(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049154
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】信号計測器
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20220322BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20220322BHJP
【FI】
H04B10/079 190
H04B3/46
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155222
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 将和
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA51
5K102AB02
5K102AB07
5K102LA04
5K102LA52
5K102MH07
5K102MH13
5K102MH17
5K102MH22
5K102MH32
5K102PA01
5K102PB01
5K102PH31
5K102RC02
5K102RD05
5K102RD11
5K102RD26
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】送信機側での変調放送信号の変調度及びチャンネルの数をより適切に設定し易くできる信号計測器を提供する。
【解決手段】信号計測器は、抽出部と、第1算出部と、第2算出部と、を備える。抽出部は、各々のチャンネルの放送信号が強度変調された変調放送信号を複数含む放送帯域信号から変調放送信号を抽出する。第1算出部は、各々の変調放送信号の第1変調度を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する。第2算出部は、放送帯域信号に含まれる全ての変調放送信号の第1変調度に基づいて、放送帯域信号の第2変調度を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々のチャンネルの放送信号が強度変調された変調放送信号を複数含む放送帯域信号から前記変調放送信号を抽出する抽出部と、
各々の前記変調放送信号の第1変調度を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する第1算出部と、
前記放送帯域信号に含まれる全ての前記変調放送信号の前記第1変調度に基づいて、前記放送帯域信号の第2変調度を算出する第2算出部と、を備える、信号計測器。
【請求項2】
光伝送路を介して伝送される光信号を電気信号に変換する光電変換部をさらに備え、
前記電気信号は、前記放送帯域信号を含む、請求項1に記載の信号計測器。
【請求項3】
前記電気信号に基づいて前記光信号の光強度を検出する光強度検出部をさらに備える、請求項2に記載の信号計測器。
【請求項4】
前記放送帯域信号は、CATV帯域の周波数を有するCATV帯域信号と、衛星放送帯域の周波数を有する衛星放送帯域信号のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の信号計測器。
【請求項5】
前記変調放送信号を前記放送信号に復調する復調部と、
前記放送信号の信号品質を算出する信号品質算出部と、をさらに備える、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の信号計測器。
【請求項6】
前記信号品質は、CNR、BER,及びMERのうちの少なくともいずれかを含む、請求項5に記載の信号計測器。
【請求項7】
前記信号計測器は携帯可能である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の信号計測器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光信号を介した放送波伝送システムが知られている。この放送波伝送システムでは、たとえば、複数のチャンネルの放送信号が、アンテナ又は同軸ケーブルなどから送信機に供給される。送信機は、各々の放送信号を強度変調した変調放送信号を含む放送帯域信号を光信号に変換し、該光信号を光伝送路に出力する。
【0003】
ここで、変調放送信号の変調度は、放送信号とその搬送信号との振幅比である。変調度の値が大きいほど、変調放送信号の振幅は大きくなり、その了解度(信号品質)も良くなる。但し、変調度が100%を超えると、過変調になり、復調後の放送信号の波形が歪む。そのため、送信機側では、各々の変調放送信号の変調度のみならず、光信号(言い換えると受信側での放送帯域信号)の変調度も過変調にならない程度に、各々の変調放送信号の変調度を設定したり、放送帯域信号に含まれるチャンネルの数を制限したりする必要がある。
【0004】
送信機側では、放送帯域信号の変調度が余裕をもって100%よりも低くなるように、変調放送信号の一律の変調度が設定される。受信側では、設定の都度、たとえば特許文献1に示す手法で光信号を光電変換した電気信号(つまり放送帯域信号)の変調度が測定され、過変調であるか否かが確認される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、光信号を光電変換した電気信号の変調度を測定することしか開示されておらず、該電気信号に複数の放送信号が含まれることを想定していない。そのため、特許文献1の手法を採用しても、送信機側での変調放送信号の変調度及びチャンネルの数を容易には把握できない。従って、受信側での放送帯域信号が過変調とならない程度に、各々の変調放送信号の変調度をできるだけ大きくしたり、放送帯域信号に含まれるチャンネルの数をできるだけ増やしたりすることは難しかった。
【0007】
本発明は、上記の状況を鑑みて、送信機側での変調放送信号の変調度及びチャンネルの数をより適切に設定し易くできる信号計測器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による信号計測器は、各々のチャンネルの放送信号が強度変調された変調放送信号を複数含む放送帯域信号から前記変調放送信号を抽出する抽出部と、各々の前記変調放送信号の第1変調度を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する第1算出部と、前記放送帯域信号に含まれる全ての前記変調放送信号の前記第1変調度に基づいて、前記放送帯域信号の第2変調度を算出する第2算出部と、を備える構成(第1の構成)とされる。
【0009】
上記第1の構成の信号計測器において、光伝送路を介して伝送される光信号を電気信号に変換する光電変換部をさらに備え、前記電気信号は、前記放送帯域信号を含む構成(第2の構成)であってもよい。
【0010】
上記第2の構成の信号計測器において、前記電気信号に基づいて前記光信号の光強度を検出する光強度検出部をさらに備える構成(第3の構成)であってもよい。
【0011】
上記第1~第3のいずれかの構成の信号計測器において、前記放送帯域信号は、CATV帯域の周波数を有するCATV帯域信号と、衛星放送帯域の周波数を有する衛星放送帯域信号のうちの少なくとも一方を含む構成(第4の構成)であってもよい。
【0012】
上記第1~第4のいずれかの構成の信号計測器において、前記変調放送信号を前記放送信号に復調する復調部と、前記放送信号の信号品質を算出する信号品質算出部と、をさらに備える構成(第5の構成)であってもよい。
【0013】
上記第5の構成の信号計測器において、前記信号品質は、CNR、BER,及びMERのうちの少なくともいずれかを含む構成(第6の構成)であってもよい。
【0014】
上記第1~第6のいずれかの構成の信号計測器において、前記信号計測器は携帯可能である構成(第7の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、送信機側での変調放送信号の変調度及びチャンネルの数をより適切に設定し易くできる信号計測器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】放送波伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】信号計測器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0018】
<放送波伝送システム>
放送波伝送システム200は、たとえばFTTH(Fiber To The Home)などの光通信システムであり、送信機220から出力される光信号を光ファイバーを介して各々の受信機に伝送する。放送波伝送システム200は、たとえば、一戸建ての家屋、1棟の集合住宅などに敷設される。
【0019】
図1は、放送波伝送システム200の構成例を示すブロック図である。
図1では、放送波伝送システム200は、CATV放送信号と衛星放送信号とを光信号を用いて、たとえば各家庭のテレビジョン受像機に出力する。なお、以下では、該テレビジョン受像機を「TV装置400」と呼ぶ。
【0020】
図1に示すように、放送波伝送システム200は、チャンネルプロセッサー210と、送信機220と、光伝送路230と、V-ONU(Video Optical Network Unit)240と、を含む。
【0021】
チャンネルプロセッサー210には、たとえば同軸ケーブル(符号省略)を通じてCATV放送の受信信号が入力される。また、衛星放送受信アンテナ300から衛星放送波の受信信号が入力される。本実施形態では、衛星放送受信アンテナ300が受信する衛星放送波は、BS(broadcasting satellite)放送波と、CS(communications satellite)放送波と、を含む。また、BS放送波及びCS放送波はそれぞれ、右旋円偏波の放送波と、左旋円偏波の放送波と、を含む。なお、CATV放送及び衛星放送の受信信号に含まれる各々のチャンネルの放送信号は、強度変調された信号である。以下では、強度変調された放送信号を「変調放送信号」と呼び、強度変調された信号の変調度を「変調度」と呼ぶ。
【0022】
チャンネルプロセッサー210は、CATV放送及び衛星放送の受信信号から、TV装置400に伝送するCATV放送及び衛星放送のチャンネルを選択する。なお、チャンネルは、たとえば、チャンネルプロセッサー210の操作部(図示省略)での操作入力に基づいて選択できる。チャンネルプロセッサー210はさらに、選択した全ての変調放送信号を混合して、送信機220に出力する。なお、以下では、選択した全ての変調放送信号を含む信号を放送帯域信号と呼ぶ。
【0023】
送信機220は、ブースター221と、E/O変換器222と、を有する。ブースター221は、放送帯域信号を増幅する。さらに、E/O変換器222は、放送帯域信号を光信号に変換する。該光信号は、本実施形態では波長が1578nmのレーザ光であり、光出力端子(図示省略)から光伝送路230に出力される。
【0024】
なお、E/O変換器222は、たとえば、送信機220の操作部(図示省略)での操作入力に基づいて、増幅された放送帯域信号に含まれる各々のチャンネルの変調放送信号の信号強度を個別に調節することにより、各々のチャンネルの変調放送信号の変調度を調節できる。この場合、E/O変換器222は、調節済み変調放送信号を含む放送帯域信号を光信号に変換する。
【0025】
光伝送路230は、本実施形態では光ファイバーである。光伝送路230の一方端には送信機220が接続され、他方端には光出力端子231が設けられる。光伝送路230は、送信機220から出力された光信号を伝送する。光出力端子231は、
図1に示すように、V-ONU240、後述する信号計測器100などに接続可能である。
【0026】
V-ONU240は、O/E変換器であり、光伝送路230の光出力端子231から出力される光信号を光電変換して、TV装置400などに出力する。V-ONU240から出力される電気信号には、CATV放送及び衛星放送の放送信号が含まれる。TV装置400では、CATV放送及び衛星放送のチャンネルが選局されて、選局された放送が視聴される。
【0027】
なお、本実施形態の放送波伝送システム200では、送信機220は単数である。但し、この例示に限定されず、送信機220は複数であってもよい。この場合、光伝送路230の出力端には、WDM(Wavelength Division Multiplexing)フィルタが接続される。WDMフィルタは、光伝送路230により伝送される複数の光信号から特定の光信号(つまり、TV装置400用の放送帯域信号を含む光信号)を分離して光出力端子231に出力する。
【0028】
<信号計測器>
信号計測器100は、ハンディタイプのチェッカーである。信号計測器100は、光伝送路230の光出力端子231に接続することにより、放送波伝送システム200で伝送される光信号を直接に読み取ることができ、光信号の信号レベル(つまり光強度)と、該光信号により伝送された放送信号の信号レベル、変調度、及び信号品質などを測定できる。なお、信号計測器100は、従来の同軸ケーブルを用いた有線の伝送システムにも接続可能であり、有線の伝送システムで伝送された放送信号の信号レベル、変調度、及び信号品質なども測定できる。
【0029】
図2は、信号計測器100の正面図である。
図3は、信号計測器100の構成例を示すブロック図である。
【0030】
信号計測器100は、
図2に示すように、筐体101と、光接続部102と、同軸ケーブル接続部103と、表示部104と、操作部105と、バッテリーBTと、を備える。
【0031】
光接続部102及び同軸ケーブル接続部103は、筐体101の上端部に設けられる接続端子である。光接続部102には、光伝送路230の光出力端子231を直接に接続することが可能である。この際、信号計測器100には、光接続部102を介して、光信号が入力される。同軸ケーブル接続部103には、たとえば有線の伝送システムの同軸ケーブル或いはその出力端子が接続可能である。この際、信号計測器100には、同軸ケーブル接続部103を介して、有線の伝送システムで伝送された放送帯域信号が入力される。
【0032】
表示部104及び操作部105は、筐体101に設けられる。表示部104は、たとえば液晶ディスプレイである。表示部104は、たとえば、上述の光信号の光強度及びその変調度M、該光信号に含まれるCATV帯域信号及び衛星放送帯域信号の各々の変調度Ma,Mb、CATV帯域信号及び衛星放送帯域信号に含まれる各々のチャンネルの変調放送信号の変調度ma1~max,mb1~mby、各々の変調放送信号を復調した放送信号の信号レベル及びその信号品質(たとえば、CNR、BER、MER)などを表示できる。なお、これらの詳細は後に説明する。操作部105は、ユーザの操作入力を受け付ける。なお、操作部105は、本実施形態では、複数の操作ボタンを有する機械式であるが、この例示に限定されず、表示部104と一体化されたタッチパネルであってもよい。
【0033】
バッテリーBTは、信号計測器100に内蔵された電源部であり、信号計測器100の各々の構成部に電源を供給する。バッテリーBTは、充放電可能な二次電池であり、本実施形態ではリチウムイオン電池である。但し、本実施形態に限定されず、バッテリーBTには、乾電池などの一次電池が採用されてもよい。
【0034】
信号計測器100は、携帯可能であり、バッテリーBTで駆動する。そのため、信号計測器100は、場所の制限をあまり受けることなく、使用することができる。
【0035】
また、信号計測器100は、
図3に示すように、光電変換部11と、増幅器12と、スイッチSWと、分配器2と、フィルタ31,32と、チューナーIC4と、復調IC5と、メモリ6と、マイコン7と、電気抵抗R1,R2と、を備える。これらは、筐体101の内部に収容される。なお、本実施形態では、信号計測器100のチューナーIC4、復調IC5、及びマイコン7は、別個の構成要素である。但し、この例示に限定されず、これらのうちの少なくとも2つは、同一の構成要素であってもよい。
【0036】
光電変換部11は、光伝送路230を介して伝送される光信号を電気信号に変換する。該電気信号は、放送帯域信号を含む。信号計測器100が光電変換部11を内蔵することにより、別体のV-ONUを介することなく、直接に光信号を読み取って、放送帯域信号の変調度、及び、光信号により伝送される放送信号の信号レベル、変調度、及び信号品質などを簡便に測定できる。従って、信号計測器100の作業性を向上できる。さらに、従来のレベルチェッカーのようにたとえばV-ONU240の出力端子に接続して測定しなくてもよいので、V-ONU240の不良などに起因する測定結果の問題発生を防止できる。従って、信号計測器100の測定精度を向上できる。
【0037】
本実施形態では、光電変換部11は、フォトダイオードを含み、光接続部102から入射する光(つまり光伝送路230にて伝送される光信号)を電気信号に光電変換する。フォトダイオードのカソードは、電源電圧VCCに接続されている。フォトダイオードのアノードは、電気抵抗R1を介して接地されている。
【0038】
また、フォトダイオードのアノードは、たとえば100kΩの電気抵抗R2を介してマイコン7に接続される。つまり、フォトダイオードから出力される光電変換電流の電圧信号が、電気抵抗R2を介してマイコン7に出力される。なお、マイコン7に出力された電圧信号については、後に説明する。
【0039】
さらに、フォトダイオードのアノードは、増幅器12に接続される。増幅器12は、光電変換部11から出力される電気信号を増幅する。増幅された電気信号は、コンデンサC1を介してスイッチSWに出力される。なお、増幅された電気信号の直流成分はコンデンサC1で除去され、スイッチSWには増幅された電気信号の交流成分が入力される。
【0040】
スイッチSWは、2つの入力端のうちのどちらかを分配器2に接続する。スイッチSWの一方の入力端は、コンデンサC1を介して増幅器12及び光電変換部11と接続される。この一方の入力端には、放送波伝送システム200から光信号により伝送された放送帯域信号を含む電気信号の交流成分が入力される。また、スイッチSWの他方の入力端は、コンデンサC2を介して同軸ケーブル接続部103と接続される。この他方の入力端には、有線の伝送システムから伝送された放送帯域信号が入力される。スイッチSWにおける入力端の切り替えは、たとえば操作部105で受け付けられた操作入力に基づいて実施可能である。
【0041】
分配器2は、スイッチSWから出力された信号を第1信号と第2信号とに分配する。第1信号は、増幅器(図示省略)で増幅された後、フィルタ31に出力される。第2信号は、増幅器(図示省略)で増幅された後、フィルタ32に出力される。
【0042】
フィルタ31,32は、バンドパスフィルタであり、分配器2及びチューナーIC4間にそれぞれ個別に接続される。フィルタ31は、第1信号からCATV帯域の周波数を有するCATV帯域信号を抽出し、チューナーIC4に出力する。フィルタ32は、第2信号から衛星放送帯域の周波数を有する衛星放送帯域信号を抽出し、チューナーIC4に出力する。
【0043】
チューナーIC4は、抽出部41と、算出部42と、を有する。言い換えると、信号計測器100は、抽出部41と、算出部42と、をさらに備える。なお、本実施形態では、抽出部41及び算出部42は、チューナーIC4の機能的な構成要素である。但し、この例示に限定されず、これらのうちの少なくとも一方は、電気回路、装置などの物理的な構成要素であってもよい。
【0044】
抽出部41は、各々のチャンネルの放送信号が強度変調された変調放送信号を複数含む放送帯域信号から該変調放送信号を抽出する。たとえば、抽出部41は、CATV帯域信号及び衛星放送帯域信号をアナログからデジタルに変換し、変換後のデジタル信号から、これらに含まれる全てのチャンネルの変調放送信号を抽出し、復調IC5に出力する。
【0045】
算出部42は、抽出部41で抽出された変調放送信号の信号レベルをそれぞれ算出する。さらに、算出部42は、各々の変調放送信号の変調度を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する。なお、前述の如く、変調放送信号はそれぞれ、各々のチャンネルの放送信号が強度変調された信号である。たとえば、算出部42は、CATV帯域信号に含まれる各々のチャンネルの変調放送信号の変調度ma1~max[%](xは、1以上の正の整数)を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する。同様に、算出部42は、衛星放送帯域信号に含まれる各々のチャンネルの変調放送信号の変調度mb1~mby[%](yは、1以上の正の整数)を該変調放送信号の信号レベルに基づいて算出する。これらの変調度ma1~max,mb1~mbyは、該変調放送信号のチャンネルと関連付けられて、マイコン7に出力される。
【0046】
復調IC5は、変調放送信号を放送信号に復調する復調部である。復調IC5は、抽出部41で抽出された変調放送信号を復調して、マイコン7に出力する。
【0047】
メモリ6は、電力供給が停止しても記憶を維持する非一過性の記憶媒体である。メモリ6は、たとえば、信号計測器100の各構成部で使用されるプログラム及び情報を記憶する。
【0048】
マイコン7は、メモリ6に記憶されたプログラム及び情報に基づいて、信号計測器100を制御する制御部である。マイコン7は、変調度算出部71と、信号品質算出部72と、を有する。言い換えると、信号計測器100は、変調度算出部71と、信号品質算出部72と、をさらに備える。
【0049】
変調度算出部71は、変調度Ma,Mb,Mを算出する。変調度Ma[%]は、CATV帯域信号の強度変調度である。変調度Mb[%]は、衛星放送帯域信号の強度変調度である。変調度M[%]は、光電変換部11から出力される電気信号に含まれる放送帯域信号の強度変調度である。なお、変調度Ma,Mb,Mのうちの少なくともいずれかは、チューナーIC4の算出部42で算出されてもよい。
【0050】
たとえば、変調度算出部71は、CATV帯域信号に含まれる全てのチャンネルの変調放送信号の変調度m
a1~m
axに基づいて、CATV帯域信号の変調度M
aを算出する。たとえば、変調度M
aは、下記の式1の如く、抽出部41にてCATV帯域信号から抽出された全てのチャンネルの変調放送信号の変調度m
a1~m
axをそれぞれ二乗し、その総和の平方根を算出することで求めることができる。なお、N
aは、CATV帯域信号に含まれるチャンネルの総数である。
(式1)
【0051】
こうすれば、信号計測器100によって、CATV帯域のチャンネルの変調放送信号の変調度ma1~maxと、該チャンネルの数xと、CATV帯域信号の変調度Maとを個別且つ同時に把握できる。従って、放送波伝送システム200のチャンネルプロセッサー210及び送信機220、又は同軸ケーブル接続部103と接続される有線の伝送システムの送信局において、CATV帯域のチャンネルの変調放送信号の変調度、チャンネルの数xなどがより適切に設定し易くなる。たとえば、送信側において所定のチャンネルの変調放送信号の変調度を変更したり、受信側に伝送するCATV帯域のチャンネルの数を増減させたりした場合に、受信側でCATV帯域信号の変調度Maがどのように変化するのかを明確且つ精度良く把握できる。従って、放送波伝送システム200などでのCATV帯域の放送信号の伝送に係る運用・設計がし易くなる。
【0052】
また、変調度算出部71は、衛星放送帯域信号に含まれる全てのチャンネルの放送信号の変調度m
b1~m
byに基づいて、衛星放送帯域信号の変調度M
bを算出する。たとえば、変調度M
bは、下記の式2の如く、抽出部41にて衛星放送帯域信号から抽出された全てのチャンネルの放送信号の変調度m
b1~m
byをそれぞれ二乗し、その総和の平方根を算出することで求めることができる。なお、N
bは、衛星放送帯域信号に含まれるチャンネルの総数である。
(式2)
【0053】
こうすれば、信号計測器100によって、衛星放送帯域のチャンネルの変調放送信号の変調度mb1~mbyと、該チャンネルの数yと、衛星放送帯域信号の変調度Mbとを個別且つ同時に把握できる。従って、放送波伝送システム200のチャンネルプロセッサー210及び送信機220、又は同軸ケーブル接続部103と接続される有線の伝送システムの送信局において、衛星放送帯域のチャンネルの変調放送信号の変調度、チャンネルの数yなどがより適切に設定し易くなる。たとえば、送信側において所定のチャンネルの変調放送信号の変調度を変更したり、受信側に伝送する衛星放送帯域のチャンネルの数を増減させたりした場合に、受信側で衛星放送帯域信号の変調度Mbがどのように変化するのかを明確且つ精度良く把握できる。従って、放送波伝送システム200などでの衛星放送帯域の放送信号の伝送に係る運用・設計がし易くなる。
【0054】
また、変調度算出部71は、放送帯域信号に含まれる全ての放送信号の変調度m
a1~m
ax及びm
b1~m
byに基づいて、該電気信号に含まれる放送帯域信号の変調度Mを算出する。たとえば、変調度Mは、下記の式3の如く、抽出部41にて抽出された全てのチャンネルの放送信号の変調度m
a1~m
ax及びm
b1~m
byをそれぞれ二乗し、その総和の平方根を算出することで求めることができる。
(式3)
【0055】
こうすれば、信号計測器100によって、放送帯域信号に含まれるチャンネルの変調放送信号の変調度ma1~max及びmb1~mbyと、該チャンネルの数(x+y)と、放送帯域信号の変調度Mとを個別且つ同時に把握できる。従って、放送波伝送システム200のチャンネルプロセッサー210及び送信機220、又は同軸ケーブル接続部103と接続される有線の伝送システムの送信局において、放送帯域信号に含まれるチャンネルの変調放送信号の変調度、チャンネルの数(x+y)などがより適切に設定し易くなる。たとえば、送信側において所定のチャンネルの変調放送信号の変調度を変更したり、受信側に伝送する衛星放送帯域のチャンネルの数を増減させたりした場合に、受信側で放送帯域信号の変調度Mがどのように変化するのかを明確且つ精度良く把握できる。従って、放送波伝送システム200などでの放送帯域の放送信号の伝送に係る運用・設計がし易くなる。
【0056】
なお、変調度Ma,Mb,Mは、たとえばユーザの操作入力に応じた時点の値が算出されてもよいし、リアルタイムに算出されてもよい。これらは、メモリ6に格納可能であり、たとえばユーザの操作入力に応じた時点又はリアルタイムで表示部104に表示可能である。
【0057】
信号品質算出部72は、各々のチャンネルの放送信号の信号品質を算出する。信号品質は、たとえば、CNR(Carrier-to-Noise Ratio)、BER(Bit Error Rate)、及びMER(Modulation Error Rate)などである。或いは、これらのうちのいずれかであってもよい。信号品質は、たとえばユーザの操作入力に応じた時点の値が算出されてもよいし、リアルタイムに算出されてもよい。これらは、メモリ6に格納可能であり、たとえばユーザの操作入力に応じた時点又はリアルタイムで表示部104に表示可能である。
【0058】
次に、マイコン7は、A/D変換部73と、光強度検出部74と、をさらに有する。信号計測器100は、A/D変換部73と、光強度検出部74と、をさらに備える。
【0059】
A/D変換部73は、光電変換部11から電気抵抗R2を介して出力されるアナログの電圧信号をデジタル電圧信号に変換する。なお、本実施形態に限定されず、A/D変換部73は、マイコン7とは別の構成要素であってもよい。
【0060】
光強度検出部74は、光電変換部11から出力される電気信号に基づいて光信号の光強度を検出する。本実施形態では、光強度検出部74は、メモリ6に格納された光強度情報に基づいて、A/D変換部73から出力されるデジタル電圧信号から光強度(つまり光信号の信号レベル)を算出する。なお、光強度情報は、デジタル電圧信号の信号レベルと光強度との対応関係を示す。こうすれば、信号計測器100に光パワーメータの機能を付与できる。該光強度は、たとえばユーザの操作入力に応じた時点の値が算出されてもよいし、リアルタイムに算出されてもよい。また、光強度は、メモリ6に格納可能であり、たとえばユーザの操作入力に応じた時点又はリアルタイムで表示部104に表示可能である。
【0061】
なお、本実施形態では、変調度算出部71、信号品質算出部72、A/D変換部73、及び光強度検出部74はいずれも、マイコン7の機能的な構成要素である。但し、この例示に限定されず、これらのうちの少なくとも1つは、電気回路、装置などの物理的な構成要素であってもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、放送波伝送システム200、及び同軸ケーブル接続部103に接続される有線の伝送システムにより伝送される放送帯域信号は、CATV帯域の周波数を有するCATV帯域信号と、衛星放送帯域の周波数を有する衛星放送帯域信号との両方を含む。但し、この例示に限定されず、該放送帯域信号は、CATV帯域の周波数を有するCATV帯域信号と、衛星放送帯域の周波数を有する衛星放送帯域信号とのうちの一方を含んでいてもよい。つまり、該放送帯域信号は、CATV帯域信号及び衛星放送帯域信号とのうちの少なくとも一方を含んでいればよい。こうすれば、信号計測器100によって、CATV帯域及び衛星放送帯域とのうちの少なくとも一方のチャンネルの変調放送信号の変調度と該チャンネルの数とを個別且つ同時に把握できる。
【0063】
また、放送帯域信号は、CATV帯域及び衛星放送帯域以外の周波数帯のチャンネルの変調放送信号を含んでいてもよい。具体的には、放送帯域信号は、CATV帯域及び衛星放送帯域のチャンネルの変調放送信号に加えて、CATV帯域及び衛星放送帯域以外の周波数帯のチャンネルの変調放送信号を含んでいてもよいし、CATV帯域及び衛星放送帯域以外の周波数帯のチャンネルの変調放送信号のみを含んでいてもよい。たとえば、放送帯域信号は、地上波デジタル放送波のチャンネルの変調放送信号を含んでいてもよい。こうすれば、信号計測器100によって、CATV帯域及び衛星放送帯域以外の周波数帯のチャンネルの変調放送信号の変調度と該チャンネルの数とを個別且つ同時に把握できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0065】
11・・・光電変換部、12・・・増幅器、2・・・分配器、31,32・・・フィルタ、4・・・チューナーIC、41・・・抽出部、42・・・算出部、5・・・復調IC、6・・メモリ、7・・・マイコン、71・・・変調度算出部、72・・・信号品質算出部、73・・・A/D変換部、74・・・光強度検出部、
100・・・信号計測器、101・・・筐体、102・・・光接続部、103・・・同軸ケーブル接続部、104・・・表示部、105・・・操作部、
200・・・放送波伝送システム、210・・・チャンネルプロセッサー、220・・・送信機、221・・・ブースター、222・・・E/O変換器、230・・・光伝送路、231・・・光出力端子、240・・・V-ONU、300・・・衛星放送受信アンテナ、400・・・TV装置、VCC・・・電源電圧、C1,C2・・・コンデンサ、SW・・・スイッチ、R1,R2・・・抵抗素子、BT・・・バッテリー