、入力データに対する、しわや正常といった状態情報を出力することで、判定する(S15,S16)。状態判定部8は、それぞれの領域30A~30Lに関して未処理の領域がなくなるまで処理を行う。
【0059】
出力部9は、状態判定部8が判定した領域30A~30Lに対する物体の状態に基づいて、判定用領域に対する物体の状態を提示装置12に出力し(S17)、状態判定処理は終了する。提示装置12は、領域30A~30Lに対する正常やしわといった状態情報を提示する。
【0060】
以上のように、本実施の形態における情報処理装置1は、領域分割部6によって分割された領域を用いて、さらに物体の状態の学習や判定を行う。このため、本実施の形態における情報処理装置1は、学習段階においても利用段階においても、精度を保ったまま物体の状態を判定する処理の時間を短くすることができる。
【0061】
なお本実施の形態においては、状態判定部8及び出力部9は、プログラムとしたがこれに限らず論理回路でもよい。状態判定部8及び状態判定用学習済みモデルDB2は1つの装置に実装されておらず、ネットワークで接続された複数の装置に分散して実装されていてもよい。
【0062】
なお本実施の形態においては、利用段階において情報処理装置1は、物体の状態を判定するとしたが、これに限らない。例えば、利用段階において情報処理装置1は、物体の状態の判定の結果が正常でなかった場合に、異常を検出するようにしてもよい。
【0063】
なお本実施の形態においては、学習段階において情報処理装置1は、教師あり学習をするとしたが、これに限らず教師なし学習をしてもよい。また状態判定用学習済みモデルDB2は、CNNによって構築されずに、CNN以外の深層学習手段や、SVM(Support Vector machine)などによって構築されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,30……情報処理装置、2……中央演算装置、3……主記憶装置、4……取得部、5……曲率分布データ生成部、6……領域分割部、7……学習済みモデル生成部、8……状態判定部、9……出力部、10……補助記憶装置、11,13……入力装置、12……提示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10