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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049040
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】拡大掘削装置および拡大掘削方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
E21B10/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155052
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】516315856
【氏名又は名称】株式会社坂本建運
(71)【出願人】
【識別番号】506227552
【氏名又は名称】株式会社進明技興
(71)【出願人】
【識別番号】591137363
【氏名又は名称】大洋基礎株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504004991
【氏名又は名称】司佐基工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391039829
【氏名又は名称】東洋テクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516315867
【氏名又は名称】有限会社前西開発
(71)【出願人】
【識別番号】517308057
【氏名又は名称】丸井重機建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000177416
【氏名又は名称】三和機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 政俊
(72)【発明者】
【氏名】谷 清昭
(72)【発明者】
【氏名】矢幡 憲一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和徹
(72)【発明者】
【氏名】前西 政則
(72)【発明者】
【氏名】丸井 哲人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 衛
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB16
2D129AC09
2D129BA03
2D129BA10
2D129BB08
2D129DA17
2D129DC05
2D129EB21
(57)【要約】
【課題】従来、拡大翼を縦軸回動させるので、拡大翼の掘削長が長くなり、そのため、掘削面圧が低下し、適用地盤が限られるという課題がある。
【解決手段】ケーシングKと固定状態とする保持固定装置15を設け、保持固定装置15に、地盤Wに縦穴6よりも大径の円錐状の斜面部11と斜面部11の下方の円柱状の立上がり穴部35とを有する拡大穴8を掘削する拡大ヘッドHの上部を取付け、拡大ヘッドHは、拡大穴8の斜面部11および立上がり穴部35を掘削する拡大翼12と、拡大ヘッドHの下側部分を支持する下側支持部材30とを設け、下側支持部材30は拡大翼12を拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKとを駆動回転させたまま、所定高さまで上昇させて、斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する際に、支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接して支持する構成とした拡大掘削装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングKの内周面に当接してケーシングKと固定状態とする保持固定装置15を設け、該保持固定装置15に、地盤Wに縦穴6よりも大径の円錐状の斜面部11と斜面部11の下方の円柱状の立上がり穴部35とを有する拡大穴8を掘削する拡大ヘッドHの上部を取付け、該拡大ヘッドHは、横軸芯の取付軸23により回動自在であって拡大穴8の斜面部11および立上がり穴部35を掘削する拡大翼12と、縦穴6の穴底面31の中央に固定状態で位置して拡大ヘッドHの下側部分を支持する下側支持部材30とを設け、下側支持部材30は拡大翼12を拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKとを駆動回転させたまま、所定高さまで上昇させて、拡大穴8の拡径状態の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する際に、下側支持部材30の支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接して支持する構成とした拡大掘削装置。
【請求項2】
請求項1において、前記下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34は拡大ヘッドHの高さ位置に応じて伸縮する構成とした拡大掘削装置。
【請求項3】
請求項2において、取付部材34は拡大ヘッドHのフレーム21の下部側に取付ける上側筒37と、上側筒37に対して上下自在に設けた下側筒38とにより構成し、下側筒38の下部に支持体32を設けた拡大掘削装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、取付部材34は、所定条件において、下側筒38を上側筒37に対して所定範囲内において自重で伸縮可能に構成すると共に、縦穴6からの拡大掘削装置10の引き上げに伴って上側筒37に牽引されて下側筒38が上側筒37と共に上昇する構成とした拡大掘削装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4において、下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成とし、支持体32の側部に設けた当接体42をリンク機構43により出入り自在に構成し、下側支持部材30の下面が縦穴6の穴底面31へ当接すると、当接体42は縦穴6の底部内壁に当接する構成とした拡大掘削装置。
【請求項6】
請求項1~請求項4において、下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成とし、取付部材34の上側筒37内に下側筒38を伸縮させる伸縮シリンダ49を設けた拡大掘削装置。
【請求項7】
請求項6において、伸縮シリンダ49はケーシングKを地盤Wに圧入するケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構と連動して伸縮する構成とした拡大掘削装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7において、拡大翼12の内側に、拡大穴8の立上がり穴部35の下端と残土回収用縦穴52の上端との間の平面部51に堆積している土砂を掃き出す摺接部材50を設けた拡大掘削装置。
【請求項9】
地盤Wにケーシング回転圧入装置1によりケーシングKを圧入し、縦穴掘削装置5によりケーシングKと同径であって所定深度の縦穴6を掘削し、この縦穴6に拡大穴8を掘削する拡大翼12を有する拡大掘削装置10を挿入し、拡大掘削装置10の保持固定装置15により拡大ヘッドHをケーシングKに固定保持し、拡大ヘッドHの下部の下側支持部材30の支持体32を縦穴6の底部の所定部分に当接させて固定保持し、この状態で、ケーシング回転圧入装置1により駆動回転するケーシングKと共に拡大ヘッドHを駆動回転させ、駆動回転中の拡大ヘッドHの拡大翼12を横軸心の取付軸23中心に横軸回動させてケーシングKの外径より外側に拡開させて円錐状の斜面部11を掘削し、次に、拡大翼12が外側拡開状態のまま前記縦穴6の穴底面31より所定間隔置いた所定高さ位置まで上昇させて、拡大穴8の円錐状の斜面部11の下方に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を連続掘削する拡大掘削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大掘削装置および拡大掘削方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシングの軸心に対して交差方向に拡大アームを出入りさせて拡大穴を掘削する方法は、公知である(特許文献1参照)。
また、従来、円筒状のバケットの一部を縦軸心に回動自在に構成して、この回動部分を拡大翼とした構成も、公知である(特許文献2参照)。
また、従来、拡大穴の斜面部を掘削する拡大翼を有して構成する斜面掘削ヘッドと、縦穴の軸心に対して交差方向に移動する拡大アームを有して構成する立上がり掘削ヘッドとを交換自在に構成し、円錐状の拡大穴の下部に円柱状の立上がり穴を掘削する方法は、公知である(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-148833号公報
【特許文献2】特開2013-53469号公報
【特許文献3】特開2018-66201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち特許文献1のものは、拡大アームの掘削面積の上下幅を十分に取れないので、拡大アームを拡開させて掘削し、掘削が終了すると、一旦、拡大翼アームを縮小させて縦穴内を下降させて拡大アームを拡開させて掘削し、これを反復して所望の縦長さの球根となるように、地盤を掘削する。そのため、掘削作業時間が長くなるという課題がある。
前記公知例のうち特許文献2のものは、バケットの長さを長くすることにより、拡大翼の上下長さを十分確保して、特許文献1の課題はある程度解決しているが、拡大翼を縦軸回動させるので、拡大翼の掘削長が長くなり、そのため、掘削面圧が低下し、適用地盤が限られるという課題がある。
前記公知例のうち特許文献3のものは、掘削ヘッドの地盤に対する食い込み力を大きくして、特許文献2の掘削面圧の低下の課題はある程度解決しているが、斜面掘削ヘッドと立上がり掘削ヘッドとを交換する必要があり、掘削作業が面倒であるという課題がある。
本願は、拡大掘削装置の構成を工夫することにより、適用地盤の範囲を広く保持したまま、掘削作業時間の短縮化を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ケーシングKの内周面に当接してケーシングKと固定状態とする保持固定装置15を設け、該保持固定装置15に、地盤Wに縦穴6よりも大径の円錐状の斜面部11と斜面部11の下方の円柱状の立上がり穴部35とを有する拡大穴8を掘削する拡大ヘッドHの上部を取付け、該拡大ヘッドHは、横軸芯の取付軸23により回動自在であって拡大穴8の斜面部11および立上がり穴部35を掘削する拡大翼12と、縦穴6の穴底面31の中央に固定状態で位置して拡大ヘッドHの下側部分を支持する下側支持部材30とを設け、下側支持部材30は拡大翼12を拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKとを駆動回転させたまま、所定高さまで上昇させて、拡大穴8の拡径状態の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する際に、下側支持部材30の支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接して支持する構成とした拡大掘削装置としたものである。
請求項2の発明は、前記下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34は拡大ヘッドHの高さ位置に応じて伸縮する構成とした拡大掘削装置としたものである。
請求項3の発明は、取付部材34は拡大ヘッドHのフレーム21の下部側に取付ける上側筒37と、上側筒37に対して上下自在に設けた下側筒38とにより構成し、下側筒38の下部に支持体32を設けた拡大掘削装置としたものである。
請求項4の発明は、取付部材34は、所定条件において、下側筒38を上側筒37に対して所定範囲内において自重で伸縮可能に構成すると共に、縦穴6からの拡大掘削装置10の引き上げに伴って上側筒37に牽引されて下側筒38が上側筒37と共に上昇する構成とした拡大掘削装置としたものである。
請求項5の発明は、下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成とし、支持体32の側部に設けた当接体42をリンク機構43により出入り自在に構成し、下側支持部材30の下面が縦穴6の穴底面31へ当接すると、当接体42は縦穴6の底部内壁に当接する構成とした拡大掘削装置としたものである。
請求項6の発明は、下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の底部の所定部分に当接する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成とし、取付部材34の上側筒37内に下側筒38を伸縮させる伸縮シリンダ49を設けた拡大掘削装置としたものである。
請求項7の発明は、伸縮シリンダ49はケーシングKを地盤Wに圧入するケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構と連動して伸縮する構成とした拡大掘削装置としたものである。
請求項8の発明は、拡大翼12の内側に、拡大穴8の立上がり穴部35の下端と残土回収用縦穴52の上端との間の平面部51に堆積している土砂を掃き出す摺接部材50を設けた拡大掘削装置としたものである。
請求項9の発明は、地盤Wにケーシング回転圧入装置1によりケーシングKを圧入し、縦穴掘削装置5によりケーシングKと同径であって所定深度の縦穴6を掘削し、この縦穴6に拡大穴8を掘削する拡大翼12を有する拡大掘削装置10を挿入し、拡大掘削装置10の保持固定装置15により拡大ヘッドHをケーシングKに固定保持し、拡大ヘッドHの下部の下側支持部材30の支持体32を縦穴6の底部の所定部分に当接させて固定保持し、この状態で、ケーシング回転圧入装置1により駆動回転するケーシングKと共に拡大ヘッドHを駆動回転させ、駆動回転中の拡大ヘッドHの拡大翼12を横軸心の取付軸23中心に横軸回動させてケーシングKの外径より外側に拡開させて円錐状の斜面部11を掘削し、次に、拡大翼12が外側拡開状態のまま前記縦穴6の穴底面31より所定間隔置いた所定高さ位置まで上昇させて、拡大穴8の円錐状の斜面部11の下方に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を連続掘削する拡大掘削方法としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、拡大ヘッドHは拡大翼12と拡大ヘッドHの下側部分を支持する下側支持部材30とを設けているので、拡大ヘッドHは下側支持部材30と保持固定装置15とにより上下二箇所で支持され、拡大ヘッドHの回転中の軸心がぶれるのを抑制し、拡大穴8の掘削精度の低下を抑制でき、しかも、下側支持部材30は円柱状の立上がり穴部35を掘削する際も、拡大ヘッドHの下部を支持するので、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させたまま、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで徐々に上昇させることができ、同じ拡大ヘッドHを使用しながら拡大穴8の斜面部11の掘削のみならず、円柱状の立上がり穴部35の掘削も連続して行うことができ、拡大穴8の掘削作業を容易にし、作業効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、下側支持部材30は、地盤Wの縦穴6の穴底面31に係合する支持体32に、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける取付部材34を設けて構成し、取付部材34は拡大ヘッドHの高さ位置に応じて伸縮するので、下側支持部材30は円柱状の立上がり穴部35を掘削する際の、拡大掘削装置10とケーシングKとを上昇させているときも、拡大ヘッドHの下部を支持することができ、同じ拡大ヘッドHを使用しながら拡大穴8の斜面部11の掘削のみならず、円柱状の立上がり穴部35の掘削も連続して行うことができ、拡大穴8の掘削作業を容易にし、作業効率を向上させることができる。
請求項3の発明では、取付部材34は、拡大ヘッドHのフレーム21の下部側に取付ける上側筒37と、上側筒37に対して上下自在に設けた下側筒38とにより構成し、下側筒38の下部に支持体32を設けているので、縦穴6の穴底面31に支持体32を係合させたまま下側筒38に対して上側筒37を拡大ヘッドHの上昇に対応させて上昇させることができ、同じ拡大ヘッドHを使用しながら拡大穴8の斜面部11の掘削のみならず、円柱状の立上がり穴部35の掘削も連続して行うことができ、拡大穴8の掘削作業を容易にし、作業効率を向上させることができる。
請求項4の発明では、取付部材34は、所定条件において、下側筒38を上側筒37に対して所定範囲内において自重で伸縮可能に構成しているので、立上がり穴部35の掘削のための拡大ヘッドHの上昇に対応させて支持体32の縦穴6の穴底面31への係合状態を確実に保持させたまま、拡大ヘッドHを上昇させることができる。
請求項5の発明では、下側支持部材30は、支持体32の側部に設けた当接体42をリンク機構43により出入り自在に構成しているので、当接体42は下側支持部材30を縦穴6の穴底面31へ当接させると、縦穴6の内壁に当接し、拡大ヘッドHの下部を支持することができる。
請求項6の発明では、取付部材34の上側筒37内に下側筒38を伸縮させる伸縮シリンダ49を設けているので、伸縮シリンダ49を伸長させることにより、縦穴6の穴底面31に支持体32を係合させたまま下側筒38に対して上側筒37を拡大ヘッドHの上昇に対応させて上昇させることができ、同じ拡大ヘッドHを使用しながら拡大穴8の斜面部11の掘削のみならず、円柱状の立上がり穴部35の掘削も連続して行うことができ、拡大穴8の掘削作業を容易にし、作業効率を向上させることができる。
請求項7の発明では、伸縮シリンダ49はケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構と連動させているので、立上がり穴部35の掘削のための拡大ヘッドHの上昇に対応させて下側支持部材30の取付部材34の上側筒37を伸縮シリンダ49により上昇させることができ、下側支持部材30による拡大ヘッドHの支持を確実に行うことができる。
請求項8の発明では、拡大翼12の内側に拡大穴8の立上がり穴部35の下端と残土回収用縦穴52の上端との間の平面部51に堆積している土砂を掃き出す摺接部材50を設けていて、拡大穴8の平面部51の上面を美麗にできるため、残留土砂のない良質なコンクリート杭を造成することができる。
請求項9の発明では、拡大翼12が外側拡開状態のまま前記縦穴6の穴底面31より所定間隔置いた所定高さ位置まで上昇させて、拡大穴8の円錐状の斜面部11の下方に円柱状の立上がり穴部35を連続掘削することができ、拡大穴8の掘削作業を容易にし、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】拡大掘削装置の拡大穴掘削状態の断面図。
図2】保持固定装置部分の断面図。
図3】下側支持部材の断面図。
図4】拡大穴の立上がり穴部の掘削状態の断面図。
図5】下側支持部材の他の実施形態の断面図。
図6】下側支持部材の他の実施形態の断面図。
図7】縦穴掘削状態断面図。
図8】ケーシング回転圧入装置と拡大掘削装置の挿入状態の断面図。
図9】ケーシング回転圧入装置と拡大掘削装置の着底状態の断面図。
図10】拡大掘削装置の拡大穴掘削開始状態の断面図。
図11】拡大掘削装置の拡大穴の立上がり穴部の掘削状態までの断面図。
図12】拡大掘削装置を下降させた状態の断面図。
図13】拡大翼を格納させた状態の断面図。
図14】下側支持部材と底浚バケットの交換図。
図15】底浚バケットの排土状態図。
図16】ハンマークラブによる排土状態図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の拡大掘削方法および該方法を実施する装置の一実施形態を図により説明する。1はケーシング全旋回型のケーシング回転圧入装置であり(図1)、ケーシング回転圧入装置1は地盤W上に設置してケーシングKを地盤Wに圧入する。
ケーシング回転圧入装置1は、ケーシングKを地盤Wに圧入できればよく、構成は任意であり、ベースフレームとベースフレームに対して昇降する昇降フレームとケーシングKを固定状態に保持するケーシング固定機構と、ケーシング固定機構により固定したケーシングKを駆動回転させるケーシング駆動回転機構と、ケーシングKを昇降させるケーシング昇降機構とを設け、ケーシング固定機構により固定したケーシングKをケーシング駆動回転機構により駆動回転させながら、ケーシング昇降機構により下降させて地盤Wに圧入する。
【0009】
ケーシングK内には、ベースマシン2のブーム3から垂下するワイヤー4により吊設した縦穴掘削装置5を挿入し、縦杭用の縦穴6を掘削する。
縦穴掘削装置5は縦杭用の縦穴6を掘削できればよく、その構成は任意であり、その一例を示すと、ハンマークラブ等により構成している。
次に、縦穴6の直径に対して大径の拡大穴8を拡大掘削する拡大掘削装置10を、ワイヤー4により吊設して縦穴6に挿入し、拡大掘削装置10の拡大ヘッドHにより下方に至るに従い大径となる円錐状の拡大穴8の斜面部11の拡大掘削を行う。
拡大掘削装置10の構成は、下方に至るに従い大径となる円錐状の拡大穴8の斜面部11を拡大掘削できるように、拡大ヘッドHを、横軸回動する拡大翼12を有して構成すればよく、他の構成は任意であるが、以下、一例を示す。
【0010】
拡大掘削装置10は、該拡大掘削装置10を、上部にケーシングKの内周面に固定する保持固定装置(グリッパー)15を設ける(図1、2)。保持固定装置15の構成は任意であるが、グリッパーフレーム16の上側にベースマシン2のブーム3のワイヤー4の先端を接続する取付部17を設ける。グリッパーフレーム16にはグリッパーフレーム16に対して放射方向に出入りする当接体18を周方向に複数設けて構成する。保持固定装置15は、当接体18を出入りシリンダ19によりケーシングKの内面に押し付けて拡大ヘッドHをケーシングKと一体駆動回転させる(図1)。
保持固定装置15のグリッパーフレーム16の下部には、拡大ヘッドHの取付用の継ぎ手20を取付ける(図1)。
【0011】
前記継ぎ手20には、拡大ヘッドHのフレーム21を取付ける。フレーム21は一対の板部材22を有して構成し、一対の板部材22に掛け渡すように横軸心の取付軸23を設け、取付軸23に前記拡大翼12の上部を回動自在に取付ける。
拡大翼12は上下方向に所定長さを有して形成し、拡大翼12の外面側に掘削体(掘削ビット)24を長さ方向に所定間隔をおいて複数並設する(図1)。複数の掘削体24のうちの一部は、少なくとも、ケーシングKの回転軸心に対して交差方向に突出するように、拡大翼12の外面側に長さ方向に並設すると、拡大翼12が取付軸23中心で横軸回動することと相俟って、拡大翼12の単位面積当たりの切削面の面圧を上げることができ、硬質の地盤の掘削を可能とし、適用地盤の範囲を拡大することができる。
【0012】
拡縮用シリンダ25は伸長すると、拡大翼12を取付軸23を中心に外回動させて、拡大翼12をケーシングKの外径より外側に位置する下広がり状態に傾斜拡大させる。拡縮用シリンダ25を縮小させると、拡大翼12をケーシングK内に格納させる。
拡大ヘッドHのフレーム21の下部には、下側支持部材30を設ける。下側支持部材30は下部に縦穴6の穴底面31の中央に当接して支持する支持体32を設け、上部には拡大ヘッドHのフレーム21の下部の継ぎ手33に取付ける取付部材34を設けて構成している。
下側支持部材30は拡大ヘッドHを縦穴6に挿入すると、下側支持部材30の支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接して支持する構成とする。
支持体32が支持する構成は任意であり、例えば、拡大ヘッドHを縦穴6に挿入すると、下側支持部材30の支持体32の下面が穴底面31の上面に当接係合すると共に、支持体32の側面32Aと縦穴6の内壁の間に土砂Dが入って拡大ヘッドHの下部を下側支持部材30により支持する(図3B)。
そして、支持体32が縦穴6の底部に当接係合し、この状態で、保持固定装置15の当接体18を出入りシリンダ19によりケーシングKの内面に押し付けることにより、拡大ヘッドHは下側支持部材30の支持体32と保持固定装置15の当接体18との上下二箇所で支持される。
【0013】
そのため、上下二箇所で支持された状態で拡大翼12を回転させながら上方回動させて円錐状の斜面部11を拡大掘削するので、拡大ヘッドHの回転中の軸心がぶれるのを抑制し、拡大穴8の掘削精度の低下を抑制する。
そして、詳細は後述するが、拡大ヘッドHの拡大翼12を拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させたまま、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで徐々に上昇させ、拡大穴8の斜面部11の下部にこのときの斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する。
すなわち、拡大穴8の底部の直径は、ケーシングKの外径よりやや大きい円錐形状から、拡大翼12が機械的に最も拡大させて掘削した円錐形状の掘削径まで掘削可能であり、地盤状況に応じて予め設定した直径となるように拡大穴8の斜面部11を掘削し、これに対応させて拡大穴8の斜面部11の下部にこのときの斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する。
【0014】
したがって、拡大ヘッドHを、拡大穴8の上部の斜面部11を掘削する横軸回動の拡開する拡大翼12のみで拡大ヘッドHを構成でき、拡大穴8の上部の斜面部11と下部の立上がり穴部35とを、連続の一工程にて掘削できて、作業効率を向上させることができると共に、拡大掘削装置10の小型軽量化が図れる。
この場合、下側支持部材30は、立上がり穴部35を掘削する際に、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで上昇させている間も、縦穴6の底部の所定部分に支持体32を係合させて拡大ヘッドHの下部を支持する構成とする。
支持体32による支持構成は任意であるが、一例を示すと、取付部材34を上側筒37と下側筒38との二重筒構成とし、上側筒37と下側筒38とは伸縮自在に構成し、かつ、拡大掘削装置10を縦穴6から引き抜くときは下側筒38は上側筒37により牽引されて拡大ヘッドHと共に上動する構成とする。
【0015】
すなわち、拡大ヘッドHを縦穴6に挿入すると、下側支持部材30の支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接係合すると共に、支持体32の側面32Aと縦穴6の内壁の間に土砂Dが入って拡大ヘッドHの下部を下側支持部材30により支持し、この状態で、保持固定装置15の当接体18をケーシングKに当接固定すると、拡大ヘッドHは保持固定装置15と下側支持部材30とにより上下二箇所で支持され、拡大ヘッドHが立上がり穴部35を掘削するために、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで上昇させている間は、拡大掘削装置10の上昇に対応させて取付部材34の下側筒38を伸長させて、縦穴6の穴底面31への支持体32の係合状態を保持する。
【0016】
この場合、取付部材34の上側筒37に対する下側筒38の伸縮構成は任意であり、図3の構成では、拡大掘削装置10が上昇すると、支持体32を穴底面31上に自重で位置させつつ、取付部材34の下側筒38に対して上側筒37を伸長させ、支持体32を穴底面31上に残したまま、拡大掘削装置10が上昇させる。
そして、立上がり穴部35を掘削形成後、拡大翼12を閉翼させて、拡大掘削装置10を上昇させると、下側筒38側の長孔39Aと上側筒39側のストッパー39Bの作用により、下側支持部材30は拡大ヘッドHと共に上昇する。
【0017】
また、図5は、下側支持部材30の他の実施形態を示し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成とし、支持体32の側部に設けた当接体42をリンク機構43により出入り自在に構成し、下側支持部材30を縦穴6の穴底面31へ載置すると、当接体42が縦穴6の内壁に当接すると共に、支持体32の下面が縦穴6の穴底面31へ当接係合して拡大ヘッドHの下部の支持状態を保持する構成としている。
支持体32は上側フレーム44と下側フレーム45に上下に分割形成し、下側フレーム45に下側筒38の下部を取付け、上側フレーム44は下側筒38に対して上下自在に取付け、上側フレーム44に上側筒39側を固定する。これにより、取付部材34の上側筒37に対する下側筒38の伸縮に伴って、上側フレーム44と下側フレーム45とが相対的に上下する。
【0018】
支持体32の当接体42はリンク機構43を介して支持体32の上側フレーム44と下側フレーム45とに取付け、下側支持部材30が拡大ヘッドH側に吊設されているときは下側フレーム45が上側フレーム44に対して下降し、当接体42を縦穴6の内壁より内側に位置させて格納させておき、下側支持部材30の支持体32の下側フレーム45を穴底面31上に載置すると、下側フレーム45上に上側フレーム44が自重で載って、リンク機構43が開き当接体42を拡大移動させて縦穴6の内壁面に当接させ、拡大ヘッドHの下部を支持する。
なお、拡大穴8の掘削が終了して、拡大ヘッドHを上昇させると、長孔39Aとストッパー39Bの作用により、取付部材34の上側筒37により下側筒38を牽引し、さらに、支持体32の下側フレーム45を上側フレーム44が牽引し、下側支持部材30は拡大ヘッドHと共に上昇する。
【0019】
また、図6は、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮させる他の実施形態を示し、取付部材34の上側筒37に対して下側筒38を伸縮する構成としつつ、取付部材34の上側筒37と下側筒38との間に伸縮シリンダ49を設け、伸縮シリンダ49をケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構によるケーシングKの上昇に対応させて伸縮させて、縦穴6の穴底面31への支持体32の係合状態を保持する構成としている。
50は拡大翼12の内側に設けた摺接部材であり、拡大穴8の立上がり穴部35の下端と残土回収用縦穴52の上端との間の平面部51に堆積している土砂を残土回収用縦穴52に回収するもので、拡大翼12と一体回転して平面部51上を掃いて摺接する。
摺接部材50は、平面部51の堆積している土砂を掃いて除去できればよく、図1の摺接部材50はワイヤブラシにより構成しているが、板部材(硬質ゴム板等)により構成してもよい。
【0020】
55は底浚バケットであり、残土回収用縦穴52内の残土を回収排土する。底浚バケット55は上面に取付部材56を設け、下側支持部材30に代えて取付部材56により拡大ヘッドHのフレーム21の下部に取付ける。
拡大穴8の掘削工程を説明すると、ケーシング回転圧入装置1によりケーシングKを地盤Wに圧入し、圧入したケーシングK内に縦穴掘削装置(ハンマークラブ等)5を挿入して、所定径であって所定深度の縦杭用の縦穴6を掘削し、一旦、ケーシングKを縦穴6の穴底面31より所定高さまで上昇させ、この状態で、縦穴6の直径に対して大径の拡大穴8を拡大掘削する拡大掘削装置10を、ワイヤー4により吊設して縦穴6に挿入する。
【0021】
次に、拡大翼12の下端が縦穴6の穴底面31より所定高さ上方に位置するようにし、拡大翼12の下部を取付軸23中心に徐々に上方回動させながら駆動回転させて拡大穴8の斜面部11を掘削する。
拡大翼12の下部を取付軸23中心に予め設定した所定角度まで回動させて、拡大穴8を掘削すると、縦穴6の穴底面31より上方に所定高さに掘削された残土回収用の残土回収用縦穴52の上端より上方に拡大穴8の斜面部11が掘削される。
次に、拡大翼12を予め設定した所定角度まで拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させたまま、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで徐々に上昇させ、拡大穴8の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を掘削する。
【0022】
すなわち、本願の拡大掘削装置10は、拡大ヘッドHの下部を下側支持部材30により支持しているので、拡大翼12を予め設定した所定角度まで拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させたまま、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで上昇させて、円柱状の立上がり穴部35の掘削が可能となる。
したがって、拡大ヘッドHを、拡大穴8の上部の斜面部11を掘削する拡大ヘッドHのみで、拡大穴8の上部の斜面部11と下部の立上がり穴部35とを、連続工程にて掘削できるので、作業効率を向上させることができる。
なお、前記掘削工程中、適宜、拡大掘削装置10を一旦縦穴6より引き出し、ハンマークラブ13により残土回収用縦穴52内の土砂を排土する。
また、拡大穴8の上部の斜面部11と下部の立上がり穴部35とを、複数回に分けて掘削する場合もあり、掘削順序工程も任意である。
【0023】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であるので、ケーシング回転圧入装置1のケーシング固定機構によりケーシングKを固定し、固定したケーシングKをケーシング回転圧入装置1のケーシング駆動回転機構により駆動回転させながらケーシング昇降機構により下降させて地盤Wに圧入する。
次に、ベースマシン2のブーム3から垂下するワイヤー4により吊設したハンマークラブ等の縦穴掘削装置5をケーシングK内に挿入し、所定径であって所定深度の縦杭用の縦穴6を掘削する。
【0024】
次に、縦穴6の直径に対して大径の拡大穴8の斜面部11を有する拡大穴8を掘削する拡大ヘッドHを装着した拡大掘削装置10を、ワイヤー4により吊設して縦穴6に挿入する。
拡大掘削装置10の拡大ヘッドHは横軸芯の取付軸23により回動自在に拡大翼12を設けて構成しているので、拡大翼12をケーシングKの軸心を中心に縦軸駆動回転させて掘削し、掘削回転中に、拡大翼12の下部を横軸心の取付軸23中心に上方回動させて円錐状の斜面部11を拡大掘削する。
次に、拡大翼12を予め設定した所定角度に拡大させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させたまま、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで徐々に上昇させると、拡大穴8の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35が掘削形成される。
【0025】
従来、円錐状の斜面部11の下部に円柱状の立上がり穴部35を掘削するには、斜面部を掘削する拡大翼と、水平方向に出入りする拡大掘削アームとを交換して、少なくとも2工程により掘削していた。
本発明では、拡大ヘッドHのフレーム21の下部に、縦穴6の底部の所定部分に当接して支持する支持体32を有する下側支持部材30を設け、下側支持部材30は拡大ヘッドHを所定高さ上昇させても支持可能に構成しているので、拡大翼12を所定角度に拡大させて円錐状の斜面部11を拡大掘削後に、そのまま、拡大掘削装置10とケーシングKを駆動回転させた状態で、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで徐々に上昇させることができ、これにより、拡大穴8の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を、連続掘削形成することができる。
【0026】
したがって、本発明では、拡大翼12を有する拡大ヘッドHにより、拡大穴8の斜面部11の下部に斜面部11の最大径と同径の円柱状の立上がり穴部35を、連続掘削形成することができ、掘削作業工程を短くでき、作業効率を向上させられ、また、拡大翼12を有する拡大ヘッドHにより掘削装置のみを用意すればよく、掘削装置の構成を簡素にし、安価に提供できる。
すなわち、下側支持部材30は拡大ヘッドHを縦穴6に挿入すると、下側支持部材30の支持体32が縦穴6の底部の所定部分に当接係合し、この状態で、保持固定装置15の当接体18を出入りシリンダ19によりケーシングKの内面に押し付けることにより、拡大ヘッドHは下側支持部材30の支持体32と保持固定装置15の当接体18との上下二箇所で支持されるので、拡大ヘッドHの回転中の軸心がぶれるのを抑制し、拡大穴8の掘削精度の低下を抑制する。
【0027】
下側支持部材30は、縦穴6の穴底面31に係合する支持体32の上方に、下側支持部材30を拡大ヘッドHのフレーム21に取付ける取付部材34を設け、取付部材34を上側筒37と下側筒38との二重筒構成とし、上側筒37と下側筒38とは互いに伸縮自在に構成しているので、拡大ヘッドHが立上がり穴部35を掘削するために、拡大掘削装置10とケーシングKとを所定高さまで上昇させると、拡大掘削装置10の上昇に対応させて取付部材34の下側筒38を伸長させて、支持体32が縦穴6の
7 また、下側支持部材30は、拡大掘削装置10を縦穴6から引き抜くとき、下側筒38は上側筒37により牽引されて拡大ヘッドHと共に上動する構成としているので、掘削作業終了後は単に拡大掘削装置10を引き上げればよい。
【0028】
また、図3の取付部材34の上側筒37に対する下側筒38の伸縮構成の他の実施形態では、下側筒38を上側筒37に対して所定範囲内において自重で伸長可能に構成しているので、ケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構により拡大掘削装置10が上昇すると、取付部材34の下側筒38が自重で上側筒37に対して伸長し、拡大掘削装置10を縦穴6から引き抜くときは上側筒37に牽引されて下側筒38が一体上昇する。
そのため、下側支持部材30の伸縮構成を簡素にでき、安価な掘削装置を提供できる。
【0029】
また、取付部材34の上側筒37に対する下側筒38の伸縮構成は、伸縮シリンダ49の一端側を上側筒37内に設け、伸縮シリンダ49の他端側を下側筒38側に取付け、伸縮シリンダ49の伸縮をケーシング回転圧入装置1のケーシング昇降機構によるケーシングKの昇降に対応させて、取付部材34の下側筒38を上側筒37に対して伸縮させるので、縦穴6の底部の所定部分に当接した支持体32の支持状態を保持して、下側支持部材30は拡大ヘッドHの下部を支持し、拡大ヘッドHが立上がり穴部35の掘削精度を維持する。
【0030】
なお、拡大ヘッドHの拡大翼12により拡大穴8の斜面部11を掘削中に、拡大穴8の斜面部11の下端と残土回収用縦穴52の上端との間の平面部51に堆積している土砂は、拡大翼12と共に回転する摺接部材50により掃き飛ばされて残土回収用縦穴52内に回収される。
前記掘削工程中、適宜、拡大掘削装置10を一旦縦穴6より引き出し、ハンマークラブ13により残土回収用縦穴52内の土砂を排土する。
また、拡大穴8の立上がり穴部35が掘削されると、拡大翼12を格納して拡大掘削装置10を縦穴6より引きあげ、底浚バケット55を挿入して残土回収用縦穴52内の残土を回収排土する。
【符号の説明】
【0031】
1…ケーシング回転圧入装置、2…ベースマシン、3…ブーム、4…ワイヤー、5…縦穴掘削装置、6…縦穴、8…拡大穴、10…拡大掘削装置、11…斜面部、12…拡大翼、15…保持固定装置、16…グリッパーフレーム、17…取付部、18…当接体、19…出入りシリンダ、20…継ぎ手、21…フレーム、22…板部材、23…取付軸、24…掘削体、25…拡縮用シリンダ、26…取付軸、30…下側支持部材、31…穴底面、32…支持体、34…取付部材、35…立上がり穴部、37…上側筒、38…下側筒、42…当接体、43…リンク機構、44…上側フレーム、45…下側フレーム、49…伸縮シリンダ、51…平面部、52…残土回収用縦穴、55…底浚バケット、56…取付部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16