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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049331
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】排水装置の羽根車
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/24 20060101AFI20220322BHJP
   F04D 1/14 20060101ALI20220322BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
F04D29/24 C
F04D1/14
F04D29/24 D
F04D29/66 M
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155481
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】502142389
【氏名又は名称】利大溪工業股▲分▼有限公司
【住所又は居所原語表記】NO.75, SONGSHU, RENSHAN VIL., DAXI DIST., TAOYUAN CITY, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】林永裕
(72)【発明者】
【氏名】徐瑞陽
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB02
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC12
3H130BA13C
3H130BA66C
3H130BA68C
3H130CB01
3H130CB14
3H130DA02Z
3H130EA07C
3H130EB01C
3H130EB02C
3H130EB04C
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水流を排出する際の水の抵抗力が低下し、電力の消耗を減らし、振動及び騒音を低減する排水装置の羽根車を提供する。
【解決手段】複数の主羽根車4は、上シャフト31からインペラーディスク2の周縁に向けて延伸すると共に適度な角度湾曲するブレードを設けている。主羽根車の湾曲するブレードの外端の上縁には高低差を有する段階部41を設け、内端の下縁は下向きに傾斜して延伸し、下シャフト32に連接すると共にセンター穴211部分に露出し、水流を排出する遠心羽根車を構成する。下シャフトには下向きに延伸する吸水羽根車を設置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラーディスク、シャフト、及び複数の主羽根車を設置し、前記インペラーディスクはディスク及び前記ディスクの周縁を包囲する囲い部を有し、前記ディスクにはセンター穴を設け、前記シャフトは前記センター穴に貫設し、且つ前記ディスク本体上方に位置する上シャフト、及び前記ディスク本体下方に位置する下シャフトに分かれ、前記複数の主羽根車は上シャフトからインペラーディスクの周縁に向けて適度な角度で湾曲するように延伸し、前記複数の主羽根車の外端の上縁には段階部を設け、これら前記複数の主羽根車の内端の下縁は下向きに傾斜して前記下シャフトに連接し、且つセンター穴に露出し、遠心羽根車を形成し、前記下シャフトは下向きに延伸する吸水羽根車を有することを特徴とする排水装置の羽根車。
【請求項2】
前記遠心羽根車は前記複数の主羽根車に対応して同じ数量及び同じ湾曲で設置することを特徴とする請求項1に記載の排水装置の羽根車。
【請求項3】
これら前記複数の主羽根車の間には、適度な対称距離で前記センター穴の穴縁から前記インペラーディスクの周縁に向けて延伸し、且つ適度な角度で湾曲する複数の補助羽根車を設置することを特徴とする請求項1に記載の排水装置の羽根車。
【請求項4】
これら前記複数の補助羽根車の外端の上縁には段階部を設けていることを特徴とする請求項3に記載の排水装置の羽根車。
【請求項5】
これら前記複数の主羽根車及びこれら前記複数の補助羽根車は、3組、4組、または5組の配置で設置することを特徴とする請求項3に記載の排水装置の羽根車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置の羽根車に関し、更に詳しくは、水流を排出する際の水の抵抗力を低下させ、電力の消耗を減らし、振動及び騒音を低減する排水装置の羽根車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に空調設備(クーラー)に用いる排水装置の羽根車(図1参照)はディスク本体1を設置し、ディスク本体1には中心軸11を設け、前記中心軸11から放射状に複数のブレード12を設置している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のインペラーのブレード12は、直線方式で中心軸11から外に向けてディスク本体1の周縁に延伸する。インペラーの外径の接線角度Xが大きく(図2参照)、水流の排出圧力が増大し、実際に使用する場合、振動及び騒音が非常に発生しやすかった。
【0004】
さらに、従来のインペラーのブレード12の多くは直角形状を呈し、且つその前端及び後端は全て同じ高さとなっており、排出する水流の抵抗力が大きくなり(前端の水圧が増加する)、水流の速度が低下し、流れが滞り、電力の消耗を減らすことができず、節電できなかった。本出願者はこれを鑑み、不断で研究や実験を続け、排水装置のインペラーを設計するに至った。排出する水流の抵抗力を低下させ、電力の消耗を減らし、振動及び騒音を低減する。
【0005】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水装置の羽根車を提供することにある。すなわち、インペラーの使用時に、適度に水圧を低下させ、電力の消耗を減らし、振動及び騒音を低減する目的を達成させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の排水装置の羽根車は、インペラーディスク、シャフト、及び複数の主羽根車を設置している。前記インペラーディスクはセンター穴を有し、前記シャフトは前記センター穴に貫設し、且つ前記インペラーディスク上方に位置する上シャフト、及び前記インペラーディスク下方に位置する下シャフトに分かれている。これら前記複数の主羽根車は上シャフトからインペラーディスクの周縁に向けて延伸すると共に適度な角度で湾曲するブレードを設け、主羽根車の湾曲するブレードの外端の上縁には高低差を有する段階部を設けている。主羽根車の内端の下縁は下向きに傾斜して延伸し、前記下シャフトに連接し、主羽根車の湾曲するブレードと同じ湾曲を呈する遠心羽根車を構成する。前記下シャフトは下向きに延伸する吸水羽根車を有する。
【0008】
本発明の前記排水装置を応用する場合、主羽根車の湾曲及び段階部により、外径の接線角度が減少し、排出する水流の抵抗力が低下し、電力の消耗を減らし、振動及び騒音を低減する目的を達成する。
【0009】
また、本発明に係る排水装置の羽根車において、これら前記主羽根車の間には主羽根車と同じ湾曲度を呈する複数の補助羽根車を設置し、流水を促進させて圧力を低下させる効果を達成する。
【0010】
また、本発明に係る排水装置の羽根車において、これら前記補助羽根車の外端は、適度な下向きの斜度を呈し、高低差のある段階部を形成する。
【0011】
また、本発明に係る排水装置の羽根車において、これら前記複数の主羽根車及び設置する複数の補助羽根車は、3組、4組、或いは5組の主羽根車及び補助羽根車で実施する。
【0012】
また、本発明に係る排水装置の羽根車において、前記遠心羽根車は複数のブレードを配置することで実施する。さらには、3つのブレード、4つのブレード、或いは5つのブレードを設置する。
【0013】
本明細書及び図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のインペラーを示す構成図である。
図2】従来のインペラーの接線角度を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るインペラーディスクの傾斜図である。
図4】本発明の排水装置の組み立てを示す断面図である。
図5】本発明の第1実施例に係る主羽根車を示す平面図である。
図6】本発明の第2実施例に係る主羽根車を示す平面図である。
図7】本発明の第3実施例に係る主羽根車を示す平面図である。
図8】本発明の第1実施例に係る遠心羽根車を示す図である。
図9】本発明の第2実施例に係る遠心羽根車を示す図である。
図10】本発明の第3実施例に係る遠心羽根車を示す図である。
図11】本発明の第1実施例に係る主羽根車と補助羽根車を示す図である。
図12】本発明の第2実施例に係る主羽根車と補助羽根車を示す図である。
図13】本発明の第3実施例に係る主羽根車と補助羽根車を示す図である。
図14】本発明の排水装置に組み立てられる構成図である。
図15】本発明のインペラーの接線角度を示す図である。
図16】本発明の臨界水位騒音-リフトの関係を示す図である。
図17】本発明の臨界水位振動-リフトの関係を示す図である。
図18】本発明の負荷水位騒音-リフトの関係を示す図である。
図19】本発明の負荷水位振動-リフトの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0016】
以下に、図3~19を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。図3は本発明の一実施形態に係るインペラーディスクの傾斜図である。図4は本発明の排水装置の組み立てを示す断面図である。図に示されるように、本発明はインペラーディスク2、シャフト3、及び複数の主羽根車4を設置している。前記インペラーディスク2はディスク21及び前記ディスク21の周縁を包囲する囲い部22を有し、前記ディスク21にはセンター穴211を設けている。
【0017】
前記シャフト3は前記センター穴211に貫設し、且つ前記ディスク21上方に位置する上シャフト31、及び前記ディスク21下方に位置する下シャフト32に分かれている。これら前記複数の主羽根車4は上シャフト31からインペラーディスク2の周縁の囲い部22に向けて延伸し、且つ適度な角度で湾曲するブレードを設け、主羽根車4の湾曲するブレードの外端の上縁には適度な斜度で外に向けて下向きに傾斜し、高低差のある段階部41を形成する。主羽根車4の内端の下縁は下向きに傾斜して延伸し、前記下シャフト32に連接し、主羽根車4の湾曲するブレードと同じ角度の湾曲を構成し、且つセンター穴211に露出し、水流を排出する遠心羽根車33を提供する。前記下シャフト32は下向きに延伸して吸水量を上昇するための吸水羽根車34を有する。図3には、3組の主羽根車4及び3組の補助羽根車5で配置する実施例を図示する。これら前記主羽根車4及びインペラーディスク5は共に高低差のある段階部41、51を設けている。
【0018】
図3図4図14は本発明の排水装置のインペラー及びその組み立て構造の概略図である。図に示されるように、本発明は実際の応用において、インペラーAは排水装置6下方のポンプ室61に取り付けている。前記排水装置6はポンプ室61に吸引口62及び排出口63を設け、排水装置6に設置するモーター64により前記シャフト3及びその上シャフト31及びその下シャフト32を回転するように駆動させ、同時にインペラーAの主羽根車4及び補助羽根車5の回転及び吸水羽根車34の回転を構成し、空調設備の水受け皿内の排水を吸引口62及び下シャフト32から上に向けて吸水し、上に向けて吸水した排水を遠心羽根車33の回転の遠心力により水流を送水し、且つセンター穴211を通過させてディスク21に進入させる。駆動されて回転した主羽根車4及び補助羽根車5は、排水装置6の内面に沿って揚水し、排水を排出口63から外部に排出する。
【0019】
前述の部材により排水装置の羽根車Aを構成する。排水装置に応用する場合、これら前記排水の主羽根車4及び補助羽根車5の湾曲により外径の接線角度を減少させ、高低落差のある段階部41、51により水流の圧力を低下させ、主羽根車4の前段の水圧が低下し、後段は高さが高いため一定の水流量を保持し、これにより電力の消耗を減少させ、振動及び騒音を低減する目的を達成する。実際のテストに基づくと、流量が約15%増加し、電量が約20%減少し、騒音が3~4db顕著に減少した。
【0020】
また、図5乃至図7は本発明の湾曲するブレードの主羽根車4を複数配置する実施例をそれぞれ図示する。図8乃至図10には、本発明の下シャフト32に設置する遠心羽根車33を、主羽根車4に対応して同じ湾曲及び同じ数量で配置し、3、4、5つの湾曲する遠心羽根車33を配設する実施例をそれぞれ図示する。
【0021】
図11は本発明の第1実施例に係る主羽根車4を配置する平面図である。図に示されるように、前述の図3に示される傾斜図の実施例では、前記3つの主羽根車4の間は適度な対称距離で3つの補助羽根車5をそれぞれ設置している。これら前記補助羽根車5は適度な角度で湾曲し、センター穴211の穴縁からインペラーディスク2の周縁に向けて延伸する。同時に図3を参照すると、補助羽根車5の湾曲する外端の上縁には、適度な斜度で外に向けて下向きに傾斜し、高低差を形成する段階部51を設けている。これら前記補助羽根車5により水圧の低下効果を向上する。
【0022】
図12は本発明の第2実施例に係る主羽根車4と補助羽根車5を配置する平面図である。図に示されるように、本発明は主羽根車4を等間隔に配列して4つ設置し、これら前記主羽根車4の間には適度な対称距離でセンター穴211の穴縁からインペラーディスク2の周縁に向けて延伸し、適度な角度で湾曲する4つの補助羽根車5をそれぞれ設置する。
【0023】
図13は本発明の第3実施例に係る主羽根車4と補助羽根車5を配置する平面図である。図に示されるように、本発明は主羽根車4を5つ設置し、これら前記主羽根車4を等間隔で配列し、且つ前記5つの主羽根車4の間には適度な対称距離でセンター穴211の穴縁からディスク本体2の周縁に向けて延伸し、且つ適度な角度で湾曲する5つの補助羽根車5をそれぞれ設置する。
【0024】
図14は本発明の排水装置に組み立てられる構成図である。図に示されるように、本発明は実際の応用では、インペラーAを排水装置6下方のポンプ室61に取り付けている。前記排水装置6はポンプ室61に吸引口62及び排出口63を設け、排水装置6に設置するモーター64によりインペラーAの主羽根車4及び補助羽根車5を回転するように駆動させる。モーター64が駆動してインペラーAが回転すると、空調設備の水受け皿内に溜まった排水を吸引口62の下端から吸水し、且つ排水装置6の内面に沿って揚水し、排出口63から外部に排出する。
【0025】
図15は本発明のインペラーの接線角度を示す図である。図に示されるように、本発明のインペラーAの主羽根車4は、上シャフト31からインペラーディスク2の周縁の囲い部22に向けて適度な角度で湾曲し、インペラーAの外径の接線角度Yを縮小し、水流の圧力を低下させる。実際に使用する場合、振動及び騒音を確実に効果的に低減する。
【0026】
図16は本発明の臨界水位騒音-リフトを示す測定データ図である。実際の実験の曲線を図示するように、本発明のインペラーは排水装置に応用すると、本図の表に記載する本発明の「臨界水位の水頭及び対応する騒音の大きさの間」を従来のインペラーと比較すると、どの水頭であっても従来のインペラーよりも本発明の方が騒音を大幅に低減させている。
【0027】
図17は本発明の臨界水位振動-リフトを示す測定データ図である。実際の実験の曲線を図示するように、本発明のインペラーは排水装置に応用すると、本図の表に記載する本発明の「臨界水位の水頭及び対応する騒音の大きさの間」を従来のインペラーと比較すると、どの水頭であっても従来のインペラーよりも本発明の方が振動を大幅に低減させている。
【0028】
図18は本発明の負荷水位騒音-リフトの関係を示す測定データ図である。実際の実験の曲線を図示するように、本発明のインペラーは排水装置に応用すると、本図の表に記載する本発明の「負荷水位の水頭及び対応する騒音の大きさの間」を従来のインペラーと比較すると、どの水頭であっても従来のインペラーよりも本発明の方が騒音を大幅に低減させている。
【0029】
図19は本発明の負荷水位振動-リフトの関係を示す測定データ図である。実際の実験の曲線を図示するように、本発明のインペラーは排水装置に応用すると、本図の表に記載する本発明の「負荷水位の水頭及び対応する振動の大きさの間」を従来のインペラーと比較すると、どの水頭であっても従来のインペラーよりも本発明の方が振動及び騒音を大幅に低減させている。
【0030】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 ディスク本体
11 中心軸
12 ブレード
2 インペラーディスク
21 ディスク
22 囲い部
211 センター穴
3 シャフト
31 上シャフト
32 下シャフト
33 遠心羽根車
34 吸水羽根車
4 主羽根車
41 段階部
5 補助羽根車
51 段階部
6 排水装置
61 ポンプ室
62 吸引口
63 排出口
64 モーター
A インペラー
X 接線角度
Y 接線角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19