(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048956
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ドリル装置
(51)【国際特許分類】
B23B 39/16 20060101AFI20220318BHJP
B23B 47/14 20060101ALI20220318BHJP
B23B 47/00 20060101ALI20220318BHJP
B23B 19/02 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
B23B39/16 Z
B23B47/14
B23B47/00 B
B23B19/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009642
(22)【出願日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】109131677
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】507244219
【氏名又は名称】惠亞工程股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 建徳
【テーマコード(参考)】
3C036
3C045
【Fターム(参考)】
3C036BB30
3C036LL05
3C045FD14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生産効率の向上やコストの低減を見込めるドリル装置を提供する。
【解決手段】ドリル装置1は、ベース体10に駆動要素20が配置されることにより複数のドリル部材302を回転させるため、同一のタイミングで複数のドリル部材302を同期して作動させることができ、生産効率を効果的に向上させるとともにドリル加工のコストを削減することができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造であるベース体と、
該ベース体に設けられた駆動要素と、
該ベース体に設けられて該駆動要素を連動するドリル要素と
を備えるドリル装置であって、
該ドリル要素は、該ベースより突出する複数のドリル部材を含み、該駆動要素により該複数のドリル部材を回転させることを特徴とするドリル装置。
【請求項2】
該多層構造は、順次に互いに積層された蓋プレート、第1層プレート、第2層プレート及び底プレートを含み、
該第1層プレートと該第2層プレートと該底プレートとが互いに一体に固定され、
該蓋プレートと該第1層プレートとが互いに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項3】
該第1層プレート、該第2層プレート及び/又は該底プレートには冷却路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のドリル装置。
【請求項4】
該第1層プレート、該第2層プレート及び/又は該底プレートの側面には該冷却路に連通する複数のポートが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドリル装置。
【請求項5】
該ベース体は、該第1層プレート、該第2層プレート及び該底プレートに連通する複数の多層孔を有することを特徴とする請求項2に記載のドリル装置。
【請求項6】
該駆動要素は、伝動軸と、該伝動軸に接合された軸受けベースと、該伝動軸を連動する能動ギアとを備えており、
該能動ギアが駆動して該複数のドリル部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項7】
該軸受けベースは、該軸受けベースを該ベース体に固定するボルトを貫通させるための複数の固定孔を有する環状スリーブであることを特徴とする請求項6に記載のドリル装置。
【請求項8】
該ドリル要素は、該ドリル部材が配置された複数のドリル本体と、該駆動要素に合わせて作動して該ドリル部材の一部を連動する複数の連動部と、該複数のドリル部材を連動する複数の伝動部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項9】
該連動部は、対向する両端の箇所に第1の連動ギアと第2の連動ギアとがそれぞれ配置されている回転軸を備えており、
該第1の連動ギアと該第2の連動ギアとの間に軸受けベースが配置されており、
該駆動要素が該第1の連動ギアを回転させることにより、該回転軸が該第2の連動ギアを同期して回転させることを特徴とする請求項8に記載のドリル装置。
【請求項10】
該回転軸の対向する両端の箇所に軸受けがそれぞれ設けられ、
該第2の連動ギアが駆動して該ドリル部材の一部を回転させることを特徴とする請求項9に記載のドリル装置。
【請求項11】
該伝動部は、遊動輪と、該遊動輪を保持する受動軸とを備えており、
該受動軸の一端には該遊動輪が配置され、他端には受動受け軸が配置され、
該遊動輪が該ドリル部材を回転させることを特徴とする請求項8に記載のドリル装置。
【請求項12】
該複数の遊動輪は、該複数のドリル部材のいずれか2つの間に噛合されていることを特徴とする請求項11に記載のドリル装置。
【請求項13】
該ドリル本体は、ドリル構造であり、主軸と、該主軸の一端に接合されたチャックと、該主軸の他端に設けられた作用ギアと、該主軸に設けられた複数の軸受け及びオイルシールとがさらに配置され、
該ドリル部材は、該チャックと固着され、
該複数の軸受け及び該オイルシールは、該チャックと該作用ギアとの間に位置することを特徴とする請求項8に記載のドリル装置。
【請求項14】
該チャックの一端には該ドリル部材が固着され、該チャックの他端には該作用ギアが配置され、
該作用ギアが該チャックを回転させることにより該ドリル部材を回転させることを特徴とする請求項13に記載のドリル装置。
【請求項15】
該連動部は、回転軸と、該回転軸に設けられた連動ギアとを備えており、
該ドリル本体には、主軸と、該主軸に設けられた作用ギアとがさらに配置され、
該伝動部は、遊動輪と、該遊動輪を保持する受動軸とを備えており、
該連動部の連動ギアが該作用ギアの一部を連動し、各該作用ギアが各該遊動輪に噛合されることにより、各該遊動輪が他の該作用ギアを同期して連動することを特徴とする請求項8に記載のドリル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリル機械に関し、特に、多軸ドリルタイプのドリル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドリル機械において、通常、ドリルが一つだけ配置されているため、該ドリル機械の一回の作動では単一のホールしか形成できない。
【0003】
しかしながら、現在、生産ラインがほとんど生産コストの低減のために設計されているため、従来のドリル機械は同一のタイミングでは単一の製品のみに対してドリル加工を行うことしかできないので、明らかに生産効率の向上や生産コストの低減のニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、如何に従来技術の種々の課題を解決するかは、当業界の解決しようとする課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の従来技術の欠点に鑑み、本発明は、多層構造であるベース体と、該ベース体に設けられた駆動要素と、該ベース体に設けられて該駆動要素を連動するドリル要素とを備えるドリル装置であって、該ドリル要素は、該ベース体から突出する複数のドリル部材を含み、該駆動要素により該複数のドリル部材を回転させることを特徴とするドリル装置を提供する。
【0006】
上記のドリル装置において、該多層構造は、順次に互いに積層された蓋プレート、第1層プレート、第2層プレート及び底プレートを含み、該第1層プレートと該第2層プレートと該底プレートとが互いに一体に固定され、該蓋プレートと該第1層プレートとが互いに固定されている。例えば、該第1層プレート、該第2層プレート及び/又は該底プレートには冷却路が形成され、該第1層プレート、該第2層プレート及び/又は該底プレートの側面には該冷却路に連通する複数のポートが形成されている。若しくは、該ベース体は、該第1層プレート、該第2層プレート及び該底プレートに連通する複数の多層孔を有する。
【0007】
上記のドリル装置において、該駆動要素は、伝動軸と、該伝動軸に接合された軸受けベースと、該伝動軸を連動する能動ギアとを備えており、該能動ギアが駆動して該複数のドリル部材を回転させる。例えば、該軸受けベースは、該軸受けベースを該ベース体に固定するボルトを貫通させるための複数の固定孔を有する環状スリーブである。
【0008】
上記のドリル装置において、該ドリル要素は、該ドリル部材が配置された複数のドリル本体と、該駆動要素に合わせて作動して該ドリル部材の一部を連動する複数の連動部と、該複数のドリル部材を連動する複数の伝動部とをさらに備える。
【0009】
例えば、該連動部は、対向する両端の箇所に第1の連動ギアと第2の連動ギアとがそれぞれ配置されている回転軸を備えており、該第1の連動ギアと該第2の連動ギアとの間に軸受けベースが配置されており、該駆動要素が該第1の連動ギアを回転させることにより、該回転軸が該第2の連動ギアを同期して回転させる。さらに、該回転軸の対向する両端の箇所に軸受けがそれぞれ設けられ、該第2の連動ギアが駆動して該ドリル部材の一部を回転させる。
【0010】
例えば、該伝動部は、遊動輪と、該遊動輪を保持する受動軸とを備えており、該受動軸の一端には該遊動輪が配置され、他端には受動受け軸が配置され、該遊動輪が該ドリル部材を回転させる。さらに、該複数の遊動輪は、該複数のドリル部材のいずれか2つの間に噛合されている。
【0011】
例えば、該ドリル本体は、ドリル構造であり、主軸と、該主軸の一端に接合されたチャックと、該主軸の他端に設けられた作用ギアと、該主軸に設けられた複数の軸受け及びオイルシールとがさらに配置され、該ドリル部材は、該チャックと固着され、該複数の軸受け及び該オイルシールは、該チャックと該作用ギアとの間に位置する。さらに、該チャックの一端には該ドリル部材が固着され、該チャックの他端には該作用ギアが配置され、該作用ギアが該チャックを回転させることにより該ドリル部材を回転させる。
【0012】
例えば、該連動部は、回転軸と該回転軸に設けられた連動ギアとを備えており、該ドリル本体には、主軸と該主軸に設けられた作用ギアとがさらに配置され、該伝動部は、遊動輪と該遊動輪を保持する受動軸とを備えており、該連動部の連動ギアが該作用ギアの一部を連動し、各該作用ギアが各該遊動輪に噛合されることにより、各該遊動輪が他の該作用ギアを同期して連動する。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、本発明に係るドリル装置では、主に該駆動要素が複数の該ドリル部材を駆動することにより、同一のタイミングで複数のドリル部材を同期して作動させるように構成されているため、従来の技術に比して、本発明に係るドリル装置は、対象に対するドリル数を効率的に増加させて生産効率を向上させるのみならず、駆動装置の数を減少させてドリル加工のコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明に係るドリル装置の立体上面模式図である。
【
図2A】本発明に係るドリル装置の駆動要素の立体模式図である。
【
図3A】本発明に係るドリル装置の局所立体模式図である。
【
図3B】本発明に係るドリル装置のドリル部材の連動部の立体模式図である。
【
図4A】本発明に係るドリル装置のドリル要素のドリル本体の立体模式図である。
【
図4B】本発明に係るドリル装置のドリル要素の伝動部の立体模式図である。
【
図4C】本発明に係るドリル装置の局所立体模式図である。
【
図5】
図1における断面線L-Lに沿った断面模式図である。
【
図6】本発明に係るドリル装置の局所側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明の実施形態を説明する。本明細書の記載内容により、当業者が本発明の他の利点や効果を容易に理解できる。
【0016】
また、本明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、当業者が理解及び読解できるように明細書の記載内容に合わせて説明されるものであり、本発明の実施可能な限定条件を制限するものではないため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に入る。さらに、本明細書に記載されている「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「八」、「四」及び「一」等の用語は、記述の明瞭さのためのものに過ぎず、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更または調整は、技術内容の実質的な変更がない場合においては、本発明の実施可能な範囲と見なすべきである。
【0017】
図1A及び
図1Bは、本発明に係るドリル装置1の立体模式図である。
図1A及び
図1Bに示すように、上記のドリル装置1は、多軸ドリルタイプであり、ベース体10と、駆動要素20と、ドリル要素30とを備える。
【0018】
上記のベース体10は、多層構造であり、本実施例では正方形の矩形輪郭であるが、長方形の矩形輪郭であっても良い。
【0019】
本実施例において、
図1Bに示すように、該ベース体10は、第1の貫通孔100a及び複数の接続ベース100bを有する蓋プレート100と、第1のスルーホール101a及び複数の第2のスルーホール101bを有する第1層プレート101と、複数の第1の設置孔102a及び複数の第2の設置孔102bを有する第2層プレート102と、複数の第2の貫通孔103a及び複数の取り付け孔103bを有する底プレート103とを備える。該第1層プレート101には、該第1のスルーホール101aと複数の第2のスルーホール101bとを配置するための第1の凹部S1が形成され、該第2層プレート102には、該複数の第1の設置孔102aと複数の第2の設置孔102bとを配置するための矩形の第2の凹部S2が形成されている。例えば、該第1の貫通孔100aは、該第1のスルーホール101aに対応して連通し、該第1のスルーホール101aは、該第1の凹部S1の中心箇所に位置し、該複数(例えば、4つ)の第2のスルーホール101bは、該第1のスルーホール101aを囲むように該第1の凹部S1の周縁に沿って配置され、該第1の設置孔102aの孔径は、該第2の設置孔102bの孔径よりも大きく、該複数の第2の貫通孔103aは、該複数の第1の設置孔102aに対応して連通する。
【0020】
さらに、該第1層プレート101の第1の凹部S1は、円形凹部となっており、その底部には、該第1のスルーホール101aと該複数の第2のスルーホール101bとが貫通して形成されている。該第2層プレート102の第2の凹部S2は、矩形となっており、その底部には、該複数の第1の設置孔102aと該複数の第2の設置孔102bとが貫通して形成されている。該第1層プレート101には、湾曲して蛇行する冷却路101d(又は冷却オイル経路又は冷却水経路)が形成され、該第1層プレート101の複数のねじ穴101c(外側の大きい穴と内側の小さい穴とを含む)と該蓋プレート100上の複数のねじ穴100c(外側の大きい穴と内側の小さい穴とを含む)とがボルト(図示せず)により互いに固定されている。ここで理解すべき点は、該第2層プレート102内及び該底プレート103内には該冷却路101dが設けられてもよく、該冷却路101dに冷却液が輸送されるように、該第1層プレート101、該第2層プレート102及び該底プレート103の側面には、該冷却路101dに連通する複数のポート10bが形成されてもよい。
【0021】
また、該ベース体10は、該蓋プレート100と、該第1層プレート101と、該第2層プレート102と、該底プレート103とが、上から下へ順次に積層されてなるものである。例えば、該第1層プレート101と該第2層プレート102と該底プレート103は、該第1層プレート101と該第2層プレート102と該底プレート103とを連通する複数の多層孔10aにボルト(図示せず)が挿通されることで、該第1層プレート101と該第2層プレート102と該底プレート103とを固定するので、該第1層プレート101と該第2層プレート102と該底プレート103とが互いに一体に固定されている。該蓋プレート100と該第1層プレート101は、該蓋プレート100と該第1層プレート101とを連通する複数のねじ穴100c、101cにボルト(図示せず)が挿通されることで、該蓋プレート100と該第1層プレート101とが固定されている。
【0022】
また、該接続ベース100bは、ドリル装置1による上下へのドリル作業が行われるように、駆動装置(例えば、モータ)のような他の装置を外付けるためのものである。また、該取り付け孔103bは、該ドリル装置1を所望の箇所(例えば、生産ラインの機台上)に取り付けるためのものである。
【0023】
上記の駆動要素20は、
図2A及び
図2Bに示すように、伝動軸200と、該伝動軸200に接合された軸受けベース201と、該伝動軸200を連動する能動ギア202とを備える。
【0024】
本実施例において、該伝動軸200は、駆動装置(例えば、モータ)に接続するためのものであり、前記伝動軸200は、ほとんど多段円ロッド状となっており、その対向する両端の箇所は第1のセグメント200aと第2のセグメント200bとが定義され、該第1のセグメント200aと第2のセグメント200bとの間には、該第2のセグメント200bに隣接する位置制限セグメント200cが形成されている。例えば、該位置制限セグメント200cの幅(又は直径)R3は、該第1のセグメント200aの幅(又は直径)R1や該第2のセグメント200bの幅(又は直径)R2よりも大きい。
【0025】
さらに、
図1A、
図2A及び
図2Bに示すように、該軸受けベース201は、環状スリーブであり、その内部には軸受け(図示せず)が設けられ、外周には複数(例えば、3つ)の固定孔201aが設けられ、それらの固定孔201a及び該蓋プレート100の固定孔100a’(該第1の貫通孔100aの周囲に位置する)にボルト(図示せず)が挿通されることで、該軸受けベース201が蓋プレート100上に固定される。該軸受けベース201は、該伝動軸200の第1のセグメント200aから該伝動軸200を挿通させ該位置制限セグメント200cに位置決めて、該伝動軸200が該軸受けベース201を介して該蓋プレート100の第1の貫通孔100aの箇所に設置されている。
【0026】
また、該能動ギア202は、該伝動軸200の第2のセグメント200bに接続されており、該位置制限セグメント200cの制限により、該第1のセグメント200aへ移動することができない。該能動ギア202は、該蓋プレート100の内部に位置する。ここで理解すべき点は、該能動ギア202が該ベース体10の第1層プレート101の第1の凹部S1に位置し、該第2のスルーホール101bを該能動ギア202の外周に位置させる。
【0027】
また、該伝動軸200は、その一端で該第1のスルーホール101aに接続するとともに、その第1のセグメント200aで該蓋プレート100から突出して該駆動装置(例えば、モータ)に接続する。
【0028】
上記のドリル要素30は、複数(
図1Bに示す36個)のドリル本体30aと、該駆動要素20の作動に合わせて該ドリル本体30aの一部を作動させる複数(例えば、4つ)の連動部30bと、該ドリル本体30aを連動する複数の伝動部30cとを備える。
【0029】
図3A及び
図3Bを併せて参照すると、上記の連動部30bは、該第1層プレート101の第2のスルーホール101bに挿通される回転軸300を備え、該回転軸300の対向する両端には軸受け300a’及び300b’がそれぞれ設けられ、その中の一方の軸受け300a’は、該蓋プレート100の底部における該第2のスルーホール101bに対応する凹孔100d(
図1Cをご参照)に設けられ、該凹孔100dは、該軸受け300a’を配置するための階段状の止まり穴であり、もう一方の軸受け300b’は、該第1層プレート101内における該第2のスルーホール101b(
図3Aをご参照)に対応する箇所に位置し、
図3Bに示すように、該回転軸300の対向する両端の箇所には第1の連動ギア300aと第2の連動ギア300bとがそれぞれ配置され、該第1の連動ギア300aと該第2の連動ギア300bとの間には軸受けベース300cが配置されている。
【0030】
本実施例において、該軸受けベース300cは、C型リテイニングリング300dにより該第2のスルーホール101bに係止されることで、該第1の連動ギア300aを該第1層プレート101の第1の凹部S1に位置させ、該第2の連動ギア300bを該第2層プレート102の第2の凹部S2に位置させる。
【0031】
さらに、
図3A及び
図3Cに示すように、該第1の連動ギア300aは、該能動ギア202に噛合されているため、該駆動要素20の伝動軸200が回転する際は、該能動ギア202を同時に回転させることにより、該第1の連動ギア300aを同期して回転させ、該回転軸300を連動して回転させる。例えば、4つの第1の連動ギア300aは、それぞれ該能動ギア202と互いに噛合されている。
【0032】
図4A、
図4A-1、
図4A-2及び
図6に示すように、上記のドリル本体30aは、ドリル構造であり、該矩形ベース10に合わせて36組がアレイに配設されている。ドリル本体30aは、主軸302bと、該主軸302bの一端に接合されたチャック302aと、該チャック302aの下端に固着されたドリル部材302と、該主軸302bの他端に設けられた作用ギア302cと、該主軸302bの全周に外嵌されて該チャック302aと該作用ギア302cとの間に位置する第1~第4軸受け303a、303b、303c、303d及びオイルシール304とを備える。
【0033】
本実施例において、
図1B及び
図4Cに示すように、該チャック302aは、該第2層プレート102の第1の設置孔102aと該底プレート103の第2の貫通孔103aとを貫通し、該ドリル部材302は、該第2の貫通孔103aから延出して該ベース体10から露出し、該作用ギア302cは、該第2層プレート102の第2の凹部S2に位置する。ここで理解すべき点は、該チャック302aの上端には、該主軸302bと、該主軸302bの上方に設置された第1~第4の軸受け303a、303b、303c、303d及びオイルシール304とが配置されているため、該主軸302bが作用ギア302cの作動を受けて回転し(
図4Aに示す回転方向W)、該ドリル装置1が直線的に上下に変位(
図4Aに示す直線昇降方向Z)する場合は、該ドリル部材302がドリルとして機能する。
【0034】
さらに、該チャック302aは、一部が該主軸302bに挿入され、キャップ302dにより該チャック302aの露出部分が被覆されている。
【0035】
また、
図4Cに示すように、該連動部30bの第2の連動ギア300bは、2つの作用ギア302cの間に噛合されているため、合計8つの作用ギア302cがそれぞれ4つの第2の連動ギア300bに噛合されている。ここで理解すべき点は、
図4Cは、該第2の連動ギア300bと該作用ギア302cとの噛合状態を明示するための図であるため、
図4Cにおいては
図3Bに示す第2の連動ギア300bに接続された他の素子が省略されている。
【0036】
さらに、該第1の設置孔102aの設計により、各該ドリル部材302の間の距離が固定となるため、複数の同一の製品に対してドリル加工を同期して行うことができ、各製品のドリル加工精度を維持することができる。また、単一の製品に対しても、多孔成形作業を行うことができ、該製品の各ドリル加工の精度を維持することができる。
【0037】
図4Bに示すように、上記の伝動部30cは、各該ドリル本体30aの作用ギア302cを連動するためのものであり、遊動輪301aと該遊動輪301aを保持する受動軸301とを備える。
【0038】
本実施例において、該受動軸301は、柱状であり、その一端には該遊動輪301aが配置され、他端には受動軸受け301bが配置されている。例えば、
図4B及び
図4Cに示すように、該受動軸受け301bが該第2層プレート102の第2の凹部S2の第2の設置孔102bに固着されることで、それらの伝動部30cの該第2層プレート102での位置を各該ドリル本体30aの間に設置させ、該遊動輪301aが各該作用ギア302cに噛合されている。従って、該連動部30bの4つの第2の連動ギア300bがそのうちの8つの作用ギア302cを連動する場合、各該作用ギア302cが該遊動輪301aにそれぞれ噛合されているため、該伝動部30cの遊動輪301aにより、他の28個の作用ギア302cを同期して連動することができる。
【0039】
さらに、該作用ギア302cの直径は、該遊動輪301aの直径よりも大きく、該作用ギア302cの直径も該第2の連動ギア300bの直径よりも大きい。
【0040】
図5及び
図6は、本発明に係るドリル装置1の模式図であり、
図5は、
図1に示すドリル装置1の断面線L-Lに沿った断面図である。
【0041】
使用時には、該駆動要素20の伝動軸200を回動させる駆動力(
図6に示すモータの作用方向F1、F2)を付与し、該能動ギア202を回転させることで、該能動ギア202が該連動部30bの第1の連動ギア300aを同期して回転させ、該連動部30bの回転軸300を連動して回転させる。次に、該回転軸300により該連動部30bの第2の連動ギア300bを同時に回転させることで、それらの第2の連動ギア300bが該ドリル本体30aの8つの作用ギア302cを同期して回転させる。それと同時に、該8つの作用ギア302cは該遊動輪301aにそれぞれ噛合されているので、該伝動部30cの遊動輪301aにより他の28個の作用ギア302cを回転させることで、すべてのドリル本体30aのチャック302aが同時に該ドリル本体30aのドリル部材302(
図6に示す回転方向W)を回転させることができ、さらに目標物(図示せず)に対してドリル加工作業を行うことができる。一方、モータまたはその他の駆動装置により外力を提供することで、該ドリル部材302の上下変位を駆動することができる。
【0042】
上記のように、本発明に係るドリル装置1は、主にギアセットの設計により、同一のタイミングで複数のドリル部材302を同期して作動させるため、同一のタイミングで単一のドリルでしかドリル加工作業を行うことができない従来の技術に比べて、本発明に係るドリル装置1は、対象に対するドリル数を増加させて生産効率を向上させるのみならず、各該ドリル部材302の間の距離が固定であるため、ドリル加工精度の向上に寄与するとともに、駆動装置(例えば、モータ)の数を低減させ、ドリル加工のコストを削減することができる。
【0043】
上記実施例は、本発明の例示的な原理や効果を説明するものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。当業者が、本発明の主旨や範囲を逸脱しなければ、上記の実施例に対して修正を施すことが可能である。よって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載されている通りである。
【符号の説明】
【0044】
1 ドリル装置
10 ベース体
10a 多層孔
10b ポート
100 蓋プレート
100a 第1の貫通孔
100a’ 固定孔
100b 接続ベース
100c ねじ穴
100d 凹孔
101 第1層プレート
101a 第1のスルーホール
101b 第2のスルーホール
101c ねじ穴
101d 冷却路
102 第2層プレート
102a 第1の設置孔
102b 第2の設置孔
103 底プレート
103a 第2の貫通孔
103b 取り付け孔
20 駆動要素
200 伝動軸
200a 第1のセグメント
200b 第2のセグメント
200c 位置制限セグメント
201 軸受けベース
201a 固定孔
202 能動ギア
30 ドリル要素
30a ドリル本体
30b 連動部
30c 伝動部
300 回転軸
300a 第1の連動ギア
300a’ 軸受け
300b 第2の連動ギア
300b’ 軸受け
300c 軸受けベース
300d リテイニングリング
301 受動軸
301a 遊動輪
301b 受動軸受け
302 ドリル部材
302a チャック
302b 主軸
302c 作用ギア
302d キャップ
303a 第1の軸受け
303b 第2の軸受け
303c 第3の軸受け
303d 第4の軸受け
304 オイルシール
F1 作用方向
F2 作用方向
L 断面線
R1 幅
R2 幅
R3 幅
S1 第1の凹部
S2 第2の凹部
W 回転方向
Z 昇降方向