(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048939
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】支柱引き抜き装置の横スライド機構
(51)【国際特許分類】
A01G 17/16 20060101AFI20220318BHJP
A01G 22/25 20180101ALI20220318BHJP
【FI】
A01G17/16
A01G22/25 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020168756
(22)【出願日】2020-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】596016937
【氏名又は名称】株式会社苫米地技研工業
(72)【発明者】
【氏名】苫米地 力
(57)【要約】 (修正有)
【課題】長いもネットを活用した狭幅の寄せ畝栽培など多種の作付け普及により、トラクタの走行位置と支柱抜き取り位置が不適合な場合もあり作業効率が悪くなっている。
【解決手段】トラクタの一側部に進行方向と平行状に配置した支柱引き抜き装置であって、前記トラクタの三点リンクに装着した装着フレームの一側部に連結フレームを配置し、支柱を引き抜く為の把持ユニット4と前記把持ユニット4を先端に支持した昇降アーム7と、前記昇降アーム7によって引き抜かれた支柱を貯留する載置台6を有した支柱引き抜きユニットAを付設し、前記連結フレームを前記装着フレームに対して側方へスライドする手段を具備した支柱引き抜き装置の横スライド機構。走行方向に直行した摺動軸を前記装着フレームに配置し、前記連結フレームの基部を油圧シリンダで摺動させることで支柱抜き取りユニットAが左右方向へ移動スライドする、支柱引き抜き装置のスライド機構。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタの一側部に進行方向と平行状に配置した支柱引き抜き装置であって、前記トラクタの三点リンクに装着した装着フレームの一側部には連結フレームを配置して、支柱を引き抜く為の把持ユニットと把持ユニットを先端に支持した昇降アームと前記昇降アームによって引き抜かれた支柱を後方で貯留する載置台を有した支柱抜き取りユニットを付設し、前記連結フレームを前記装着フレームに対して側方へスライドする手段を具備したことを特徴とした支柱引き抜き装置の横スライド機構
【請求項2】
前記したスライド手段は装着フレームに走行方向に直行した摺動軸を配置し、この摺動軸を前記連結フレームの基部が油圧シリンダにより摺動することによって支柱抜き取りユニットが左右方向へ移動スライドする請求項1記載の支柱引き抜き装置の横スライド機構
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長いもの蔓巻き処理後の支柱引き抜き装置に関するもので、詳しくはトラクタが走行しながら支柱を連続して抜きあげて後部に搭載して回収する自走型の支柱引き抜き装置の横スライド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の長いも支柱引き抜き装置については、同一出願人による平成31年2月12日出願の特願2019-38020号「長いも栽培等の支柱引き抜き装置」として提案されている。
前記の明細書に記載されている構成は、長いも生育後の支柱引き抜き装置であって、走行手段に付設し、支柱を引き抜く為の左右挟持部材を有した把持ユニットと、把持ユニットを先端に支持した昇降アームと、前記昇降アームが上死点に達した後に、支柱を把持した把持ユニットから支柱が後方の貯留部へ移動され、支柱抜き取りより貯留搭載までを一連の連続動作としたことを特徴とした、長いも栽培等の支柱引き抜き装置であって、また、支柱を引き抜く為の把持ユニットは昇降アームの先端に前後左右自在の継手を介して吊持してなり、把持ユニットは常に垂直方向に短時間に昇降するものであって、また前記長いも栽培等の支柱引き抜き装置において昇降アームの上半部は折り曲げ可能に構成されて、昇降アームが上死点に達した後に上部アームが折れ曲がり把持ユニットが反転傾斜して後方の載置台へ支柱を放出する構成を特徴とする支柱引き抜き装置」であって圃場の支柱を連続して引き抜いてそれを圃場の外に搬送する装置を提供したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した同一出願人による特許文献1によれば、支柱の抜き取り、貯留搭載が連続して行われ、長いも生育後の支柱回収作業はワン工程で短時間に完結し圃場外に搬出できる。しかし、近年は長いもネットを活用した狭幅の寄せ畝栽培などの多種の作付けが普及して、トラクタの走行位置と支柱抜き取り位置が不適合な場合も出てきて効率が悪くなっている。また圃場の畔際の栽培畝とトラクタの走行路の確保が合わずに支柱抜き取りが困難な場所もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記の課題を解決するために、トラクタの一側部に進行方向と平行状に配置した支柱引き抜き装置であって、前記トラクタの三点リンクに装着した装着フレームの一側部には連結フレームを配置して、支柱を引き抜く為の把持ユニットと把持ユニットを先端に支持した昇降アームと前記昇降アームによって引き抜かれた支柱を後方で貯留する載置台を有した支柱抜き取りユニットを付設し、前記連結フレームを前記装着フレームに対して側方へスライドする手段を具備したことを特徴とした支柱引き抜き装置の横スライド機構である。また
前記したスライド手段は装着フレームに走行方向に直行した摺動軸を配置し、この摺動軸を前記連結フレームの基部が油圧シリンダにより摺動することによって支柱抜き取りユニットが左右方向へ移動スライドする支柱引き抜き装置のスライド機構である。
【発明の効果】
【0006】
前記した支柱抜き取りユニット部を付設した連結フレームを前記装着フレームに対して側方へスライドする手段を具備した構成により、種々の幅の長いも寄せ植え等の支柱抜きに於いても、トラクタの一側部に抜き取りユニットを横方向にスライドさせて適合調整できるので便利になった。また、スライド手段は装着フレームに走行方向に直行した摺動軸を配置し、この摺動軸を前記連結フレームの基部が油圧シリンダによって摺動するのでトラクタに座上したまま支柱抜き取り位置を任意に確実に調整できる。従って近年普及してきた長いもの蔓を誘引させて成長させる狭幅の畝や、圃場の境界際のトラクタの走行路の取れない畦に対しても抜き取り部をスライドして抜き取り位置を設定できて汎用性が高まり効率的になった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は前記の課題を解決するために、トラクタの一側部に進行方向と平行状に配置した支柱引き抜き装置であって、前記トラクタの三点リンクに装着した装着フレームの一側部には連結フレームを配置して、支柱を引き抜く為の把持ユニットと把持ユニットを先端に支持した昇降アームと前記昇降アームによって引き抜かれた支柱を後方で貯留する載置台を有した支柱抜き取りユニットを付設し、前記連結フレームを前記装着フレームに対して側方へスライドする手段を具備したことを特徴とした支柱引き抜き装置の横スライド機構である。また
前記したスライド手段は装着フレームに走行方向に直行した摺動軸を配置し、この摺動軸を前記連結フレームの基部が油圧シリンダにより摺動することによって支柱抜き取りユニットが左右方向へ移動スライドする支柱引き抜き装置のスライド機構を有した構成である。
【実施例0009】
実施した図面について説明する。
図1は本発明を実施した前方斜視図を示す。1は走行車で、本実施例では農用トラクタを使用し、後部の三点リンクによって引き抜きユニットの機枠体5を走行方向に対して平行状に配置して連結している。機枠体5には走行方向と平行に昇降アーム7が配置される。昇降アーム7の先端には支柱5を引き抜くための左右挟持部材2を有した把持ユニット4が吊持されている。図に示している挟持部材2は3の支柱を挟持している。支柱3は一対のガイド体10によって持ユニット4に案内される。把持ユニット4は昇降アーム7の先端に自在接手25を介して吊持して、把持ユニット4は常に垂直方向に短時間に昇降する構成である。
8は油圧シリンダを示し、下端が機枠体5に支承されて上端は昇降アーム7に支承されて、伸縮動作によって昇降アーム7を適宜回動し把持ユニット4を昇降する。昇降アーム7の上半部は分割されて折り曲げ自在の上部アーム11である。である。12は規制リンクで前記の上部アーム11の作動を規制するものである。6は載置台を示し、把持ユニット4で抜き取った支柱3を貯留載置するものである。
図2は本発明を実施して、一部を省略した側面図である。1は走行車で、29は装着フレームを示し、走行車1の3点リンクによって装着したもので、下部に連結フレーム14を支承する、5は機枠体でAの支柱引き抜きユニットを支持している。7は昇降アームで上半部は折り曲げ自在の上部アーム11を構成し、上部アーム11の先端に把持ユニット4を吊持している。12は規制リンクで上部アーム11の作動を規制する。8は往復油圧シリンダで伸縮によって昇降アームの先端に吊持した把持ユニット4を上昇させてR-1の軌跡で回動し、把持した支柱3を抜き上げる。25は自在接手を示し前後左右に自在に作動し、挟持部材に挟持された支柱は常に垂直方向に短時間に昇降する。昇降アーム7の回動が上死点近傍で、規制リンク12によって規制されて上部アーム11が折曲がってR-2の軌跡になり、把持ユニット4は反転して傾斜する。この時、挟持部材2は自重によって挟持部材2が開放して支柱3を載置台6に放擲して貯留する。
図3は一部を省略した平面図で1は走行車を示し本実施例では農用トラクタである。15はトップリンク、16は1対のロアリンクで三点リンクを構成し、29の装着フレームを装着する。装着フレーム29の下部にはスライド機構を介して連結フレーム14を支承する。30はスライド手段のスライドシリンダを示す。5は機枠体で14の連結フレームに固着されてAの支柱引き抜きユニットを走行車と平行状に配置して支持する。23はベースフレームを示し機枠体5の前方に一対延設し、把持ユニット4の基板24を載置する。把持ユニット4がベースフレーム23に載置した状態で挟持部材2は開いた状態で進行すると支柱3を挟み込む。走行車1の走行速度は支柱抜き取りから貯留搭載までの作業工程時間に対応する制御手段を具備したもので、本実施例に於いては油圧無断駆動4輪車でロータリ耕耘速度と同等でよい。
図4は把持ユニット4の挟持部材2が支柱3を挟持して抜きあがる直前の状態を示したものである。油圧シリンダ8が支軸-1を支点として伸びると昇降アーム12が17の基軸を支点として昇降して支柱3を挟持して上昇する。この時、規制リンク12は支軸-2の19を支点として上部アーム11側の支軸-3の20を支点として上部アームを規制して折曲げ作用する。9は当て部材で折曲がって反転した上部アーム11を停止させる。25は自在接手を示し、上部アーム11の先端で把持ユニット4を吊持する部材で横軸と縦軸を有し前後左右自在に動き、常に挟持部材2を垂直方向に支持する。
図5は同じく上部アーム11が折れ曲がりつつ把持ユニット4が反転する直前の状態を示す。9は昇降アームの上面に設けた当て部材で、上部アーム11が反転した時にストッパーである。
図6は同じく上部アーム11が反転して傾斜した状態を示す。上部アーム11が折曲がり前記9の当て部材に衝突して把持ユニット4の基板24が自重で下降し挟持部材2が左右に開いて支柱3が放擲されて9の載置台に投入される状態を示したものである。29は装着フレームでトラクタに対して15のトップリンクと16の一対のロアリンクによって装着す。14は連結フレームを示す。
図7は把持ユニット4の説明図を示す。(イ)は把持ユニット4の基板24がベースフレーム23に載置した状態を示す。ベースフレーム23に基板24が当接した状態で上部アーム11が幾分下降するとステイ26が下降しリンク板27を回動する。リンク板7は回動軸28を支点として回動し左右の挟持部材2を開いた状態で安定する。(ロ)は上部アームが少し上昇し基板24に対してステイ26がリンク板27を矢印方向に回動させて支柱3を挟持した状態を示す。(ハ)は上部アーム11が折れ曲がり当て部材9に衝突して停止して、その時把持ユニット4が反転して、リンク板が矢印の方向に動作して挟持部材2が開いた状態を示す。すなわち前記した
図6の上部アーム11が折曲がり9の当て部材に衝突して把持ユニット4の基板24が自重で下降し挟持部材2が左右に開いて支柱3が放擲される状態を示し、支柱3は9の載置台に投入され整列する。載置台6の搭載された支柱3は圃場外に移動して、油圧シリンダによる回転排出手段によって設定した場所に排出される。
図8は装着部を示す斜視図である。29の装着フレームは頂部にトップブラケット34を設け、下部左右にロアリンク35を設けてなる。31は摺動軸で装着フレーム9の内側に上下に一対かけ渡してなる。摺動軸31は走行車の進行方向に対して直行して設定される。32はパイプ軸で前記した摺動軸31の外周を横方向に移動自在に設けられる。このパイプ軸32は支持板33に固着されて下端は14の連結フレームを支承する。30はスライドシリンダで装着フレーム29の内側端と前記したパイプ軸32を支承した支持板33とに連結されて、スライドシリンダの伸縮によって連結フレーム14を左右に移動するものである。従って第3図に示した平面図の通り30のスライドシリンダが伸縮すれば抜き取りユニットAが左右(F1,F2)に移動して、適宜に畝幅によって変わる支柱抜き位置に適合ができる。
図9は装着部後斜視図である。上下の摺動軸31にパイプ軸32が嵌合されて摺動自在で、33の支持板を介して14の連結フレームを左右に移動する。
図10はスライド手段の1部を断面とした説明である。29の装着フレームの内側端とパイプ軸32の支持板33とにスライドシリンダ30がかけ渡されていて、スライドシリンダが伸びれば連結フレームはトラクタ側に移動し、圧縮されれば連結フレームは外方へ突出する。
以上の構成にしたので、長いも生育後の支柱抜き取り作業が一人で連続して簡易に圃場から抜き取り搬出できるとともに、長いもの栽培畝体系変わっても、圃場に対して効率的に活用できて便利である。