IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 長谷川ジャバラの特許一覧

<>
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図1
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図2
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図3
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図4
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図5
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図6
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図7
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図8
  • 特開-飛沫防止用仕切り器具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049048
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】飛沫防止用仕切り器具
(51)【国際特許分類】
   A47F 9/00 20060101AFI20220322BHJP
   A62B 29/00 20060101ALI20220322BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A47F9/00 Z
A62B29/00
E04B2/74 561K
E04B2/74 561L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155068
(22)【出願日】2020-09-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)電気通信回線を通じて発表 (a)掲載年月日:令和2年5月27日 (b)掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=N5wnk4Uy3ho (2)電気通信回線を通じて発表 (a)掲載年月日:令和2年6月2日 (b)掲載アドレス:https://www.hasegawajb.jp/covid-19-infection-control/ (3)販売を通じて発表 (a)販売日:令和2年8月6日、令和2年8月28日 (b)販売した場所:一徳家(東京都台東区根岸3-2-12 1F) (4)販売を通じて発表 (a)販売日:令和2年8月14日 (b)販売した場所:株式会社 テス(東京都国立市東1-4-15国立KTビル8F) (5)販売を通じて発表 (a)販売日:令和2年8月20日 (b)販売した場所:東邦ビルト株式会社(東京都世田谷区瀬田4丁目29番地14号) (6)販売を通じて発表 (a)販売日:令和2年8月22日 (b)販売した場所:地方独立行政法人東京産業技術研究センター(東京都江東区青海2-4-10) (7)販売を通じて発表 (a)販売日:令和2年8月23日 (b)販売した場所:Sol Tokyo(東京都荒川区東日暮里1-1-3)
(71)【出願人】
【識別番号】591062629
【氏名又は名称】株式会社 長谷川ジャバラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 史利
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA09
(57)【要約】
【課題】本発明は、飛沫防止用の仕切りの樹脂製シートに巻回方向の付勢力を生じさせても、巻元側柱状部材に取付けられた軸部材から当該シートをゆがみなく引き出すことができる飛沫防止用仕切り器具を提供することを目的とする。
【解決手段】飛沫防止用仕切り器具1を、巻回方向に付勢力を生じさせる樹脂製のシート7が巻回された状態で装着される軸部材44を有するシート巻出用部材4と、シート巻出用部材4が取付けられた巻元側柱状部材2と、シート7の引き出し側の先端側部位が取付けられた引出側柱状部材5とを有し、シート巻出用部材4は、軸部材44の軸方向の中心となる部位にて、軸部材44の軸方向が上下方向からシート7の巻回方向及び引き出し方向に所定の角度で揺動可能に、シート巻出用部材4に取付けられた構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回方向に付勢力を生じさせる樹脂製のシートと、
前記シートが巻回された状態で装着される回転自在な軸部材を有し、前記軸部材が回転して当該軸部材からの前記シートの引き出しが行なわれ、前記軸部材が前記回転とは逆方向に回転して当該軸部材への前記シートの巻回が行われるシート巻出用部材と、
台座から立設し、前記シート巻出用部材が取り付けられた巻元側柱状部材と、
前記台座とは異なる第2の台座から立設し、前記シートの引き出し方向の先端側の部位が取り付けられた引出側柱状部材とを有して構成され、
前記巻元側柱状部材と前記引出側柱状部材との間に配置された前記シートの引き出された部位により所望の空間が仕切られ、
前記シート巻出用部材は、前記軸部材の軸方向の中心となる部位にて、前記巻元側柱状部材に、前記軸部材の軸方向が上下方向から前記シートの巻回方向及び引き出し方向に所定の角度で揺動可能に取り付けられていることを特徴とする飛沫防止用仕切り器具。
【請求項2】
前記シート巻出用部材は、前記軸部材の軸方向の一端を取付部材にて軸支する軸支部と、前記軸部材の軸方向の他端を取付部材にて軸支する軸支部と、前記2つの軸支部間に架設された支持部とを有し、
前記支持部が前記巻元側柱状部材に揺動可能に取り付けられており、
前記軸支部は前記シートの引き出し、巻回方向とは交差する方向に前記支持部から延出していることを特徴とする請求項1に記載の飛沫防止用仕切り器具。
【請求項3】
前記台座及び前記第2の台座の本体の裏面に、滑り防止用素材からなる板状部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飛沫防止用仕切り器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合う又は対向する人物の間の空間を仕切ることで、前記人物同士が他方の人物から発する飛沫によりウィルス等に感染するのを防止するための仕切り器具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
飛沫による感染が報告されているウィルスに対応するための器具として、カウンター等の台の上面に所定の間隔を開けて2つの保持部材を設置し、これらの保持部材の溝部に透明な板状のシールド具を組み付けることで構成される対面用防護パネルが、例えば特許文献1の図6に示されている。そして、飛沫防止用の仕切りとして、PET( ポリエチレンテレフタレート)素材からなるフィルムを用いることは、特許文献2の飛沫防止天吊透明フィルムにおいて示されている。
【0003】
一方で、必ずしも上記特許文献1、2のように飛沫防止用ではないが、巻上げ側立柱、引出し側立柱、及びスクリーンを有して構成されたものとして、例えば特許文献3のロール式可動間仕切が示されている。当該特許文献3のロール式可動間仕切は、スクリーンの一端が引出し側立柱の側面に取り付けられ、スクリーンの他端が巻き上げ側立柱の側面に接続される接続部材に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3152493号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227065号公報
【特許文献3】特開2008-248550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、本件の出願人は、飛沫防止を図りつつ軽量化やコンパクト化等の持ち運びの便宜も考慮したものとして、所望の空間を仕切る樹脂製のシートと、シートの巻回、引き出しの対象となる軸部材を有する巻元側柱状部材と、シートの引き出し方向の先端側の部位が取り付けられた引出側柱状部材とを有して構成されたものとし、樹脂製のシートに、巻回方向に付勢力を生じさせ、巻元側柱状部材が有する軸部材から引き出された状態の樹脂製のシートを、モータやバネ等の動力源なしに巻元側柱状部材が有する軸部材に巻回されるようにした飛沫防止用仕切り器具について着想を得た。
【0006】
もっとも、単に上記構成の飛沫防止用仕切り器具としたのみでは、樹脂製のシートに、巻回方向に付勢力を生じさせたことから、シートを巻元側柱状部材に巻回された軸部材からゆがみなく円滑に引き出すことが困難となるおそれがあった。また、巻元側柱状部材と引出側柱状部材とが、単に置かれた状態において、樹脂製のシートの巻回方向の付勢力により相対的に近接して、樹脂製のシートがよれたり、巻元側柱状部材や引出側柱状部材がシートの巻き戻り方向の力を受けて転倒してしまったりするとの不具合を生ずるおそれもあった。
【0007】
そこで、本発明は、飛沫防止用の仕切りとなる樹脂製のシートに、巻回方向に付勢力を生じさせても、当該シートを巻元側柱状部材に取り付けられた軸部材からゆがむことなく円滑に引き出すことができ、柱状部材が不用意に相対的に近接したり、柱状部材が転倒したりするのを防止することを可能とした飛沫防止用仕切り器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飛沫防止用仕切り器具は、巻回方向に付勢力を生じさせる樹脂製のシートと、前記シートが巻回された状態で装着される回転自在な軸部材を有し、前記軸部材が回転して当該軸部材からの前記シートの引き出しが行なわれ、前記軸部材が前記回転とは逆方向に回転して当該軸部材への前記シートの巻回が行われるシート巻出用部材と、台座から立設し、前記シート巻出用部材が取り付けられた巻元側柱状部材と、前記台座とは異なる第2の台座から立設し、前記シートの引き出し方向の先端側の部位が取り付けられた引出側柱状部材とを有して構成され、前記巻元側柱状部材と前記引出側柱状部材との間に配置された前記シートの引き出された部位により所望の空間が仕切られ、前記シート巻出用部材は、前記軸部材の軸方向の中心となる部位にて、前記巻元側柱状部材に、前記軸部材の軸方向が上下方向から前記シートの巻回方向及び引き出し方向に所定の角度で揺動可能に取り付けられていることを特徴としている(請求項1)。樹脂製のシートは、例えばPET( ポリエチレンテレフタレート)素材からなり、例えば透明である。樹脂製のシートに、巻回方向に付勢力を生じさせる例としては、例えばシートを巻回された形態に記憶されるように加工することが挙げられる。柱状部材、台座の本体も、例えばPET( ポリエチレンテレフタレート)素材からなり、例えば透明である。但し、他の樹脂素材を用いることを否定しない。所望の空間とは、例えば向かい合う人物や隣り合う人物の間の空間である。
【0009】
前記シート巻出用部材についての、より具体的な構成例としては、前記軸部材の軸方向の一端を取付部材にて軸支する軸支部と、前記軸部材の軸方向の他端を取付部材にて軸支する軸支部と、前記2つの軸支部間に架設された支持部とを有し、前記支持部が前記巻元側柱状部材に揺動可能に取り付けられており、前記軸支部は前記シートの引き出し、巻回方向とは交差する方向に前記支持部から延出した構成が挙げられる。
【0010】
このように、本発明の飛沫防止用仕切り器具では、軸部材を有するシート巻出用部材は、巻元側柱状部材に固定されておらず、軸部材の軸方向が上下方向からシートの巻回方向及び引き出し方向に所定の角度で揺動可能に、軸部材の軸方向の中心部位の位置にて、巻元側柱状部材に取り付けられている。このため、引出側柱状部材と巻元側柱状部材とを相対的に離す方向に動かして、軸部材に巻回された状態のシートが引き出されるときに、巻元側柱状部材ひいては軸部材が揺動することとなる。これに伴い、軸部材が巻元側柱状部材に固定された構成では、シートを引き出すときに、シートの上と下との引き出される力が違ってしまい、これによりシートの上下のバランスがくずれて、シートがゆがんでしまうのを、本発明の飛沫防止用仕切り器具では防止することができる。また、軸部材を有するシート巻出用部材は、巻元側柱状部材に取り付けられた部位を中心に揺動するので、シートの引き出しがシートの巻回方向に生ずる付勢力に抗することになっても、シートの引き出しを円滑に行うことができる。さらに、所定の寸法ほどシートを引き出して柱状部材に対し何ら固定されていない状態において、シートの巻回方向に生ずる付勢力により引出側柱状部材が巻元側柱状部材に移動しようとする力も、シート巻出用部材が巻元側柱状部材に取り付けられた部位を中心に揺動することで低減させることができる。
【0011】
請求項3では、前記飛沫防止用仕切り器具について、前記台座及び前記第2の台座の本体の裏面に、滑り防止用素材からなる板状部材が取り付けられている。板状部材の滑り防止用素材は、例えばゴムである。
【0012】
これにより、引出側柱状部材がシートの巻回方向に生ずる付勢力により巻元側柱状部材に移動しようとするのを、台座の裏面に取り付けた板状部材の滑り防止機能により、更に低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、請求項1から請求項3に係る発明によれば、飛沫防止用仕切り器具のシートが巻回される軸部材を有するシート巻出用部材について、巻元側柱状部材に固定せず、軸部材の軸方向が上下方向からシートの巻回方向及び引き出し方向に所定の角度で揺動可能に、軸部材の軸方向の中心部位の位置にて、巻元側柱状部材に取り付けたので、引出側柱状部材と巻元側柱状部材とを相対的に離す方向に動かして、軸部材に巻回された状態のシートが引き出されるときに、巻元側柱状部材ひいては軸部材が揺動することにより、シートの上と下との引き出される力が違ってしまうことがなくなり、これに伴い、シートの上下のバランスがくずれて、シートがゆがむのを防止することができる。また、引出側柱状部材を巻元側柱状部材から離す方向に動かして、巻元側柱状部材に取り付けられたシート巻出用部材の軸部材から引き出すときに、シートの引き出しが当該樹脂製のシートの巻回方向に生ずる付勢力に抗することになっても、シート巻出用部材が巻元側柱状部材に取り付けられた部位を中心に揺動するので、シートの引き出しを円滑に行うことができる。そして、所定の寸法ほどシートを引き出して、双方の柱状部材が単に置かれた状態になった場合において、引出側柱状部材に加わるシートの巻回方向に生ずる付勢力により巻元側柱状部材に移動しようとする力は、シート巻出用部材が巻元側柱状部材に取り付けられた部位を中心に揺動するので低減する。このため、引出側柱状部材と巻元側柱状部材と固定しなくても、引出側柱状部材と巻元側柱状部材とが相対的に近接することが抑制されるので、引出側柱状部材と巻元側柱状部材との間のシートが張った状態からよれてしまうのを防止することができる。また、引出側柱状部材が転倒してしまうことも防止することが可能である。
【0014】
特に請求項3に係る発明によれば、引出側柱状部材が樹脂製のシートの巻回方向に生ずる付勢力により巻元側柱状部材に移動しようとするのを、台座の裏面に取り付けた板状部材の滑り防止機能により、更に低減することができるので、より一層、引出側柱状部材と巻元側柱状部材との間のシートが張った状態からよれてしまったり、引出側柱状部材が転倒してしまったりすることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明が適用された飛沫防止用仕切り器具の構成を示す全体図である。
図2図2は、前記飛沫防止用仕切り器具の巻元側柱状部材側の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)は、前記巻元側柱状部材のシート巻出用部材の軸部材にシートが巻かれていない状態の構成を示す正面図、図3(b)は、前記巻元側柱状部材のシート巻出用部材の軸部材にシートが巻かれていない状態の構成を示す平面図である。
図4図4は、前記巻元側柱状部材のシート巻出用部材の軸部材にシートが巻かれていない状態の構成を示す構成を示す側面図である。
図5図5は、前記巻元側柱状部材に対するシート巻出用部材の揺動を示す説明図である。
図6図6は、前記飛沫防止用仕切り器具の引出側柱状部材側の構成を示す斜視図である。
図7図7(a)は、前記引出側柱状部材にシートが取り付けられていない状態の構成を示す正面図、図7(b)は、前記引出側柱状部材にシートが取り付けられていない状態の構成を示す平面図である。
図8図8は、前記引出側柱状部材にシートが取り付けられていない状態の構成を示す側面図である。
図9図9は、前記巻元側柱状部材と引出側柱状部材とを重ねる方向に動かして飛沫防止用仕切り器具をコンパクト化させる工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1から図9において、本発明が適用された飛沫防止用仕切り器具1の一例が示されている。なお、飛沫防止用仕切り器具1は、その一例として、各構成部材が後述するように無色透明の素材で形成されているが、各構成部材の形状の把握の容易化のため、添付図面では、便宜上、不透明な状態で示されている。
【0018】
飛沫防止用仕切り器具1は、図1に示されるように、台座3から立設すると共にシート巻出用部材4が取り付けられた巻元側柱状部材2と、台座6から立設する引出側柱状部材5と、一方側がシート巻出用部材4に取り付けられて当該シート巻出用部材4に巻回可能となっていると共に他方側が引出側柱状部材5に取り付けられているシート7とで基本的に構成されている。
【0019】
巻元側柱状部材2は、本実施例では無色透明なPET素材により形成されている。そして、巻元側柱状部材2は、図2から図5に示されるように、シート7の張設時において引出側柱状部材5と対峙する面21a及び当該面21aの反対側の面21bを有する板状部21と、シート7の張設時において板状部21の面21aから引出側柱状部材5に向けて延びる板状部22と、シート7の張設時において板状部21の面21bから引出側柱状部材5とは反対側に向けて延びる板状部23とを有する。板状部22、23は、本実施例では、板状部21のそれぞれ面21a、21bの短手方向に沿った方向の中央部位から対称方向に延びており、巻元側柱状部材2は、その頂部から見て十字形状となっている。板状部21、22、23は、一体形成されたものとしても、それぞれ別部材とし、組み合わせて巻元側柱状部材2を形成するものとしても良い。
【0020】
板状部21は、肉厚が例えば3mm等の薄いものであり、面21a又は21b側から見て短手方向の幅(横幅)が相対的に狭い縦長の略長方形状の上側部位211と、この上側部位211の下方に連接し、面21a又は21b側から見て下方に向けて徐々に広がる略台形状の基部側部位212とで成る。上側部位211は、板状部21を板状部22、板状部23と組み合わせる場合には、板状部21、22の双方の突起部(図示せず。)の差込み孔として、面21aから面21bにかけて貫通する複数の貫通孔(図示せず。)を有する。基部側部位212も、板状部21を板状部22、板状部23と組み合わせる場合には、板状部22の下記する支持部位222の突起部(図示せず。)を組み付けるための差し込み孔(図示せず。)、板状部23の下部の突起部(図示せず。)を組み付けるための差込み孔(図示せず。)をそれぞれ有する。板状部21は、台座3の下記する本体31と一体成形されたものとしても良いが、本実施例では台座3の本体31と別体として本体31に組み付ける態様であり、底面に台座3の本体31の差込み孔(図示せず。)に嵌合したかたちで挿入することが可能な幅の小さな突起部(図示せず。)が2つ形成されている。また、基部側部位212の底面の広がり方向の横幅は、この実施例では、台座3の本体31に組み付け時に台座3の本体31の外縁からはみ出さない寸法に設定されている。
【0021】
板状部22は、肉厚が例えば3mm等の薄いものであり、シート巻出用部材4を取り付ける部位となる、縦長の略長方形状の上側部位221と、この上側部位221の下方に連接し、巻元側柱状部材2を支持する支持部位222とで成る。上側部位221の長手方向の中心には、シート巻出用部材4の下記する支持部41の通孔41aと連通する通孔221aが形成されている。支持部位222は、この実施形態では、全体形状的としては板状部21から離れる方向に斜めに延びており、その下端は、板状部21から上側部位221よりも突出している。また、上側部位221は、本実施例では、支持部位222とは反対側端から支持部位222側にかけて板状部21からの延出幅が徐々に大きくなるようになっている。板状部22は、板状部21と共に台座3の下記する本体31と一体成形されたものとしても良いが、本実施例では台座3の本体31と別体として本体31に組み付ける態様であり、底面に台座3の本体31の差込み孔(図示せず。)に嵌合したかたちで挿入することが可能なための幅のある突起部(図示せず。)が形成されている。
【0022】
板状部23は、肉厚が例えば3mm等の薄いものであり、巻元側柱状部材2の強度を高めるためのものとなっている。板状部23は、板状部21、22と共に台座3の下記する本体31と一体成形されたものとしても良いが、本実施例では台座3の本体31と別体として本体31に組み付ける態様であり、底面に台座3の本体31の差込み孔(図示せず。)に嵌合したかたちで挿入することを可能とするための幅のある突起部(図示せず。)が形成されている。板状部23の延出幅は、本実施例では、台座3の本体31に組み付け時に台座3の本体31の外縁からはみ出さない寸法に設定されている。
【0023】
台座3は、本実施例では、図3(b)に示されるように、上方から見て円形状をしており、例えばPET素材で形成された本体31と、この本体31の裏面に装着された、ゴム製の板状部材32とで構成されている。この実施例では、本体31は、台座3に重しとしての機能を与えるために、2つのプレートを重ねた構造となっているが、重しとして好適な重量を得られれば1つのプレートで構成されても良い。ゴム製の板状部材32は、巻元側柱状部材2が不用意に移動しないようにするために、滑り止めとして装着されている。本体31への板状部21、22、23の配置は、この実施例では、図3(b)に示されるように、台座3の中心よりも外縁側に板状部21と板状部22、23との交差する部位が配置されていると共に、板状部22の支持部位222の底面の中心が台座3の中心と略同じ位置になっている。これにより、巻元側柱状部材2に加わった力は、支持部位222を介して、台座3の中心に伝わることとなる。本体31と板状部21、22、23と別体の場合には、これら板状部21、22、23の突起部が差し込まれる差込み孔(図示せず。)が上方に開口するかたちで本体31に形成されている。
【0024】
シート巻出用部材4は、本実施例では無色透明なPET素材により形成されている。そして、シート巻出用部材4は、細長い長方形の板状の支持部41と、支持部41の長手方向の一方端から延出した軸支部42と、支持部41の長手方向の他方端から延出した軸支部43と、下記するシート7を巻回することが可能な円柱状の軸部材44と、軸部材44の長手方向の一方端を軸支部42に回転自在に取り付けるための取付器具45と、軸部材44の長手方向の他方端を軸支部43に回転自在に取り付けるための取付器具46とを有して構成されている。本実施例では、軸支部42、43は板状であり、支持部41とでシート巻出用部材4は略コ字形状をなしている。
【0025】
シート巻出用部材4は、支持部41の長手方向の中心に通孔41aが形成されている。本実施例では、シート巻出用部材4全体の長手方向の寸法は、板状部22の上側部位221の長手方向の寸法と略同じになっている。そして、支持部41の通孔41aと板状部22の上側部位221の通孔221aとを連通させて、この通孔41a、21aに回転軸部材47を装着することで、シート巻出用部材4は、板状部22の上側部位221に回転可能に取り付けられる。すなわち、軸支部42、43は支持部41から、シート7の引き出し方向、巻回方向に沿った方向ではなく、シート7の引き出し方向、巻回方向とは交差する方向に延出している。本実施例では、シート巻出用部材4の支持部41は、上側部位221において、下記する上側部位521の面521aと同じ側となる面221bに装着されている。
【0026】
シート巻出用部材4は、板状部22の上側部位221に鉛直方向に沿ったかたちで装着された状態では、図2図3(b)及び図4に示されるように、板状部21の面21aとの間に所望の隙間Sが形成されるようになっている。また、シート巻出用部材4は、シート7が軸部材44に最も巻回された状態でも、巻回されたシート7が回転軸部材47に接しないように、軸支部42、43の取付器具45、46を取り付ける位置について、支持部41からの寸法設定がなされている。これにより、シート巻出用部材4は、図5の実線で示した位置から二点鎖線で示した位置に示すように、回転軸部材47を中心に、上端、下端が板状部21の面21aに当たるまでの範囲で揺動することが可能になっている。すなわち、板状部21の面21aがシート巻出用部材4の揺動を規制するストッパーとして機能し、シート巻出用部材4の揺動範囲が大きすぎることにより巻元側柱状部材2が転倒してしまうのを防止している。
【0027】
引出側柱状部材5は、本実施例では無色透明なPET素材により形成されている。そして、図6から図8に示されるように、シート7の張設時において巻元側柱状部材2と対峙する面51a及び当該面51aの反対側の面51bを有する板状部51と、シート7の張設時において板状部51の面51aから巻元側柱状部材2に向けて延びる板状部52と、シート7の張設時において板状部51の面51bから巻元側柱状部材2とは反対側に向けて延びる板状部53とを有する。板状部52、53は、本実施例では、板状部51のそれぞれ面51a、51bの短手方向に沿った方向の中央から側方にずれた位置において対称方向に延びており、巻元側柱状部材2は、その頂部側から見て偏った状態の十字形状となっている。板状部52は、板状部21に対する板状部22、23の位置よりも、板状部22の厚み分と同じか若干大きな寸法にてずれて位置している。本実施例では、板状部52の上側部位521のシート7が取り付けられる面521aが板状部21の中央部位から離れる方向にずれている。
【0028】
板状部51は、上側部位511と基部側部位512とを有して構成され、上側部位511、基部側部位512の基本形状は、板状部52、53と別部材として、これらと組み合わせる態様とした場合も含めて、上記した板状部21の上側部位211、基部側部位212と同様である。また、板状部52は、上側部位521と支持部位522とを有して構成され、上側部位521、支持部位522の基本形状は、板状部52、53と別部材として、これらと組み合わせる態様とした場合も含めて、上記した板状部22の上側部位221、支持部位222と同様である。このため、上記において、板状部21、22について説明がなされているところ、板状部21、22の符号を板状部51、52の符号に適宜置き換えることで、板状部51、52についての説明となるので、その説明を省略した。板状部52は、上側部位521の面521aに、シート7の引出し側の端部を、例えばPET素材により形成されて無色透明であると共に縦長の長方形状である板状部材54とで接着剤を用いつつ挟むことにより固定している。もっとも、図示しないが、板状部材54に、シート7の引出し側の端部を固定し、この板状部材54を板状部22の上側部位221に着脱自在に取り付けられるようにしてもよい。これにより、シート7の交換等のメンテナンスが容易となる。板状部53は、基本的には板状部23と同様であるが、板状部51の面51bからの延出幅は、板状部23が板状部21の中央から延出するよりもずれた位置から、板状部53が延出しているので、台座6から板状部53がはみださないように、板状部23の延出幅よりも小さい設定とすることが好ましい。
【0029】
台座6は、例えばPET素材で形成された本体61と、この本体61の裏面に装着されたゴム製の板状部材62とで構成されている。この実施例では、図7(a)に示されるように、本体61は、台座6に重しとしての機能を与えるために、2つのプレートを重ねた構造となっているが、重しとして好適な重量を得られれば1つのプレートで構成されても良い。ゴム製の板状部材62は、引出側柱状部材5が不用意に移動しないようにするために、滑り止めとして装着されている。台座6は、図7(b)に示されるように、引出側柱状部材8の頂部側から見て、円形状の台座3に対しその一部を切り欠いた形状をなしていると共に、切り欠きにより形成された直線状に延びる縁線Lの中心から引出側柱状部材5の基部に向けて延びるスリット63を有している。これに伴い、台座6は、引出側柱状部材5が配置された側と反対側が二股に分かれた部位(6a、6b)を有する形状になっている。
【0030】
台座6の切り欠き及びスリット63は、台座3の上側に、台座6及びこの台座6から立設した引出側柱状部材5を載せることができるようにするためである。すなわち、図9に示されるように、板状部22がスリット63内を進むかたちで、板状部21と板状部51とを近接させることで、板状部21の面21aと台座6の縁線Lから下方に延びる立面とが当接する位置まで、かつ、台座3の円状の周縁と台座6の円弧状の周縁とが合わさる位置まで、台座6は台座3と重ねることが可能になっている。
【0031】
そして、引出側柱状部材5は、板状部52の支持部位522とは別に支持部材56を有する。支持部材56は、板状部51の基部側部位512の面51aから台座6の二股の一方部位6aに向けて斜めに配置された支持部位522に対し、支持部位222の厚みと同じか若干大きな寸法にて、基部側部位512の幅方向に且つスリット63を越えて台座6の他方部位6b側にずれて配置されている。支持部材56は、本実施例では支持部位522と同様の形状であり、上側が板状部51の基部側部位512の面51aに連結され、下側が台座6の二股の他方部位6bに連結されている。引出側柱状部材5に加わった力は、支持部位222及び支持部材56を介して、台座6の中心に伝わることとなる。
【0032】
これにより、台座6が二股に分かれた部位6a、6bを有していても、二股の一方部位6a、二股の他方部位6bがそれぞれ支持部位522、支持部材56を介して板状部51に取り付けられ、支持されているので、引出側柱状部材5に何らかの力が加わっても、台座6の二股に分かれた部位6a、6bが足として機能して歩いてしまい、引出側柱状部材5が不用意に移動してしまうことが防止される。更に、台座3と台座6とが上下に重ね合わせたときに、台座6のスリット63内を動いてきた巻元側柱状部材2の板状部22の支持部位222は、引出側柱状部材5の板状部52の支持部位522と支持部材56との間に挟まれることとなる。
【0033】
シート7は、PET素材により形成されており、常態では、その全体が巻かれた状態となるように、巻回方向に付勢力が生ずるように加工されている。このようなシート7に巻回方向の付勢力が生ずるようにする加工は、例えばPET素材からなるシート7を加熱してその全体が巻かれた状態とした後、シート7を冷却することで、シート7が巻かれた状態の形態について記憶することを利用して行なわれる。シート7は、厚みが大きすぎると、シート7の巻回方向に生ずる付勢力が大きくなり、厚みが小さすぎると、シート7を引き出した状態を所定期間において維持した場合に、シート7の巻回方向に生ずる付勢力がなくなるか、小さくなることから、所望の厚み、例えば0.1mmの厚みに設定されている。また、合成樹脂素材の中でもPET素材が上記のように形態を記憶させ、その記憶状態を維持するのに好適であるので、シート7の素材としてPET素材が採択されている。
【0034】
このような構成の飛沫防止用仕切り器具1とすることにより、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5とを相対的に近接させることで、軸部材44がシート7の付勢力で回転し、シート7は、巻元側柱状部材2に取り付けられたシート巻出用部材4の軸部材44に、特にバネやモータ等の動力源がなくても巻回されてゆく。そして、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5とを、台座3と台座6とが上下に重ねた状態、台座6の縁線Lから下方に延びる立面と板状部51の基部側部位512が当接し、板状部21の支持部位222が板状部52の支持部位522と支持部材56との間に挟まれた状態とすることで、コンパクト化して、持ち運びや収容を容易することができる。
【0035】
一方で、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5とを相対的に離すことで、シート7は、巻元側柱状部材2に取り付けられたシート巻出用部材4の軸部材44から引き出されるが、そのとき、シート巻出用部材4が回転軸部材47を中心として揺動する。これにより、巻元側柱状部材2に軸部材44が固定されたときのように、シートの上と下との引き出される力が違ってしまうことがなくなり、これに伴い、シート7の上下のバランスがくずれて、シート7がゆがんでしまうのを、防止することができる。また、シート7は、巻回への付勢があっても、円滑に引き出すことが可能である。そして、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5を、所定の間隔にて離れた位置に、特に固定されることなく配置されても、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5との間にシート7が張った状態で架け渡された状態において、巻元側柱状部材2や、引出側柱状部材5に力が加わっても、シート巻出用部材4が回転軸部材47を中心として揺動すると共に、台座3、6のゴム製の板状部材32、62が滑り防止となるので、巻元側柱状部材2と引出側柱状部材5とが不用意に近接したり、巻元側柱状部材2、引出側柱状部材5が転倒したりすることが防止される。
【符号の説明】
【0036】
1 飛沫防止用仕切り器具
2 巻元側柱状部材
3 台座
31 本体
32 ゴム製の板状部材
4 シート巻出用部材
41 支持部
42 軸受部
43 軸受部
44 軸部材
5 引出側柱状部材
6 台座
61 本体
62 ゴム製の板状部材
7 シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9