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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049228
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H1/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155333
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】牧角 知祥
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA38
3J027FB31
3J027GB03
3J027GC02
3J027GC06
3J027GE01
3J027GE27
(57)【要約】
【課題】修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる減速機を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る減速機1は、ケース5と、ケース5に対して回転可能に設けられたキャリア11を有し、ケース5内に設けられてモータから入力される回転を減速して出力する減速機構部6と、キャリア11からケース5の外側に向けて突出するとともに、第2アームに設けられた雌ねじ部に締結される雄ねじ部62dを有し、キャリア11に設けられたボルト62と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに対して回転可能に設けられた伝達部を有し、前記ケース内に設けられて駆動源から入力される回転を減速して出力する減速機構部と、
前記伝達部から前記ケースの外側に向けて突出するとともに、連結部材に設けられた雌ねじ部に締結される雄ねじ部を有するボルトと、を備えている減速機。
【請求項2】
前記ボルトは、
頭部と、
前記頭部から突出するとともに、前記雄ねじ部が形成された軸部と、を備え、
前記伝達部には、前記頭部を収容するとともに、前記軸部を前記伝達部から突出させるボルト挿通孔が形成されている請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記伝達部は、
前記ケース内を前記伝達部の回転軸線に沿って延びる本体部と、
前記本体部に対して前記回転軸線の径方向に張り出すとともに、前記回転軸線に沿う方向で前記ケースに向かい合うフランジ部と、を備え、
前記ボルト挿通孔は、前記フランジ部に形成されている請求項2に記載の減速機。
【請求項4】
前記ボルトは、前記伝達部よりも硬度が高い材料により形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の減速機。
【請求項5】
前記ケースの内周には、内歯が設けられ、
前記減速機構部は、
前記駆動源の入力軸に接続され、前記伝達部の回転軸線に対して偏心する偏心部を有するクランク軸と、
前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記偏心部の偏心回転に伴い前記外歯が前記内歯を乗り越えながら前記ケース内を旋回すると揺動歯車と、
前記揺動歯車の旋回に伴い、前記回転軸線回りに回転する前記伝達部と、を備え、
前記ボルトは、前記伝達部のうち前記回転軸線に沿う方向で前記揺動歯車に対向する位置に、前記雄ねじ部が前記伝達部から突出した状態で設けられている請求項1から請求項4の何れか1項に記載の減速機。
【請求項6】
前記ケースの内周には、内歯が設けられ、
前記伝達部は、
前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記伝達部の回転軸線に交差する径方向に撓み変形可能な胴部と、
前記胴部に対して前記径方向に張り出すとともに、前記回転軸線に沿う方向で前記ケースに向かい合うフランジ部と、を備え
前記減速機構部は、前記胴部の内側に回転可能に配置され、回転に伴い前記胴部を前記径方向に撓み変形させながら、前記外歯と前記内歯との噛み合い位置を前記回転軸線回りの周方向に変化させるウェーブジェネレータを備え、
前記ボルトは、前記フランジ部に固定されている請求項1に記載の減速機。
【請求項7】
内歯を有する筒部、前記筒部から張り出すフランジ部を有するサーキュラスプラインと、
前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記筒部の内側で回転可能に配置され、前記筒部の径方向に撓み変形可能なフレックススプラインと、
前記フレックススプラインの内側に回転可能に配置され、回転に伴い前記フレックススプラインを前記径方向に撓み変形させながら、前記外歯と前記内歯との噛み合い位置を前記筒部の周方向に変化させるウェーブジェネレータと、
前記フランジ部から前記筒部の軸方向に向けて突出するとともに、連結部材に設けられた雌ねじ部に締結される雄ねじ部を有し、前記フランジ部に固定されたボルトと、を備えている減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば産業用ロボット等において、回動可能に連結される一対のアームの連結部分(関節部分)には、アームを駆動させるためのモータユニットが設けられる。モータユニットは、モータと、モータに連結された減速機と、を備えている。モータユニットでは、モータの回転により発生するモータトルクが、減速機で減速されてアームに出力される。
【0003】
減速機は、ケースと、ケース内に回転可能に設けられたキャリアと、を備えている。キャリアには、タップ穴(雌ねじ穴)が形成されている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1の構成では、タップ穴にボルトが締結されることで、キャリアにアームが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-75354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ボルトの締付トルクがタップ穴に過大に作用した場合や、ボルトの締結及び取り外しを繰り返した場合等には、タップ穴が破損する可能性がある。上述した特許文献1に記載の減速機では、キャリア自体にタップ穴が形成されているため、タップ穴が破損した場合にはキャリア自体を交換しなければならない。そのため、従来の減速機では、修復作業に時間やコストが掛かる可能性があった。
【0006】
本発明は、修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる減速機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る減速機は、ケースと、前記ケースに対して回転可能に設けられた伝達部を有し、前記ケース内に設けられて駆動源から入力される回転を減速して出力する減速機構部と、前記伝達部から前記ケースの外側に向けて突出するとともに、連結部材に設けられた雌ねじ部に締結される雄ねじ部を有するボルトと、を備えている。
【0008】
本態様によれば、ボルトの破損等によって伝達部を修復させる際には、伝達部から連結部材を取り外した後、ボルトを交換するだけで、修復作業が完了する。そのため、伝達部に対して別体のボルトを設けることで、従来のように伝達部自体に雌ねじ部を形成する構成に比べ、ねじ部分の破損時における修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる。
【0009】
上記態様の減速機において、前記ボルトは、頭部と、前記頭部から突出するとともに、前記雄ねじ部が形成された軸部と、を備え、前記伝達部には、前記頭部を収容するとともに、前記軸部を前記伝達部から突出させるボルト挿通孔が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記態様の減速機において、前記伝達部は、前記ケース内を前記伝達部の回転軸線に沿って延びる本体部と、前記本体部に対して前記回転軸線の径方向に張り出すとともに、前記回転軸線に沿う方向で前記ケースに向かい合うフランジ部と、を備え、前記ボルト挿通孔は、前記フランジ部に形成されていることが好ましい。
【0011】
上記態様の減速機において、前記ボルトは、前記伝達部よりも硬度が高い材料により形成されていることが好ましい。
【0012】
上記態様の減速機において、前記ケースの内周には、内歯が設けられ、前記減速機構部は、前記駆動源の入力軸に接続され、前記伝達部の回転軸線に対して偏心する偏心部を有するクランク軸と、前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記偏心部の偏心回転に伴い前記外歯が前記内歯を乗り越えながら前記ケース内を旋回すると揺動歯車と、前記揺動歯車の旋回に伴い、前記回転軸線回りに回転する前記伝達部と、を備え、前記ボルトは、前記伝達部のうち前記回転軸線に沿う方向で前記揺動歯車に対向する位置に、前記雄ねじ部が前記伝達部から突出した状態で設けられていることが好ましい。
【0013】
上記態様の減速機において、前記ケースの内周には、内歯が設けられ、前記伝達部は、前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記伝達部の回転軸線に交差する径方向に撓み変形可能な胴部と、前記胴部に対して前記径方向に張り出すとともに、前記回転軸線に沿う方向で前記ケースに向かい合うフランジ部と、を備え前記減速機構部は、前記胴部の内側に回転可能に配置され、回転に伴い前記胴部を前記径方向に撓み変形させながら、前記外歯と前記内歯との噛み合い位置を前記回転軸線回りの周方向に変化させるウェーブジェネレータを備え、前記ボルトは、前記フランジ部に固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る減速機は、内歯を有する筒部、前記筒部から張り出すフランジ部を有するサーキュラスプラインと、前記内歯に噛み合う外歯を有し、前記筒部の内側で回転可能に配置され、前記筒部の径方向に撓み変形可能なフレックススプラインと、前記フレックススプラインの内側に回転可能に配置され、回転に伴い前記フレックススプラインを前記径方向に撓み変形させながら、前記外歯と前記内歯との噛み合い位置を前記筒部の周方向に変化させるウェーブジェネレータと、前記フランジ部から前記筒部の軸方向に向けて突出するとともに、連結部材に設けられた雌ねじ部に締結される雄ねじ部を有し、前記フランジ部に固定されたボルトと、を備えている。
【0015】
本態様によれば、サーキュラスプラインのフランジ部にボルトが設けられているため、ボルトの破損等によってサーキュラスプラインを修復させる際には、サーキュラスプラインから連結部材を取り外した後、ボルトを交換するだけで、修復作業が完了する。その結果、修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る減速機の斜視断面図である。
図2図1のII部の拡大図である。
図3】第2実施形態に係る減速機の斜視断面図である。
図4】第3実施形態に係る減速機の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0019】
(第1実施形態)
[減速機1]
図1は、第1実施形態に係る減速機1の斜視断面図である。
図1に示すように、減速機1は、例えば産業用ロボット等において回動可能に連結される一対のアームの連結部分(関節部分)に設けられる。減速機1は、モータ(不図示)から入力されるモータトルクを減速して出力する。
【0020】
減速機1は、ケース5と、減速機構部6と、を備えている。
【0021】
<ケース5>
ケース5は、筒部21と、ケースフランジ部22と、を備えている。以下の説明では、筒部21の軸線O1に沿う方向を単に軸方向といい、軸方向から見て軸線O1に交差する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
筒部21は、軸方向の第1側に位置する第1領域21aと、軸方向の第2側に位置する第2領域21bと、第1領域21a及び第2領域21bの間に位置する中央領域21cと、を有している。
中央領域21cの内径は、第1領域21a及び第2領域21bの内径よりも小さくなっている。
【0023】
中央領域21cの内周面には、内歯24が設けられている。内歯24は、中央領域21cの内周面に形成された複数のピン溝25と、各ピン溝25内に各々収容された内歯ピン26と、を備えている。
ピン溝25は、中央領域21cの内周面上で開口するとともに、軸方向に延在している。各ピン溝25は、周方向に等ピッチで形成されている。
内歯ピン26は、軸方向に沿って延びる円柱状に形成されている。内歯ピン26は、一部がピン溝25から径方向の内側に突出した状態で、ピン溝25内に収容されている。内歯ピン26は、軸線O1と平行な軸線回りに回転可能に、ピン溝25に保持されている。なお、内歯24は、筒部21に一体で形成されていてもよい。
【0024】
ケースフランジ部22は、中央領域21cから径方向の外側に張り出している。ケースフランジ部22には、複数の貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aは、ケースフランジ部22を軸方向に貫通するとともに、周方向に間隔をあけて形成されている。ケースフランジ部22には、例えば一対のアームのうち、第1アーム(不図示)が固定される。具体的に、貫通孔22a及び第1アームに形成された貫通孔内には、ボルトが挿入される。ボルトは、ナットに締結されることで、ケースフランジ部22及び第1アームを固定する。なお、貫通孔22aは、ボルトが締結される雌ねじ孔であってもよい。
【0025】
<減速機構部6>
減速機構部6は、キャリア(伝達部)11と、複数の揺動歯車(第1揺動歯車12及び第2揺動歯車13)と、複数のクランク軸14と、を備えている。
【0026】
キャリア11は、減速機1の出力部である。キャリア11は、ケース5の内側で軸線(回転軸線)O1回りに回転可能に設けられている。本実施形態のキャリア11は、第1ブロック41と、第2ブロック42と、を備えている。本実施形態において、第1ブロック41及び第2ブロック42は、例えばアルミ合金等によって形成されている。
【0027】
第1ブロック41は、少なくとも一部が第1領域21aの内側に配置されている。第1ブロック41は、軸線O1と同軸に配置された円板状に形成されている。第1ブロック41の外周面と第1領域21aの内周面との間には、軸受43が介在している。これにより、第1ブロック41は、軸線O1回りに回転可能にケース5に支持されている。
【0028】
第1ブロック41における径方向の中央部には、第1ブロック41を軸方向に貫通する第1貫通孔44が形成されている。第1ブロック41の外周部分には、複数の第1軸支持孔45が形成されている。各第1軸支持孔45は、周方向に間隔をあけて形成されている。
【0029】
第2ブロック42は、ケース5内において第1ブロック41に対して軸方向の第2側に配置されている。第2ブロック42は、基板50と、支柱51と、キャリアフランジ部52と、を備えている。
基板50は、軸線O1と同軸に配置された円板状に形成されている。基板50は、少なくとも一部が第2領域21bの内側に配置されている。基板50の外周面と第2領域21bの内周面との間には軸受53が介在している。これにより、第2ブロック42は、軸線O1回りに回転可能にケース5に支持されている。
【0030】
基板50における径方向の中央部には、基板50を軸方向に貫通する第2貫通孔57が形成されている。基板50の外周部分には、複数の第2軸支持孔59が形成されている。各第2軸支持孔59は、上述した各第1軸支持孔45のそれぞれに軸方向で向かい合っている。
【0031】
支柱51は、基板50のうち隣り合う第2軸支持孔59間に位置する部分から軸方向の第1側に突出している。支柱51は、第1ブロック41に軸方向で突き合わされた状態で、ボルト60等によって第1ブロック41に固定されている。これにより、第1ブロック41及び第2ブロック42は、軸線O1回りにケース5に対して一体で回転する。なお、キャリア11のうち、キャリアフランジ部52以外の部分は、キャリア11の本体部を構成している。
【0032】
キャリアフランジ部52は、基板50のうちケース5に対して軸方向に突出した部分から径方向の外側に張り出している。キャリアフランジ部52は、第2領域21bと軸方向に向かい合っている。キャリアフランジ部52の外径は、筒部21よりも大きく、ケースフランジ部22よりも小さくなっている。キャリアフランジ部52には、複数のボルト挿通孔61が形成されている。ボルト挿通孔61は、キャリアフランジ部52を軸方向に貫通している。ボルト挿通孔61は、周方向に間隔をあけて形成されている。ボルト挿通孔61内には、ボルト62が保持されている。
【0033】
ボルト62は、鉄等、第2ブロック42よりも硬度が高い材料により形成されている。なお、ボルト62とキャリア11(第2ブロック42)との組み合わせは、ボルト62の硬度がキャリア11よりも高ければ適宜選択が可能である。例えば、キャリア11を樹脂材料とし、ボルト62をキャリア11よりも硬度が高い金属材料としてもよい。
【0034】
ボルト62は、頭部62aと、フランジ部62bと、軸部62cと、を備えている。ボルト62は、軸部62cの先端部を軸方向の第2側に向けた状態で、キャリアフランジ部52に対して軸方向の第1側からボルト挿通孔61内に挿入されている。したがって、ボルト62は、揺動歯車12,13に対して径方向の外側において、筒部21に対して軸方向に向かい合っている。
【0035】
頭部62aは、ボルト挿通孔61内に収容されている。頭部62aとボルト挿通孔61の内周面との間には回り止めが施されていてもよい。回り止めとしては、頭部62aとボルト挿通孔61を軸方向から見て非真円形状に形成したり、頭部62aの外周面とボルト挿通孔61の内周面とに互いに噛み合うスプラインを形成したりしてもよい。
フランジ部62bは、頭部62aのうち軸方向の第1側端部から張り出している。フランジ部62bは、キャリアフランジ部52に対して軸方向の第1側から対向している。フランジ部62bは、キャリアフランジ部52に対するボルト62の軸方向の第2側への移動を規制している。
【0036】
軸部62cは、頭部62aから軸方向の第2側に突出している。軸部62cは、キャリアフランジ部52に対して軸方向の第2側に突出している。軸部62cの外周面には、雄ねじ部62dが形成されている。
【0037】
なお、ボルト62は、ボルト挿通孔61に対して圧入してもよい。また、第2ブロック42が樹脂材料等により形成されている場合には、ボルト62は第2ブロック42にインサート成形等により一体に固定されていてもよい。
【0038】
第1揺動歯車12及び第2揺動歯車13は、軸方向に重ね合わされた状態で中央領域21cの内側に配置されている。第1揺動歯車12及び第2揺動歯車13は、筒部21(中央領域21c)の内径よりも若干小さい外径に形成されている。第1揺動歯車12の外周面には、外歯12aが形成されている。第2揺動歯車13の外周面には、外歯13aが形成されている。第1揺動歯車12の外歯12a、及び第2揺動歯車13の外歯13aは、上述した内歯24(内歯ピン26)にそれぞれ噛み合っている。外歯12a,13aの歯数は、内歯24の数よりも僅かに少なく(例えば、一つ少なく)設定されている。なお、揺動歯車は、1枚であっても、3枚以上であってもよい。
【0039】
第1揺動歯車12の中央部には、第1中央孔12bが形成されている。第2揺動歯車13の中央部には、第2中央孔13bが形成されている。各中央孔12b,13bの内径は、第1貫通孔44の内径と同等になっている。
【0040】
第1揺動歯車12の外周部分には、複数の第1逃げ孔12cが形成されている。各第1逃げ孔12cは、周方向に間隔をあけて形成されている。第2揺動歯車13の外周部分には、複数の第2逃げ孔13cが形成されている。各第2逃げ孔13cは、第1逃げ孔12cと同一ピッチで周方向に間隔をあけて形成されている。各逃げ孔12c,13cには、上述した複数の支柱51のうち対応する支柱51が各別に貫通している。逃げ孔12c,13cの内径は、支柱51の外径よりも大きくなっている。これにより、各揺動歯車12,13の動作が支柱51によって妨げられないようになっている。
【0041】
第1揺動歯車12の外周部分において、隣り合う第1逃げ孔12c間に位置する部分には、第1通過孔12dが形成されている。第2揺動歯車13の外周部分において、隣り合う第2逃げ孔13c間に位置する部分には、第2通過孔13dが形成されている。各通過孔12d,13dは、上述した各軸支持孔45,59と同一ピッチで配置されている。
【0042】
クランク軸14は、キャリア11と揺動歯車12,13との間の動力伝達部として機能する。クランク軸14は、対応する軸支持孔45,59及び通過孔12d,13dを貫通して、第1ブロック41及び基板50間に架け渡されている。具体的に、クランク軸14は、主軸71と、第1偏心部72と、第2偏心部73と、突出部74と、を備えている。
【0043】
主軸71は、軸線O1と平行な軸線O2に沿って延びている。主軸71のうち軸方向の第1側端部は、軸受76を介して第1軸支持孔45内で回転可能に支持されている。主軸71のうち軸方向の第2側端部は、軸受77を介して第2軸支持孔59内で回転可能に支持されている。なお、軸受76,77は、例えば転動体として円筒ころを持つアンギュラ軸受である。
【0044】
第1偏心部72は、主軸71のうち第1通過孔12d内に位置する部分に形成されている。第1偏心部72は、主軸71の軸線O2に対して偏心している。第1偏心部72は、偏心部軸受81を介して第1通過孔12d内で回転可能に支持されている。
第2偏心部73は、主軸71のうち第2通過孔13d内に位置する部分に形成されている。第2偏心部73は、主軸71の軸線O2に対して偏心している。第2偏心部73は、偏心部軸受82を介して第2通過孔13d内で回転可能に支持されている。なお、各偏心部72,73は、軸線O2回りで例えば180°位相がずれている。
【0045】
突出部74は、主軸71から軸方向の第1側に突出している。突出部74には、伝達歯車85が取り付けられている。伝達歯車85には、モータ(不図示)の入力軸が直接又は間接的に接続される。すなわち、減速機1には、伝達歯車85を介してモータトルクが入力される。
【0046】
図2は、図1のII部の拡大断面図である。
図2に示すように、キャリアフランジ部52には、一対のアームのうち、第2アーム100が固定される。具体的に、第2アーム100は、キャリアフランジ部52に向かい合う座101と、座101に着座するナット102と、を備えている。座101には、座101を軸方向に貫通する貫通孔110が形成されている。貫通孔110は、テーパ部110aと、直線部110bと、を備えている。テーパ部110aは、例えば軸方向の第2側から第1側に向かうに従い内径が縮小している。直線部110bは、テーパ部110aから軸方向の第1側に向けて延びている。貫通孔110内には、ボルト62の軸部62cが挿通されている。
【0047】
ナット102は、軸方向の第1側端部にテーパ部102aを備えている。ナット102は、テーパ部102aがテーパ部110a内に嵌まり込んだ状態で、座101に着座している。ナット102の内周面には、雌ねじ部102bが形成されている。雌ねじ部102bには、軸部62cに形成された雄ねじ部62dが噛み合っている。これにより、第2アーム100に対して軸方向の第2側からナット102がボルト62に締結されることで、キャリアフランジ部52に第2アーム100が固定されている。なお、ナット102や貫通孔110は、ボルト62が締結可能であればテーパ部を備えない構成であってもよい。
【0048】
本実施形態の減速機1では、モータのモータトルクが伝達歯車85を介して減速機構部6に入力される。伝達歯車85に伝達されたトルクによって各クランク軸14が一方向に回転すると、クランク軸14の各偏心部72,73が軸線O2回りに偏心しながら回転する。これにより、各揺動歯車12,13は、偏心部72,73の回転に倣ってケース5内を揺れながら軸線O1回りに自転する。すると、揺動歯車12,13は、外歯12a,13aが内歯ピン26を例えば一つずつ乗り越えながら回転する。揺動歯車12,13の回転に伴い、キャリア11が第1軸線O1回りに回転する。その結果、モータのモータトルクは、減速機構部6で減速された後、キャリア11の回転として出力部材に出力される。
【0049】
キャリア11の回転により生じたトルクは、ボルト62を介して第2アーム100に伝達される。これにより、第2アーム100が第1アームに対して軸線O1回りに回転する。
【0050】
このように、本実施形態の減速機1では、キャリア11からケース5の外側に突出するとともに、第2アーム100に設けられた雌ねじ部102bに締結されるボルト62を備える構成とした。
この構成によれば、ボルト62の破損等によってキャリア11を修復させる際には、キャリア11から第2アーム100を取り外した後、ボルト62を交換するだけで、修復作業が完了する。このように、キャリア11に対して別体のボルト62を設けることで、従来のようにキャリア11自体に雌ねじ部を形成する構成に比べ、ねじ部分の破損時における修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる。
しかも、キャリア11とは別体のボルト62を用いることで、ナット102への締結時にキャリア11に掛かる負荷を小さくできるので、ボルト62とナット102との締結力を確保し易くなる。その結果、減速機1に対して第2アーム100を安定して取り付けることができる。
【0051】
本実施形態の減速機1では、頭部62aを収容するとともに、軸線O1に沿って第1ブロック41とは反対側に向けて軸部62cを突出させるボルト挿通孔61が第2ブロック42に形成されている構成とした。
この構成によれば、頭部62aが第2ブロック42から軸方向に突出するのを抑制できるので、キャリア11にボルト62を設けた場合であっても、減速機1の軸方向における大型化を抑制できる。
【0052】
本実施形態の減速機1では、キャリア11のうち、筒部21に向かい合うキャリアフランジ部52にボルト挿通孔61が形成されている構成とした。
この構成によれば、キャリア11の本体部(基板50等)にボルト挿通孔61を形成する場合に比べ、ボルト挿通孔61のレイアウトの制約が少ない。そのため、ボルト挿通孔61やボルト62の設計自由度を向上させることができる。この場合、ボルト62の本数や呼び径を増大する等して、第2アーム100との連結強度を向上させ易い。
【0053】
本実施形態の減速機1では、ボルト62がキャリア11よりも硬度の高い材料により形成された構成とした。
この構成によれば、ボルト62の強度を確保し易くなるので、キャリア11自体に雌ねじ部を形成する場合に比べ、締結力を確保し易い。
【0054】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る減速機200の斜視断面図である。第2実施形態の減速機200は、クランク軸201の主軸210が軸線O1上に配置された、いわゆるセンタークランクタイプを採用している点で上述した第1実施形態と相違している。
図3に示す減速機200において、クランク軸201は、第1貫通孔44、第1中央孔12b、第2中央孔13b及び第2貫通孔57内を通じて、第1ブロック41及び第2ブロック42間に架け渡されている。
【0055】
クランク軸201は、主軸210と、第1偏心部211と、第2偏心部212と、を備えている。
主軸210は、軸線O1に沿って延びる中空軸である。主軸210のうち、軸方向の第1側端部は、軸受220を介して第1貫通孔44内に回転可能に支持されている。主軸210のうち、軸方向の第2側端部は、軸受221を介して第2貫通孔57内に回転可能に支持されている。主軸210内には、モータの入力軸214が固定される。但し、モータの入力軸214は、減速機構等を介して間接的に主軸210に連結されていてもよい。
【0056】
第1偏心部211は、主軸210のうち第1中央孔12b内に位置する部分から張り出している。第1偏心部211は、主軸210の軸線O1に対して偏心している。第1偏心部211は、偏心部軸受222を介して第1中央孔12b内で回転可能に支持されている。
第2偏心部212は、主軸210のうち第2中央孔13b内に位置する部分から張り出している。第2偏心部212は、主軸210の軸線O1に対して偏心している。第2偏心部212は、偏心部軸受223を介して第2中央孔13b内で回転可能に支持されている。なお、各偏心部211,212は、軸線O1回りで例えば180°位相がずれている。
【0057】
第1ブロック41の外周部分には、第1ピン挿通孔230が形成されている。第1ピン挿通孔230は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
第2ブロック42の基板50において、第1ピン挿通孔230と軸方向で向かい合う位置には、第2ピン挿通孔231が形成されている。
【0058】
第1ブロック41及び第2ブロック42は、連結ピン235によって連結されている。連結ピン235は、第2ブロック42に対して軸方向の第2側から第2ピン挿通孔231、第2通過孔13d、第1通過孔12d及び第1ピン挿通孔230を貫通している。連結ピン235は、先端部(軸方向の第1側端部)に雄ねじ部235aを有している。雄ねじ部235aは、第1ブロック41に対して軸方向の第1側に突出している。雄ねじ部235aには、ナット236が締結されている。なお、連結ピン235の外周面と第1通過孔12dの内周面との間、並びに連結ピン235の外周面と第2通過孔13dの内周面との間には、それぞれカラー237が介在している。
【0059】
基板50の外周面と筒部21の内周面との間には、シールリング238が介在している。
基板50の外周部分のうち、周方向で隣り合う第2ピン挿通孔231の間に位置する部分には、ボルト挿通孔240が形成されている。ボルト挿通孔240は、大径部240aと、大径部240aに対して軸方向の第2側に連なる小径部240bと、を備えている。
【0060】
ボルト挿通孔240内には、ボルト241が保持されている。ボルト241は、第2ブロック42に対して軸方向の第1側からボルト挿通孔240内に挿通されている。ボルト241は、頭部241aと、軸部241bと、を備えている。頭部241aは、大径部240a内に収容されている。軸部241bは、小径部240b内を軸方向に貫通している。軸部241bのうち、第2ブロック42から突出した部分には、雄ねじ部241cが形成されている。雄ねじ部241cは、第2アームに設けられたナットに締結される。
【0061】
本実施形態において、ボルト241は、基板50の外周部分に設けられていることから、第2揺動歯車13に軸方向で向かい合う位置に、雄ねじ部241cが第2ブロック42から突出した状態で設けられている。これにより、ボルト241の一部(頭部241a等)がボルト挿通孔240内に収容される。そのため、キャリア11にボルト241を設けた場合であっても、減速機200の軸方向における大型化を抑制できる。また、ボルト241がケース5に対して径方向の内側に配置されるので、減速機200の径方向の大型化も抑制できる。
【0062】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る減速機300の斜視断面図である。第3実施形態では、減速機300として波動歯車を採用している点で、上述した実施形態と相違している。
図4に示す減速機300は、サーキュラスプライン(ケース)301と、フレックススプライン302と、ウェーブジェネレータ303と、を備えている。フレックススプライン302及びウェーブジェネレータ303は、減速機構部を構成している。
【0063】
サーキュラスプライン301は、外力によっては変形しない程度の剛性を有している。本実施形態において、サーキュラスプライン301は、少なくともフレックススプライン302(後述する胴部320)に比べて剛性が高く、減速機300の構成材料の中で最も剛性が高いことがより好ましい。
【0064】
サーキュラスプライン301は、筒部310と、第1フランジ部311と、を備えている。
筒部310は、軸線O1と同軸に配置されている。筒部310の内周面には、内歯310aが形成されている。
第1フランジ部311は、筒部310から径方向の外側に張り出している。第1フランジ部311には、複数の第1ボルト挿通孔312が形成されている。第1ボルト挿通孔312は、第1フランジ部311を軸方向に貫通するとともに、周方向に間隔をあけて形成されている。具体的に、ボルト挿通孔312は、大径部312aと、大径部312aに対して軸方向の第1側に連なる小径部312bと、を備えている。
【0065】
第1ボルト挿通孔312内には、軸方向の第2側からボルト315が挿通されている。ボルト315の頭部315aは、大径部312a内に収容されている。ボルト315の軸部315bは、小径部312bを通じて第1フランジ部311から軸方向の第1側に突出している。軸部315bの先端部(第1フランジ部311から突出した部分)には、雄ねじ部315cが形成されている。
【0066】
第1フランジ部311には、例えば一対のアームのうち、第1アーム(不図示)が固定される。具体的に、第1アームは、ボルト315の雄ねじ部315cがナット(不図示)に締結されることで、第1フランジ部311に固定される。なお、第1アームには、雄ねじ部315cが締結される雌ねじ部が直接形成されていてもよい。
【0067】
フレックススプライン302は、軸方向に沿う断面視でハット型に形成されている。フレックススプライン302は、胴部320と、首部321と、第2フランジ部322と、を備えている。胴部320及び首部321は、「筒部」の一例である。
胴部320は、筒部310の内側に配置されている。胴部320は、軸方向から見て円環状に形成されている。胴部320の外周面における周長は、筒部310の内周面における周長よりも短くなっている。胴部320の外周面には、外歯320aが形成されている。外歯320aは、内歯310aに噛み合う。なお、外歯320aの歯数は、内歯310aの歯数よりも僅かに少なく設定されている。
【0068】
胴部320は、径方向に撓み変形可能に構成されている。具体的に、胴部320は、胴部320の径方向のうち第1方向に作用する押圧力によって、第1方向を長軸方向とし、第1方向に直交する第2方向を短軸方向とする楕円形に撓む。外歯320aは、胴部320が楕円形に撓んだ状態において、長軸と重なる部分及びその周辺に位置する部分が内歯310aに噛み合う。
【0069】
首部321は、胴部320から軸方向の第2側に連なる筒状に形成されている。首部321は、サーキュラスプライン301の筒部310に対して軸方向の第2側に突出している。なお、フレックススプライン302は、少なくとも胴部320が撓み変形可能に構成されていれば、首部321は撓み変形しないようになっていてもよい。
【0070】
第2フランジ部322は、首部321における軸方向の第2側端縁から径方向の外側に張り出している。第2フランジ部322は、胴部320よりも剛性が高くなっていることが好ましい。第2フランジ部322は、内周部分に位置する薄肉部322aと、薄肉部322aの外周側に連なる厚肉部322bと、を備えている。厚肉部322bは、薄肉部322aに対して軸方向の寸法が大きくなっている。図示の例において、第2フランジ部322は、少なくとも厚肉部322bは、第1フランジ部311よりも径方向の外側に位置している。
【0071】
第2フランジ部322には、複数の第2ボルト挿通孔325が形成されている。第2ボルト挿通孔325は、第2フランジ部322を軸方向に貫通するとともに、周方向に間隔をあけて形成されている。第2ボルト挿通孔325内には、軸方向の第1側からボルト326が挿通されている。ボルト326の頭部326aは、厚肉部322bに対して軸方向の第2側から突き当てられている。ボルト326の軸部326bは、第2ボルト挿通孔325を通じて第2フランジ部322から軸方向の第2側に突出している。軸部326bの先端部(第2フランジ部322から突出した部分)には、雄ねじ部326cが形成されている。
【0072】
第2フランジ部322には、例えば一対のアームのうち、第2アーム(不図示)が固定される。具体的に、第2アームは、ボルト326の雄ねじ部326cがナット(不図示)に締結されることで、第2フランジ部322に固定される。なお、第2アームには、雄ねじ部326cが締結される雌ねじ部が直接形成されていてもよい。
【0073】
ウェーブジェネレータ303は、ハブ330と、プラグ331と、ウェーブベアリング332と、を備えている。
ハブ330は、連結軸340と、ハブフランジ部341と、を備えている。
連結軸340は、サーキュラスプライン301(筒部310)の内側において、軸線O1と同軸に配置された中空軸である。連結軸340には、モータの入力軸350が固定される。
ハブフランジ部341は、連結軸340における軸方向の第2側端部から径方向の外側に張り出している。ハブフランジ部341は、筒部310よりも軸方向の第2側に位置している。
【0074】
プラグ331は、筒部310の内側において、ハブフランジ部341に対して軸方向の第1側に位置している。プラグ331は、軸方向から見て軸線O1上を中心とする楕円形状に形成されている。プラグ331は、オルダム継手345を介してハブフランジ部341に接続されている。オルダム継手345は、プラグ331とハブフランジ部341との間に配置されている。オルダム継手345は、キー及びキー溝を介してプラグ331及びハブフランジ部341に対して径方向に移動可能に接続されている。プラグ331は、ハブ330の回転に伴い、オルダム継手345が径方向に移動することで、ハブ330の回転を受けて軸線O1回りに回転可能に構成されている。
【0075】
ウェーブベアリング332は、プラグ331の外周面と胴部320の内周面との間に装着されている。ウェーブベアリング332は、プラグ331の回転に伴い、撓み変形可能に構成されている。すなわち、ウェーブベアリング332は、プラグ331の回転に伴い、長軸方向の向きが軸線O1回りに徐々に変化する。
【0076】
本実施形態の減速機300では、ハブ330の回転力がオルダム継手345を介してプラグ331に伝達されることで、プラグ331が軸線O1回りに回転する。これにより、ウェーブベアリング332の長軸方向の向きが変化する。胴部320は、ウェーブベアリング332によって径方向の外側に押圧されることで、径方向に撓み変形する。胴部320に形成された外歯320aは、胴部320が径方向に撓み変形することで、内歯310aに噛み合う。そして、ウェーブベアリング332の長軸方向の向きの変化に伴い、外歯320aが内歯310aを順次乗り越える。これにより、内歯310aと外歯320aとの噛み合い位置が周方向に変化しながら、フレックススプライン302が軸線O1回りに回転する。
【0077】
本実施形態の減速機300では、サーキュラスプライン301の第1フランジ部311にボルト315が設けられているため、ボルト315の破損等によってサーキュラスプライン301を修復させる際には、サーキュラスプライン301から第1アームを取り外した後、ボルト315を交換するだけで、修復作業が完了する。
本実施形態の減速機300では、フレックススプライン302の第2フランジ部322にボルト326が設けられているため、ボルト326の破損等によってフレックススプライン302を修復させる際には、フレックススプライン302から第2アームを取り外した後、ボルト326を交換するだけで、修復作業が完了する。
その結果、ねじ部分の破損時における修復作業に掛かる時間やコストを抑えることができる。
【0078】
なお、上述した第3実施形態では、各フランジ部311,322のそれぞれにボルト315,326が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。減速機300は、各フランジ部311,322のうち、少なくとも一方にボルトが設けられていればよい。
上述した実施形態では、フレックススプライン302をハット型に形成した場合について説明したが、フレックススプライン302はカップ型に形成してもよい。カップ型のフレックススプライン302は、首部321の開口部が閉塞されている。
【0079】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、連結部材の一例として産業用ロボットのアームを例にして説明したが、この構成に限られない。連結部材としては、産業機器(例えば、建設機械等)のアームであってもよい。
【0080】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…減速機
5…ケース
6…減速機構部
11…キャリア(伝達部)
12…第1揺動歯車(歯車)
12a…外歯
13…第2揺動歯車(歯車)
13a…外歯
14…クランク軸
24…内歯
41…第1ブロック(本体部)
50…基板(本体部)
51…支柱(本体部)
52…キャリアフランジ部(フランジ部)
61…ボルト挿通孔
62…ボルト
62a…頭部
62c…軸部
62d…雄ねじ部
100…第2アーム(連結部材)
200…減速機
201…クランク軸
211…第1偏心部(偏心部)
212…第2偏心部
214…入力軸
240…ボルト挿通孔
241…ボルト
241a…頭部
241b…軸部
241c…雄ねじ部
300…減速機
301…サーキュラスプライン(ケース)
302…フレックススプライン
303…ウェーブジェネレータ
311…第1フランジ部(フランジ部)
312…第1ボルト挿通孔
315…ボルト
315a…頭部
315b…軸部
315c…雄ねじ部
320…胴部
320a…外歯
322…第2フランジ部(フランジ部)
325…第2ボルト挿通孔
326…ボルト
326a…頭部
326b…軸部
326c…雄ねじ部
350…入力軸
O1…軸線(回転軸線)
図1
図2
図3
図4