(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048946
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】操作部用カバー装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
G06F3/02 490
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020207390
(22)【出願日】2020-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2020154339
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504122859
【氏名又は名称】株式会社 エムエス製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512051550
【氏名又は名称】株式会社 山一ハガネ
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迫田 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 功一
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020DD02
5B020DD57
5B020DD60
(57)【要約】
【課題】操作部を清潔に操作することができる操作部用カバー装置を提供する。
【解決手段】操作部用カバー装置10は、操作部5をフィルム11で覆う操作部用カバー装置10であって、フィルム11の両側をそれぞれ保持する一対のフィルム保持部20,20を備え、一対のフィルム保持部20,20のうち一方のフィルム保持部20はフィルム11を巻き取る巻き取り側保持部20Aであり、他方のフィルム保持部20はフィルム11が引き出される引き出し側保持部20Bである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部をフィルムで覆う操作部用カバー装置であって、
前記フィルムの両側をそれぞれ保持する一対のフィルム保持部を備え、
前記一対のフィルム保持部のうち一方のフィルム保持部は前記フィルムを巻き取る巻き取り側保持部であり、他方のフィルム保持部は前記フィルムが引き出される引き出し側保持部である操作部用カバー装置。
【請求項2】
前記一対のフィルム保持部は、前記操作部が載置される台車に対して着脱自在である請求項1に記載の操作部用カバー装置。
【請求項3】
前記操作部は、ボード形状を有しており、
前記一対のフィルム保持部は、前記操作部を厚さ方向と直交する方向から挟み込む請求項1又は請求項2に記載の操作部用カバー装置。
【請求項4】
前記操作部が載置されるベース部を備え、
前記一対のフィルム保持部は、前記ベース部の両側に固定されている請求項1に記載の操作部用カバー装置。
【請求項5】
前記フィルムは、芯材に巻き回されており、
前記一対のフィルム保持部の各々は、前記芯材の両端部を支持する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。
【請求項6】
前記一対のフィルム保持部の各々は、前記フィルムの巻き取り及び引き出しをロックするロック部を有している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作部用カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キーシートをスリーブ内に巻き取って収納するキーボードが開示されている。このキーボードは、使用しない時にはキーシートをスリーブ内に収納して、キーシートに塵等の汚れが付着することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、新型コロナウイルス感染症の流行が世界的な問題となっている。新型コロナウイルスなどの感染症対策の一つとして、ユーザの手が触れるキーボード等の操作部を清潔に操作するための技術が求められている。
【0005】
特許文献1に開示の技術は、キーシートを使用しない時にはスリーブ内に収納して塵等の汚れが付着しないとしても、毎回同じキーシートにユーザの手が触れるから、感染症対策としては不十分である。
【0006】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、操作部を清潔に操作することができる操作部用カバー装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の操作部用カバー装置は、操作部をフィルムで覆う操作部用カバー装置であって、前記フィルムの両側をそれぞれ保持する一対のフィルム保持部を備え、前記一対のフィルム保持部のうち一方のフィルム保持部は前記フィルムを巻き取る巻き取り側保持部であり、他方のフィルム保持部は前記フィルムが引き出される引き出し側保持部である。
【0008】
この操作部用カバー装置によれば、巻き取り側保持部によって使用済みのフィルムを回収し、引き出し側保持部から未使用のフィルムを供給することができる。このため、操作部を清潔なフィルムでカバーできる。
【0009】
したがって、本開示の操作部用カバー装置を用いることによって、操作部を清潔に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1の操作部用カバー装置を示す斜視図である。
【
図5】操作部用カバー装置の使用態様を説明する図である。
【
図6】実施形態2の操作部用カバー装置の前面図である。
【
図7】実施形態3の操作部用カバー装置の断面図である。
【
図8】操作部用カバー装置の使用態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態1の操作部用カバー装置10として、
図1に示すように、医療用カート(台車)2に装着されるものを例示する。医療用カート2は、病院等の医療機関において看護師や医療従事者が種々の物品を移動する際に使用するものである。医療用カート2は、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノート型PC)等の電子機器4を載置する天板3を備えている。電子機器4は、キーボード(操作部)5が設けられた本体6と、ディスプレイ7とをヒンジで開閉可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。キーボード5は、ボード形状を有する操作部の一例である。以下の説明では、操作部用カバー装置10について、ユーザが使用する状態を基準とし、手前側を前方、奥側を後方とし、鉛直方向を上下方向とし、左右方向を左右方向とする。
【0012】
操作部用カバー装置10は、キーボード5をフィルム11で覆う装置である。操作部用カバー装置10は、フィルム11の両側をそれぞれ保持する一対のフィルム保持部20,20を備えている。
【0013】
フィルム11は、
図2に示すように、芯材12に巻き回されている。フィルム11としては、食品包装用ラップフィルム等の汎用のフィルムを好適に用いることができる。フィルム11が操作部用カバー装置10に装着された状態において、フィルム11は、左右一対の芯材12、12の間に、芯材12の下側を通って張り渡されている。フィルム11は、可撓性を有し、フィルム11を介してキーボード5を押し下げ操作することができる。フィルム11は、透明性を有し、キーボード5を覆った状態においてキーボード5を視認することができる。
【0014】
一対のフィルム保持部20,20は、
図3に示すように、キーボード5が載置される医療用カート2に対して着脱自在である。すなわち、一対のフィルム保持部20,20は、汎用の医療用カート2に後付けして用いることができる。一対のフィルム保持部20の各々は、左右対称に構成されている。以下、右側のフィルム保持部20について説明して、左側のフィルム保持部20についての説明を省略する。
【0015】
フィルム保持部20は、
図4に示すように、芯材12の両端部を支持している。フィルム保持部20は、芯材12の前端を支持する前支持部21と、芯材12の後端を支持する後支持部22を有している。前支持部21と後支持部22は、鏡面対称に構成されている。以下、前支持部21について説明して、後支持部22についての説明を省略する。
【0016】
前支持部21は、
図2から
図4に示すように、固定部材30、回転部材40を有している。固定部材30は天板3に対して固定されている。回転部材40は、固定部材30に対して回転して、フィルム11の巻き取り及び引き出しを行う。
【0017】
固定部材30は、立壁部31、軸受け部32、クランプ部33を有している。立壁部31は、フィルム保持部20が天板3に取り付けられた状態において、上下左右に延びた板状をなしている。軸受け部32は、立壁部31の上面から下方に延びて、左右方向内側に向けて屈曲した切り欠き状に形成されている。クランプ部33は、天板3の周縁に対して立壁部31を締結する。立壁部31がクランプ部33によって天板3に対して締結される位置は、前後左右に移動することができる。
【0018】
回転部材40は、軸部41、取っ手42、ロック部43、挿入部44を有している。軸部41は、軸受け部32に回転自在に支持されて、一対のフィルム保持部20,20の回転軸を構成する。軸部41は、外周面にねじ山を有している。取っ手42、ロック部43、及び挿入部44は、前方からこの順に、軸部41に対して取り付けられている。ロック部43及び挿入部44は、軸部41が挿通されるねじ穴を有し、軸部41に対して進退自在に取り付けられている。回転部材40は、ロック部43と挿入部44の間において、軸部41が軸受け部32に挿入されている。
【0019】
ロック部43は、フィルム11の巻き取り及び引き出しをロックする。具体的には、前支持部21のロック部43を軸部41に対して後方に移動させると、ロック部43が立壁部31に対して押し当てられる。すると、ロック部43と立壁部31との間の摩擦力が増大して、回転部材40の固定部材30に対する回転が規制される。軸部41は、前支持部21の挿入部44が立壁部31に接触したり、後支持部22のロック部43が立壁部31に接触したりすることによって、前方への移動が規制されている。例えば、ロック部43と挿入部44が立壁部31を挟み込んで、回転部材40の固定部材30に対する回転が規制される。
【0020】
挿入部44は、拡径変形自在に構成されている。具体的には、挿入部44は、略円柱状の柱状部45と、柱状部45の前端に設けられた鍔状の鍔部46とを有している。挿入部44は、鍔部46を軸部41に対して後方に移動させると柱状部45の外径が拡大し、鍔部46を軸部41に対して前方に移動させると柱状部45の外径が縮小する。挿入部44は、芯材12の内部に挿入された状態で拡径変形して、芯材12に対して固定される。挿入部44が芯材12に対して固定された状態では、芯材12と回転部材40が一体化して共に回転する。
【0021】
一対のフィルム保持部20,20は、
図3に示すように、キーボード5を左右(厚さ方向と直交する方向)から挟み込んでいる。詳細には、一対のフィルム保持部20,20は、左右の立壁部31,31がキーボード5の左面と右面に接触して、キーボード5を天板3に対して保持している。この構成によれば、電子機器4の意図しない落下を抑制できる。また、電子機器4がノート型PCの場合には、ディスプレイ7の開閉が容易になる。
【0022】
続いて、本実施形態の使用態様の一例について
図5を参照しつつ説明する。一対のフィルム保持部20,20のうち一方のフィルム保持部20はフィルム11を巻き取る巻き取り側保持部20Aであり、他方のフィルム保持部20はフィルム11が引き出される引き出し側保持部20Bである。
図5左上の第1図において、右側のフィルム保持部20が巻き取り側保持部20Aに相当し、左側のフィルム保持部20が引き出し側保持部20Bに相当する。なお、
図5においては、キーボード5を省略して描いている。
【0023】
図5左上の第1図は、フィルム11によってキーボード5をカバーした状態で、ユーザがキーボード5を操作した後の様子を示している。フィルム11における網掛け模様はフィルム11が使用済みであることを表す。ユーザは、フィルム11の使用前又は使用後に、フィルム11の引き出し側保持部20Bの手前の位置にマークMを付す。このマークMは、未使用のフィルム11と使用済みフィルム11の境界を示す目印となる。ユーザは、巻き取り側保持部20Aの取っ手42を把持して、前方から見て反時計回りに回転操作する。すると、巻き取り側保持部20Aに使用済みのフィルム11が巻き取られるとともに、引き出し側保持部20Bから未使用のフィルム11が引き出される。
図5右上の第2図に示すように、マークMが巻き取り側保持部20Aに至ったら、巻き取り側保持部20Aの回転操作を停止する。この状態では、キーボード5の全域が未使用のフィルム11で覆われて、キーボード5を清潔に操作することができる。
【0024】
操作部用カバー装置10は、巻き取り側保持部20Aを回転操作することによって、引き出し側保持部20Bに保持された1ロール分のフィルム11がなくなるまで複数回使用できる。引き出し側保持部20Bに保持されたフィルム11がなくなった場合、
図5左下の第3図に示すように、巻き取り側保持部20Aに保持された使用済みのフィルム11のロールを取り外して、未使用のフィルム11のロールを装着する。
【0025】
そして、
図5右下の第4図に示すように、装着された未使用のフィルム11を一部引き出して、左側のフィルム保持部20に固定された芯材12に付す。すると、左側のフィルム保持部20によってフィルム11の一端側が保持された状態となる。
図5右下の第4図において、左側のフィルム保持部20が巻き取り側保持部20Aに相当し、右側のフィルム保持部20が引き出し側保持部20Bに相当する。フィルム11を使用した後、ユーザは、巻き取り側保持部20Aの取っ手42を把持して、前方から見て時計回りに回転操作する。すると、引き出し側保持部20Bから、未使用のフィルム11が引き出され、引き出し側保持部20Bに保持された1ロール分のフィルム11がなくなるまで複数回使用できる。
【0026】
以上説明したように、操作部用カバー装置10は、1ロール分のフィルム11を使い終わる毎に、一対のフィルム保持部20,20における巻き取り側保持部20Aと引き出し側保持部20Bが変更される。この構成によれば、フィルム11の交換の際に、回収済みのフィルム11と芯材12に巻き回された未使用のフィルム11とを入れ替えるだけでよく、フィルム11の交換に係る手間を省くことができる。また、使用済みのフィルム11が未使用時に巻き回されていた芯材12を、次に使うフィルム11の回収に利用することができ手軽である。
【0027】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の操作部用カバー装置10によれば、巻き取り側保持部20Aによって使用済みのフィルム11を回収し、引き出し側保持部20Bから未使用のフィルム11を供給することができる。このため、キーボード5を清潔なフィルム11でカバーできる。したがって、操作部用カバー装置10を用いることによって、キーボード5を清潔に操作することができる。特に、本実施形態の操作部用カバー装置10は、フィルム11においてキーボード5をカバーする部分を手軽に交換でき、ユーザが接触する部分が使い回されることを抑制できる。このため、新型コロナウイルスなどの感染症対策として有効である。
【0028】
本実施形態の一対のフィルム保持部20,20は、キーボード5が載置される医療用カート2に対して着脱自在である。この構成によれば、医療用カート2に一対のフィルム保持部20,20を設けることができ、医療用カート2に載置されたキーボード5を清潔なフィルム11でカバーできる。
【0029】
本実施形態のキーボード5は、ボード形状を有しており、一対のフィルム保持部20,20は、キーボード5を厚さ方向と直交する方向から挟み込む。この構成によれば、医療用カート2に載置されたキーボード5を、一対のフィルム保持部20,20によって安定的に保持できる。
【0030】
本実施形態において、フィルム11は、芯材12に巻き回されており、一対のフィルム保持部20,20の各々は、芯材12の両端部を支持する。この構成によれば、芯材12に巻き回されたフィルム11を使用して、手軽にキーボード5をカバーできる。
【0031】
本実施形態の一対のフィルム保持部20,20の各々は、フィルム11の巻き取り及び引き出しをロックするロック部43を有している。この構成によれば、フィルム11に張力を掛けた状態でキーボード5をカバーすることができ、キーボード5の操作性を向上できる。
【0032】
実施形態2の操作部用カバー装置110として、
図6に示すように、据え置き型の電子機器104に用いられるものを例示する。電子機器104は、キーボード(操作部)105と、図示しない本体と、ディスプレイ107を備えたデスクトップ型PCである。
【0033】
操作部用カバー装置110は、キーボード5が載置されるベース部150を備えている。ベース部150は、キーボード5よりも一回り大きい板状をなしている。一対のフィルム保持部120,120は、ベース部150の両側に固定されている。フィルム保持部120は、ベース部150と一体に設けられた固定部130と、回転部材140とを有している。固定部130は、実施形態1の軸受け部32と同様の軸受け部(図示せず)を有している。回転部材140は、実施形態1の回転部材40と同様の構成である。
【0034】
図6において、一対のフィルム保持部120,120のうち右側のフィルム保持部120はフィルム11を巻き取る巻き取り側保持部20Aであり、左側のフィルム保持部120はフィルム11が引き出される引き出し側保持部20Bである。巻き取り側保持部20A及び引き出し側保持部20Bによるフィルム11の巻き取り及び引き出し態様は、実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態の操作部用カバー装置110は、一対のフィルム保持部120,120を他部材に固定しなくてもよい。このため、据え置き型のキーボード105に好適に用いることができる。
【0036】
実施形態3の操作部用カバー装置210は、
図8に示すように、一対のフィルム保持部220,220を備えている。本実施形態は、一対のフィルム保持部220,220の構成が実施形態1の一対のフィルム保持部20,20と相違する。本実施形態において、実施形態1及び実施形態2と同様の構成、作用、及び効果については説明を省略する。
【0037】
操作部用カバー装置210は、
図7及び
図8に示すように、キーボード5が載置されるベース部250を備えている。ベース部250は、左右に伸縮自在に構成されている。この構成によれば、サイズが異なるキーボード5に合わせてベース部250の左右の幅を変更することができる。ベース部250は、キーボード5を左右から挟み込む挟み込み部251を有している。挟み込み部251は、キーボード5を挟み込む方向に付勢されている。
【0038】
一対のフィルム保持部220,220は、ベース部250の両側に固定されている。フィルム保持部220は、芯材12の前端を支持する前支持部221と、芯材12の後端を支持する後支持部222を有している。
【0039】
前支持部221は、ベース部250と一体に設けられた前固定部230と、前回転部240とを有している。前回転部240は、前固定部230に対して回転して、フィルム11の巻き取り及び引き出しを行う。
【0040】
前固定部230は、前回転部240を支持する前軸受け部232を有している。前軸受け部232は、ベース部250に対する前回転部240の角度(向き)を変更自在な形態で前回転部240を支持している。前軸受け部232は、前回転部240の先端が後を向くように支持する第1の角度と、前回転部240の先端が上を向くように支持する第2の角度との間で変位する。操作部用カバー装置210は、前軸受け部232の第1の角度において、フィルム11の巻き取り及び引き出しを行い、前軸受け部232の第2の角度において、フィルム11交換を行う構成である。
【0041】
前回転部240は、前軸部241、取っ手242、回転規制部243、前挿入部244を有している。前軸部241は、前軸受け部232に回転自在に支持され、一対のフィルム保持部220,220の回転軸を構成する。取っ手242は、前軸受け部232よりも一回り大きい円盤状をなし、前軸受け部232に接して前軸部241に取り付けられている。ユーザは、
図8に示す巻き取り側保持部20Aの取っ手242を把持して、前方から見て反時計回りに回転操作して、フィルム11の巻き取りを行う。
【0042】
回転規制部243は、
図7に示すように、前軸受け部232と取っ手242の接合面に設けられたラチェット機構によって構成されている。このラチェット機構は、フィルム11を巻き取る方向及び引き出す方向への前回転部240の回転を許容し、これと反対向きへの前回転部240の回転を規制する。前挿入部244は、先端に向かうにつれて先細る形状をなし、芯材12に挿入されている。
【0043】
後支持部222は、ベース部250と一体に設けられた後固定部235と、後回転部245とを有している。後回転部245は、後固定部235に対して回転して、フィルム11の巻き取り及び引き出しを行う。
【0044】
後固定部235は、後回転部245を支持する後軸受け部237を有している。後軸受け部237は、上方に向けて開放した溝状をなし、後回転部245を上下に脱着自在である。後回転部245は、後軸部246及び後挿入部249を有している。後軸部246は、後軸受け部237に回転自在に支持され、一対のフィルム保持部220,220の回転軸を構成する。
【0045】
後挿入部249は、先端に向かうにつれて先細る形状をなし、芯材12に挿入されている。後軸部246が後軸受け部237に支持された状態において、後挿入部249は弾性部材249Aによって前方に向けて付勢されている。前挿入部244及び後挿入部249は、弾性部材249Aの付勢力によって芯材12を挟み込んで、芯材12に対して固定されている。前挿入部244及び後挿入部249が芯材12に固定された状態では、芯材12と前回転部240及び後回転部245が一体化して共に回転する。
【0046】
続いて、本実施形態の使用態様の一例について
図8を参照しつつ説明する。一対のフィルム保持部220,220のうち一方のフィルム保持部220はフィルム11を巻き取る巻き取り側保持部20Aであり、他方のフィルム保持部220はフィルム11が引き出される引き出し側保持部20Bである。本実施形態の操作部用カバー装置210は、実施形態1の操作部用カバー装置10とは異なり、巻き取り側保持部20Aと引き出し側保持部20Bが変更されない。つまり、フィルム11を巻き取る方向と、フィルム11が引き出される方向は一方向に定まっている。
【0047】
一対のフィルム保持部220,220にフィルム11を取り付ける場合には、まず、
図8左上の第1図に示すように前支持部221において前回転部240の先端が上を向くようにする。この状態において、
図8右上の第2図に示すように、右側と左側の前回転部240に芯材12,12をそれぞれ固定する。左側の前回転部240に固定された芯材12には未使用のフィルム11が巻き回されている。装着された未使用のフィルム11を一部引き出して、右側の前回転部240に固定された芯材12に付す。
【0048】
次に、
図8右上の第2図に示すように、右側と左側の前回転部240に固定された芯材12,12の上端に、後回転部245,245をそれぞれ固定する。
【0049】
次に、
図8左下の第3図に示すように、後軸部246を後軸受け部237に上方から嵌め込むとともに、前回転部240の先端が後を向くようにする。すると、
図8右下の第4図のように、フィルム11によってキーボード5がカバーされた状態となる。この状態で、巻き取り側保持部20Aを回転させて、引き出し側保持部20Bに保持された1ロール分のフィルム11がなくなるまで複数回使用できる。引き出し側保持部20Bに保持された1ロール分のフィルム11がなくなった場合には、上記の手順とは逆の手順で使用済みのフィルム11を取り外して、再度未使用のフィルム11を装着すればよい。
【0050】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)操作部用カバー装置は、キーボード以外にも、タブレット型PCの操作部や、PC以外の電子機器の操作部をカバーするものであってもよい。
【0052】
(2)一対のフィルム保持部が着脱される台車は、医療用カートに限られない。台車は、配膳車や運搬台車等の医療用でない台車であってもよい。
【0053】
(3)操作部はボード形状に限られない。例えば、操作部は、台車に組み込まれた操作パネル等であってもよい。また、操作部の操作態様は、押し下げ式に限られず、接触式等であってもよい。
【0054】
(4)フィルム保持部の構成は変更可能である。一対のフィルム保持部は、巻き取り側フィルム保持部と引き出し側フィルム保持部が変更されなくてもよい。また、フィルムが巻き回された状態でケースに収容されており、引き出し側フィルム保持部は、フィルムが収容されたケースを保持していてもよい。
【0055】
(5)一対のフィルム保持部は、緩衝材等を介してキーボードを保持してもよい。
【0056】
(6)一対のフィルム保持部の回転操作は手動に限られず、電動で行われてもよい。
【0057】
(7)ロック部の構成は変更可能である。ロック部は、固定部材に設けられた係止片を回転部材に係止させることで、フィルムの巻き取り及び引き出しをロックしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
2…医療用カート(台車)、5…キーボード(操作部)、10,110,210…操作部用カバー装置、11…フィルム、12…芯材、20,120,220…フィルム保持部、20A…巻き取り側保持部、20B…引き出し側保持部、43…ロック部、150,250…ベース部
【手続補正書】
【提出日】2021-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を、芯材に巻き回されたフィルムで覆う操作部用カバー装置であって、
前記フィルムの両側をそれぞれ保持する一対のフィルム保持部を備え、
前記一対のフィルム保持部のうち一方のフィルム保持部は前記フィルムを巻き取る巻き取り側保持部であり、他方のフィルム保持部は前記フィルムが引き出される引き出し側保持部であり、
前記一対のフィルム保持部の各々は、前記操作部の両側において前記芯材を支持しており、
前記フィルムは、一対の前記芯材によって張り渡され、
前記フィルムにおける一対の前記芯材によって張り渡された部分は、一対の前記芯材に対して前記操作部側に位置しており、
前記巻き取り側保持部を回転操作して、前記張り渡された部分における前記操作部と対向する面が外周側になるように前記フィルムを前記芯材に巻き取る構成である操作部用カバー装置。
【請求項2】
1ロール分の前記フィルムを使い終わる毎に、前記一対のフィルム保持部における前記フィルムを巻き取る方向が反対になるように構成された請求項1に記載の操作部用カバー装置。
【請求項3】
前記一対のフィルム保持部の各々は、前記芯材の一端を支持する第1支持部と、前記芯材の他端を支持する第2支持部を有しており、
前記第1支持部は、回転して前記フィルムの巻き取り及び引き出しを行う第1回転部を有し、前記第1回転部の先端が他端側を向いた状態において、前記フィルムの巻き取り及び引き出しを行い、前記第1回転部の先端が上を向いた状態において、前記フィルムの交換を行う構成である請求項1又は請求項2に記載の操作部用カバー装置。
【請求項4】
前記第2支持部は、回転して前記フィルムの巻き取り及び引き出しを行う第2回転部と、前記第2回転部を支持する軸受け部とを有し、
前記軸受け部は、上方に向けて開放した溝状をなし、前記第2回転部を上下に脱着自在である請求項3に記載の操作部用カバー装置。
【請求項5】
前記一対のフィルム保持部は、前記操作部が載置される台車に対して着脱自在である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。
【請求項6】
前記操作部は、ボード形状を有しており、
前記一対のフィルム保持部は、前記操作部を厚さ方向と直交する方向から挟み込む請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。
【請求項7】
前記操作部が載置されるベース部を備え、
前記一対のフィルム保持部は、前記ベース部の両側に固定されている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。
【請求項8】
前記一対のフィルム保持部の各々は、前記フィルムの巻き取り及び引き出しをロックするロック部を有している請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の操作部用カバー装置。