(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049320
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】衛生紙用収容ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220322BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/20 A
A47K10/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155463
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】517145290
【氏名又は名称】株式会社YANAGI PROJECT
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】横田 淳一
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LB02
3E014LB06
3E014LB08
(57)【要約】
【課題】 蓋体に水が落下しても水が蓋体の下にできるだけ浸入しにくくし、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図る。
【解決手段】 衛生紙Pが積層された積層体Wを収容する開放口2を有したボックス状のケース本体1と、ケース本体1に収容された積層体Wに載置され衛生紙Pを取出し可能な取出口11が形成された蓋体10とを備え、蓋体10を、ケース本体1の開放口2に遊嵌する大きさに形成され積層体Wの衛生紙Pを引きだし可能な開口13を有した載置板12を備えて構成し、載置板12の開口13の開口縁に沿って衛生紙Pをガイドするとともに載置板12の上面に受けられた水を堰き止める筒状のガイド壁15を立設し、ガイド壁15の上端開口を衛生紙Pの取出口11として構成し、載置板12の上面の外周縁に沿って載置板12の上面に受けられた水を堰き止める外壁30を立設した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りされて折れ線を境にして一対の折返し片を有した複数の矩形状の衛生紙が順に折返し片の裏面同士を相互に対面させて積層された積層体を収容する上開放の開放口を有したボックス状のケース本体と、該ケース本体に収容された積層体の上記開放口に露出した衛生紙上に載置されるとともに最上位の衛生紙の折返し片を引出して該衛生紙を取出し可能な取出口が形成された蓋体とを備えた衛生紙用収容ケースにおいて、
上記蓋体を、上から見て上記ケース本体の開放口に遊嵌する大きさに形成され積層体の最上位の衛生紙を引きだし可能な開口を有した載置板を備えて構成し、該載置板の上面であって上記開口の開口縁に沿って上記開口から引出される衛生紙をガイドするとともに該載置板の上面に受けられた水を堰き止める筒状のガイド壁を立設し、該ガイド壁の上端開口を衛生紙の取出口として構成し、上記載置板の上面の外周縁に沿って該載置板の上面に受けられた水を堰き止める外壁を立設したことを特徴とする衛生紙用収容ケース。
【請求項2】
上記開口の開口面積よりも上記ガイド壁の上端開口の開口面積を小さく形成したことを特徴とする請求項1記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項3】
上記ガイド壁に、上端から切除され指が挿入可能な切除部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項4】
上記ガイド壁に、上記取出口を回動により開閉するとともに上記取出口から引出される衛生紙に該衛生紙を引出し可能に閉方向に常時付勢されて当接する扉を設けたことを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項5】
上記扉を、該扉の自重により閉方向に付勢されるようにしたことを特徴とする請求項4記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項6】
上記扉の開方向の回動位置を規制するストッパを設けたことを特徴とする請求項5記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項7】
上記ケース本体を、積層体が載置される矩形板状の底壁と、該底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に対面する一対の矩形板状の主壁と、上記底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に直交する側縁に対面する一対の矩形板状の側壁とを備えて構成し、上記一対の主壁の上縁及び一対の側壁の上縁によって矩形の開放口を構成し、
上記載置板を上から見て、上記ケース本体の開放口に遊嵌する矩形状に形成し、上記開口を、該載置板の中央であって上記ケース本体の主壁の面方向に沿い該衛生紙の折れ線方向の長さより僅かに長い矩形細長状に形成し、上記載置板の裏面に、上記ケース本体に収納された積層体の折れ線方向に沿い該積層体の折れ線側に当接する一対の凸条を設けたことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項8】
上記載置板を、上記ケース本体に遊嵌させた状態で、該ケース本体の側壁側から見て、上に凸の円弧状に形成し、上記一対の凸条を上記載置板の裏面の上記ケース本体の主壁側に位置する縁部で構成したことを特徴とする請求項7記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項9】
上記ガイド壁の外側面の最小高さをHa1、最大高さをHa2とし、上記外壁の内側面の最小高さをHb1、最大高さをHb2としたとき、3mm≦Ha1≦Ha2≦40mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦30mmに設定したことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の衛生紙用収容ケース。
【請求項10】
上記ケース本体を、積層体が載置される矩形板状の底壁と、該底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に対面する一対の矩形板状の主壁と、上記底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に直交する側縁に対面する一対の矩形板状の側壁とを備えて構成し、上記一対の主壁の上縁及び一対の側壁の上縁によって矩形の開放口を構成し、
上記載置板を上から見て、上記ケース本体の開放口に遊嵌する矩形状に形成し、上記開口を、該載置板の中央であって上記ケース本体の主壁の面方向に沿い該衛生紙の折れ線方向の長さより僅かに長い矩形細長状に形成し、上記開口の開口縁に沿って上記ガイド壁を立設し、該ガイド壁の中央に、上端から切除され指が挿入可能な略矩形状の切除部を形成し、
上記切除部の上縁までの高さを上記ガイド壁の外側面の最小高さHa1とし、上記ガイド壁の取出口を構成する上端までの高さを最大高さHa2とし、3mm≦Ha1≦10mm、20mm≦Ha2≦30mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦10mmに設定したことを特徴とする請求項9記載の衛生紙用収容ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパタオル,キッチンペーパやティッシュペーパ等の衛生紙を一枚ずつ取出し可能に収容する衛生紙用収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衛生紙用収容ケースとしては、例えば、実用新案登録第3188596号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。
図6に示すように、この衛生紙用収容ケースCaは、衛生紙Pを一枚ずつ取出し可能に衛生紙Pの積層体Wを収容するものである。積層体Wは、二つ折りされて折れ線Zを境にして一対の折返し片を有した複数の矩形状の衛生紙Pが順に折返し片の裏面同士を相互に対面させて積層されたものである。そして、この衛生紙用収容ケースCaは、積層体Wを収容する上開放の開放口101を有したボックス状のケース本体100と、ケース本体100に収容された積層体Wの開放口101に露出した衛生紙P上に載置されるとともに最上位の衛生紙Pの折返し片を引出して衛生紙Pを取出し可能な取出口102が形成された平板状の蓋体103とを備えて構成されている。蓋体103はその自重により積層体Wを押えている。
【0003】
これにより、ケース本体100に収容された積層体Wの最上位の衛生紙Pの折返し片を取出口102に引き通して突出させ、この最上位の衛生紙Pを引出して、衛生紙Pを一枚ずつ連続的に取出すことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の衛生紙用収容ケースCaにあっては、例えば、衛生紙Pがペーパタオルの場合、手洗いした手を拭く際に、水で濡れた手によって衛生紙Pを引出して取出して使用するが、この際に、手に付着した水が蓋体103の上面に落下し、それが流れて蓋体103の周囲や取出口102から積層体Wに浸入し、新しい衛生紙Pを濡らしてしまい、衛生上好ましくないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、蓋体に水が落下しても水が蓋体の下にできるだけ浸入しにくくし、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図った衛生紙用収容ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の衛生紙用収容ケースは、二つ折りされて折れ線を境にして一対の折返し片を有した複数の矩形状の衛生紙が順に折返し片の裏面同士を相互に対面させて積層された積層体を収容する上開放の開放口を有したボックス状のケース本体と、該ケース本体に収容された積層体の上記開放口に露出した衛生紙上に載置されるとともに最上位の衛生紙の折返し片を引出して該衛生紙を取出し可能な取出口が形成された蓋体とを備えた衛生紙用収容ケースにおいて、
上記蓋体を、上から見て上記ケース本体の開放口に遊嵌する大きさに形成され積層体の最上位の衛生紙を引きだし可能な開口を有した載置板を備えて構成し、該載置板の上面であって上記開口の開口縁に沿って上記開口から引出される衛生紙をガイドするとともに該載置板の上面に受けられた水を堰き止める筒状のガイド壁を立設し、該ガイド壁の上端開口を衛生紙の取出口として構成し、上記載置板の上面の外周縁に沿って該載置板の上面に受けられた水を堰き止める外壁を立設した構成としている。
【0008】
これにより、この衛生紙用収容ケースを使用するときは、ケース本体に積層体を入れ、この積層体の上に蓋体を載置し、蓋体の開口からガイド壁の取出口を通して最上位の衛生紙を引き通して取出口から飛び出させておく。そして、衛生紙を取出すときは、取出口から飛び出している衛生紙を引出す。衛生紙は順に折返し片の裏面同士が相互に対面させられて積層されているので、一枚ずつ順に連続的に取出すことができる。この際、ガイド壁によって衛生紙がガイドされるので、衛生紙の取出しを円滑に行うことができる。
【0009】
この場合、例えば、衛生紙を取出す手が水で濡れているような場合には、水が蓋体の載置板の上面に落下し、それが流れて蓋体の周囲や開口から蓋体の下に浸入しようとするが、載置板の開口にはガイド壁が立設されるとともに載置板の外周縁には外壁が立設されているので、謂わば載置板の上面が盆状に形成されていることになり、そのため、流れる水がガイド壁及び外壁によって堰き止められ、衛生紙の積層体への浸入が阻止される。この結果、蓋体の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記開口の開口面積よりも上記ガイド壁の上端開口の開口面積を小さく形成した構成としている。これにより、落下する水が直接取出口に至って取出口から内部に入り込むものもあるが、ガイド壁の上端開口の開口、即ち、取出口の開口は小さくなっているので、それだけ、水が浸入しにくくなっており、この点でも、蓋体の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。また、衛生紙を取出すときは、取出口から飛び出している衛生紙を引出すが、開口は取出口より広くなっているので、衛生紙が通過しやすくなり、衛生紙の取出しを円滑に行うことができる。
【0011】
また、必要に応じ、上記ガイド壁に、上端から切除され指が挿入可能な切除部を形成した構成としている。切除部に指を入れて衛生紙を掴むことができ、それだけ、衛生紙を引出しやすくすることができる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記ガイド壁に、上記取出口を回動により開閉するとともに上記取出口から引出される衛生紙に該衛生紙を引出し可能に閉方向に常時付勢されて当接する扉を設けた構成としている。これにより、取出口から飛び出している衛生紙を引出す際、扉が閉方向に付勢されているので、取出口が塞がれながら衛生紙が取出される。そのため、落下する水が直接取出口に至って取出口から内部に入り込もうとしても、扉に当たるので、それだけ、水が浸入しにくくなっており、この点でも、蓋体の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【0013】
更にまた、上記扉を、該扉の自重により閉方向に付勢されるようにした構成としている。扉の自重により取出口を閉じるようにするので、扉を付勢する特別の機構を設けなくても良く、それだけ、構造を簡単にすることができる。
【0014】
この場合、上記扉の開方向の回動位置を規制するストッパを設けた構成としている。扉が開けっ放しになることがなくなるので、水の取出口から浸入を常時防止することができる。
【0015】
また、必要に応じ、上記ケース本体を、積層体が載置される矩形板状の底壁と、該底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に対面する一対の矩形板状の主壁と、上記底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に直交する側縁に対面する一対の矩形板状の側壁とを備えて構成し、上記一対の主壁の上縁及び一対の側壁の上縁によって矩形の開放口を構成し、
上記載置板を上から見て、上記ケース本体の開放口に遊嵌する矩形状に形成し、上記開口を、該載置板の中央であって上記ケース本体の主壁の面方向に沿い該衛生紙の折れ線方向の長さより僅かに長い矩形細長状に形成し、上記載置板の裏面に、上記ケース本体に収納された積層体の折れ線方向に沿い該積層体の折れ線側に当接する一対の凸条を設けた構成としている。
【0016】
これにより、凸条が積層体の折れ線側に当接するので、仮に載置板の外周側から水が浸入することがあっても、内側にまで行きにくくなり、この点でも、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。また、凸条が積層体の折れ線側に当接して衛生紙を押えており、凸条間は押さえがないので、衛生紙を取出す際、取出口から飛び出している衛生紙を引出すと、蓋体の衛生紙の押さえが即座に解除されることになり、そのため、衛生紙の取出しを円滑に行うことができる。
【0017】
この場合、上記載置板を、上記ケース本体に遊嵌させた状態で、該ケース本体の側壁側から見て、上に凸の円弧状に形成し、上記一対の凸条を上記載置板の裏面の上記ケース本体の主壁側に位置する縁部で構成している。載置板を湾曲させるだけで凸条を形成できるので、それだけ、製造を容易にすることができる。
【0018】
また、必要に応じ、上記ガイド壁の外側面の最小高さをHa1、最大高さをHa2とし、上記外壁の内側面の最小高さをHb1、最大高さをHb2としたとき、3mm≦Ha1≦Ha2≦40mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦30mmに設定している。この範囲で有効に水を堰き止めることができる。
【0019】
この場合、必要に応じ、上記ケース本体を、積層体が載置される矩形板状の底壁と、該底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に対面する一対の矩形板状の主壁と、上記底壁に互いに対面して立設され収納される積層体の折れ線に直交する側縁に対面する一対の矩形板状の側壁とを備えて構成し、上記一対の主壁の上縁及び一対の側壁の上縁によって矩形の開放口を構成し、
上記載置板を上から見て、上記ケース本体の開放口に遊嵌する矩形状に形成し、上記開口を、該載置板の中央であって上記ケース本体の主壁の面方向に沿い該衛生紙の折れ線方向の長さより僅かに長い矩形細長状に形成し、上記開口の開口縁に沿って上記ガイド壁を立設し、該ガイド壁の中央に、上端から切除され指が挿入可能な略矩形状の切除部を形成し、
上記切除部の上縁までの高さを上記ガイド壁の外側面の最小高さHa1とし、上記ガイド壁の取出口を構成する上端までの高さを最大高さHa2とし、3mm≦Ha1≦10mm、20mm≦Ha2≦30mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦10mmに設定した構成としている。
【0020】
これにより、ガイド壁の最大高さを大きくとることができ、衛生紙の取出口から突出した先端位置を高い位置に位置させることができるので、衛生紙の取出しを円滑に行うことができる。また、外壁の高さが比較的低いので、掃除や洗浄を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水が蓋体の載置板の上面に落下し、それが流れて蓋体の周囲や開口から蓋体の下に浸入しようとしても、載置板の開口にはガイド壁が立設されるとともに載置板の外周縁には外壁が立設されているので、謂わば載置板の上面が盆状に形成されていることになり、そのため、流れる水がガイド壁及び外壁によって堰き止められ、衛生紙の積層体への浸入が阻止される。この結果、蓋体の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙の積層体を濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースを示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースを示す横断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースの蓋体を示す要部縦断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースにおいて蓋体の変形例を示す横断面図である。
【
図6】従来の衛生紙用収容ケースの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る衛生紙用収容ケースについて詳細に説明する。
図1乃至
図4に示すように、実施の形態に係る衛生紙用収容ケースCは、衛生紙Pを一枚ずつ取出し可能に衛生紙Pの積層体Wを収容するものである。
図6に示すように、積層体Wは、二つ折りされて折れ線Zを境にして一対の折返し片を有した複数の矩形状の衛生紙Pが順に折返し片の裏面同士を相互に対面させて積層されたものである。
【0024】
この衛生紙用収容ケースCは、例えば、スチロール樹脂,ABS樹脂やアクリル樹脂等の透明若しくは半透明のプラスチック製であり、積層体Wを収容する上開放の開放口2を有したボックス状のケース本体1と、ケース本体1に収容された積層体Wの開放口2に露出した衛生紙P上に載置されるとともに最上位の衛生紙Pの折返し片を引出して衛生紙Pを取出し可能な取出口11が形成された蓋体10とを備えて構成されている。蓋体10はその自重により衛生紙Pを引出し可能に押える謂わば落し蓋を構成する。
【0025】
ケース本体1は、型成形され、積層体Wが載置される矩形板状の底壁3と、底壁3に互いに対面して立設され収納される積層体Wの折れ線Zに対面する一対の矩形板状の主壁4と、底壁3に互いに対面して立設され収納される積層体Wの折れ線Zに直交する側縁に対面する一対の矩形板状の側壁5とを備えて構成されている。そして、一対の主壁4の上縁及び一対の側壁5の上縁によって矩形の開放口2が構成されている。ケース本体1においては、主壁4及び側壁5は開放口2に向けて僅かに拡開形成されており、型成形の際の所謂抜き勾配が設けられている。大きさは、例えば、縦245mm、横125mm、高さ85mmに設定される。
【0026】
蓋体10は、上から見てケース本体1の開放口2に遊嵌する大きさに形成され積層体Wの最上位の衛生紙Pを引きだし可能な開口13を有した載置板12を備えて構成されている。載置板12は、上から見て、ケース本体1の開放口2に遊嵌する矩形状に形成されており、開口13は、載置板12の中央であってケース本体1の主壁4の面方向に沿い衛生紙Pの折れ線Z方向の長さより僅かに長い矩形細長状に形成されている。
【0027】
載置板12の裏面には、ケース本体1に収納された積層体Wの折れ線Z方向に沿い積層体Wの折れ線Z側に当接する一対の凸条14が設けられている。載置板12は、
図3に示すように、ケース本体1に遊嵌させた状態で、ケース本体1の側壁5側から見て、上に凸の円弧状に形成されており、一対の凸条14は、載置板12の裏面のケース本体1の主壁4側に位置する縁部で構成されている。この場合、載置板12を湾曲させるだけで凸条14を形成できるので、それだけ、製造を容易にすることができる。
【0028】
また、載置板12の上面であって開口13の開口縁に沿って開口13から引出される衛生紙Pをガイドするとともにこの載置板12の上面に受けられた水を堰き止める筒状のガイド壁15が立設されており、ガイド壁15の上端開口が衛生紙Pの取出口11として構成されている。ガイド壁15は、互いに対面して立設されケース本体1の主壁4側の前壁16及び後壁17と、互いに対面して立設され前壁16及び後壁17を支持するケース本体1の側壁5側の一対の支持壁18とを備えて構成されている。
図3に示すように、前壁16及び後壁17は、上に向けて互いに漸次近接するように傾斜しており、開口13の開口面積よりもガイド壁15の上端開口(取出口11)の開口面積が小さく形成されている。また、前壁16の中央には、上端から切除され指が挿入可能な略矩形状の切除部19が形成されている。
【0029】
更に、ガイド壁15には、取出口11を回動により開閉するとともに取出口11から引出される衛生紙Pにこの衛生紙Pを引出し可能に閉方向に常時付勢されて当接する矩形細長状の扉20が設けられている。扉20の後壁17側の左右には回動軸21が突設されており、一方、左右の支持壁18の後壁17側の上端には、夫々、回動軸21を軸支する軸受部22が立設されている。
【0030】
扉20は、その自重により閉方向に付勢されるように設けられている。扉20の自重により取出口11を閉じるようにするので、扉20を付勢する特別の機構を設けなくても良く、それだけ、構造を簡単にすることができる。また、扉20の開方向の回動位置を規制するストッパ23が設けられている。ストッパ23は、扉20の開方向の所定の角度位置でガイド壁15の後壁17の上端面に当接して扉20の開方向の移動を停止する扉20の後壁17側の端面で構成されている。
【0031】
そして、載置板12には、その上面の外周縁に沿って載置板12の上面に受けられた水を堰き止める外壁30が立設されている。実施の形態では、外壁30はガイド壁15の支持壁18に連設されている。
【0032】
図3に示すように、ガイド壁15の外側面の最小高さをHa1、最大高さをHa2とし、外壁30の内側面の最小高さをHb1、最大高さをHb2としたとき、3mm≦Ha1≦Ha2≦40mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦30mmに設定されている。より具体的には、切除部19の上縁までの高さをガイド壁15の外側面の最小高さHa1とし、ガイド壁15の取出口11を構成する上端までの高さを最大高さHa2とし、3mm≦Ha1≦10mm、20mm≦Ha2≦30mm、3mm≦Hb1≦Hb2≦10mmに設定している。数値はこれに限定されるものではない。
【0033】
これにより、ガイド壁15の最大高さを大きくとることができるので、衛生紙Pの取出口11から突出した先端位置を高い位置に位置させることができ、衛生紙Pの取出しを円滑に行うことができる。また、外壁30の高さが比較的低いので、掃除や洗浄を容易に行うことができる。
【0034】
従って、実施の形態に係る衛生紙用収容ケースCを使用するときは、ケース本体1に積層体Wを入れ、この積層体Wの上に蓋体10を載置し、扉20を開け、蓋体10の開口13からガイド壁15の取出口11を通して最上位の衛生紙Pを引き通して取出口11から飛び出させておく。この場合、ガイド壁15に、指が挿入可能な切除部19が形成されているので、切除部19に指を入れて衛生紙Pを掴むことができ、それだけ、衛生紙Pを引出しやすくすることができる。そして、衛生紙Pを取出すときは、取出口11から飛び出している衛生紙Pを引出す。この場合、ガイド壁15の最大高さが比較的大きいので、衛生紙Pの取出口11から突出した先端位置を高い位置に位置させることができ、衛生紙Pの取出しを円滑に行うことができる。衛生紙Pは順に折返し片の裏面同士が相互に対面させられて積層されているので、一枚ずつ順に連続的に取出すことができる。
【0035】
この際、ガイド壁15によって衛生紙Pがガイドされるので、衛生紙Pの取出しを円滑に行うことができる。特に、衛生紙Pを取出すときは、取出口11から飛び出している衛生紙Pを引出すが、開口13は取出口11より広くなっているので、衛生紙Pが通過しやすくなり、衛生紙Pの取出しを円滑に行うことができる。また、凸条14が積層体Wの折れ線Z側に当接して衛生紙Pを押えており、凸条14間は押さえがないので、衛生紙Pを取出す際、取出口11から飛び出している衛生紙Pを引出すと、蓋体10の衛生紙Pの押さえが即座に解除されることになり、そのため、衛生紙Pの取出しを円滑に行うことができる。
【0036】
そして、この衛生紙Pの取出しの際、例えば、衛生紙Pを取出す手が水で濡れているような場合には、水が蓋体10の載置板12の上面に落下し、それが流れて蓋体10の周囲や開口13から蓋体10の下に浸入しようとするが、載置板12の開口13にはガイド壁15が立設されるとともに載置板12の外周縁には外壁30が立設されているので、謂わば載置板12の上面が盆状に形成されていることになり、そのため、流れる水がガイド壁15及び外壁30によって堰き止められ、衛生紙Pの積層体Wへの浸入が阻止される。この結果、蓋体10の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙Pの積層体Wを濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【0037】
また、この場合、扉20が閉方向に付勢されているので、取出口11が塞がれながら衛生紙Pが取出される。そのため、落下する水が直接取出口11に至って取出口11から内部に入り込もうとしても、扉20に当たるので、それけ、水が浸入しにくくなっており、この点でも、蓋体10の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙Pの積層体Wを濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。仮に、扉20がないとしても、開口13の開口面積よりもガイド壁15の上端開口(取出口11)の開口面積が小さく形成されているので、即ち、取出口11の開口13は小さくなっているので、それだけ、水が浸入しにくくなっており、この点でも、蓋体10の下に水が浸入しにくくなり、衛生紙Pの積層体Wを濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【0038】
更に、凸条14が積層体Wの折れ線Z側に当接するので、仮に載置板12の外周側から水が浸入することがあっても、内側にまで行きにくくなり、この点でも、衛生紙Pの積層体Wを濡れにくくして衛生上の向上を図ることができる。
【0039】
図5には、蓋体10の変形例を示す。これは、凸条14の形成の仕方が上記とは異なる。即ち、載置板12を湾曲形成して凸条14を形成したのではなく、凸条14を載置板12の裏面に一体に膨出形成している。作用,効果は上記と同様である。
【0040】
尚、上記実施の形態において、ガイド壁15や外壁30の形状や高さは上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。また、ケース本体1や蓋体10の材質も樹脂に限らず、金属や木材等を用いて良く、適宜変更して差支えない。要するに、本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
C 衛生紙用収容ケース
P 衛生紙
W 積層体
Z 折れ線
1 ケース本体
2 開放口
3 底壁
4 主壁
5 側壁
10 蓋体
11 取出口
12 載置板
13 開口
14 凸条
15 ガイド壁
16 前壁
17 後壁
18 支持壁
19 切除部
20 扉
21 回動軸
22 軸受部
23 ストッパ
30 外壁