(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049027
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】リクライニング車いす用足受けネット・足置きマット・ひじ掛けマット
(51)【国際特許分類】
A61G 5/12 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
A61G5/12 705
A61G5/12 706
A61G5/12
A61G5/12 704
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155026
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】303060365
【氏名又は名称】須藤 芳枝
(72)【発明者】
【氏名】須藤芳枝
(57)【要約】
【課題】高齢者や認知機能が損なわれた方が、自力で座椅子に安全な姿勢で座ることが難しく、徐々に体が傾くことにより、座位部とリクライニング車いすの足置き部分の隙間から足が車輪部に落ち、巻き込まれて怪我することや、固いひじ掛けで、裂傷することを回避することを目的とする。
【解決手段】座位と足置き部の空間に、足受けネットを取り付けることで、脱落を防止する。
介護者の負担を軽減し、利用者の移動が便利なように、足受けネットの着脱が簡単に出来るようにする。
足が届かず、不安定な姿勢を改善するため、足置き部の高さを個々に合わせることが出来るようにする。
片寄った姿勢で、肘等の裂傷が出来ないよう、ひじ掛け部を柔らかい物でカバーする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクライニング車いす用、足受けネットであって、ネットの最上部に、帯状取り付け部を有し、該帯状取り付け部の中央部と両縁に、リクライニング車いすに固定できる留め具カチットストッパー等を有し、該、帯状取り付け部から下部に、例えば、布とネットを二重構造にしたような強い受け布を有し、該、受け布の中央部、及び下部に、リクライニング車いすに支持・固定するための固定帯を設ける。
固定布は、簡単に着脱自在できることが必要で有るため、固定帯の両端側に、はと目ホックを取り付け、車いすの足置き金具にしっかり留め、中央部に面ファスナーを取り付けたことにより、隙間から車輪側に足が落ちるなどの危険を回避できる、リクライニング車いす用足受けネット。
【請求項2】
請求項1に記載のリクライニング車椅子用、足置きマットであって、既存の足置き部に取り付ける。
上部、下部、二段に形成し、上段に足が固定・安定出来るよう、スポンジやビーズ等、足の形に添って沈み込む物を入れた袋を入れる。下段には、ハンドタオル等を挿入することで、個々の高さが調節できる形状にした。
該、二段に仕切った足置きマットを、既存の足置き部上に置き、既存の足置き部を、包み込めるように延長した、長辺布を、既存の足置き部下部に回し、足置き部中央付近に来るよう取り付けたベルトを上下ともに巻き込み、先端部の面ファスナーで止める。
これにより、自力で座椅子に安全な状姿勢で座ることが難しい人や、高齢者等で身長等が低くなり、固定された足置きに届かないため、足首が浮いている不安定な状態を解消することが出来るリクライニング車椅子用、足置きマット。
【請求項3】
請求項1に記載のリクライニング車椅子用、肘用マットであって、本来の車いすのひじ掛けは、固い金具と、プラスチック状の物で出来ているが、自力で車いすに安全な姿勢で座ることが難しいため、徐々に体が傾いてしまう人には固くて痛い。しかも、皮膚が薄い老人は少しの摩擦で裂傷が出来る。そのためひじ掛けに、カバーできる形状で内部に柔らかい素材を入れ、弾力を有するリクライニング車いす用ひじ掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許は、高齢者で安定した座位が取れなくなった方や、認知機能が損なわれた方が、リクライニング車いすを利用する際は、
自力で座椅子に安全な姿勢で座っていることが難しいため、徐々に体が傾き、椅子と足置き部分の隙間から足が車輪部に落ち、巻き込まれて怪我することを、防御することを目的とするリクライニング車椅子用足受けネット。
及び、身長が低く成ったり、背中が曲がり、足が、足置きまで届かないため、足首が浮いてブラブラしている不安定な状態を解消し、安定して座れるために設けた、高さ調節可能な足置きマット、
自力で椅子に安全な姿勢で座っていることが難しいため、徐々に体が傾き、ひじ掛け部に片寄り、体を預ける姿勢になることが多いため、固いひじ掛け部をカバーし、擦り傷等を防ぐことが出来るひじ掛けカバー。
に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や認知機能を失った場合、移動手段として、リクライニング車椅子が利用されるが、高齢者や認知機能が失われた方は、全体の身体機能が弱くなり、自立で正常な座位を保てない。そのため体が右や左に傾く。
介護用車両では車両に備えられたシートベルトを装着するが、走行時に急停止する事態が生じた場合等に、不安定な体型から、椅子からずり落ちることも有る。
単独で車いすに乗り、移動する場合は、シートベルトが車いすに常備されていないため、略、シートベルトを装着していない。装着する際も、利用者は自分で装着することが出来ない。そのため、介護者が、安全のためにきつく締めつけたたシートベルトが、高齢者や認知機能を失った方の場合は、それらを訴えることが出来ないため、かなり負担になる。
また、高齢者は腰などが曲がったため、身長が低くなったり、足も曲がって短くなる。
そのため、しっかり、足置き部に両足を置くことが出来ない。略、座椅子に宙ぶらりんな状態で座っていることが多いため、不安定である。
現在、リクライニング車いす以外では、足が車いすの座位と足置きとの隙間から落ちないために、脚置き後部に受け板のような物が設置されている物も有るが、固定されており、これは、自力で普通に乗り降りし、座ることが出来る人のためで、高齢者や認知機能を失った方の、個々に合わせたリクライニング車いすには対応できない。
【0003】
また、リクライニング車椅子用足受けマットを、必要とする人は、常に横臥状態の人が多く、ベットからリクライニング用車いすに移動する際も、自力では移動出来ない。そのため、介護者が抱き上げて移動することになる。
その際、介護者と座椅子部が離れていると、抱きかかえる時間が長くなり、どうしても乱暴な処置になったり、抱きかかえて移動する際、ずり落ちることも有る。
つまり、車いすの座位部分から介護者の位置が、遠いとか狭いと、抱きあげて移動するのに、無理が有り、介護者の力が相当必要となる。
このように、自分で移動出来ない人の移動に時間を費やすほど、介護者は強い力を必要とするため、介護者の腰部に負担が掛かり、時間経過とともに腰痛を発症することが多い。
【0004】
リクライニング車いすを利用する人は、身体障害が有ったり、認知機能が失われている場合が多い。
そのため、車いすにすわっていても、徐々に体が傾いてきて、ひじ掛けに体を預けるように、寄っかかっている姿勢になるが、ひじ掛けは金属製の上部をプラスチックで覆っていて固い。
そのため、肘や手首など、知らない間に、擦り傷が出来ることが多いが、介護者が気づきにくいため、処置が遅れる。
固いひじ掛けのままだと、長時間の移動には適さない。。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-020810 車いすのフットレスは、足置き部の形状について。特開2006-311937 車いす用フットレスは、昇降装置によりフットレスト本体部を最下降位置にしたときには、フットレスト本体部と地面との段差を小さくして下肢の弱った方にとっても容易に昇降できる仕組み。 特開2006-296929 折り畳み可能な車いす用フットレスは、フットレストおよびその昇降装置を車いすから取外すことなく車いすを折り畳むことができる装置。で、リクライニング車いす利用者用では無く、座椅子部分とフットレスとの空間への脱落防止については、明記されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記、高齢者や認知機能が損なわれた方が、自力で座椅子に安全な姿勢で座ることが難しく、徐々に体が傾き、座位部とリクライニング車いすの足置き部分の隙間から足が車輪部に落ち、巻き込まれて怪我することを防御することを目的とする。
実際、座位部と足置きとの空間は
図3に表しているように、かなり広い。
又、個々の高さ調節が可能な足置き部を設けることで、高齢者や認知機能が損なわれて、身長が縮み、足が足置きに届かず、ブラブラとなる不安定状態を解消し、しっかり、足が届くことで安定した座位を確保することを目的とする。
ベッド等と車いす間の移動の際、椅子部分に介護者の体(軸足)が一番近い場所で対応できることで、座椅子の深い位置に、安定した姿勢で座らせることが出来、かつ、介護者の負担も軽減されることを目的とする。
固いひじ掛け部を覆い、保護出来るひじ掛けカバーにより、自力で椅子に安全な姿勢で座っていることが難しいため、徐々に体が傾き、ひじ掛け部に体を預けることにより、肘や腕の擦り傷が出来ることを、防御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
最上部、帯状取り付け部と、該帯状取り付け部上部の、中央部と両縁に、リクライニング車いすに固定できる留め具カチットストッパー等を有し、該、帯状取り付け部から下方に、布とネットを二重構造にしたような強い受け布を有す。
該、受け布の下方中央部、及び最下部に、リクライニング車いすに支持・固定するための固定帯を設ける。
固定布は、簡単に着脱自在できることが必須で有るため、固定帯の両端側に、はと目ホックを取り付け、車いすの足置き金具にしっかり留め、中央部に着脱自在の面ファスナーを取り着け固定することで、足をしっかり受ける。このように、面ファスナーで固定することにより、既存の足置き部も中央部にしっかり固定されるので、移動時に足置きが開くことが無く、より安全になる。
上記、足受けネットを取り付けることにより、隙間から車輪側に足が落ちるなどの危険を回避でき、怪我を防御することが可能になる。
認知機能が損なわれ、自力で座椅子に安全な姿勢で座ることが難しい人や、高齢者等で身長等が低くなり、固定された足置きに届かないため、足首が浮いている不安定な座位状態を解消するために、個々の高さ調節可能な足置き部を設けたことにより、足が、足置き部に届くため、バランスが保たれて、体の片寄りが緩和される。
ひじ掛け部を、柔らかいカバーで覆うことにより、自立座位を保てないため、体が片寄り、ひじ掛け部に寄りかかることによる、肘や腕に擦り傷等が出来ることが避けられる。
【0008】
介護者が、ベットからリクライニング車いすへの移動をする際、途中で落とす危険を避け、介護者の体力に変調をきたす問題を回避するためには、車いすの座椅子前面から、足置き等の部品を退け、座位部が一番前面に有り、介護者の脚部が、椅子に接する位近くに立つ必要が有る。
又、これは、逆にリクライニング車いすからベットに移動する際も同様で、介護者の脚部が、椅子に接している位近くに位置する必要が有る。
例えば、リクライニング車いす中央部に軸足が接して、抱きかかえたまま、向きを変え、30度から45°位の角度を回転するだけで、車いすや、ベッドに移動出来る状態が一番適している。
この状態だと、介護人の力が少なくても、確実で安全な移動が可能になる。
この体位を維持するためには、移動時には、足受けネットも足置きマットも、既存の足置きも、座椅子の前面には無いことが望ましい。
しかし、椅子に深く安全に座らせたら、怪我防止や安定した座位のため、足受けネットや足置きマットが必要となる。
当然、安全のためにはしっかり、固定している必要が有る。
【発明の効果】
【0009】
前記記載の、リクライニング車椅子用足受けネットであって、座椅子から足置き部までの、空間全体を覆うことで隙間を無くし、足が車輪側に落ち、車輪や付属設備等に巻き込まれ怪我することを防御出来る。
取り付け、取り外しの際は、、簡単に着脱自在できることが絶対条件であるため、該、固定帯の両端にスナップボタンを取り付け、先端に面ファスナーを取り付けたことにより、一瞬で、自在に調節でき、個々の体型に対応できる。
移動時、座椅子前面に、邪魔するものが全て無い状態と、移動後、取り付けることにより、全保護出来る状態が簡単にできる。
つまり、介護者が車いす利用者を移動する際には、上記、座位前面に何も無い状態で移動し、移動後は取り付けることにより全保護状態になる。
本特許は、上記の特徴により、利用者が、空間から車輪部への脱落防止効果を高め、怪我などを回避できる。
【0010】
認知機能が損なわれ、自力で座椅子に安全な状姿勢で座ることが難しい人や、高齢者等で身長等が低くなり、固定された足置きに届かず、足首が浮いている不安定な状態を解消するために、個々の高さ調節可能な足置きである。
足置き部を、2段に形成し、上段には、スポンジやビーズ等の足が、形状に添って沈み込む物を個々の袋に入れ、それを上段部に入れる。
下部は、中に、ハンドタオル等を入れることにより、個々の高さ調節に対応できる。
また、常時足を置くため、汚れ等が着いても、スポンジやビーズ等の袋は簡単に取り出せる。
下段のハンドタオル等も、出し入れが簡単で、洗濯できる。
足置きマットを装着することにより、足置き部にしっかり、足が届き安定するため、バランスが保たれる。
結果、体の片寄りが緩和されることを目的とするリクライニング車椅子用、足置きマット。
また、自力で座椅子に安全な状姿勢で座ることが難しい人の体が片寄り、ひじ掛けに体を預けることにより、肘や腕が擦り傷になる。
スポンジやビーズ等を入れたクッション性の有るひじ掛けを装着することで、肘や腕の擦り傷が防止できる、
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】リクライニング車いすに、足受けネット・足置きマット・ひじ掛け・全部を装着した図である・
【
図2】
図2:は、リクライニング車いすの全体図で、何も装着していない状態である。
【
図3】
図3:は座位部分の空間を示したものである。座椅子から既存の足置きまでの距離は330mm・座椅子から足置き部までの高さは460mm・座椅子の幅は450mm・で、かなり大きな空間が有る。
【
図4】
図4:は、既存の足置きを外部に開き、介護者が一番介護しやすい立ち位置Lを示したものである。介護・移動する際は、足置きは左右とも外部に回転移動する。
【
図5】
図5:は、足受けネット1 の展開図である。B1とB2を
図1のB部に固定し、Aを、
図1のAに、Cを
図1のCに取り付ける。この部分は、常時取り付けたままにしておき、利用者が車いすに移動し、深く安全な状況で座位したのち、DとD’ EとE’ FとF’ GとG’ HとH’ IとI’ を合わせて固定する。
【
図6】
図6:は、足受けネット1 展開
図5 を車いすに取り付けた図である。このように、ネット上部、A・B1・B2・C部は、常時取り付けたままにしておく。
【
図7】
図7:は、足受けネット2 の展開図である。受け布を幅広にしたことで、ゆったり足を受けることが出来る。
図6と同様にA・B1・B2・C・を取り付けて、DとD’ EとE’ JとK1・K2 を面ファスナーでしっかり固定する。
【
図8】
図8:は、足受けネット2 展開
図7 を車いすに取り付けた図である。このように、ネット上部、A・B1・B2・C部は、常時取り付けたままにしておく。
【
図9】
図9:は、足置きマットを取り付けた図である。
【
図10】
図10:は、足置きマットの構造図である。内部を2段にして、上部には、スポンジやビーズなど足の形状に添う物を袋に入れ、その袋を入れる。 下部にはハンドタオル等をいれて、個々に高さを調節する。この部分は既存の足置き部の上に置き、S~T部分を足置き部の下に巻き込み、QとRの部分に取り付けた面ファスナーで全体を固く固定する。
【
図11】
図11:は、
図10を既存の足置き部に取り付けたもので、Uは、既存の足置き部である。S・T・の面を足置き部に巻き込み、帯状Q・R・に取り付けた面ファスナーでしっかり固定する。
【
図12】
図12:は、ひじ掛け用マットであって、内部にソフトな素材(スポンジやビーズ等)を入れて、既存のひじ掛けの固さを緩和する。2か所に取り付けた面ファスナーでひじ掛け部に固定する。
【実施例0012】
リクライニング車椅子用足受けネットであって、座椅子から足置き部に有る、空間全体を覆うことで隙間を無くし、足が車輪側に落ち巻き込まれ怪我することを防御出来る。
足置きマットと、ひじ掛けマットは常時取り付けておく。
足置きは、左右とも外に向けて回転しておき、座椅子前面を広く開けておく。
まず、足受けネットの上部、A.B.C.を
図1に有る、車いすのA.B.C.に固定しておく。
下部は取り付けないで、
図4:に示したL部、つまり、車いすの座椅子中央に軸足を置き、患者を抱きかかえて、30度~45度位回転してベットから車いすに移動させる。
この時、患者の体は座椅子の一番深い位置に座らせる。
確認できたら、足置きを椅子の前に戻し、患者の足を優しく乗せる。
次に、足受けネットに取り付けた帯部を、
図6や
図8に示すように、面ファスナーで固定する。
面ファスナーで固定調整することで、個々の足の位置などに対応できる。
また、固定することにより、足置き部も中央に引っ張られて、動かないように固定される。
逆に、車いすからベットに移動する際は、
固定した面ファスナーを外し、足置き部を外に向けて開く。
この時、足受けネットの上部、A.B.C.はそのままにして取り付けたままにして置く。
座椅子前面が広くなったので、前記L部に軸足を置き、抱きかかえて30度~45度位回転してベットに戻す。
一連の動きが簡単に出来るし、座位が安定しているので、利用者の行動が広がる利点がある。