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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049032
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】衛生マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220322BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A62B18/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155039
(22)【出願日】2020-09-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】593157736
【氏名又は名称】株式会社アーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】宇野 泰正
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
2E185CC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着用したまま飲食が可能な衛生マスクを提供する。
【解決手段】口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスク100であり、衛生マスク100は、平板状のカバー部11、及びカバー部11の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部2からなるマスク本体1と、マスク本体1の左右両端部に連結される固定紐6とを備え、鼻当接部2は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部22,22からなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスクであって、
平板状のカバー部、及び前記カバー部の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部からなるマスク本体と、
前記マスク本体の左右両端部に連結される固定紐と
を備え、
前記鼻当接部は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部からなることを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
前記一対の輪状部は、一枚の帯状部材の両端を内側に湾曲させて、当該帯状部材の中央部に連結することにより形成されている請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項3】
前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する帯状部材が連結された一枚のブランクから形成されており、
前記帯状部材は、前記平板部の上側に左右方向を長手方向として配設され、
前記平板部と前記帯状部材の間には、左右の両端から切れ込む左右一対の切れ込み線が設けられ、
前記左右一対の切れ込み線の間には、前記平板部と前記帯状部材を連結する連結部が設けられ、
前記帯状部材は、前記切れ込み線により前記平板部と分断された左右一対の曲げ自在部を有する請求項2に記載の衛生マスク。
【請求項4】
前記帯状部材は、左右両端から突出する一対の係止片と、左右方向の中央に設けられる第1係止用スリットと有し
前記平板部は、前記第1係止用スリットと前記連結部について上下対称に設けられる第2係止用スリットを有する請求項3に記載の衛生マスク。
【請求項5】
前記左右一対の輪状部は、それぞれ下縁に着用者の鼻を回避するための円弧状の切り欠き部を有する請求項2に記載の衛生マスク。
【請求項6】
前記一対の輪状部は、それぞれ別の帯状部材から形成され、合わせて2本の帯状部材から形成されている請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項7】
前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する前記2本の帯状部材とが連結された一枚のブランクから形成されており、
前記2本の帯状部材は、前記平板部の上端中央から上方へ延出するように、かつ左右対称に並べられ、
前記帯状部材の先端部を前記平板部の裏面側へ折り曲げたのち、前記先端部を裏返しながら左右の外側へ向けた状態で前記平板部に固定されている請求項6に記載の衛生マスク。
【請求項8】
前記帯状部材は、先端から突出する係止片を備え、前記平板部は、前記係止片を挿通する第3係止用スリットを有する請求項7に記載の衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用者が呼吸により放出する唾液等の飛沫を遮蔽する衛生マスクに関し、特に、顔面から離間した状態で鼻と口の前方を塞ぐ衛生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸による飛沫感染を防止するために、顔面に密着させるようにして口や鼻を覆う布や紙製のマスクが広く用いられている。係るマスクは、着用者自身の感染防止と、他人に対する感染防止の両方を目的としているところ、顔面に密着させて着用するため、呼吸が苦しかったり、口紅等の化粧がマスクに付着したりするという問題が有る。
【0003】
そこで、特許文献1では、呼吸器の前方を覆う透明湾曲板からなるカバー体を、内側から突出した顎把持部を顎に当接させることで、カバー体を顔面から離間した状態で支持するようにして、他者の保護のみを目的とした衛生マスクが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】特許第5274984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の衛生マスクは、カバー体を顎で支持することから、カバー体の下側から手を入れることができず、マスクをしたまま食事や、あるいは、リコーダー等の楽器の演奏ができないという問題が有る。
また、特許文献1の衛生マスクでは、カバー体を支持する部材がカバー体とは別途の部材で形成されているため、製造コストがかさむという問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、着用した状態でも食事やリコーダー等の演奏が可能で、製造コストを抑制可能な衛生マスクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスクであって、平板状のカバー部、及び前記カバー部の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部からなるマスク本体と、前記マスク本体の左右両端部に連結される固定紐とを備え、前記鼻当接部は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部からなることを特徴とする。
尚、本明細書において、上下左右は、本衛生マスクを着用したときの着用者から見た上下左右をいうものとし、組み立て前と組み立て後とで共通する。
【0007】
本発明の衛生マスクは、このように、平板状のカバー部の裏面から突出する鼻当接部を鼻に当接させることによりカバー部を支えるので、カバー部と顔面の間へ下方から手を入れることができ、着用した状態でも飲食やリコーダー等の演奏が可能である。また、鼻当接部を帯状部材により輪状に形成することで、製造コストを抑制できるとともに、鼻当接部に弾力を持たせることができるので、鼻当接部により鼻が痛くなることを抑制できる。加えて、輪状部を左右一対に設けることで、一対の輪状部の間に鼻を入れることにより衛生マスクが左右にずれることを抑制できる。
【0008】
前記一対の輪状部は、一枚の帯状部材の両端を内側に湾曲させて、当該帯状部材の中央部に連結することにより形成されていることが好ましい。このように、左右一対の輪状部を一枚の帯状部材から形成することで、左右の輪状部を別々の帯状部材で形成する場合に比べて、製造コストを抑制できる。
【0009】
前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する帯状部材が連結された一枚のブランクから形成されており、前記帯状部材は、前記平板部の上側に左右方向を長手方向として配設され、前記平板部と前記帯状部材の間には、左右の両端から切れ込む左右一対の切れ込み線が設けられ、前記左右一対の切れ込み線の間には、前記平板部と前記帯状部材を連結する連結部が設けられ、前記帯状部材は、前記切れ込み線により前記平板部と分断された左右一対の曲げ自在部を有することが好ましい。
このように、カバー部を形成する平板部と鼻当接部を形成する帯状部材を左右一対の切れ込み線を挟んで連結し、帯状部材の両端に曲げ自在部を設けることで、該曲げ自在部を左右方向の内側へ湾曲させることにより容易に左右一対の輪状部を形成できる。また、このようにマスク本体を一枚のブランクから形成することで、製造コストをより低減できる。また、ブランクの状態で、輸送・販売を行い、購入者に組み立ててもらうことが可能となるため、製造・輸送コストを低減できる。
【0010】
前記帯状部材は、左右両端から突出する一対の係止片と、左右方向の中央に設けられる第1係止用スリットと有し、前記平板部は、前記第1係止用スリットと前記連結部について上下対称に設けられる第2係止用スリットを有することが好ましい。
こうすることで、帯状部材を平板部に重ねるように連結部に沿って折り曲げたのち、一対の係止片を前記第1、及び第2係止用スリットへ同時に挿通するようにして、曲げ自在部を左右方向の内側へ折り曲げて左右一対の輪状部からなる鼻当接部を形成すると同時に鼻当接部を平板部(カバー部)に固定することができる。
【0011】
前記左右一対の輪状部は、それぞれ下縁に着用者の鼻を回避するための円弧状の切り欠き部を有することが好ましい。このような切り欠き部を設けることで、鼻当接部を鼻にフィットさせることができる。
【0012】
本発明の衛生マスクは、前記一対の輪状部が、それぞれ別の帯状部材から形成され、合わせて2本の帯状部材から形成されていてもよい。
【0013】
前記鼻当接部が、2本の帯状部材から形成されている場合において、前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する前記2本の帯状部材とが連結された一枚のブランクから形成されており、前記2本の帯状部材は、前記平板部の上端中央から上方へ延出するように、かつ左右対称に並べられ、前記帯状部材の先端部を前記平板部の裏面側へ折り曲げたのち、前記先端部を裏返しながら左右の外側へ向けた状態で前記平板部に固定されているものを含む。
このように、平板部から上方へ突出する左右一対の帯状部材を、それぞれ平板部側へ折り返したのち、帯状部材の先端部裏返しながら左右方向の外側へ向けるようにして平板部に固定すると、左右一対の輪状部を、左右の外側ほど径の大きい円錐形に形成できるので、鼻当節部の形を鼻の形状に合わせることができる。また、輪状部の端縁が左右に向くので、マスク本体を上や下に向けても着用者の顔面に輪状部の端縁が当たることがなく、安全である。
【0014】
前記帯状部材が、平板部の上縁から上方へ突出している場合では、前記帯状部材は、先端から突出する係止片を備え、前記平板部は、前記係止片を挿通する第3係止用スリットを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の衛生マスクによれば、下からカバー部と顔面の間に手を入れられるので、着用したまま飲食やリコーダー等の演奏をすることができ、また、容易に製造できるので、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る衛生マスクの使用状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るマスク本体を形成するブランクを示す正面図である。
図3図2に示したブランクの斜視図である。
図4図2に示したブランクの帯状部材を折り曲げて平板部へ重ねた状態を示す斜視図である。
図5図4に示したブランクの帯状部材の曲げ自在部を丸めて輪状部を組み立てる様子を示した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るマスク本体を組み立てた状態を示す正面図である。
図7図6のマスク本体の背面図である。
図8図6のマスク本体の左側面図である。
図9図6のマスク本体の平面図である。
図10図6のマスク本体の底面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る衛生マスクのブランクを示す正面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る衛生マスクのブランクを示す斜視図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る衛生マスクのブランクを示す斜視図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る衛生マスクの使用状態を示す正面図である。
図15図14の衛生マスクのブランクを示す正面図である。
図16図15のブランクの斜視図である。
図17図15のブランクの帯状部材を折り曲げて平板部へ重ねた状態を示す斜視図である。
図18図17の状態のブランクの帯状部材の先端を裏返しながら第2係止用スリットへ挿入して輪状部を組み立てる様子を示した斜視図である。
図19】本発明の第5実施形態に係る衛生マスク本体の正面図である。
図20図14のマスク本体の背面図である。
図21図14のマスク本体の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る衛生マスク100を示している。
衛生マスク100は、マスク本体1と、マスク本体1を着用者の顔面に固定する固定紐6とを備えている。マスク本体1は、平板状のカバー部11と、カバー部11の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部2とを有している。衛生マスク100は、板状のカバー部11を顔面から離間させた状態で、着用者の口、及び鼻を覆うように着用される。
【0019】
マスク本体1は、図2図3に示すように1枚の板状部材からトムソン金型等により打抜かれたブランク1Aから組立てられる。ブランク1Aは、平板部11Aと、鼻当接部2を形成する帯状部材2Aとを備えている。ブランク1Aを形成する材料としては、可撓性を有する透明樹脂製の板材が好ましいが、可撓性を有する板材であれば特に限定されず、透明でなくともよいし、紙や木材等公知の板材を適宜に用いることができる。
【0020】
平板部11Aは、横長の長方形から左右の下側の角部を大きく円弧状に切り取った平板状をなし、上端の左右両端部に一対の紐係止片12、12が突設され、左右方向の中央には、上下方向に長い貫通孔からなる第2係止用スリット52が設けられている。また、紐係止片12の中央には、固定紐6を係止する係止孔12aが設けられている。
【0021】
帯状部材2Aは、図2に示すように、左右方向を長手方向とする帯状をなし、平板部11Aの上縁11aに沿うよう設けられている。平板部11Aと帯状部材2Aの間には、左右の両端から切れ込む左右一対の直線状の切れ込み線3,3が設けられている。また、左右一対の切れ込み線3,3の間には、平板部11Aの上縁11aと帯状部材2Aの下縁2aを連結する連結部4が設けられている。帯状部材2Aは、切れ込み線3により平板部11Aから切り離された左右一対の曲げ自在部23,23を有している。ただし、切れ込み線3は、直線状でなくともよい。
【0022】
帯状部材2Aの左右の両端には、一対の係止片21,21が突設され、左右方向の中央部には、上下方向に長い貫通孔からなる第1係止用スリット51が設けられている。係止片21は、基端部に第1、第2係止用スリット51,52に係止するくびれ部21a,21aを有している。また、帯状部材2Aは、上縁から弧状に切れ込む左右一対の切り欠き部22,22を有している。第1係止用スリット51と第2係止用スリット52は、連結部4を挟んで上下対称に設けられている。
【0023】
(マスク本体1の組み立て)
マスク本体1を組み立てるときは、図4に示すように、帯状部材2Aを切れ込み線3,3及び連結部4に沿って折り曲げて、平板部11Aへ重ねる。このとき、第1係止用スリット51は、第2係止用スリット52に重なる。しかるのち、図5に示すように、帯状部材2Aの左右の曲げ自在部23,23を内側へ折り曲げ、係止片21,21を第1係止用スリット51、及び第2係止用スリット52に同時に挿通して左右一対の輪状部20,20を形成する。輪状部20,20は、図7に示すように、上下方向(図7の上下方向)に開口する輪状に形成され、切り欠き部22,22は、輪状部20,20の左右の両端に位置するよう設けられていて、輪状部20,20は、左右の外側から内側に向かって徐々に太くなるよう構成されている。係止片21,21は、図8に示すように、第1係止用スリット51、第2係止用スリット52に挿通されたのち、カバー部11の表面側(図8の右側)へ突出する。
【0024】
(衛生マスク100の組み立て)
マスク本体1が完成したら、固定紐6の両端を係止孔12aに通して結び目を設け、固定紐6を左右の係止孔12a,12aに架け渡すように取り付ける。衛生マスク100は、図1に示すように着用時には、固定紐6の張力により顔面のカーブに沿って湾曲する。
固定紐6はゴム紐が好ましいが、これに限定されるものではない。また、図1では、固定紐6を耳の上に通しているが、図14のように、耳の下に通してもよい。
【0025】
(衛生マスク100の効果)
衛生マスク100は、カバー部11の裏面の上端部中央に設けた鼻当接部2を着用者の鼻に当接させることにより、下方が開放された状態でカバー部を支持するので、着用した状態で下方から手を入れて飲食やリコーダー等の演奏を行うことができる。
【0026】
衛生マスク100は、鼻当接部2を帯状部材2Aにより形成された左右一対の輪状部20,20から形成したので、鼻当接部2が弾力に富み、長時間着用した際に鼻が痛くなることを抑制できる。また、左右一対の輪状部20,20の間に鼻を入れることで、衛生マスク100が、顔の左右にずれることを抑制できる。
【0027】
衛生マスク100は、鼻当接部2を形成する帯状部材2Aとカバー部11を形成する平板部11Aを連結した一枚のブランク1Aにより形成するので、製造が容易で製造コストを抑制できる。
【0028】
また、衛生マスク100の鼻当接部2は、切り欠き部22を備えるので、着用者の鼻によく密着する。
【0029】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係る衛生マスクのブランク201Aを示している。第2実施形態以降の実施形態において、第1実施形態と共通する部材は共通する符号を用いて説明を省略する。ブランク201Aは、鼻当接部を形成する帯状部材202Aに、円弧状の切り欠き部22を有さない他は、第1実施形態のブランク1Aと同じである。
【0030】
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態に係る衛生マスクのブランク301Aを示している。ブランク301Aは、鼻当接部を形成する帯状部材302Aが、カバー部を形成する平板部311Aと別に設けられている点で、第1実施形態のブランク1Aと異なる。帯状部材302A、及び平板部311Aは、第1実施形態の帯状部材2A、平板部11Aと同形状である。図12に一点鎖線で示すように、左右一対の係止片21,21を、共に第1係止用スリット51、及び第2係止用スリット52に挿入することで、左右一対の輪状部からなる鼻当接部を形成するとともに、鼻当接部をカバー部(平板部)に固定する。
【0031】
(第4実施形態)
図13は、本発明の第4実施形態に係る衛生マスクのブランク401Aを示している。ブランク401Aでは、左右の輪状部を形成する2本の帯状部材402A,402Aと、平板部411Aが別々に形成されている。一対の帯状部材402A,402Aは、それぞれ左右方向の内側に第1係止用スリット51を有しており、平板部411Aは、左右対称に設けられる一対の第2係止用スリット52,52を有している。左右の帯状部材402A,402Aは、図13に一点鎖線で示すように、係止片21を第1係止用スリット51、第2係止用スリット52に挿入することで輪状部を形成するとともに、カバー部(平板部)に固定される。
【0032】
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態に係る衛生マスク500を示している。衛生マスク500は、マスク本体501と、マスク本体501を着用者の顔面に固定する固定紐6とを備えている。マスク本体501は、図15図16に示すように1枚の板状部材からトムソン金型等により打抜かれたブランク501Aから形成される。ブランク501Aは、平板部511Aと、鼻当接部502を形成する左右一対(2本)の帯状部材502A,502Aとを備え、対称軸501Xについて左右対称に設けられている。ブランク501Aは、可撓性を有する透明樹脂製の板材により形成されることが好ましいが、これに限定されず、半透明や不透明の板材を用いてもよいし、紙や木材等、樹脂以外の板材を用いてもよい。
【0033】
平板部511Aは、横長の長方形から左右の下側の角部を大きく円弧状に切り取った平板状をなし、上端の左右両端部に一対の紐係止片12、12が突設され、紐係止片12の中央には、固定紐6を係止する係止孔12aが設けられている。
【0034】
左右一対の帯状部材502A,502Aは、図15に示すように、上下(図15の上下)方向に長い帯状をなし、平板部11Aの上縁511aの左右方向の中央から上方へ延出するよう設けられている。帯状部材502Aは、先端に半円形の係止片521を備えている。係止片521の付け根には、第1係止用スリットに係止するくびれ部521a,521aが設けられている。
【0035】
平板部511Aの左右方向の中央には、上下方向に長い貫通孔からなる左右一対の第3係止用スリット552,552が設けられている。左右一対の第3係止用スリット552,552は、図15に示すように、対称軸501Xからの距離L1が、対称軸501Xから帯状部材502Aの左右方向の外側の端縁502aまでの距離L2よりも大きい。また、第3係止用スリット552の下端522aと帯状部材502Aの基端502bの距離L3は、帯状部材502Aの長さL4より小さい。
【0036】
(マスク本体501の組み立て)
マスク本体1を組み立てるときは、図17に示すように、帯状部材2Aを平板部511Aの裏面側(図17の紙面手前側)に折り曲げる。このとき、第3係止用スリット552と対称軸501Xからの距離L1が、帯状部材502Aの左右方向の外側の端縁502aと対称軸501Xとの距離L2よりも大きいので、図15に示すように、一対の第3係止用スリット552,552は、折り返した帯状部材502A,502Aの左右方向の外側に位置する。また第3係止用スリット552の下端522aと帯状部材502Aの基端502bの距離L3は、帯状部材502Aの長さL4より小さいので、第3係止用スリット551の下端522は、平板部511A側へ折り曲げた帯状部材502Aの先端521bよりも上にある。
帯状部材502Aと第3係止用スリット522Aがこのような位置関係にあるので、図18に示すように、平板部511A側へ折り返した帯状部材502Aの先端部を裏返しつつ第3係止用スリット552へ挿入することができる。これにより、左右一対の輪状部520,520が形成される。
【0037】
輪状部520は、図19に示すように、左右方向の外側ほど直径が大きく、左右方向に開口する略円錐状をなしている。係止片521,521は、図20図21に示すように、カバー部511の表面側(図21の右側)に、左右の外側を向いて突出する。
【0038】
(衛生マスク500の組立)
マスク本体1が完成したら、固定紐6の両端を係止孔12aに通して結び目を設け、固定紐6を左右の係止孔12a,12aに架け渡すように取り付ける。衛生マスク500は、固定紐6の張力により顔面のカーブに沿って湾曲する。図14では、固定紐6を、耳の下へ通したが、図1のように、耳の上を通してもよい。
【0039】
衛生マスク500は、カバー部の裏面の上端部中央に設けた鼻当接部502を着用者の鼻に当接させることにより、下方が開放された状態でカバー部を支持するので、着用した状態で下方から手を入れて飲食やリコーダー等の演奏を行うことができる。
【0040】
衛生マスク500は、鼻当接部502を、帯状部材502Aにより形成された輪状部520により構成したので、鼻当接部502が弾力に富み、長時間着用した際に鼻が痛くなることを抑制できる。また、左右一対の輪状部520,520の間に鼻を入れることで、衛生マスク500が、顔の左右にずれることを抑制できる。
【0041】
衛生マスク500は、鼻当接部502を形成する帯状部材2Aとカバー部511を形成する平板部511Aを連結した一枚のブランクにより形成するので、製造が容易で製造コストを抑制できる。
【0042】
輪状部520の端縁502a,502dは、左右方向を向いているので、マスク本体501を上下に傾けても着用者の顔面に当接することがなく、当該端縁502a,502dにより顔面を傷つけることがない。
【0043】
本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、紐係止片12は設けず、カバー部11に係止孔12aのみを設けてもよい。ゴム紐は、1本のゴム紐を左右の係止孔へ架け渡すのではなく、左右の係止孔にそれぞれ輪状のゴム紐を設けるようにしてもよい。帯状部材を輪状に連結する方法としては、係止片と係止用スリットに限らず、面ファスナーや接着剤の他、公知の係止方法を適宜に採用できる。帯状部材は、長さ方向を左右方向や上下方向とするものに限らず、長さ方向を左右方向や水平方向に傾斜する方向に設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
100,500 衛生マスク
1,501 マスク本体
1A,201A,301A,401A,501A ブランク
11,501 カバー部
11A,311A,411A,511A 平板部
11a 上縁
2 鼻当接部
2A,201A,302A,402A,502A 帯状部材
2a 下縁
20,520 輪状部
21,521 係止片
22 切り欠き部
23 曲げ自在部
3 切れ込み線
4 連結部
51 第1係止用スリット
52 第2係止用スリット
552 第3係止用スリット
6 固定紐
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスクであって、
平板状のカバー部、及び前記カバー部の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部からなるマスク本体と、
前記マスク本体の左右両端部に連結される固定紐と
を備え、
前記鼻当接部は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部からなり、
前記一対の輪状部は、一枚の帯状部材の両端を内側に湾曲させて、当該帯状部材の中央部に連結することにより形成されていることを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する帯状部材が連結された一枚のブランクから形成されており、
前記帯状部材は、前記平板部の上側に左右方向を長手方向として配設され、
前記平板部と前記帯状部材の間には、左右の両端から切れ込む左右一対の切れ込み線が設けられ、
前記左右一対の切れ込み線の間には、前記平板部と前記帯状部材を連結する連結部が設けられ、
前記帯状部材は、前記切れ込み線により前記平板部と分断された左右一対の曲げ自在部を有する請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項3】
前記帯状部材は、左右両端から突出する一対の係止片と、左右方向の中央に設けられる第1係止用スリットと有し
前記平板部は、前記第1係止用スリットと前記連結部について上下対称に設けられる第2係止用スリットを有する請求項2に記載の衛生マスク。
【請求項4】
前記左右一対の輪状部は、それぞれ下縁に着用者の鼻を回避するための円弧状の切り欠き部を有する請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項5】
口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスクであって、
平板状のカバー部、及び前記カバー部の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部からなるマスク本体と、
前記マスク本体の左右両端部に連結される固定紐と
を備え、
前記鼻当接部は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部からなり、
前記一対の輪状部は、それぞれ別の帯状部材から形成され、合わせて2本の帯状部材から形成されており、
前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する前記2本の帯状部材とが連結された一枚のブランクから形成されており、
前記2本の帯状部材は、前記平板部の上端中央から上方へ延出するように、かつ左右対称に並べられ、
前記帯状部材の先端部を前記平板部の裏面側へ折り曲げたのち、前記先端部を裏返しながら左右の外側へ向けた状態で前記平板部に固定されていることを特徴とする衛生マスク。
【請求項6】
前記帯状部材は、先端から突出する係止片を備え、前記平板部は、前記係止片を挿通する第3係止用スリットを有する請求項5に記載の衛生マスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するためになされた発明は、口、及び鼻を覆う板状のカバー部を顔面から離間した状態で着用する衛生マスクであって、平板状のカバー部、及び前記カバー部の裏面の上端部中央から突出する鼻当接部からなるマスク本体と、前記マスク本体の左右両端部に連結される固定紐とを備え、前記鼻当接部は、帯状部材を輪にして形成した左右一対の輪状部からなり、前記一対の輪状部は、一枚の帯状部材の両端を内側に湾曲させて、当該帯状部材の中央部に連結することにより形成されていることを特徴とする
尚、本明細書において、上下左右は、本衛生マスクを着用したときの着用者から見た上下左右をいうものとし、組み立て前と組み立て後とで共通する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、本発明の衛生マスクは、前記一対の輪状部が、一枚の帯状部材の両端を内側に湾曲させて、当該帯状部材の中央部に連結することにより形成されていることで、左右の輪状部を別々の帯状部材で形成する場合に比べて、製造コストを抑制できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
前記鼻当接部が、2本の帯状部材から形成されている場合において、前記マスク本体は、前記カバー部を形成する平板部と、前記鼻当接部を形成する前記2本の帯状部材とが連結された一枚のブランクから形成されており、前記2本の帯状部材は、前記平板部の上端中央から上方へ延出するように、かつ左右対称に並べられ、前記帯状部材の先端部を前記平板部の裏面側へ折り曲げたのち、前記先端部を裏返しながら左右の外側へ向けた状態で前記平板部に固定されている。
このように、平板部から上方へ突出する左右一対の帯状部材を、それぞれ平板部側へ折り返したのち、帯状部材の先端部裏返しながら左右方向の外側へ向けるようにして平板部に固定すると、左右一対の輪状部を、左右の外側ほど径の大きい円錐形に形成できるので、鼻当節部の形を鼻の形状に合わせることができる。また、輪状部の端縁が左右に向くので、マスク本体を上や下に向けても着用者の顔面に輪状部の端縁が当たることがなく、安全である。