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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049316
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220322BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01L21/68 U
C23C14/34 J
C23C14/34 L
H01L21/68 N
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155455
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青藤 唯
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA45
4K029BC09
4K029CA06
4K029DA04
4K029JA01
4K029JA06
4K029KA01
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA03
5F131BB13
5F131CA06
5F131CA12
5F131CA32
5F131CA37
5F131DA33
5F131DA43
5F131DB44
5F131DB72
5F131DB99
5F131DC01
5F131EA03
5F131EA17
5F131EA22
5F131EB62
5F131EB66
5F131EB68
5F131EB75
5F131EB81
5F131GA05
5F131GA22
5F131GA26
5F131GA33
5F131GA43
5F131JA20
(57)【要約】
【課題】導電性材料を基板にインラインでスパッタリングするインラインスパッタ装置において、基板面内の抵抗値のばらつきを簡便に抑制することを目的とする。
【解決手段】搬送線路と、搬送線路上を移動する搬送台車を有し、搬送台車は、基板を保持するトレイを支持するための支持部と、支持部を加熱し前記支持部に付着した水分を除去する加熱部と、を有することを特徴とする基板搬送装置。加熱部は、基板のスパッタ面側の、前記支持部の面を覆うように配置されたヒータを有し、前記ヒータは搬送台車の車輪部と搬送線路と電気的に接続されることを特徴とする基板搬送装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インラインスパッタ装置において基板を搬送する基板搬送装置であって、
搬送線路と、前記搬送線路上を移動する搬送台車を有し、
前記搬送台車は、
前記基板を保持するトレイを支持するための支持部と、
前記支持部を加熱し前記支持部に付着した水分を除去する加熱部と、
を有することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記加熱部は、
前記基板のスパッタ面側の、前記支持部の面を覆うように配置されたヒータを有し、
前記ヒータは前記搬送台車の車輪部と前記搬送線路と電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置を備えたことを特徴とするインラインスパッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インラインスパッタ装置において基板を搬送する基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置用カラーフィルタの製造工程において、基板表面にITO(Indium
Tin Oxide)などの導電性材料をスパッタリングし、導電膜を形成するスパッタ工程がある。スパッタリング装置の中に、インラインで基板にスパッタするインラインスパッタ装置があり、インラインスパッタ装置では基板を設置した搬送台車が、真空引きされた装置(以後、真空装置という)内を移動し、スパッタチャンバーと呼ばれる部屋で、直流マグネトロン方式等により基板表面に導電性材料の薄膜を成膜する。
【0003】
図2に従来の基板搬送装置の構成を模式的に説明する図を示す。図2(a)は基板搬送装置の片側のスパッタ面側から見た模式的側面図、図2(b)は搬送方向から見た基板搬送装置の模式的側面図、図2(c)は基板搬送装置の模式的上面図である。
【0004】
従来のインラインスパッタ装置の基板搬送装置200には、搬送線路10があり、搬送線路10の上を搬送台車190の車輪9が走行し、搬送方向に搬送台車190は搬送される。搬送台車190には、基板1を保持するトレイ2が、支持部3で支持されている。支持部3下部に車輪9が設置されている。
【0005】
インラインスパッタ装置では、搬送台車190の両脇で、搬送台車190の進行方向と平行な面にスパッタ面を有する。
【0006】
インラインスパッタ装置において、搬送線路10は真空装置の外部から内部に通じており、スパッタリングの前で、真空装置の外部に搬送台車190があるときに、搬送台車190の両脇のトレイ2に基板1をセットする。搬送線路10上を、搬送台車190が移動し、真空装置の内部に入り、スパッタチャンバーで、搬送線路10上の搬送台車190上の基板1を、図2(a)の紙面上、下方向からスパッタリングする。
【0007】
インラインスパッタ装置でスパッタされる基板1において、スパッタ膜の抵抗値が基板面内外周部で局所的に高くなり、均一な特性が得られないという状況にある。図3に従来の基板搬送装置を備えたインラインスパッタ装置において、基板の抵抗値が高くなっていた場所を模式的に示す。
【0008】
抵抗値が不均一になる原因は、真空装置内に混入した水分に起因する酸素Oであることが判明している(特許文献1)。基材へ導電膜をスパッタする過程では、基板搬送装置にもスパッタ膜が付着するが、基板搬送装置が真空装置から搬出されてから再度搬入される間に、装置に付着した導電膜が大気中の水分を吸収する。吸収された水分が真空装置内で放出、分解されることにより、導電膜周辺に局所的に酸素Oが発生し、基板外周部の抵抗値に影響を与える。
【0009】
搬送装置を洗浄してスパッタ膜を除去することで、基板面内の抵抗値の不均一化を抑制することができるが、インラインの搬送装置の洗浄頻度を上げると、洗浄出しに起因するロスが発生するため、生産性が低下してしまう。
【0010】
特許文献1では、基板へのITOのスパッタリング時に、上述の水分に起因して発生する酸素Oがスパッタリングに悪影響をもたらすことから、スパッタ装置内の酸素Oの分布を均一化するために、分割制御可能な酸素Oノズルを別途で設置し、装置内部の酸素分布を制御することを検討した。
【0011】
しかしながら、制御に当たって供給酸素O量が増加すると、真空チャンバー内の酸素分圧が増加してスパッタ膜の膜質が変化し、その結果、要求される導電膜の特性が得られない場合がある。また、酸素ノズルを別途で追加するため、装置構成が煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4973198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、導電性材料を基板にインラインでスパッタリングするインラインスパッタ装置において、生産性を低下させずに基板面内の抵抗値の不均一化を簡便に抑制することが可能な基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、インラインスパッタ装置において基板を搬送する基板搬送装置であって、搬送線路と、前記搬送線路上を移動する搬送台車を有し、前記搬送台車は、前記基板を保持するトレイを支持するための支持部と、前記支持部を加熱し前記支持部に付着した水分を除去する加熱部と、を有することを特徴とする基板搬送装置である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、前記加熱部は、前記基板のスパッタ面側の、前記支持部の面を覆うように配置されたヒータを有し、前記ヒータは前記搬送台車の車輪部と前記搬送線路と電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置を備えたことを特徴とするインラインスパッタ装置である。
【発明の効果】
【0017】
導電性材料を基板にインラインでスパッタリングするインラインスパッタ装置において、生産性を低下させずに基板面内の抵抗値の不均一化を簡便に抑制することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る基板搬送装置の構成を模式的に説明する図である。図1(a)は基板搬送装置の片側のスパッタ面側から見た模式的側面図、図1(b)は搬送方向から見た基板搬送装置の模式的側面図、図1(c)は基板搬送装置の模式的上面図である。
図2】従来の基板搬送装置の構成を模式的に説明する図である。図2(a)は基板搬送装置の片側のスパッタ面側から見た模式的側面図、図2(b)は搬送方向から見た基板搬送装置の模式的側面図、図2(c)は基板搬送装置の模式的上面図である。
図3】従来の基板搬送装置を備えたインラインスパッタ装置において、基板の抵抗値が高くなっていた場所を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る基板搬送装置の実施形態について添付図面を参照して説明する
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る基板搬送装置の構成を模式的に説明する図である。図1(a)は基板搬送装置の片側のスパッタ面側から見た模式的側面図、図1(b)は搬送方向から見た基板搬送装置の模式的側面図、図1(c)は基板搬送装置の模式的上面図である。
【0021】
インラインスパッタ装置において基板1を搬送する基板搬送装置100は、搬送線路10と、搬送線路10上を移動する搬送台車90を有し、搬送台車90は、基板1を保持するトレイ2を支持するための支持部3と、支持部3を加熱し支持部3に付着した水分を除去する加熱部とを有する。
【0022】
搬送台車90は、支持部3の下部に車輪9があり、その車輪9が搬送線路10の上を走行することによって、支持部3で支持されるトレイ2に保持された基板1を搬送する。
【0023】
本実施形態のインラインスパッタ装置では、搬送台車90の両脇で、搬送台車90の進行方向と平行な面にスパッタ面を有する。
【0024】
加熱部は、基板1のスパッタ面側の、支持部3の面S1、S2を覆うように配置されたヒータ4を有し、ヒータ4は搬送台車90の車輪9部と搬送線路10と電気的に接続される。ヒータ4は抵抗体を平たくしたものを、支持部3の面S1、S2に付着した。
【0025】
電源20に接続された搬送線路10から、搬送台車の車輪9を通じて、ヒータ4に電力が供給される。電源20の正極は、支持部3の面S1側の搬送線路10に接続され、搬送線路10に車輪9の一つが接触し、その車輪9は軸、点aを介して支持部3の面S1側のヒータ4の電源端子(正極端子)に接続され、そのヒータ4の電源端子(負極端子)から、支持部3の面S2側のヒータ4の電源端子(正極端子)に接続され、そのヒータ4の電源端子(負極端子)から、点b、軸を介して、支持部3のS2側面側の車輪9に接続する。その車輪9は、搬送線路10に接触し、搬送線路10は電源20の負極に接続される。
【0026】
加熱部の加熱方式はこれに限定されず、例えば非接触で、赤外線ヒータにより加熱するものを使用してもよい。
【0027】
搬送線路10は、インラインスパッタ装置において、スパッタリングを行なうスパッタチャンバーなどの真空装置内外に設置されている。
【0028】
基板1へのスパッタリングによる導電性材料成膜時前の真空装置に搬送台車90が移動される前に、搬送台車90の支持部3の面S1、S2を覆うように配置されたヒータ4に電源20による電力を印加することによってヒータ4を加熱し、以前に搬送台車90に付着した導電性材料が搬送台車90を大気中にさらした時に吸収した大気中の水分を気化する。この搬送台車90を、スパッタ装置の真空装置に投入し、スパッタチャンバーで、基板1へのスパッタリングによる導電性材料成膜を行なうと、搬送台車90に付着した水分はないので、スパッタリング時に水分の気化による影響を及ぼすことはなく、基板1の抵抗値を所望の値の範囲内にすることができる。
【0029】
スパッタリング以外の時の搬送台車90の洗浄は、定期的な洗浄にとどめても、基板1へのスパッタリングによる導電性材料成膜は、安定した品質とすることができる。
【0030】
導電性材料を基板にインラインでスパッタリングするインラインスパッタ装置において、基板面内の抵抗値の不均一化を簡便に抑制することが可能となった。
【符号の説明】
【0031】
1・・・基板
2・・・トレイ
3・・・支持部
4・・・ヒータ
9・・・車輪
10・・・搬送線路
20・・・電源
90・・・搬送台車
100・・・基板搬送装置
190・・・搬送台車
200・・・基板搬送装置
a・・・配線上点a
b・・・配線上点b
S1、S2・・・支持部の面
T・・・従来のインラインスパッタ装置で基板の抵抗値が高くなっていた場所
図1
図2
図3