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特開2022-49093ルーバー材、天井構造、壁構造及び建物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049093
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ルーバー材、天井構造、壁構造及び建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/36 20060101AFI20220322BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220322BHJP
   E04B 9/16 20060101ALI20220322BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
E04B9/36 100
E04B2/74 541P
E04B9/16 B
E04B9/18 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155129
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 悠樹
(57)【要約】
【課題】建物の天井部や壁部に施工されるルーバー材16を薄型にしても、十分な強度を保つことができ、外力によっても損傷や変形がし難くなるようにする。
【解決手段】建物の天井部に施工されるルーバー材16として、天井部に固定支持されているルーバー下地部材としての野縁6と、表壁部18及び互いに対向する側壁部19,19を有し、裏側部が開放された断面コ字状の角形であり、野縁6に被覆するように取付固定されるルーバー本体17とを備え、ルーバー本体17は火山性ガラス質複層板からなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井部又は壁部に施工されるルーバー材であって、
上記天井部又は壁部に固定支持されているルーバー下地部材と、
表壁部及び互いに対向する側壁部を有し、裏側部が開放された断面コ字状の角形であり、上記ルーバー下地部材に開放側から外嵌合されて該ルーバー下地部材を被覆するように取付固定されるルーバー本体とを備え、
上記ルーバー本体は、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなることを特徴とするルーバー材。
【請求項2】
請求項1のルーバー材において、
ルーバー下地部材は、少なくとも表面と側面とを有する断面矩形状であって、裏側部で天井部又は壁部に固定支持され、
ルーバー本体は、上記ルーバー下地部材に該ルーバー下地部材の表面と両側面とを被覆するように取り付けられていることを特徴とするルーバー材。
【請求項3】
請求項1又は2のルーバー材において、
ルーバー本体は、火山性ガラス質複層板からなることを特徴とするルーバー材。
【請求項4】
請求項2又は3のルーバー材において、
ルーバー下地部材の表面とルーバー本体の表壁部との間に、ルーバー下地部材の表面及びルーバー本体の対向する側壁部により区画される空間部が形成されていることを特徴とするルーバー材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つのルーバー材において、
ルーバー下地部材は、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられていることを特徴とするルーバー材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つのルーバー材が天井部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする天井構造。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つのルーバー材が壁部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする壁構造。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1つのルーバー材が天井部又は壁部に施工されていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバー材、そのルーバー材が施工された天井構造、壁構造及び建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のルーバー材として、例えば特許文献1に示されるように、野縁保持レールに複数の軽鉄製野縁を固定金具を介して固着し、各野縁にその長さ方向に沿って石膏ボード製ルーバー本体を添着したものが知られている。
【0003】
このルーバー材において、野縁はリップ溝状のものであり、ルーバー本体は互い平行な1対の側面板と1つの前面板とからなる断面コ字状である。この断面コ字状のルーバー本体は、長尺平板状の石膏ボードの裏面において、幅方向に離れた位置に互いに平行な2つのV字溝を表面の板紙を残して切り込み、その各V字溝を境に幅方向外側部分を直角に折り返して、そのV字溝の側面(切除面)同士を接着剤により接着することで、断面コ字状に形成され、V字溝間部分が前面板となり、折り返し部分が1対の側面板となっている。そして、ルーバー本体は野縁と開放方向が同じ向きに配置されて、ルーバー本体の側面板が野縁の側面部と直接又は間接的に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6198260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のルーバー材におけるルーバー本体は石膏ボード製である。石膏ボードは芯材としての板状石膏の表裏両側にボード用板紙を貼り付けて、その板紙により板形状を保持しており、V字溝加工の際は、それに伴って裏側の板紙も切除されることとなる。そのため、切除面(V字溝の側面)同士を接着剤で接着したとしても、元の板紙による保持強度を十分に維持することは期待できず、部分的に強度が低下するのは避けられない。従って、この強度を確保するためには、石膏ボード(板状石膏)の厚さを厚くする必要があり、ルーバー材を見付け幅の小さい薄型にすることができず、その見付け幅が大きくなってルーバー材が大型化せざるを得なくなる。
【0006】
しかも、石膏ボードは石膏芯材を板紙により保持しているとはいえ、石膏ボードの強度自体が弱いことから、外力により角形ルーバー材の角部が変形したり欠けたりして損傷することがある。さらに、ルーバー本体と心材との間に空間部(空洞)が形成されている構造では、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受けるので、その荷重によりルーバー本体が空洞を潰すように変形することになり、実用上の問題が生じる。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ルーバー材におけるルーバー本体の構成を改良することにより、ルーバー材を薄型にしても、十分な強度を保つことができ、外力によっても損傷や変形がし難くなるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、ルーバー本体の材料を強度の弱い石膏ボードに代え、強度が大きい火山性ガラス質複層板やそれと同等の強度の材料で構成するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明は、建物の天井部又は壁部に施工されるルーバー材であって、このルーバー材は、上記天井部又は壁部に固定支持されているルーバー下地部材と、表壁部及び互いに対向する側壁部を有し、裏側部が開放された断面コ字状の角形であり、上記ルーバー下地部材に開放側から外嵌合されて該ルーバー下地部材を被覆するように取付固定されるルーバー本体とを備え、このルーバー本体は、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなることを特徴とする。
【0010】
この第1の発明では、ルーバー材は、ルーバー下地部材に被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体を備え、そのルーバー本体は火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなっている。火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFの強度は石膏ボードよりも大きいので、角形のルーバー本体自体の強度が増大する。このことで、ルーバー本体に薄い板材を用いてルーバー材の見付け幅を小さくしたとしても必要な大きさの強度を十分に確保することができ、よってルーバー材の薄型化を実現することができる。
【0011】
また、このように火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるルーバー本体の強度が大きいので、外力により角形ルーバー材の角部が変形したり欠けたりして損傷することは生じ難くなるだけでなく、仮にルーバー本体とルーバー下地材との間に空間部(空洞)が形成されていて、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受ける構造であっても、その荷重によりルーバー本体が空洞を潰すように変形することはなく、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明のルーバー材において、ルーバー下地部材は、少なくとも表面と側面とを有する断面矩形状であって、裏側部で天井部又は壁部に固定支持され、ルーバー本体は、上記ルーバー下地部材に該ルーバー下地部材の表面と両側面とを被覆するように取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
この第2の発明でも、第1の発明と同様の作用効果を奏することができる。また、ルーバー本体がルーバー下地部材に表面と両側面とを被覆するように取り付けられているので、ルーバー下地材がルーバー本体に覆われて外部に露出せず、ルーバー本体のみが露出して見映えの良いルーバー材が得られる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明のルーバー材において、ルーバー本体は、火山性ガラス質複層板からなることを特徴とする。
【0015】
この第3の発明では、ルーバー本体が火山性ガラス質複層板からなるので、強度が大きくて好ましいルーバー材が得られるだけでなく、不燃性を有する火山性ガラス質複層板によりルーバー材に不燃効果を発揮でき、よって不燃性を有する高強度の薄型ルーバー材が得られる。
【0016】
第4の発明は、第2又は第3の発明のルーバー材において、ルーバー下地部材の表面とルーバー本体の表壁部との間に、ルーバー下地部材の表面及びルーバー本体の対向する側壁部により区画される空間部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この第4の発明では、ルーバー本体とルーバー下地材との間に空間部(空洞)が形成されているので、ルーバー材に荷重が入力されると、その荷重をルーバー本体自体で受けることになる。しかし、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるルーバー本体の強度は大きいので、荷重によりーバー本体が空洞を潰すように変形することはなく、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる。
【0018】
第5の発明は、第1~第4の発明のルーバー材において、ルーバー下地部材は、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられていることを特徴とする。
【0019】
この第5の発明では、ルーバー下地部材が、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じであるので、天井部又は壁部に、板材からなる天井材又は壁材を用いた部分と、ルーバー材を用いた部分とを併用して施工する構造であっても、ルーバー下地部材は共通で、それに取付固定される表面材のみを板材からなる天井材又は壁材とルーバー材とに取り付けるだけでよく、施工を容易に行うことができる。
【0020】
第6の発明は天井構造に係り、この天井構造は、第1~第5の発明のいずれか1つのルーバー材が天井部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする。
【0021】
この第6の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度のルーバー材を有し、そのルーバー材の損傷や変形もなく、ルーバー材の角形形状が長期間に亘り安定して維持される天井構造が容易に得られる。
【0022】
第7の発明は壁構造に係り、この壁構造は、第1~第5の発明のいずれか1つのルーバー材が壁部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする。
【0023】
この第7の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度のルーバー材を有し、そのルーバー材の損傷や変形もなく、ルーバー材の角形形状が長期間に亘り安定して維持される壁構造が容易に得られる。
【0024】
第8の発明は建物に係り、この建物は、第1~第5の発明のいずれか1つのルーバー材が天井部又は壁部に施工されていることを特徴とする。
【0025】
この第8の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度を有し、損傷や変形もなくて角形形状が長期間に亘り安定して維持されるルーバー材が天井部又は壁部に施工された建物が容易に得られる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によると、天井部又は壁部に施工されるルーバー材として、ルーバー下地部材に被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体を、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるものとした。このことにより、薄い板材によりルーバー材の見付け幅を小さくしたとしても必要な大きさの強度を十分に確保して、ルーバー材の薄型化を実現することができる。また、外力により角形ルーバー材の角部が損傷することは生じ難く、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受ける構造であっても、その荷重によりルーバー本体が変形することはなく、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係るルーバー材の斜視図である。
図2図2は、ルーバー天井構造が板張り天井構造と併せて施工された天井構造をルーバーの長さ方向から見て示す正面図である。
図3図3は、天井構造を図2に示す方向と直交する方向から見て示す側面図である。
図4図4は、ルーバー天井構造を上側から見て示す斜視図である。
図5図5は、ルーバー本体の断面図である。
図6図6は、ルーバー本体の展開状態を示す断面図である。
図7図7は、ルーバー本体の他の例を示す断面図である。
図8図8は、ルーバー本体の他の例の展開状態を示す断面図である。
図9図9は、ルーバー本体としての火山性ガラス質複層板の特性を石膏ボードと比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0029】
図2及び図3は本発明の実施形態に係る天井構造を示す。この天井構造は、建物内の空間等の天井部に施工されるもので、その一部に板張り天井構造C1が、また残部にルーバー天井構造C2がそれぞれ施工されている。
【0030】
板張り天井構造C1及びルーバー天井構造C2における下地構造は同じであり、この下地構造を図4により説明する。図4において、1は断面コ字状の金属製(例えば薄鉄板製)の長尺材からなる野縁受けで、その断面開口は横側(図4では左下側)に開いている。野縁受け1はハンガー2に係止支持され、ハンガー2は吊りボルト3の下端部に高さ調整可能に連結され、吊りボルト3は上端部で図外のスラブに固定されて該スラブから垂下しており、複数本の野縁受け1,1,…がそれぞれスラブから吊りボルト3,3,…により水平になるように吊り下げられている。
【0031】
上記野縁受け1の下側には複数本の野縁6,6,…が野縁受け1と直交する方向に延びるように互いに平行に配置され、各野縁6は野縁受け1に対し該野縁受け1との交差部分でクリップ8により連結されている。各野縁6は、上側に開いた断面コ字状の金属製(例えば薄鉄板製)の長尺角材からなり、野縁6の上側開口端部にはその開口端部を互いに向かい合う方向に内側に折り曲げてなる2つの引掛け部6a,6aが形成されている。野縁6については後でも説明する。尚、野縁6下部の水平部分には、野縁6の長さ方向に延びる補強用の多数の凹凸条6b(リブ)が折り曲げ加工により形成されている。
【0032】
一方、上記各クリップ8は、縦長形状に切り抜いた金属製(例えば薄鉄板製)の板材をL字状に折り曲げたもので、垂直部8aとその上端に連続する水平部8bとを有し、垂直部8aの下端の幅方向両側にはフック部8c,8cが形成されている。また、水平部8bにおいて垂直部8aと反対側の先端部には複数(図示例では2つ)の係止片8d,8dが一体に形成されている。そして、各クリップ8の下端部が野縁受け1の上側開口端部に挿入され、そのクリップ8が鉛直軸線回りに回されて下端部の2つのフック部8c,8cがそれぞれ野縁6の引掛け部6a,6aに下側から引っ掛けられており、このことでクリップ8に野縁6が吊り下げ状態で連結されている。また、このようにクリップ8に野縁6が連結された状態でクリップ8上側の水平部8bが野縁受け1に載せられて引っ掛けられ、係止片8d,8dが下側に折り曲げられて係止されている。以上により、野縁6が野縁受け1に各クリップ8によって連結されている。尚、野縁受け1において互いに隣り合う位置にある2つのクリップ8,8は、一方が野縁受け1の開口側に位置し、他方が開口と反対側に位置するように互いに逆向きに配置されている。また、各クリップ8の垂直部8aには曲げ強度を保つための凹部からなるリブ8eが形成されている。
【0033】
図2及び図3の左側半部に示すように、上記板張り天井構造C1では、複数の野縁6,6間に石膏ボードからなる複数枚の下張りボード11,11,…が亘り捨て張り材として隙間なく取付固定され、この下張りボード11の下面に板状の複数枚のロックウール等の天井材12,12,…が仕上げ材として隙間なく接着剤やステープル止めにより取付固定されている。板張り天井構造C1の周縁部において、下張りボード11及び天井材12の端部の木口面同士は面一に位置合わせされ、それらの端部には木口面を隠す木口見切り材13が取り付けられている。
【0034】
一方、図2及び図3の右側半部並びに図4に示すように、ルーバー天井構造C2では、細長い角材からなる複数のルーバー材16,16,…が平行に並んで配置されている。このことでルーバー材16,16,…は建物の天井部に部分的に施工されている。
【0035】
尚、図2及び図3に示すように天井部の一部にルーバー天井構造C2を施工するのではなく、天井部の全体にルーバー天井構造C2を施工することもできる。
【0036】
図1に拡大して示すように、各ルーバー材16は、そのルーバー下地部材として上記野縁6を備えている。すなわち、このルーバー下地部材としての野縁6は、下側の表面6cと左右の側面6d,6dとを有する断面矩形状(断面コ字状)であり、上側部(裏側部)で天井部にクリップ8、野縁受け1、ハンガー2及び吊りボルト3により固定支持されていることとなる。また、ルーバー下地部材としての野縁6は、板材からなる天井材12を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられている。
【0037】
各ルーバー材16は、野縁6(ルーバー下地部材)に加え、この野縁6に取り付けられたルーバー本体17を備えている。このルーバー本体17は、上側部(裏側部)が開放された断面コ字状の長尺角材からなり、上記野縁6(ルーバー下地部材)に開放側から外嵌合されて該野縁6をその下側表面6cと両側面6d,6dとを下側から被覆するように取付固定されている。具体的には、図5にも拡大して示すように、ルーバー本体17は、下側に位置する板状の表壁部18と、この表壁部18の幅方向両端部に連続し、該幅方向両端部から上方向(裏方向)に平行に延びて互いに対向する1対の側壁部19,19とからなり、表壁部18と各側壁部19とは両壁部18,19に対し斜め45°に傾斜する接合面20で接合されている。両側壁部19,19の内面(対向面)間の寸法は、野縁6(ルーバー下地部材)の左右側面6d,6d間の寸法よりも僅かに大きく、両側壁部19,19の幅である上下方向の高さは野縁6の左右側面6d,6dの高さよりも大きくなっている。また、ルーバー本体17は、両側壁部19,19の上端部が野縁受け1の下面に当接した状態で野縁6に固定されている。このことで、ルーバー本体17は、表壁部18の幅である見付け幅が小さくて高さの高い薄型の角材状であり、野縁6(ルーバー下地部材)の下側表面6cと左右側面6d,6dとを完全に覆った状態にあり、野縁6の下側表面6cとルーバー本体17の表壁部18との間に、野縁6の表面6c及びルーバー本体17の対向する側壁部19,19により区画される空間部S(空洞)が形成されている。ルーバー本体17の野縁6に対する取付けは、ルーバー本体17の側壁部19内面に塗布された接着剤による接着と、ルーバー本体17の側壁部19の外面から斜め上側に野縁6に打ち込まれる目立ち難くて細い釘による釘打ちとによりなされるが、後者の釘打ちのみであってもよい。上記接着剤としては、酢酸ビニル、エチレン酢ビ、ビニルウレタン、クロロプレンゴム系等が好適に用いられる。尚、ルーバー本体17において、表壁部18と側壁部19との隅角部の外面には面取り部21が形成されている。
【0038】
本発明の特徴として、上記ルーバー本体17は、例えば厚さ6mmの火山性ガラス質複層板(例えば大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)の不燃材料からなる。
【0039】
この火山性ガラス質複層板からなる断面コ字状のルーバー本体17を製造する場合、図6に示すように、例えば厚さ6mmの火山性ガラス質複層板からなる所定幅の長尺平板状の素材30の表面に化粧材としてのシート材31を一体的に接着する。シート材31としては、コート紙、オレフィン、塩ビ、PET、突板等が好適に用いられる。素材30の裏面において、幅方向に離れた位置に互いに平行な溝角度90°の2つのV字溝32,32を表面のシート材31を残して切り込む。また、ルーバー本体17の表壁部18と側壁部19との隅角部に面取り部21を形成するために、上記各V字溝32の底部に該V字溝32とは逆方向(表面方向)に開口する小幅の逆V字溝33が形成される。このことで、展開した状態のルーバー本体17が得られる。
【0040】
このとき、素材30の表面にシート材31が接着されていることで、素材30の裏面にV字溝32及び逆V字溝33が形成されて、素材30が表壁部18となる部分と、側壁部19となる部分に分離されても、それらはシート材31に一体的に保持されたままとなり、散らばることはない。
【0041】
その後、各V字溝32を境に幅方向外側部分を直角に折り返して、そのV字溝32の側面(切除面)同士を接着剤により接着することで、断面コ字状のルーバー本体17が形成される。両V字溝32,32間の部分は表壁部18となり、折り返し部分が1対の側壁部19,19となり、各V字溝32の側面が接合面20となる。
【0042】
断面コ字状のルーバー本体17として、図5に示す構造の他に図7に示す構造のものとしてもよい。この図7の構造のルーバー本体17は、表壁部18と側壁部19とがそれらと平行な方向の接合面20で接着されている。表壁部18及び側壁部19は共に厚さか例えば6mm細長い平板状のものであり、各側壁部19における表壁部18側の内面(対向する側壁部19との対向面)には、該側壁部19の内側角部を段差状に直角に切り欠いてなる収容部23が形成され、この収容部23に上記表壁部18の幅方向端部の裏側角部が部分的に収容されている。表壁部18の表側部分は収容部23に収容されずに側壁部19表側の先端面から表側に突出し、この突出部分と側壁部19の先端面との間に表壁部18及び側壁部19と同じ材料の断面三角形状(詳しくは断面が直角二等辺三角形状)の充填部24が配置され、この充填部24により表壁部18の外表面と側壁部19の外側面とが面取り部24を形成するように連続している。この構造により、側壁部19と表壁部18との接合面20は、側壁部19の収容部23内面と、その収容部23内面に収容される表壁部18の幅方向端部の裏側角部外面とで構成されている。
【0043】
上記図7に示す構造のルーバー本体17を製造する場合、図8に示すように、所定幅を有する細長板状の素材30の表面に化粧用のシート材31を一体的に接着し、その素材30の裏面に、段差状の収容部23と、該収容部23に対し素材30の幅方向中央側に隣接する充填部24とを有する2つの凹条35,35を各充填部24両側で上記シート材31が残るように形成する。このことで、展開した状態のルーバー本体17が得られる。このとき、素材30の表面にシート材31が接着されているので、素材30の裏面に凹条35,35が形成されて、素材30が表壁部18、側壁部19及び充填部24となる部分に分離されても、それらはシート材31に一体的に保持されたままとなる。
【0044】
次いで、上記展開状態のルーバー本体17の各凹条35の内部に接着剤を塗布してから、ルーバー本体17の幅方向両側部を各凹条35における充填部24両側のシート材31にて裏側に直角に折り返し、各凹条35の内面同士を接着剤により接着することで、断面コ字状のルーバー本体17が形成される。凹条35,35間の部分は表壁部18となり、折り返し部分が1対の側壁部19,19となり、各凹条35の内面が接合面となる。
【0045】
尚、ルーバー本体17の製造においては、上記のようにシート材31を用いずに形成することもできる。
【0046】
したがって、この実施形態においては、建物の天井部に部分的にルーバー天井構造C2が施工され、そのルーバー天井構造C2の各ルーバー材16は、野縁受け1に固定支持されたルーバー下地部材としての野縁6と、その野縁6にそれを被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体17を備え、そのルーバー本体17は火山性ガラス質複層板からなっている。このルーバー本体17を構成する火山性ガラス質複層板の強度は石膏ボードよりも大きいので、角形のルーバー本体17の強度が増大する。一般的に、石膏ボードの曲げ強度は4N/mm程度であるのに対し、火山性ガラス質複層板の曲げ強度は8N/mm程度である。図9は、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板(大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)の特性を厚さ9.5mm及び12.5mmの石膏ボードと比較したものであり、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板の曲げ強度は12N/mmとなっているが(軒天井構造における天井材の用途の火山性ガラス質複層板をルーバー本体17に用いた場合)、厚さ9.5mm及び12.5mmの石膏ボードの曲げ強度はいずれも4N/mmである。このように、火山性ガラス質複層板は厚さが石膏ボードよりも薄いにも拘わらず、その3倍程度の曲げ強度を有している。
【0047】
このような火山性ガラス質複層板でルーバー本体17を構成したことにより、ルーバー本体17として薄い板材を用いてルーバー材16の見付け幅を小さくしたとしても、必要な大きさの強度を十分に確保することができるようになる。その結果、ルーバー材16の薄型化を実現することができ、高強度で薄型のルーバー材16が複数本並んだすっきりした外観のルーバー天井構造C2が得られる。
【0048】
また、ルーバー本体17を構成する火山性ガラス質複層板は薄くても不燃性を有する。そのため、図9に示すように、石膏ボードで不燃性能を確保するためには、その厚さを9.5mmから12.5mmに厚くする必要があるのに対し(厚さ9.5mmでは難燃性しか得られない)、火山性ガラス質複層板では6mmの厚さで薄くても不燃性が発揮される。そのため、強度が大きくて薄型のルーバー材16が得られるだけでなく、ルーバー材16に不燃効果を発揮でき、不燃性を有する高強度の薄型ルーバー材16が得られる。
【0049】
また、このように火山性ガラス質複層板からなるルーバー本体17の強度が大きいので、外力により角形ルーバー材16の角部(ルーバー本体17の表壁部18と側壁部19との角部)が変形したり欠けたりして損傷することは生じ難くなる。図9は、火山性ガラス質複層板の割れ性・欠け性を石膏ボードと比較して示しており、火山性ガラス質複層板の方が角部の欠けが生じ難くなっている。
【0050】
しかも、図1に示すように、ルーバー本体17と野縁6(ルーバー下地材)との間に空間部S(空洞)が形成されていると、ルーバー材16に入力された荷重は野縁6及びルーバー本体17の双方ではなく、ルーバー本体17自体で受けることになる。このような構造であっても、荷重を受けたルーバー本体17が変形して空間部S(空洞)が潰れることはなく、ルーバー材16は長期間に亘り安定した角形形状に維持される。
【0051】
尚、火山性ガラス質複層板と石膏ボードとを他の特性について比較すると、図9に示すように、カット性については、火山性ガラス質複層板及び石膏ボードのいずれでも手鋸でカットすることができる。耐凍害性については、火山性ガラス質複層板は凍結融解サイクルを300サイクル繰り返しても問題が発生せず、石膏ボードに比べて耐凍害性が良好である。さらに、石膏ボードは雨水等で溶け出すという問題があるが、火山性ガラス質複層板はそのような溶け出しがなく、屋外暴露性の点で優れている。
【0052】
ルーバー下地部材としての野縁6が、表面6cと側面6d,6dとを有する断面コ字状の角材であり、その野縁6にルーバー本体17が野縁6の表面6cと両側面6d,6dとを被覆するように取り付けられていることから、野縁6がルーバー本体17に覆われて外部に露出せず、ルーバー本体17のみが露出することになる。そのため、見映えの良いルーバー材16ないしはルーバー天井構造C2が得られる。
【0053】
また、図2及び図3に示すように、ルーバー天井構造C2におけるルーバー下地部材としての野縁6は、板張り天井構造C1において、板材からなる天井材12を固定支持する板張り用下地部材としての野縁6と同じであり、ルーバー天井構造C2及び板張り天井構造C1の下地部材は互いに共通の野縁6で構成されている。そのため、天井部に対し、天井材12を用いた板張り天井構造C1のみを施工する構造、ルーバー材16を用いたルーバー天井構造C2のみを施工する構造、或いは図2及び図3に示すように両天井構造C1,C2を併用して施工する構造であっても、共通する同じ野縁6を天井部全体に施工しておいて、必要に応じて一部又は全体を板張り天井構造C1やルーバー天井構造C2に変更し、野縁6に取付固定される表面材のみを天井材12やルーバー材16に切り換えるだけでよくなる。このことによって、天井構造の施工を容易に行うことができる。
【0054】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明を天井部に適用し、ルーバー下地部材としての野縁6にルーバー本体17が取付固定されたルーバー天井構造C2の例である。本発明は、壁部に適用することもでき、ルーバー下地部材にルーバー本体17が取付固定されたルーバー壁構造を得ることもできる。その場合、ルーバー材16が壁部に部分的又は全体に施工されていればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ルーバー本体17を火山性ガラス質複層板で構成している。しかし、石膏ボードよりも高強度の材料であればそれを用いることができ、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。例えば火山性ガラス質複層板の他に、珪酸カルシウム板(ケイカル板)やMDF(中密度繊維板)等であってもよい。珪酸カルシウム板であれば、上記実施形態と同様に不燃性能が発揮される。
【0056】
ケイ酸カルシウム板の材料の曲げ強度は、火山性ガラス質複層板と同程度である。MDFの曲げ強度は、種類によって異なるが、概ね火山性ガラス質複層板やケイ酸カルシウム板よりも大きく、5~12N/mmである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、薄い板材によりルーバー材の見付け幅を小さくしても必要な大きさの強度を十分に確保して、ルーバー材の薄型化を実現することができ、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0058】
C1 板張り天井構造
C2 ルーバー天井構造
1 野縁受け
6 野縁(ルーバー下地部材)
6c 表面
6d 側面
11 下張りボード
12 天井材
16 ルーバー材
17 ルーバー本体
18 表壁部
19 側壁部
S 空間部
30 素材
31 シート材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバー材、そのルーバー材が施工された天井構造、壁構造及び建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のルーバー材として、例えば特許文献1に示されるように、野縁保持レールに複数の軽鉄製野縁を固定金具を介して固着し、各野縁にその長さ方向に沿って石膏ボード製ルーバー本体を添着したものが知られている。
【0003】
このルーバー材において、野縁はリップ溝状のものであり、ルーバー本体は互い平行な1対の側面板と1つの前面板とからなる断面コ字状である。この断面コ字状のルーバー本体は、長尺平板状の石膏ボードの裏面において、幅方向に離れた位置に互いに平行な2つのV字溝を表面の板紙を残して切り込み、その各V字溝を境に幅方向外側部分を直角に折り返して、そのV字溝の側面(切除面)同士を接着剤により接着することで、断面コ字状に形成され、V字溝間部分が前面板となり、折り返し部分が1対の側面板となっている。そして、ルーバー本体は野縁と開放方向が同じ向きに配置されて、ルーバー本体の側面板が野縁の側面部と直接又は間接的に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6198260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のルーバー材におけるルーバー本体は石膏ボード製である。石膏ボードは芯材としての板状石膏の表裏両側にボード用板紙を貼り付けて、その板紙により板形状を保持しており、V字溝加工の際は、それに伴って裏側の板紙も切除されることとなる。そのため、切除面(V字溝の側面)同士を接着剤で接着したとしても、元の板紙による保持強度を十分に維持することは期待できず、部分的に強度が低下するのは避けられない。従って、この強度を確保するためには、石膏ボード(板状石膏)の厚さを厚くする必要があり、ルーバー材を見付け幅の小さい薄型にすることができず、その見付け幅が大きくなってルーバー材が大型化せざるを得なくなる。
【0006】
しかも、石膏ボードは石膏芯材を板紙により保持しているとはいえ、石膏ボードの強度自体が弱いことから、外力により角形ルーバー材の角部が変形したり欠けたりして損傷することがある。さらに、ルーバー本体と心材との間に空間部(空洞)が形成されている構造では、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受けるので、その荷重によりルーバー本体が空洞を潰すように変形することになり、実用上の問題が生じる。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ルーバー材におけるルーバー本体の構成を改良することにより、ルーバー材を薄型にしても、十分な強度を保つことができ、外力によっても損傷や変形がし難くなるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、ルーバー本体の材料を強度の弱い石膏ボードに代え、強度が大きい火山性ガラス質複層板やそれと同等の強度の材料で構成するようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明は、建物の天井部又は壁部に施工されるルーバー材であって、このルーバー材は、上記天井部又は壁部に固定支持されているルーバー下地部材と、表壁部及び互いに対向する側壁部を有し、裏側部が開放された断面コ字状の角形であり、上記ルーバー下地部材に開放側から外嵌合されて該ルーバー下地部材を被覆するように取付固定されるルーバー本体とを備えている。上記ルーバー下地部材は、少なくとも表面と側面とを有する断面矩形状であって、裏側部で天井部又は壁部に固定支持されている。上記ルーバー本体は、上記ルーバー下地部材に該ルーバー下地部材の表面と両側面とを被覆するように取り付けられている。また、ルーバー下地部材の表面とルーバー本体の表壁部との間に、ルーバー下地部材の表面及びルーバー本体の対向する側壁部により区画される空間部が形成されており、ルーバー本体は、該ルーバー本体に入力された荷重により上記空間部が潰れるように変形することをルーバー本体自体で抑制するように火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなることを特徴とする。
【0010】
この第1の発明では、ルーバー材は、ルーバー下地部材に被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体を備え、そのルーバー本体は火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなっている。火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFの強度は石膏ボードよりも大きいので、角形のルーバー本体自体の強度が増大する。このことで、ルーバー本体に薄い板材を用いてルーバー材の見付け幅を小さくしたとしても必要な大きさの強度を十分に確保することができ、よってルーバー材の薄型化を実現することができる。
【0011】
また、このように火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるルーバー本体の強度が大きいので、外力により角形ルーバー材の角部が変形したり欠けたりして損傷することは生じ難くなるだけでなく、仮にルーバー本体とルーバー下地材との間に空間部(空洞)が形成されていて、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受ける構造であっても、その荷重によりルーバー本体が空洞を潰すように変形することはなく、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる
【0012】
また、ルーバー本体がルーバー下地部材に表面と両側面とを被覆するように取り付けられているので、ルーバー下地材がルーバー本体に覆われて外部に露出せず、ルーバー本体のみが露出して見映えの良いルーバー材が得られる。
【0013】
さらに、ルーバー本体とルーバー下地材との間に空間部(空洞)が形成されているので、ルーバー材に荷重が入力されると、その荷重をルーバー本体自体で受けることになる。しかし、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるルーバー本体の強度は大きいので、荷重によりルーバー本体が空洞を潰すように変形することはなく、その変形がルーバー本体自体で抑制されるようになり、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる。
【0014】
の発明は、第の発明のルーバー材において、ルーバー本体は、火山性ガラス質複層板からなることを特徴とする。
【0015】
この第の発明では、ルーバー本体が火山性ガラス質複層板からなるので、強度が大きくて好ましいルーバー材が得られるだけでなく、不燃性を有する火山性ガラス質複層板によりルーバー材に不燃効果を発揮でき、よって不燃性を有する高強度の薄型ルーバー材が得られる
【0016】
の発明は、第1又は第2の発明のルーバー材において、ルーバー下地部材は、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられていることを特徴とする。
【0017】
この第の発明では、ルーバー下地部材が、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じであるので、天井部又は壁部に、板材からなる天井材又は壁材を用いた部分と、ルーバー材を用いた部分とを併用して施工する構造であっても、ルーバー下地部材は共通で、それに取付固定される表面材のみを板材からなる天井材又は壁材とルーバー材とに取り付けるだけでよく、施工を容易に行うことができる。
【0018】
の発明は天井構造に係り、この天井構造は、第1~第の発明のいずれか1つのルーバー材が天井部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする。
【0019】
この第の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度のルーバー材を有し、そのルーバー材の損傷や変形もなく、ルーバー材の角形形状が長期間に亘り安定して維持される天井構造が容易に得られる。
【0020】
の発明は壁構造に係り、この壁構造は、第1~第の発明のいずれか1つのルーバー材が壁部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする。
【0021】
この第の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度のルーバー材を有し、そのルーバー材の損傷や変形もなく、ルーバー材の角形形状が長期間に亘り安定して維持される壁構造が容易に得られる。
【0022】
の発明は建物に係り、この建物は、第1~第の発明のいずれか1つのルーバー材が天井部又は壁部に施工されていることを特徴とする。
【0023】
この第の発明では、見付け幅の小さい薄型でも十分な強度を有し、損傷や変形もなくて角形形状が長期間に亘り安定して維持されるルーバー材が天井部又は壁部に施工された建物が容易に得られる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によると、天井部又は壁部に施工されるルーバー材として、裏側部で天井部又は壁部に固定支持される断面矩形状のルーバー下地材と、そのルーバー下地部材に該ルーバー下地部材の表面と両側面とを被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体とを備えたものとし、ルーバー下地部材の表面とルーバー本体の表壁部との間に空間部を形成し、ルーバー本体を、ルーバー本体に入力された荷重により空間部が潰れるように変形することをルーバー本体自体で抑制するように火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなるものとした。このことにより、薄い板材によりルーバー材の見付け幅を小さくしたとしても必要な大きさの強度を十分に確保して、ルーバー材の薄型化を実現することができる。また、外力により角形ルーバー材の角部が損傷することは生じ難く、ルーバー材に入力された荷重がルーバー本体自体で受ける構造であっても、その荷重によりルーバー本体が変形することはなく、長期間に亘り安定した角形形状を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係るルーバー材の斜視図である。
図2図2は、ルーバー天井構造が板張り天井構造と併せて施工された天井構造をルーバーの長さ方向から見て示す正面図である。
図3図3は、天井構造を図2に示す方向と直交する方向から見て示す側面図である。
図4図4は、ルーバー天井構造を上側から見て示す斜視図である。
図5図5は、ルーバー本体の断面図である。
図6図6は、ルーバー本体の展開状態を示す断面図である。
図7図7は、ルーバー本体の他の例を示す断面図である。
図8図8は、ルーバー本体の他の例の展開状態を示す断面図である。
図9図9は、ルーバー本体としての火山性ガラス質複層板の特性を石膏ボードと比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0027】
図2及び図3は本発明の実施形態に係る天井構造を示す。この天井構造は、建物内の空間等の天井部に施工されるもので、その一部に板張り天井構造C1が、また残部にルーバー天井構造C2がそれぞれ施工されている。
【0028】
板張り天井構造C1及びルーバー天井構造C2における下地構造は同じであり、この下地構造を図4により説明する。図4において、1は断面コ字状の金属製(例えば薄鉄板製)の長尺材からなる野縁受けで、その断面開口は横側(図4では左下側)に開いている。野縁受け1はハンガー2に係止支持され、ハンガー2は吊りボルト3の下端部に高さ調整可能に連結され、吊りボルト3は上端部で図外のスラブに固定されて該スラブから垂下しており、複数本の野縁受け1,1,…がそれぞれスラブから吊りボルト3,3,…により水平になるように吊り下げられている。
【0029】
上記野縁受け1の下側には複数本の野縁6,6,…が野縁受け1と直交する方向に延びるように互いに平行に配置され、各野縁6は野縁受け1に対し該野縁受け1との交差部分でクリップ8により連結されている。各野縁6は、上側に開いた断面コ字状の金属製(例えば薄鉄板製)の長尺角材からなり、野縁6の上側開口端部にはその開口端部を互いに向かい合う方向に内側に折り曲げてなる2つの引掛け部6a,6aが形成されている。野縁6については後でも説明する。尚、野縁6下部の水平部分には、野縁6の長さ方向に延びる補強用の多数の凹凸条6b(リブ)が折り曲げ加工により形成されている。
【0030】
一方、上記各クリップ8は、縦長形状に切り抜いた金属製(例えば薄鉄板製)の板材をL字状に折り曲げたもので、垂直部8aとその上端に連続する水平部8bとを有し、垂直部8aの下端の幅方向両側にはフック部8c,8cが形成されている。また、水平部8bにおいて垂直部8aと反対側の先端部には複数(図示例では2つ)の係止片8d,8dが一体に形成されている。そして、各クリップ8の下端部が野縁受け1の上側開口端部に挿入され、そのクリップ8が鉛直軸線回りに回されて下端部の2つのフック部8c,8cがそれぞれ野縁6の引掛け部6a,6aに下側から引っ掛けられており、このことでクリップ8に野縁6が吊り下げ状態で連結されている。また、このようにクリップ8に野縁6が連結された状態でクリップ8上側の水平部8bが野縁受け1に載せられて引っ掛けられ、係止片8d,8dが下側に折り曲げられて係止されている。以上により、野縁6が野縁受け1に各クリップ8によって連結されている。尚、野縁受け1において互いに隣り合う位置にある2つのクリップ8,8は、一方が野縁受け1の開口側に位置し、他方が開口と反対側に位置するように互いに逆向きに配置されている。また、各クリップ8の垂直部8aには曲げ強度を保つための凹部からなるリブ8eが形成されている。
【0031】
図2及び図3の左側半部に示すように、上記板張り天井構造C1では、複数の野縁6,6間に石膏ボードからなる複数枚の下張りボード11,11,…が亘り捨て張り材として隙間なく取付固定され、この下張りボード11の下面に板状の複数枚のロックウール等の天井材12,12,…が仕上げ材として隙間なく接着剤やステープル止めにより取付固定されている。板張り天井構造C1の周縁部において、下張りボード11及び天井材12の端部の木口面同士は面一に位置合わせされ、それらの端部には木口面を隠す木口見切り材13が取り付けられている。
【0032】
一方、図2及び図3の右側半部並びに図4に示すように、ルーバー天井構造C2では、細長い角材からなる複数のルーバー材16,16,…が平行に並んで配置されている。このことでルーバー材16,16,…は建物の天井部に部分的に施工されている。
【0033】
尚、図2及び図3に示すように天井部の一部にルーバー天井構造C2を施工するのではなく、天井部の全体にルーバー天井構造C2を施工することもできる。
【0034】
図1に拡大して示すように、各ルーバー材16は、そのルーバー下地部材として上記野縁6を備えている。すなわち、このルーバー下地部材としての野縁6は、下側の表面6cと左右の側面6d,6dとを有する断面矩形状(断面コ字状)であり、上側部(裏側部)で天井部にクリップ8、野縁受け1、ハンガー2及び吊りボルト3により固定支持されていることとなる。また、ルーバー下地部材としての野縁6は、板材からなる天井材12を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられている。
【0035】
各ルーバー材16は、野縁6(ルーバー下地部材)に加え、この野縁6に取り付けられたルーバー本体17を備えている。このルーバー本体17は、上側部(裏側部)が開放された断面コ字状の長尺角材からなり、上記野縁6(ルーバー下地部材)に開放側から外嵌合されて該野縁6をその下側表面6cと両側面6d,6dとを下側から被覆するように取付固定されている。具体的には、図5にも拡大して示すように、ルーバー本体17は、下側に位置する板状の表壁部18と、この表壁部18の幅方向両端部に連続し、該幅方向両端部から上方向(裏方向)に平行に延びて互いに対向する1対の側壁部19,19とからなり、表壁部18と各側壁部19とは両壁部18,19に対し斜め45°に傾斜する接合面20で接合されている。両側壁部19,19の内面(対向面)間の寸法は、野縁6(ルーバー下地部材)の左右側面6d,6d間の寸法よりも僅かに大きく、両側壁部19,19の幅である上下方向の高さは野縁6の左右側面6d,6dの高さよりも大きくなっている。また、ルーバー本体17は、両側壁部19,19の上端部が野縁受け1の下面に当接した状態で野縁6に固定されている。このことで、ルーバー本体17は、表壁部18の幅である見付け幅が小さくて高さの高い薄型の角材状であり、野縁6(ルーバー下地部材)の下側表面6cと左右側面6d,6dとを完全に覆った状態にあり、野縁6の下側表面6cとルーバー本体17の表壁部18との間に、野縁6の表面6c及びルーバー本体17の対向する側壁部19,19により区画される空間部S(空洞)が形成されている。ルーバー本体17の野縁6に対する取付けは、ルーバー本体17の側壁部19内面に塗布された接着剤による接着と、ルーバー本体17の側壁部19の外面から斜め上側に野縁6に打ち込まれる目立ち難くて細い釘による釘打ちとによりなされるが、後者の釘打ちのみであってもよい。上記接着剤としては、酢酸ビニル、エチレン酢ビ、ビニルウレタン、クロロプレンゴム系等が好適に用いられる。尚、ルーバー本体17において、表壁部18と側壁部19との隅角部の外面には面取り部21が形成されている。
【0036】
本発明の特徴として、上記ルーバー本体17は、例えば厚さ6mmの火山性ガラス質複層板(例えば大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)の不燃材料からなる。
【0037】
この火山性ガラス質複層板からなる断面コ字状のルーバー本体17を製造する場合、図6に示すように、例えば厚さ6mmの火山性ガラス質複層板からなる所定幅の長尺平板状の素材30の表面に化粧材としてのシート材31を一体的に接着する。シート材31としては、コート紙、オレフィン、塩ビ、PET、突板等が好適に用いられる。素材30の裏面において、幅方向に離れた位置に互いに平行な溝角度90°の2つのV字溝32,32を表面のシート材31を残して切り込む。また、ルーバー本体17の表壁部18と側壁部19との隅角部に面取り部21を形成するために、上記各V字溝32の底部に該V字溝32とは逆方向(表面方向)に開口する小幅の逆V字溝33が形成される。このことで、展開した状態のルーバー本体17が得られる。
【0038】
このとき、素材30の表面にシート材31が接着されていることで、素材30の裏面にV字溝32及び逆V字溝33が形成されて、素材30が表壁部18となる部分と、側壁部19となる部分に分離されても、それらはシート材31に一体的に保持されたままとなり、散らばることはない。
【0039】
その後、各V字溝32を境に幅方向外側部分を直角に折り返して、そのV字溝32の側面(切除面)同士を接着剤により接着することで、断面コ字状のルーバー本体17が形成される。両V字溝32,32間の部分は表壁部18となり、折り返し部分が1対の側壁部19,19となり、各V字溝32の側面が接合面20となる。
【0040】
断面コ字状のルーバー本体17として、図5に示す構造の他に図7に示す構造のものとしてもよい。この図7の構造のルーバー本体17は、表壁部18と側壁部19とがそれらと平行な方向の接合面20で接着されている。表壁部18及び側壁部19は共に厚さか例えば6mm細長い平板状のものであり、各側壁部19における表壁部18側の内面(対向する側壁部19との対向面)には、該側壁部19の内側角部を段差状に直角に切り欠いてなる収容部23が形成され、この収容部23に上記表壁部18の幅方向端部の裏側角部が部分的に収容されている。表壁部18の表側部分は収容部23に収容されずに側壁部19表側の先端面から表側に突出し、この突出部分と側壁部19の先端面との間に表壁部18及び側壁部19と同じ材料の断面三角形状(詳しくは断面が直角二等辺三角形状)の充填部24が配置され、この充填部24により表壁部18の外表面と側壁部19の外側面とが面取り部24を形成するように連続している。この構造により、側壁部19と表壁部18との接合面20は、側壁部19の収容部23内面と、その収容部23内面に収容される表壁部18の幅方向端部の裏側角部外面とで構成されている。
【0041】
上記図7に示す構造のルーバー本体17を製造する場合、図8に示すように、所定幅を有する細長板状の素材30の表面に化粧用のシート材31を一体的に接着し、その素材30の裏面に、段差状の収容部23と、該収容部23に対し素材30の幅方向中央側に隣接する充填部24とを有する2つの凹条35,35を各充填部24両側で上記シート材31が残るように形成する。このことで、展開した状態のルーバー本体17が得られる。このとき、素材30の表面にシート材31が接着されているので、素材30の裏面に凹条35,35が形成されて、素材30が表壁部18、側壁部19及び充填部24となる部分に分離されても、それらはシート材31に一体的に保持されたままとなる。
【0042】
次いで、上記展開状態のルーバー本体17の各凹条35の内部に接着剤を塗布してから、ルーバー本体17の幅方向両側部を各凹条35における充填部24両側のシート材31にて裏側に直角に折り返し、各凹条35の内面同士を接着剤により接着することで、断面コ字状のルーバー本体17が形成される。凹条35,35間の部分は表壁部18となり、折り返し部分が1対の側壁部19,19となり、各凹条35の内面が接合面となる。
【0043】
尚、ルーバー本体17の製造においては、上記のようにシート材31を用いずに形成することもできる。
【0044】
したがって、この実施形態においては、建物の天井部に部分的にルーバー天井構造C2が施工され、そのルーバー天井構造C2の各ルーバー材16は、野縁受け1に固定支持されたルーバー下地部材としての野縁6と、その野縁6にそれを被覆するように取付固定される断面コ字状のルーバー本体17を備え、そのルーバー本体17は火山性ガラス質複層板からなっている。このルーバー本体17を構成する火山性ガラス質複層板の強度は石膏ボードよりも大きいので、角形のルーバー本体17の強度が増大する。一般的に、石膏ボードの曲げ強度は4N/mm程度であるのに対し、火山性ガラス質複層板の曲げ強度は8N/mm程度である。図9は、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板(大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)の特性を厚さ9.5mm及び12.5mmの石膏ボードと比較したものであり、厚さ6mmの火山性ガラス質複層板の曲げ強度は12N/mmとなっているが(軒天井構造における天井材の用途の火山性ガラス質複層板をルーバー本体17に用いた場合)、厚さ9.5mm及び12.5mmの石膏ボードの曲げ強度はいずれも4N/mmである。このように、火山性ガラス質複層板は厚さが石膏ボードよりも薄いにも拘わらず、その3倍程度の曲げ強度を有している。
【0045】
このような火山性ガラス質複層板でルーバー本体17を構成したことにより、ルーバー本体17として薄い板材を用いてルーバー材16の見付け幅を小さくしたとしても、必要な大きさの強度を十分に確保することができるようになる。その結果、ルーバー材16の薄型化を実現することができ、高強度で薄型のルーバー材16が複数本並んだすっきりした外観のルーバー天井構造C2が得られる。
【0046】
また、ルーバー本体17を構成する火山性ガラス質複層板は薄くても不燃性を有する。そのため、図9に示すように、石膏ボードで不燃性能を確保するためには、その厚さを9.5mmから12.5mmに厚くする必要があるのに対し(厚さ9.5mmでは難燃性しか得られない)、火山性ガラス質複層板では6mmの厚さで薄くても不燃性が発揮される。そのため、強度が大きくて薄型のルーバー材16が得られるだけでなく、ルーバー材16に不燃効果を発揮でき、不燃性を有する高強度の薄型ルーバー材16が得られる。
【0047】
また、このように火山性ガラス質複層板からなるルーバー本体17の強度が大きいので、外力により角形ルーバー材16の角部(ルーバー本体17の表壁部18と側壁部19との角部)が変形したり欠けたりして損傷することは生じ難くなる。図9は、火山性ガラス質複層板の割れ性・欠け性を石膏ボードと比較して示しており、火山性ガラス質複層板の方が角部の欠けが生じ難くなっている。
【0048】
しかも、図1に示すように、ルーバー本体17と野縁6(ルーバー下地材)との間に空間部S(空洞)が形成されていると、ルーバー材16に入力された荷重は野縁6及びルーバー本体17の双方ではなく、ルーバー本体17自体で受けることになる。このような構造であっても、荷重を受けたルーバー本体17が変形して空間部S(空洞)が潰れることはなく、ルーバー材16は長期間に亘り安定した角形形状に維持される。
【0049】
尚、火山性ガラス質複層板と石膏ボードとを他の特性について比較すると、図9に示すように、カット性については、火山性ガラス質複層板及び石膏ボードのいずれでも手鋸でカットすることができる。耐凍害性については、火山性ガラス質複層板は凍結融解サイクルを300サイクル繰り返しても問題が発生せず、石膏ボードに比べて耐凍害性が良好である。さらに、石膏ボードは雨水等で溶け出すという問題があるが、火山性ガラス質複層板はそのような溶け出しがなく、屋外暴露性の点で優れている。
【0050】
ルーバー下地部材としての野縁6が、表面6cと側面6d,6dとを有する断面コ字状の角材であり、その野縁6にルーバー本体17が野縁6の表面6cと両側面6d,6dとを被覆するように取り付けられていることから、野縁6がルーバー本体17に覆われて外部に露出せず、ルーバー本体17のみが露出することになる。そのため、見映えの良いルーバー材16ないしはルーバー天井構造C2が得られる。
【0051】
また、図2及び図3に示すように、ルーバー天井構造C2におけるルーバー下地部材としての野縁6は、板張り天井構造C1において、板材からなる天井材12を固定支持する板張り用下地部材としての野縁6と同じであり、ルーバー天井構造C2及び板張り天井構造C1の下地部材は互いに共通の野縁6で構成されている。そのため、天井部に対し、天井材12を用いた板張り天井構造C1のみを施工する構造、ルーバー材16を用いたルーバー天井構造C2のみを施工する構造、或いは図2及び図3に示すように両天井構造C1,C2を併用して施工する構造であっても、共通する同じ野縁6を天井部全体に施工しておいて、必要に応じて一部又は全体を板張り天井構造C1やルーバー天井構造C2に変更し、野縁6に取付固定される表面材のみを天井材12やルーバー材16に切り換えるだけでよくなる。このことによって、天井構造の施工を容易に行うことができる。
【0052】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明を天井部に適用し、ルーバー下地部材としての野縁6にルーバー本体17が取付固定されたルーバー天井構造C2の例である。本発明は、壁部に適用することもでき、ルーバー下地部材にルーバー本体17が取付固定されたルーバー壁構造を得ることもできる。その場合、ルーバー材16が壁部に部分的又は全体に施工されていればよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ルーバー本体17を火山性ガラス質複層板で構成している。しかし、石膏ボードよりも高強度の材料であればそれを用いることができ、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。例えば火山性ガラス質複層板の他に、珪酸カルシウム板(ケイカル板)やMDF(中密度繊維板)等であってもよい。珪酸カルシウム板であれば、上記実施形態と同様に不燃性能が発揮される。
【0054】
ケイ酸カルシウム板の材料の曲げ強度は、火山性ガラス質複層板と同程度である。MDFの曲げ強度は、種類によって異なるが、概ね火山性ガラス質複層板やケイ酸カルシウム板よりも大きく、5~12N/mmである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、薄い板材によりルーバー材の見付け幅を小さくしても必要な大きさの強度を十分に確保して、ルーバー材の薄型化を実現することができ、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0056】
C1 板張り天井構造
C2 ルーバー天井構造
1 野縁受け
6 野縁(ルーバー下地部材)
6c 表面
6d 側面
11 下張りボード
12 天井材
16 ルーバー材
17 ルーバー本体
18 表壁部
19 側壁部
S 空間部
30 素材
31 シート材
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の天井部又は壁部に施工されるルーバー材であって、
上記天井部又は壁部に固定支持されているルーバー下地部材と、
表壁部及び互いに対向する側壁部を有し、裏側部が開放された断面コ字状の角形であり、上記ルーバー下地部材に開放側から外嵌合されて該ルーバー下地部材を被覆するように取付固定されるルーバー本体とを備え、
上記ルーバー下地部材は、少なくとも表面と側面とを有する断面矩形状であって、裏側部で天井部又は壁部に固定支持され、
上記ルーバー本体は、上記ルーバー下地部材に該ルーバー下地部材の表面と両側面とを被覆するように取り付けられ、
上記ルーバー下地部材の表面とルーバー本体の表壁部との間に、ルーバー下地部材の表面及びルーバー本体の対向する側壁部により区画される空間部が形成され、
上記ルーバー本体は、該ルーバー本体に入力された荷重により上記空間部が潰れるように変形することをルーバー本体自体で抑制するように火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板又はMDFからなることを特徴とするルーバー材。
【請求項2】
請求項のルーバー材において、
ルーバー本体は、火山性ガラス質複層板からなることを特徴とするルーバー材。
【請求項3】
請求項1又は2のルーバー材において、
ルーバー下地部材は、板材からなる天井材又は壁材を固定支持する板張り用下地部材と同じものが用いられていることを特徴とするルーバー材。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1つのルーバー材が天井部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする天井構造。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1つのルーバー材が壁部に部分的又は全体に施工されていることを特徴とする壁構造。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つのルーバー材が天井部又は壁部に施工されていることを特徴とする建物。