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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049063
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】スチーマー
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/18 20060101AFI20220322BHJP
   D06F 75/26 20060101ALI20220322BHJP
   D06F 87/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
D06F75/18
D06F75/26
D06F87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155094
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庭山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕雅
【テーマコード(参考)】
4L029
【Fターム(参考)】
4L029DA09
4L029DB05
4L029GB02
4L029GB05
(57)【要約】
【課題】蓄電装置を急速に充電することができ、スチーマーへの電源供給が無いコードレスの状態であっても噴出部からスチームをスムーズに噴出できるスチーマーを提供する。
【解決手段】本発明のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンク組立体17と、タンク組立体17の下方に設けられ、ヒータ6を備えたベース7と、タンク組立体17からの液体を気化させるために、ヒータ6で加熱された気化室11と、気化室11で気化したスチームを外部に噴出させるスチーム孔12と、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に配置した電気2重層コンデンサ45と、タンク組立体17の液体を気化室11に供給する電磁ポンプ24と、をスチーマー本体1に備えており、電気2重層コンデンサ45で発生した電力により、基板37に搭載した制御装置40を動作させて、当該制御装置40が電磁ポンプ24の駆動を制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を内部に貯留するタンクと、
前記タンクの下方に設けられ、加熱手段を備えたベースと、
前記タンクからの液体を気化させるために、前記加熱手段で加熱された気化室と、
前記気化室で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部と、
前記タンクの底面よりも高い位置に配置したコンデンサと、
前記タンクの液体を前記気化室に供給する液体供給部と、を備え、
前記コンデンサで発生した電力により、前記液体供給部の駆動を制御する構成としたことを特徴とするスチーマー。
【請求項2】
前記コンデンサは定電流回路または定電圧回路により充電され、
前記コンデンサに充電する際に、当該コンデンサの蓄えた電荷の量に影響されずに一定の電流で充電可能にすることを特徴とする請求項1記載のスチーマー。
【請求項3】
前記定電流回路または前記定電圧回路は、当該定電流回路または定電圧回路の出力電力を制御する制御ICを備え、
前記制御ICは、前記コンデンサの蓄えた電荷の量に応じて前記一定の電流を変更可能であることを特徴とする請求項2記載のスチーマー。
【請求項4】
前記スチーマーの動作状態を検知するセンサ部と、
前記スチーマーの動作状態を表示する表示部と、をさらに備え、
前記コンデンサを使用して、前記センサ部による制御駆動で前記表示部を動作させる構成としたことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載のスチーマー。
【請求項5】
接続時に前記スチーマーに商用電力を供給するプラグユニットと、
前記コンデンサおよび当該コンデンサに充電する定電流回路または定電圧回路を有して、前記プラグユニットが前記スチーマーと接続されている間に前記コンデンセが自動で充電されるように構成される充電回路と、をさらに備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のスチーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの繊維製品にスチームを噴出してしわ伸ばしを行なうスチーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコードレスアイロンは多数存在し、例えば機械的に弁体となるニードルバルブの開閉を行なうことで、タンク内の水を滴下させ、気化室内に水を送り込んでスチームを発生させるスチーム発生機構を備えたスチーマーが周知である。しかし、こうした構造では、気化室の内圧が高い場合に、タンクから水が滴下しにくく、また水を滴下させるためには、タンクから気化室に至る通水路に水が浸ってなければいけない等、スチームを噴出させるための制約があった。こうした問題に対して、本願出願人は従来の機械的なスチーム発生機構に代わって、直流モータを駆動源とした電磁ポンプをスチームアイロンに組み込む考えを提案し、既に特許を取得している。この場合、直流モータへの通断電を繰り返して電磁ポンプを駆動させることにより、気化室の内圧に拘わらず、またアイロン本体がどのような姿勢で使用されても、噴出部からスチームをスムーズに噴出させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6534886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1の技術は、電源プラグ付きのコードを通してアイロン本体に商用電力が常時供給されるスチームアイロンを前提としている。そのため、使用時にアイロン本体が置台から離脱して、アイロン本体への電力供給が途絶えるコードレスの状態では、アイロン本体に組み込まれた電磁ポンプを動作させることができず、噴出部からスチームを噴出させることができない。
【0005】
また、電磁ポンプを動作させるために二次電池を搭載するスチーマーも提案されているが、二次電池はエネルギー容量に優れている一方でサイズが大きく、過充電や過放電から二次電池を保護する保護回路が必要であり、大電流、高電圧で充電すると液漏れや破裂が発生する虞がある等、様々な制約があった。またスチーマーは短いサイクルで蓄電装置を充電することと放電することを行なうため、蓄電装置を急速に充電することが重要であるが、従来のスチーマーでは蓄電装置としての二次電池の充電が進むにつれて二次電池の電圧が高くなるため、充電を完了させるために数時間かかってしまっていた。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、蓄電装置を急速に充電することができ、スチーマーへの電源供給が無いコードレスの状態であっても噴出部からスチームをスムーズに噴出できるスチーマーを提供することを第1の目的とする。
【0007】
また本発明は上記問題点に鑑み、コードレスの状態であってもスチーマーの温度低下時における表示ができるスチーマーを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンクと、前記タンクの下方に設けられ、加熱手段を備えたベースと、前記タンクからの液体を気化させるために、前記加熱手段で加熱された気化室と、前記気化室で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部と、前記タンクの底面よりも高い位置に配置したコンデンサと、前記タンクの液体を前記気化室に供給する液体供給部と、を備え、前記コンデンサで発生した電力により、前記液体供給部の駆動を制御する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、コンデンサをタンクの底面よりも高い位置に配置することで、加熱手段によるベースの加熱温度の影響によりコンデンサが劣化するのを防ぐことができる。また、スチーマーへの電源供給が無いコードレスの状態でも、コンデンサで発生した電力を利用して、液体供給部の駆動を制御することができ、スチーマーをどのような姿勢で使用した場合でも、液体供給部を駆動させてタンクから気化室に液体を強制的に送り出すことで、噴出部からスチームをスムーズに噴出させることができる。そして蓄電装置としてコンデンサを採用することにより、二次電池を採用するよりも安全で、コンパクトで、短時間で充電を完了させることができ、コードレスでスチーマーを使用したときの用途の幅を広げることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、コンデンサの電圧が高い際でも急速に充電することを可能にし、電荷か蓄えられてコンデンサの容量が一杯になってきても充電速度が遅くならない。
【0011】
請求項3の発明によれば、コンデンサの充電が完了した後もこのコンデンサに充電し続けて過充電になることを防止することができる。またコンデンサの充電が完了した後で、過充電になることを防止しつつこのコンデンサの電圧を充電完了したときの値付近に保持することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、コンデンサからの電力を表示部の駆動にも利用でき、スチーマーに電源供給が行われないコードレスの状態でも、スチーマーの動作状態であるベースの温度を検知して、その結果を表示部に表示させることが可能になる。
【0013】
請求項5の発明によれば、スチーマーを使用しない未使用時の切状態など、プラグユニットがスチーマーと接続されている間にコンデンサが自動的に充電されるので、コンデンサの充電を普段気にすることなく、噴出部からスチームをスムーズに噴出させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるスチーマーの右側面図である。
図2】同上、スチーマーの平面図である。
図3】同上、スチーマーの右側前方から見た斜視図である。
図4】同上、スチーマー本体の縦断面図である。
図5】同上、スチーマー本体の内部構造を示す立体断面図である。
図6】同上、スチーマー本体の上面から見た透視図である。
図7】同上、スチーマーの電気的な接続の構成を示す回路ブロック図である。
図8】同上、蓄電装置としての二次電池とコンデンサとを比較した表である。
図9】同上、置台にプラグユニットを取付けた状態を示す右側前方から見た斜視図である。
図10】同上、定電流回路なしで電気2重層コンデンサを充電したときと、定電流回路経由で電気2重層コンデンサを充電したときの、電気2重層コンデンサの電圧の値の計測結果をグラフで示した図である。
図11】同上、スチーマー本体使用時における、電気2重層コンデンサの電圧の値、電磁ポンプに供給される電圧の値、および電気2重層コンデンサ4が供給し、または供給される電力の値の計測結果をグラフで示した図である。
図12】本発明の別の実施形態におけるスチーマー本体の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましいスチーマーの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1図6は、本発明の一実施形態におけるスチーマーを示している。これらの各図において全体の構成を説明すると、本実施形態のスチーマーは、液体である水を加熱気化してスチームを外部に噴出するスチーマー本体1と、家庭用のコンセント(図示せず)からスチーマー本体1に商用電力を供給するプラグユニット2と、床面Sに置いた状態で使用され、スチーマー本体1を着脱可能に載置する置台3と、を主な構成要素とする。プラグユニット2は、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱できる構成となっている。
【0017】
スチーマー本体1は、電力を受ける凹状の受電部5が後部に設けられる一方で、加熱手段としてヒータ6を埋設した金属製のベース7を下部に備えている。ベース7は、ダイキャスト成形品によるベース基体8の底面に、掛け面部材となるベースプレート9が具備された構成を有し、ベースプレート9に固着された締結部材10によって、ベース基体8に密着固定される。ベース7の内部には、ヒータ6の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室11が形成され、この気化室11に連通する複数のスチーム孔12が、ベース7の下面をなすベースプレート9に開口形成される。また、ベース7は金属板状の上蓋となるスチームカバー13を備え、ベース基体8に取付け固定されたスチームカバー13により、気化室11の上面が形成される。なお、気化室11はベース7に形成されずに、別体であってもよい。その場合も、気化室11で液体となる水を加熱気化させるために、ヒータ6若しくは別な加熱手段が設けられる。
【0018】
15はベース7の上部から側部を覆うように設けられた樹脂製のカバーであり、16はカバー15の上方に固定して設けられ、側面から見て前端および後端を接続した略O字状に形成された把手である。把手16の内部前方から後方にかけては、液体を貯留するタンクに相当するタンク組立体17が設けられる。タンク組立体17は、何れも樹脂製のタンクカバー18とタンクベース19とにより構成され、タンクカバー18の底面開口を覆うようにタンクベース19を取付け固定することで、タンク組立体17の内部に液体の貯留空間20が形成される。
【0019】
21は、タンク組立体17の前部に設けられ、前述の貯留空間20に直接連通する注水口である。この注水口21に対向して把手16の前部には、注水口21を手動で開閉可能にする注水口蓋22が設けられ、注水口蓋22を手前側に起こして注水口21を開けることで、ここからタンク組立体17内に液体である水を収容したり、タンク組立体17内の不要水を廃棄したりするようになっている。またスチーマー本体1の内部において、タンクカバー18の後方に形成された立壁18Aで貯留空間20と仕切られた上部収容空間23には、タンク組立体17の貯留空間20に収容される水を、ヒータ6で加熱される気化室11に供給するための電磁ポンプ24が配設される。電磁ポンプ24には、タンク組立体17の貯留空間20に連通する吸込管25と、気化室11に連通する吐出管26がそれぞれ接続され、電磁ポンプ24とタンク組立体17とが液密状態で連結している。これにより、スチーマー本体1がどのような姿勢で使用されても、貯留空間20に収容した水が電磁ポンプ24を配置した把手16の後端の内部の空間に侵入することなく、電磁ポンプ24の動作時に貯留空間20から吸込管25を通して電磁ポンプ24に吸い込んだ水を、吐出管26を通して気化室11に送り出すことが可能となる。また本実施形態のスチーマー本体1は把手16の内部前方から後方にかけてタンク組立体17および上部収容空間23が設けられ、タンク組立体17および上部収容空間23が後述する下部収容空間54の上方を全部覆っているため、タンク組立体17の貯留空間20内の水または空気、および上部収容空間23内の空気がベース7からの熱を遮断する層の役割を果たし、後述するように把手16の内部に配置される部品、例えば電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品などの温度上昇が回避できる。
【0020】
把手16は、何れも樹脂製の把手ベース28と把手カバー29との二部品で構成され、把手ベース28は、カバー15上に取り付けられる基部28Aと、基部28Aの前側でU字状に立ち上がる前方連結部28Bと、前方連結部28Bより後方に延びる延設部28Cと、基部28Aの後側でU字状に立ち上がり、延設部28Cの後端に接続する後方連結部28Dと、からなる。把手ベース28の上部から後部を連続して形成する延設部28Cおよび後方連結部28Dは、断面が略U字状に形成され、これらの一側開口を覆うように、略板状の把手カバー29が配設される。把手ベース28の延設部28Cおよび把手カバー29は、ユーザーがスチーマー本体1の上部で手を握るための握り部31を形成している。
【0021】
棒状の握り部31は、スチーマー本体1の腹部32との間に空洞33を有しており、この空洞33に手を差し入れて、握り部31を手で握ることができるように形成される。つまり、ここでいう腹部32は、タンク組立体17の両側部を除く握り部31に対向したスチーマー本体1の平坦状の中央上面部を指すものであり、本実施形態では、把手ベース28の基部28Aとして形成される。
【0022】
スチーマー本体1の上部に位置する握り部31の前側には、手動操作が可能な操作体として、ベース7の温度設定と電源の入・切を兼用する第1操作体としての温度設定/切ボタン35と、スチーム孔12から噴出するスチームの流量設定を行なう第2操作体としてのスチーム量設定ボタン36がそれぞれ配設される。これらの操作用のボタン35,36は、握り部31の内部に配置された基板37に搭載される。なお、操作体の数や形式は本実施形態のようなものに限定されず、押動式以外の操作体であってもよい。また、どの操作体にどの機能を割り当てても構わない。
【0023】
タンク組立体17から気化室11に至る液体の通路46には、前述の吸込管25や吐出管を含む電磁ポンプ24が組み込まれる。電磁ポンプ24は、タンク組立体17から気化室11に水を供給すると共に、スチーム量設定ボタン36で設定されたスチーム流量に応じて、気化室11に供給する水の流量を可変する液体供給部として、上述したように把手16の後端の内部に配設される。電磁ポンプ24の具体的な構成は、例えば特許文献1に開示される直流モータ駆動式のポンプを採用してもよい。
【0024】
この場合、後述するマイコン66が温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合には電磁ポンプ24への通断電を繰り返すように、制御装置40が電磁ポンプ24を駆動制御することで、タンク組立体17から気化室11に所定量の水を送り出すことが可能となり、電磁ポンプ24からの送水量、ひいてはスチーム孔12からのスチーム流量は、電磁ポンプ24への通断電のタイミングを変えることで任意に増減できる。一方、ベース7が液体の気化温度よりも低い場合には、マイコン66が電磁ポンプ24を駆動停止するように制御している。
【0025】
スチーマー本体1の内部において、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19と、ヒータ6で加熱されるベース7の上面との間には、スチームカバー13の上面に載置された温度検知手段41などをカバー15で覆って収容する下部収容空間54が形成される。タンクベース19とベース7との間の下部収容空間54には、カバー15の上面が遮熱部15Aとして介在しており、図4に示すようなベース7の底面を水平に向けた状態、すなわちスチーマー本体1を水平にした状態で、電磁ポンプ24や後述する基板37に搭載される各部品、例えば発電装置43などは、何れもタンクベース19や下部収容空間54よりも上方の高い位置に配置される。
【0026】
電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品をタンクベース19よりも高い位置に配置することで、ベース7と、電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品との間には、ベース7からの熱を遮断する、下部収容空間54や貯留空間20および上部収容空間23が介在し、電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品の温度上昇が回避される。また、下部収容空間54にはカバー15の遮熱部15Aも配置されるため、この遮熱部15Aもベース7からの熱を効果的に遮断して、電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品の温度上昇を一層回避できる。特に後述する電気2重層コンデンサ45は、ベース7から最も離れ、介在する貯留空間20の厚さが最も厚い把手16の握り部31の内部前方に設けられているため、ベース7から電気2重層コンデンサ45に対する熱影響を最大限に回避できる。
【0027】
基板37には、温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36の他に、握り部31の上部前側に設けられ、複数のLEDを並べた温度表示ランプ38と、電源の入・切およびベース7が設定温度に達した時や温度低下時に音で知らせる報知部としてのブザー42と、スチーマー本体1の負荷となるヒータ6や、電磁ポンプ24や、温度表示ランプ38や、ブザー42の動作を制御する制御装置40や、発電装置43や、電源回路44などが搭載される。温度表示ランプ38は、温度設定/切ボタン35による設定温度や、温度検知手段41が検知したベース7の温度が、設定温度に達したか否かを表示するもので、スチーマー本体1の動作状態を表示する表示部に相当する。また温度検知手段41は、スチーマー本体1の動作状態を表示するセンサ部として、スチーマー本体1の内部でベース7に取付け固定される。
【0028】
発電装置43は、プラグユニット2からの外部商用電力とは別に、スチーマー本体1の内部で発電機能を有するものであり、電源回路44と、電源供給用の蓄電装置としての電気2重層コンデンサ45と、急速充電回路としての定電流回路62(図5参照)と、逆流防止用のダイオード63,64(図5参照)と、を主に備えて構成される。電源回路44は、プラグユニット2からの外部商用電力からの電力を受けて、スチーマー本体1の各部に適切な動作電力を出力するものである。なお、スチーマー本体1に組み込まれる基板37の数や、どの基板37にどの部品を搭載するのかは、特に限定されない。
【0029】
制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なう。また制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づき電源の入・切を報知するようにブザー42の制御駆動を行ない、また温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なう。そして制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、スチーム量設定ボタン36からの操作信号に基づき設定された流量のスチームが、スチーム孔12を通してスチーマー本体1の外部に噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御する。このとき電磁ポンプ24は、同じく発電装置43からの動作電力が与えられて、設定されたスチーム流量に応じた動作を行なう構成となっている。
【0030】
図7は、本実施形態のスチーマーの電気的な接続の構成を示す回路ブロック図である。同図において、61は例えば商用電源などの交流(AC)電源であり、この交流電源61から供給される交流電力が、プラグユニット2および受電部5を介して、ヒータ6や、発電装置43の電源回路44に印加され、電源回路44がこの交流電力を整流平滑して直流電力に変換し、この直流電力を電磁ポンプ24や制御装置40に供給する構成となっている。
【0031】
発電装置43の接続を説明すると、電源回路44の一対の入力端子と、ヒータ6および制御装置40のリレー回路68の直列回路とが、受電部5に並列に接続される。電源回路44の出力端子にはダイオード63のアノードが接続され、ダイオード63のカソードに、例えば制御装置40のマイクロコンピュータ66や電磁ポンプ24などのスチーマー本体1の各部が接続される。また電源回路44の別の出力端子には、定電流回路62およびダイオード64の直列回路が接続され、ダイオード63およびダイオード64のカソード同士が接続される。そして定電流回路62の出力側およびダイオード63のアノードの接続点と、接地ラインGLとの間に、電気2重層コンデンサ45が接続される。
【0032】
電源回路44は、交流電源61から供給される電力をプラグユニット2経由で受け、基板37に搭載された温度表示ランプ38や、ブザー42や、制御装置40の各部に、それぞれを動作させるに必要な動作電力を送り出すと共に、電磁ポンプ24にも動作させるのに必要な動作電力を送り出すものである。なお電源回路44が複数ある出力端子のそれぞれに、別個で電力を送り出すことができるように構成されてもよい。定電流回路62は、電源回路44から供給された電力により電気2重層コンデンサ45を急速充電するものであり、この定電流回路62が出力する電流を制御する制御ICなどの制御部62Aを備え、この制御部62Aが定電流回路62の出力電圧を監視して、この出力電圧がある電圧の閾値を超えると、所定の電流値で電圧が出力されるように定電流回路62を制御している。なお、本実施形態では制御部62Aを備えた定電流回路62を採用しているが、その代わりに制御ICなどの制御部を備えた定電圧回路を使用してもよく、この場合も、電気2重層コンデンサ45の蓄えた電荷の量に影響されずに、同様の効果を得ることができる。
【0033】
電気2重層コンデンサ45は定電流回路62からの出力電力を充電してスチーマー本体1の各部に電力を供給するものであり、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されているときには、電源回路44からの直流電力を定電流回路62に供給し、その定電流回路62の出力電力が電気2重層コンデンサ45に充電され、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されていないコードレスの状態のときには、電気2重層コンデンサ45からの電力が、ダイオード64のカソードに接続されたスチーマー本体1の各部に供給されるように構成される。スチーマー本体1の各部が動作していない未使用時の切状態に、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されていれば、その商用電力を利用して電源回路44が定電流回路62経由で電気2重層コンデンサ45を自動的に充電できるように構成されるのが好ましい。
【0034】
図8は、蓄電装置としての二次電池とコンデンサとを比較した表である。蓄電装置として、二次電池ではNiCd電池やリチウム二次電池を例に取り、コンデンサではアルミ電解コンデンサや電気2重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)を例に取って比較している。
【0035】
バックアップ能力はバックアップ時間の量についての能力であり、二次電池はエネルギー容量に優れている。その一方でコンデンサは二次電池と異なる原理で電気エネルギーを蓄積し、二次電池と比較してエネルギー容量が非常に小さかった。しかしながら電気2重層コンデンサは、コンデンサと二次電池の特性を補完する性質を有しており、1個当たりの静電容量も数百~数千ファラド(F)に達している。公害性は有害な物質を使用しているかであり、NiCd電池がカドミウムを使用している他は、有害な物質を使用しているものはなかった。使用温度の範囲について、二次電池は電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するため、低温では出力が低下する一方で高温では材料の変形が起こり、動作温度の範囲は狭い。その一方で、上述したようにコンデンサは二次電池と異なる原理で電気エネルギーを蓄積しており、電気2重層コンデンサは電解液と電極の界面に極めて短い距離を隔てて電荷が配向する現象(電気二重層)を利用し、物理的な過程により蓄電するため、低温側、高温側共に二次電池よりも動作温度の範囲は広い。
【0036】
二次電池は、上述のように電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するため、充電時間が数時間程度と長時間かかってしまい、充放電寿命も500~1000回程度であり、過充電や過放電を行なうと二次電池の寿命が短くなる。また、二次電池では、例えば過充電や過放電から二次電池を保護する保護回路が必要である、という充放電時の制限がある。これに対してコンデンサにおいて、例えば電気2重層コンデンサは、活性炭のように表面積の大きな物質の表面におけるイオンの物理的な吸着のみでエネルギーを蓄えているため構成材料の劣化がほとんどない、という特徴を有しており、そのためコンデンサは、充電時間が数秒程度と短時間で完了し、物理的な現象で充放電を行なうためにこの充放電に伴う劣化もほとんどなく、数百万サイクルの充放電が可能で半永久的に使用できるため、充放電寿命が理論上は無制限であり、電圧が0Vになるまで放電可能で完全放電できるために充放電時の制限がない。さらにコンデンサは、フローソルダリング(フローはんだ付け)が可能であり、自動実装機での対応ができるために自動実装対応も可能である。また、安全性についても、電気2重層コンデンサは、二次電池やアルミ電解コンデンサに比して優位である。
【0037】
このため本実施形態では、安全性とコンパクトの観点から蓄電装置として電気2重層コンデンサ45を採用しているが、アルミ電解コンデンサなどの他のコンデンサを使用してもよく、いずれも使用温度範囲が通常の二次電池よりも広く、配置箇所の汎用性を高めることができ、また充放電寿命を高めることができ、保護回路を必要としないなど充放電に関するメリットを享受することができる。なお、蓄電装置として、二次電池を用いてもよいのはもちろんである。
【0038】
図7に戻って説明すると、制御装置40は、スチーマー本体1の制御手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)66と、電磁ポンプ24を駆動させるスイッチング素子67と、ヒータ6をON/OFFさせるリレー回路68と、温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36からの操作信号をマイコン66に送信するSW(スイッチ)回路69と、温度表示ランプ38をON/OFFさせるLED回路70と、受電部5に印加される交流電圧を検知してマイコン66に送信するゼロクロス回路71と、ブザー42をON/OFFさせる報知回路72と、を主に備えて構成される。
【0039】
温度検知手段41はマイコン66の入力側に接続されており、上述したようにベース7の温度を検知してマイコン66に送信している。スイッチング素子67は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などで構成され、電磁ポンプ24と接地ラインGLとの間に接続される。また制御端子となる例えばIGBTのゲートにマイコン66が接続され、マイコン66の出力側から、例えばPMW(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御信号などのパルス駆動信号が送出されて、スイッチング素子8のスイッチング動作に伴い発電装置43から電磁ポンプ24への直流電力を断続させて、電磁ポンプ24を駆動させている。
【0040】
SW回路69は、温度設定/切ボタン35およびスチーム量設定ボタン36と、マイコン66の入力側との間に接続され、温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36が操作されると、その操作信号をマイコン66に送信するものである。またLED回路70は、マイコン66の出力側と、温度表示ランプ38との間に接続され、マイコン66の制御信号に従い温度表示ランプ38のON/OFFを行なうものである。そしてリレー回路68は、マイコン66の制御信号に従いヒータ6のON/OFFを行なうものであり、リレー回路68に含まれるリレーの一次側にマイコン66の出力側が接続され、このリレーの二次側にヒータ6が接続されている。
【0041】
ゼロクロス回路71は、受電部5からの高出力である交流電力からリレー回路68のリレーの接点を保護するために受電部5に印加される交流電圧を検知してマイコン66に送信するものであり、リレー回路68および受電部5の接続点と、マイコン66の入力側との間に接続される。マイコン66は、ゼロクロス回路71からの検出信号に基づき、リレー回路68のリレーに印加される電圧が0VのときにこのリレーのON/OFFが行なわれるように制御信号を送出している。また報知回路72は、マイコン66の出力側と、ブザー42との間に接続され、マイコン66の制御信号に従いブザー42のON/OFFを行なうものである。なお報知回路72が、マイコン66の制御信号に従いブザー42の音声や音色を変更するように構成されてもよい。
【0042】
図9を参照して、プラグユニット2および置台3の構成を説明する。プラグユニット2は、可撓性の電源コード74と、電源コード74の基端に設けられる給電プラグ75と、を主な構成要素とする。図示しないが、電源コード74の先端には、家庭用のコンセントに挿抜が可能な電源プラグが設けられる。本実施形態では、電源コード74付きの給電プラグ75を、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱できる構成となっている。
【0043】
給電プラグ75には、手動操作で給電プラグ75をスチーマー本体1の凹状の受電部5に嵌合可能または嵌合不可能にするコードレス切換スイッチ76が設けられる。コードレス切換スイッチ76は、給電プラグ75の上面側で前後に摺動可能に設けられており、図8に示すような給電プラグ75を置台3に装着した状態では、プラグユニット2をスチーマー本体1から取り外したコードレスの状態で、スチーマー本体1を使用するために、コードレス切換スイッチ76を一側前方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ75との嵌合を解除する。これに対して、置台3から給電プラグ75を取り外し、プラグユニット2をスチーマー本体1に取り付けたコード付きの状態で、スチーマー本体1を使用するためには、コードレス切換スイッチ76を他側後方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ75とを嵌合させる。このとき、給電プラグ75の前側部分はスチーマー本体1の受電部5に装着されるが、コードレス切換スイッチ76を含む給電プラグ75の後側部分は、受電部5に囲まれることなく露出し、ユーザーが何時でもコードレス切換スイッチ76を手動操作できるようになっている。スチーマー本体1の受電部5には、プラグユニット2の給電端子(図示せず)と電気的に接続が可能な一対の受電端子76が設けられる。
【0044】
置台3は、スチーマー本体1の前方を斜め上方向に向けて載置するために、床面Sに対して傾斜して形成された本体載置部78と、本体載置部78の後方に設けられる凹状のプラグ収容部79と、置台3の後部に設けられ、給電プラグ75をプラグ収容部79に装着したときに、置台3の外部に電源コード74を引き出すコード引出部80と、を備えている。給電プラグ75をプラグ収容部79の開放した前側から差し込むと、給電プラグ75がプラグ収容部79に嵌合保持される一方、この状態から給電プラグ75を前側に向けて引抜くと、給電プラグ75とプラグ収容部79との嵌合が解除される構成となっている。
【0045】
給電プラグ75は、前述したコードレス切換スイッチ76の他に、嵌合爪82と、シャッター部材83とを備えている。嵌合爪82は、給電プラグ75の内部に設けたスプリングなどの第1弾性部材により、給電プラグ75の上面部から突出するように常時付勢される。この第1弾性部材の付勢に抗して、コードレス切換スイッチ76を一側前方の「コードレス」側に動かすと、給電プラグ75の上面部からの嵌合爪82の突出長を少なくする構成となっている。これにより、コードレス切換スイッチ76が「コードレス」側にある場合は、給電プラグ75の上面部からの嵌合爪82の突出長が僅かになるため、前述のように給電プラグ75を置台3のプラグ収容部79に収容保持すれば、嵌合爪82に干渉することなく、置台3の本体載置部78に載せたスチーマー本体1の受電部5を、給電プラグ75に抜き差しできるようになり、スチーマー本体1をコードレスで使用することが可能となる。
【0046】
一方、コードレス切換スイッチ76を他側後方の「コード付き」側に動かすと嵌合爪82には第1弾性部材の付勢力だけが作用するため、給電プラグ75の上面部からの嵌合爪82の突出長が、「コードレス」の場合よりも増加する。したがって、コードレス切換スイッチ76が「コード付き」側にある場合に、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ75に差し込むと、第1弾性部材の付勢力により大きく突出した嵌合爪82が、受電部5に形成した受け部(図示せず)に嵌合し、コードレス切換スイッチ76を「コードレス」側に切換えない限り、スチーマー本体1をプラグユニット2が装着したままのコード付きで使用することが可能となる。
【0047】
樹脂製のシャッター部材83は、給電プラグ75の前方に開口形成した一対の給電孔84から、給電プラグ75の内部に設けられた導電性の給電端子(図示せず)が何れも露出しない方向に、同じく給電プラグ75の内部に設けられたトーションバネなどの第2弾性部材(図示せず)で常時付勢される。そして本実施形態では、スチーマー本体1をコードレスまたはコード付きの何れで使用する場合にも、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ75に挿入すると、給電孔84から給電端子が露出するように、第2弾性部材の付勢力に抗してシャッター部材83が回動し、スチーマー本体1の受電端子76が、給電プラグ75の給電孔65Aを挿通して給電端子88に接触する。これにより、家庭用のコンセントからプラグユニット2を介してスチーマー本体1への給電が可能となる。
【0048】
次に、上記構成のスチーマーについて、その動作を説明する。スチーマー本体1に設けられた注水口蓋22を開閉して、所定量の水をタンク組立体17の貯留空間20に収容する。続いて、置台3のプラグ収容部79にプラグユニット2の給電プラグ75を嵌合収容し、その置台3の本体載置部78にスチーマー本体1を載置するか、或いは置台3を用いずに、スチーマー本体1の受電部5に給電プラグ75を差し込んで嵌合させて、家庭用のコンセントから供給される商用電力を、給電プラグ75を介してスチーマー本体1に給電する。
【0049】
給電直後の温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36を操作しない切状態では、商用電力が受電部5経由で発電装置43の電源回路44に供給され、この電源回路44の出力端子からスチーマー本体1の各部に直流電力が送り出される。また電源回路44の別の出力端子から送り出された直流電力により、定電流回路62経由で電気2重層コンデンサ45が自動的に充電される。そのため、発電装置43を充電する際に、例えば温度設定/切ボタン35やスチーム量設定ボタン36などの操作体をユーザーがわざわざ操作する必要がない。また切状態ではヒータ6には通電されないが、電気2重層コンデンサ45の電池残量を温度表示ランプ38若しくは別な表示部に表示させてもよい。
【0050】
図10は、定電流回路62なしで電気2重層コンデンサ45を充電したときの、電気2重層コンデンサ45の電圧の値を示すグラフGと、急速充電回路としての定電流回路62経由で電気2重層コンデンサ45を充電したときの、電気2重層コンデンサ45の電圧の値を示すグラフGを示している。ここで、電気2重層コンデンサ45の静電容量は、4ファラド(F)のものを2つ直列に接続した2ファラドであり、この電気2重層コンデンサ45の電圧が4.2Vまで上昇したときに充電が完了したものとして説明する。またRは基準線であり、目標である1分20秒で4.2Vの電圧値まで充電するために必要な電圧と時間の関係を一次関数で示している。
【0051】
まず定電流回路62なしで電気2重層コンデンサ45を充電したときのグラフGを説明すると、0秒から約50秒までは基準線Rに沿って電気2重層コンデンサ45の電圧が上昇していく一方で、電気2重層コンデンサ45の電圧が閾値Th付近まで上昇し、電荷か蓄えられて電気2重層コンデンサ45の容量が一杯になるに伴い、この電圧の上昇が鈍くなってグラフGが基準線Rから離れていき、電気2重層コンデンサ45の充電速度が低下して飽和してしまう。そのためグラフGで充電が完了となる4.2Vに到達するまでに約10分かかってしまう(図示せず)。
【0052】
次に定電流回路62経由で電気2重層コンデンサ45を充電したときのグラフGを説明すると、0秒から約50秒まではグラフGと同様に、基準線Rに沿って電気2重層コンデンサ45の電圧が上昇していく。そして、この電圧が、電気2重層コンデンサ45において電荷を所定量蓄えた時の電圧の閾値Thを超えるまで上昇したことを定電流回路62の出力電圧から制御部62Aが検知すると、制御部62Aは定電流回路62から所定の電流値で電力が供給されるように定電流回路62を制御するため、電気2重層コンデンサ45の電圧の上昇値がこれまでの基準線Rに沿ったものよりも増加し、グラフGの傾きがこれまでのものよりも急になる。そのため、電荷か蓄えられて電気2重層コンデンサ45の容量が一杯になってきても充電速度が遅くなることなく、グラフGでは約60秒で充電が完了となる4.2Vに到達している。したがって本実施形態の発電回路43では、電気2重層コンデンサ45が蓄えた電荷の量に影響されずに一定の電流で充電でき、電気2重層コンデンサ45の電圧が高い際でも急速に充電することを可能にしている。そのため本実施形態のスチーマーやコードレスアイロンのように充放電のサイクルが短い製品においても短時間で充電でき、また電気2重層コンデンサ45の蓄電容量を増加させた場合でも、充電時間も増加されるという弊害を抑制できる。
【0053】
電気2重層コンデンサ45の電圧が充電完了となる閾値Thである4.2Vまで上昇したことを定電流回路62の出力電圧から制御部62Aが検知すると、制御部62Aは定電流回路62からの電力の供給を停止するように定電流回路62を制御する。そのため、電気2重層コンデンサ45の充電が完了した後も電気2重層コンデンサ45に充電し続けて過充電になることを防止することができる。したがって本実施形態の定電流回路62は、電気2重層コンデンサ45の過充電保護機能も有している。
【0054】
定電流回路62からの電力の供給が停止されると、電気2重層コンデンサ45からの放電が少しずつ行なわれ、この放電された電力がダイオード64経由で、ダイオード63経由の電源回路44からの電力と共にスチーマー本体1の各部に送り出される。また電気2重層コンデンサ45の電圧が再充電を開始する閾値Thにまで低下したことを制御部62Aが検知すると、制御部62Aは定電流回路62から所定の電流値で電力が再度供給されるように定電流回路62を制御し、電気2重層コンデンサ45の電圧が閾値Thである4.2Vに上昇するまで再度充電される。ここで閾値Thは閾値Thよりも少しだけ低い値であることが好ましい。本実施形態では閾値Thの値が4.0Vであり、そのため電気2重層コンデンサ45の充電が完了した後でも、過充電になることを防止しつつ電気2重層コンデンサ45の電圧を充電が完了したときの値付近の4.2V~4.0Vの間に保持することができる。このように定電流回路62は、電気2重層コンデンサ45の電荷の量に対応する電圧に応じた閾値Th、Th、Thに応じて、出力する電力や電流の値を変更しており、すなわち、電気2重層コンデンサ45の電荷の量に応じて電気2重層コンデンサ45の負荷電流を変更している。
【0055】
上記構成のスチーマーについての動作の説明に戻ると、スチーマー本体1を前述のコード付きで使用する場合、切状態から温度設定/切ボタン35を押動操作し、スチームの噴出対象物となる衣類の布地などに合わせた温度を設定すると、スチーマー本体1の内部では、制御装置40のマイコン66は、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が、温度設定/切ボタン35で設定した温度に近付くように、リレー回路68に制御信号を送出してヒータ6を通断電制御し、気化室11を含むベース7を加熱する。ここで電源回路44が、定電流回路62側である別の出力端子からの電力供給を停止して、電気2重層コンデンサ45への充電を終了させてもよい。
【0056】
その後、ヒータ6への通電に伴いベース7がある温度以上に達すると、マイコン66がLED回路70に制御信号を送出し、設定した温度に対応する温度表示ランプ38の中の一つのLEDを点滅動作させるように制御し、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が設定した温度に達したとマイコン66が判断すると、LED回路70に制御信号を送出して、点滅したLEDを点灯動作に切替えるように制御すると共に、報知回路72に制御信号を送出して、ブザー42を所定の時間ONに切替えるように制御する。
【0057】
ここで、ユーザーがスチーム機能を利用する場合は、握り部31を手で握ったまま、スチーム量設定ボタン36を初期位置から指で押動操作すると、SW回路69がスチーム量設定ボタン36の押動位置に応じた操作信号をマイコン66に送出して、スチーム流量が設定される。マイコン66は、SW回路69からの操作信号を受け、また温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合にはスイッチング素子67の制御端子にパルス駆動信号を送出し、設定された流量のスチームがスチーム孔12から噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御する。これにより電磁ポンプ24は、設定されたスチーム流量に対応したタイミングで通断電が繰り返され、タンク組立体17の貯留空間20から吸込管25を通して吸込んだ水を、吐出管26および液体の通路46を通して気化室11に送り出すことが可能となる。したがって、この場合はスチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、加熱された気化室11に水が確実に達してそこで気化され、スチーム本体1の底面からスチーム孔12を通して、衣類の布地などに設定された流量でスチームを噴出することができる。
【0058】
また、ユーザーがドライ機能を利用する場合は、スチーム量設定ボタン36から指を離して、スチーム量設定ボタン36を初期位置に戻すとSW回路69が操作信号の送出を停止し、この操作信号の停止を受けてマイコン66はスイッチング素子67の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断される。したがって、この場合は全てのスチーム孔12からスチームが噴出しないドライスチーマーとして、スチーマー本体1を使用できる。
【0059】
一方、スチーマー本体1をコードレスで使用する場合、消費電力の大きいヒータ6以外は、電気2重層コンデンサ45を電源として、スチーマー本体1の各部をコード付きの場合と同様に動作させることができる。
【0060】
具体的には、スチーマー本体1がコードレスの状態になると、スチーマー本体1の受電部5から給電プラグ75が切り離されて、スチーマー本体1への商用電力の供給が停止し、これにより基板37に搭載された電源回路44の出力端子からの直流電力の供給が停止し、定電流回路62から電気2重層コンデンサ45への充電も停止する。またダイオード63経由の電力の供給も停止するため、ダイオード63のカソードの電位が低下する。そしてこのダイオード63のカソードの電位よりもダイオード64のカソードの電位、すなわち充電された電気2重層コンデンサ45の電位が高くなると、この電気2重層コンデンサ45からダイオード64経由で、基板37に搭載された温度表示ランプ38や、ブザー42や、制御装置40などに動作電力を供給する。これにより動作した制御装置40のマイコン66は、温度設定/切ボタン35で設定したSW回路69からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、前述したLED回路70および報知回路72を制御するための制御信号をそれぞれ送出し、温度表示ランプ38の中の一つのLEDは、電気2重層コンデンサ45から与えられた動作電力により制御信号に従い点灯または点滅動作し、ブザー42は、電気2重層コンデンサ45から与えられた動作電力により制御信号に従いON/OFFする。そのため本実施形態のスチーマー本体1ではコードレスでの使用中にも、電気2重層コンデンサ45からの電力を利用して、スチーマー本体1の動作状態であるベース7の温度を、スチーマー本体1の上面部に設けた温度表示ランプ38で引き続き表示確認でき、またベース7の温度が低下したときにブザー42で報知できるため、ユーザーの使用勝手を向上させることができる。
【0061】
またスチーマー本体1がコードレスの状態で、電気2重層コンデンサ45からダイオード64経由で電磁ポンプ24にも動作電力を供給する。このときスチーム量設定ボタン36を指で押動操作し、SW回路69がスチーム量設定ボタン36の押動位置に応じた操作信号をマイコン66に送出して、スチーム流量が設定されると、マイコン66は、SW回路69からの操作信号を受けてスイッチング素子67の制御端子にパルス駆動信号を送出し、設定された流量のスチームがスチーム孔12から噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御する。これにより電磁ポンプ24は、設定されたスチーム流量に対応したタイミングで通断電が繰り返され、タンク組立体17の貯留空間20から吸込んだ水を吐出管26および液体の通路46を通して気化室11に送り出すことが可能となる。したがって、ベース7の余熱でベース7が液体の気化温度よりも高い場合には、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従いマイコン66がスイッチング素子67の制御端子にパルス駆動信号を送出して電磁ポンプ24の駆動を制御するので、スチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、タンク組立体17の貯留空間20から加熱された気化室11に水が確実に達してそこで気化され、スチーム量設定ボタン36で設定した流量のスチームを、スチーム孔12から噴出させることが可能となる。
【0062】
図11は、スチーマー本体1がコードレスの状態で、電気2重層コンデンサ45の充電が完了した満充電の状態の電圧から電磁ポンプ24のポンプ駆動動作が可能な最低の電圧まで、電磁ポンプ24を最高出力で連続動作させ、そこから電気2重層コンデンサ45を充電したときのグラフを示している。ここで、Vが電気2重層コンデンサ45の電圧の値を示すグラフであり、Vが電磁ポンプ24に印加される電圧の値を示すグラフであり、Wは電気2重層コンデンサ45が供給し、または供給される電力の値を示すグラフである。
【0063】
時間tでスチーム量設定ボタン36を指で押動操作すると、上述のようにスチーム流量が設定され、マイコン66がスイッチング素子67の制御端子にパルス駆動信号を送出して、時間tで、電気2重層コンデンサ45からダイオード64経由で電磁ポンプ24に電力が供給される。したがって時間tから時間tまでの期間Tは、スチーム量設定ボタン36を操作してから電磁ポンプ24がポンプ駆動するまでの期間である。
【0064】
そして電気2重層コンデンサ45がスチーマー本体1の各部に電力を供給し、主に電磁ポンプ24が連続動作するに伴い、電気2重層コンデンサ45の電圧が時間と共に低下し、時間tで電磁ポンプ24に印加される電圧が、ポンプ駆動動作が可能な最低の電圧値である3.5Vまで低下する。したがって時間tから時間tまでの期間Tは、電磁ポンプ24をポンプ駆動させている期間であり、ベース7が設定した温度にまで上昇している場合は、気化室11に水を送り出して気化させ、スチームをスチーム孔12から噴出させることができる期間である。本実施形態のスチーマー本体1では、この期間Tが約23秒であった。なお、この期間Tは、電磁ポンプ24を連続動作させて最大流量のスチームを噴出させることができる期間であり、電磁ポンプ24がマイコン66のパルス駆動信号によるスイッチング素子67での、例えばPWM制御で駆動しているため、通常のスチーム噴出時にはスチームの流量を今回の流量よりも落とすことができ、したがって期間Tを長くして約90秒(1分30秒)の電磁ポンプ24のポンプ駆動時間を確保することができる。このため、本実施形態のスチーマーが実際の使用に耐え得ることが確認できた。
【0065】
電磁ポンプ24に印加される電圧が3.5Vまで低下した後、時間tでスチーマー本体1を置台3の本体載置部78に載置し、置台3のプラグ収容部79にプラグユニット2の給電プラグ75を嵌合収容すると、家庭用のコンセントから供給される商用電力が、給電プラグ75を介して受電部5経由で発電装置43の電源回路44に供給され、この電源回路44の別の出力端子から送り出された直流電力により、定電流回路62経由で電気2重層コンデンサ45が充電される。そして電気2重層コンデンサ45を充電するに伴い、電気2重層コンデンサ45の電圧が時間と共に上昇し、時間tで電気2重層コンデンサ45の電圧、すなわち電磁ポンプ24に印加される電圧が、充電完了となる閾値Thである4.2Vまで上昇する。したがって時間tから時間tまでの期間Tは、電磁ポンプ24のポンプ駆動動作が可能な最低の電圧から電磁ポンプ24の充電完了となる電圧まで電気2重層コンデンサ45を充電させている期間であり、本実施形態のスチーマー本体1では、この期間Tが約3秒であった。
【0066】
スチーマーは短いサイクルで、スチーマー本体1を置台3に載置して電気2重層コンデンサ45を充電することと、置台3からスチーマー本体1を取り外してスチーム噴出するために電磁ポンプ24をポンプ駆動させて電気2重層コンデンサ45を放電することを行なうために、蓄電装置を急速に充電することが重要であり、スチーマー本体1が置台3に載置されてヒータ6が通電され、ベース7が設定した温度にまで加熱される20~30秒の間に蓄電装置の充電が完了する必要がある。本実施形態のスチーマー本体1では、充電時間が短時間で完了する電気2重層コンデンサ45と、急速充電回路としての定電流回路62とを備えることにより、期間Tを大幅に短縮して、ベース7の加熱される時間内に余裕をもって電気2重層コンデンサ45の充電を完了させることができ、本実施形態のスチーマーの優位性が確認できた。
【0067】
図12は、本実施形態のスチーマー本体1の変形例を示している。この変形例では、吸込管25や吐出管を含む電磁ポンプ24に加えて、ベース7が気化温度よりも低い状態で、気化室11に液体が流れ込むのを防止する低温時液体流入防止機構91が液体の通路46に組み込まれる点で、上述した実施形態のスチーマー本体1とは相違している。その他の点では上述した実施形態のスチーマー本体1と同様なので説明を省略する。
【0068】
図12を参照して具体的に説明すると、低温時液体流入防止機構91は、ベース7の温度を感知して変形する感熱応動体としてのバイメタル92と、バイメタル92に応動して液体の通路46を開閉する弁部材93と、を主な構成とする。バイメタル92は、ベース基体8の上面に設けた凹状のバイメタル収納室94に収納され、ベース7が液体の気化温度よりも低い場合は、バイメタル92が復帰状態となって、液体の通路46を閉塞する方向に弁部材93が移動するのに対し、ベース7が液体の気化温度以上になると、バイメタル92が反転状態となって、液体の通路46を開放する方向に弁部材93が移動する。このとき、電磁ポンプ24が動作していれば、スチーマー本体1がどのような姿勢であっても、タンク組立体17からの水が低温時液体流入防止機構47を通して気化室11に強制的に送り出され、気化室11に液体が確実に滴下される構成となっている。
【0069】
次に、上記構成のスチーマーについて、その動作を説明する。切状態から温度設定/切ボタン35を押動操作し、スチームの噴出対象物となる衣類の布地などに合わせた温度を設定すると、スチーマー本体1の内部では、制御装置40のマイコン66は、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が、温度設定/切ボタン35で設定した温度に近付くように、リレー回路68に制御信号を送出してヒータ6を通断電制御し、気化室11を含むベース7を加熱する。その後、ヒータ6への通電に伴いベース7がある温度以上に達すると、ベース基体8のバイメタル収納室94に収納したバイメタル92が反転し、低温時液体流入防止機構91の内部で液体の通路46を開放する方向に弁部材93が移動する。これにより電磁ポンプ24は、タンク組立体17の貯留空間20から吸込管25を通して吸込んだ水を吐出管26を通して送り出した際に、低温時液体流入防止機構91を通して気化室11に送り出すことが可能となる。したがって、ベース7がある温度以上に達するまでは気化室11に水を送り出さず、ある温度以下に低下したときにも気化室11に水を送り出さずにスチーム孔12からの液漏れを防止する、という目的において、マイコン66が温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従って電磁ポンプ24の駆動を制御するというソフト的な構成と併せて、ベース7がある温度以上に達するまではバイメタル92が反転せず、低温時液体流入防止機構91から気化室11に水が送り出されないというハード的な構成も追加することができ、より確実にスチーム孔12からの液漏れを防止することができる。
【0070】
以上のように本実施形態のスチーマーは、液体を内部に貯留するタンクとしてのタンク組立体17と、タンク組立体17の下方に設けられ、加熱手段としてのヒータ6を埋設して備えたベース7と、タンク組立体17からの液体を気化させるために、ヒータ6で加熱された気化室11と、気化室11で気化したスチームを外部に噴出させる噴出部としてのスチーム孔12と、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に配置したコンデンサとしての電気2重層コンデンサ45と、タンク組立体17の液体を気化室11に供給する液体供給部としての電磁ポンプ24と、をスチーマー本体1に備えており、電気2重層コンデンサ45で発生した電力により、基板37に搭載した制御装置40を動作させて、当該制御装置40が電磁ポンプ24の駆動を制御する構成を有している。
【0071】
この場合、電気2重層コンデンサ45をタンク組立体17の底面を形成するタンクベース19よりも高い位置に配置することで、ヒータ6によるベース7の加熱温度の影響により、電気2重層コンデンサ45が劣化するのを防ぐことができる。また、スチーマーひいてはスチーマー本体1への電源供給が無いコードレスの状態でも、電気2重層コンデンサ45で発生した電力を利用して、電磁ポンプ24の駆動を制御することができ、スチーマー本体1をどのような姿勢で使用した場合でも、電磁ポンプ24を駆動させてタンク組立体17から気化室11に液体を強制的に送り出すことで、スチーム孔12からスチームをスムーズに噴出させることができる。そして蓄電装置としてコンデンサを採用することにより、二次電池を採用するよりも安全で、コンパクトで、短時間で充電を完了させることができ、コードレスでスチーマー本体1を使用したときの用途の幅を広げることができる。
【0072】
また本実施形態の電気2重層コンデンサ45は、定電流回路62または定電圧回路により充電され、電気2重層コンデンサ45に充電する際に、電気2重層コンデンサ45の蓄えた電荷の量に影響されずに所定の電流値の一定の電流で充電可能にする構成としている。
【0073】
この場合、電気2重層コンデンサ45の電圧が高い際でも急速に充電することを可能にし、電荷か蓄えられて電気2重層コンデンサ45の容量が一杯になってきても充電速度が遅くならない。
【0074】
また本実施形態の定電流回路62は、定電流回路62の出力電力を制御する制御ICとしての制御部62Aを備え、制御部62Aは、電気2重層コンデンサ45の電荷の量に対応する電圧に応じて、電気2重層コンデンサ45において電荷を所定量蓄えた時の電圧の閾値Th、充電完了となる閾値Th、再充電を開始するThが設けられ、これらの閾値を超えたり達したことを制御部62Aが検知すると、その電荷の量に対応する電圧の閾値Th、Th、Thに応じて、制御部62Aは定電流回路62の出力電力を所定の電流値にしたり停止したりして、この一定の電流を変更可能な構成としており、すなわち、電気2重層コンデンサ45の電荷の量に応じて電気2重層コンデンサ45の負荷電流を変更している。
【0075】
この場合、制御部62Aは充電完了となる閾値Thで定電流回路62からの電力の供給を停止するように定電流回路62を制御することで、電気2重層コンデンサ45の充電が完了した後も電気2重層コンデンサ45に充電し続けて過充電になることを防止することができる。また定電流回路62からの電力供給の停止後、制御部62Aは再充電を開始する閾値Thで定電流回路62から所定の電流値で電力が再度供給されるように定電流回路62を制御することで、電気2重層コンデンサ45の充電が完了した後でも、過充電になることを防止しつつ電気2重層コンデンサ45の電圧を充電完了したときの値である4.2V付近に保持することができる。
【0076】
また本実施形態では、スチーマー本体1の動作状態として、ベース7の温度を検知するセンサ部としての温度検知手段41と、ベース7の温度を表示する表示部としての温度表示ランプ38と、をさらに備え、電気2重層コンデンサ45からの電力を使用して、温度検知手段41による制御装置40の制御駆動で、ベース7の温度に応じてLED回路70を制御して温度表示ランプ38を動作させる構成を有している。
【0077】
この場合、電気2重層コンデンサ45からの電力を制御装置40のマイコン66の駆動に加えて温度表示ランプ38の駆動にも利用でき、スチーマー本体1に電源供給が行われないコードレスの状態でも、スチーマー本体1の動作状態であるベース7の温度をリアルタイムで検知して、その結果を温度表示ランプ38に表示させることでき、ユーザーの使用勝手を向上させることができる。
【0078】
また本実施形態のスチーマーでは、接続時にスチーマー本体1に商用電力を供給するプラグユニット2と、電気2重層コンデンサ45および当該電気2重層コンデンサ45に充電する定電流回路62を有してプラグユニット2がスチーマー本体1と接続されている間に電気2重層コンデンサ45が自動で充電されるように構成される充電回路としての発電装置43と、をさらに備えている。
【0079】
この場合、スチーマー本体1を使用しない未使用時の切状態など、プラグユニット2がスチーマー本体1と接続されている間に電気2重層コンデンサ45が自動的に充電されるので、電気2重層コンデンサ45の充電を普段気にすることなく、スチーム孔12からスチームをスムーズに噴出させることが可能となる。
【0080】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本発明の名称である「スチーマー」は、スチームを噴出して衣類などのしわ伸ばしを行なうあらゆる機器に適用され、例えば本実施形態に示すような離れた位置から衣類へのスチーム噴出を行なうのに適したスチーマーは勿論、ベースの掛け面を衣類に押し当てるアイロン掛けを行ないながらスチーム噴出を行なうのに適したスチームアイロンも含まれる。また、温度検知手段41以外の各種センサ部を利用して、表示部の動作を駆動制御する構成としてもよく、表示部はLEDに限らず、その他の各種表示素子や表示器を利用できる。
【符号の説明】
【0081】
2 プラグユニット
6 ヒータ(加熱手段)
7 ベース
11 気化室
12 スチーム孔(噴出部)
17 タンク組立体(タンク)
24 電磁ポンプ(液体供給部)
38 温度表示ランプ(表示部)
41 温度検知手段(センサ部)
43 発電装置(充電回路)
45 電気2重層コンデンサ(コンデンサ)
62 定電流回路
62A 制御部(制御IC)
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