IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社デュプレックスの特許一覧

特開2022-48976ヒール及びカウンタを一体成形した靴及びヒールシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022048976
(43)【公開日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ヒール及びカウンタを一体成形した靴及びヒールシステム
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/37 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A43B13/37
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109751
(22)【出願日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2020154321
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】509246482
【氏名又は名称】有限会社デュプレックス
(74)【代理人】
【識別番号】230123814
【弁護士】
【氏名又は名称】片山 輝伸
(74)【代理人】
【識別番号】230122253
【弁護士】
【氏名又は名称】石井 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】230127845
【弁護士】
【氏名又は名称】高畑 富大
(72)【発明者】
【氏名】関根 信一
(72)【発明者】
【氏名】山根 真理子
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BB07
4F050BB13
4F050HA55
4F050KA08
4F050LA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着用者の足の形の個性を吸収し,高い履き心地を備える靴を提供する。
【解決手段】ヒール部とソール4部が一体成形されていない靴1であって,ヒール部とカウンタ部を一体成形したヒールシステム2部と,甲被部3と,ソール4部からなり,当該ヒールシステム2部は,樹脂を材料として一体成形され,当該ヒール部は,当該甲被部3及び当該ソール4部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部3の踵部分の側部及後部を,その外側から覆うように,装着したことを特徴とする。
【選択図】図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒール部とソール部が一体成形されていない靴であって,ヒール部とカウンタ部を一体成形したヒールシステム部と,甲被部と,ソール部からなり,当該ヒールシステム部は,樹脂を材料として一体成形され,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及後部を,その外側から覆うように,装着したことを特徴とする靴。
【請求項2】
ヒースシステム部の材料をショアA硬度50から70の樹脂とすることを特徴とする,請求項1の靴。
【請求項3】
樹脂を材料とし,ヒール部とカウンタ部が一体成形され,当該ヒール部が靴の甲被部及びソール部の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を,その外側を覆うように,装着することを特徴とするヒールシステム。
【請求項4】
ヒールシステムの材料をショアA硬度50から70の樹脂とすることを特徴とする,請求項3のヒールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ヒールとカウンタを一体成形したヒールシステムを装着した靴及び前記ヒールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,靴は,踵部分における型崩れを防止するため,及び走行又は歩行時における靴及び足の安定性を補強するため,甲被部のうち踵を囲む部分における表革と裏革の間にカウンタと呼ばれる補強部材を挿入している。カウンタは特に靴の踵部分の型崩れ防止と安定性を確保するための補強部材であるため,硬質樹脂等の硬質の材料を用いることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の靴には,主に2つの問題があった。
【0004】
(1)まず,靴の踵部分における曲線の形状と当該靴の着用者の踵の形,特に靴の甲被部の表革と裏革の間に挿入されるカウンタ部材の形が合わず,当該靴の中で着用者の足が動いたり,当該踵部分の局所(特に,カウンタ部材の端部等)が着用者の足の局所に対する負荷をかけるなどによる影響により,靴擦れ,腫れ等の負傷の原因となっていた。すなわち,靴を購入する際は,通常試着をするが,短時間の試着では,必ずしも購入者の足と試着した靴とが合っているかどうかを正確に判断することができるとは限らないために,靴の踵部分における曲線の形状と当該靴の着用者の踵の形が合わないことがある。
【0005】
さらに,人の足の形は,足にかかる重力や足付近の水分量の変化等に伴い,1日のうちでも,時々刻々と変化する。そうすると,試着時には当該靴の形が足の形に合っていても,一時的又は恒常的に当該靴,特に踵部分の形が足の形に合わなくなることもあり得る。
【0006】
このように,当該靴の踵部分の形,特にカウンタ部材の形と当該靴の着用者の踵の形が合っていないときは,靴擦れが生じたり,足の一部分と靴,特に踵部分の一部分とが干渉することにより,痛みが生じ,腫れや出血が生じることもある。
【0007】
また,(2)靴の踵周辺において用いる部品は,ヒール,ヒール巻革,トップリフト,カウンタ等部品の数が多く,靴の表革及び裏革の間にカウンタを挿入装着する工程は,細かい作業が要求されるため,材料費等の靴製造のコストの削減が困難であるという問題もあった。
【0008】
しかし,例えば,バレエ用シューズやドライビングシューズ等の特殊な靴を除き,一般的に,靴においてカウンタは必須である。なぜなら,靴において,踵部分の型崩れと着用者が当該靴を着用したときの靴と足の安定性を確保することが必要だからである。
【0009】
本発明は,このような従来の靴に生じている課題にかんがみてなされたものであり,(1)靴の踵部分の形状と当該靴の着用者の踵の形の違いを柔軟に吸収し,高いフィット感を得ることができると同時に,(2)靴の甲被部の表革及び裏革の間にカウンタを挿入装着する行程を不要とするヒールシステムを備えた靴及び当該ヒールシステムを提供することを目的とする。
【0010】
また,本発明の多の目的は,ヒール及びカウンタの修理交換が容易であり長期間にわたり高い履き心地を維持しながら使用可能な靴及びヒールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明にかかる靴は,ヒール部とソール部が一体となっていない靴であって,ヒール部とカウンタ部を一体化したヒールシステム部と,甲被部と,ソール部からなり,当該ヒールシステム部は,樹脂を材料として一体成形され,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着したことを特徴とする靴である。
【0012】
請求項1の発明によれば,当該ヒールシステム部は,樹脂を材料としており,靴の甲被部の踵部分を外側から覆うように装着されて,当該甲被部の表革及び裏革を介して着用者の踵を包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,本発明の靴の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いを吸収しつつ,着用者の踵にフィットさせることができる。すなわち,従来の靴と比較して良好な履き心地を得ることができる。
【0013】
また,請求項1の発明によれば,当該ヒールシステム部は,樹脂を材料としてヒール部とカウンタ部を一体成型したものであり,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されるため,従来の靴のように,靴の表革と裏革との間にカウンタを装着する工程が不要となるため,靴製造コストを削減することができる。
【0014】
そして,請求項1の発明によれば,当該ヒールシステム部は樹脂を材料としてヒール部とカウンタ部を一体成型したものであり,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されることから,修理交換が容易であるため,ヒールシステムのヒール部がすり減った場合,又はカウンタ部が経年劣化して硬化,ひび割れ等を起こし踵部分のフィット感が低下した場合その他のヒールシステムの修理交換が必要になった場合であっても,当該ヒールシステムのみを修理交換することにより,ヒールの磨り減りにより生じた靴の傾きや歪みを解消させると同時に,カウンタ部の良好なフィット感を回復させ,長期間にわたって高い履き心地を維持しながら使用することができる靴を提供することができる。
【0015】
さらに,請求項1の発明によれば,色,形,材質が異なるヒールシステム色のヒールシステムに交換することにより,例えば,履き慣れた靴において,(1)色や形の異なるヒールシステムに交換することによりデザインの変化を楽しむこと,(2)特にヒールの形状,材料,堅さ等が異なるヒールシステム(一例として,雨や雪でも滑りにくい材料や形状のもの,路面の凹凸を足の裏に伝えないような堅さのもの等)に交換することにより,生活環境や用途に合わせた性能を備える靴に新しく生まれ変わらせることを可能にするなど,従来の靴では全く想定されなかった極めて特異な効果を享受することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば,ヒールシステム部の樹脂を,ショアA硬度50から70の軟質性の高い樹脂とすることにより,靴の踵部分及びヒールシステム部が一体となり,着用者の足の安定性を確保しつつ、より柔軟に着用者の足の踵の形状に合わせて変形しやすくなる。すなわちより高度な柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いをより柔軟に吸収しつつ,着用者の踵にさらにフィットさせることができるため,極めて良好な履き心地を得ることができる。すなわち、着用者の足の安定性を確保と靴の踵部分の柔軟性を両立する硬度として、ショアA硬度50から70が最適である。
【0017】
請求項3の発明にかかるヒールシステムは,樹脂を材料とし,ヒール部及びカウンタ部が一体成形されたものであり,当該ヒール部は,靴の甲被部及びソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着することを特徴とするヒールシステムである。
【0018】
請求項3の発明によれば,当該ヒールシステムは樹脂を材料としており,靴の甲被部の踵部分を外側から覆うように装着されて,当該甲被部を介して着?者の踵を柔軟に包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,請求項1の発明と同様に,甲被部の踵部分に従来のカウンタ部材を備えない靴等の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着?者の踵の形との違いを吸収しつつ,着?者の踵にフィットさせることができるため,良好な履き?地を得ることができる。そして,請求項2にかかるヒールシステムは,請求項1にかかる靴におけるヒールシステムの交換に?いることも可能であるし,当該靴以外の靴に新たに装着することも可能である。
【0019】
また,請求項3の発明によれば,当該ヒールシステムは,樹脂を材料としてヒール部とカウンタ部を一体成型したものであり,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されるため,従来の靴のように,靴の甲被部の踵部分において表?と裏?との間にカウンタ部材を装着する?程が不要となるため,靴製造コストを削減することができる。
【0020】
そして,請求項3の発明によれば,当該ヒールシステムは樹脂を材料としてヒール部とカウンタ部を一体成型したものであり,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されることから,靴の踵部分の外側への装着及び交換が容易であるため,特に請求項1にかかる靴においてヒールシステムのヒール部がすり減った場合,?はカウンタ部が経年劣化して踵部分のフィット感が低下した場合その他のヒールシステムの修理交換が必要になった場合であっても,当該ヒールシステムのみを修理交換することにより,ヒールの磨り減りにより生じた靴の傾きや歪みを解消させると同時に,カウンタ部の良好なフィット感を回復させ,?期間にわたって高い履き?地を維持しながら使?することができる靴を提供することができる。
【0021】
さらに,請求項3の発明によれば,特に請求項1又は2にかかる靴に関して,色,形,材質が異なるヒールシステム色のヒールシステムに交換することにより,例えば,履き慣れた靴において,(1)色や形の異なるヒールシステムに交換することによりデザインの変化を楽しんだり,(2)特にヒール部の形状,材料,堅さ等が異なるヒールシステム(一例として,雨や雪でも滑りにくい材料や形状のもの,悪路に適した路面の凹凸を足の裏に伝えないような堅さや厚さのもの等)に交換することにより,生活環境や用途に合わせた性能を備える靴に新しく生まれ変わらせることができるなど,従来の靴では全く想定されなかった極めて特異な効果を享受することができる。
【0022】
なお,請求項3にかかるヒールシステムは,請求項1又は2にかかる靴以外の靴であっても,ヒールやカウンタを取り外した靴等装着可能な靴に装着及び交換することができることはいうまでもない。
【0023】
さらに,請求項4にかかるヒールシステムは,ヒールシステム部の樹脂を,ショアA硬度50から70の軟質性の高い樹脂とすることにより,靴の踵部分及びヒールシステム部が一体となり,着用者の足の安定性を確保しつつ、より柔軟に着用者の足の踵の形状に合わせて変形しやすくなる。すなわちより高度な柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いをより柔軟に吸収しつつ,着用者の踵にさらにフィットさせることができるため,極めて良好な履き心地を得ることができる。すなわち、着用者の足の安定性を確保と靴の踵部分の柔軟性を両立する硬度として、ショアA硬度50から70が最適である。
【発明の効果】
【0024】
既に本発明にかかる靴及びヒールシステムの靴の効果については,以下にまとめて説明する。
【0025】
本発明の靴は,以上のとおり,ヒール部とソール部が一体成形されていない靴であって,ヒール部とカウンタ部を一体化したヒールシステム部と,甲被部と,ソール部からなり,当該ヒールシステム部は,樹脂を材料として一体成形され,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着したことを特徴とするため,次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち,当該靴及びヒールシステム部は,ヒールシステムの材料を樹脂としており,靴の甲被部の踵部分を外側から覆うように装着されて,当該甲被部を介して着?者の踵を柔軟に包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,本発明の靴の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着?者の踵の形との違いを吸収しつつ,着?者の踵にフィットさせることができるため,従来の靴と比べて良好な履き?地を得ることができる。
【0027】
そして,本発明の靴及びヒールシステムは,当該ヒールシステムは,樹脂を材料としてヒール部とカウンタ部を一体成型したものであり,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されるため,従来の靴のように,靴の甲被部の表?と裏?との間にカウンタを装着する?程が不要となるため,靴製造コストを削減することができる。
【0028】
そして,本発明の靴及びヒールシステムは,当該ヒールシステムは修理交換が容易であるため,ヒールシステムのヒール部がすり減った場合,又はカウンタ部が経年劣化して踵部分のフィット感が低下した場合その他のヒールシステムの修理交換が必要になった場合であっても,当該ヒールシステムのみを修理交換することにより,ヒールの磨り減りにより生じた靴の傾きや歪みを解消させると同時に,カウンタ部の良好なフィット感を回復させ,長期間にわたって高い履き心地を維持しながら使用することができる靴を提供することができる。
【0029】
さらに,本発明の靴及びヒールシステムは,色,形,材質が異なるヒールシステム色のヒールシステムに交換することにより,例えば,履き慣れた靴において,(1)色や形の異なるヒールシステムに交換することによりデザインの変化を楽しんだり,(2)特にヒールの形状,材料,堅さ等が異なるヒールシステム(一例として,雨や雪でも滑りにくい材料や形状のもの,路面の凹凸を足の裏に伝えないような堅さのもの等)に交換することにより,生活環境や用途に合わせた性能を備える靴に新しく生まれ変わらせることができるなど,従来の靴では全く想定されなかった極めて特異な効果を享受することができる。
【0030】
加えて、本発明の靴及びヒールシステムは、ヒールシステム部の樹脂を,ショアA硬度50から70の軟質性の高い樹脂とすることにより,靴の踵部分及びヒールシステム部が一体となり,着用者の足の安定性を確保しつつ、より柔軟に着用者の足の踵の形状に合わせて変形しやすくなる。すなわちより高度な柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いをより柔軟に吸収しつつ,着用者の踵にさらにフィットさせることができるため,極めて良好な履き心地を得ることができる。すなわち、着用者の足の安定性を確保と靴の踵部分の柔軟性を両立する硬度として、ショアA硬度50から70が最適である。
【0031】
本発明のヒールシステムは,樹脂を材料として一体成形され,当該ヒール部は,当該甲被部及び当該ソール部の各踵部分の下側を覆うように装着され,当該カウンタ部は,当該甲被部の踵部分の側部及び後部を外側から覆うように装着されて,着?者の踵を柔軟に包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,本発明にかかる靴のみならず,本発明にかかる靴以外の靴,特に,甲被部の踵部分に従来のカウンタ部材を備えない靴等の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着?者の踵の形との違いを吸収しつつ,着?者の踵にフィットさせることができるため,良好な履き?地を得ることができる。そして,本発明のヒールシステムは,本発明にかかる靴におけるヒールシステムの交換に?いることも可能であるし,当該靴以外の靴に新たに装着することも可能である。
【0032】
また,本発明のヒールシステムは,当該ヒールシステムはヒールとカウンタを一体化したものであるため,従来の靴のように,靴の表革と裏革との間にカウンタを装着する工程が不要となるため,靴製造コストを削減することができる。
また,本発明のヒールシステムは,当該ヒールシステムはヒール部とカウンタ部を一体成形したものであるため,従来の靴のように,靴の表?と裏?との間にカウンタを装着する?程が不要となるため,靴製造コストを削減することができる。
【0033】
そして,本発明のヒールシステムは,ヒール部とカウンタ部を一体成形したものであり,靴の踵部分の外側への装着及び交換が容易であるため,特に本発明にかかる靴においてヒールシステムのヒール部がすり減った場合,?はカウンタ部が経年劣化により硬化,ひび割れ等が生じて踵部分のフィット感が低下した場合その他のヒールシステムの修理交換が必要になった場合であっても,当該ヒールシステムのみを修理交換することにより,ヒールの磨り減りにより生じた靴の傾きや歪みを解消させると同時に,カウンタ部の良好なフィット感を回復させ,?期間にわたって高い履き?地を維持しながら使?することができる靴を提供することができる。
【0034】
さらに,本発明のヒールシステムは,特に本発明にかかる靴に関して,色,形,材質が異なるヒールシステム色のヒールシステムに交換することにより,例えば,履き慣れた靴において,(1)色や形の異なるヒールシステムに交換することによりデザインの変化を楽しんだり,(2)特にヒールの形状,材料,堅さ等が異なるヒールシステム(一例として,雨や雪でも滑りにくい材料や形状のもの,路面の凹凸を足の裏に伝えないような堅さのもの等)に交換することにより,生活環境や用途に合わせた性能を備える靴に新しく生まれ変わらせることができるなど,従来の靴では全く想定されなかった極めて特異な効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1-1】図1-1は本発明実施例1にかかる靴全体の俯瞰図である。(実施例1)
図1-2】図1-2は本発明実施例1にかかる靴全体の側面図である。(実施例1)
図1-3】図1-3は本発明実施例1にかかる靴全体の上下図である。(実施例1)
図2-1】図2-1は本発明実施例1にかかる靴のヒールシステムの俯瞰図である。(実施例1)
図2-2】図2-2は本発明実施例1にかかる靴のヒールシステムの側面図である。(実施例1)
図2-3】図2-3は本発明実施例1にかかる靴のヒールシステムの上下図である(ただし,図面を分かりやすくするためにヒールシステムのカウンタ部は省略してある。)。(実施例1)
図2-4】図2-4は本発明実施例1にかかる靴のヒールシステムの前後図である。(実施例1)
図3図3は本発明実施例1にかかる靴の甲被部の俯瞰図である。(実施例1)
図4図4は本発明実施例1にかかる靴のソールの俯瞰図である。(実施例1)
図5図5は本発明実施例1にかかる靴の接続の構造を示す俯瞰図である。(実施例1)
図6-1】図6-1は本発明実施例2にかかる靴全体の俯瞰図である。(実施例2)
図6-2】図6-2は本発明実施例2にかかる靴全体の側面図である。(実施例2)
図6-3】図6-3本発明実施例2にかかる靴全体の上下図である。(実施例2)
図7-1】図7-1は本発明実施例2にかかる靴のヒールシステムの俯瞰図である。(実施例2)
図7-2】図7-2は本発明実施例2にかかる靴のヒールシステムの側面図である。(実施例2)
図7-3】図7-3は本発明実施例2にかかる靴のヒールシステムの前後図である。(実施例2)
図8図8は本発明実施例2の靴の接続の構造を示す俯瞰図である。(実施例2)
図9図9は本発明実施例2特有の効果を説明するための図である。
図10図10は本発明実施例2特有の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明を実施するための形態について,添付図面を用いて説明する。
【実施例0037】
図1-1から図5までは,本発明実施例1の靴及びヒールシステムを説明するための図であり,図1-1から図1-3は本発明実施例1にかかる靴全体の図,図2-1から図2-4は本発明実施例1にかかるヒールシステムの図,図3は本発明実施例1にかかる甲被部の図,図4は本発明実施例1にかかるソールを示す図,図5は本発明実施例1にかかる靴の接続構造を示す図である。
【0038】
なお,ここでは靴の一例として女性用パンプスを例にとっているが,本発明は,女性用パンプス以外でも,男性用パンプス,その他あらゆる靴に適用可能であることはいうまでもない。
【0039】
図1-1から図1-3までは靴1の全体を示す図である。図1-1は靴1の俯瞰図,図1-2(a)及び(b)はそれぞれ靴1の外甲側側面図及び内甲側側面図,図1-3(a)及び(b)はそれぞれ靴1の上面図及び底面図であり。各図に示すように,靴1は,ヒールシステム2,甲被部3,ソール4を備えている。
【0040】
図2-1から図2-4はヒールシステム2を示す図である。図2-1はヒールシステム2の俯瞰図,図2-2(a)及び(b)はそれぞれヒールシステムの外甲側側面図及び内甲側側面図,図2-3(a)及び(b)はそれぞれヒールシステムの上面図及び底面図(ただし,図面を分かりやすくするためにヒールシステムのカウンタ部は省略してある。),図2-4(a)及び(b)はそれぞれヒールシステムの前面図及び後面図である。各図に示すように,ヒールシステム2は,ソール部とは一体成形されず別体として形成され,ヒール部21及びカウンタ部22から構成され,当該ヒール部21及びカウンタ部22は一体成形されている。ヒールシステム2の材料は,樹脂とするが,耐摩耗性,グリップ性等の所望の靴の性能に応じて,ヒール部21とカウンタ部22とを同一の材料とすることも,例えばヒール部21を耐摩耗性の高い材料やグリップの良い材料とするなど異なる材料とすることもできる。
【0041】
図2-1から図2-4に示すように,ヒール部21は,地面に接するヒール底面部211,周壁を形成するヒール周壁部212及びヒール上面部213から構成される。ヒール底面部211の形状は,履き心地,耐摩耗性,グリップ性能,デザイン性等の所望の靴の性能に適した形状及び材料とすること,例えば凹凸を設けたり,溝を設けるなど,任意の形状とすることができる。また,ヒール底面部の一部についてのみ,履き心地,耐摩耗性,グリップ性能,デザイン性等の所望の靴の性能に適した形状及び材料とすることもできる。
【0042】
ヒール周壁部212は,前部略直線状又は緩やかな弧状の内甲側から弧を描く後部を通り再び前部略直線状又は緩やかな弧状の外甲側に伸びるヒール側壁部2121及びヒール部21の内甲側前側から外甲側前側に伸びるヒール前壁部2122からなる。実施例1の側壁部は高さ方向の中央付近が膨らんだ形状となっているが,当該形状は一例であり,所望の靴のデザイン及び性能に応じて,任意の形状とすることができる。また,実施例1のヒール前壁部2122は,中央付近において大きく後方に凹みを設けた形状となっており,ヒール部21の平面形状が略U字型となっているが,このような略U字型にすることによりヒール部21の軽量化を図ることができる。このようなヒール部21の平面形状は一例であり,所望の靴のデザイン,性能に応じて,適宜の形状とすることができる。
【0043】
ヒール上面部213の前部には,ヒール正面部213から略矩形に凹ませた凹部2132が設けられている。凹部2132は,図5のように靴1を組み立てる際に,ソール4の後部が嵌め込まれ,固着される部分である。すなわち,凹部2132の深さは,ソール4の厚さと略同一であり,ソール4の後部を嵌め込んだ際にヒール正面部213とソールとが面一になる深さとなっている。なお,実施例1において,ヒール上面部213に略矩形に凹ませた凹部2132を設けているが,このようなヒール上面部ヒールシステム2とソール4とが固着される部分の形状としての一例に過ぎない。当該固着される部分の形状は,靴の所望の性能,製造のしやすさ,重量等に合わせて適宜の形状とすることが可能であり,例えば,凹部2132の形状を略矩形以外の形状とすること可能であるし,凹部2132を設けないことも可能である。
【0044】
カウンタ部22は,ヒール部21のヒール側壁部2121外縁に沿って,内甲側から後部を通り外甲側に向かって,靴1の着用者の踵を,甲被部の外側から,甲被部の表革及び裏革を介して包むように弧を描きながら伸びるカウンタ壁部221から構成される。前述のとおり,カウンタ部22はヒール部21と一体成形されるので,カウンタ壁部221はヒール部21と一体成形されている。
【0045】
カウンタ壁部221は,下端部から上端部に向かって,靴1の着用者の踵付近の形状に合わせるように,図2-2でいえば外側(後側)に膨らむ弧を描いて形成される。そして,カウンタ壁部221の後部は,下端部から上端部までの高さを甲被部3の後部側壁部311の高さと略同じであり,甲被部の外側から,甲被部の表革及び裏革を介して,着用者の踵全体を包み込む形状としている。当該形状により,着用者の足の安定性を確保することができる。カウンタ壁部221前部の高さは,靴全体又はヒールシステムのデザインや軽量化を考慮して同後部の高さよりも低くしているが,着用者の足の安定性をより高く確保するめに同後部と同じ又は同程度の高さにすることも可能であるし,靴全体又はヒールシステムのデザイン及び所望の靴の性能に応じて適宜の高さや形状とすることができる。さらに,着用者の足の高い安定性と履き心地を確保することができるのであれば,所望の靴のデザイン及び性能に応じて,カウンタ壁部221の形状は,カウンタ壁部221前部及び同後部の高さを適宜変更するなど,適宜の形状とすることができる。
【0046】
ヒールシステム2は樹脂を用いて一体成形され,靴の甲被部の踵部分を外側から覆うように装着されて,当該甲被部の表革及び裏革を介して着用者の踵を包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,本発明の靴の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いを吸収しつつ,着用者の踵にフィットさせることができる。また,カウンタ壁部221は樹脂を材料としているため,甲被部3の後部の形状及び着用者の踵の形状の違いに合わせて変形し,着用者の足にフィットするため,従来の靴と比べて良好な履き心地を実現することができる。さらに,ヒールシステム2の材料を,ショアA硬度50から70の軟質性の高い樹脂とすることにより,靴の踵部分及びヒールシステム部が一体となり,着用者の足の安定性を確保しつつ、より柔軟に着用者の足の踵の形状に合わせて変形しやすくなる。すなわち靴の踵部分のより高度な柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いをより柔軟に吸収しつつ,着用者の踵にさらにフィットさせることができるため,極めて良好な履き心地を得ることができる。すなわち、着用者の足の安定性を確保と靴の踵部分の柔軟性を両立する硬度として、ショアA硬度50から70が最適である。
【0047】
そして,ヒールシステム2を含む靴1及びヒールシステムは,当該ヒールシステムは修理交換が容易であるため,ヒールシステム2のヒール部21がすり減った場合,又はカウンタ部22が経年劣化して踵部分のフィット感が低下した場合その他のヒールシステム2の修理交換が必要になった場合であっても,当該ヒールシステム2のみを修理交換することにより,ヒール部21の磨り減りにより生じた靴の傾きや歪みを解消させると同時に,カウンタ部22の良好なフィット感を回復させ,長期間にわたって高い履き心地を維持しながら使用することができる靴を提供することができる。さらに,本発明の靴1及びヒールシステム2は,色,形,材質が異なるヒールシステムに交換することにより,例えば,履き慣れた靴において,(1)色や形の異なるヒールシステムに交換することによりデザインの変化を楽しんだり,(2)特にヒールの形状,材料,堅さ等が異なるヒールシステム(一例として,雨や雪でも滑りにくい材料や形状のもの,路面の凹凸を足の裏に伝えないような堅さのもの等)に交換することにより,生活環境や用途に合わせた性能を備える靴に新しく生まれ変わらせることができるなど,従来の靴では全く想定されなかった極めて特異な効果を享受することができる。
【0048】
図3は,甲被部3のみを示した俯瞰図である。甲被部3は,後部甲被部31及び前部甲被部32から構成される。後部甲被部31は甲被部3とヒールシステム2が固着される際に,ヒール部21のヒール上面部213と固着し重なる部分である。前部甲被部32は前記重なる部分より爪先側の部分である。
【0049】
後部甲被部31は,内甲側から後側を通り外甲側に,靴1の着用者の踵を包むように弧を描きながら伸びる後部甲被側壁部311及び甲被部3とヒールシステム2が固着される際にヒール部21のヒール上面部213と重なる後部甲被底面部312から構成される。
【0050】
図5に示すとおり,後部甲被側面部311の外側面がヒールシステム2のカウンタ部22のカウンタ壁部221の内側面と固着される。そして,後部甲被底面部後部甲被底面部312の外側面がヒールシステム2のヒール部21のヒール上面部213に固着される。以上の後部甲被部31とヒールシステム2との固着方法は,接着剤を用いる方法,縫合による方法等適宜の方法を採用することが可能であり,限定されない。
【0051】
前部甲被部32は,内甲側から前側(爪先側)を通って外甲側に,弧を描きながら靴1の着用者の爪先側を包むように伸びる前部甲被側壁部321及びソール4の上面部と固着される前部甲被底面部322とから構成される。
【0052】
図4は,ソール4のみを示した俯瞰図である。ソール4の前部は前部甲被部32と重なり,同後部は図5に示すように後部甲被部31のうちヒール部2の前部と重なる部分と重なり,固着される。ソール4の後部の形状は,一例として略矩形となっているが,「0043」段落において述べたとおり,適宜の形状とすることができる。また,当該固着の方法は,接着剤を用いる方法,縫合による方法等適宜の方法を採用することができ,限定されない。
【0053】
さらに,ソール4の層構造は,図示しないが,アウトソール1層のものであっても,アウトソール及びミッドソール等の2層以上のものであってもよく,靴1の所望の性能及びデザインに応じて適宜の層構造を採用することができる。
【実施例0054】
図6-1から図8までは,ヒールシステム2の別の本発明実施例2を説明するための図である。図6-1から図6-3は本発明実施例2にかかる靴全体の図,図7-1から図7-3までは本発明実施例2にかかるヒールシステム2の図,図8は本発明実施例2にかかる靴の接続構造を示す図である。
【0055】
図6-1から図6-3までは靴1の全体を示す図である。図1-1から図1-3までと同様に,図6-1は靴1の俯瞰図,図6-2(a)及び(b)はそれぞれ靴1の外甲側側面図及び内甲側側面図,図6-3(a)及び(b)はそれぞれ靴1の上面図及び底面図である。各図に示すように,靴1は,ヒールシステム2,甲被部3,ソール4を備えていることも,実施例1までと同様である。
【0056】
本発明実施例1との違いは,ヒールシステム2の形状であるが,当該違いについては,図7-1から図7-3までを用いて説明する。
【0057】
図7-1から図7-3はヒールシステム2を示す図である。図7-1はヒールシステム2の俯瞰図,図7-2(a)及び(b)はそれぞれヒールシステムの外甲側側面図及び内甲側側面図,図7-3(a)及び(b)はそれぞれヒールシステムの上面図及び底面図(ただし,図面を分かりやすくするためにヒールシステムのカウンタ部は省略してある。)。各図に示すように,ヒールシステム2の構成は「0040」において本発明実施例1について述べた内容と同様である。
【0058】
図7-1から図7-3に示すように,ヒール部21の構成は「0041」,「0042」及び「0043」において本発明実施例1について述べた内容と同様である。
【0059】
カウンタ部22及びカウンタ壁部221の構成の内容は,基本的には「0044」及び「0045」において本発明実施例1について述べた内容と同様である。本発明実施例2特有の構成として,カウンタへ基部221の後部に開口部222を設けている。当該開口部は,一例として,底辺を下側とする略台形又は三角形としている。
【0060】
ヒールシステム2の効果について,本発明実施例1と同様に,樹脂を用いて一体成形され,靴の甲被部の踵部分を外側から覆うように装着されて,当該甲被部の表革及び裏革を介して着用者の踵を包み込む。そうすると,当該甲被部の表革及び裏革がヒールシステム部のカウンタ部と着用者の踵との間の緩衝材の機能を果たすため,本発明の靴の踵部分の柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いを吸収しつつ,着用者の踵にフィットさせることができる。また,カウンタ壁部221は樹脂を材料としているため,甲被部3の後部の形状及び着用者の踵の形状の違いに合わせて変形し,着用者の足にフィットするため,従来の靴と比べて良好な履き心地を実現することができる。さらに,ヒールシステム2の材料を,ショアA硬度50から70の軟質性の高い樹脂とすることにより,靴の踵部分及びヒールシステム部が一体となり,着用者の足の安定性を確保しつつ、より柔軟に着用者の足の踵の形状に合わせて変形しやすくなる。すなわち靴の踵部分のより高度な柔軟性を確保し,靴の踵部分の形を,着用者の踵の形との違いをより柔軟に吸収しつつ,着用者の踵にさらにフィットさせることができるため,極めて良好な履き心地を得ることができる。すなわち、着用者の足の安定性を確保と靴の踵部分の柔軟性を両立する硬度として、ショアA硬度50から70が最適である。
【0061】
ここで,本発明実施例1にはみられない本発明実施例2特有の効果について,図9(a)及び(b)を用いて説明する。図9(a)及び(b)におけるそれぞれの甲被部3a及び3bは,それぞれの後部甲被側壁部311a及び311bの曲率半径が異なる。すなわち,図9(a)における後部甲被側壁部311aの曲率半径は,図9(b)の後部甲被側壁部bの曲率半径よりも大きい(前者の湾曲よりも,後者の湾曲の方が大きい)。しかし,図9(a)及び(b)におけるそれぞれのヒールシステム2の形状は同一である。このように,後部甲被側壁部311の形状が異なる甲被部3について,当該形状の相違をヒールシステム2の開口部222が吸収することができるため,同一の形状のヒールシステム2を組み合わせることができる。すなわち,例えば同じ女性用パンプスであっても,デザイン,サイズ,想定される主な用途により踵周りの形状が異なることがあるが,同一の形状のヒールシステムを,デザイン,サイズ,想定される用途による形状の違いを吸収し,様々な形状の靴に使用することができるため,靴の製造コストを大幅に減ずることが可能となる。
【0062】
さらに,本発明実施例2特有の効果について,図10(a)及び(b)を用いて説明する。図10(a)は実施例1のヒールシステム2及び甲被部3を組み合わせた靴の上面図であり,図10(b)は実施例2のヒールシステム2及び甲被部3を組み合わせた靴の上面図である。実施例2(図10(b))のヒールシステム2のカウンタ壁部221には開口部222が設けられているため,実施例2(図10(b))の矢印方向の柔軟性は,カウンタ壁部221は図10(a)及び(b)の矢印方向の柔軟性において,実施例1(図10(a))の矢印方向の柔軟性よりも大幅に上回る。その意味でも,実施例2のヒールシステムは,靴1の後部甲被部31の形状の違い及び靴1の着用者の踵の形の個性を,実施例1と比較して,より高い柔軟性を持って吸収することができるため,靴の製造コストを大幅に減ずると同時に,着用者の足への極めて高いフィット感を与え,極めて高い履き心地を実現することができる。
【0063】
なお,本発明実施例2では,開口部222の形状を底辺を下側とする略台形又は三角形としているが,当該開口部222の形状は,靴1の着用者の安定感及び良好な履き心地を確保することができれば,特に限定はなく,適宜の形状を採用することができることはいうまでもない。
【0064】
さらに,本発明実施例1及び実施例2は女性用パンプスを一例としているが,ソール部とヒール部が一体となっていない靴であれば,性別や用途を問わず,パンプス,スポーツシューズ等様々なシューズにおいて適用することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 本発明の靴
2 ヒールシステム
21 ヒール部
211 ヒール底面部
212 ヒール周壁部
2121 ヒール側壁部
2122 ヒール前壁部
213 ヒール上面部
2132 凹部
22 カウンタ部
221 カウンタ壁部
222 開口部
3 甲被部
31 後部甲被部
311 後部甲被側壁部
312 後部甲被底面部
32 前部甲被部
321 前部甲被側壁部
322 前部甲被底面部
4 ソール

図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9
図10