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  • 特開-飲食物加熱装置 図1
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  • 特開-飲食物加熱装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049253
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】飲食物加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 39/02 20060101AFI20220322BHJP
   A47B 31/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A47J39/02
A47B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155361
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】309012166
【氏名又は名称】株式会社中島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066AA05
4B066AB01
4B066BC01
4B066BC09
4B066BC20
(57)【要約】
【課題】飲食物加熱装置の安全性を向上させること。
【解決手段】本発明では、飲食物を収容する複数の容器(23)を配置したトレイ(11)を載置するための加熱棚(13)を複数設けるとともに、各加熱棚(13)に載置された複数の飲食物を加熱するための加熱手段(20)を設けた飲食物加熱装置(1)において、各加熱棚(13)に内部の温度を検出するための検温手段(21)を設けることにした。また、本発明では、前記加熱手段(20)及び検温手段(21)を各容器(23)に対応させてそれぞれ設けることにした。さらに、本発明では、前記検温手段(21)を用いてトレイ(11)又はトレイ(11)に配置された容器(23)の有無を検出することにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を収容する複数の容器を配置したトレイを載置するための加熱棚を複数設けるとともに、各加熱棚に載置された複数の飲食物を加熱するための加熱手段を設けた飲食物加熱装置において、
各加熱棚に内部の温度を検出するための検温手段を設けたことを特徴とする飲食物加熱装置。
【請求項2】
前記加熱手段及び検温手段を各容器に対応させてそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の飲食物加熱装置。
【請求項3】
前記検温手段を用いてトレイ又はトレイに配置された容器の有無を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飲食物加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物を収容する複数の容器を配置したトレイを載置するための加熱棚を複数設けるとともに、各加熱棚に載置された複数の飲食物をそれぞれ加熱するための加熱手段を設けた飲食物加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院や学校などの施設において、複数の人に温められた飲食物を提供するために、複数人分の飲食物を同時に加熱することができる飲食物加熱装置が利用されている。
【0003】
この飲食物加熱装置としては、飲食物を収容した複数の容器を載置したトレイを収容するために複数の加熱棚を形成するとともに、各加熱棚に電磁波(マイクロ波)などを用いて飲食物を加熱するための加熱手段を設けた構成の飲食物加熱装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-9028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の飲食物加熱装置では、各加熱棚に加熱手段が設けられているために、加熱手段によって容器を加熱する際に加熱不足や過加熱が発生してしまったり、容器を載置したトレイが存在していない状態で加熱手段によって空加熱してしまうことが無いようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、飲食物を収容する複数の容器を配置したトレイを載置するための加熱棚を複数設けるとともに、各加熱棚に載置された複数の飲食物を加熱するための加熱手段を設けた飲食物加熱装置において、各加熱棚に内部の温度を検出するための検温手段を設けることにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記加熱手段及び検温手段を各容器に対応させてそれぞれ設けることにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記検温手段を用いてトレイ又はトレイに配置された容器の有無を検出することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、飲食物を収容する複数の容器を配置したトレイを載置するための加熱棚を複数設けるとともに、各加熱棚に載置された複数の飲食物を加熱するための加熱手段を設けた飲食物加熱装置において、各加熱棚に内部の温度を検出するための検温手段を設けることにしているために、各加熱棚の内部の温度を検温手段で監視することができる。
【0011】
特に、前記加熱手段及び検温手段を各容器に対応させてそれぞれ設けた場合には、加熱手段によって容器に収容した飲食物を加熱する際に生じるおそれがある加熱不足や過加熱を防止することができる。
【0012】
また、前記検温手段を用いてトレイ又はトレイに配置された容器の有無を検出することにした場合には、容器を配置したトレイが存在していない状態やトレイに容器が配置されていない状態で加熱手段によって空加熱してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】飲食物加熱装置(シャトル及びステーション)を示す正面図(a)、同右側面図(b)。
図2】同平面断面図(a)、同右側面断面図(b)。
図3】ステーションを示す正面断面図(a)、同右側面断面図(b)。
図4】各加熱棚を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る飲食物加熱装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、飲食物加熱装置1は、飲食物を収容可能なシャトル2と、シャトル2を収容可能なステーション3とに分離可能に構成している。なお、以下の説明では、飲食物加熱装置1として、移動可能型のシャトル2と固定型のステーション3とに分離可能とした構成について説明しているが、これに限られず、一体型の構成としてもよく、移動可能型に限られず固定型の構成としてもよい。
【0016】
シャトル2は、図2に示すように、横長矩形板状の底板4の下部に4個のキャスター5を取付けて移動(運搬)可能とするとともに、底板4の左右上部に縦長矩形板状の左右側壁6,7を取付けている。また、シャトル2は、左右側壁6,7の上端部間に横長矩形板状の天板8を取付けるとともに、左右側壁6,7の前端部間に上下に開閉可能な縦長矩形板状のシャッター9を取付け、左右側壁6,7の後端部間に縦長矩形板状の後壁10を取付けている。さらに、シャトル2は、飲食物を収容した複数の食器を載置するためのトレイ11を支持する支持体12を左右側壁6,7に上下に所定の間隔をあけて取付けている。これにより、シャトル2は、底板4と左右側壁6,7と天板8とシャッター9と後壁10とで囲まれる内部空間が支持体12で支持されるトレイ11で上下に分割されることによって、内部に複数(ここでは、12段2列の24個)の加熱棚13を上下左右に並べて形成している。各加熱棚13には、トレイ11が左右に並べて収容される。
【0017】
ステーション3は、図3に示すように、縦長矩形板状の左右側壁14,15の上端部に中空箱型状の天板部16を形成している。また、ステーション3は、左右側壁14,15の前端部間に上下に開閉可能な矩形板状のシャッター17を取付けるとともに、左右側壁14,15の後端部間に中空箱型状の後壁部18を形成している。これにより、ステーション3は、左右側壁14,15と天板部16とシャッター17と後壁部18とで囲まれたシャトル2を収容するための空間19を形成している。
【0018】
このステーション3には、内部にシャトル2を収容させた状態でシャトル2に収容された飲食物(食器)を加熱するための加熱手段20と、各加熱棚13の内部の温度を検出するための検温手段21と、これらを制御する制御手段(コンピューター)22とが設けられている。
【0019】
加熱手段20は、図3及び図4に示すように、シャトル2の各加熱棚13と対応する位置に左右それぞれ複数(ここでは、3個)設けられており、各加熱手段20で各加熱棚13のトレイ11に載置された飲食物を飲食物(容器23)ごとにそれぞれ加熱できるようにしている。
【0020】
各加熱手段20は、電磁波(ここでは、マイクロ波)を発生するための電磁波発生装置24に電磁波を伝送するための電磁波伝送管25を接続し、電磁波伝送管25の上部に電磁波を放出する電磁波照射開口26を形成している。電磁波発生装置24から放射された電磁波は、電磁波伝送管25を介して電磁波照射開口26から飲食物(容器23)に向けて照射される。
【0021】
各加熱棚13の片側(ステーション3を正面から見た場合には左側と右側)には、それぞれ複数(ここでは、3個)の加熱手段20が設けられており、各加熱手段20は、それぞれ異なる位置に電磁波照射開口26を形成している。一方、トレイ11には上面にマークが付されており、トレイ11が正規の位置に収容されると各マークの直下に各電磁波照射開口26が位置するようになっている。これにより、トレイ11のマーク上に容器23を載置することで、その容器23に収容された飲食物をその位置に対応する加熱手段20でそれぞれ別個に加熱することができる。なお、各容器23ごとに個別に加熱することができればよく、各トレイ11に複数の電磁波発生装置24及び電磁波伝送管25を設けた場合に限られず、各トレイ11或は各加熱棚13に1個の電磁波発生装置と複数に分岐する電磁波伝送管を設けた構成などとしてもよい。また、トレイ11は、複数の飲食物を配置することができればよく、盆形状のものに限られず、箱形状のものでもよく、弁当箱などであってもよい。
【0022】
検温手段21は、図3及び図4に示すように、シャトル2の左右に並ぶ加熱棚13,13(シャトル2の各段)の上方に矩形箱型状のケーシング27を設け、ケーシング27の内部に基板28を取付け、基板28の下面に複数(ここでは、6個)の検温手段21としての温度センサを下方へ向けて取付けている。ケーシング27には、各検温手段21と対向する位置に開口29を形成するとともに、開口29を透明の窓30で被覆して、蒸気等が検温手段21に付着しないようにしている。
【0023】
各検温手段21は、各加熱手段20の電磁波照射開口26と上下に対向する位置に設けられており、各加熱手段20で加熱した飲食物(容器23の蓋)の温度を検出するようにしている。
【0024】
各加熱手段20及び各検温手段21は、制御手段22に接続されており、制御手段22によって、各加熱棚13の内部の温度を検温手段21で監視しながら、各加熱棚13の各加熱手段20を個別に制御するようになっている。
【0025】
たとえば、制御手段22は、予め各加熱棚13に載置されるトレイ11に配置された飲食物(容器23)ごとに個別に設定された加熱温度を記憶しており、予め設定された加熱温度になるように検温手段21で温度を検出しながら加熱手段20で加熱するように制御することができる。加熱手段20及び検温手段21が各容器23に対応させてそれぞれ設けられているために、加熱手段20によって容器23に収容した飲食物を加熱する際に生じるおそれがある加熱不足(設定温度以下の加熱)や過加熱(設定温度以上の加熱)を防止することができる。
【0026】
その際に、各加熱棚13の複数(ここでは、3個)の加熱手段20を同時に駆動して全ての容器23を加熱するのではなく、いずれかの加熱手段20で所定時間の加熱を行い、複数の検温手段21で全ての容器23の温度を計測し、最も温度が低い容器23に対応する加熱手段20だけで所定時間の加熱を行うことを、全ての容器23が予め設定された加熱温度に達するまで繰り返すようにしてもよい。これにより、いずれかの加熱手段20によって対応する容器23を加熱することで、周囲の容器23まで加熱されてしまい、設定温度以上に加熱されてしまうのを防止することができる。
【0027】
また、制御手段22は、各加熱棚13の各加熱手段20を本加熱前に予備的に一定期間だけ駆動し、その時の温度上昇を検温手段21で計測し、設定された温度上昇が計測された場合には、トレイ11や容器23が所定位置に設置されていると判断し、設定された温度上昇が計測されない場合には、トレイ11や容器23が所定位置に設置されていないと判断して、警告等を発するように制御することができる。このようにして、検温手段21を用いてトレイ11や容器23の有無を検出することができ、トレイ11や容器23が存在していない状態で加熱手段20によって空加熱してしまうのを防止することができる。
【0028】
また、加熱手段20を駆動しなくても、トレイ11や容器23の熱容量の差によって生じる温度上昇を検温手段21で計測することによって、トレイ11や容器23の有無を検出することもできる。また、トレイ11の有無を検出する場合には、各加熱棚13のいずれかの加熱手段20とそれに対応する検温手段21だけを作動させてもよい。また、加熱手段20としては、トレイ11の下方に設けたプレート状の発熱体などを用いることもできる。トレイ11の下方にプレート状の発熱体などを設けた場合には、トレイ11の無い状態で検温手段21で検温することによって、検温手段21の窓30などに汚れや異物が付着していないかを検知することもでき、清掃を促す警報を発するようにすることもできる。
【0029】
以上に説明したように、上記飲食物加熱装置1は、飲食物を収容する複数の容器23を配置したトレイ11を載置するための加熱棚13を複数設け、各加熱棚13に載置された複数の飲食物を加熱するための加熱手段20を設けるとともに、各加熱棚13に内部の温度を検出するための検温手段21を設けた構成となっている。
【0030】
そのため、上記構成の飲食物加熱装置1では、各加熱棚13の内部の温度を検温手段21で監視することができ、飲食物加熱装置1の安全性を向上させることができる。
【0031】
また、上記飲食物加熱装置1は、加熱手段20及び検温手段21を各容器23に対応させてそれぞれ設けた構成となっている。
【0032】
そのため、上記構成の飲食物加熱装置1では、加熱手段20によって容器23に収容した飲食物を加熱する際に生じるおそれがある加熱不足や過加熱を防止することができる。
【0033】
また、上記飲食物加熱装置1は、検温手段21を用いてトレイ11の有無を検出する構成となっている。
【0034】
そのため、上記構成の飲食物加熱装置1では、容器23を載置したトレイ11が存在していない状態で加熱手段20によって空加熱してしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 飲食物加熱装置 2 シャトル
3 ステーション 4 底板
5 キャスター 6,7 側壁
8 天板 9 シャッター
10 後壁 11 トレイ
12 支持体 13 加熱棚
14,15 側壁 16 天板部
17 シャッター 18 後壁部
19 空間 20 加熱手段
21 検温手段 22 制御手段
23 容器 24 電磁波発生装置
25 電磁波伝送管 26 電磁波照射開口
27 ケーシング 28 基板
29 開口 30 窓
図1
図2
図3
図4