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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049069
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】アンカー具及びその設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
E04D13/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155102
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】西本 安志
(72)【発明者】
【氏名】西山 啓太郎
(57)【要約】
【課題】表面に防水層を有する設置部位にあと施工でアンカー具を施工するに当たり、下地への漏水を確実に防止できるアンカー具及びその設置構造を提供する。
【解決手段】アンカー具10は、上端側にねじ部12を有し下端側にアンカー部13を有する固定部材11と、固定部材11の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部15とシート状の第1のフランジ部16を有する第1のシール部材14とを備える。設置部位Rにおいて防水層2の一部を除去して下地1を露出させた箇所3に下穴4を穿設し、ここにアンカー部13を埋設して固定部材11を起立状態に固定すると共に、第1のフランジ部16を防水層2の表面に水密的に接着する。上端側のねじ部12を利用して構造物を固定できる。下地1に水が浸入するおそれがなく、又、構造物の荷重が防水層に直接作用しない構造であるため、アンカー具10に変位が生じても防水層2に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位に設置されるアンカー具であって、
少なくとも上端側に雄ねじが形成されたねじ部を有し、下端側に前記下地に埋設されるアンカー部を有する棒状の固定部材と、
前記ねじ部及び前記アンカー部を露出させた状態で前記固定部材の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部、及び、前記第1のスリーブ部の下端に前記固定部材の周囲に広がるように設けられ前記防水層に水密的に接着可能なシート状の第1のフランジ部を有する第1のシール部材とを備える、
アンカー具。
【請求項2】
前記ねじ部及び前記アンカー部のいずれか一方が着脱可能である、請求項1記載のアンカー具。
【請求項3】
下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位にアンカー具を設置するための構造であって、
前記アンカー具は、
少なくとも上端側に雄ねじが形成されたねじ部を有し、下端側に前記下地に埋設されるアンカー部を有する固定部材と、
前記ねじ部及び前記アンカー部を露出させた状態で前記固定部材の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部、及び、前記第1のスリーブ部の下端に前記固定部材の周囲に広がるように設けられ前記防水層に水密的に接着可能なシート状の第1のフランジ部を有する第1のシール部材とを備え、
前記設置部位に前記防水層の一部が除去されて前記下地を露出させた箇所が形成され、
前記設置部位における前記下地を露出させた箇所に前記アンカー部が埋設されて前記固定部材が起立状態に固定され、
前記第1のフランジ部が前記防水層の表面に水密的に接着される、
アンカー具の設置構造。
【請求項4】
前記固定部材の前記アンカー部に雄ねじが形成され、
前記下地における前記防水層の一部が除去されて露出させた箇所に埋設された埋め込みナットを更に含み、
前記アンカー部の前記雄ねじが前記埋め込みナットに螺合されて、前記固定部材が起立状態に固定される、請求項3記載のアンカー具の設置構造。
【請求項5】
下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位に設置されるアンカー具であって、
下端面部に雌ねじが形成された第1のねじ孔部を有し、上端面部に雌ねじが形成された第2のねじ孔部を有し、前記第1のねじ孔部と前記第2のねじ孔部とは連通しない柱状のナット部材と、
前記ナット部材の周面を水密的に覆う第2のスリーブ部、及び、前記第2のスリーブ部の下端に前記ナット部材の周囲に広がるように設けられ前記防水層に水密的に接着可能なシート状の第2のフランジ部を有する第2のシール部材とを備える、
アンカー具。
【請求項6】
下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位にアンカー具を設置するための構造であって、
前記アンカー具は、
下端面部に雌ねじが形成された第1のねじ孔部を有し、上端面部に雌ねじが形成された第2のねじ孔部を有し、前記第1のねじ孔部と前記第2のねじ孔部とは連通しない柱状のナット部材と、
前記ナット部材の周面を水密的に覆う第2のスリーブ部、及び、前記第2のスリーブ部の下端に前記ナット部材の周囲に広がるように設けられ前記防水層に水密的に接着可能なシート状の第2のフランジ部を有する第2のシール部材とを備え、
前記設置部位に前記防水層の一部が除去されて前記下地を露出させた箇所が形成され、
前記設置部位における前記下地を露出させた箇所に下側ボルト部材が起立状態に設けられ、
前記下側ボルト部材に前記第1のねじ孔部が螺合されて前記ナット部材が前記設置部位に固定され、
前記フランジ部が前記防水層の表面に水密的に接着される、
アンカー具の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位に設置されるアンカー具、及び、このアンカー具の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の屋上に太陽光発電設備等の構造物を設置する場合、雨、風、地震等に耐え得る確実な固定手段が求められる。それには、構造物と屋上の床部とをアンカーボルトで機械的に固定するのが一般的である。ここで、屋上の床部を構成するコンクリート等の下地に、防水シートや防水塗料等で防水層が設けられている場合がある。このような防水層を有する設置部位にアンカーボルトを打設すると、防水層に貫通孔を形成することとなり、この部分で防水層の防水機能が損なわれる。
【0003】
上記のような背景から、防水層を有する床部に対しては、アンカーボルトを予め一体的に設けたプレートやコンクリートブロック等を接着剤で直接固着する工法が採用されることがある。
【0004】
或いは、防水層を有する床部にアンカーボルトを打設した後、防水層の貫通部分をコーキング材で防水処理する工法が採用されることもある。
【0005】
又、特許文献1には、次のような基礎用あと施工アンカーが記載されている。コンクリート等の下地に固定した定着用アンカーの雄ねじ部に、筒状ベース部品の雌ねじ孔を螺合させ、筒状ベース部品の先端側にハット部材を載せる。そして、ハット部材の天板部の穴を通して筒状ベース部品の雌ねじ孔に設置物固定用ボルトをねじ込み、筒状ベース部品の先端面と設置物固定用ボルトの回転操作部との間にハット部材を挟んで締め付けることで、ハット部材の接地板部を下地の表面に接地させた状態に固定する。その後、設置物固定用ボルトの突出ボルト部にカバー部材を外挿し、突出ボルト部に螺着したナットと回転操作部との間にカバー部材を挟んで締め付けることで、カバー部材がハット部の先端側を覆うように固定される。この基礎用あと施工アンカーによれば、組み立てが簡単であり、コンクリートの下地に穿設する下穴の大きさを、定着用アンカーを定着し得る最小限の大きさとすることができ、定着用アンカーを定着させる下穴を、筒状ベース部品、ハット部材及びカバー部材で覆うだけなので、施工箇所廻りの防水処理を簡単に短時間で効率良く行える、とされている(特許請求の範囲、発明の効果参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-226095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アンカーボルトと一体化されたプレートやコンクリートブロック等を接着剤で防水層に直接固着する工法には、次のような問題がある。
A)構造物に風や地震等により水平方向の負荷が作用した場合、防水層に剥離力、剪断力が作用し、防水層を破損するおそれがある。
B)構造物の自重及び構造物に作用する荷重がプレートやコンクリートブロック等を介して防水層に直接作用することで、防水層が損傷するおそれがある。
C)アンカーボルトと比較すると、接着剤による固着は、引っ張り力や剪断力に対する強度を得るのが困難であるうえ、コスト及び工期がかかる。
【0008】
一方、防水層におけるアンカーボルトを打設した箇所をコーキング材で防水処理する工法には、次のような問題がある。
D)アンカーボルトのねじ部の谷底までコーキング材を充填するのが難しいため、ねじ部の溝を伝って下地に漏水する可能性がある。
E)防水層との相性によってはコーキング材の付着力が不足して、漏水を招く可能性がある。
F)構造物が風や地震等により変位を生じたとき、アンカーボルトにも変位が発生し、その結果、コーキング材の割れや接着界面での剥離が発生して、防水性能が損なわれるおそれがある。
【0009】
更に、特許文献1の技術には、次のような問題がある。
G)筒状ベース部品の雌ねじ部は貫通しており、この雌ねじ孔と、定着用アンカー及び設置物固定用ボルトの各雄ねじ部との間には防水処理が施されていない。そのため、水が、両者のねじ間の隙間を伝って下地に漏水する可能性が有る。
【0010】
従って本発明の目的は、表面に防水層を有する設置部位にあと施工でアンカー具を施工するに当たり、下地への漏水を確実に防止できるアンカー具及びその設置構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位に設置されるアンカー具であって、少なくとも上端側に雄ねじが形成されたねじ部を有し、下端側に下地に埋設されるアンカー部を有する棒状の固定部材と、ねじ部及びアンカー部を露出させた状態で固定部材の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部、及び、第1のスリーブ部の下端に固定部材の周囲に広がるように設けられ防水層に水密的に接着可能なシート状の第1のフランジ部を有する第1のシール部材とを備えるものである。
【0012】
このように構成すると、アンカー具は、アンカー部を下地に埋設することでねじ部が起立状態となるように固定部材が固定されると共に、第1のシール部材の第1のフランジ部を防水層の表面に接着することにより、防水層におけるアンカー部が貫通する部分の周囲を水密的に閉塞する。固定部材の上端側のねじ部を利用して、所定の構造物等を設置部位上に取り付けることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、ねじ部及びアンカー部のいずれか一方が着脱可能であるものである。
【0014】
このように構成すると、アンカー部が着脱可能な場合、先にアンカー部を設置部位に固定してから、固定部材の主部を固定することができる。ねじ部が着脱可能な場合、先に固定部材の主部を設置部位上に固定してから、ねじ部を取り付けることができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位にアンカー具を設置するための構造であって、アンカー具は、少なくとも上端側に雄ねじが形成されたねじ部を有し、下端側に下地に埋設されるアンカー部を有する固定部材と、ねじ部及びアンカー部を露出させた状態で固定部材の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部、及び、第1のスリーブ部の下端に固定部材の周囲に広がるように設けられ防水層に水密的に接着可能なシート状の第1のフランジ部を有する第1のシール部材とを備え、設置部位に防水層の一部が除去されて下地を露出させた箇所が形成され、設置部位における下地を露出させた箇所にアンカー部が埋設されて固定部材が起立状態に固定され、第1のフランジ部が防水層の表面に水密的に接着されるものである。
【0016】
このように構成すると、アンカー具のアンカー部を下地に埋設することでねじ部が起立状態となるように固定部材が固定されると共に、第1のシール部材の第1のフランジ部を防水層の表面に接着することにより防水層における下地を露出させた箇所の周囲が水密的に閉塞される。固定部材の上端側のねじ部を利用して、所定の構造物を設置部位に取り付けることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、固定部材のアンカー部に雄ねじが形成され、下地における防水層の一部が除去されて露出させた箇所に埋設された埋め込みナットを更に含み、アンカー部の雄ねじが埋め込みナットに螺合されて、固定部材が起立状態に固定されるものである。
【0018】
このように構成すると、アンカー具のアンカー部を下地に埋設した埋め込みナットに螺合することで、固定部材を起立状態に固定することができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位に設置されるアンカー具であって、下端面部に雌ねじが形成された第1のねじ孔部を有し、上端面部に雌ねじが形成された第2のねじ孔部を有し、第1のねじ孔部と第2のねじ孔部とは連通しない柱状のナット部材と、ナット部材の周面を水密的に覆う第2のスリーブ部、及び、第2のスリーブ部の下端にナット部材の周囲に広がるように設けられ防水層に水密的に接着可能なシート状の第2のフランジ部を有する第2のシール部材とを備えるものである。
【0020】
このように構成すると、アンカー具は、設置部位に予め起立状態に設けた下側ボルト部材に、ナット部材の第1のねじ孔部を螺合させることで、設置部位に固定される。第2のシール部材の第2のフランジ部を防水層の表面に接着することにより、設置部位における下側ボルト部材を立設した箇所の周囲を水密的に閉塞する。ナット部材の第2のねじ孔部に上側ボルト部材を螺合させ、これを利用することで所定の構造物等を設置部位に取り付けることができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、下地とその表面に形成された防水層とを有する設置部位にアンカー具を設置するための構造であって、アンカー具は、下端面部に雌ねじが形成された第1のねじ孔部を有し、上端面部に雌ねじが形成された第2のねじ孔部を有し、第1のねじ孔部と第2のねじ孔部とは連通しない柱状のナット部材と、ナット部材の周面を水密的に覆う第2のスリーブ部、及び、第2のスリーブ部の下端にナット部材の周囲に広がるように設けられ防水層に水密的に接着可能なシート状の第2のフランジ部を有する第2のシール部材とを備え、設置部位に防水層の一部が除去されて下地を露出させた箇所が形成され、設置部位における下地を露出させた箇所に下側ボルト部材が起立状態に設けられ、下側ボルト部材に第1のねじ孔部が螺合されてナット部材が設置部位に固定され、フランジ部が防水層の表面に水密的に接着されるものである。
【0022】
このように構成すると、設置部位に予め起立状態に設けた下側ボルト部材にナット部材の第1のねじ孔部を螺合させることで、アンカー具が設置部位に固定される。第2のシール部材の第2のフランジ部を防水層の表面に接着することにより、設置部位における下側ボルト部材を立設した箇所の周囲を水密的に閉塞する。ナット部材の第2のねじ孔部に別の上側ボルト部材を螺合させ、これを利用することで所定の構造物等を設置部位に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、第1のシール部材の第1のスリーブ部が固定部材の周面を水密的に閉塞すると共に、第1のフランジ部が防水層との間を水密的に閉塞するので、設置部位におけるアンカー部を貫通させて防水層の防水機能が失われた箇所に外部から水を到達させることがない。従って、下地に水が浸入するのを確実に防止できる。
【0024】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ねじ部及びアンカー部の一方を着脱可能にしたので、施工状況に応じ、ねじ部又はアンカー部の長さや材質等を変更することが可能となる。
【0025】
請求項3記載の発明によれば、アンカー具の固定部材の周面と第1のスリーブ部との間が水密的に閉塞されると共に、第1のフランジ部と防水層との間が水密的に閉塞されるので、設置部位における下地を露出させて防水層の防水機能が失われた箇所に外部から水を到達させることがない。従って、下地に水を浸入させることのないアンカー具の設置構造を提供することができる。又、アンカー具と防水層とが力学的に独立する構造となるから、アンカー具に荷重が作用したときに、防水層に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、アンカー具の設置作業が容易になる。又、アンカー具の取り外し作業が容易になる。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、第2のシール部材の第2のスリーブ部がナット部材の周面を水密的に閉塞すると共に、第2のフランジ部が防水層との間を水密的に閉塞する。又、第1のねじ孔部と第2のねじ孔部とは非連通なので、この部分での通水が阻止される。従って、設置部位における下側ボルト部材を立設させて防水層の防水機能が失われた箇所に外部から水を到達させることがなく、下地に水が浸入するのを確実に防止することができる。
【0028】
請求項6記載の発明によれば、アンカー具のナット部材の周面と第2のシール部材の第2のスリーブ部との間が水密的に閉塞されると共に、第2のフランジ部と防水層との間が水密的に閉塞される。又、第1のねじ孔部と第2のねじ孔部とは非連通なので、この部分での通水が阻止される。従って、設置部位における下側ボルト部材を立設させて防水層の防水機能が失われた箇所に外部から水を到達させることがないから、下地に水を浸入させることのないアンカー具の設置構造を提供できる。アンカー具は、ナット部材を下側ボルト部材に螺合して固定する構造なので、設置及び取り外しが容易である。又、アンカー具と防水層とが力学的に独立する構造となるから、アンカー具に荷重が作用したときに、防水層に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施の形態に関するものであって、アンカー具のボルト部材と第1のシール部材部とを分解して示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に関するものであって、(A)は防水層を一部除去して下地を露出させた設置部位とアンカー具とを分離して示す斜視図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図5】本発明の第3の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図6】本発明の第4の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図7】本発明の第5の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図8】本発明の第6の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
図9】本発明の第7の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1の実施の形態]
図1図3は本発明の第1の実施の形態に関するものであって、図1はアンカー具のボルト部材と第1のシール部材部とを分解して示す斜視図であり、図2の(A)は防水層を一部除去して下地を露出させた設置部位とアンカー具とを分離して示す斜視図であり、図2の(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す斜視図であり、図3の(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、図3の(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0031】
本実施の形態のアンカー具及びその設置構造は、例えば建築物の屋上等において、躯体を構成するコンクリートの下地1の表面に防水層2が形成された設置部位Rに、太陽光発電装置、ウッドデッキ、貯水槽等の各種構造物を設置するための固定手段として用いられるものである。
【0032】
図面を参照して、アンカー具10は、少なくとも上端側に雄ねじが形成されたねじ部12を有し、下端側に下地1に埋設されるアンカー部13を有する固定部材11と、ねじ部12及びアンカー部13を露出させた状態で固定部材11の周面を水密的に覆う第1のスリーブ部15及び第1のスリーブ部15の下端に固定部材11の周囲に広がるように設けられ防水層2に水密的に接着可能なシート状の第1のフランジ部16を有する第1のシール部材14とを備える。
【0033】
本例では、固定部材11として、全長に雄ねじを形成した全ねじボルト(寸切りボルトとも言う)が使用される。第1のシール部材14の材質としては弾性と防水性とを有するものが採用され、例えばゴムや樹脂素材、アスファルトルーフィング等が使用される。第1のスリーブ部15を固定部材11に水密的に設ける手段としては、加硫接着が用いられる。加硫接着によれば、第1のスリーブ部15で固定部材11のねじ溝を谷底まで充填することができるので、第1のスリーブ部15と固定部材11との間の隙間がなくなり、確実な止水性能を発揮することができる。
【0034】
このアンカー具10を施工するには、設置部位Rの所定領域において防水層2の一部を除去して下地1を露出させた箇所3を形成し、ここに下穴4を穿設する。この時、防水層2を除去する範囲は、第1のフランジ部16で覆い隠すことができ、且つ、第1のフランジ部16と防水層2とが接着する範囲を十分確保できるように設定する。そして、穿設した下穴4にアンカー部13を埋設して、アンカー具10の固定部材11を起立状態に固定すると共に、第1のフランジ部16を防水層2の表面に水密的に接着する。アンカー部13を下穴4内に定着させる手段には、例えば短時間で硬化する合成樹脂を用いたケミカルアンカー(登録商標)や、打ち込み式等の金属系アンカーを状況に応じて使用することができる。第1のフランジ部16を防水層2に接着するための接着剤は、両者の材質を考慮して、接着性能の優れたものが選択される。
【0035】
このようにして設置されたアンカー具10は、上端側のねじ部12を利用することで、所望の構造物を設置部位Rに固定することが可能となる。又、固定部材11の周面と第1のスリーブ部15との間が水密的に閉塞されると共に、第1のフランジ部16と防水層2との間も水密的に閉塞されるので、設置部位Rにおける下地1を露出させて防水層2の防水機能が失われた箇所3に外部から水を到達させることがない。固定部材11の周面と第1のスリーブ部15との間、及び、第1のフランジ部16と防水層2との間の接着面積を広く取れるので、高い水密性が得られるから下地1に水が浸入するおそれを無くすことができる。
【0036】
又、アンカー具10と防水層2とは、力学的に独立する構造となっている。それと同時に、アンカー部13の周囲は防水層2が除去されて第1のフランジ部16が防水層2に接着されない領域となっており、この領域を変位吸収部材として機能させることができる。このため、構造物からの荷重が防水層2に直接作用することが無く、しかも構造物から作用する荷重でアンカー具10に変位が生じたとしても、防水層2に剥離力や剪断力が作用しにくくなるため、安定した止水性能が得られる。又、万一、過大な外力が作用してアンカー具10が破損するような場合でも、防水層2に及ぼす影響を限定的なものにすることが可能である。
【0037】
尚、本例のアンカー具は、ボルト部材に対するシート部材の加硫接着を予め工場で行うことにより、防水性能に対する信頼性が高い製品を提供できる。又、防水層の材質を考慮してシート部材の材質を選択することにより、防水層に悪影響を及ぼすことなく、高い接着力を得ることが可能となる。
【0038】
[第2の実施の形態]
図4は本発明の第2の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0039】
本例は、第1の実施の形態と同種のアンカー具10を固定する手段として、下地1に埋設した埋め込みナット17を使用するものである。即ち、下地1における防水層2の一部を除去した箇所3に形成した下穴5に埋め込みナット17を予め埋設し、これに固定部材11のアンカー部13の雄ねじを螺合させることで、ねじ部12が起立状態となるように固定部材11を固定することができる。
【0040】
本例のアンカー具10の設置構造によれば、固定部材11を埋め込みナット17に螺合させて固定するので、アンカー具10の設置作業が容易である。又、アンカー具10の取り外しも容易に行えるので、必要に応じ、アンカー具10の交換や仕様変更を簡単に行うことができる。
【0041】
[第3の実施の形態]
図5は本発明の第3の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり。(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0042】
本例のアンカー具20は、下端面部に雌ねじが形成された第1のねじ孔部22を有し、上端面部に雌ねじが形成された第2のねじ孔部23を有し、第1のねじ孔部22と第2のねじ孔部23とが連通しないように構成した柱状のナット部材21と、ナット部材21の周面を水密的に覆う第2のスリーブ部25及び第2のスリーブ部25の下端にナット部材21の周囲に広がるように設けられ防水層2に水密的に接着可能なシート状の第2のフランジ部26を有する第2のシール部材24とを備えるものである。ナット部材21に第2のスリーブ部25を水密的に設ける手段としては加硫接着が使用される。
【0043】
このアンカー具20を設置するには、設置部位Rに防水層2の一部を除去して下地1を露出させた箇所3を形成し、この箇所3に穿設した下穴4に例えば全ねじボルトから成る下側ボルト部材27を上端側の一部を突出させて起立状態に埋設する。下側ボルト部材27を埋設する手段としては、機械式、ケミカル式等、公知の手段が使用可能である。そして、下側ボルト部材27に第1のねじ孔部22を螺合させてナット部材21を固定すると共に、第2のシール部材24の第2のフランジ部26を防水層2の表面に水密的に接着する。更に、ナット部材21の第2のねじ孔部23に例えば全ねじボルトから成る上側ボルト部材28を螺合させる。
【0044】
このように構成したアンカー具20の設置構造によれば、ナット部材21の第2のねじ孔部23に螺合させた上側ボルト部材28を利用することで、所定の構造物等を設置部位Rに取り付けることができる。ナット部材21の周面と第2のシール部材24の第2のスリーブ部25との間が水密的に閉塞されると共に、第2のフランジ部26と防水層2との間も水密的に閉塞される。又、第1のねじ孔部22と第2のねじ孔部23とは非連通なので、この部分での通水が阻止される。従って、設置部位Rにおける防水層2を除去した箇所3に、外部から水を到達させることがないから、下地1に水が浸入するのを確実に防止することができる。
【0045】
アンカー具20は、ナット部材21を下側ボルト部材27に螺合して固定する構造であるから、着脱が容易である。このため、アンカー具20のメンテナンスや仕様変更を簡単に行える。アンカー具20と防水層2とが力学的に独立する構造であり、下側ボルト部材27の周囲に、防水層2に接着されない第2のフランジ部26の領域が存在することにより、アンカー具20に荷重が作用して変位が生じたとしても、防水層2に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。このため、安定した防水性能を得ることが可能である。
【0046】
[第4の実施の形態]
図6は本発明の第4の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0047】
本例は、下端面に突出するアンカー部32が予め一体に形成され、上端面部に上面ねじ孔部33が形成された柱状の本体部31aと、この本体部31aに対し着脱可能に設けた上側ボルト部材37とで固定部材31を構成したものである。即ち、本体部31aに螺合される上側ボルト部材37が、固定部材31に対し着脱可能なねじ部38となる。本例のアンカー具30は、この固定部材31と、固定部材31の本体部31aの周面を水密的に覆う第3のスリーブ部35及び第3のスリーブ部35の下端に本体部31aの周囲に広がるように設けられ防水層2に水密的に接着可能なシート状の第3のフランジ部36を有する第3のシール部材34とを備えるものである。本体部31aに第3のスリーブ部35を水密的に設ける手段としては加硫接着が使用される。
【0048】
このアンカー具30を設置するには、設置部位Rに防水層2の一部を除去して下地1を露出させた箇所3を形成し、この箇所3に穿設した下穴4にアンカー部32を埋設して、本体部31aの下端面を、下地1を露出させた箇所3に配置すると共に、第3のフランジ部36を防水層2の表面に水密的に接着する。アンカー部32の埋設手段としてはケミカル式が使用される。そして、本体部31aの上面ねじ孔部33に、例えば全ねじボルトから成る上側ボルト部材37を螺合させる。
【0049】
このように構成したアンカー具30の設置構造によれば、固定部材31の上面ねじ孔部33に螺合させた上側ボルト部材37を利用することで、所定の構造物等を設置部位Rに取り付けることができる。本体部31aの周面と第3のシール部材34の第3のスリーブ部35との間が水密的に閉塞されると共に、第3のフランジ部36と防水層2との間も水密的に閉塞されるので、設置部位Rにおける防水層2を除去した箇所3に、外部から水を到達させることがない。従って、下地2に水が浸入するのを確実に防止できる。又、アンカー具30と防水層2とが力学的に独立する構造であり、本体部31aの周囲に、防水層2に接着されない第3のフランジ部36の領域が存在することにより、アンカー具30に荷重が作用して変位が生じたとしても、防水層2に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。このため、安定した防水性能を得ることが可能である。
【0050】
[第5の実施の形態]
図7は本発明の第5の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0051】
本例は、下端面部に下面ねじ孔部42が形成され、上端面に突出するボルト状の上側ボルト部43が予め一体に形成された柱状の本体部41aと、この本体部41aに対し着脱可能に設けた下側ボルト部材47とで、固定部材41を構成したものである。即ち、本体部41aに螺合される下側ボルト部材47が、固定部材41に対し着脱可能なアンカー部48となる。本例のアンカー具40は、この固定部材41と、固定部材41の本体部41aの周面を水密的に覆う第4のスリーブ部45及び第4のスリーブ部45の下端に本体部41aの周囲に広がるように設けられ防水層2に水密的に接着可能なシート状の第4のフランジ部46を有する第4のシール部材44とを備えるものである。本体部41aに第4のスリーブ部45を水密的に設ける手段としては加硫接着が使用される。
【0052】
このアンカー具40を設置するには、設置部位Rに防水層2の一部を除去して下地1を露出させた箇所3を形成し、この箇所3に穿設した下穴4に例えば全ねじボルトから成る下側ボルト部材47を、上端側の一部を突出させて埋設する。下側ボルト部材47の埋設手段としてはケミカル式、機械式のいずれも使用可能である。この下側ボルト部材47に下面ねじ孔部42を螺合させ、本体部41aの下端面を、下地1を露出させた箇所3に配置して固定すると共に、第4のフランジ部46を防水層2の表面に水密的に接着する。
【0053】
このように構成したアンカー具40の設置構造によれば、固定部材41に設けた上側ボルト部43を利用することで、所定の構造物等を設置部位Rに取り付けることができる。本体部41aの周面と第4のシール部材44の第4のスリーブ部45との間が水密的に閉塞されると共に、第4のフランジ部46と防水層2との間も水密的に閉塞されるので、設置部位Rにおける防水層2を除去した箇所3に、外部から水を到達させることがない。従って、下地1に水が浸入するのを確実に防止できる。又、アンカー具40と防水層2とが力学的に独立する構造であり、本体部41aの周囲に、防水層2に接着されない第4のフランジ部46の領域が存在することにより、アンカー具40に荷重が作用して変位が生じたとしても、防水層2に剥離力や剪断力が作用しにくくなる。このため、安定した防水性能を得ることが可能である。
【0054】
[第6の実施の形態]
図8は本発明の第6の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0055】
本例のアンカー具50は、第1の実施の形態において、固定部材51の全長にわたり雄ねじを形成するのに代えて、中間部に非ねじ部51aを形成したものである。即ち、本例の固定部材51は、中間部にねじを形成しない柱状の非ねじ部51aを有し、その上面部に雄ねじが形成されたねじ部52を有し、下面部にアンカー部53を有する。非ねじ部51aとねじ部52及びアンカー部53とは、一体的に形成されたものでも別部材を組み付けて構成したものでもよい。非ねじ部51aは、円柱状でも六角柱状でも、更にその他の柱状形態であってもよい。
【0056】
第5のシール部材54は、非ねじ部51aの周面を水密的に覆う第5のスリーブ部55及び第5のスリーブ部55の下端に非ねじ部51aの周囲に広がるように設けられ防水層2に水密的に接着可能なシート状の第5のフランジ部56を有している。第5のスリーブ55を固定部材51の非ねじ部51aに水密的に設ける手段としては、加硫接着が用いられる。
【0057】
このアンカー具50の施工手順は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
本例のアンカー具50及びその設置構造によれば、第1の実施の形態の作用・効果に加えて、非ねじ部51aの直径をねじ部52の直径よりも大きく設定することにより、非ねじ部51aの上端面51bを、構造物を設置するために使用する架台等の支持面として使用することができる。
【0059】
[第7の実施の形態]
図9は本発明の第7の実施の形態に関するものであって、(A)は設置部位とアンカー具とを分離して示す断面図であり、(B)はアンカー具を設置部位に設置した状況を示す断面図である。
【0060】
本例は、第1の実施の形態において、第1のシール部材14の第1のフランジ部16における中央部を湾曲させて、その下面中央部に凹部から成る樹脂ポケット14aを形成し、固定部材11のアンカー部13を下穴4にケミカル式で埋設する際に、下地1の表面に溢れ出た合成樹脂Qをこの樹脂ポケット14aに収納するように構成したものである。
【0061】
ケミカル式アンカーでは、合成樹脂Qを下地1の表面に溢れ出させ、それによって下穴4とアンカー部13との隙間が合成樹脂で確実に充填されていることを確認する。但し通常は、表面に溢れた合成樹脂の拭き取り作業を行う必要がある。しかし本例のように構成すれば、固定部材11のアンカー部13を下穴4内へ挿入したときに、下地1の表面に溢れ出た合成樹脂Qを、第1のシート部材14の樹脂ポケット14a内に収納させることができるから、溢れた合成樹脂Qを除去する必要がなくなるという利点が得られる。
【0062】
[その他の実施の形態]
本発明のアンカー具が設置される設置部位は、建築物の屋上の外、屋根、バルコニー、厨房等の防水床、防水壁、道路等、下地の表面に防水層を有するものが対象となる。防水層は一般に塗膜や防水シートで形成されるが、これらに限定されない。
【0063】
上記の各実施の形態において、固定部材及びナット部材の材質は、一般にメッキ等の表面処理がなされた金属が用いられるが、合成樹脂や、複合材料であってもよい。
【0064】
上記の各実施の形態において、第1~第5のシール部材の材質は、不透水性であり、防水層に対する接着性が良好な材質であれば、特に限定されない。設置部位の防水層が防水シートで形成されている場合、これと同一材質としてもよい。
【0065】
上記の各実施の形態において、第1~第5のフランジ部の平面形状は矩形であるが、円形や楕円形等、他の平面形状としてもよい。
【0066】
上記の各実施の形態において、下地の下穴に埋設されるボルト部材のアンカー部及び下側ボルト部材の形態は雄ねじであるが、ねじ以外の適宜の凹凸を有する表面形状としてもよい。
【0067】
第1~第5のスリーブ部を水密的に設ける手段としては、加硫接着以外に、水密性を確保できる接着剤を用いてもよい。或いは、第1~第5のスリーブ部の表面をホースバンドや結束バンド等で緊束することにより、水密性を付与する構造としてもよい。このようにすれば、施工現場において、第1~第5のスリーブ部をボルト部材やナット部材に後付けすることが可能である。
【0068】
第1~第5のフランジ部において、防水層と接着されない部分には、積極的にたるみを持たせることにより、アンカー具に変位が生じたときの可動範囲を広くしてもよい。
【0069】
設置部位における防水層を除去する範囲をできるだけ少なくして、第1~第5のフランジ部が防水層に接着されない領域をわずかとしてもよい。これにより、フランジ部分における防水性をより高めることができる。
【0070】
第4の実施の形態の固定部材は、天地を反転させることにより、第5の実施の形態の固定部材として使用できる場合がある。反対に、第5の実施の形態の固定部材を、天地をひっくり返して、第4の実施の形態の固定部材として使用できる場合がある。
【0071】
第7の実施形態の樹脂ポケットは、第3の実施の形態におけるナット部材、第4及び第5の実施の形態における本体部、第6の実施の形態における第5のシール部材に形成してもよい。
【0072】
尚、本発明のアンカー具は、あと施工に使用する以外に、新規に施工される場合であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
R…設置部位
1…下地
2…防水層
3…箇所
4…下穴
5…下穴
10…アンカー具(第1の実施の形態)
11…固定部材
12…ねじ部
13…アンカー部
14…第1のシール部材
14a…樹脂ポケット
15…第1のスリーブ部
16…第1のフランジ部
17…埋め込みナット
20…アンカー具(第3の実施の形態)
21…ナット部材
22…第1のねじ孔部
23…第2のねじ孔部
24…第2のシール部材
25…第2のスリーブ部
26…第2のフランジ部
27…下側ボルト部材
28…上側ボルト部材
30…アンカー具(第4の実施の形態)
31…固定部材
31a…本体部
32…アンカー部
33…上面ねじ孔部
34…第3のシール部材
35…第3のスリーブ部
36…第3のフランジ部
37…上側ボルト部材
38…ねじ部
40…アンカー具(第5の実施の形態)
41…固定部材
41a…本体部
42…下面ねじ孔部
43…上側ねじ部
44…第4のシール部材
45…第4のスリーブ部
46…第4のフランジ部
47…下側ボルト部材
48…アンカー部
50…アンカー具(第6の実施の形態)
51…固定部材
51a…非ねじ部
51b…上端面
52…ねじ部
53…アンカー部
54…第5のシール部材
55…第5のスリーブ部
56…第5のフランジ部
Q…合成樹脂
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9