(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022049392
(43)【公開日】2022-03-29
(54)【発明の名称】駐車検知装置及び駐車検知方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020155581
(22)【出願日】2020-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 雄二
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC17
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
(57)【要約】
【課題】周囲の駐車領域の状態が変わっても、対象の駐車領域の空車状態を正しく判定すること。
【解決手段】第1駐車領域において磁気を検知する磁気検知部と、第1駐車領域が空車状態であり、かつ、第1駐車領域の周囲の第2駐車領域が空車状態である第1の場合の、磁気検知部の出力値に対応する第1予測値と、第1駐車領域が空車状態であり、かつ、第2駐車領域が駐車状態である第2の場合の、磁気検知部の出力値に対応する第2予測値と、を算出する予測値算出部と、磁気検知部の出力値と第1予測値又は第2予測値とに基づいて、第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する空車判定部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駐車領域において磁気を検知する磁気検知部と、
前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第1駐車領域の周囲の第2駐車領域が空車状態である第1の場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第1予測値と、前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第2駐車領域が駐車状態である第2の場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第2予測値と、を算出する予測値算出部と、
前記磁気検知部の出力値と前記第1予測値又は前記第2予測値とに基づいて、前記第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する空車判定部と、
を備える、
駐車検知装置。
【請求項2】
前記空車判定部は、前記磁気検知部の出力値が前記第1予測値又は前記第2予測値に合致するとき、前記第1駐車領域が空車状態であると判定する、
請求項1に記載の駐車検知装置。
【請求項3】
前記予測値算出部は、
前記第1駐車領域が空車状態から駐車状態に遷移するときの前記磁気検知部の出力値の変化量を取得し、前記第1駐車領域が駐車状態であるときの前記磁気検知部の出力値から前記変化量を減算して、前記第1予測値又は前記第2予測値を算出する、
請求項1又は2に記載の駐車検知装置。
【請求項4】
前記予測値算出部は、
前記第1の場合の前記磁気検知部の出力値を前記第1予測値とし、
前記第1駐車領域が駐車状態であるときの前記磁気検知部の出力値の変化量を取得し、前記変化量を前記第1予測値に加算して、前記第2予測値を算出する、
請求項1又は2に記載の駐車検知装置。
【請求項5】
前記予測値算出部は、
前記第1駐車領域が空車状態である場合の前記磁気検知部の出力値について、所定範囲内で複数回連続して取得した前記磁気検知部の出力値を、前記第1予測値又は前記第2予測値として算出する、
請求項1又は2に記載の駐車検知装置。
【請求項6】
前記予測値算出部は、前記第2の場合において、前記第2予測値を、前記第2駐車領域内の車両からの影響に応じて補正し、
前記空車判定部は、前記磁気検知部の出力値と補正された前記第2予測値とに基づいて、前記第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の駐車検知装置。
【請求項7】
磁気を検知する磁気検知部を有する第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第1駐車領域の周囲の第2駐車領域が空車状態である場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第1予測値と、前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第2駐車領域が駐車状態である場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第2予測値と、を算出し、
前記磁気検知部の出力値と前記第1予測値又は前記第2予測値とに基づいて、前記第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する、
駐車検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車検知装置及び駐車検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場の駐車ロット(駐車領域)における車両の有無を検出する装置として、駐車検知装置が知られている。例えば、特許文献1には、駐車検知装置が、駐車ロットの磁気を磁気センサーで検出し、検出により得られた検出値の変化率を算出し、変化率が閾値を超えた場合、例えば、駐車状態を空車状態に変更することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気センサーで駐車ロットが駐車状態か空車状態かを判定する場合、従来、判定のための閾値は、空車状態のときの磁気センサーの検出値などを参照値として参照して設定していた。例えば、特許文献1では、空車状態のときの磁気センサーの検出値の変化率を算出し、算出された変化率を参照値として参照して、閾値を設定していた。
【0005】
ところが、磁気センサーの検出値は、磁気センサーが設置された駐車ロットだけでなく、その周囲の、例えば、隣接する駐車ロットの車両の有無によっても変わる。そのため、例えば、隣接する駐車ロットの状態が変わると、閾値設定のために参照する参照値が変わってしまう。
【0006】
例えば、磁気センサーが設置された駐車ロットに車両が入庫後、隣接する駐車ロットに別の車両が入庫したとする。この後、磁気センサーが設置された駐車ロットから車両が出庫しても、磁気センサーの検出値は、隣接する駐車ロットの車両の影響を受け、上述したように設定した閾値より高くなる場合がある。このような場合、磁気センサーが設置された駐車ロットから車両が出庫したにもかかわらず、空車と判定できない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、周囲の駐車領域の状態が変わっても、対象の駐車領域の空車状態を正しく判定する駐車検知装置及び駐車検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る駐車検知装置は、
第1駐車領域において磁気を検知する磁気検知部と、
前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第1駐車領域の周囲の第2駐車領域が空車状態である第1の場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第1予測値と、前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第2駐車領域が駐車状態である第2の場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第2予測値と、を算出する予測値算出部と、
前記磁気検知部の出力値と前記第1予測値又は前記第2予測値とに基づいて、前記第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する空車判定部と、
を備える。
【0009】
また、本発明に係る駐車検知方法は、
磁気を検知する磁気検知部を有する第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第1駐車領域の周囲の第2駐車領域が空車状態である場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第1予測値と、前記第1駐車領域が空車状態であり、かつ、前記第2駐車領域が駐車状態である場合の、前記磁気検知部の出力値に対応する第2予測値と、を算出し、
前記磁気検知部の出力値と前記第1予測値又は前記第2予測値とに基づいて、前記第1駐車領域が空車状態であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周囲の駐車領域の状態が変わっても、対象の駐車領域の空車状態を正しく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る駐車検知装置を説明するブロック図である。
【
図2】
図1に示した駐車検知装置を備える駐車場を示す上面図である。
【
図3】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の一例(実施例1)を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の一例(実施例1)を説明するタイムチャートである。
【
図5】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の他の一例(実施例2)を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の他の一例(実施例2)を説明するタイムチャートである。
【
図7】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の他の一例(実施例3)を示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示した駐車検知装置で実施する駐車検知方法の他の一例(実施例3)を説明するタイムチャートである。
【
図9】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、初期のテーブルの状態を示す図である。
【
図10】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの一行目への磁気センサーの出力値の入力を説明する図である。
【
図11】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの一行目のデータの更新(カウント値1)を説明する図である。
【
図12】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの一行目のデータの更新(カウント値2)を説明する図である。
【
図13】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの一行目のデータの更新(カウント値25)及び確定フラグのセットを説明する図である。
【
図14】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの二行目への磁気センサーの出力値の入力を説明する図である。
【
図15】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの二行目のデータの更新(カウント値1)を説明する図である。
【
図16】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの二行目のデータの更新(カウント値2)を説明する図である。
【
図17】複数の予測値を有するテーブルを説明する図であって、テーブルの二行目のデータの更新(カウント値25)及び確定フラグのセットを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[駐車検知装置]
図1は、本実施の形態に係る駐車検知装置10を説明するブロック図である。また、
図2は、
図1に示した駐車検知装置10を備える駐車場20を示す上面図である。
【0014】
駐車検知装置10は、
図1に示すように、磁気センサー11(磁気検知部)と演算部12とを有する。なお、
図1に示すように、駐車検知装置10は、ドップラーセンサー13を有していてもよい。
【0015】
駐車検知装置10は、例えば、
図2に示すように、駐車場20の各駐車ロット21、22の地面(又は床面)20aに設置される。なお、駐車検知装置10は、例えば、駐車場20の天井などに設置してもよい。また、ここでは、以降の説明を簡単にするため、2つの駐車ロット21(第1駐車領域)、駐車ロット22(第2駐車領域)を有する駐車場20を例示しているが、駐車場20は、更に多くの駐車ロットを有するものでもよい。
【0016】
磁気センサー11は、地磁気を含む磁気の大きさを検出して出力するセンサーであり、ここでは、車両Cの移動や有無などに起因して変化する磁気の大きさを、X軸、Y軸及びZ軸において検出して出力する。ここでは、
図2に示すように、駐車ロット21、22の奥行きの方向(図中の左右方向)をX軸、駐車ロット21と駐車ロット22とが隣接する方向(図中の上下方向)をY軸、駐車場20の地面20aに垂直な方向をZ軸とする。また、ここでは、駐車検知装置10が1つの磁気センサー11を備える例を示すが、磁気センサー11は複数あってもよく、その場合は、各々の磁気センサー11に対して、後述する第1予測値、第2予測値を設定すればよい。
【0017】
演算部12は、
図1に示すように、予測値算出部121と空車判定部122とを有する。なお、以降では、駐車ロット21を検出対象とする場合について説明する。
【0018】
予測値算出部121は、駐車ロット21が空車状態であり、かつ、駐車ロット21の周囲の駐車ロット22が空車状態である場合(第1の場合)の磁気センサー11の出力値となる第1予測値を算出する。また、予測値算出部121は、駐車ロット21が空車状態であり、かつ、駐車ロット22が駐車状態である場合(第2の場合)の磁気センサー11の出力値となる第2予測値を算出する。なお、第1予測値、第2予測値は、磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分の各々に設定される。
【0019】
このように、駐車ロット21の周囲の駐車ロット22の状態(駐車の有無)に応じて、第1予測値と第2予測値とを算出している。これにより、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合、駐車ロット21が空車状態であることは、第1予測値に基づいて判定可能となる。また、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合、駐車ロット21が空車状態であることは、第2予測値に基づいて判定可能となる。第1予測値及び第2予測値の算出については、後述する実施例1~3において、
図3~
図17を参照して、より詳細に説明する。
【0020】
空車判定部122は、磁気センサー11の出力値を第1予測値又は第2予測値に基づいて判定して、駐車ロット21が空車状態であるか否かを判定する。具体的には、空車判定部122は、磁気センサー11の出力値が第1予測値又は第2予測値に合致すると、駐車ロット21が空車状態であると判定する。なお、合致するとは、磁気センサー11の出力値が第1予測値又は第2予測値の所定範囲内(例えば、±5%内)にある場合も含む。
【0021】
ドップラーセンサー13は、送信波に対する反射波のドップラーシフトを検出して出力するセンサーであり、ここでは、駐車ロット21、22における車両Cの移動や有無を検出して出力する。磁気センサー11とドップラーセンサー13とを併用する場合には、空車状態の判定の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本実施の形態において、駐車検知装置10は、上述したように、磁気センサー11と演算部12とを有し、演算部12は、予測値算出部121と空車判定部122とを有している。そして、演算部12は、予測値算出部121において、第1予測値と第2予測値とを算出し、空車判定部122において、第1予測値又は第2予測値に基づいて、駐車ロット21が空車状態であるか否かを判定している。以下に、本実施の形態における第1予測値及び第2予測値の算出について、具体的な実施例を以下に示して説明を行う。
【0023】
[実施例1]
本実施例においては、駐車ロット21に車両Cが入庫するときの磁気センサー11の出力値の変化量を取得する。そして、駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の出力値から変化量を減算して、第1予測値又は第2予測値を算出するようにしている。
【0024】
このようにして、第1予測値又は第2予測値を算出する本実施例について、
図3及び
図4を参照して説明を行う。
図3は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を示すフローチャートである。
図4は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を説明するタイムチャートである。
【0025】
図4には、駐車ロット21、22における駐車状態の変化と磁気センサー11の出力値の変化を示している。
図4において、駐車ロット21、22における駐車状態は、以下のように変化している。具体的には、時間T0~T1において、駐車ロット21、22が共に空車状態である。時間T1~T2において、駐車ロット21が駐車状態、駐車ロット22が空車状態である。時間T2~T3において、駐車ロット21、22が共に駐車状態である。時間T3~T4において、駐車ロット21が空車状態、駐車ロット22が駐車状態である。時間T4以降において、駐車ロット21、22が共に空車状態である。なお、ここでは、主に、Z軸成分の出力値に符号を付して、以下の説明を行う。
【0026】
(ステップS11)
演算部12は、検知対象の駐車ロット21において、空車状態から駐車状態に遷移するときの磁気センサー11の出力値の変化量D1を取得する。例えば、検知対象の駐車ロット21が空車状態のときの磁気センサー11の出力値を第1出力値V1とし、検知対象の駐車ロット21に車両Cが駐車した直後の磁気センサー11の出力値を第2出力値V2aとする。この場合、変化量D1=第2出力値V2a-第1出力値V1である。なお、第1出力値V1は、検知対象の駐車ロット21、22が空車状態であることをユーザーが確認した上で測定されている。
【0027】
(ステップS12)
演算部12は、検知対象の駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の出力値である第2出力値V2(V2a、V2b)から変化量D1を減算して、第1予測値P1、第2予測値P2を求める。
【0028】
ここで、第2出力値V2aは、駐車ロット21に駐車する車両Cがあり、かつ、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合の磁気センサー11の出力値である。第1予測値P1は、第2出力値V2aから変化量D1を減算して求め、これは、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する予測値となる。
【0029】
また、第2出力値V2bは、駐車ロット21及び駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合の磁気センサー11の出力値である。第2予測値P2は、第2出力値V2bから変化量D1を減算して求め、これは、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する予測値となる。
【0030】
(ステップS13)
演算部12は、磁気センサー11の出力値が変化したかどうかを確認する。磁気センサー11の出力値が変化した場合(YES)、ステップS14へ進み、変化しない場合(NO)、ステップS13を繰り返す。
【0031】
(ステップS14)
演算部12は、変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致するかどうか判定する。変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致する場合(YES)、ステップS15へ進み、合致しない場合(NO)、ステップS13へ戻る。合致するかどうかの判定は、例えば、変化後の磁気センサー11の出力値を第3出力値V3とすると、第3出力値V3が第1予測値P1又は第2予測値P2の所定範囲内(例えば、±5%内)であるかどうかで判定する。
【0032】
(ステップS15)
演算部12は、変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致する場合、検知対象の駐車ロット21が空車状態と判定する。
【0033】
例えば、駐車ロット22に駐車する車両Cがあって、駐車ロット21が空車状態になる場合には、磁気センサー11の出力値は第3出力値V3に変化する。この第3出力値V3は、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する第2予測値P2に合致するため、検知対象の駐車ロット21が空車状態と正しく判定することができる。
【0034】
また、駐車ロット22に駐車する車両Cが無くて、駐車ロット21が空車状態になる場合には、磁気センサー11の出力値は第4出力値V4に変化する。この第4出力値V4は、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する第1予測値P1に合致するため、検知対象の駐車ロット21が空車状態と正しく判定することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施例において、演算部12の予測値算出部121は、駐車ロット21に車両Cが入庫するときの磁気センサー11の出力値の変化量D1を取得する。そして、予測値算出部121は、駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の第2出力値V2(V2a、V2b)から変化量D1を減算して、第1予測値P1又は第2予測値P2を算出する。
【0036】
駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の第2出力値V2(V2a、V2b)は、周囲の駐車ロット22の状態(駐車の有無)に応じて変化する。そのため、第2出力値V2(V2a、V2b)から変化量D1を減算すれば、第1予測値P1、第2予測値P2を算出することができる。
【0037】
このようにして求めた第1予測値P1及び第2予測値P2を用いて、検知対象の駐車ロット21の空車状態を判定するので、空車状態を正しく判定することができる。
【0038】
また、検知対象の駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の第2出力値V2は、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合も変化する。このようにして変化する第2出力値V2から変化量D1を減算して予測値(第3予測値)を算出しているので、算出した第3予測値は、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合にも対応するものとなる。つまり、第3予測値は、駐車ロット21内や駐車ロット22内の車両Cからの影響に応じて、第1予測値P1や第2予測値P2を補正したものに該当する。
【0039】
このようにして求めた第3予測値を用いて、検知対象の駐車ロット21の空車状態を判定するので、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合においても、空車状態を正しく判定することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施例の駐車検知装置10は、周囲の駐車ロットの状態が変わっても、対象の駐車ロットの空車状態を正しく判定することができる。
【0041】
[実施例2]
本実施例においては、駐車ロット21に車両Cが入庫する前の磁気センサー11の出力値を取得する。そして、この出力値に、駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の出力値の変化量を加算して、第1予測値又は第2予測値を算出するようにしている。
【0042】
このようにして、第1予測値又は第2予測値を算出する本実施例について、
図5及び
図6を参照して説明を行う。
図5は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を示すフローチャートである。
図6は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を説明するタイムチャートである。
【0043】
図6には、
図4と同様に、駐車ロット21、22における駐車状態の変化と磁気センサー11の出力値の変化を示している。
図6において、駐車ロット21、22における駐車状態は、
図4と同様であるので、
図4と重複する説明は省略する。なお、ここでも、主に、Z軸成分の出力値に符号を付して、以下の説明を行う。
【0044】
(ステップS21)
演算部12は、検知対象の駐車ロット21が空車状態のときの磁気センサー11の出力値である第1出力値V1を取得する。なお、第1出力値V1は、検知対象の駐車ロット21、22が空車状態であることをユーザーが確認した上で測定されている。
【0045】
(ステップS22)
演算部12は、周囲の駐車車両からの磁気の影響値Eを0に設定する。
【0046】
(ステップS23)
演算部12は、第1出力値V1に影響値Eを加算して予測値を求める。ここでは、影響値E=0であるので、予測値は、第1出力値V1であり、これが、第1予測値P1となる。これは、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する予測値となる。
【0047】
一方、後述するステップS27からステップS23に戻る場合は、第1出力値V1が新しい値に更新されて、更新された第1出力値V1に影響値Eを加算して、予測値を求めることになる。後述のステップS27で説明するように、第1出力値V1は、変化量D2が加算されて更新される。影響値E=0である場合、予測値は、第1出力値V1+変化量D2であり、これが、第2予測値P2となる。これは、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する予測値となる。
【0048】
また、後述するステップS28からステップS23に戻る場合は、影響値Eが新しい値に更新されて、第1出力値V1に更新された影響値Eを加算して、予測値を求めることになる。後述のステップS28で説明するように、影響値Eには、駐車ロット21又は駐車ロット22内における車両Cの移動による変化量が加算されて更新される。予測値は、第1出力値V1+影響値Eであり、これが、第3予測値となる。
【0049】
(ステップS24)
演算部12は、磁気センサー11の出力値が変化したかどうかを確認する。磁気センサー11の出力値が変化した場合(YES)、ステップS25へ進み、変化しない場合(NO)、ステップS24を繰り返す。
【0050】
(ステップS25)
演算部12は、変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致するかどうか判定する。変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致する場合(YES)、ステップS29へ進み、合致しない場合(NO)、ステップS26へ進む。合致するかどうかの判定は、例えば、変化後の磁気センサー11の出力値を第3出力値V3とすると、第3出力値V3が第1予測値P1又は第2予測値P2の所定範囲内(例えば、±5%内)であるかどうかで判定する。
【0051】
(ステップS26)
演算部12は、磁気センサー11の出力値の変化量のXYZ軸成分が閾値以上かどうかを判定する。磁気センサー11の出力値の変化量のXYZ軸成分が閾値以上である場合(YES)、ステップS27へ進み、閾値未満である場合(NO)、ステップS28へ進む。
【0052】
このステップS26では、磁気センサー11の出力値の変化が、駐車ロット22に車両Cが入庫したことによるのか、又は、駐車ロット21内や駐車ロット22内を車両Cが移動したことによるのかを判定している。上記の閾値としては、駐車ロット22に車両Cが入庫した場合と、駐車ロット21内や駐車ロット22内を車両Cが移動した場合とが区別できるように、XYZ軸成分それぞれにおいて設定される。
【0053】
(ステップS27)
演算部12は、磁気センサー11の出力値の変化量のXYZ軸成分が閾値以上である場合、第1出力値V1に変化量D2が加算されて、第1出力値V1は更新される。これは、上述したように、磁気センサー11の出力値の変化が駐車ロット22に車両Cが入庫したことによるものと判定して、第1出力値V1に変化量D2が加算されている。なお、
図6において、変化量D2は負の変化量である。
【0054】
(ステップS28)
演算部12は、磁気センサー11の出力値の変化量のXYZ軸成分が閾値未満である場合、影響値Eに変化量が加算されて、影響値Eは更新される。これは、上述したように、磁気センサー11の出力値の変化が駐車ロット21内や駐車ロット22内を車両Cが移動したことによるものと判定して、影響値Eに変化量が加算されている。
【0055】
(ステップS29)
演算部12は、変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2に合致する場合、検知対象の駐車ロット21が空車状態と判定する。
【0056】
例えば、駐車ロット22に駐車する車両Cがあって、駐車ロット21が空車状態になる場合には、磁気センサー11の出力値は第3出力値V3に変化する。この第3出力値V3は、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する第2予測値P2に合致するため、検知対象の駐車ロット21が空車状態と正しく判定することができる。
【0057】
また、駐車ロット22に駐車する車両Cが無くて、駐車ロット21が空車状態になる場合には、磁気センサー11の出力値は第4出力値V4に変化する。この第4出力値V4は、駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合において、駐車ロット21の空車状態を判定する第1予測値P1に合致するため、検知対象の駐車ロット21が空車状態と正しく判定することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施例において、演算部12の予測値算出部121は、駐車ロット21及び駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合の磁気センサー11の出力値を第1予測値P1とする。そして、予測値算出部121は、駐車ロット21に車両Cが駐車状態のときの磁気センサー11の出力値の変化量D2を取得し、変化量D2を第1予測値P1に加算して、第2予測値P2を算出する。
【0059】
駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の第2出力値V2(V2a、V2b)は、周囲の駐車ロット22の状態(駐車の有無)に応じて変化する。そのため、第2出力値V2(V2a、V2b)の変化量D2を第1予測値P1に加算すれば、第2予測値P2を算出することができる。
【0060】
このようにして求めた第1予測値P1及び第2予測値P2を用いて、検知対象の駐車ロット21の空車状態を判定するので、空車状態を正しく判定することができる。
【0061】
また、検知対象の駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の第2出力値V2は、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合も変化する。このようにして変化する変化量を第1予測値P1に加算して予測値(第3予測値)を算出しているので、算出した第3予測値は、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合にも対応するものとなる。つまり、第3予測値は、駐車ロット21内や駐車ロット22内の車両Cからの影響に応じて、第1予測値P1や第2予測値P2を補正したものに該当する。
【0062】
このようにして求めた第3予測値を用いて、検知対象の駐車ロット21の空車状態を判定するので、駐車ロット21内を車両Cが移動する場合や駐車ロット22内を車両Cが移動する場合においても、空車状態を正しく判定することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施例の駐車検知装置10は、周囲の駐車ロットの状態が変わっても、対象の駐車ロットの空車状態を正しく判定することができる。
【0064】
なお、本実施例は、上記の実施例1と組み合わせて実施してもよい。例えば、実施例1での第1予測値P1、実施例2での第1予測値P1、実施例1での第2予測値P2、及び、実施例2での第2予測値P2を算出する。そして、磁気センサー11の出力値が4つの予測値うちの1つと合致すると、駐車ロット21が空車状態であると判定すればよい。
【0065】
[実施例3]
本実施例においては、駐車ロット21に駐車する車両Cがない場合の磁気センサー11の出力値について、所定範囲内で所定回数連続して取得した出力値を、第1予測値又は第2予測値としてテーブルで保持して使用するようにしている。
【0066】
このようにして、第1予測値又は第2予測値を算出する本実施例について、
図7及び
図8を参照して説明を行う。
図7は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を示すフローチャートである。
図8は、駐車検知装置10で実施する本実施例の駐車検知方法を説明するタイムチャートである。
【0067】
図8には、
図4と同様に、駐車ロット21、22における駐車状態の変化と磁気センサー11の出力値の変化を示している。
図8において、駐車ロット21、22における駐車状態は、以下のように変化している。具体的には、時間T0~T1において、駐車ロット21、22が共に空車状態である。時間T1~T2において、駐車ロット21が空車状態、駐車ロット22が駐車状態である。時間T2~T3において、駐車ロット21、22が共に駐車状態である。時間T3~T4において、駐車ロット21が空車状態、駐車ロット22が駐車状態である。時間T4以降において、駐車ロット21、22が共に空車状態である。なお、ここでも、主に、Z軸成分の出力値に符号を付して、以下の説明を行う。
【0068】
また、
図9~
図17は、複数の予測値を有するテーブルを説明する図である。詳細は以下に説明するが、本実施例では、
図9~
図17で説明するように、所定範囲内で所定回数連続して取得した磁気センサー11の出力値をテーブルで保持して使用するようにしている。なお、テーブルは、演算部12の図示省略した記憶部に設けられ、後述するデータが記憶される。
【0069】
(ステップS31)
演算部12は、磁気センサー11の出力値(XYZ軸成分)を取得する。本実施例で使用するテーブルは、
図9に示すように、データ列として、磁気センサー11の出力値のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分、確定フラグ、カウント値及び未使用カウントを有し、また、これらが入力される複数のデータ行を有する。最初の状態では、
図9に示すように、テーブル内には、何のデータも入力されていない。
【0070】
そして、磁気センサー11の出力値が取得されると、まず、
図10に示すように、テーブルのデータ行1に磁気センサー11の出力値(XYZ軸成分)が入力される。なお、
図7のフローチャートでは図示を省略しているが、磁気センサー11の出力値を取得するのが最初である場合には、ステップS32に示す変化量を算出できないので、ステップS32へは進まず、ステップS31を繰り返す。
【0071】
(ステップS32)
演算部12は、取得された磁気センサー11の出力値のZ軸成分の変化量が第1閾値以下かどうかを判定する。ここでの変化量は、前回のステップS31で取得された磁気センサー11の出力値のZ軸成分から今回のステップS31で取得された磁気センサー11の出力値のZ軸成分への変化量である。また、ここでは、Z軸成分について、第1閾値を設定する。取得された磁気センサー11の出力値のZ軸成分の変化量が第1閾値以下である場合(YES)、ステップS33へ進み、第1閾値より大きい場合(NO)、本フローチャートの処理を終了する。
【0072】
図7に示すフローチャートでは、駐車ロット21に駐車する車両Cがない場合の磁気センサー11の出力値を取得しようとしている。ステップS32では、駐車ロット21に車両Cが駐車状態である場合の磁気センサー11の出力値の取得を排除するため、駐車ロット21に車両Cが入庫するときの磁気センサー11の出力値のZ軸成分の変化量を確認している。そして、このときの変化量の識別のために、第1閾値を設定している。これは、駐車ロット21に車両Cが入庫するとき、磁気センサー11の出力値のZ軸成分が大きく変化するからである。従って、磁気センサー11の出力値のZ軸成分の変化量が第1閾値より大きい場合、駐車ロット21に車両Cが駐車したと判定し、この場合は、本フローチャートの処理を終了し、以降は、磁気センサー11の出力値を取得しないようにしている。
【0073】
(ステップS33)
演算部12は、磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分について、テーブル内のデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出する。このとき、確定フラグを有するデータ行があれば、確定フラグを有するデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出する。
【0074】
(ステップS34)
演算部12は、XYZ軸成分の全ての差が第2閾値以下かどうかを判定する。ここでは、XYZ軸成分のそれぞれについて、第2閾値を設定する。XYZ軸成分の全ての差が第2閾値以下である場合(YES)、ステップS35へ進み、第2閾値より大きい場合(NO)、本フローチャートの処理を終了する。
【0075】
上述したように、
図7に示すフローチャートでは、駐車ロット21に駐車する車両Cがない場合の磁気センサー11の出力値を取得しようとしている。ステップS34では、駐車ロット21内を車両Cが移動した場合の磁気センサー11の出力値の取得を排除するため、駐車ロット21内を車両Cが移動するときの磁気センサー11の出力値の変化(差)を確認しており、その識別のために、第2閾値を設定している。これは、駐車ロット21内を車両Cが移動するとき、磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分が全て変化するからである。従って、XYZ軸成分の全ての差が第2閾値より大きい場合、駐車ロット21内を車両Cが移動したと判定し、この場合は、本フローチャートの処理を終了し、以降は、磁気センサー11の出力値を取得しないようにしている。
【0076】
なお、ステップS33、S34では、XYZ軸成分について、テーブル内のデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出しているが、他の計算方法で差を算出してもよい。例えば、XYZ軸成分について、テーブル内のデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出し、これらの差の絶対値を合計したり、これらの差の二乗を合計したり(二乗和)、二乗和の平方根であったりしてもよい。他の計算方法を用いる場合、それに合わせて、第2閾値も変更する。
【0077】
(ステップS35)
演算部12は、テーブル内のデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出する。このとき、確定フラグを有するデータ行やカウント値が1以上のデータ行があれば、確定フラグを有するデータ行やカウント値が1以上のデータ行のデータと取得された磁気センサー11の出力値との差を算出する。
【0078】
(ステップS36)
演算部12は、算出された差の中で最小の差が第3閾値以下かどうかを判定する。ここでも、XYZ軸成分のそれぞれについて、第3閾値を設定する。最小の差が第3閾値以下である場合(YES)、ステップS37へ進み、第3閾値より大きい場合(NO)、ステップS39へ進む。
【0079】
ステップS36では、取得された磁気センサー11の出力値が、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータと同じであるかどうかを判定するため、第3閾値を設定している。従って、後述のステップS37で説明するように、取得された磁気センサー11の出力値が、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータと同じであると判定された場合、当該データ行のデータは、取得された磁気センサー11の出力値を用いて更新される。また、後述のステップS39で説明するように、取得された磁気センサー11の出力値が、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータと同じでないと判定された場合、当該データ行とは別のデータ行に、取得された磁気センサー11の出力値が入力される。
【0080】
(ステップS37)
演算部12は、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータを、取得された磁気センサー11の出力値を用いて更新する。例えば、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータと、取得された磁気センサー11の出力値とを用い、指数移動平均などで平均化を行い、平均化した数値を用いて、最小差を有するテーブル内のデータ行のデータを更新する。このように、テーブル内のデータ行のデータを更新する際に、指数移動平均などで平均化を行うことで、磁気センサー11由来の雑音を低減することができる。
【0081】
(ステップS38)
演算部12は、更新したテーブル内のデータ行に確定フラグがある場合、未更新カウントを0にリセットし、ない場合、カウント値を1増やす。
【0082】
(ステップS39)
演算部12は、空いているテーブル内のデータ行又は確定フラグを有していないテーブルのデータ行に、取得された磁気センサーの出力値を入力する。空いているテーブル内のデータ行とは、磁気センサー11の出力値が未入力のデータ行のことであり、未入力のデータ行があれば、このデータ行に、取得された磁気センサー11の出力値を入力する。もし、未入力のデータ行がなければ、確定フラグを有していないテーブルのデータ行に、取得された磁気センサーの出力値を入力する(上書きする)。つまり、ここでは、最小差を有するテーブル内のデータ行とは別のデータ行に、取得された磁気センサー11の出力値を入力している。
【0083】
(ステップS40)
演算部12は、更新されなかったテーブル内のデータ行のなかで、確定フラグがなく、カウント値が1以上のものは、カウント値を0にリセットする。カウント値を0にリセットすることは、そのデータ行のデータが連続して更新されていないことを意味する。このようなデータ行のデータは、保持する必要のない一時的な遷移状態における磁気センサー11の出力値であり、確定フラグがセットされない限り、予測値として使用されることはない。そのため、ステップS39で説明したように、新たに取得された磁気センサーの出力値により上書きされることになる。
【0084】
(ステップS41)
演算部12は、カウント値が所定値以上になった場合、カウント値が所定値以上になったテーブル内のデータ行の確定フラグをセットすると共に、既に確定フラグがあるテーブル内のデータ行の未更新カウントを1増やす。また、未更新カウントが所定値以上になった場合、未更新カウントが所定値以上になったテーブル内のデータ行の確定フラグをリセットする。この後、ステップS31へ戻る。
【0085】
<テーブル内のデータ行1>
ここで、
図7、
図8と共に、
図9~
図12を参照して、テーブル内のデータ行1へ入力される磁気センサー11の出力値のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分、確定フラグ、カウント値及び未使用カウントについて説明する。なお、以下の測定は、
図8において、時間T0~T1における測定である。
【0086】
(時間T0~T1における1回目測定)
図9に示すように、最初の状態では、テーブル内には何のデータも入力されていない。演算部12が、最初に、磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分として、(X、Y、Z)=(-2378.44、-89.32、2121.25)を取得したとする(ステップS31を参照)。この場合、
図10に示すように、テーブルのデータ行1に、取得された磁気センサー11の出力値(-2378.44、-89.32、2121.25)が入力される。
【0087】
(時間T0~T1における2回目測定)
演算部12が、次に、磁気センサー11の出力値(-2378.66、-92.55、2120.50)を取得したとする(ステップS31を参照)。この場合において、前回の出力値のZ軸成分から今回の出力値のZ軸成分への変化量は第1閾値以下とする(ステップS32を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第2閾値以下とする(ステップS33、S34を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第3閾値以下とする(ステップS35、S36を参照)。
【0088】
この場合、最小差を有するテーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と、今回取得された磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分とを用いて、データ行1のXYZ軸成分を更新する(ステップS37を参照)。
【0089】
例えば、X軸成分について、更新前のデータをTX(n)、今回取得された磁気センサー11の出力値をSX(n)、更新後のデータをTX(n+1)とすると、TX(n+1)=(1-α)×TX(n)+α×SX(n)とする。ここでは、α=-0.005の指数移動平均を用いる。Y軸成分及びZ軸成分についても同様である。この場合、データ行1のXYZ軸成分は、
図11に示すように更新される。
【0090】
更新されたデータ行1には、確定フラグはないので、
図11に示すように、カウント値を0から1へ増やす(ステップS38を参照)。このとき、更新されなかったテーブル内のデータ行はないので、ステップS40は実施せず、また、カウント値や未更新カウントが所定値以上になっていないので、ステップS41も実施せず、ステップS31へ戻る。
【0091】
(時間T0~T1における3回目測定)
演算部12が、次に、磁気センサー11の出力値(-2380.28、-91.67、2123.25)を取得したとする(ステップS31を参照)。ここでも、前回の出力値のZ軸成分から今回の出力値のZ軸成分への変化量は第1閾値以下とする(ステップS32を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第2閾値以下とする(ステップS33、S34を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第3閾値以下とする(ステップS35、S36を参照)。
【0092】
この場合、最小差を有するテーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と、今回取得された磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分とを用いて、データ行1のXYZ軸成分を更新する(ステップS37を参照)。上記のα=-0.005の指数移動平均を用いると、データ行1のXYZ軸成分は、
図12に示すように更新される。
【0093】
更新されたデータ行1には、確定フラグはないので、
図12に示すように、カウント値を1から2へ増やす(ステップS38を参照)。このとき、更新されなかったテーブル内のデータ行はないので、ステップS40は実施せず、また、カウント値や未更新カウントが所定値以上になっていないので、ステップS41も実施せず、ステップS31へ戻る。
【0094】
(時間T0~T1における25回目測定)
駐車ロット21、22の状態が変化しなければ、磁気センサー11の出力値は同じような値が継続して測定される。そして、ここでは、例えば、カウント値が25に到達したとき、
図13に示すように、確定フラグを1にセットする(ステップS41を参照)。データ行1の確定フラグを1にセットすることは、現在の磁気センサー11の出力値がデータ行1のデータの近傍であることを確定したと判定することである。
【0095】
このようにして、テーブルは、確定フラグを有するデータ行のデータを有することになる。これは、
図8に示すように、駐車ロット21及び駐車ロット22に駐車する車両Cがない場合の第1予測値P1になる。
【0096】
<テーブル内のデータ行2>
次に、
図7、
図8と共に、
図14~
図17を参照して、テーブル内のデータ行2へ入力される磁気センサー11の出力値のX軸成分、Y軸成分、Z軸成分、確定フラグ、カウント値及び未使用カウントについて説明する。なお、以下の測定は、
図8において、時間T1~T2における測定である。
【0097】
(時間T1~T2における1回目測定)
駐車ロット21に隣接する駐車ロット22に車両Cが入庫すると、磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分は変化する。例えば、演算部12が、磁気センサー11の出力値(-2508.44、62.49、2037.53)を取得したとする(ステップS31を参照)。この場合において、前回の出力値のZ軸成分から今回の出力値のZ軸成分への変化量は第1閾値以下とする(ステップS32を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第2閾値以下とする(ステップS33、S34を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行1のXYZ軸成分と差は第3閾値より大きいとする(ステップS35、S36を参照)。
【0098】
この場合、
図14に示すように、空いているテーブル内のデータ行、つまり、データ行2に、取得された磁気センサー11の出力値(-2508.44、62.49、2037.53)が入力される(ステップS39を参照)。
【0099】
更新されなかったテーブル内のデータ行1は確定フラグがあるので、ステップS40は実施せず、また、カウント値や未更新カウントが所定値以上になっていないので、ステップS41も実施せず、ステップS31へ戻る。
【0100】
(時間T1~T2における2回目測定)
演算部12が、次に、磁気センサー11の出力値(-2508.30、61.68、2034.18)を取得したとする(ステップS31を参照)。前回の出力値のZ軸成分から今回の出力値のZ軸成分への変化量は第1閾値以下とする(ステップS32を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と差は第2閾値以下とする(ステップS33、S34を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と差は第3閾値以下とする(ステップS35、S36を参照)。
【0101】
この場合、最小差を有するテーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と、今回取得された磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分とを用いて、データ行2のXYZ軸成分を更新する(ステップS37を参照)。上記のα=-0.005の指数移動平均を用いると、データ行2のXYZ軸成分は、
図15に示すように更新される。
【0102】
更新されたデータ行2には、確定フラグはないので、
図15に示すように、カウント値を0から1へ増やす(ステップS38を参照)。このとき、更新されなかったテーブル内のデータ行1は確定フラグがあるので、ステップS40は実施せず、また、カウント値や未更新カウントが所定値以上になっていないので、ステップS41も実施せず、ステップS31へ戻る。
【0103】
(時間T1~T2における3回目測定)
演算部12が、次に、磁気センサー11の出力値(-2510.77、57.40、2036.92)を取得したとする(ステップS31を参照)。ここでも、前回の出力値のZ軸成分から今回の出力値のZ軸成分への変化量は第1閾値以下とする(ステップS32を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と差は第2閾値以下とする(ステップS33、S34を参照)。また、この出力値のXYZ軸成分と、テーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と差は第3閾値以下とする(ステップS35、S36を参照)。
【0104】
この場合、最小差を有するテーブル内のデータ行、つまり、データ行2のXYZ軸成分と、今回取得された磁気センサー11の出力値のXYZ軸成分とを用いて、データ行2のXYZ軸成分を更新する(ステップS37を参照)。上記のα=-0.005の指数移動平均を用いると、データ行2のXYZ軸成分は、
図16に示すように更新される。
【0105】
更新されたデータ行2には、確定フラグはないので、
図16に示すように、カウント値を1から2へ増やす(ステップS38を参照)。このとき、更新されなかったテーブル内のデータ行1は確定フラグがあるので、ステップS40は実施せず、また、カウント値や未更新カウントが所定値以上になっていないので、ステップS41も実施せず、ステップS31へ戻る。
【0106】
(時間T1~T2における25回目測定)
駐車ロット21、22の状態が変化しなければ、磁気センサー11の出力値は同じような値が継続して測定される。そして、ここでは、例えば、カウント値が25に到達したとき、
図17に示すように、データ行2の確定フラグを1にセットし、データ行1の未更新カウントに1をセットする(ステップS41を参照)。データ行2の確定フラグを1にセットすることは、現在の磁気センサー11の出力値がデータ行2のデータの近傍であることを確定したと判定することである。データ行1の未更新カウントに1をセットすることは、以前の磁気センサー11の出力値がデータ行1のデータの近傍であったことを示す。
【0107】
このようにして、テーブルは、確定フラグを有するデータ行のデータを有することになる。これは、
図8に示すように、駐車ロット21に駐車する車両Cがなく、かつ、駐車ロット22に駐車する車両Cがある場合の第2予測値P2になる。
【0108】
そして、本実施例では、演算部12は、以上のようにして求めたテーブル内のデータ行、つまり、第1予測値P1、第2予測値P2を用いる。具体的には、演算部12は、変化したときの磁気センサー11の出力値が、第1予測値P1又は第2予測値P2に合致する場合、検知対象の駐車ロット21が空車状態と判定することができる。合致するかどうかの判定は、例えば、変化後の磁気センサー11の出力値が第1予測値P1又は第2予測値P2の所定範囲内(例えば、±5%内)であるかどうかで判定する。
【0109】
なお、図示及び詳細な説明は省略するが、本実施例のテーブルは、実施例1及び実施例2で説明した第3予測値、つまり、駐車ロット22内を車両Cが移動した場合に対応する第3予測値も、
図7で説明した手順により保持可能である。テーブルが第3予測値を有する場合には、演算部12は、駐車ロット22内を車両Cが移動した場合でも、検知対象の駐車ロット21が空車状態と判定することができる。
【0110】
以上説明したように、本実施例の駐車検知装置10は、周囲の駐車ロットの状態が変わっても、対象の駐車ロットの空車状態を正しく判定することができる。
【0111】
なお、上記実施の形態、変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0112】
10 駐車検知装置
11 磁気センサー
12 演算部
121 予測値算出部
122 空車判定部
13 ドップラーセンサー
20 駐車場
21、22 駐車ロット